JP4129733B2 - 半導体レーザモジュール、ホログラムレーザユニット、光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
半導体レーザモジュール、ホログラムレーザユニット、光ピックアップ装置及び光ディスク装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザモジュール、ホログラムレーザユニット、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置における情報読取部である光ピックアップ装置は、現在、小型化・低価格化・高性能化などの要求を受けており、一つの記録再生装置(光ディスク装置)で複数種類の光ディスクを記録/再生することによる小型化が期待されている。
【0003】
図6にこのような光ディスク装置に用いられるホログラムレーザユニットの例を示す。このホログラムレーザユニット100は、偏光ホログラム101、半導体レーザ102、受光素子103、キャップ104、ステム105、リード106から構成されている。108は接着剤である。偏光ホログラム101には複屈折材料が用いられており、その複屈折材料の一方の屈折率と等しい屈折率を持つ材料が複屈折材料の回折格子を充填している。半導体レーザ102からの直線偏光は、光ディスク(図示せず)へ向かう往きと光ディスクから反射された後の帰りにλ/4板107を2度通過することにより、偏光方向が90°回転し、復路において、偏光ホログラム101で回折が生じ、回折光が受光素子103で検出される。
【0004】
一つの光ディスク装置で複数種類の光ディスクを記録再生する方法として、一つのホログラムレーザユニットの中に異なる波長の複数個(2個)の半導体レーザを実装させる方法がある。例えば、CD−RとDVDとを一つの光ディスク装置で記録/再生できるようにするためには、CD系用の波長780nmとDVD系用の波長650nmの2つの半導体レーザ装置を用いなければならない。そこで、波長650nmの半導体レーザチップと波長780nmの半導体レーザチップとを一つのパッケージ上に並列させて取付けた半導体レーザ装置が提案されているが、これはレーザチップ自身の幅やサブマウント幅の影響を受け、2つの半導体レーザチップの発光点位置間隔が300〜400μmと大きくなってしまうため、光ピックアップの光学系を設計するのが困難である。
【0005】
即ち、光学系の設計上は、これらの2つのレーザ光の間隔を100μm程度より小さくすることが必要であり、これを実現するために、例えば、波長選択性のある反射面を持つマイクロプリズムで光軸を重ねる方式(例えば、特許文献1参照)と、反射面を利用して擬似的に発光点を近接させる方式(例えば、特許文献2参照)とが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−184706公報
【特許文献2】
特開平11−39684号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のようにマイクロプリズムを利用する方式の場合、マイクロプリズムの透過率が100%ではないことに起因して、半導体レーザの出力が減衰してしまう上に、波長選択性のある反射面を内部に持つため、マイクロプリズムの価格が高価になるという課題がある。
【0008】
また、特許文献2のように反射面を利用して擬似的に発光点を近接させる方式の場合、具体的には、断面三角形の形状を有するサブマウントにより発光点を近接させるものであり、断面三角形の形状を有するサブマウントにより、半導体レーザからの出力は、近接した反射面で折り曲げられるので、発光点を擬似的に近接させることができるものの、45度の角度を持つ断面三角形の傾斜面(サブマウント)を作ることは容易ではなく、コストを考慮した開発には至っていない。
【0009】
さらに、異なる2波長の半導体レーザ光を特殊な半導体レーザを用いて近接させる方法としては、半導体レーザの発光点が端部に寄った特殊なレーザを2つ近接させて配置させる方法や、2つのレーザ光源を単一の半導体レーザチップにモノリシックに作る方法も提案されているが、このように作製される半導体レーザでは異なる2つのレーザ光を共に高出力にすることは実現できておらず、光ピックアップ用などに適用できる段階には至っていない。
【0010】
このように、従来提案されている各種方式では、量産に適した簡便な方式ではなく、しかもそれを低コストに実現することができない。
【0011】
このようなことから、簡易な構造であり、高出力レーザを利用できる半導体レーザモジュールを開発し、ホログラムレーザユニット、光ピックアップさらには光ディスク装置に利用できるようにすることが急を要する課題となっている。
【0012】
本発明の目的は、出力減衰や出力制限を受けることなく、2つの半導体レーザの光軸を近接させ得る半導体レーザモジュールを量産に適した簡易な構造を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、さらに、低コストであり、実装が容易な半導体レーザモジュールを提供することである。
【0014】
本発明の目的は、さらに、半導体レーザの放射角の大きい光が、半導体レーザが実装される部材によって反射されることを防止できる半導体レーザモジュールを提供することである。
【0015】
本発明の目的は、さらに、面精度の良い反射面を有する光学素子を利用して、半導体レーザの反射後のスポット形状を良好にすることである。
【0016】
本発明の目的は、複数種類の光記録媒体用の光ディスク装置に応用できる半導体レーザモジュールを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の半導体レーザモジュールは、第1の半導体レーザと、第2の半導体レーザと、反射面を有する光学素子と、を備え、前記第1の半導体レーザから出射された第1のレーザ光を前記光学素子の前記反射面により反射させ、前記第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を前記反射面で反射された前記第1のレーザ光と同一方向でその光軸と平行に前記光学素子近傍を直進させる位置関係で、これらの第1,第2の半導体レーザ及び光学素子を配設し、かつ前記第1の半導体レーザから出射されて前記反射面に至る前記第1のレーザ光の光軸又はその延長線に対して、前記第2の半導体レーザから出射される前記第2のレーザ光の光軸が直交交差する位置関係に設定し、前記第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を前記第1の半導体レーザと前記光学素子の間を直進させる位置関係に設定し、かつ前記第1,第2の半導体レーザ及び前記光学素子を同一部材上に実装し、かつ前記第1,第2の半導体レーザは同一面上に配設した。
【0018】
従って、第1の半導体レーザから出射された第1のレーザ光を前記光学素子の反射面により反射させる一方、第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を反射面で反射される第1のレーザ光と同一方向でその光軸と平行に光学素子近傍を直進させる位置関係で、これらの第1,第2の半導体レーザ及び光学素子を配設することで、半導体レーザの出力減衰や出力制限を受けることなく、極めて簡易で量産に適した構成で、第1,第2のレーザ光の光軸を平行状態で接近させることができる。また、前記第1の半導体レーザから出射されて前記反射面に至る前記第1のレーザ光の光軸又はその延長線に対して、前記第2の半導体レーザから出射される前記第2のレーザ光の光軸が直交交差する位置関係に設定されていることにより、より小型・量産に適した構成となり、実装配置の設計がより容易となる。また、前記第1,第2の半導体レーザ及び前記光学素子を同一部材上に実装配設したことにより、低コストに作製可能となる。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体レーザモジュールにおいて、前記第1,第2の半導体レーザが実装される平面に対して前記光学素子が実装される平面が低い位置に設定されている。
【0026】
従って、光学素子が実装される平面を第1,第2の半導体レーザが実装される平面とは異ならせて低い位置とすることにより、半導体レーザの高放射角光による実装部材平面での反射及び損失を防止することができる。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の半導体レーザモジュールにおいて、前記光学素子の材料は、Siである。
【0028】
従って、反射面を有する光学素子の材料をSiとすることにより、加工が容易で、その反射面の面精度を高精度にしやすい。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の半導体レーザモジュールにおいて、前記光学素子は、Siの異方性エッチングにより形成されている。
【0030】
従って、Siの異方性エッチングを利用して反射面を有する光学素子を形成することにより、量産に適し、低コスト化を図ることができる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の半導体レーザモジュールにおいて、前記第1,第2の半導体レーザが出射する前記第1,第2のレーザ光は波長が異なる。
【0032】
従って、第1,第2の半導体レーザが出射する第1,第2のレーザ光の波長が異なるため、例えばCD系/DVD系のような複数種類の光記録媒体を対象とする光ディスク装置への適用が可能となる。
【0033】
請求項6記載の発明のホログラムレーザユニットは、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザモジュールを光源として備える。
【0034】
従って、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザモジュールと同様の作用を奏するホログラムレーザユニットを提供できる。
【0035】
請求項7記載の発明の光ピックアップ装置は、請求項6記載のホログラムレーザユニットと、このホログラムレーザユニット中の第1又は第2の半導体レーザから出射された第1又は第2のレーザ光を光記録媒体に向けて集光照射させる対物レンズと、を備える。
【0036】
従って、請求項6記載のホログラムレーザユニット、即ち、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザモジュールと同様の作用を奏する光ピックアップ装置を提供できる。
【0037】
請求項8記載の発明の光ディスク装置は、光記録媒体を回転させる回転駆動機構と、前記光記録媒体に対してレーザ光を集光照射させる請求項7記載の光ピックアップ装置と、前記光ピックアップ装置のホログラムレーザユニット中の第1,第2の半導体レーザを前記光記録媒体の種類に応じて択一的に選択駆動させる光源駆動手段と、を備える。
【0038】
従って、請求項7記載の光ピックアップ装置、つまり、請求項6記載のホログラムレーザユニット、即ち、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザモジュールと同様の作用を奏する光ディスク装置を提供できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態は、半導体レーザモジュールへの適用例であり、図1はこの半導体レーザモジュール1の一例を模式的に示す概略平面図である。
【0040】
本実施の形態の半導体レーザモジュール1は、第1の半導体レーザ2と、第2の半導体レーザ3と、反射面4aを有する平面的に見て三角形状の光学素子4と、を同一の実装部材であるサブマウント5上に実装配設させることにより構成されている。ここに、第1,第2の半導体レーザ2,3が各々出射する第1,第2のレーザ光P1,P2の波長は異なるように設定され、その一例として、例えば、第1のレーザ光P1の波長が650nm,第2のレーザ光P2の波長が780nmとされている(逆でもよい)。
【0041】
ここで、これらの部材の位置関係について説明すると、第1の半導体レーザ2から出射された第1のレーザ光P1を光学素子4の反射面4aにより反射させる一方、第2の半導体レーザ3から出射された第2のレーザ光P2を反射面4aで反射される第1のレーザ光P1と同一方向で、かつ、その光軸と平行となるように光学素子4近傍を直進させる位置関係とされている。より具体的には、第1,第2の半導体レーザ2,3の各々の第1,第2のレーザ光P1,P2の出射方向は直交する方向に設定され、光学素子4の反射面4aによって反射される前の第1の半導体レーザ2のレーザ光の光軸と第2の半導体レーザ3から出射される第2のレーザ光P2の光軸とが直交交差するように設定されている。この交差する位置関係は、同一平面上で交差しても、立体交差的に上下関係を持って交差してもよい。
【0042】
また、光学素子4は第1,第2の半導体レーザ2,3と同一のサブマウント5上に実装配設されるが、第1,第2の半導体レーザ2,3が実装配設される平面5aに対して、サブマウント5の一角において段違い状態に一段低くされた平面5b上に実装配設されている。三角柱形状の光学素子4は、材質がSiであり、第1の半導体レーザ2に対向する反射面4aの面方位は(111)とされている。この反射面4aは高精度な研磨を利用して作製されたため、要求仕様面精度λ/50を満たしている。反射面4aは縦(三角柱の高さに相当)300μm、横200μmの大きさであり、また、反射面4aにはTiを介してAuが蒸着されている。また、第1,第2の半導体レーザ2,3は各々の発光部付近の箇所がサブマウント5上で高さが低くなっている部分(平面5b上)に少し突き出すように配置されている。
【0043】
このように2本のレーザ光P1,P2の光軸を交差させる構造にすることにより、光学素子4での反射後の第1の半導体レーザ2からの第1のレーザ光P1と、第2の半導体レーザ3からの第2のレーザ光P2との間隔を平行状態で極力近接させることが可能になる。即ち、光学素子4によって反射された第1の半導体レーザ2の第1のレーザ光P1と第2の半導体レーザ3からの第2のレーザ光P2は間隔が約100μm程度に近接しており、互いに平行となる。
【0044】
このように本実施の形態の半導体レーザモジュール1は、簡易な構成であり、一方のレーザ光のみについて光学素子4の反射面4aでの反射を利用することによって、2つの半導体レーザ2,3の光軸間隔を約100μmに接近させることが可能であり、さらに100μm以下に近接させることも可能である。また、第1のレーザ光P1は反射面4aにより反射されるものであり、第2のレーザ光P2は光学素子4近傍を直進するものであり、何れもその出力が減衰することがなく、かつ、第1,第2の半導体レーザ2,3自体は通常の素子でありモノリシック構成のような特殊のものでないため、その出力の制限を受けることもない。このような半導体レーザモジュール1は、小型であり、量産に適している。また、反射面4aを有する光学素子4の材料をSiとしているので、加工が容易で、その反射面4aの面精度を高精度にしやすい構造である。さらに、光学素子4が実装される平面5bを第1,第2の半導体レーザ2,3が実装される平面5aとは異ならせて一段低い位置とし、第1,第2の半導体レーザ2,3の出射端面側をこの平面5b上に少し突出させることにより、全て同一の平面5aのみとする場合に比べて、第1,第2の半導体レーザ2,3の高放射角光による実装部材平面での反射及び損失を防止することができる。
【0045】
本発明の第二の実施の形態を図2に基づいて説明する。本実施の形態も、半導体レーザモジュールへの適用例であり、図2はこの半導体レーザモジュール11の一例を模式的に示す概略平面図である。基本的には、第一の実施の形態と同様であり、同一部分は同一符号を付して示す。
【0046】
本実施の形態の半導体レーザモジュール11にあっては、第1,第2の半導体レーザ2,3の各々の第1,第2のレーザ光P1,P2の出射方向は直交する方向に設定されているが、光学素子12の反射面12aによって反射される前の第1の半導体レーザ2のレーザ光の光軸の延長線に対して第2の半導体レーザ3から出射される第2のレーザ光P2の光軸が直交交差するように設定されている。この直交交差する位置関係は、延長線と同一平面上で交差しても、立体交差的に上下関係を持って交差してもよい。また、光学素子12は平面的に見て鋭角三角形なる三角柱形状に形成されているが、材質は前述の場合と同様にSiであり、反射面の面方位は(111)である。その反射面12aはKOHエッチング液によるSiの異方性エッチングを利用して作製されており、要求仕様面精度λ/50を満たしている。また、反射面12aにはTiを介してAuが蒸着されている。この他の構成は、第一の実施の形態の場合と同様である。
【0047】
本実施の形態によっても、第一の実施の形態の場合と同様の作用・効果が得られる。特に、Siの異方性エッチングを利用して反射面12aを有する光学素子12を形成しているので、量産に適し、より一層の低コスト化を図ることができる。
【0048】
本発明の第三の実施の形態を図3に基づいて説明する。本実施の形態も、半導体レーザモジュールへの適用例であり、図3はこの半導体レーザモジュール21の一例を模式的に示す概略平面図である。基本的には、第一の実施の形態と同様であり、同一部分は同一符号を付して示す。
【0049】
本実施の形態の光学素子22は平面的に見て矩形状なる四角柱形状に形成されているが、材質は前述の場合と同様にSiであり、反射面の面方位は(111)である。その反射面22aはKOHエッチング液によるSiの異方性エッチングを利用して作製されており、要求仕様面精度λ/50を満たしている。また、光学素子22の反射面22aは縦(四角柱の高さに相当)300μm、横200μmの大きさであり、上面は縦250μm、横(反射面22aの横に相当)200μmの大きさであり、さらに、反射面22aにはTiを介してAuが蒸着されている。この他の構成は、第一の実施の形態の場合と同様である。
【0050】
本実施の形態によっても、第一の実施の形態の場合と同様の作用・効果が得られる。
【0051】
なお、本実施の形態における光学素子22は四角柱形状であり、ダイボンディング装置を用いて光学素子22の一面(図3における上面)をコレットで真空吸着することによりサブマウント5における平面5b上の適した位置に移動させ、実装する。これによれば、第一,第二の実施の形態で用いた三角柱形状の光学素子4,12と比較して吸着面積にゆとりがあり、高精度で実装することが可能なため、歩留りを向上させることができる。
【0052】
なお、これらの実施の形態では、例えば、光学素子4,12,22におけるSiの反射面4a,12a,22aの面方位として(111)を用いた例で説明したが、(110)など他の面方位を用いてもよい。また、反射面を有する光学素子の形状は様々であり、これらの実施の形態に示した例に限られない。さらに、反射面4a,12a,22aの面精度を向上させる方法として、研磨、Siの異方性エッチングの他、様々な作製方法を利用し得る。また、光学素子4,22の大きさに関しても実装の歩留りを上げられるように、より大きな大きさにすることも可能である。また、半導体レーザ2,3の発光波長も650nm,780nmに限定されるものではない。
【0053】
本発明の第四の実施の形態を図4及び図5に基づいて説明する。本実施の形態は、前述したような半導体レーザモジュールを用いたホログラムレーザユニット、光ピックアップ装置ないしは光ディスク装置への適用例を示し、図4は光ピックアップ装置の一例を示す概略斜視図、図5は光ディスク装置を示す概略ブロック図である。
【0054】
まず、図4に示す光ピックアップ装置31では、図1ないし図3の何れかに示したような構造の半導体レーザモジュール1,11又は21を光源として内蔵したホログラムレーザユニット32が設けられている。このホログラムレーザユニット32は、このような光源の他、出射光と戻り光とを分離・回折するホログラム素子や回折された戻り光を受光する受光素子等を一体に備えるものである。この他、光ピックアップ装置31は光ピックアップ装置31から出射されるレーザ光(第1のレーザ光P1又は第2のレーザ光P)を平行光束化する2波長コリメートレンズ33、平行光束化されたレーザ光を光記録媒体34側に向けて90度偏向させる立上げミラー35、往きの光と光記録媒体34からの戻り光との偏光方向を90度変換させるためのλ/4板36、光記録媒体34に向けてレーザ光を集光照射させるための対物レンズ37等を備えて構成されている。
【0055】
ここに、ホログラムレーザユニット32中の第1,第2の半導体レーザ2,3は後述するように何れか一方が選択的に発光駆動されることにより、波長650nm又は波長780nmのレーザ光がホログラムレーザユニット32から出射されることになるが、前述したように半導体レーザモジュール1,11又は21においてレーザ光P1,P2の光軸は約100μmに接近した平行状態とされており、光ピックアップ装置31においては、ほぼ同一の発光源から出射されたレーザ光として扱うことができる。
【0056】
即ち、前述したようなDVD系用の波長650nmの第1のレーザ光P1を発する第1の半導体レーザ2とCD系用の波長780nmの第2のレーザ光P2を発する第2の半導体レーザ3とを有する半導体レーザモジュール1,11又は21が内蔵されたホログラムレーザユニット32を光源として有する光ピックアップ装置31を備え、CD系/DVD系の光記録媒体34に対して共用可能な光ディスク装置への適用例を示す。より具体的には、光記録媒体34としてCD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROMが利用可能な光ディスク装置の例である。
【0057】
図5によりこのような光ピックアップ装置31を備える光ディスク装置について説明する。
図5において、光記録媒体34は回転駆動機構の主要部を構成するスピンドルモータ41により回転駆動される。このスピンドルモータ41は、モータドライバ42とサーボ手段43とにより、例えば線速度が一定になるように制御される。この線速度は段階的に変更することが可能である。光ピックアップ装置31は、前述したような第1,第2の半導体レーザ2,3、対物レンズ37等の対応する光学系、トラッキング/フォーカスアクチュエータ(図示せず)等の他、受光素子やポジションセンサを内蔵しており、択一的に駆動される半導体レーザ2又は3からのレーザ光P1又はP2を光記録媒体34に照射する。また、この光ピックアップ装置31は、シークモータ(図示せず)によってスレッジ方向への移動が可能である。これらのトラッキング/フォーカスアクチュエータ及びシークモータは、受光素子とポジションセンサから得られる信号に基づいて、モータドライバ42とサーボ手段43とにより、レーザ光のスポットが光記録媒体34上の目的の場所に位置するように制御される。
【0058】
そして、リード時には、光ピックアップ装置31によって得られた再生信号が、リードアンプ44で増幅されて2値化された後、CD/DVDデコーダ45に入力される。入力された2値化データは、このCD/DVDデコーダ45において、EFM(Eight to Fourteen Modulation)復調される。なお、記録データは、8ビットずつまとめられてEFM変調されており、このEFM変調では、8ビットを14ビットに変換し、結合ビットを3ビット付加して合計17ビットにする。この場合に、結合ビットは、それまでの“1”と“0”の数が平均的に等しくなるように付けられる。これを「DC成分の抑制」といい、DCカットされた再生信号のスライスレベル変動が抑圧される。
【0059】
復調されたデータは、デインターリーブとエラー訂正の処理が行われる。その後、このデータは、CD/DVD−ROMデコーダ46へ入力され、データの信頼性を高めるために、さらに、エラー訂正の処理が行われる。このように2回のエラー訂正の処理が行われたデータは、バッファマネージャ47によって一旦バッファRAM48に蓄えられ、セクタデータとして揃った状態で、インターフェース49を介して、図示しないホストコンピュータへ一気に転送される。なお、音楽データの場合には、CD/DVDデコーダ45から出力されたデータが、D/Aコンバータ50へ入力され、アナログのオーディオ出力信号Audioとして取り出される。
【0060】
また、ライト時には、インターフェース49を通して、ホストコンピュータから送られてきたデータは、バッファマネージャ47によって一旦バッファRAM48に蓄えられる。そして、バッファRAM48内にある程度の量のデータが蓄積された状態で、ライト動作が開始されるが、この場合には、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる必要がある。この地点は、トラックの蛇行により予め光記録媒体34上に刻まれているウォブル信号によって求められる。
【0061】
ウォブル信号には、ATIPと呼ばれる絶対時間情報が含まれており、この情報が、ATIPデコーダ51によって取り出される。また、このATIPデコーダ51によって生成される同期信号は、CDエンコーダ52へ入力され、光記録媒体34上の正確な位置へのデータの書込みを可能にしている。バッファRAM48のデータは、CD−ROMエンコーダ53やCDエンコーダ52において、エラー訂正コードの付加や、インターリーブが行われ、CD−R/RW用のレーザコントローラ54、光ピックアップ装置31中の半導体レーザ3を介して、光記録媒体34に記録される。
【0062】
なお、このような光ディスク装置の全体的な制御はROM55,RAM56を備えてマイクロコンピュータとして構成されるCPU57により制御され、DVD−ROMなる光記録媒体34が装填された場合には、DVD用のレーザコントローラ58により光ピックアップ装置31中の半導体レーザ2を発光させることにより、光記録媒体34に対する再生動作が実行される。よって、レーザコントローラ54,58及びCPU57が半導体レーザ2,3を光記録媒体34の種類に応じて択一的に選択駆動させる光源駆動手段として機能する。
【0063】
従って、本実施の形態の光ディスク装置によれば、前述したような光ピックアップ装置31を備えるので、光記録媒体34の種類に応じて用いる半導体レーザ2,3を択一的に選択駆動させる構成をとる上でも、半導体レーザ2,3の出力減衰や出力制限を受けることがないため、高品質な安定した書込み動作等を行わせることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、DVD系に対しては再生機能のみを有する構成として説明したが、DVD系に対して書込み機能を持たせる場合にも同様に適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の半導体レーザモジュールによれば、第1の半導体レーザから出射された第1のレーザ光を前記光学素子の反射面により反射させる一方、第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を反射面で反射される第1のレーザ光と同一方向でその光軸と平行に光学素子近傍を直進させる位置関係で、これらの第1,第2の半導体レーザ及び光学素子を配設したので、半導体レーザの出力減衰や出力制限を受けることなく、極めて簡易で量産に適した構成で、第1,第2のレーザ光の光軸を平行状態で接近させることができる。また、第1の半導体レーザから出射されて反射面に至る第1のレーザ光の光軸又はその延長線に対して、第2の半導体レーザから出射される第2のレーザ光の光軸が交差する位置関係に設定したので、より小型・量産に適した構成とすることができる。また直交交差関係としたので、実装配置の設計をより容易なものとすることができる。さらに第1,第2の半導体レーザ及び光学素子を同一部材上に実装配設したので、低コストで作製することができる。
【0069】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体レーザモジュールにおいて、光学素子が実装される平面を第1,第2の半導体レーザが実装される平面とは異ならせて低い位置としたので、半導体レーザの高放射角光による実装部材平面での反射及び損失を防止することができる。
【0070】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の半導体レーザモジュールにおいて、反射面を有する光学素子の材料をSiとすることにより、加工が容易で、その反射面の面精度を高精度にすることができる。
【0071】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の半導体レーザモジュールにおいて、Siの異方性エッチングを利用して反射面を有する光学素子を形成したので、量産に適し、低コスト化を図ることができる。
【0072】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の半導体レーザモジュールにおいて、第1,第2の半導体レーザが出射する第1,第2のレーザ光の波長が異なるため、例えばCD系/DVD系のような複数種類の光記録媒体を対象とする光ディスク装置の光源に好適に適用することができる。
【0073】
請求項6記載の発明のホログラムレーザユニット、請求項7記載の発明の光ピックアップ装置及び請求項8記載の発明の光ディスク装置によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザモジュールと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の半導体レーザモジュールを模式的に示す概略平面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態の半導体レーザモジュールを模式的に示す概略平面図である。
【図3】本発明の第三の実施の形態の半導体レーザモジュールを模式的に示す概略平面図である。
【図4】本発明の第四の実施の形態の光ピックアップ装置を示す概略斜視図である。
【図5】その光ディスク装置を示す概略ブロック図である。
【図6】光ディスク装置に用いられる従来のホログラムレーザユニットの構成例を一部切り欠いて示す正面図である。
【符号の説明】
1,11,21 半導体レーザモジュール
2 第1の半導体レーザ
3 第2の半導体レーザ
4,12,22 光学素子
4a,12a,22a 反射面
5 実装部材
5a 平面
5b 平面
31 光ピックアップ装置
32 ホログラムレーザユニット
34 光記録媒体
37 対物レンズ
41 回転駆動機構
54,58 光源駆動手段
Claims (8)
- 第1の半導体レーザと、第2の半導体レーザと、反射面を有する光学素子と、を備え、
前記第1の半導体レーザから出射された第1のレーザ光を前記光学素子の前記反射面により反射させ、前記第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を前記反射面で反射された前記第1のレーザ光と同一方向でその光軸と平行に前記光学素子近傍を直進させる位置関係で、これらの第1,第2の半導体レーザ及び光学素子を配設し、
かつ前記第1の半導体レーザから出射されて前記反射面に至る前記第1のレーザ光の光軸又はその延長線に対して、前記第2の半導体レーザから出射される前記第2のレーザ光の光軸が直交交差する位置関係に設定し、
前記第2の半導体レーザから出射された第2のレーザ光を前記第1の半導体レーザと前記光学素子の間を直進させる位置関係に設定し、かつ前記第1,第2の半導体レーザ及び前記光学素子を同一部材上に実装し、かつ前記第1,第2の半導体レーザは同一面上に配設したことを特徴とする半導体レーザモジュール。 - 前記第1,第2の半導体レーザが実装される平面に対して前記光学素子が実装される平面が低い位置に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
- 前記光学素子の材料は、Siであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザモジュール。
- 前記光学素子は、Siの異方性エッチングにより形成されていることを特徴とする請求項3記載の半導体レーザモジュール。
- 前記第1,第2の半導体レーザが出射する前記第1,第2のレーザ光は波長が異なることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の半導体レーザモジュール。
- 請求項1ないし5の何れか1項に記載の半導体レーザモジュールを光源として備えることを特徴とするホログラムレーザユニット。
- 請求項6記載のホログラムレーザユニットと、
このホログラムレーザユニット中の第1又は第2の半導体レーザから出射された第1又は第2のレーザ光を光記録媒体に向けて集光照射させる対物レンズと、を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 光記録媒体を回転させる回転駆動機構と、
前記光記録媒体に対してレーザ光を集光照射させることを特徴とする請求項7記載の光ピックアップ装置と、
前記光ピックアップ装置のホログラムレーザユニット中の第1,第2の半導体レーザを前記光記録媒体の種類に応じて択一的に選択駆動させる光源駆動手段と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
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