JP4478398B2 - 偏光光学素子、光学素子ユニット、光ヘッド装置及び光ディスクドライブ装置 - Google Patents

偏光光学素子、光学素子ユニット、光ヘッド装置及び光ディスクドライブ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光性回折格子または偏光性ホログラムからなる偏光光学素子、及び、その偏光光学素子を用いた光学素子ユニット及び光ヘッド装置(光ピックアップ装置)、及び、その光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置、さらには、前記光ヘッド装置を搭載し、CD(コンパクト・ディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)、S−DVDなどの使用する波長の異なる複数規格の光記録媒体(光ディスク)に対して記録・再生を行なうことが可能な光ディスクドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクドライブ装置における光ヘッド装置(光ピックアップ装置とも言う)として、光記録媒体である光ディスクからの反射光を回折素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備えたものが種々提案されており、回折素子としては、偏光性の回折素子やホログラムからなる偏光光学素子を用いたものが知られている。
例えば、特許文献1には、複屈折媒体に凹凸格子を設けて、少なくとも凹部に等方性媒体を充填することで、光の偏光方向により回折効率の異なる偏光光学素子が記載されている。
また、特許文献2には、光源からの光束を回折素子を通して光記録媒体に照射することにより、情報の記録/読取りを行なう光ヘッド装置において、回折素子として、光学異方性ポリマーにより形成された光学異方性を有する偏光性回折格子を用いることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2594548号公報
【特許文献2】
特開平9−50642号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図33に従来の偏光光学素子の一例を示す。この偏光光学素子は、透明基板101上に矩形凹凸形状102aを持つ複屈折(光学的異方性)を示す媒体102が配置され、その上に光学的に等方性を示す媒体103が充填され、その上を透明基板101’で覆われている偏光性回折格子107の例であり、等方性媒体103の屈折率を複屈折媒体102の常光屈折率no、または異常光屈折率neのいずれかと等しくすることにより、偏光性(光学的異方性)を示す回折格子となる。
すなわち、ある方向の偏光に対してはほぼ全透過し、これと直交する偏光に対しては全回折するような特性を持たせることができる。
【0005】
このような偏光性回折格子107を光ヘッド装置の分岐素子として用いれば、光源から光記録媒体へ向かう往路を全透過する偏光方向に設定して効率良く光記録媒体に集光させ、光路中に1/4波長板を配置しておき、光記録媒体からの反射光を往路の偏光方向とは直交して戻るようにさせて再び偏光性回折格子107に入射させると、復路光は全回折され光検出器に効率良く受光されるようにでき、往路、復路とも高効率の光ヘッド装置が実現できる。
【0006】
ところで上記のような偏光性回折格子(または偏光性ホログラム)を光源部に近づけて光源および光検出器まわりを小さくしようとすると、偏光性回折格子のピッチを小さくして復路光の分岐角を大きくする必要がある。
しかし、ピッチを小さくしていくと一つの問題が発生する。それは回折効率の角度特性である。図34に偏光性回折格子への入射角と+1次回折効率の特性を示す。図34において、曲線201は格子ピッチが比較的大きい格子(ピッチ4μm以上)の特性を示す。格子ピッチが比較的大きいときは薄い平面型回折格子として振る舞い、入射角 対 1次回折効率特性はかなり平坦な特性となり、回折効率は約40%であり、入射角により回折効率がほとんど変化しない。これに対して、格子ピッチを小さくしていったときの特性を曲線202に示す。曲線202は格子ピッチが1.6μmのときの入射角 対 (+1次)回折効率特性を示している。格子ピッチが小さくなってくると、回折格子は薄い平面型回折格子から、厚い体積型回折格子へと格子タイプが変化してくる。このときの特性は入射角0°の回折効率より、特定の入射角θB での回折効率がピークを持つ特性となってくる。
【0007】
薄い格子、厚い格子の目安として回折格子のQ値が定義されている。波長λ、格子厚さT、格子部平均屈折率n、格子ピッチdとすると、回折格子のQ値は
Q=2πλT/nd
で与えられる。Q<1のとき薄い平面型格子、Q>10のとき厚い体積型格子、1<Q<10のとき平面型から体積型への中間領域の格子という目安がある。
【0008】
図34の例で曲線201は波長λ=0.66μmとするとQ=0.64となり平面型格子となるが、曲線202はQ=4.0となり平面型格子と体積型格子の中間的格子となって体積型回折格子の特性が表れてきている。つまり特定の入射角θB で回折効率がピークを持つようになる。この特定の入射角θB のことをブラッグ角と言い、
θB=sin-1(λ/2d)
で表わされる。図34の曲線202の場合、格子ピッチが1.6μmであるので、波長λ=0.66μmとすると、θB=11.9°となる。すなわち、垂直入射より入射角11.9°(空気中)のときが最も回折効率が高くなり、図34の曲線202の場合、最高70%以上の回折効率となっている。
【0009】
偏光性回折格子を光源部に近づけて光源および光検出器まわりの光学系を小型化するために、回折格子のピッチを小さくする場合、以上の体積型格子の特性を持つ偏光性回折格子を光ヘッド装置に用いたときに以下の問題が生じる。
ここで、ピッチを小さくした偏光性回折格子を図35の構成の光ヘッド装置に適用するときについて述べる。
【0010】
図35において、符号108は半導体レーザ等からなる光源、107は偏光性回折格子、110はコリメートレンズ、111は1/4波長板、112は対物レンズ、113は光記録媒体、109は多分割フォトダイオード等からなる光検出器である。
光源108からの出射光は偏光性回折格子107をほとんど全透過するような偏光方向に設定され、コリメートレンズ110でコリメートした後1/4波長板111により円偏光となり、対物レンズ112で光記録媒体113に集光される。光記録媒体113からの反射光は1/4波長板111で往路とは直交する偏光方向に変換されてコリメートレンズ110により集束光となり、偏光性回折格子107に入射する。この光束は往路とは直交する偏光なのでほとんど回折し、+1次回折光が光検出器109に入射して信号検出される。このとき光記録媒体113のトラック方向が紙面とは垂直方向にあるとすると、トラッキング信号としてのPush-Pull信号は偏光性回折格子107への戻り集束光について光軸を中心に左側と右側の光量を比較して、その差信号から得られる。
【0011】
格子ピッチが比較的大きい図34の曲線201の回折格子を使う場合は、入射角0°(垂直入射)を中心に入射角がマイナス方向とプラス方向が対称なので、回折光から得られたPush-Pull信号が真のトラッキング信号を表わすのに対し、ピッチを小さくして図34の曲線202の特性を表わす偏光性回折格子を用いるとき、入射角0°に対し入射角がマイナス方向では角度とともに回折効率が減少していき、逆にプラス方向では入射角度とともに回折効率が増加していく(図34のグラフ中の矢印Aで示される角度範囲が実際の光ヘッド装置に適用したときの入射角範囲である)。
【0012】
ここで、偏光性回折格子の回折効率を高めるためには回折格子の溝を深く加工しなければならないが、溝が深く、ピッチの小さい回折格子はQ値が大きくなり体積型格子の特性が表れる。光ヘッド装置に使う上で問題になる体積型格子の特性とは、上記のように光の入射角度により回折効率が異なる角度依存性のことである。通常、偏光性回折格子は光を垂直入射(入射角度0°)させて使うが、光ヘッド装置において、図35に示すように偏光性回折格子107を光源108とコリメートレンズ110の間に配置すると、収束光が偏光性回折格子107に入るので光束の中心部は垂直入射(入射角度0°)するが、その周辺部では光の入射角度が+5°や−5°の角度で入射する。+5°で入射した光は回折効率が大きく、−5°で入射した光は回折効率が小さいと、ビームの左右で回折効率が異なることになり、Push-Pull信号にオフセットが生じてしまう。
【0013】
このように偏光性回折格子の回折効率が左右でアンバランスであるとPush-Pull信号はオフセットを履くようになる。
このため、光ヘッド装置が正確にトラック上にあってもPush-Pull信号はゼロとはならず、正確なトラッキング信号が得られないという問題が生じる。
【0014】
また、光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置では再生の高速化が要望されている。再生の高速化のためには信号検出のS/N比を向上させるため、光ヘッドに用いる偏光性回折格子は垂直入射近傍(0±5°程度)で+1次光が高回折効率を持つことが要求される。しかし、格子ピッチを小さくしていくと前述したように垂直入射以外の特定の入射角(ブラッグ角θB )で回折効率がピークを持ち、垂直入射近傍の回折効率は低下してきてしまう。
【0015】
尚、以上では偏光性回折格子を例に挙げて説明したが、偏光性回折格子の一種である偏光性ホログラムについても同様の問題がある。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、従来技術の問題を解決し、格子ピッチを小さくしていったときの体積型格子(または体積型ホログラム)的な回折特性によるトラッキング信号(Push-Pull信号)のオフセットが生じない構成の偏光光学素子(偏光性回折格子、偏光性ホログラム)と、それを用いた光ヘッド装置を提供することを目的(課題)とし、さらには、ピッチを小さくしていったときの垂直入射近傍での+1次光回折効率を高めた偏光光学素子と、それを用いた高速再生可能な光ヘッド装置を提供することを目的(課題)とする。さらに本発明は、上記の偏光光学素子と、光源及び光検出器を一体化した光学素子ユニットと、それを用いた光ヘッド装置を提供することを目的(課題)とする。さらに本発明は、上記の光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置を提供することを目的(課題)とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1に係る発明は、基板上に配向状態の異なる2つの媒質が交互に周期的に配列した格子構造をもつ偏光性の回折格子またはホログラムを有する偏光光学素子において、前記異なる2つの媒質の境界が傾斜した矩形形状であり、前記矩形形状の傾斜角を入射光線の入射角度に対応して変化させることによって全ての領域でブラッグ角を満足するようにしたことを特徴としている。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の偏光光学素子において、一方の媒質は複屈折性を示す媒質であり、他方は等方性を示す媒質で交互に周期的に配列した構造をもち、媒質の境界が傾斜した矩形形状であることを特徴としている。
さらに、請求項に係る発明は、請求項記載の偏光光学素子において、複屈折媒質の面内の直交する2方向の異なる屈折率の一方の屈折率と等方性媒質の屈折率が略等しく、媒質の境界が傾斜した矩形形状であることを特徴としている。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、前記複屈折媒質は凹凸形状の格子構造を有し、その凹凸形状の複屈折媒質を等方性媒質で充填した構造をもち、前記凹凸形状が傾斜した矩形形状であることを特徴としている。
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、前記矩形形状の傾斜方向が、効率を高めたい+1次回折光とは基板法線に対し反対側に傾斜していることを特徴としている。
さらに、請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、入射する光の空気中の波長をλ、格子深さをT、回折格子またはホログラムの媒質の屈折率をn、格子ピッチをdとしたとき、回折格子またはホログラムのQ値(Q=2πλT/nd)がQ>2であることを特徴としている。
【0020】
請求項に係る発明は、請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、前記複屈折媒質が凹凸形状の格子構造を有する場合に、前記複屈折媒質に凹凸形状を形成するのにイオンあるいはプラズマを用いたドライエッチングを行ない、そのドライエッチングを行なう際に、エッチング電極に対し複屈折媒質を傾けて設置してエッチングを行なうことを特徴としている。
また、請求項に係る発明は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、前記複屈折媒質に有機延伸膜を用いたことを特徴としている。
【0023】
請求項に係る発明は、光学素子ユニットであり、請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化したことを特徴としている。
【0024】
請求項10に係る発明は、光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光して記録または再生を行なう光ヘッド装置において、光路中に偏光光学素子を配置して光記録媒体からの反射光を偏光光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する偏光光学素子が請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子であることを特徴としている。
また、請求項11に係る発明は、請求項10記載の光ヘッド装置において、偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化してなる光学素子ユニットを用いたことを特徴としている。
【0025】
請求項12に係る発明は、複数の光源からの光を共通するカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光して記録または再生を行なう光ヘッド装置において、光路中に偏光光学素子を配置して光記録媒体からの反射光を偏光光学素子により分岐し共通の光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する偏光光学素子が請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子であることを特徴としている。
また、請求項13に係る発明は、請求項12記載の光ヘッド装置において、偏光光学素子を、複数の光源と光検出器を一体化したユニットに一体化してなる光学素子ユニットを用いたことを特徴としている。
【0026】
請求項14に係る発明は、光記録媒体に対して光ヘッド装置を用いて情報の記録または再生を行う光ディスクドライブ装置において、前記光ヘッド装置として、請求項1013のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
[実施形態1]
まず、本発明の第1の実施形態として、請求項1〜に係る偏光光学素子の実施例について説明する。尚、ここでは、偏光光学素子として偏光性回折格子を例に挙げて説明する。
【0029】
[実施例1−1]
まず図1は本発明の一実施例を示す偏光性回折格子の概略要部断面図である。図1において、この偏光性回折格子7は、配向状態の異なる2つの媒質2,3が交互に周期的に配列した構造をもち、媒質2,3の境界が傾斜した矩形形状であることを特徴としている。
すなわち、この偏光性回折格子7では、ガラス、プラスチックなどの透光性の基板1上に配向状態の異なる媒質2と媒質3が交互に周期的に配列され、かつ両媒質の境界は基板1に対し斜めに傾いている。形状としては傾斜した矩形形状であることが特徴である。この傾斜矩形構造にすることで、垂直入射したときの+1次回折効率を高めることができる。
【0030】
傾斜した周期構造の上側は保護のための透光性基板1’が装荷されている。この基板1’は必須ではないが格子面の保護と透過光の波面を劣化させないためにあった方が好ましい。
媒質2および媒質3は配向状態が異なる媒質でともに複屈折性をもっていても良いが、一方の媒質が複屈折性を示し、他方の媒質が等方性媒質である構成が媒質の選択の幅を広げられて好ましい。
また、往路で透過率が高く、復路で回折効率の高い偏光ホログラムを実現するには格子が傾斜断面構造を持ち、かつ、このとき複屈折媒質は基板に平行な面内における直交する2方向の屈折率が異なる屈折率異方性を示して、直交する2方向のうちのいずれかの方向の屈折率が等方性媒質の屈折率と略等しいことが必要となる。
【0031】
[実施例1−2]
次に図2は本発明の第二の実施例を示す偏光性回折格子の構成、動作の説明図であり、(a)は偏光性回折格子の概略要部断面図、(b)は偏光性回折格子7への入射光の入射角と格子の傾斜角および回折光の回折角の関係を示す図である。図2(a)において、この偏光性回折格子7は、透明基板1上に斜めに傾斜した凹凸状の格子構造(矩形格子)2aをもつ複屈折媒質2が配置され、その上に光学的に等方性を示す媒質3が充填され、その上を透明性基板1’で覆われている構成である。
すなわち、この偏光性回折格子7では、ガラス、プラスチックなどの透明性の基板1上に凹凸状の格子構造(矩形格子)2aを持つ複屈折媒質2が装荷されている。このとき凹凸状の格子構造は斜めに傾いた矩形形状をしていることが特徴である。そして、斜めに傾斜した矩形形状の凹凸構造(矩形格子)2aの上に光学的に等方性な媒質3が充填され、その上に透明性基板1’が装荷されている。
このように斜めに傾斜した矩形形状の凹凸構造(矩形格子)2aにすることにより、垂直入射したときの+1次回折効率を高めることができる。
【0032】
図2(a)の構成と図1の構成とで異なる点は、透光性基板1上に複屈折媒質2が装荷され、複屈折媒質2の基板側と反対の上面に傾斜した矩形形状をもつ凹凸格子(矩形格子)2aが形成されており、凹凸の底面は基板1まで達しておらず媒質2の厚さ方向の途中まで形成されていることである。このような構造にすると複屈折媒質2の膜厚は格子深さに厳密に合せる必要はなく、任意の厚さの媒質が適用できる。
しかし、本願では図1のような傾斜周期構造、図2のような傾斜周期構造のいずれも適用でき、限定されるものではない。
【0033】
ここで、図5は格子ピッチ1.6μmの偏光性回折格子の入射角 対 +1次回折効率のグラフである。曲線42は図33に示したような従来の垂直矩形格子構造の特性を表わしており、ブラッグ角θB で回折効率のピークを持つ。
これに対して、曲線42’は図1または図2(a)に示すように矩形格子構造2aを斜めに傾斜させたときの特性である。このとき矩形格子構造2aの傾斜方向は回折光出射方向から見て基板法線に対し、+1次回折光とは反対側に傾斜させている。
このように矩形格子を傾斜させると+1次回折光の回折効率がピークとなる入射角は、垂直矩形格子の場合より低入射角側に移動する。
【0034】
ここで、図3は偏光性回折格子7の斜め矩形格子2aへの入射光の入射角と+1次回折光の回折効率の関係を説明するための図である。
図3において入射光の波長をλ、格子ピッチをd、入射光の入射角(回折格子媒質中)をγ、+1次光回折角(回折格子媒質中)をα、矩形格子2aの傾斜角をβ、回折格子媒質の屈折率をnとすると、格子の回折式より、
nd(sinγ+sinα)=λ ・・・(1)
が成り立つ。傾斜した矩形格子2aにおけるブラッグ角(回折効率ピークとなる入射角)をγ=θB'とすると、傾斜面の法線Pと入射光のなす角と、法線Pと回折光のなす角とが等しい場合の入射角がブラッグ角θB'となる。これより、
θB'+β=α−β ・・・(2)
であり、
θB'=α−2β ・・・(3)
と表される。(3) 式より垂直矩形格子のときはβ=0となり、θB'=α、つまり入射角が回折角αと等しい場合が回折効率がピークとなるブラッグ角となる。また、(3) 式より矩形格子に傾斜角βをつけて斜め格子にしていくと、ブラッグ角θB'は回折角αより小さい角度に減少していくことになる。
このことから、図5に示したように矩形格子に傾斜角をつけていくと、曲線42→42’へと回折効率のピークを低入射角側へと移動させることができる。
【0035】
[実施例1−3]
次に偏光性回折格子を光ヘッド装置の分岐素子として用いる場合、トラッキング信号であるpush-pull信号のオフセットを生じさせないためにも、回折効率のピークとなる入射角が0°、すなわち垂直入射のときであることが好ましい。
図2(b)及び図4に示すように、垂直入射のときの回折格子媒質中の回折角αをα=α0とすると、垂直入射の回折効率がピークとなるブラッグ角となるためには、(3)式でθB'=0と設定すると、
α0−2β=0
より、
β=α0/2 ・・・(4)
のとき垂直入射において+1次回折効率がピークとなる。
【0036】
図5の曲線43は (4)式が成り立つように、矩形格子2aの傾斜角βを回折格子媒質中の回折角α0の1/2に設定したときの入射角 対 +1次回折効率特性を表す。この場合、垂直入射がブラッグ角となり、+1次回折効率がピークとなって垂直入射を中心に正負角度特性を対称とすることができ、ピークの回折効率は72%程度となる。
【0037】
従って本発明の偏光性回折格子を光ヘッド装置に適用するときは、平行光路中、集束光路中あるいは発散光路中に配置するとき、いずれも偏光性回折格子への光記録媒体からの反射戻り光の主光線に対する+1次回折角(回折格子媒質中)をα0 として、格子傾斜角βを設定すれば良い。
尚、回折格子媒質中の回折角α0と、媒質出射後の空気中回折角α0’の関係は、回折格子媒質中の屈折率をnとして、
nsinα0=sinα0’
と表せる。
また、回折格子が複数の領域に分割され、各領域からの回折光が光検出器中の異なる受光領域に入射するような場合は、各分割領域における回折光の主光線回折角の平均値をα0(回折格子媒質中)と設定して、(4)式により矩形格子の傾斜角βを設定すれば良い。
【0038】
[実施例1−4]
次に偏光性回折格子が図35のように光記録媒体からの収束光路中に配置された場合には、両端の光線の入射角度は正負が異なるため、 (4)式の条件だけでは厳密には全ての光束についてピークの回折効率を得ることができない。全ての光束でピークの回折効率を得たい場合には、偏光回折格子の凹凸形状の傾斜角を入射光線の入射角度に対応して変化させることによりピークの回折効率が得られるようになる。
【0039】
すなわち、図2(b)において入射光線0の領域では、実施例1−3で説明したように、回折格子媒質中において、
β0=α0/2 (γ0=0)
の傾きの時にピークの回折効率が得られる。
また、図2(b)において入射光線1の時には、(3)式より、
β1=(α1−γ1)/2 ・・・(5)
の傾きの時にピークの回折効率が得られ、入射光線2の時には、同様に、
β2=(α2−γ2)/2 (γ2=−γ1) ・・・(6)
の傾きの時にピークの回折効率が得られる。
このように、傾斜角βを入射光線の回折格子媒質中の入射角度γ、回折角度αに対応して、常にブラッグ角を満足するように設定することにより、全領域について最大の回折効率が得られる。
【0040】
[実施例1−5]
次に、本実施例では、以上の実施例のように矩形格子を傾斜させて、垂直入射光に対してブラッグ角として高回折効率化することが効果を発揮する領域を考察する。従来から矩形回折格子の回折効率は格子を薄い平面型格子として近似したスカラー回折理論からの理論式より計算予測できた。スカラー回折理論による矩形格子の回折効率理論式は、以下のようである。
波長λの単色光が格子を透過した際、溝の山と谷で生じる位相変化δは、
δ=π・ΔnT/λ ・・・(7)
である。ここで、Tは格子深さ、Δnは格子部屈折率差を表す。
±m次回折光の回折効率(光強度効率)η(垂直入射)は、
η=4(sin(mπq)/mπ)sinδ ・・・(8)
となる。ここでqは矩形格子のDutyを表す。
【0041】
(8) 式により矩形格子の回折効率は予測できる。格子の体積性を表わすQ値(Q=2πλT/nd)で言えばQ<2である格子については実測値と (8)式による計算値がほぼ一致するが、Q>2となる格子では実測値と計算値が合わなくなってくる。 (8)式から出てくる矩形格子の回折効率最大値(垂直入射)が理論値の40.5%まで達せず、垂直入射時の回折効率はQ>2の領域ではQが大きくなる程、理論値より低下する。したがって、Q>2の格子で正確に計算予測するためにはベクトル回折理論による数値計算が必要となる。
以上の事実はQ>2の領域の格子は体積格子の特性を持ち始め、垂直入射以外の特定の角度(ブラッグ角)で回折効率のピークをもち、垂直入射時は逆に効率が低下していくためと考えられる。
以上のことから、本願の傾斜格子を適用して効果(ブラッグ角の垂直入射へのシフトによる高回折効率化)のある領域は回折格子のQ値がQ>2であるような領域の格子である。
【0042】
[実施例1−6]
次に図6、図7は実施例1−1〜1−5で説明した構成の偏光性回折格子の作製方法の説明図である。まず、透明性の基板1上に複屈折媒質2を形成する。形成法は複屈折媒質2の膜を基板1に貼り付ける、あるいは複屈折媒質2をスピンコートなどで塗布する、あるいは真空蒸着、スパッタリングなどの物理製膜法で形成する(図6(a))。次に複屈折媒質2の上にフォトレジスト層4をスピンコートなどにより形成する(図6(b))。次にフォトレジスト層4に格子パターンを露光して現像を行なうと、複屈折媒質2上に回折格子のパターン4’が形成される(図6(c))。この上にアルミニウム(Al),クロム(Cr)などの金属層5を真空蒸着、スパッタリング法などにより形成する(図6(d))。次にフォトレジストパターン4’をアセトン等の有機溶剤による溶出、あるいは酸素プラズマ中での分解による除去により、フォトレジストパターンとその上の金属層を取り除く(図6(e))。図6(e)ではフォトレジストパターン部以外は金属層の格子パターン5’が複屈折媒質2上に残っているところを示す。残った金属格子パターン5’が以後のドライエッチングのマスクとなる。
【0043】
次に図7(a)に示すように、図6(e)のように複屈折媒質2上に金属格子パターン5’を形成したものをイオンビームエッチング、反応性イオン(ビーム)エッチングあるいはプラズマエッチングなどのドライエッチング装置(図示せず)に入れて金属パターン5’をマスクとしてエッチングする。このとき基板1はイオン(ビーム)、プラズマ等(図7(a)では符号6で図示)を形成するエッチング装置の対向電極17に対して傾けて設置してエッチングすることが大きな特徴である。すなわち、基板1をエッチング装置の対向電極17に対して傾けて設置することにより、エッチングは対向電極面に垂直方向に進行することになる。その結果、エッチング直後の状態は図7(b)のようになり、酸によって金属マスク5’を除去した後は、図7(c)のように基板1に対して斜めに傾斜した凹凸形状の矩形格子2aが複屈折媒質2に形成される。
【0044】
図7(a)において特にブラッグ角θB'=0°、すなわち垂直入射をブラッグ角とするためには、エッチング装置の対向電極17に対する基板1の設置傾き角は、垂直入射時の回折角α0(回折格子媒質中)に対して2分の1(α0/2)に設定する。また、このとき基板1の設置傾き角は変えずに、基板1をエッチング装置の対向電極面に垂直な軸の回りに回転させながらエッチングを行ない、格子面内のエッチング均一性を向上させることもできる。
【0045】
図7(d)に示すように、エッチング後の回折格子は、複屈折媒質2の凹凸部を等方性の媒質3で充填され、その上に透明性基板1’が被せられる。このとき等方性媒質3の屈折率は、複屈折媒質2の常光屈折率または異常光屈折率のいずれかと等しいことが透過率および回折効率を高くする観点から望ましい。
【0046】
尚、図7(d)において最上部の透明性基板1’は必ずしも必須でなく、等方性媒質3の表面の平坦性が確保できれば無くても良い。
また、図6,7の実施例では、ドライエッチング用の金属マスクの作成法にいわゆるリフトオフ法を用いる方法を述べたが、これに限定されず、図6(a)の複屈折媒質2上に直接金属層を形成し、この金属層上にフォトレジストを塗布して格子パターンを露光、現像し、フォトレジストによる格子パターンを形成し、この格子パターンをエッチングマスクとして金属層をエッチング(ドライエッチングあるいはウエットエッチング)する。そして、この後にフォトレジストを除去して図6(e)の状態を形成することもできる。
また、請求項8の構成のような格子全面でブラッグ角を満足するような格子傾斜角を持った偏光性回折格子の作製は,図7(a)におけるドライエッチングのときに,イオンビームを平行状ビームとせず、発散状あるいは集束状ビームとして、このビームに対して基板を傾けて行なえば良い。
【0047】
[実施例1−7]
以上の実施例1−1〜1−6における偏光性回折格子7の複屈折媒質2は材料が限定されるものではない。複屈折無機結晶(この場合は基板1は必須ではなく、無くてもよい)あるいは無機物質の斜め蒸着膜、あるいは有機物質の配向膜でも良い。複屈折媒質2の材料としては、特に有機高分子を加熱しながら引っ張り延伸した有機延伸膜が適しており、この有機延伸膜は複屈折媒質として大量、安価に製造でき複屈折媒質としては非常に好ましい。
【0048】
ピッチの小さい偏光性回折格子7を作製するためには、複屈折媒質自体が微細加工に適した材料であることが必要である。ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶は複屈折媒質としてはポピュラーだが、微細加工には適しておらず、ピッチはせいぜい5μm程度までしか加工できない。
そこで本実施例では、ピッチの小さい偏光性回折格子の微細加工に適した複屈折媒質2として有機延伸膜を提案している。この有機延伸膜は微細加工に適しており、特に深い溝の傾斜した格子を加工するのに適している。また有機物質であることから充填物質として屈折率制御された高分子材料と馴染みが良く、小さいピッチで深い溝に対しても十分に充填されることが確認されている。有機延伸膜の材料としては、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリエチレン系、ポリカーボネート系、ポリビニルアルコール系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリスチレン系、ポリサルフォン系、ポリエーテルサルフォン系、ポリエチレンテレフタレート系などの有機材料が考えられる。
また、この場合は透明性基板1に有機延伸膜を接着剤で貼り付けて図6,7の作製方法を適用する。
【0049】
[実施形態2]
次に本発明の第2の実施形態として、実施形態1の実施例1−1〜1−7で説明した偏光光学素子(偏光性回折格子)を用いた光ヘッド装置(光ピックアップ装置)の実施例について説明する。
【0050】
[実施例2−1]
図8は発明の一実施例を示す図であって、実施例1−1〜1−7における偏光性回折格子7を適用した光ヘッド装置の概略構成図である。図8において、符号8は半導体レーザ等からなる光源、7は本発明の偏光性回折格子、10はコリメートレンズ、11は1/4波長板、12は対物レンズ、13は光記録媒体(光ディスク)、9は多分割フォトダイオード等からなる光検出器である。
【0051】
光源8からの出射光は偏光性回折格子7をほとんど全透過するような偏光方向に設定され、コリメートレンズ10でコリメートした後、1/4波長板11により円偏光となり、対物レンズ12で光記録媒体13に集光される。光記録媒体13からの反射光は、1/4波長板11で往路とは直交する偏光方向に変換されてコリメートレンズ10により集束光となり、偏光性回折格子7に入射する。偏光性回折格子7に入射した集束光は往路とは直交する偏光なのでほとんど回折し、+1次回折光が光検出器9に入射して信号検出される。
このとき光記録媒体13のトラック方向が紙面とは垂直方向にあるとすると、トラッキング信号としてのPush-Pull信号は偏光性回折格子7への戻り集束光について光軸を中心に左側と右側の光量を比較して、その差信号から得られる。
【0052】
従来の垂直矩形格子で問題となる回折効率が左右でアンバランスであることから来るPush-Pull信号のオフセット発生の問題は、本発明の傾斜矩形形状の格子構造を有する偏光性回折格子7の採用で軽減されるようになる。特に請求項7,8の構成を満たす傾斜矩形格子を用いると、垂直入射を中心に入射角のプラス、マイナス方向の特性が対称なのでPush-Pull信号のオフセットは発生しなくなる。また、回折効率自体も垂直入射で70%以上もあり、従来の垂直矩形格子の約40%より回折効率が大幅にアップするメリットも得られる。
【0053】
[実施例2−2]
図9は発明の一実施例を示す光学素子ユニット及び光ヘッド装置の概略構成図である。本実施例では図9に示すように、図8に示した構成の光ヘッド装置において、光源8、光検出器9および偏光性回折格子7を一つのケース14の内部とケース上に一体化して光学素子ユニットを構成したものであり、このようにユニット化することにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に、光源8、光検出器9、検出光学系が一体化されているので、組立て時間が短縮され、調整も簡単になる。
【0054】
[実施例2−3]
図10は発明の一実施例を示す図であって、実施例1−1〜1−7における偏光性回折格子7を適用した2波長光ヘッド装置の概略構成図である。図10において、符号8は例えば波長780nmの半導体レーザ等からなる光源、8’は例えば波長660nmの半導体レーザ等からなる光源、7は本発明の偏光性回折格子、10はコリメートレンズ、11は1/4波長板、12は2波長に対して収差補正された対物レンズ、13は光記録媒体(光ディスク)、9は多分割フォトダイオード等からなる光検出器である。この2波長光ヘッド装置は、波長の異なる2つの光源8,8’を備えているので、記録密度が異なる2種類の光記録媒体13に対応することができ、光記録媒体13としては例えば通常の記録密度のCD系の光ディスクと、高密度記録が可能なDVD系の光ディスクがある。CD系とDVD系では記録密度が異なるので、使用する光源の波長とディスクの基板厚が異なり、例えば波長780nmを用いるCD系ディスクの場合、基板厚は1.2mmであり、波長660nmを用いるDVD系ディスクの場合、基板厚は0.6mmとなる。
【0055】
各光源よりの出射光は偏光性回折格子7をほとんど全透過するような偏光方向に設定され、コリメートレンズ10でコリメートした後、2波長に対応した1/4波長板11により円偏光となり、対物レンズ12で光記録媒体13に集光される。光記録媒体13からの反射光は1/4波長板11で往路とは直交する偏光方向に変換されてコリメートレンズ10により集束光となり、偏光性回折格子7に入射する。偏光性回折格子7に入射した集束光は往路とは直交する偏光なのでほとんど回折し、+1次回折光が2波長共通の光検出器9に入射して信号検出される。
このとき光記録媒体13のトラック方向が紙面とは垂直方向にあるとすると、トラッキング信号としてのPush-Pull信号は偏光性回折格子7への戻り集束光について光軸を中心に左側と右側の光量を比較して、その差信号から得られる。
【0056】
本実施例の場合も従来の垂直矩形格子で問題となる回折効率が左右でアンバランスであることから来るPush-Pull信号のオフセット発生の問題は、傾斜矩形形状の格子構造を有する偏光性回折格子7の採用で軽減されるようになる。特に請求項7,8の構成を満たす傾斜矩形格子を用いると、垂直入射を中心に入射角のプラス、マイナス方向の特性が対称なのでPush-Pull信号のオフセットは発生しなくなる。
また、回折効率自体も垂直入射で70%以上もあり、従来より回折効率が大幅にアップするメリットも得られることは実施例2−1と同様である。
【0057】
[実施例2−4]
図11は発明の一実施例を示す光学素子ユニット及び光ヘッド装置の概略構成図である。本実施例では図11に示すように、図10に示した構成の光ヘッド装置において、波長の異なる2つの光源8,8’、2波長共通の光検出器9および偏光性回折格子7を一つのケース14の内部とケース上に一体化して光学素子ユニットを構成したものであり、このようにユニット化することにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に、光源8,8’、光検出器9、検出光学系が一体化されているので、組立て時間が短縮され、調整も簡単になる。
【0058】
[実施形態3]
次に本発明の第3の実施形態として、偏光光学素子及び光学素子ユニットの参考実施例について説明する。尚、ここでは、偏光光学素子として偏光性ホログラムを例に挙げて説明するが、偏光性回折格子としても同様である。
【0059】
前述の実施形態1では、光検出器に入る回折光量を大きくし、入射角度の違いによる回折効率の違いから生じるトラック信号(Push-Pull信号)のオフセットを除去するために、基板に対して格子自体を傾けた構造の偏光光学素子について説明したが、格子を傾けて加工することは難しいので、本実施形態では格子の加工は従来通り傾けずに加工して、格子が形成された基板の方を斜めに傾けることにより、格子自体を傾けて加工した場合と同等の効果が得られるようにするものである。
【0060】
本実施形態の偏光光学素子では、光検出器(受光素子)に入る光量を大きくするために、体積型ホログラムの特性が現れる格子形状とする。すなわち、特定の入射角度に対して回折効率が大きくなるようなホログラムとする。さらに入射角度の違いによる回折効率の違いから生じるPush-Pull信号のオフセットを除去するために、回折効率が最大になる入射角で光が入射するように、ホログラムが形成された基板を傾ける。そして、ホログラムを有する基板が傾いた場合でも非点収差が発生しないように、基板を2つの光学部材(例えばプリズム)で挟んでキューブ形状として発散光路中に配置できるようにする。
【0061】
より具体的には、本実施形態の偏光光学素子では、体積型ホログラムの特性が現れるホログラムの基板を2つの光学部材(例えばプリズム)で挟んでキューブ形状として発散光路中に配置できるようにする。
そして、本実施形態の偏光光学素子では、体積ホログラムの特性が現れる格子の定義として、Q値を3〜5.5とする。完全な体積型ホログラム(Q≧10)では特定の入射角度に対しては回折効率が大きくなるが、その角度から少しずれただけで回折効率が大幅に低下する。カップリングレンズからの収束光のように、±6°くらいの範囲で入射してくる光に対しても高い回折効率を得るためには完全な体積型ホログラムではない方が良い。
【0062】
本実施形態の偏光光学素子では、入射した光がプリズムの屈折率より大きな屈折率物質を経てホログラムに入射するようにすることにより、ホログラムに入射する角度を小さくして角度依存性の影響を小さくする。
また、本実施形態の偏光光学素子では、光学的異方性材料(例えば複屈折材料)に凹凸形状を設け、その凹部と上部を光学的異方性材料の常光屈折率noもしくは異常光屈折率neのうち、屈折率の大きい方と同じ屈折率の等方性材料で充填することにより、ホログラムに入射する角度を小さくして角度依存性の影響を小さくする。
さらに本実施形態の偏光光学素子では、光学的異方性材料に有機延伸膜を使い大面積な加工ができるようにしてコストダウンを図れるようにする。
【0063】
本実施形態の偏光光学素子では、配向の異なる媒質を交互に配置することにより屈折率を格子状とし配向物質を挟む基板の屈折率をプリズムの屈折率より大きな屈折率物質とすることによりホログラムに入射する角度を小さくして角度依存性の影響を小さくする。
また、本実施形態の偏光光学素子では、2つのプリズムの一方に上記とは別の回折格子(グレーティング)を設け、3ビーム法やDPP法でトラック信号の検出ができるようにする。
【0064】
本実施形態の光学素子ユニットは、上記の特徴を有する偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化したものであり、回折効率が高く、入射角度が違っても回折効率が等しくなる偏光光学素子を使うことにより、高速応答可能で信号のオフセットを小さくして信頼性の向上を図るものである。
以下、本実施形態の具体的な実施例について説明する。
【0065】
[実施例3−1]
まず図12は通常の偏光性ホログラムの一例を示す概略要部断面図である。この偏光性ホログラム50は、光学的異方性材料からなる基板51上に入射する光の偏光方向により回折効率が異なる凹凸形状の格子構造のホログラム52を設け、そのホログラム52の凹部と上部を等方性材料53で充填したものである。図12に示すように、波長λ(例えば403nm)の光が偏光性ホログラム50に入射すると透過光(0次光)と回折光(ここでは±1次光だけを示す)を生じる。ここで偏光性ホログラム50のホログラム52の格子ピッチは1μmとして、波長403nmの光が垂直に入射した時に回折効率が最大になるような溝深さを計算すると、図13に示す関係のようになる。図13から溝深さが1.0μmのときに+1次光の回折効率は最大になり38%の効率が得られることがわかる。
【0066】
また、図14に示すように、溝深さが1.0μmのホログラム52を有する偏光性ホログラム50に、入射角度が−20°〜+20°の範囲で光が入射するときの、入射角度に対する回折効率の様子を図15に示す。図15に示すように、0°±10°くらいの範囲で多少効率が変動し、±10°を越えてしまうと回折効率が低下することがわかる。光ディスクではカップリングレンズの開口数(NA)は0.1付近なので、±6°くらいの角度で収束光が入射することになり、0°±10°くらいの範囲でほぼ一定の回折効率であれば実用上問題はない。この時、波長λ=403nm、溝深さT=1μm、ホログラムの媒質の屈折率n=1.6、格子ピッチd=1μmとすると、ホログラムのQ値は、
Q=2πλT/nd
=(2π×0.403×1)/(1.6×1×1)
=1.58
であり、体積型ホログラムといわれるQ≧10ほど大きくはないが、平面型ホログラムとして扱われるQ≦1よりは大きい。
【0067】
次に同じ条件でホログラム52の溝深さだけを2.7μmとした偏光性ホログラム50に光を入射角度±20°の範囲で入射させたときの回折効率を図16に示す。+1次回折効率は特定の角度(ここでは約−8°)の時に最大になり、約87%となる。溝深さが1.0μmのときには+1次光の回折効率は最大38%であったので、溝深さを2.7μmとすることにより大幅に上回る回折効率が得られる。その反面、光の入射角度を特定の角度に傾けなければいけないという問題がある。そこで、ここでは図17に示すように、偏光性ホログラム50全体を特定の角度傾けて配置する。しかし、偏光性ホログラム50を単に傾けただけでは発散光路中に配置すると非点収差が発生してしまう。
【0068】
そこで本実施例では、図18に示すように、ホログラム52を有する基板51を入射光軸に対して傾斜させて配置し、該基板51を両側から2つのプリズム54,55で挟むようにしてキューブ形状の偏光性ホログラム60にする。このような構造の偏光性ホログラム60とすることにより、発散光路中に配置しても非点収差の発生を抑えられるので、光源とカップリングレンズ(コリメートレンズ等)の間に配置することができる。したがって、図19に示すように、光源63と光検出器(多分割受光素子等)64を一つのケース62内に一体化したユニットに偏光性ホログラム60を搭載することができるようになり、光学素子ユニット(ホログラムユニット)61を構成することができるようになる。しかもホログラム52全体を傾けることにより、+1次光の強度だけを強められ、0次光、−1次光の強度は弱いので、光検出器64は+1次光を受光するだけでよく、±1次光両方を受光するタイプに比べて光検出器の受光面積を小さくできるので、ホログラムユニット61の小型化とコストダウンを図ることができる。
【0069】
[実施例3−2]
次に格子ピッチが波長以下で高密度ホログラムと呼ばれる体積型ホログラムが知られているが、本実施形態では波長403nmに対して、ピッチは1.0μmなので波長の2倍以上と大きく、高密度ホログラムではない。しかしながら、溝深さが2.7nmの場合は、図18に示したようにホログラム52を有する基板51を入射光軸に対して傾けることにより87%もの回折効率が得られ、高密度ホログラムの回折効率(85〜90%)と比べても遜色のない回折効率が得られる。しかも格子ピッチが大きいので高密度ホログラムに比べて加工が容易となる。
【0070】
一方、図12に示したような光を垂直入射させる従来の偏光性ホログラム50では、図13、図15に示したように回折効率は最大で約38%である。また、ピッチが1μmと大きいので高密度ホログラムに比べて加工は容易だが、回折効率は小さい。回折効率38%が得られるときは、溝深さは1.0μmなのでQ値は前述したように、
Q=2πλT/nd
=(2π×0.403×1)/(1.6×1×1)
=1.58
である。
これに対して、溝深さが2.7μmの場合は、Q値は、
Q=2πλT/nd
=(2π×0.403×2.7)/(1.6×1×1)
=4.27
である。
【0071】
ここで、図18に示したようにホログラム52を有する基板51を入射光軸に対して傾けて配置したときに、ホログラムの溝深さをパラメータに回折効率の関係をシミュレーションすると図20のようになる。溝深さが2.7μmの場合に+1次光の回折効率が最大になるが、溝深さが2.1〜3.3μmの範囲であれば、図12に示したような光を垂直入射させる偏光性ホログラムの最大回折効率38%を上回る。この時のQ値は、Q=3.3(溝深さ2.1μm)〜5.22(溝深さ3.3μm)となる。
以上のことから、Q値が3〜5.5の範囲の格子構造を持つホログラム52を図18に示すように斜めに配置し、両側から2つのプリズム54,55で挟むようにしてキューブ形状の偏光性ホログラム60にすることにより、垂直に配置するよりも高い+1次回折効率が得られることがわかる。
【0072】
[実施例3−3]
次にここでは、図18に示す構成の偏光性ホログラム60のプリズム54,55およびホログラム52を構成する材料の屈折率について述べる。図18に示す構成の偏光性ホログラム60では、ホログラム52を形成した基板51を斜めに配置したことにより、ホログラム52に入射する入射光の入射角度に応じて、図16に示すように、+1次回折効率は最大で約87%が得られる。しかしながら入射角度が特定の角度(図16では約−8°)から外れると急速に回折効率は低下する。したがってホログラム52にはできるだけ狭い範囲の角度で光が入射することが望ましい。ここで、図21、図22は、図18に示す構造の偏光性ホログラム60において、プリズム54の屈折率と、ホログラム52に入射する直前の材料53の屈折率の関係を変えた場合の光の回折の違いを示す図である。図21において、プリズム54の屈折率をn1、ホログラム52に入射する直前の材料53の屈折率をn2とすると、n1>n2の場合は、ホログラム52に入射する光の角度範囲は大きい。逆に図22に示すように、n1<n2の場合は、ホログラム52に入射する光の角度範囲は小さい。したがって図22に示すように、ホログラム52とプリズム54の間に介在する材料53の屈折率n2がプリズム54の屈折率n1より大きい(n1<n2)場合の方が狭い角度範囲で光が入射する分だけ高い回折効率を確保することができる。
【0073】
[実施例3−4]
次に本実施形態に係る偏光性ホログラム60の構成例としては、例えば図23に示すように、基板51を光学的異方性材料で構成し、この光学的異方性材料からなる基板51にエッチング等により凹凸形状のホログラム52を形成し、少なくともその凹部を光学的異方性材料の常光屈折率noまたは異常光屈折率neの一方と同じ屈折率の等方性材料53で充填した後、プリズム54,55で挟持する構造がある。
実施例3−3で示したようにホログラム52に入射する光の角度範囲を狭くするためには、ホログラム52の入射側の材料53の屈折率n2がプリズム54の屈折率n1より大きいことが望ましいので、図23に示す構成では、ホログラム52を形成する光学的異方性材料(基板)51の常光屈折率noもしくは異常光屈折率neのうちの屈折率の大きい方と同じ屈折率の等方性材料53でホログラム52の凹部および上部を充填すれば、ホログラム52に入射する角度を小さくして角度依存性の影響を小さくすることができる。
【0074】
また、偏光性ホログラム60の別の構成例としては、図24に示すように基板51’を光学的等方性材料で構成し、この光学的等方性材料からなる基板51’にエッチング等により凹凸形状を形成し、少なくともその凹部に光学的異方性材料53’を充填してホログラム52’を作製した後、プリズム54,55で挟持する構造がある。
この図24に示す構成の場合は、プリズム54側から入射した光は、まずプリズム54の屈折率より屈折率が大きい光学的異方性材料53’に入射し、ホログラム52’で回折され、光学的異方性材料53’の常光屈折率noもしくは異常光屈折率neのうちの屈折率の小さい方と同じ屈折率の等方性材料からなる基板51’を経て出射する。このようにすれば、ホログラム52’に入射する角度を小さくして角度依存性の影響を小さくすることができる。
以上のようにホログラム52(52’)に入射する前の材料53(53’)の屈折率が大きく、ホログラムから出射する側の材料51(51’)の屈折率が小さくなるように設定すれば、角度依存性の影響を小さくすることができる。
【0075】
[実施例3−5]
次に本実施例では、実施例3−4で述べた光学的異方性材料として、具体的には有機延伸膜を使うものである。光学的異方性材料としてはカルサイト等が知られているが(特許文献1参照)、有機延伸膜はカルサイトに比べて大面積化が容易で、膜厚が薄く、安価に入手できると言うメリットを持っている。有機延伸膜の具体例としては、前述の実施例1−7でも説明しているように、ポリイミドやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子フィルムがあり、この高分子フィルムを延伸により分子鎖を一軸方向に配向させ、面内複屈折を発生させる方法がある。図25は有機延伸膜の作製方法の一例を示しており、ガラス基板上にポリアミド酸膜を形成し、これを基板から剥離した後、延伸により分子鎖を一軸方向に配向させてポリイミド複屈折膜を作製した例である。この方法では、延伸の時の温度や加える力により複屈折Δnを変えることができ、安価で量産可能な方法である。
【0076】
さらに有機延伸膜以外の材料として液晶を用いることも可能である。液晶は、電圧印加の有無により配向方向が変わり、配向方向の違いが屈折率の違いとなる。ここで、図26に液晶を用いた偏光性ホログラムの作製工程を示す。図26(a)に示すように、2つの基板71,72の間に液晶73を設け、図26(b)に示すように、液晶73の両面に電極を設けて電圧印加させて配向させた状態で、格子パターンを形成したマスク74を通して露光し、液晶73を硬化させる。次に図26(c)に示すように、液晶73の硬化した所だけを残して、その他の部分は上側の基板72とともに除去し、図26(d)に示すように、液晶73の屈折率no、neの一方と同じ屈折率の等方性材料75を凹部に充填し、さらにその上に基板(またはプリズム)76を設ければ偏光ホログラム70を形成できる。この工程ではエッチング工程が不要なので、工程が簡素化され、高価なエッチング装置が不要なので設備投資が安く、低コスト化も図れる。
【0077】
また、液晶を使って偏光性ホログラムを作る別の方法としては、図27に示すような方法もある。まず図27(a),(b)に示すように、等方性基板81にフォトリソグラフィ工程とエッチング工程を行って凹凸加工した後、図27(c)に示すように、もう1枚の基板83と貼り合わせ、図27(d)に示すように、基板間に液晶84を充填して、偏光性ホログラム80を作製する。この方法では、ガラス基板等をエッチングして凹凸加工するので、加工しやすいというメリットを有する。
【0078】
[実施例3−6]
次に光ディスクドライブ装置の光ヘッド装置(光ピックアップ装置)では、3ビーム法やDPP法など、3つの光ビームを光ディスクに照射してトラック信号を検知する方法が良く知られている。3つの光ビームを使うことにより1つの光ビームを照射する方法に比べてトラックオフセットの影響を受けにくくなる。3つの光ビームを生成するためには回折格子(グレーティング)が必要であるが、本実施形態の偏光性ホログラムを用いる場合には、回折格子(グレーティング)をプリズムの1面に形成すればよい。
【0079】
ここで、図28は光源63と光検出器(多分割受光素子等)64を一つのケース62内に一体化したユニットに偏光性ホログラム60’を一体化してなる光学素子ユニット(ホログラムユニット)の一例を示す図である。図28に示すように、偏光性ホログラム60’は、図18と同様にホログラム52を斜めに配置し、両側から2つのプリズム54,55で挟むようにしてキューブ形状としたものであるが、本実施例ではプリズム55の1面にグレーティング56が形成されている。そしてグレーティング56が形成されたプリズム面を下向きにして、光源63と光検出器(多分割受光素子等)64を一つのケース62内に一体化したユニットに偏光性ホログラム60’を一体化して光学素子ユニット(ホログラムユニット)61を構成している。
【0080】
図28に示す構成のホログラムユニット61を光ヘッド装置に用いた場合、偏光性ホログラム60’のグレーティング56で生成させる3つの光ビームを、メインビーム(0次光)、サブビーム(±1次光)と分けると、メインビームは光ディスクから反射されて偏光性ホログラム60’に垂直に入射するが、サブビームは偏光性ホログラム60’に垂直ではなく、プラスとマイナスの逆の所定の傾きθを持って入射する。従って偏光性ホログラム60’に角度依存性があると、サブビームのうち、+1次光は回折効率が高く、−1次光は回折効率が低いといった現象が生じてしまい、正確なトラック検出ができなくなってしまう。
【0081】
例えば図14,15に示したような特性の偏光性ホログラムでは、角度依存性は比較的小さいが、それでも垂直入射(入射角度0°)よりも大きな角度(+θ)で入射した光と垂直入射よりも小さな角度(−θ)で入射した光とでは回折効率が異なる。ここで、図29(a)は図15の+1次光のグラフの一部を拡大して示した図であり、図29(b)は図16の+1次光のグラフの一部を拡大して示した図である。、
【0082】
図28のように、3ビームを用いる場合、偏光性ホログラムにメインビーム(0次光)は垂直入射するが、サブビーム1(+1次光)は+θの角度でホログラム52に入射し、サブビーム2(−1次光)は−θの角度でホログラム52に入射するので、サブビーム1(+1次光)の方がサブビーム2(−1次光)より回折効率が高くなり、トラック信号にアンバランスが生じてしまう。
一方、本実施例の偏光性ホログラム60’のように、ホログラム52を入射光軸に傾けて配置した構成では、図29(b)のような関係となり、角度依存性はあるものの垂直入射(入射角度0°)で最も効率が大きく、入射角が+θ、−θの角度で変わっても、図29(b)に示すように同じように効率が低下するような特性であれば、サブビーム1(+1次光)とサブビーム2(−1次光)の回折効率は等しくなり、トラック信号にアンバランスが生じることはない。
【0083】
[実施形態4]
次に本発明の第4の実施形態として、実施形態3で説明した偏光性ホログラムを有する光学素子ユニット(ホログラムユニット)を用いた光ヘッド装置(光ピックアップ装置)の参考実施例について説明する。
【0084】
図30は本発明の第4の実施形態の一実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図であり、図19または図28に示した構成の光学素子ユニット(ホログラムユニット)を用いた光ヘッド装置の例である。図30において、符号61は光学素子ユニット(ホログラムユニット)、65はカップリングレンズ(コリメートレンズ)、66は立上げミラー、67は1/4波長板、68は集光レンズである対物レンズ、69は光記録媒体である光ディスクである。図30に示す光ヘッド装置のホログラムユニット61のケース62内には、図19または図28に示したように、光源63及び光検出器(受光素子)64が一体に配設されており、そのユニットのケース62の光出・入射用の開口部に偏光性ホログラム60が一体に設置されている。尚、図30に示す構成は一例であり、本発明に係る光ヘッド装置はこの構成に限定されるものではない。
【0085】
図30において、ホログラムユニット61内の光源(例えば半導体レーザ)63から出射された直線偏光の光は、偏光性ホログラム60を透過し、カップリングレンズ(コリメートレンズ)65で略平行光になり、立上げミラー66で光路を略直角方向に偏向され、1/4波長板67を透過して円偏光となり、対物レンズ68で集光されて光ディスク69の記録面に微小なスポット光として照射される。そして、光ディスク69の記録面上の信号を読み取った光は、記録面で反射されて往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ68で略平行光とされ、1/4波長板67を透過して往路とは直交した直線偏光となり、立上げミラー66で光路を偏向され、カップリングレンズ65に戻り、偏光性ホログラム60のホログラム52で回折されて分岐され、分岐された回折光は光検出器(受光素子)64で受光され、情報信号、フォーカス信号、トラッキング信号(Push-Pull信号)等の信号が検出される。
【0086】
図30に示すような構成の光ヘッド装置においては、実施例3−1〜3−6に示したような構成の偏光性ホログラムを用いれば、以下のような利点がある。
(1)回折効率が高いので、高速記録・再生に対応できる。
(2)回折効率が最大になる入射角で光が入射するように、ホログラム52が形成された基板51を傾けているので、格子自体を傾けるより加工が容易。
(3)ホログラム51を有する基板51は傾いているが、プリズム54,55で挟んでキューブ形状としているので、非点収差は生じない。
(4)回折効率が最大になる入射角で光が入射するようになっているので、入射角度による回折効率アンバランスが生じず、正確なトラッキング信号検出ができる。
また、このような偏光性ホログラムを、図19または図28に示すように、光源63と光検出器64が一体となった光学素子ユニット61に一体化することにより、経時変化に対して安定な信号検出ができる。
【0087】
[実施形態5]
次に本発明の第5の実施形態として、実施形態2や実施形態4に示した光ヘッド装置(光ピックアップ装置)を搭載した光ディスクドライブ装置の実施形態について説明する。
実施形態2や実施形態4に示した光ヘッド装置(光ピックアップ装置)は、回折効率が高く、回折効率にアンバランスのない偏光光学素子(偏光性回折格子または偏光性ホログラム)を用いるので、光利用効率が高く、高速な記録再生に適した信頼性の高い信号が得られる。また、回折効率が高いと信号検出系の光集積回路(OPIC)のゲインを小さくでき、OPICの高速応答化に貢献できる。また、入射角度により回折効率が変わらなければオフセットの小さい信号が得られる。したがって光ディスクドライブ装置の記録・再生速度の高速化と安定したサーボ制御を達成することができる。
さらに、本発明に係る光ヘッド装置は、偏光分離に偏光光学素子(偏光性回折格子または偏光性ホログラム)を用い、光源と光検出器(受光素子)を配設した光学素子ユニットと一体化しているので、光ヘッド装置の小型化、薄型化が可能であり、例えば図31に示すようなノート型パーソナルコンピュータ90に搭載される光ディスクドライブ装置91の光ヘッド装置(光ピックアップ装置)92として好適に用いることができる。
【0088】
次に光ディスクドライブ装置の一構成例を図32に示す。図32は光ディスクドライブ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。この光ディスクドライブ装置320は、光記録媒体としての光ディスク317を回転駆動するためのスピンドルモータ322、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323、レーザコントロール回路324、エンコーダ325、モータドライバ327、再生信号処理回路328、サーボコントローラ333、バッファRAM334、バッファマネージャ337、インターフェース338、リード・オンリー・メモリ(ROM)339、中央演算処理装置(CPU)340、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)341などを備えている。尚、図32における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表わすものではない。また、光ディスク317としては、CD(コンパクト・ディスク)系の光ディスク(CD,CD−R,CD−RW)や、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)系の光ディスク(DVD,DVD−R,DVD−RW)等があるが、図10や図11に示す光ヘッド装置のように、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323内に波長の異なる光源を複数備えた構成とし、光ディスク317の種類に応じて光源を選択的に駆動するようにすれば、複数種類の光ディスクに対して記録・再生を行うことができる光ディスクドライブ装置を構成することができる。
【0089】
図32において、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323は、光ディスク317のスパイラル状または同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射すると共に、記録面からの反射光を受光し、情報の記録または再生を行うための装置であり、例えば図8〜11,30のいずれかに示したような構成となっている。
再生信号処理回路328は、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323の出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生情報を含むRF信号及びサーボ信号(フォーカス信号、トラッキング信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路328では、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU340に出力され、同期信号はエンコーダ325に出力される。さらに、再生信号処理回路328では、RF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ337を介してバッファRAM334に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路328からサーボコントローラ333に出力される。サーボコントローラ333では、サーボ信号に基づいて光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323を制御する制御信号を生成しモータドライバ327に出力する。
【0090】
前記バッファマネージャ337では、バッファRAM334へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU340に通知する。前記モータドライバ327では、サーボコントローラ333からの制御信号及びCPU340の指示に基づいて、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323及びスピンドルモータ322を制御する。前記エンコーダ325では、CPU340の指示に基づいて、バッファRAM334に蓄積されているデータをバッファマネージャ337を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク317への書き込みデータを作成するとともに、再生信号処理回路328からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路324に出力する。前記レーザコントロール回路324では、エンコーダ325からの書き込みデータに基づいて、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323からのレーザ光出力を制御する。
【0091】
前記インターフェース338は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
前記ROM339には、CPU340にて解読可能なコードで記述された制御用のプログラム等が格納されている。CPU340は、ROM339に格納されている前記プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM341に保持する。
【0092】
以上、光ディスクドライブ装置の一構成例を説明したが、本発明では光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323として、回折効率が高く、回折効率にアンバランスのない偏光光学素子(偏光性回折格子または偏光性ホログラム)を用いた実施形態2または実施形態4で説明した光ヘッド装置(光ピックアップ装置)を搭載しているので、光利用効率が高く、信頼性の高い信号が得られ、かつ記録・再生速度の高速化を達成することができる。
さらに本発明では、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)323内に波長の異なる光源を複数備えることにより、CD、DVD、S−DVDなどの使用する波長の異なる複数規格の光ディスクを記録再生することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜に係る発明では、偏光光学素子の媒質境界形状を傾斜した矩形形状(矩形格子)にすることで、格子ピッチが小さくなったときの体積格子化による1次回折効率の角度依存性を変化させ、1次回折効率がピークとなるブラッグ角を低入射角側にシフトさせることができる。
特に矩形格子を基板法線に対し+1次回折光の回折方向とは反対側に傾斜させることにより、+1次回折効率のブラッグ角を低入射角側にシフトさせ、垂直入射に対する+1次回折効率を向上させることができる。
また、+1次回折効率は格子全領域についてピークとなるため、最大の回折効率が得られ、かつPush-Pull信号にもオフセットを生じることがない。
【0094】
請求項6に係る発明では、本願の特徴である格子を傾斜格子化することによる効果(ブラッグ角のシフトによる垂直入射近傍の高回折効率化)が発揮できる領域が設定できる。
【0095】
請求項に係る発明では、請求項1〜の構成及び効果を有する偏光光学素子を、従来からの作製方法を大幅に変更せず、ドライエッチング時に複屈折媒質を傾けて設置するという比較的簡単な方法で傾斜矩形形状を持つ偏光光学素子を作製でき、大量生産と低コスト化に大きく寄与することができる。
また、請求項9に係る発明では、複屈折媒質を有機延伸膜とすることにより、青色波長の光ヘッド装置にも使用でき、ピッチの小さな格子の作成も可能となり、また、本発明で重要となる傾斜した矩形格子の形成も容易となる。また、材料としても安価に大面積化が可能となり、偏光光学素子の低コスト化や、大量生産が可能となる。
【0098】
請求項に係る発明では、請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化して光学素子ユニットを構成したので、経時変化に安定な信号検出ができるユニットを実現できる。
【0099】
請求項10に係る発明では、請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子を光ヘッド装置に適用することにより、回折格子またはホログラムを光源に近づけて配置し、光源、光検出器構成をコンパクトにする場合、格子ピッチの微細化に伴う体積型格子化の影響を軽減でき、信号出力にアンバランスが無いのでトラッキング信号のオフセットが少なく、正確なトラッキング信号検出ができるうえに検出効率の良い光ヘッド装置を実現することができる。特に請求項の構成の偏光光学素子を適用すると、トラッキング信号のオフセットが生じず、検出効率が最高の光ヘッド装置を実現することができる。
さらに、請求項11に係る発明では、請求項10の構成及び効果に加え、光源、光検出器、偏光光学素子を一体化して光学素子ユニットを構成することにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に光源、光検出器、検出光学系が一体化されているので、組立て時間が短縮され、光学系調整も簡単になる。
【0100】
請求項12に係る発明では、請求項1〜の偏光光学素子を複数波長の光源を持つ光ヘッド装置に適用することで、回折格子またはホログラムを光源に近づけて配置し、複数光源、光検出器構成をコンパクトにする場合、格子ピッチの微細化に伴う体積型格子化の影響を軽減でき、信号出力にアンバランスが無いのでトラッキング信号のオフセットが少なく、正確なトラッキング信号検出ができるうえに検出効率の良い光ヘッド装置を実現することができる。特に請求項の構成の偏光光学素子を適用すると、トラッキング信号のオフセットが生じず、検出効率が最高の複数波長光ヘッド装置を実現することができる。
さらに、請求項13に係る発明では、請求項12の構成及び効果に加え、複数波長の光源、光検出器、偏光光学素子を一体化して光学素子ユニットを構成することにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に複数波長光源、光検出器、検出光学系が一体化されているので組立て時間が短縮され、光学系調整も簡単になる。
【0101】
請求項14に係る発明では、光ヘッド装置として、請求項1013のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことにより、安定した信号検出ができ、記録・再生速度の高速化を達成することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
また、光ヘッド装置内に波長の異なる光源を複数備えることにより、CD、DVD、S−DVDなどの使用する波長の異なる複数規格の光ディスクを記録・再生することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の一実施例を示す偏光性回折格子の概略要部断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の別の実施例を示す偏光性回折格子の構成、動作の説明図であり、(a)は偏光性回折格子の概略要部断面図、(b)は偏光性回折格子への入射光の入射角と格子の傾斜角および回折光の回折角の関係を示す図である。
【図3】偏光性回折格子の斜め矩形格子への入射光の入射角と+1次回折光の回折効率の関係を説明するための図である。
【図4】偏光性回折格子の斜め矩形格子へ入射光が垂直入射したときの+1次回折光の回折角と回折効率を説明するための図である。
【図5】偏光性回折格子の斜め矩形格子への入射光の入射角と+1次回折光の回折効率の関係を示す図である。
【図6】本発明に係る偏光性回折格子の作製方法の説明図である。
【図7】本発明に係る偏光性回折格子の作製方法の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の一実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のさらに別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のさらに別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図12】通常の偏光性ホログラムの一例を示す概略要部断面図である。
【図13】図12に示す構成の偏光性ホログラムに波長403nmの光が垂直に入射した時のホログラムの溝深さと回折効率の関係を示す図である。
【図14】図12に示す構成の偏光性ホログラムに入射光が斜め入射したときの様子を示す図である。
【図15】図14に示す構成でホログラムの溝深さが1μmの偏光性ホログラムに入射光が斜め入射したときの入射角度と回折効率の関係を示す図である。
【図16】図14に示す構成でホログラムの溝深さが2.7μmの偏光性ホログラムに入射光が斜め入射したときの入射角度と回折効率の関係を示す図である。
【図17】図12に示す構成の偏光性ホログラムを入射光の光軸に対して傾けて配置した例を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の一実施例を示す偏光性ホログラムの概略要部断面図である。
【図19】本発明の第3の実施形態の別の実施例を示す光学素子ユニットの概略断面図である。
【図20】ホログラムを有する基板を入射光軸に対して傾けて配置したときの、ホログラムの溝深さと回折効率の関係を示す図である。
【図21】図18に示す構造の偏光性ホログラムにおいて、プリズムの屈折率n1と、ホログラムに入射する直前の材料の屈折率n2の関係がn1>n2の場合の光の回折の様子を示す図である。
【図22】図18に示す構造の偏光性ホログラムにおいて、プリズムの屈折率n1と、ホログラムに入射する直前の材料の屈折率n2の関係がn1<n2の場合の光の回折の様子を示す図である。
【図23】本発明の第3の実施形態の偏光性ホログラムの構成例を示す概略要部断面図である。
【図24】本発明の第3の実施形態の偏光性ホログラムの別の構成例を示す概略要部断面図である。
【図25】有機延伸膜の作製方法の一例を示す図である。
【図26】液晶を用いた偏光光学素子の作製工程の一例を示す図である。
【図27】液晶を用いた偏光光学素子の作製工程の別の例を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施形態のさらに別の実施例を示す光学素子ユニットの概略断面図である。
【図29】(a)は図15の+1次光のグラフの一部を拡大して示した図、(b)は図16の+1次光のグラフの一部を拡大して示した図である。
【図30】本発明の第4の実施形態の一実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図31】ノート型パーソナルコンピュータとそれに搭載される光ディスクドライブ装置の一例を示す外観斜視図である。
【図32】本発明の第5の実施形態の一実施例を示す図であって、光ディスクドライブ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図33】従来の偏光性回折格子の一例を示す概略要部断面図である。
【図34】図33に示す偏光性回折格子の矩形格子への入射光の入射角と+1次回折光の回折効率の関係を示す図である。
【図35】図33に示す偏光性回折格子を適用した光ヘッド装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,1’:透明性基板
2:複屈折媒質
2a:傾斜した矩形格子
3:等方性媒質
4:フォトレジスト
4’:格子パターン
5:金属層
5’:金属パターン
7:偏光性回折格子(偏光光学素子)
8,8’,63:光源
9,64:光検出器
10,65:コリメートレンズ(カップリングレンズ)
11,67:1/4波長板
12,68:対物レンズ
13,69,317:光記録媒体(光ディスク)
14,62:ケース
17:エッチング電極
51:基板
52:ホログラム
53:等方性材料
54,55:プリズム
60:偏光性ホログラム(偏光光学素子)
61:光学素子ユニット(ホログラムユニット)
92,323:光ヘッド装置(光ピックアップ装置)

Claims (14)

  1. 基板上に配向状態の異なる2つの媒質が交互に周期的に配列した格子構造をもつ偏光性の回折格子またはホログラムを有する偏光光学素子において、
    前記異なる2つの媒質の境界が傾斜した矩形形状であり、
    前記矩形形状の傾斜角を入射光線の入射角度に対応して変化させることによって全ての領域でブラッグ角を満足するようにしたことを特徴とする偏光光学素子。
  2. 請求項1記載の偏光光学素子において、
    一方の媒質は複屈折性を示す媒質であり、他方は等方性を示す媒質で交互に周期的に配列した構造をもち、媒質の境界が傾斜した矩形形状であることを特徴とする偏光光学素子。
  3. 請求項2記載の偏光光学素子において、
    複屈折媒質の面内の直交する2方向の異なる屈折率の一方の屈折率と等方性媒質の屈折率が略等しく、媒質の境界が傾斜した矩形形状であることを特徴とする偏光光学素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、
    前記複屈折媒質は凹凸形状の格子構造を有し、その凹凸形状の複屈折媒質を等方性媒質で充填した構造をもち、前記凹凸形状が傾斜した矩形形状であることを特徴とする偏光光学素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、
    前記矩形形状の傾斜方向が、効率を高めたい+1次回折光とは基板法線に対し反対側に傾斜していることを特徴とする偏光光学素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、
    入射する光の空気中の波長をλ、格子深さをT、回折格子またはホログラムの媒質の屈折率をn、格子ピッチをdとしたとき、回折格子またはホログラムのQ値(Q=2πλT/nd )がQ>2であることを特徴とする偏光光学素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、
    前記複屈折媒質が凹凸形状の格子構造を有する場合に、前記複屈折媒質に凹凸形状を形成するのにイオンあるいはプラズマを用いたドライエッチングを行ない、そのドライエッチングを行なう際に、エッチング電極に対し複屈折媒質を傾けて設置してエッチングを行なうことを特徴とする偏光光学素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つに記載の偏光光学素子において、
    前記複屈折媒質に有機延伸膜を用いたことを特徴とする偏光光学素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化したことを特徴とする光学素子ユニット
  10. 光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光して記録または再生を行なう光ヘッド装置において、
    光路中に偏光光学素子を配置して光記録媒体からの反射光を偏光光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する偏光光学素子が請求項1〜8のいずれか一つに記載の偏光光学素子であることを特徴とする光ヘッド装置
  11. 請求項10記載の光ヘッド装置において、
    偏光光学素子を、光源と光検出器を一体化したユニットに一体化してなる光学素子ユニットを用いたことを特徴とする光ヘッド装置
  12. 複数の光源からの光を共通するカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光して記録または再生を行なう光ヘッド装置において、
    光路中に偏光光学素子を配置して光記録媒体からの反射光を偏光光学素子により分岐し共通の光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する偏光光学素子が請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光光学素子であることを特徴とする光ヘッド装置。
  13. 請求項12記載の光ヘッド装置において、
    偏光光学素子を、複数の光源と光検出器を一体化したユニットに一体化してなる光学素子ユニットを用いたことを特徴とする光ヘッド装置。
  14. 光記録媒体に対して光ヘッド装置を用いて情報の記録または再生を行う光ディスクドライブ装置において、
    前記光ヘッド装置として、請求項1013のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
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