JP4396833B2 - トレイ送り制御装置、記録装置、液体噴射装置 - Google Patents

トレイ送り制御装置、記録装置、液体噴射装置 Download PDF

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Description

本発明は、DVD(digital versatile disc)等に代表される光ディスク等のラベル面に記録(印刷)可能な記録装置において、前記光ディスク等をセットするトレイ(被搬送媒体)の送り制御を行うトレイ送り制御装置及びこれを備えた記録装置に関する。また、本発明は、液体噴射装置に関する。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体と前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
インクジェットプリンタに代表される記録装置には、DVD等に代表される光ディスク等のラベル面に直接インク滴を吐出することによって記録可能なものがあり、この様な記録装置においては、一般的に、被記録媒体としての光ディスク等はプレート形状を成すトレイにセットされ、該トレイにセットされた状態で記録装置内を搬送され、そして記録が実行される。
また、上記トレイは被記録媒体を搬送する搬送ローラにニップされ、該搬送ローラがDCモータ等のモータの動力を受けて回転駆動されることにより、記録装置内を移動する様に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−96514号公報
ここで、トレイを記録装置に対して着脱自在な様に構成せず、記録装置に一体に設けるとともに、操作釦を押下することによって記録装置外へ排出し、且つ、再び操作釦を押下することによって記録装置内へ格納する様に構成することもできる。この様な構成の場合は、トレイが記録装置に一体に設けられていることから、トレイを記録装置と別に管理する必要がなく、ユーザフレンドリとなる。
しかし、トレイに光ディスクがセットされた状態において、光ディスクが非拘束状態にあると、記録装置の取り扱い時或いは輸送時等に記録装置を傾けたり天地逆にした際に、記録装置内部において光ディスクがトレイから脱落し、復旧不可能となる虞がある。
また、トレイに光ディスクがセットされた後に、光ディスクの中心位置を検出し、そして当該中心位置を基準にして光ディスクへの記録を実行する場合に、中心位置検出後光ディスクがトレイ上で動いてしまうと、中心位置ずれが生じ、その結果記録位置ずれが生じて良好な記録結果が得られない虞もある。
そこで本発明はこの様な状態に鑑みなされたものであり、その課題は、記録装置内部において被記録媒体がトレイから脱落しないようにすることにある。
また、本発明の別の目的は、トレイにセットされた被記録媒体の中心位置を検出した後の、被記録媒体の位置ずれを防止して、良好な記録結果を得ることにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被記録媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させることを特徴とする。
上記第1の態様によれば、トレイ送り制御装置は、記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、トレイにおける被記録媒体のセット領域が搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによってニップ(挟持)される被記録媒体保持位置へトレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させるので、記録装置が休止状態または電源オフ状態のときは、トレイにセットされた被記録媒体は必ず搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによってニップされた状態となり、これにより、記録装置を傾けたり天地逆にした場合に記録装置内部で被記録媒体がトレイから脱落するといった不具合を確実に防止することができる。また、既存の構成要素即ち搬送駆動ローラおよび搬送従動ローラを利用するので、コストアップを招くことなく、被記録媒体がトレイから脱落する不具合を防止することができる。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイを前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させることを特徴とする。
上記第2の態様によれば、トレイにおける被記録媒体の有無を検出する検出手段を有し、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイへ前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させるので、不必要に前記トレイを前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとでニップすることがなく、電源スイッチ等を押下することによって前記記録装置を再び記録待機状態に戻した際に、速やかに普通紙等への記録動作に移ることができる。
本発明の第3の態様は、上記第1の態様において、前記トレイにおける被記録媒体の有無を検出する検出手段と、前記検出手段による被記録媒体の検出結果を記憶する記憶手段と、を有し、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記検出手段による被記録媒体の検出結果を前記記憶手段に書き込む様に成されていることを特徴とする。
上記第3の態様によれば、トレイにおける被記録媒体の有無を検出する検出手段と、前記検出手段による被記録媒体の検出結果を記憶する記憶手段とを有し、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記検出手段による被記録媒体の検出結果を前記記憶手段に書き込む様に成されているので、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態から記録待機状態へ復帰する際に、被記録媒体の検出結果に応じた種々の制御を行うことが可能となる。例えば、被記録媒体がセットされている場合には、速やかに記録を開始する為に、トレイを記録開始位置へと送ることができる。
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイを前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させることを特徴とする。
上記第4の態様によれば、被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイを前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させるので、不必要に前記トレイを前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとでニップすることがなく、電源スイッチ等を押下することによって前記記録装置を再び記録待機状態に戻した際に、速やかに記録動作に移ることができる。
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、前記記録装置が前記休止状態または前記電源オフ状態から記録待機状態へ遷移する際に、前記記憶手段から前記トレイにおける被記録媒体の有無に係る情報を読み出して、前記トレイに被記録媒体が有る場合には前記トレイを記録開始位置へと送り且つ当該記録開始位置に停止させることを特徴とする。
上記第5の態様によれば、前記記録装置が前記休止状態または前記電源オフ状態から記録待機状態へ遷移する際に、前記トレイに被記録媒体が有る場合には前記トレイを記録開始位置へと送り且つ当該記録開始位置に停止させるので、復帰後に速やかに前記トレイにセットされた被記録媒体への記録動作を開始することができる。
本発明の第6の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドと対向する領域へ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、前記トレイの送り動作を停止して、次の送り動作の開始を待つ待機状態に入る際に、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被記録媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させることを特徴とする。
上記態様によれば、トレイ送り制御装置は、前記トレイの送り動作を停止して、次の送り動作の開始を待つ待機状態に入る際に、トレイにおける被記録媒体のセット領域が搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによってニップされる被記録媒体保持位置へトレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させるので、前記トレイが停止する待機状態のときはトレイにセットされた被記録媒体は必ず搬送駆動ローラと搬送従動ローラとによってニップされた状態となり、これにより、記録装置を傾けたり天地逆にした場合に記録装置内部で被記録媒体がトレイから脱落するといった不具合を確実に防止することができる。
本発明の第7の態様は、上記第1から第6の態様のいずれかにおいて、前記記録装置が、前記被記録媒体保持位置に前記トレイが位置する際に、前記トレイにセットされた被記録媒体が前記トレイから外れることを防止するように構成された拘束手段を備えていることを特徴とする。
上記態様によれば、前記記録装置が、前記被記録媒体保持位置に前記トレイが位置する際に、前記トレイにセットされた被記録媒体が前記トレイから外れることを防止する拘束手段を備えているので、前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとにニップされた被記録媒体は、更に前記拘束手段によって前記トレイから外れない(脱落しない)様に保持され、従ってより確実に被記録媒体を前記トレイから外れない様にすることができる。
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、前記被記録媒体保持位置が、前記搬送ローラによって被記録媒体における搬送方向下流側の端部がニップされる位置であるとともに、前記拘束手段が、前記被記録媒体保持位置において、被記録媒体の搬送方向上流側端部を前記トレイに向けて押圧する様に構成されていることを特徴とする。
上記態様によれば、被記録媒体は搬送方向下流側端部と搬送方向上流側端部において、それぞれ前記搬送ローラ及び前記拘束手段によって前記トレイからの脱落を防止されるので、バランスよく前記トレイに保持される。また、被記録媒体がニップ力の大きい前記搬送ローラによって搬送方向下流側端部がニップされると、搬送方向上流側端部が前記トレイから浮き上がる傾向が生じるが、この様な浮き上がり傾向が発生する搬送方向上流側端部が前記拘束手段によって前記トレイに向けて押圧されるので、被記録媒体の前記トレイからの浮き上がりを防止することができる。
本発明の第9の態様は、上記第7のまたは第8の態様において、前記拘束手段は、前記トレイが前記被記録媒体保持位置にあるときと、前記トレイが当該トレイを格納する格納位置にあるときの双方において前記被記録媒体が前記トレイから外れることを防止する様に構成されていることを特徴とする。
上記態様によれば、前記被記録媒体保持位置と前記格納位置との双方において、被記録媒体の前記トレイからの脱落を防止することができる。
本発明の第10の態様は、上記第7から第9の態様のいずれかにおいて、前記拘束手段が、前記トレイにセットされた被記録媒体を前記トレイに向けて押圧する拘束部材と、前記拘束部材において被記録媒体と当接可能な位置に設けられるとともに、前記トレイとともに搬送される被記録媒体と当接した際に当該被記録媒体によって従動回転するよう設けられる当接用ローラと、前記拘束部材を前記トレイに向けて押圧するよう付勢する付勢手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
上記態様によれば、拘束手段は拘束部材と、付勢手段と、当接用ローラとを備えて構成されている。そして、拘束部材は付勢手段に付勢されて、トレイに向けて押圧されており、トレイに被記録媒体がセットされている際には、該被記録媒体をトレイに向けて押圧可能である。従って、該拘束部材によって、トレイや被記録媒体の変形及び振動が抑えられるため、衝撃や振動が記録装置に加わっても、被記録媒体が暴れてセット部から外れてしまうことや破損してしまうこと等を防止することができる。また、拘束手段に当接用ローラが備えられているため、当該拘束手段が、トレイと共に搬送される被記録媒体と当接することで、当該被記録媒体がセット部から外れるのを防止しつつ、当該被記録媒体の円滑な搬送が実現できる。
本発明の第11の態様は、上記第10の態様において、前記拘束手段が、輪郭の異なる複数の被記録媒体と当接可能な様に、前記当接用ローラを複数個備えていることを特徴とする。本態様によれば、輪郭の異なる複数の被記録媒体について、前記トレイのセット部から外れない様にすることができる。
本発明の第12の態様は、上記第11の態様において、前記トレイにおける被記録媒体のセット部は、該セット部と輪郭の異なる被記録媒体である異形被記録媒体をセット可能な異形被記録媒体セット部を有するアダプタを装着可能であり、複数の前記当接用ローラが、前記被記録媒体保持位置にあるときに、前記トレイにセットされた被記録媒体及び前記アダプタと同時に当接可能な様に、前記トレイの搬送方向に所定の間隔を置いて設けられていることを特徴とする。
上記態様によれば、前記セット部と輪郭の異なる異形被記録媒体を、アダプタを介して前記トレイにセット可能な構成において、複数の前記当接用ローラが前記異形被記録媒体及び前記アダプタの双方と同時に当接可能な位置に配置されていることから、前記アダプタ及び前記異形被記録媒体の双方について、前記トレイのセット部から確実に外れない様にすることができる。
本発明の第13の態様は、上記第6から第12の態様のいずれかにおいて、前記被記録媒体保持位置が、前記トレイにセットされた被記録媒体の中心位置検出後、被記録媒体への記録開始を待つ記録前待機位置であることを特徴とする。
上記態様によれば、前記被記録媒体保持位置が、前記トレイにセットされた被記録媒体の中心位置検出後、被記録媒体への記録開始を待つ記録前待機位置であるので、中心位置検出の行われた被記録媒体への記録に際して、中心位置ずれを防止して良好な記録結果を得ることができる。
本発明の第14の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドと対向する領域へ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、前記トレイにセットされた被記録媒体の中心位置を検出する中心位置検出手段を有し、前記中心位置検出手段によって被記録媒体の中心位置を検出する動作を開始した後、被記録媒体への記録実行時まで、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされた状態が維持される様に前記搬送ローラを駆動制御する様構成されていることを特徴とする。
上記態様によれば、被記録媒体の中心位置検出を開始した後、被記録媒体への記録実行時まで、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域、即ち被記録媒体が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされた状態が維持されるので、中心位置検出の行われた被記録媒体への記録に際して、中心位置ずれを防止して良好な記録結果を得ることができる。
本発明の第15の態様は、被記録媒体に記録を行う記録装置であって、上記第1から第14の態様のいずれかに記載された前記トレイ送り制御装置を備えていることを特徴とする。
上記第15の態様によれば、記録装置において、上述した第1から第14の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
本発明の第16の態様は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記液体噴射ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被噴射媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置と、を備えた液体噴射装置であって、前記液体噴射装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記トレイにおける被噴射媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被噴射媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被噴射媒体保持位置に停止させることを特徴とする。
以下、本発明の実施形態について、以下の順に図面を参照しながら説明する。
1.第1実施形態
1−1.記録装置の構成
1−2.トレイSWが押下された際の制御
2.第2実施形態
2−1.記録装置の構成
2−2.拘束手段の第1実施例
2−3.拘束手段の第2実施例
2−4.異形薄板状体をセット可能なアダプタ、及びトレイの実施例
2−5.拘束手段の第3実施例
<1.第1実施形態>
[1−1.記録装置の構成]
先ず、図1乃至図4を参照しながら本発明の第1実施形態に係る「記録装置」、「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略構成について説明する。ここで、図1はプリンタ100の外観斜視図であり、図2は外部ハウジングを取り外した状態の同外観斜視図、図3はプリンタ100の側断面概略図である。また、図4はプリンタ100の各種制御を行う制御部150のブロック図である。
図1に示す様に、プリンタ100はボックス形の形状を成し、大凡、ビデオテープレコーダー程の大きさに形成されていて、テレビラック等へ収納された状態で使用されることを想定して構成されている。外観は図示する様にボックス形のハウジング103の前面にフロントカバー108が設けられて大略構成され、フロントカバー108は、手前側に向けて開いた状態(使用状態:図示せず)と図示する様に閉じた状態(非使用状態)とを回動自在に設けられ、開いた状態では、記録が行われた記録用紙の排出や、ディスクトレイ133(図2参照)の出し入れ動作が可能となる。フロントカバー108の下部には給紙トレイ130が着脱自在に設けられ、手前側に引き出して取り外すことにより、記録用紙をセットすることができる。フロントカバー108の上方にはインクカートリッジユニット115が設けられ、該インクカートリッジユニット115には、複数のインクカートリッジ116(図3参照)がプリンタ100の幅方向に並んで着脱自在に設けられている。
続いて、図2及び図3を参照しながらプリンタ100の内部構成について概説する。図2において、プリンタ100の装置本体は、下部シャーシ104と、装置本体の幅方向(主走査方向)に延びるメインフレーム105と、該メインフレーム105の両側に立設される、装置本体の奥行き方向(副走査方向)に平行なサイドフレーム右106及びサイドフレーム左107とによって、その基体が構成されている。サイドフレーム右106とサイドフレーム左107との間には主走査方向に延びる主キャリッジガイド軸111と副キャリッジガイド軸112とが副走査方向に所定の間隔を置いて軸支されている。
主キャリッジガイド軸111及び副キャリッジガイド軸112はキャリッジ113を主走査方向にガイドする為のガイド軸であり、主キャリッジガイド軸111はキャリッジ113の後部を挿通し、副キャリッジガイド軸112はキャリッジ113の前部を下から支持して、これによって記録ヘッド114(図3)と記録用紙Pとの間の距離(プラテンギャップ:以下「PG」と言う)が規定される。
続いて、図3を参照しながら「被記録媒体」「被噴射媒体」としての記録用紙P及びディスクDならびに「被搬送媒体」としてのディスクトレイ133の搬送経路を説明する。プリンタ100は、上述した様に装置底部に給紙トレイ130を着脱自在に備えている。給紙トレイ130には複数枚の記録用紙Pが堆積状態にセット可能となっていて、その底部には、ホッパ131が設けられている。ホッパ131は揺動軸131aを中心に揺動可能に設けられ、セットされた記録用紙Pを下方から押し上げることにより、上部に設けられた給送ローラ128に記録用紙Pの束を圧接させる。
給送ローラ128は側面視略D形の形状を成し、外周は高摩擦部材(例えば、ゴム材)によって形成されている。記録用紙Pの給送時には給送ローラ128の円弧部分に圧接した最上位の記録用紙Pが、給送ローラ128の回転によって、下流側(図3の右側)へ給送される。また、給送ローラ128の下部には、給送ローラ128の円弧部分と圧接する摩擦分離手段(図示せず)が設けられていて、当該摩擦分離手段と給送ローラ128との間で記録用紙Pを挟圧することにより、給送されるべき最上位の記録用紙Pと、重送されようとする次位以降の記録用紙Pとを分離する様になっている。
給送ローラ128の下流側には搬送用(PF)モータ164(図4参照)によって回転駆動される搬送駆動ローラ121と、該ローラに接して従動回転する搬送従動ローラ122とが設けられ(当該ローラ対を「搬送ローラ」という)、当該搬送ローラによって記録用紙Pをニップし且つ搬送駆動ローラ121が回転駆動されることにより、記録用紙Pが記録ヘッド114の下へ搬送される。搬送駆動ローラ121の下流側には記録ヘッド114とプラテン120とが上下に対向する様に設けられ、搬送された記録用紙Pは、プラテン120によって下から支持された状態において、記録ヘッド114から「液体」としてのインク滴が吐出(噴射)されることにより、記録が行われる。記録ヘッド114はキャリッジ113の底部に設けられているが、主走査方向に往復動する当該キャリッジ113にはインクカートリッジが搭載されておらず、キャリッジ113の主走査領域の上側に、上述した様に複数のインクカートリッジ116が、主走査方向に並んで着脱自在に配設されている。そして、図示を省略するインクチューブを介してキャリッジ113へとインクが供給される様になっている。
記録ヘッド114の下流側にはPFモータ164によって回転駆動される排出駆動ローラ123と該ローラに接して従動回転する排出従動ローラ124とが設けられ、これらローラによって記録用紙Pをニップし且つ排出駆動ローラ123が回転駆動されることにより、記録用紙Pがプリンタ100外部へ排出される。
一方、「被記録媒体」「被噴射媒体」としてのDVD(Digital Versatile
Disk)等に代表される光ディスクDをセット可能な、「被搬送媒体」としてのディスクトレイ(以下「トレイ」と言う)133は、給紙トレイ130の上方に配置されている。トレイ133の側端にはラック133a(図2参照)が形成され、該ラック133aと噛合する図示しないピニオン歯車の回動により、ほぼ水平に真っ直ぐに移動できる様に構成されている。そして、トレイ133は、前記ピニオン歯車の回動によってトレイ先端が搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とにニップされるまで搬送された後、以降は搬送駆動ローラ121の回転による駆動力を受けて、下流方向或いは上流方向に送られる。また、光ディスクDのセット時或いは取り出し時には、搬送駆動ローラ121の回転による駆動力を受けて図2の仮想線で示す位置(排出位置)まで送られる。尚、この様なトレイ133の出し入れ操作は、トレイSW136(図4)を押下することによって実行可能となっている。
続いて、図4を参照しながら制御部150、即ち本発明に係る「トレイ送り制御装置」としての制御部150の構成について説明する。制御部150は、プリンタ100に印刷情報を送信するホスト・コンピュータ1500との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ1500とのインタフェース(IF)151と、ASIC152、RAM153、PROM154、EEPROM155、CPU156、タイマIC157、DCユニット158、搬送用モータ(PFモータ)ドライバ161、キャリッジモータ(CRモータ)ドライバ160、ヘッドドライバ159を備えている。 CPU156はプリンタ100の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行い、タイマIC157は、CPU156に対して各種処理に必要な周期的な割り込み信号を発生させる。ASIC152は、ホスト・コンピュータ150からIF51を介して送信される印刷データに基づいて印刷解像度や記録ヘッド114の駆動波形等を制御するものである。RAM153は、ASIC152およびCPU156の作業領域や他のデータの1次格納領域として用いられ、PROM154およびEEPROM155には、プリンタ100を制御する為に必要な制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータが格納されている。
DCユニット158は、DCモータ(CRモータ163及びPFモータ164)の速度制御を行う為の制御回路であり、図示を省略するPID制御部、加速制御部、PWM制御回路等を有している。DCユニット158は、CPU156から送られてくる制御命令や、ロータリエンコーダ168、リニアエンコーダ192、記録用紙Pの通過を検出する紙検出器119、PWセンサ127、等の検出手段からの出力信号に基づいてDCモータの速度制御を行う為の各種演算を行い、CRモータドライバ160及びPFモータドライバ161へ信号を送出する。
PFモータドライバ161は、DCユニット158の制御の下、PFモータ164を駆動制御する。PFモータ164は、本実施形態においては複数の駆動対象、即ち、前述した給送ローラ128、搬送駆動ローラ121、排紙駆動ローラ123を回動させ、更に、トレイ133の側端に形成されたラック133a(図2参照)と噛合するピニオン歯車(図示せず)を回転駆動して、トレイ133の送りを行う。
CRモータドライバ160は、DCユニット158の制御の下、CRモータ163を駆動制御することによりキャリッジ113を主走査方向に往復動させ、または停止・保持させる。ヘッドドライバ159は、CPU156の制御の下、ホスト・コンピュータ150から送信された印刷データに従って記録ヘッド114を駆動制御する。
CPU156およびDCユニット158には、搬送される用紙Pの始端および終端を検出する紙検出器119からの検出信号と、PFモータ164の回転量、回転方向、回転速度を検出する為のロータリエンコーダ168からの出力信号と、キャリッジ113の主走査方向における絶対位置を検出するリニアエンコーダ192からの出力信号とが与えられる。また、CPU156及びDCユニット158には、PWセンサ127からの出力信号も与えられる。このPWセンサ127は、キャリッジ113の底部に設けられる光学センサであり、記録用紙P或いはトレイ133に向けて発光する発光部(図示せず)と、記録用紙P或いはトレイ133からの反射光を受光する受光部(図示せず)とを備えて構成され、キャリッジ113の走査によって記録用紙Pの幅を検出するとともに、トレイ133に付された識別マーク(図示せず)を認識することにより、トレイ133の送り方向位置を検出する為に用いられる。更に、トレイ133上のディスクDの有無の検出や、ディスクDの中心位置の検出にも用いられる。
ロータリエンコーダ168は、プーリ191に取り付けられる、外周部に多数の透光部168cを有する円盤状スケール168bと、透光部168cに対して発光する発光部(図示せず)および前記透光部を通過した光を受光する受光部(図示せず)を備えて構成された検出部68aと、を有している。ここで、プーリ191は無端ベルト190を介してPFモータ164によって回動駆動される。プーリ191は軸167を回動軸とする歯車170と一体に形成され、歯車170は、搬送駆動ローラ121の軸端に取り付けられた歯車171と噛合する。従ってこれにより、PFモータ164の動力が搬送駆動ローラ121に伝達される。
円盤状スケール168bが回動すると、検出部168aは透光部168cを通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、制御部150は、この様なロータリエンコーダ168からの出力信号を受信することによって、搬送駆動ローラ121の回転量、回転速度、回転方向を検出し、これにより、目的とする記録用紙P或いはトレイ133の送り制御を実行することができる様になっている。
続いて、リニアエンコーダ192は、主走査方向に長い符号板(図示せず)と、該符号板において主走査方向に複数形成された透光部(図示せず)に対して発光する発光部(図示せず)および前記透光部を通過した光を受光する受光部(図示せず)から構成され、前記透光部を通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、キャリッジ113の主走査方向における絶対位置を検出する。
尚、制御部150には電源SW135およびトレイSW136からの信号も入力される。電源SW135はプリンタ100を休止状態(電源オフ状態)とする為の操作スイッチであり、トレイSW136は、トレイ133の出し入れを行う為の操作スイッチである。これらのスイッチが押下されると、当該押下されたことを示す信号が制御部150へと送信され、必要な制御が実行される。
[1−2.トレイSWが押下された際の制御]
以上がプリンタ100の概略であり、以下、電源SW135或いはトレイSW136(図4)が押下された際の制御について図5乃至図8を参照しながら説明する。ここで、図5はトレイSW136が押下された際の制御内容を示すフローチャート、図6は電源SW135が押下された際の制御内容を示すフローチャート、図7はトレイ133の各位置を示す説明図、図8はプリンタ100の電源オフ状態における側断面概略図である。
図5において、トレイSW136の押下信号が入力すると(ステップS101の肯定枝)、現在のトレイ位置を判断する(ステップS102)。ここで、トレイ位置は、図7(A)に示す格納位置と、図7(B)に示す排出位置と、図7(C)に示す「被記録媒体保持位置」を兼ねる頭出し位置とがある。図7(A)に示す格納位置は、トレイ133が最も上流側(図3の左側:図7の上側)に送られる位置であり、トレイ133が当該格納位置にあるときには、給紙トレイ130(図2)からの給紙が実行可能となっている。図7(B)に示す排出位置は、トレイ133が最も下流側(図3の右側:図7の下側)に送られる位置であり、トレイ133が当該排出位置にあるときに、トレイ133へのディスクDのセットが可能となる。図7(C)に示す頭出し位置は、ディスクDへの記録実行を開始する際の最初の位置であるとともに、後述するようにディスクDがトレイ133にセットされ、且つ、プリンタ100が電源オフ状態となったときのトレイ133の位置、即ち被記録媒体保持位置である。
次に、現在位置が格納位置または頭出し位置にあるときには、トレイ133を排出位置まで移動する(ステップS107)。これにより、ユーザはトレイ133にディスクDをセットしたり、或いは、セットしたディスクDを取り出すことができる。
一方、現在位置が排出位置にあるときには、ディスク中心検出制御を実行する(ステップS103)。ディスク中心検出ルーチンは、キャリッジ113の底部に設けられたPWセンサ127(図4)を利用して、キャリッジ113の移動による主走査および搬送駆動ローラ121の回転による副走査を実行しながら、ディスクDの中心位置を求める制御である。これによってディスクDの中心位置をセットされたディスクDから直接求めることで、ディスクDの位置を正確に把握することができ、ディスクDへ正確に記録実行することができる。
ここで、ディスク中心検出制御を実行した結果、ディスクDがセットされていないと判断された場合には(ステップS104の肯定枝)、ディスクDへの記録動作を実行する必要がないので、トレイ133を格納位置へ移動させる(ステップS106)。一方、ディスクDがトレイ133にセットされている場合には(ステップS104の否定枝)、ディスクDへの記録動作に備えて、トレイ133を頭出し位置へ送る(ステップS105)。これにより、後に記録データを受信した際には、速やかに記録動作を開始することができる。
次に、電源オン状態において電源SW135が押下された場合について図6を参照しながら説明する。電源SW135の押下信号が入力すると(ステップS201の肯定枝)、トレイ133のディスクDの有無を判定する(ステップS202)。ディスクDの有無は、上述したディスク中心検出制御による検出結果がRAM153(図4)に書き込まれており、これにより、ディスクDの有無を判別することができる。尚、電源SW135が押下された際に、改めて上述したディスク中心検出制御或いはディスクDの有無のみを検出する制御を実行して、ディスクDの有無を検出する様にしても良い。
ディスクDがセットされていない場合(ステップS202の肯定枝)、EEPROM155(図4)に”メディア無し”フラグを記録する(ステップS203)。ここで、揮発性のRAM153に書き込まず不揮発性のEEPROM155に書き込むのは、プリンタ100の電源をオフにしてもディスクDの有無情報を保持する為である。そして、トレイ133を格納位置へと移動し、終了する(電源がオフ状態となる)。
一方、ディスクDがセットされている場合(ステップS202の否定枝)、EEPROM155(図4)に”メディア有り”フラグを記録し(ステップS205)、トレイ133を頭出し位置へと移動する(ステップS206)。
ここで、ディスクDがセットされている場合には、上述の通りトレイ133が頭出し位置へ移動するが、当該頭出し位置においては、図8に示す様に、ディスクDが搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とによってニップされた状態になる。
これにより、以下の様な作用効果を得ることができる。即ち、トレイ133にディスクDがセットされた状態において、トレイ133が図3に示す様な格納位置にあるときにはディスクDは非拘束状態になるので、プリンタ100の取り扱い時或いは輸送時等にプリンタ100を傾けたり天地逆にした際に、プリンタ100内部においてディスクDがトレイ133から脱落し、復旧不可能となる虞がある。
しかし、上述の通りトレイ送り制御装置としての制御部150は、プリンタ100が電源オフ状態(休止状態)へ遷移する際に、ディスクDが搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とにニップされた状態となる頭出し位置(被記録媒体保持位置)にトレイ133を送り、そして停止させるので、プリンタ100が電源オフ状態(休止状態)にあるときにはトレイ133にセットされたディスクDが必ずニップされた状態(拘束状態)となり、これにより、取り扱い時或いは輸送時等にプリンタ100を傾けたり天地逆にした際に、プリンタ100内部においてディスクDがトレイ133から脱落するといった不具合を招くことがない。また、既存の構成要素即ち搬送駆動ローラ121および搬送従動ローラ122を利用するので、コストアップを招くことなく、ディスクDがトレイ133から脱落する不具合を防止することができる。
更に、ディスクDがトレイ133にセットされていない状態で電源SW135が押下された場合には、トレイ133は頭出し位置(被記録媒体保持位置)に送られず、格納位置へと送られる。従って、再び電源SW135が押下されて記録待機状態となった際に、トレイ133の搬送動作を介在させずに、速やかに記録用紙Pへの記録動作を開始することができる。
尚、本実施形態においては、図7(C)および図8に示す様にディスクDへの記録を開始する際の頭出し位置が、トレイ133の「被記録媒体保持位置」となっているが、この被記録媒体保持位置は、搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とによってディスクDがニップされる様なトレイ133の位置、即ちディスクDのセット領域が搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とによってニップされる位置であれば、どの様な位置であっても構わない。尚、この場合においては、トレイ133の先端がプリンタ100の外部に突出していないことが望ましい。
また、トレイ133におけるディスクDの有無を検出する「検出手段」としてのPWセンサ127(図4)と、ディスクDの有無の検出結果を記憶する「記憶手段」としてのEEPROM155(図4)とを備え、プリンタ100が電源オフ状態(休止状態)へ遷移する際に、ディスクDの有無情報をEEPROM155に記録するので、プリンタ100が電源オフ状態から記録待機状態(電源オン状態)へ復帰する際に、前記検出結果に応じた種々の制御を行うことが可能となる。例えば、記録待機状態へ復帰する際に、ディスクD”有り”が記録されている場合には、上述したディスク中心検出制御を実行して再びトレイ133を頭出し位置へ送った状態にしておけば、ディスクDがより正確な頭出し位置に配置された状態となり、そして即座に記録動作を開始することができる。
尚、トレイ133を上記被記録媒体保持位置へ送り且つ停止させることにより、トレイ133からのディスクDの脱落を防止できるといった作用効果が得られる場合としては、上述した電源オフ状態或いは休止状態に限られず、即ち搬送駆動ローラ121の駆動即ちトレイ133の送り動作を停止して、当該トレイ133の次の送り動作の開始を待つ待機状態であれば良い。従ってこの様な待機状態において、ディスクDを搬送駆動ローラ121と搬送従動ローラ122とにニップされた状態即ち拘束状態とすることで、取り扱い時或いは輸送時等にプリンタ100を傾けたり天地逆にした際に、プリンタ100内部においてディスクDがトレイ133から脱落するといった不具合を防止することができる。
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について図9乃至図27を参照しながら説明する。
[2−1.記録装置の構成]
図9は、本実施形態に係る記録装置の正面及び左側面を示す上方からの外観斜視図である。図10は、ハウジングを外した本実施の形態に係る正面及び左側面を示す上方からの斜視図である。
図11乃至図13は、セット部に光ディスクのセットされたトレイが待機位置にある状態の記録装置を各方向から示したものであって、図11は、記録装置の平面(上面)及び右側面を示す前方(正面側)からの斜視図であり、図12は、記録装置の平面(上面)及び右側面を示す後方(背面側)からの斜視図であり、図13は、記録装置の上方からの平面図である。
図14は、記録装置の主要部を示す記録装置の右側断面図である。図15は、トレイにセットされた被記録媒体(薄板形状を成す被記録媒体:薄板状体)としての光ディスクを搬送中の記録装置についての上方からの平面図である。図16は、待機位置に位置するトレイにセットされた光ディスクを拘束する拘束手段の第2の実施例を示す要部拡大図である。
まず、図9乃至図15を参照しつつ、記録装置1の概略構成について説明し、次に被記録材の搬送について説明した後、トレイ50にセットされた被記録媒体としての光ディスク(薄板状体)101を拘束する拘束手段65の第1の実施例について説明し、続いて図16を参照しつつ、トレイ50にセットされた光ディスク101を拘束する拘束手段65の第2の実施例について説明する。
図9に示すように、記録装置1は、その外観が略箱形状のハウジング3に形成され、下部には被記録材の一例である記録用紙Pを積畳可能な給紙カセット10を備え、前面は下端部分(図9の符号5a)を中心に前方へと回転して開くように構成された前カバー5で覆われ、上面部分にはインクカートリッジ21(図14も参照)を収容可能なインク収容部20が設けられている。
図10は、記録装置1から前記ハウジング3、前記インク収容部20等が外された状態であり、記録装置1の内部を示している。記録装置1の内部には、「被搬送媒体」としてのトレイ50(図10の実線)が備えられており、該トレイ50には、記録面101aを有する被記録媒体(薄板状体)である光ディスク101をセット可能なセット部52が設けられている。
該セット部52は、凹状の円形溝であり、その中心部分には凸部53が設けられている。セット部52である円形溝の直径は、CD−RやDVD等の光ディスク101の外径と略同寸法である。前記凸部53の外径は光ディスク101の中央に設けられた穴の直径と略同寸法であり、また当該円形溝の深さとなる凸部53の高さは、光ディスク101の厚さと略同寸法(図14も参照)であり、当該円形溝に光ディスク101を嵌め込むようにしてセット可能となっている。
すなわちセット部52は、セットされた(嵌め込まれた)光ディスク101がトレイ50に対して当該トレイ50の平面と平行な方向(本実施例においては、水平方向)に相対的にずれないように形成されている。
図11、図12、図13に示すようにトレイ50は幅方向の両端部を案内部材90に支持され、図14に示すように案内部材90はトレイ50を上下から挟み込むように構成されており、トレイ50は、案内部材90に沿って記録装置1の前後方向(以下、副走査方向と言う)にスライド可能となっている。
記録装置1の前カバー5を前方に開いた状態において、トレイ50は、主に補助搬送手段70、搬送手段40(図14を参照)によって、記録装置1内部の待機位置60から記録装置1の前方に向かって進出して突き出ること(図10の一点鎖線)が可能であるように構成され、突き出た状態のトレイ50に対して光ディスク101をセットすること及び取り外すことができる。また、トレイ50は、主に補助搬送手段70及び搬送手段40の連携によって、記録装置1の前方に突き出た状態から再び記録装置1の内部の待機位置60に引き戻すことが可能であるように構成されている。
ここでの待機位置60とは、上述した第1実施形態における「格納位置」(図7(A)参照)と同様な位置であり、即ち記録装置1の電源を切っているときや、記録用紙Pに対して記録を実行するとき等のトレイ50を使用しないときに、トレイ50を格納する位置であり、トレイ50が当該待機位置60に位置する際には、当該トレイ50は搬送手段40から離間された状態にある。
尚、既述したように待機位置60は、トレイ50を使用しないときに該トレイ50を格納する位置であり、本来トレイ50に光ディスク101をセットしたまま、当該トレイ50を待機位置60に格納することは、通常はしないしその必要性もない。
しかしながら、光ディスク101をセット部52にセットしたまま、図10乃至図14に示すようにトレイ50を待機位置60に格納することは、構造的には可能であり、また、トレイ50は、誤動作や誤操作によっても、光ディスク101をセット部52にセットしたまま待機位置60に格納されることがある。
図14に示すように、搬送手段40の前方、すなわち図14における搬送手段40の左側には、排出手段80が備えられ、搬送手段40と排出手段80との間の、上方には記録手段30が備えられ、下方にはプラテン25が備えられ、前記記録手段30の上方には前記インク収容部20が位置して、該インク収容部20に備えられたインクカートリッジ21から前記記録手段30にインクを供給可能であるように構成されている。
また、記録手段30の後方、すなわち図14における記録手段30の右側には、側面視D字状に形成された給紙ローラ15が備えられており、前記給紙カセット10には、ホッパ揺動中心12aを中心に揺動可能なホッパ12が備えられており、当該ホッパ12が積畳された記録用紙Pを下方から押し上げることで、当該記録用紙Pを給紙ローラ15に押圧可能であるように構成されている。
そして、記録用紙Pが押圧された状態で給紙ローラ15を、図14の時計回りに回転させることで、前記給紙カセット10に積畳された記録用紙Pを記録手段30に向けて単位数ずつ給紙可能に構成されている。
給紙カセット10の上方には、前記トレイ50の待機位置60が位置しており、該待機位置60の上方には、光ディスク101がセット部52から外れることを防止するように構成された拘束手段65としての第1の拘束部材66が備えられている。
該第1の拘束部材66は、図12乃至図14に示すように一方の端部が回転中心(以下、拘束部材回転中心66aと言う)となるようにフレーム62に軸支され、他端(以下、第1の拘束部材66の先端部分と言う)が光ディスク101のセットされたトレイ50が少なくとも待機位置60にあるときに、光ディスク101と当接可能であるように構成されている。
そして、第1の拘束部材66は先端部が、光ディスク101と当接することで、当該光ディスク101がトレイ50の平面に対して垂直な方向(本実施例においては、鉛直方向)に移動することを阻止可能であるように構成されている。
また本実施例では、図10におけるトレイ50の右端辺部(トレイ50自身の左端辺部)を支持する案内部材90も拘束手段65であり、当該案内部材90は光ディスク101の外縁部分101cと当接可能な外縁部拘束部材としての第2の拘束部材67aを兼ねている。尚、拘束手段65の詳細については後述する。
図10における記録装置1の左部分(記録装置1自身の右部分)には、前記搬送手段40、前記排出手段80等にモータ27の動力を伝達可能であるように構成された駆動部85が備えられている。
該駆動部85は、モータ27からの動力の伝達経路を切り換えて、前記補助搬送手段70へと動力を伝達可能に構成された動力伝達切換手段86を有し、さらに、該動力伝達切換手段86は、モータ27からの動力の伝達経路を切り換えて、前記記録手段30をプラテン25の上面と垂直な方向に移動させること、すなわち前記記録手段30の位置(高さ)を変更することが可能であるように構成されている。
前記補助搬送手段70は、図10におけるトレイ50の左端辺部(トレイ50自身の右端辺部)に設けられたラック54と歯合可能な歯車(図示せず)を有する歯車列72(図12も参照)を備え、該歯車列72は前記モータ27の動力を前記動力伝達切換手段86から受けて、トレイ50に設けられたラック54を駆動可能であるように構成されている。
補助搬送手段70及びラック54に伝えられる動力は、前記動力伝達切換手段86によって、動力の伝達経路を切り換えることで遮断することも可能である。
そして補助搬送手段70は、ラック54を駆動することで、トレイ50を格納可能な待機位置60と前記搬送手段40との間の当該トレイ50の搬送を実行可能であるように構成されている。
前記搬送手段40は、記録装置1の幅方向(図13の上下方向又は図14の紙面表裏方向であって、以下、主走査方向と言う)に伸びる搬送用駆動ローラ(搬送駆動ローラ)41と、該搬送用駆動ローラ41と対をなすように設けられた複数の搬送用従動ローラ(搬送従動ローラ)42と、を備えている。搬送用駆動ローラ41は、「搬送用モータ」としてのモータ27によって駆動されるように構成されており、各搬送用従動ローラ42は、搬送用従動ローラホルダ421に軸支されている。尚、説明を容易にするため、図14には搬送用従動ローラホルダ421を図示していない。
該搬送用従動ローラホルダ421は、搬送用従動ローラ42が搬送用駆動ローラ41に対して接離可能であるように設けられ、図示しない搬送用従動ローラ付勢手段によって搬送用従動ローラ42が搬送用駆動ローラ41に向かうように付勢されている。
そして搬送手段40は、トレイ50を搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42との間に挟持した状態で、搬送用駆動ローラ41をモータ27によって間欠的に回転駆動することで、当該トレイ50を前記案内部材90に沿って所定の搬送量ずつ間欠的に搬送可能であり、同様に当該トレイ50に光ディスク101をセットしたまま搬送することができるように構成されている。
搬送手段40の前方に設けられた排出手段80は、前記搬送用駆動ローラ41と平行、すなわち主走査方向に伸びる排出用駆動ローラ81と、周囲に鋭角的に尖った歯を複数有する排出用従動ローラ82と、を備えている。排出用駆動ローラ81は、モータ27によって駆動されるように構成されており、排出用従動ローラ82は、排出用フレーム821に備えられた排出用従動ローラホルダ(図示せず)に軸支され、前記排出用駆動ローラ81と対をなすように設けられている。尚、説明を容易にするため、図14には排出用フレーム821を図示していない。
排出用フレーム821は、排出用従動ローラ82が前記排出用駆動ローラ81に対して接離可能であるように設けられ、図示しない排出用従動ローラ付勢手段によって排出用従動ローラ82が排出用駆動ローラ81に向かうように軽く付勢されている。
また、排出用フレーム821は、排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間を通るトレイ50によって従動回転する円筒状のころ83を備えている。トレイ50は排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間を通る際に、前記ころ83を排出フレーム821ごと押し上げて、排出用従動ローラ82を前記排出用駆動ローラ81から離間する。
そして、トレイ50が排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間を通っている際には、当該排出用従動ローラ82がトレイ50にセットされた光ディスク101と接しないようにするように構成されている。
搬送手段40と排出手段80との間に備えられた記録手段30は、図10乃至図15に示すように、前記主走査方向に伸びる2本のキャリッジガイド軸35a、35bに支持されて、キャリッジ駆動モータ36の動力をベルト37(図10、図11を参照)から受けて主走査方向に往復移動可能なキャリッジ31を備え、該キャリッジ31の下部には、前記インクカートリッジ21から供給されたインクを被記録材(被記録媒体)である記録用紙Pや光ディスク101等に向けて吐出可能なインク吐出口(図示せず)を有する記録ヘッド32(図14を参照)が設けられている。
記録手段30の下方に設けられたプラテン25は、搬送手段40によって搬送される被記録材を下方から支持可能であるように構成され、プラテン25における記録ヘッド32と対向する面には、主走査方向に伸びる長溝が設けられている。該長溝には、記録用紙P等の被記録材の端部からはみ出た領域にまでインクを吐出した際に当該はみ出た領域に打ち捨てられたインクを吸収可能なインク吸収体25aが備えられており、所謂四辺縁無し印刷が可能であるように構成されている。
続いて記録装置1による被記録材及び被記録材である光ディスク101をセット可能なトレイ50の搬送について説明する。
記録用紙Pのような被記録材は、給紙ローラ15によって給紙カセット10から単位数ずつ給紙されて、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42との間に挟持される。
また、トレイ50は、補助搬送手段70によって待機位置60から前方に向けて搬送されると、当該トレイ50が搬送用従動ローラホルダ421を押し上げるようにして、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42との間に挿入され、両ローラ41、42の間に挟持される。
そして、記録用紙Pやトレイ50が搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42との間に挟持された状態で、搬送用駆動ローラ41をモータ27によって間欠的に回転駆動することで、記録用紙Pやトレイ50は所定の搬送量ずつ間欠的に搬送される。
尚、トレイ50の搬送においては、搬送手段40による搬送力が作用する状態になった後は、前記補助搬送手段70への動力伝達は遮断されるようになっている。
搬送手段40から前方に向けて搬送された記録用紙Pやトレイ50は、プラテン25に支持されて排出手段80に向かい、排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間に挟持される。
この際トレイ50は、搬送手段40によって前方に向けて搬送されると、排出用フレーム821がトレイ50から遠ざかるようにころ83を押し上げる。そのままトレイ50は前方に搬送され、前記排出用従動ローラ82とセット部52にセットされた光ディスク101の記録面101aとが接しない程度の間隔を保ちながら、当該トレイ50は排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間に挿入される。
そして排出手段80は、記録用紙Pやトレイ50を排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間に位置させた状態、すなわち記録用紙Pやトレイ50を排出用駆動ローラ81と排出用従動ローラ82との間に挟持した状態で、排出用駆動ローラ81をモータ27によって回転駆動することで、記録用紙Pを記録装置1の前方に向けて排出する。
図15に示すように、被記録材である記録用紙Pやトレイ50にセットされた光ディスク101が搬送手段40又は排出手段80によって、記録手段30とプラテン25との間を通るように搬送される際に、記録手段30に備えられたキャリッジ31は主走査方向に移動して、該キャリッジ31に備えられた記録ヘッド32は被記録材に対して前記インク吐出口からインクを吐出して記録を実行する。
すなわち記録ヘッド32は、副走査方向に所定の搬送量ずつ間欠的に搬送される記録用紙Pに対して、前記インク吐出口からインクを吐出することで記録を実行可能である。また、インク吐出口から記録用紙Pの各端部からはみ出た領域にもインクを吐出することで、所謂四辺縁無し印刷を実行可能である。
記録ヘッド32は、図15に示すように、トレイ50にセットされたままプラテン25に沿って副走査方向に所定の搬送量ずつ間欠的に搬送される光ディスク101の記録面101aに対して、所謂レーベル印刷を実行することも可能である。
既述したように、記録手段30の高さは前記駆動部85によって変更可能であり、プラテン25と記録ヘッド32との距離、所謂プラテンギャップ(記録ヘッド32と被記録材との距離としてペーパーギャップと言うこともある)を被記録材の厚さに合わせて調整することで、記録ヘッド32と被記録材の記録面との距離を記録に適した大きさにすることが可能である。
記録実行後、記録用紙Pのように被記録材のみが搬送され、該被記録材に記録を実行するような場合には、被記録材はそのまま前方に送られ、最終的には搬送手段40から離れて排出手段80によって記録装置1の外部へと完全に排出される。
トレイ50にセットされた光ディスク101に記録を実行する際にも同様にトレイ50ごと完全に記録装置1の外部へと排出することも可能であるが、本実施例では、図10の一点鎖線のように、光ディスク101のセット及び取り外しが可能な程度まで前方に突き出た位置(ディスクセット可能位置)でトレイ50が止まるように構成されている。
そして図10の一点鎖線のようにトレイ50が突き出て停止した後、利用者が記録装置1に設けられたボタン(図示せず)を押すことや記録装置1に接続されたコンピュータ(図示せず)から指令が記録装置1に送られること等によって、トレイ50は待機位置60に向かって搬送される。
トレイ50を待機位置60に格納する際には、当該トレイ50を搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42との間に挟持した状態で、モータ27によって搬送用駆動ローラ41をトレイ50が待機位置60に向かう方向に回転させて、トレイ50を待機位置60に近づけ、その後、再び動力伝達状態に切り換えられた補助搬送手段70によって、搬送手段40から外れたトレイ50を待機位置60まで搬送する。
以上が、本発明に係る記録装置1の概略構成及び記録用紙Pや光ディスク101のセットされたトレイ50の搬送についての説明であり、記録装置1は、記録用紙Pやトレイ50の搬送が可能であり、記録用紙Pに対する所謂四辺縁無し印刷、及び光ディスク101に対するレーベル印刷が可能であり、またトレイ50を待機位置60から前方に向けて搬送すること及び待機位置60に格納することが可能であることを説明した。
尚、当該第2実施形態に係る記録装置1は、図4に示す制御部150と同じ構成の装置、即ち「トレイ送り制御装置」を有しており、当該トレイ送り制御装置によって、上記搬送手段40、補助搬送手段70が駆動制御される。
[2−2.拘束手段の第1実施例]
次に、本発明に係る拘束手段65について説明する。まず主に図11、図12及び図14を参照しつつ、拘束手段65の第1の実施例について説明する。
既述したように、トレイ50のセット部52は円形溝であり、セットされた光ディスク101が水平方向に相対的にずれないように形成されている。
さらに、図10乃至図13に示すように、記録装置1は、光ディスク101のセットされたトレイ50が少なくとも待機位置60にあるときには、光ディスク101が鉛直方向に移動することを阻止可能であり、光ディスク101がセット部52から外れることを防止するように構成された拘束手段65の第1の実施例として第1の拘束部材66と第2の拘束部材67aとを備えている。
第1の拘束部材66は、図14に示すように拘束部材回転中心66aがフレーム62に軸支されており、図10乃至図14に示すように第1の拘束部材66の先端部分が、待機位置60にあるトレイにセットされた光ディスク101の中央部分101bと当接可能であるように構成されている。
したがって、トレイ50が少なくとも待機位置60にあるときには、セット部52にセットされた光ディスク101は、当該セット部52によって水平方向の動きが制限されているだけでなく、前記第1の拘束部材66によって鉛直方向の動きも制限されているため、当該光ディスク101はセット部52から外れないようになっている。
また、図12及び図13に示すように、前記フレーム62と第1の拘束部材66との間には、該第1の拘束部材66をトレイ50に向けて押圧するように付勢する付勢手段としてのコイルばね68が備えられている。該コイルばね68は、第1の拘束部材66が待機位置60にあるトレイ50にセットされた光ディスク101の中央部分101bをトレイ50に向けて押圧する。
さらに、第1の拘束部材66の先端部分には、光ディスク101と当接可能な当接用ローラ69が軸支されており、該当接用ローラ69は、トレイ50と共に搬送される光ディスク101と当接した際に当該光ディスク101によって従動して回転するように構成されている。
第1の拘束部材66の先端部分(当接用ローラ69)が、待機位置60にあるトレイ50のセット部52にセットされた光ディスク101の中央部分101bと当接可能に構成されているため、当該光ディスク101の大きさに関係無く、当該光ディスク101がセット部52から外れないように拘束し、当該光ディスク101をセット部52に留めることができる。
すなわち、一般に光ディスクの一例であるコンパクトディスクの大きさは2種類(外径12[cm]と外径8[cm])あるが、どちらの大きさのコンパクトディスクも凸部53と嵌合可能な穴を有し、セット部52にセット可能である。そして中央付近(例えば、中央部分101b)を押さえるように構成された拘束手段(例えば、第1の拘束部材66)を用いることで、前記2種類のコンパクトディスクは、どちらもセット部52から外れないように拘束することができる。
また第1の拘束部材66には、待機位置60にあるトレイ50のセット部52にセットされた光ディスク101をトレイ50に向けて押圧するように、コイルばね68が設けられている。そのため、記録装置1に衝撃や振動が加わっても、当該コイルばね68によって吸収され、光ディスク101が暴れてセット部52から外れることや破損すること等を防止できるようになっている。
さらに、第1の拘束部材66の先端部分に設けられた当接用ローラ69は、副走査方向に搬送される光ディスク101の外周部分と当接しても、光ディスク101に従動して、光ディスク101が搬送される方向に回転する。そのため、第1の拘束部材66の先端部分が、光ディスク101の外周部分に引っ掛かることや、光ディスク101とトレイ50との間に入り込んでしまうことは無く、光ディスク101が第1の拘束部材66の先端部分によってセット部52から押し出されてしまうようなこともなく、円滑な搬送を実現できる。
既述したように、第1の拘束部材66は、光ディスク101の中央部分101bと当接可能であるため、他に光ディスク101を拘束する手段を必要とはしないが、本実施例に係る記録装置1は、待機位置60にあるトレイ50のセット部52にセットされた光ディスク101を、より確実にセット部52に留めるために、光ディスク101における外縁部分101cと当接可能な外縁部拘束部材としての第2の拘束部材67aも備えている。
該第2の拘束部材67aは、前記案内部材90でもあり、該案内部材90と光ディスク101における外縁部拘束部材(第2の拘束部材67a)とを兼ねることで、部品点数の低減及び構造の簡素化を図っている。
尚、拘束手段65は、光ディスク101がセット部52から外れないように、当該光ディスク101の動き(本実施例においては、鉛直方向の動き)を制限できれば良く、常に光ディスク101と当接している必要はない。
トレイ50を上下から挟み込む案内部材90でもある第2の拘束部材67aは、トレイ50にセットされた光ディスク101の記録面101aと密着しない程度の余裕を有するように構成するのが好ましい。
すなわち、図10乃至図13のようにトレイ50が待機位置60にあるときに、第2の拘束部材67aは記録面101aの一部分を覆っているが、当該第2の拘束部材67aと記録面101aとの間には、光ディスク101が鉛直方向に移動可能で、且つ当該光ディスク101がセット部52から外れない程度の小さな隙間があるように構成されているのが好ましい。
該隙間を設けることで、第2の拘束部材67aは光ディスク101の記録面101aの一部を覆っても、第2の拘束部材67aと記録面101aとが密着せず、記録面101aに第2の拘束部材67aが長時間当接したままであることに起因する問題(当接痕等)の発生を防止でき、記録品質の低下を招くことがない。
また、第1の拘束部材66のように、光ディスク101のセットされたトレイ50が待機位置60に位置する際には、記録を施さない領域である非記録部分としての中央部分101bと接する構成とすることによっても、記録面101aに当接痕等が発生することを防止できる。
尚、本実施例においてトレイ50が待機位置60に向かうとき、若しくは待機位置60から前方に向かうとき、第1の拘束部材66の先端部分(当接用ローラ69)は、光ディスク101における中央部分101bよりも後方に位置する記録面101aと接するが移動中のみであり、長時間接することはないので、その影響はほとんど無い。
[2−3.拘束手段の第2実施例]
以上が、本発明に係る拘束手段65の第1の実施例についての説明であり、次に図16を参照しつつ、本発明に係る拘束手段65の第2の実施例について説明する。図16は本発明に係る拘束手段65の第2の実施例を示しており、記録装置1に対して図12と同様の方向から、第2の実施例に係る拘束手段65付近を拡大した要部拡大図となっている。ここで、記録装置1全体としての構成は第1の実施例と同様であるため、同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図16に示す第2の実施例にかかる拘束手段65は、トレイ50のセット部52にセットされた光ディスク101の外縁部分101cと当接可能な2つの外縁部拘束部材(第2の拘束部材67aと第3の拘束部材67b)を備えている。第2の拘束部材67a及び第3の拘束部材67bは、トレイ50が待機位置に位置する際に、光ディスク101の中央部分101bを挟むように位置する2カ所の外縁部分101cと当接可能であり、光ディスク101は鉛直方向の動きが制限されてセット部52から外れないようになっている。
図16において、トレイ50は、待機位置60に位置しており、当該トレイ50は幅方向の両端部を案内部材90に支持され、両案内部材90はそれぞれトレイ50を上下から挟み込むように構成されており、トレイ50は、案内部材90に対して副走査方向にスライド可能となっている。
そして、2つの案内部材90は、一方が第2の拘束部材67aを兼ね、他方が第3の拘束部材67bを兼ねるように構成されている。
尚、本実施例においても拘束手段65は、光ディスク101がセット部52から外れないように、当該光ディスク101の動き(本実施例においては、鉛直方向の動き)を制限できれば良く、常に光ディスク101と当接している必要はない。
トレイ50を上下から挟み込む案内部材90でもある第2の拘束部材67a及び第3の拘束部材67bは、トレイ50にセットされた光ディスク101の記録面101aと密着しない程度の隙間を有するように構成されているのが好ましい。
すなわち、トレイ50が待機位置60にあるときに、第2の拘束部材67a及び第3の拘束部材67bは記録面101aの一部分を覆っているが、両拘束部材67a、67bと記録面101aとの間には、光ディスク101が鉛直方向に移動可能で、且つ当該光ディスク101がセット部52から外れない程度の小さな隙間があるように構成されているのが好ましい。
該隙間を設けることで、第2の拘束部材67a及び第3の拘束部材67bは光ディスク101の記録面101aの一部を覆っても、各拘束部材67a、67bと記録面101aとが密着せず、記録面101aに各拘束部材67a、67bが長時間当接したままであることに起因する問題(当接痕等)の発生を防止でき、記録品質の低下を招くことがない。
[2−4.異形薄板状体をセット可能なアダプタ、及びトレイの実施例]
続いて、図17乃至図19を参照しながら、トレイのセット部と輪郭の異なる被記録媒体(薄板状体)である異形被記録媒体(異形薄板状体)をセット可能なアダプタ、及び該アダプタを装着可能なトレイの実施例について説明する。ここで、図17は当該実施例に係るトレイ350の平面図、図18はアダプタ450の平面図、図19はトレイ350、アダプタ450、8cmCD201の斜視図(分解斜視図)である。
既述したように、光ディスクの一例であるコンパクトディスクには、外径12[cm]のものと、外径8[cm]のものがある。ここでは、外径12[cm]のコンパクトディスク(以下、12cmCD101と言う)を、セット部351に直接セットすべき被記録媒体、すなわちセット部351と輪郭が略同形状の被記録媒体の一例とするとともに、外径8[cm]のコンパクトディスク(以下、8cmCD201と言う)を、アダプタ450と共にセット部351にセットすべき被記録媒体、すなわちセット部351と輪郭の異なる被記録媒体である異形被記録媒体(異形薄板状体)の一例として、説明を進める。
図17に示すトレイ350は、上述したトレイ133、トレイ50と同様に板状体によって成され、12cmCD101をセット可能に構成されるとともに、リング状の形状を成すアダプタ450を介して、8cmCD201(図19参照)をセット可能に構成されている。また、トレイ350の側端にはラック354が形成され、図13に示す搬送補助手段70及び搬送手段40の連携によって、記録装置1の前方に進出して12cmCD101、8cmCD201、アダプタ450をセット可能な状態となり、且つ、前方に進出した状態から待機位置60まで引き戻すことが可能であることも、既に述べたトレイ133、トレイ50と同様である。更に、12cmCD101或いは8cmCD201をセットした状態では、トレイ350と、12cmCD101或いは8cmCD101と、アダプタ450(8cmCD201セット時)のそれぞれの上面が段差なく面一となる様に構成され、搬送時の引っ掛かりを防止可能となっていることも、既に述べたトレイ133及びトレイ50と同様である。
図17において、符号351は、内径が12cmCD101の外径とほぼ同じに形成されたセット部(凹部)を示し、符号353は、外径が12cmCD101及び8cmCD201の中心穴の内径とほぼ同じに形成された凸部を示している。セット部351の外周部には、第1の収容部352aが形成され、セット部351の内部には、第2の収容部352bが形成されている。また、トレイ351の先端(図17の左側)には、トレイ351の先端に開口を有するとともに、トレイ351の先端からセット部351へと切り込む様な形状に成された第2の収容部352cが形成されている。
一方、セット部351にセット可能なアダプタ450は、図18に示す様に外径が12cmCD101の外径とほぼ同じに形成されるとともに、内径が8cmCD201の外径とほぼ同じに形成された「異形被記録媒体セット部」を形成する様に、リング形状を成している。そしてその外周には、径方向に突出する形状を成す第1の位置決め片452aが形成され、内周には、中心方向に向けって突出する様な形状を成す第2の位置決め片452bが形成されている。更に、外周には、径方向に突出する第3の位置決め片452cが形成されている。
第1の位置決め片452a及び第2の位置決め片452bは、アダプタ450の下面(図18の紙面裏側)から厚さ方向に突出する様に形成されている。従ってこれにより、アダプタ450がトレイ350にセットされると、第1の位置決め片452aがトレイ350の第1の収容部352aと嵌合し、更に第2の位置決め片452bはトレイ350の第2の収容部352bと、そして第3の位置決め片452cはトレイ350の第3の収容部353bと、それぞれ嵌合する。そしてこれによってトレイ350における、アダプタ450の位置が定まり、且つ、アダプタ450がセット部351内で動かない様に保持される様になっている。また、アダプタ450にセットされる8cmCD201は、当該8cmCD201を支持可能な支持部を兼ねる第2の位置決め片452bによって支持される。尚、本実施形態では、第1の位置決め片452a及びこれに対応する第1の収容部352aは、それぞれ3箇所形成されるが、例えば1箇所でも良いし、5箇所等の様に更に多数形成しても良い。また、第2の位置決め片452b及びこれに対応する第2の収容部352bについても、本実施形態ではそれぞれ3箇所形成されるが、例えば1箇所でも良いし、5箇所等の様に更に多数形成しても良い。更に、本実施形態では、第2の位置決め片452bが、8cmCD201を支持する支持部を兼ねているが、別途独立に設けても良い。
8cmCD201をアダプタ450を介してトレイ350にセットする際には、図19に示す様にトレイ350のセット部351にアダプタ450を載置する様にセットし、そして8cmCD201をアダプタ450に載置する様にセットする。或いは、8cmCD201をアダプタ450にセットした上で、当該8cmCD201及びアダプタ450を、トレイ350にセットしても良い。
トレイ350にアダプタ450及び8cmCD201がセットされた状態では、上述の通り、それぞれの上面は段差なく面一となり、特に第3の位置決め片452cについても、第3の収容部352cに嵌合した状態で、段差なく面一となる様に構成されている。
一方、アダプタ450及び8cmCD201がセットされた状態で、これらを取り外す場合には、第3の収容部352cの下側から、指によって第3の位置決め片452cを押し上げることで、アダプタ450及び8cmCD201を持ち上げることができる。
ここで、上述の通り第3の収容部352cは、トレイ350からアダプタ450及び8cmCD201を取り外す為の、イジェクト用の穴としての機能を発揮するが、当該第3の収容部352cは、トレイ350の前縁部に開口を有する切り欠きによって形成されている。従って、ユーザが第3の収容部352cに指を挿入したままトレイ350が装置内に引き戻されても、指がトレイとともに装置側に引き込まれ、そして挟まれる様な事態を防止することができ、安全を確保することができる。これは、トレイ350がプリンタ本体と一体に設けられ(所謂ビルトインタイプ)、そして釦操作によってトレイの出し入れが行われる本実施形態の様な記録装置において、より顕著にその作用効果を発揮する。
[2−5.拘束手段の第3実施例]
続いて、図20乃至図28を参照しながら、本発明に係る拘束手段の第3実施例について説明する。ここで、図20は記録装置後部の斜視図、図21は記録装置の側断面概略図、図22乃至図25はトレイT、拘束部材166(拘束手段165)、搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42(搬送手段40)の位置関係を示す説明図(トレイTの平面図)、図26はトレイSWが押下された際の処理内容を示すフローチャート、図27はディスク中心検出処理の内容を示すフローチャート、図28はディスク中心検出方法を説明する為の説明図である。尚、図20乃至図28においては、既に述べた構成要素と同一の構成要素については同一符号を伏し、その説明は省略する。また、本実施例では、上述したトレイ133、50、350の様に、被記録媒体としての光ディスクをセット可能なセット部を有する板状体を「トレイT」と総称し、上述した12cmCD101及び8cmCD201の様に、被記録媒体としての輪郭の異なる複数のメディア(例えば、光ディスク)を「ディスクD」と総称する。更に、上述したアダプタ450の様に、トレイTに輪郭の異なる異形被記録媒体(異形薄板状体)をセットする為のアダプタを「アダプタA」と総称する。つまり、以下に説明する実施例においては、トレイT或いはアダプタAの形態については特に限定されず、どのような形態であっても良い。
図20及び図21に示す様に、拘束手段165は、拘束部材166を備えている。拘束部材166は、上述した第1の拘束部材66と同様に、ディスクDのトレイTからの脱落を防止するとともに、アダプタAの脱落をも防止する。但し本実施例では、拘束手段165は、トレイTが待機位置60にあるときの他、その他の位置、特に後述する様にディスクDの中心位置を検出して印刷の実行を待つ位置にあるときにおいても、ディスクD及びアダプタAのトレイTからの脱落を防止する。
拘束部材166は、図21に示すようにレバー形の形状を成し、トレイTの搬送経路の上方に配置されるとともに揺動中心166aを中心にして揺動可能となる様にフレーム62に軸支され、更に、図示しない付勢手段により、その先端がトレイTに圧接する揺動方向(図21の時計回り方向)に付勢されている。拘束部材166の先端には、上述した第1の拘束部材66と同様に当接用ローラ69aが自由回転可能に軸支され、そして本実施形態においては更に、当接用ローラ69aよりも記録装置前方側(搬送経路下流側)に、当接用ローラ69bが設けられている。当接用ローラ69a及び当接用ローラ69bは、図示する様にトレイT、ディスクD(及びアダプタA)の上面に当接して、トレイTの搬送とともに従動回転する。そしてディスクD(及びアダプタA)をトレイTに向けて押圧することで、ディスクD(及びアダプタA)のトレイTからの脱落を防止する。以下、更に詳しく説明する。
図22は、トレイTの記録装置1における位置を示す為の説明図である。図22(A)はトレイTが待機位置60にある状態(トレイTが最も記録装置1の後方側(搬送経路上流側)に位置する)を示し、図22(B)はディスクDに対する印刷の開始を待つ位置(以下「印刷前待機位置」と言う)にある状態を示し、図22(C)はトレイTが最も記録装置前方(搬送経路下流側)に突き出た位置(以下「排出位置」と言う)にある状態を示している。尚、以下では説明の便宜上、図22(A)に示す待機位置60を、「格納位置」と呼ぶこととする。
より具体的には、図22(A)に示す格納位置は、上述した通り記録装置1の電源を切っているときや、シート材としての記録用紙Pに対して記録を実行するとき等、即ちトレイTを使用しないときに、トレイTを格納する位置である。また、図22(B)に示す印刷(記録)前待機位置は、トレイTにディスクDがセットされた後、当該ディスクDの中心位置を検出し(詳細は後述)、印刷の開始(記録実行)を待つ際の位置である。そして図22(C)に示す排出位置は、トレイTへディスクD(及びアダプタA)をセット可能となる位置である。尚、図22(B)に示す様に、トレイTにセットされたディスクDが、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによってニップされる様なトレイTの位置は、「被記録媒体保持位置」となる。従って本実施例では、図22(B)に示すトレイTの位置は印刷前待機位置でもあり、被記録媒体保持位置でもある。
本実施例に係る拘束手段165は、トレイTが格納位置にある時に、ディスクD及びアダプタAを上方から押さえてトレイTからの脱落を防止する他、トレイTが印刷前待機位置(本実施例では、被記録媒体保持位置でもある)にあるときにおいても、ディスクD及びアダプタAを上方から押さえてトレイTからの脱落を防止する。また、ディスクDが12cmCD101であるか8cmCD201であるかを問わず、格納位置及び印刷前待機位置の双方において、ディスクDのトレイTからの脱落を防止し、ディスクDが8cmCDである場合には、アダプタAのトレイTからの脱落をも防止する。当接用ローラ69a、69bは、拘束部材166においてこの様な機能を発揮し得る位置に配置されている。
尚、トレイTの下方には、トレイTを支持する支持部170及び171a、171bが設けられ、トレイTがこれらによって下方から支持される様になっている。支持部170及び171a、171bが設けられていない場合には、例えばトレイTの前方側が搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42にニップされた状態で、当該トレイTが拘束部材166によって上方から押圧されると、トレイTに変形が曲げ応力が発生して変形する虞がある。しかし、トレイTは支持部170及び171a、171bによって拘束部材166による押圧力に対抗することができるので、上述の様な変形を防止できる。特に、支持部170については、拘束部材166によるトレイTの押圧部近傍に設けられているので、より一層トレイTの変形を防止することができる。
以下、トレイTの位置及びディスクDの種類毎に、拘束手段165の作用効果について説明する。図23は、ディスクDが12cmCD101の場合を示しており、(A)はトレイTが格納位置にある状態を、(B)は印刷前待機位置にある状態を示している。
図23(A)に示す様に、トレイTの格納位置において12cmCD101は、その中央付近を当接用ローラ169aによって上方から押圧されるとともに、搬送方向下流側の外周付近を当接用ローラ169bによって上方から押圧される。また、図23(B)に示す様に、トレイTの印刷前待機位置において12cmCD101は、その中央付近を当接用ローラ169bによって上方から押圧されるとともに、搬送方向上流側の外周付近(搬送方向上流側端部)を当接用ローラ169aによって上方から押圧される。更に、この位置では12cmCD101の先端(搬送方向下流側端部:図23の下側)が、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによる強い挟圧力によってニップされる。従ってこれにより、トレイTの格納位置及び印刷前待機位置の双方において、記録装置1の姿勢が傾けられても、12cmCD101がトレイTから脱落するのを確実に防止できる。
また特に印刷前待機位置では、12cmCD101の先端が搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによって強くニップされるので、より確実にトレイTからの脱落を防止できる。またこの位置では、12cmCD101の先端が搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42によって強くニップされることにより、12cmCD101の後端側(搬送方向上流側端部:図23の上側)にトレイTからの浮き上がり傾向が発生するが、当該後端側が当接用ローラ169aによって押圧されているので、12cmCD101のトレイTからの浮き上がりを防止することができる。
この様に搬送用駆動ローラ41、搬送用従動ローラ42、当接用ローラ169a及び169bは、図23に示す様な状態を形成可能な位置に配置される。また記録装置1のトレイ送り制御装置は、図23に示す様な状態を形成可能な様に、搬送用駆動ローラ41(搬送手段40)及び補助搬送手段70を駆動制御する。
次に、図24はディスクDが8cmCD201の場合を示しており、(A)はトレイTが格納位置にある状態を、(B)は印刷前待機位置にある状態を示している。
図24(A)に示す様に、トレイTの格納位置において8cmCD201は、その中央付近を当接用ローラ169aによって上方から押圧されるとともに、これによってアダプタAも、8cmCD201を介してトレイTに向けて押圧される。また更に、アダプタAの先端側(搬送方向下流側端部:図24の下側)が、当接用ローラ169bによって上方から押圧される。
そして、図24(B)に示す様にトレイTの印刷前待機位置において8cmCD201は、その中央付近を当接用ローラ169bによって上方から押圧されるとともに、これによってアダプタAも、8cmCD201を介してトレイTに向けて押圧される。また更に、アダプタAの後端(搬送方向上流側端部:図24の上側)が、当接用ローラ169aによって上方から押圧されるとともに、アダプタAの先端が、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによる強い挟圧力によってニップされる。従ってこれにより、トレイTの格納位置及び印刷前待機位置の双方において、記録装置1の姿勢が傾けられても、8cmCD101及びアダプタAが、トレイTから脱落するのを確実に防止できる。
また特に印刷前待機位置では、アダプタAの先端が搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによって強くニップされるので、より確実にトレイTからの脱落を防止できる。またこの位置では、アダプタAの先端が搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42によって強くニップされることにより、アダプタAの後端側にトレイTからの浮き上がり傾向が発生するが、当該後端側が当接用ローラ169aによって押圧されているので、アダプタAのトレイTからの浮き上がりを防止することができる。
この様に搬送用駆動ローラ41、搬送用従動ローラ42、当接用ローラ169a及び169bは、図23に示した状態を形成可能な位置であって、且つ図24に示す様な状態を形成可能な位置に配置される。また記録装置1のトレイ送り制御装置は、図23及び図24に示す様な状態を形成可能な様に、搬送用駆動ローラ41(搬送手段40)及び補助搬送手段70を駆動制御する。
ところで、トレイTにアダプタAのみがセットされ、8cmCD201がセットされていない状態の場合に、トレイTの格納位置では図24(A)から明らかな様にアダプタAは当接用ローラ169bによって押圧されるので、トレイTからの脱落が防止される。しかし、8cmCD201がセットされている場合には、アダプタAは8cmCD201が当接用ローラ169aによって押圧されることで、8cmCD201を介して更に押圧力を受ける。従って、アダプタAに8cmCD201がセットされている場合とセットされていない場合とでは、前者のほうが、より一層確実にトレイTからの脱落が防止される。
そこで、後者即ちアダプタAに8cmCD201がセットされていない場合には、トレイTの格納位置を図25(A)の様に設定することで、より確実にアダプタAのトレイTからの脱落を防止できる。具体的には、図25(A)に示す格納位置では、アダプタAの先端が搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによる強い挟圧力によって確実にニップされる。また、当該強い挟圧力によってニップした際に、アダプタAの後端がトレイTから浮き上がらない様に、当接用ローラ169aによって、当該後端を押圧する。従ってこれにより、トレイTにアダプタAのみがセットされ、8cmCD201がセットされていない状態の場合に、トレイTの格納位置においてアダプタAのトレイTからの脱落をより確実に防止できる。この様に搬送用駆動ローラ41、搬送用従動ローラ42、当接用ローラ169a及び169bは、図25(A)に示す状態を形成可能な位置に配置される。また記録装置1のトレイ送り制御装置は、図25(A)に示す様な状態を形成可能な様に、搬送用駆動ローラ41(搬送手段40)及び補助搬送手段70を駆動制御する。
また、トレイTに8cmCD201及びアダプタAがセットされた場合に、トレイTの印刷前待機位置を図25(B)の様に設定することで、より確実に8cmCD201及びアダプタAのトレイTからの落下を防止できる。具体的には、図25(B)に示す印刷前待機位置では、8cmCD201の先端(搬送方向下流側:図25の下側)が搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによる強い挟圧力によって確実にニップされる。従ってこれにより、8cmCD201のトレイTからの脱落をより確実に防止でき、更にアダプタAも、これによってトレイTからの脱落をより確実に防止できる。更に、8cmCD201の中心位置検出を行った後の印刷前待機位置を図25(B)の様にすることにより、8cmCD201のトレイTでの位置ずれを防止して、記録品質の低下を防止することができる(詳しくは後述)。
尚、当該強い挟圧力によって8cmCD201の先端をニップした際に、8cmCD201の後端がアダプタA及びトレイTから浮き上がらない様に、当接用ローラ169bによって、当該後端を押圧する。この様に搬送用駆動ローラ41、搬送用従動ローラ42、当接用ローラ169bは、図25(B)に示す状態を形成可能な位置に配置される。また記録装置1のトレイ送り制御装置は、図25(B)に示す様な状態を形成可能な様に、搬送用駆動ローラ41(搬送手段40)及び補助搬送手段70を駆動制御する。
従って以上により、本実施例における作用効果は、以下の通りとなる。先ず、トレイTが印刷前待機位置即ち被記録媒体保持位置に位置する際に、トレイTにセットされたディスクDがトレイTから外れることを防止する拘束手段165が設けられているので、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とにニップされたディスクDは、更に拘束手段165によって前記トレイから外れる(脱落する)ことを防止され(図23(B)、図25(B)参照)、従ってより確実にディスクDをトレイTから外れない様にすることができる。
また、ディスクDが搬送方向下流側端部と搬送方向上流側端部において、それぞれ搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42と、拘束手段165によってトレイTからの脱落を防止されるので(図23(B)、図25(B)参照)、バランスよくトレイTに保持される。また、ディスクDが搬送方向下流側端部を搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42とによって強くニップされると、搬送方向上流側端部がトレイTから浮き上がる傾向が生じるが、この様な浮き上がり傾向が発生する搬送方向上流側端部が拘束手段165によってトレイTに向けて押圧されるので、ディスクDのトレイTからの浮き上がりを防止することができる。
更に、拘束手段165は、ディスクDが12cmCD101であるか8cmCD201であるかに拘わらず、トレイTが印刷前待機位置即ち被記録媒体保持位置にあるときと、格納位置にあるときの双方においてディスクDのトレイTからの脱落を防止できるので(図23(A)及び(B)、或いは、図24(A)及び(B)参照)、印刷前待機位置即ち被記録媒体保持位置と格納位置との双方において、ディスクDのトレイTからの脱落を防止することができる。
加えて、拘束手段165が、トレイTにセットされたディスクDと当接可能な拘束部材166と、拘束部材166においてディスクD及びアダプタAと当接可能な位置に設けられるとともに、トレイTとともに搬送されるディスクD及びアダプタAと当接した際に当ディスクD及びアダプタAによって従動回転する様設けられる当接用ローラ169a、169bと、拘束部材166をトレイTに向けて押圧するよう付勢する付勢手段(図示せず)によって構成されているので、衝撃や振動がプリンタ1に加わっても、ディスクDが暴れてトレイTから外れてしまうことや破損してしまうこと等を防止することができる。
更に加えて、拘束手段165が、輪郭の異なる複数のディスクD(本実施例では、12cmCD101及び8cmCD201)と当接可能な様に、当接用ローラを複数個備えているので、この様に輪郭の異なる複数のディスクDについて、トレイTから外れない様にすることができる。
更に加えて、複数の当接用ローラ169a、169bが、印刷前待機位置即ち被記録媒体保持位置にあるときに、トレイTにセットされたディスクD(この場合8cmCD201)及びアダプタAと同時に当接可能な様に、トレイTの搬送方向に所定の間隔を置いて設けられているので(図24(B)参照)、アダプタA及び8cmCD201の双方について、トレイTから確実に外れない様にすることができる。
更に加えて、本実施例では、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによってディスクDをニップする被記録媒体保持位置が、トレイTにセットされたディスクDの中心位置検出後、ディスクDへの印刷開始を待つ印刷前待機位置であるので(図23(B)或いは図25(B)参照)、中心位置検出の行われたディスクDへの記録に際して、中心位置ずれを防止して良好な記録結果を得ることができる。
<7.トレイSW押下時の処理内容>
次に、トレイTをトレイセット位置に進出させるトレイSW(図示せず:図4に示す記録装置100におけるトレイSW136と同様:以下同じ)が押下された際の処理内容について、図26乃至図29を参照しながら説明する。トレイSWは、記録装置1の前面パネルに設けられ、トレイTが格納位置にあるときに当該トレイSWを押下するとトレイTが排出位置に搬送され、トレイTが排出位置にあるときに当該トレイSWを押下すると、トレイTが装置内部に引き戻される。以下に説明する処理内容は、トレイTが排出位置にあるときに、トレイSWが押下された際の処理内容である。
先ず、ディスクDがトレイTにセットされているか否か、トレイTにセットされたディスクが12cmCD101か8cmCD201か、ディスクDの中心位置はどこか、を検出する為に用いられる構成について説明する。図22に示す様に、キャリッジ31の底部であってトレイT或いは記録用紙Pと対向する位置には、図4を参照しつつ説明したPWセンサ127と同様な構成及び機能を有するPWセンサ33が設けられている。PWセンサ33は光学センサであり、トレイT或いは記録用紙Pに対して発光する発光部(図示せず)と、反射光を受光する受光部(図示せず)とを備えて構成され、記録装置1のトレイ送り制御装置に接続されている。従って例えば、キャリッジ31の主走査に伴って反射率の変化を検出することにより、記録装置1のトレイ送り制御装置は記録用紙Pの用紙幅を知ることができる。また、トレイTは反射率の小さい色(例えば、黒色)によって構成され、そして一般的にディスクDはレーベル面が反射率の高い色(例えば、白色)によって成されているので、トレイTとディスクDとの反射率差を検出することで、トレイTにディスクDがセットされているか否か、及び、セットされたディスクDが12cmCD101か8cmCD201か、を知ることができる。更に、ディスクDのエッジ位置を検出することで、ディスクDの中心位置を検出することができ(詳細は後述)従ってPWセンサ33は、ディスクDの中心位置を検出する「中心位置検出手段」を構成する。
更に、図18に示すアダプタ450の例では、第3の位置決め片452cに、アダプタ450の色(例えば、黒色)とは反射率の異なる色(例えば、白色)によって成されたマーク453が設けられている。従ってこれにより、記録装置1の制御部は、トレイTにアダプタ450がセットされているか否かを知ることができる。
次に、図26において、トレイTが排出位置にあるときにトレイSWが押下されて、トレイTが装置内部に引き戻されると、ディスク検出処理を実行する(ステップS101)。このディスク検出処理は、上述した様に、キャリッジ31の主走査とともに行われるPWセンサ33によるセンシングによって、トレイTにディスクDがセットされているか否か、そしてセットされたディスクDが12cmCD101であるか8cmCD201であるかを検出する処理である。このディスク検出処理については後に詳説するが、ディスク検出処理が終了した時点では、トレイTは印刷前待機位置(図23(B)、図24(B)或いは図25(B)に示す位置)に位置している。
そして、ディスクDがトレイTにセットされている場合に(ステップS102の肯定枝)、印刷データを受信すると(ステップS103の肯定枝)、トレイTをディスクDの頭出し位置、即ち、ディスクDの印刷領域の開始位置と、記録ヘッド32においてファーストラインを記録するノズルとが対向する位置に搬送する(ステップS104)。印刷データを受信しなければ(ステップS103の否定枝)、トレイTは印刷前待機位置(図23(B)、図24(B)或いは図25(B)に示す位置)に停止したままとなる。
一方、ディスクDがトレイTにセットされていない場合(ステップS102の否定枝)、アダプタAがセットされているか否かを判断する(ステップS105)。なお、アダプタAがセットされているか否かの検出は、ステップS101のディスク検出処理において行われる(後述)。そしてアダプタAがセットされていない場合(ステップS105の肯定枝)、トレイTにはディスクD及びアダプタAのいずれもがセットされていないので、トレイTを格納位置へ搬送する(ステップS106:図23(A)、図24(A)に示す位置)。アダプタAがセットされている場合(ステップS105の否定枝)、電源OFF操作が行われていなければ(ステップS107の否定枝)、ユーザにディスクDがセットされていない旨を警告する為に、トレイTを排出位置(図22(C)に示す位置)へと搬送する(ステップS108)。電源OFF操作が行われていれば(ステップS106の肯定枝)、トレイTは印刷前待機位置(図23(B)、図24(B)に示す位置)に停止したままとなる。
以上の様に、トレイTにおけるディスクD、アダプタAのセット状況に応じてトレイTを所定の位置へ搬送することで、ディスクDへの印刷を実行しない場合に、ディスクD或いはアダプタAのトレイTからの脱落を防止することができる。
次に、ディスクDの中心検出処理について図27を参照しながら説明する。ディスクDの中心検出を行うには、キャリッジ31の主走査とともにPWセンサ33のセンシングを行うことで、ディスクDの0桁側(図22において右側)のエッジ検出処理及び、80桁側(図22において左側)のエッジ検出処理を行う(ステップS201、S202)。ここで、図28はエッジ検出方法の概念の一例を示すものであり、(A)は12cmCD101の場合を、(B)は8cmCD201の場合を示している。
図28(A)において、搬送手段40及びキャリッジ31を駆動制御することにより、PWセンサ33によって主走査方向に平行なラインSをセンシングし、このときのエッジ位置(x,y)及び(x,y)を検出する。次に、搬送手段40及びキャリッジ31を駆動制御することにより、PWセンサ33によって副走査方向に平行なラインSをセンシングし、このときのエッジ位置(x,y)及び(x,y)を検出する。以上により、ディスクの中心位置cの座標は、(x−x,y−y)となる。次に、搬送手段40及びキャリッジ31を駆動制御することにより、PWセンサ33によって中心点cを通る主走査方向に平行なラインSをセンシングし、0桁側エッジ位置(x,y)及び80桁側エッジ位置(x,y)を検出する。尚、図28(B)では図示を省略するが、8cmCD201の場合も、同様な方法で中心位置c、0桁側エッジ位置及び80桁側エッジ位置を検出することができる。尚、上述した中心位置c、0桁側及び80桁側エッジ位置の検出方法は一例であり、他の方法を用いても構わない。
図27に戻って、以上の様な方法によって中心位置c、0桁側エッジ位置及び80桁側エッジ位置が得られると、ディスクDのサイズを、80桁側エッジ位置−0桁側エッジ位置(図28のx−x)により求める(ステップS203)。そして、ディスクサイズが12cmの場合には(ステップS204の肯定枝)、トレイTを12cmCDの印刷前待機位置(図23(B)に示す位置)へ搬送し、ディスクサイズが12cmでない場合、即ち8cmの場合には(ステップS204の否定枝)、トレイTを8cmCDの印刷前待機位置(図24(B)或いは図25(B)に示す位置)へ搬送する。
ここで、ディスク中心位置cを検出した後、印刷を開始するまでの過程において、搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とでディスクDをニップした状態(トレイTにおけるディスクDのセット領域(例えば図17のセット部351)をニップした状態)を維持する様に構成することで、印刷位置ずれを生じることなく、適切な印刷結果を得ることができる。即ち、搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42のニップ点からPWセンサ33と対向する位置までの用紙搬送経路長が、本実施形態にあっては8cm以上であれば、図28に示した方法によって、ディスクサイズが12cm及び8cmのいずれであっても、搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42によってディスクDをニップしたまま、0桁側エッジ位置、80桁側エッジ位置、中心位置、ディスクDのサイズを検出することができる。そして、印刷開始まで搬送用駆動ローラ41と搬送用従動ローラ42とによってディスクDをニップした状態を維持することで、つまり換言すればディスク検出処理(図26のステップS101)を行ってから印刷開始までの間に搬送用駆動ローラ41及び搬送用従動ローラ42からディスクDが外れない様にすることで、実際のディスク中心位置cと、ディスク検出処理によって求められた中心位置cとの間にずれが生じず、即ち印刷位置ずれの発生を防止することができる。従ってこの場合における印刷前待機位置は、12cmCD101の場合は図23(B)に示す位置、8cmCD201の場合は図25(B)に示す位置となる。
搬送用駆動ローラ41、搬送用従動ローラ42、PWセンサ33、記録ヘッド32は、この様な制御を実行可能な位置に配置される。但し、PWセンサ33を用いずに、搬送用駆動ローラ41の回転量即ちトレイTの搬送量を把握することで、搬送用駆動ローラ41に対するディスクDの位置を知ることは可能であるので、この場合には、PWセンサ33の位置はどこであっても構わない。
尚、以上においては、「異形被記録媒体」の一例として8cmCDを例に説明したが、これに限られるものではなく、例えば名刺サイズの光ディスク等に適用可能なことは言うまでもない。
本発明に係るプリンタの外観斜視図である。 本発明に係るプリンタの内部外観斜視図である。 本発明に係るプリンタの側断面概略図である。 本発明に係るプリンタの制御部のブロック図である。 トレイSW押下時の制御内容を示すフローチャートである。 電源SW押下時の制御内容を示すフローチャートである。 トレイの各位置を示す説明図である。 本発明に係るプリンタの側断面概略図である。 記録装置の正面及び左側面を上方から示す外観斜視図。 ハウジングを外した記録装置の左側面を上方から示す斜視図。 トレイが待機位置にある記録装置の右側面を前方から示す斜視図。 トレイが待機位置にある記録装置の右側面を後方から示す斜視図。 トレイが待機位置にある記録装置の平面図。 記録装置の主要部を示す右側断面図。 光ディスクのセットされたトレイを搬送中の記録装置の平面図。 拘束手段の第2の実施例を示す要部拡大図。 トレイの平面図。 アダプタの平面図。 トレイ、アダプタ、CDの斜視図。 第3実施例に係る拘束手段を示す記録装置後部の斜視図。 第3実施例に係る拘束手段を示す記録装置の側断面概略図。 第3実施例に係る拘束手段、トレイ、搬送手段の位置関係を示す説明図。 第3実施例に係る拘束手段、トレイ、搬送手段の位置関係を示す説明図。 第3実施例に係る拘束手段、トレイ、搬送手段の位置関係を示す説明図。 第3実施例に係る拘束手段、トレイ、搬送手段の位置関係を示す説明図。 トレイSWが押下された際の処理内容を示すフローチャート。 ディスク中心検出処理の内容を示すフローチャート。 ディスク中心検出方法を示す説明図。
符号の説明
100 インクジェットプリンタ、103 ハウジング、104 下部シャーシ、105 メインフレーム、106 サイドフレーム右、107 サイドフレーム左、108 フロントカバー、111 主キャリッジガイド軸、112 副キャリッジガイド軸、113 キャリッジ、114 記録ヘッド、115 インクカートリッジユニット、116 インクカートリッジ、119 紙検出器、120 プラテン、121 搬送駆動ローラ、122 搬送従動ローラ、123 排紙駆動ローラ、124 排紙従動ローラ、127 PWセンサ、128 給紙ローラ、130 給紙カセット、131 ホッパ、133 ディスクトレイ、135 電源SW、136 トレイSW、150 制御部、151 IF、152 ASIC、153 RAM、154 PROM、155 EEPROM、156 CPU、157 タイマIC、158 DCユニット、159 ヘッドドライバ、160 キャリッジ(CR)モータドライバ、161 搬送(PF)モータドライバ、163 キャリッジ(CR)モータ、164 搬送用(PF)モータ、168 ロータリエンコーダ、170、171 歯車、192 リニアエンコーダ、D ディスク、P 記録用紙

Claims (16)

  1. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、
    前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被記録媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させる、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  2. 請求項1において、前記トレイにおける被記録媒体の有無を検出する検出手段を有し、
    前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイを前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させる、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  3. 請求項1において、前記トレイにおける被記録媒体の有無を検出する検出手段と、
    前記検出手段による被記録媒体の検出結果を記憶する記憶手段と、を有し、
    前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記検出手段による被記録媒体の検出結果を前記記憶手段に書き込む様に成されている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  4. 請求項3において、前記記録装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に被記録媒体の無し状態を検出したときには、前記トレイを前記被記録媒体保持位置へ送らずに前記トレイを格納する格納位置へと送り且つ当該格納位置に停止させる、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  5. 請求項4において、前記記録装置が前記休止状態または前記電源オフ状態から記録待機状態へ遷移する際に、前記記憶手段から前記トレイにおける被記録媒体の有無に係る情報を読み出して、前記トレイに被記録媒体が有る場合には前記トレイを記録開始位置へと送り且つ当該記録開始位置に停止させる、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  6. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドと対向する領域へ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、
    前記トレイの送り動作を停止して、次の送り動作の開始を待つ待機状態に入る際に、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被記録媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被記録媒体保持位置に停止させる、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項において、前記記録装置が、前記被記録媒体保持位置に前記トレイが位置する際に、前記トレイにセットされた被記録媒体が前記トレイから外れることを防止するように構成された拘束手段を備えている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  8. 請求項7において、前記被記録媒体保持位置が、前記搬送ローラによって被記録媒体における搬送方向下流側の端部がニップされる位置であるとともに、
    前記拘束手段が、前記被記録媒体保持位置において、被記録媒体の搬送方向上流側端部を前記トレイに向けて押圧する様に構成されている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  9. 請求項7または8において、前記拘束手段は、前記トレイが前記被記録媒体保持位置にあるときと、前記トレイが当該トレイを格納する格納位置にあるときの双方において前記被記録媒体が前記トレイから外れることを防止するように構成されている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  10. 請求項7から9のいずれか1項において、前記拘束手段が、前記トレイにセットされた被記録媒体を前記トレイに向けて押圧する拘束部材と、
    前記拘束部材において被記録媒体と当接可能な位置に設けられるとともに、前記トレイとともに搬送される被記録媒体と当接した際に当該被記録媒体によって従動回転するよう設けられる当接用ローラと、
    前記拘束部材を前記トレイに向けて押圧するよう付勢する付勢手段と、
    を備えて構成されていることを特徴とするトレイ送り制御装置。
  11. 請求項10において、前記拘束手段が、輪郭の異なる複数の被記録媒体と当接可能な様に、前記当接用ローラを複数個備えている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  12. 請求項11において、前記トレイにおける被記録媒体のセット部は、該セット部と輪郭の異なる被記録媒体である異形被記録媒体をセット可能な異形被記録媒体セット部を有するアダプタを装着可能であり、
    複数の前記当接用ローラが、前記被記録媒体保持位置にあるときに、前記トレイにセットされた被記録媒体及び前記アダプタと同時に当接可能な様に、前記トレイの搬送方向に所定の間隔を置いて設けられている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  13. 請求項6から12のいずれか1項において、前記被記録媒体保持位置が、前記トレイにセットされた被記録媒体の中心位置検出後、被記録媒体への記録開始を待つ記録前待機位置である、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  14. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドと対向する領域へ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、
    前記トレイにセットされた被記録媒体の中心位置を検出する中心位置検出手段を有し、
    前記中心位置検出手段によって被記録媒体の中心位置を検出する動作を開始した後、被記録媒体への記録実行時まで、前記トレイにおける被記録媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされた状態が維持される様に前記搬送ローラを駆動制御する様構成されている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  15. 被記録媒体に記録を行う記録装置であって、請求項1から14のいずれか1項に記載された前記トレイ送り制御装置を備えている、
    ことを特徴とする記録装置。
  16. 被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記液体噴射ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被噴射媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、
    前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置と、を備えた液体噴射装置であって、
    前記液体噴射装置が休止状態または電源オフ状態へ遷移する際に、前記トレイにおける被噴射媒体のセット領域が前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとによってニップされる被噴射媒体保持位置へ前記トレイを送り且つ当該被噴射媒体保持位置に停止させる、
    ことを特徴とする液体噴射装置。
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