JP2004090448A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット式記録装置等の記録装置において、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止する。
【解決手段】係合部材1は、PGを変更するためのメインキャリッジガイド軸調節用長孔17、及びサブキャリッジガイド軸調節用長孔14と、排出フレーム7を揺動させて排出従動ローラ56をレリースさせるための排出従動ローラレリース用長孔16と、排出補助フレームを揺動させて排出補助ローラ56aをトレイTRの搬送経路からレリースさせるための排出補助ローラレリース用長孔15と、全ての搬送従動ローラホルダ541を揺動させて搬送従動ローラ54をレリースさせるための搬送従動ローラレリース用長孔18とが形成されており、ラック部11とピニオン31とによって符号Sで示した方向に移動する。
【選択図】 図6
【解決手段】係合部材1は、PGを変更するためのメインキャリッジガイド軸調節用長孔17、及びサブキャリッジガイド軸調節用長孔14と、排出フレーム7を揺動させて排出従動ローラ56をレリースさせるための排出従動ローラレリース用長孔16と、排出補助フレームを揺動させて排出補助ローラ56aをトレイTRの搬送経路からレリースさせるための排出補助ローラレリース用長孔15と、全ての搬送従動ローラホルダ541を揺動させて搬送従動ローラ54をレリースさせるための搬送従動ローラレリース用長孔18とが形成されており、ラック部11とピニオン31とによって符号Sで示した方向に移動する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、CD−RやDVD等の記憶媒体のラベル面に記録可能な構成を成す記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD−RやDVD等の円板形状を有する記憶媒体としての光記録ディスクは、データ記憶面と反対側の面、いわゆるラベル面の所定の領域に、その光記録ディスクに記憶されているインデックス情報等の文字の書き込みや写真等の画像を記録することが可能になっている。そして、このラベル面に記録を行う記録装置については、特開平11−5332号公報にて、記録方法については、特許第2794628号公報にて開示されている。また、国際公開第WO97/11850号公報にて、光記録ディスクを専用のトレイに装着し、そのトレイを搬送して記録を行う記録装置が開示されている。これは、矩形形状の薄い板からなる光記録ディスクのトレイの中央に形成した浅い円形溝からなる装着部に光記録ディスクを装着し、光記録ディスクを装着したトレイを搬送ローラにて搬送して記録ヘッドにて光記録ディスクのラベル面に記録を行うものである。
【0003】
また、主走査方向に記録ヘッドを往復動させながら記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射する動作と、その被記録材を副走査方向に所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返して被記録材への記録を行う、いわゆるインクジェット式記録装置が近年広く普及している。そして、このインクジェット式記録装置において、上述したように、光記録ディスクを装着したトレイを記録紙と同様に被記録材として搬送し、光記録ディスクのラベル面にインクを噴射して記録を実行することができるものがすでに公知のものとなっている。
【0004】
このようなインクジェット式記録装置にて光記録ディスクを装着したトレイに対して記録紙と同様に記録を実行しようとすると、いくつかの問題が出てくる。まず、トレイは、普通紙等の記録紙と比較して厚みがあるので、それによって、記録ヘッドのヘッド面とインクを噴射する記録面との間の間隔、いわゆるPG(ペーパー・ギャップ)が短くなってしまう。インクジェット式記録装置は、PGが常に最適な一定の間隔に規定されることで、最適な記録画質が得られるようになっている。したがって、PGが短くなることによって記録画質が低下したり、記録ヘッドのヘッド面が記録面に接触してしまったりする虞が生じてしまう。
【0005】
また、一般的なインクジェット式記録装置は、記録後の記録紙の排出手段として排出用の駆動ローラに付勢されて状態で従動回転可能に軸支されている歯付きローラを備えている。歯付きローラは、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っているので、この歯付きローラが光記録ディスクのラベル面に接触すると、その歯によってラベル面に傷がついてしまうことがある。CD−RやDVD等の光記録ディスクは、ラベル面に傷が付いてしまうと、それがわずかな傷であってデータ記憶面(ラベル面と反対側の面)に記憶されているデータが読み出せなくなってしまうことがある。
【0006】
そのため、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録する機能を有する従来のインクジェット式記録装置は、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録を実行する場合に、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に合わせてPGの間隔を変更する手段や、排出用の駆動ローラに付勢されている歯付きローラを排出用の駆動ローラからレリースする手段を備えている。それによって、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録を実行する際においてもPGを最適な間隔に設定することができる。また、歯付きローラを排出用の駆動ローラからレリースすることによって、歯付きローラが光記録ディスクに接触しないようにすることができるので、歯付きローラの歯によって光記録ディスクのラベル面に傷がついてしまうことを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインクジェット式記録装置は、上述したようなPGの変更や歯付きローラのレリースを、ユーザーが全て手動操作で行う構成になっていた。したがって、ユーザーが誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した光記録ディスクのラベル面への記録を実行してしまい、記録ヘッドのヘッド面がトレイや光記録ディスクに接触してしまったり、光記録ディスクのラベル面に歯付きローラの歯によって傷がついてしまったりする虞があった。
【0008】
本願発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、インクジェット式記録装置等の記録装置において、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願発明の第1の態様は、専用のトレイに装着した記憶媒体を被記録材として、前記記憶媒体のラベル面に記録を実行する記憶媒体ラベル面記録手段と、被記録材の厚みに応じて記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔を変更するPG変更手段と、従動回転可能に軸支され、排出駆動ローラに付勢されている排出従動ローラを前記排出駆動ローラからレリースする排出従動ローラレリース手段と、従動回転可能に軸支され、所定の搬送量で被記録材を搬送するための搬送駆動ローラに付勢されている搬送従動ローラを前記搬送駆動ローラからレリースする搬送従動ローラレリース手段とを備えた記録装置であって、前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段と係合した状態で移動可能に配設され、移動位置に応じて前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラのレリース状態、及び前記搬送従動ローラのレリース状態を変更可能な形状を成す係合部材と、前記記憶媒体ラベル面記録手段における前記トレイの状態に応じて、該トレイの状態に対応した前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラレリース手段の状態、及び前記搬送従動ローラレリース手段の状態となる移動位置へ前記係合部材を移動させる係合部材移動手段とを備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0010】
光記録ディスク等の記憶媒体を装着したトレイを被記録材として、普通紙等の記録紙と同様に記録を実行するためには、まず、所定の搬送量で被記録材を搬送するための搬送駆動ローラと、搬送駆動ローラに付勢されている搬送従動ローラとの間にトレイが挟持された状態にする必要がある。普通紙等の記録紙の場合には、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの当接面(ニップ点)に記録紙の先端を押しつけた状態で搬送駆動ローラを駆動回転させることで、記録紙が引き込まれて搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間に挟持された状態に記録紙を引き込むことができる。しかし、記憶媒体を装着するトレイは、厚みがあるため、そのようなわけにはいかない。そこで、搬送従動ローラレリース手段によって、いったん搬送従動ローラが搬送駆動ローラからレリースした状態(離間した状態)にし、離間している搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイの先端近傍を挿入してから搬送従動ローラを再び非レリース状態に戻すといった動作が必要になる。
【0011】
また、搬送駆動ローラの駆動回転によってトレイを搬送しながらトレイに装着された記憶媒体に記録を実行する前に、記録ヘッドと記憶媒体のラベル面との間の間隔が最適なPGになるように、PG変更手段によって記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔を変更する必要がある。また、一般的に前述した歯付きローラとなっている排出従動ローラを、排出従動ローラレリース手段によって排出駆動ローラからレリースさせた状態にして、記録実行中に歯付きローラが記憶媒体のラベル面に接触しないようにする必要がある。
【0012】
上述した搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段は、移動可能に配設された1つの係合部材と係合した状態で配設されているので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段のそれぞれの状態を様々な組合せで設定することが、1つの係合部材の移動位置を変えることによって行うことができる。つまり、例えば、トレイを搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間に挟持させる際には、搬送従動ローラと排出従動ローラとをレリースさせ、記憶媒体のラベル面への記録時には、搬送従動ローラの非レリース状態に戻すとともにPGを変更するといったことが1つの係合部材の位置を移動させることによって行うことができる。
【0013】
そして、トレイの状態に応じて、トレイの状態に対応した記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、排出従動ローラレリース手段の状態、及び搬送従動ローラレリース手段の状態となる移動位置へ係合部材を移動させる係合部材移動手段によって、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段をユーザーが判断して手動操作する必要がない。また、1つの係合部材を移動させることで、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を変えることができるので、係合部材を移動させるための駆動力源を個々に設ける必要がなく、かつ単純な駆動力伝達機構で駆動力源の駆動力を、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段に係合部材を介して個々に伝達することができる。
【0014】
このように、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段をユーザーが判断して手動操作する必要がないので、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができるという作用効果が得られる。また、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段が1つの係合部材に係合した状態で配設されているので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段に駆動力源を伝達する駆動力伝達機構を単純な構成にすることができるという作用効果も得られる。
【0015】
本願発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記記憶媒体ラベル面記録手段は、セット位置にセットした前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、前記記憶媒体のラベル面への記録実行後、前記トレイを前記セット位置まで搬送するトレイ搬送手段と、前記トレイを前記搬送駆動ローラにて搬送しながら前記トレイに装着されている記憶媒体のラベル面へ記録を実行するラベル面記録手段とを有し、前記係合部材は、前記トレイ搬送手段に対応した第1の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラがレリース状態となり、前記ラベル面記録手段に対応した第2の移動位置において、前記搬送従動ローラが非レリース状態、前記排出従動ローラがレリース状態となる形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0016】
トレイ搬送手段によって、セット位置にセットしたトレイを搬送駆動ローラまで搬送する際には、搬送駆動ローラに搬送従動ローラが当接して付勢されていると、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイを挿入することができないので、搬送従動ローラをレリース状態にする必要がある。また、トレイ搬送手段によって、記憶媒体のラベル面への記録実行後のトレイをセット位置まで搬送する際には、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイが挟持されているので、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間からトレイを引き出してセット位置まで搬送するために搬送従動ローラをレリース状態にする必要がある。
【0017】
したがって、トレイ搬送手段によるトレイの搬送時と、搬送従動ローラ及び排出従動ローラがレリース状態となる係合部材の第1の移動位置とを対応させることによって、トレイ搬送手段によるトレイの搬送を搬送従動ローラがレリースされた状態で行うことができるという作用効果が得られる。さらに、係合部材の第1の移動位置においては、排出従動ローラもレリース状態となるので、トレイ搬送手段によるトレイの搬送時に、排出従動ローラがトレイに引っ掛かってしまう虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。
【0018】
また、ラベル面記録手段によって、トレイを搬送駆動ローラにて搬送しながら装着されている記憶媒体のラベル面へ記録を実行する際には、搬送従動ローラを非レリース状態にして、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとでトレイが挟持された状態にする必要がある。そして、排出従動ローラは、排出従動ローラを記憶媒体のラベル面に接触させないためにレリース状態としておく必要がある。したがって、ラベル面記録手段による記憶媒体のラベル面への記録時と、搬送従動ローラが非レリース状態で排出従動ローラがレリース状態となる係合部材の第2の移動位置とを対応させることによって、排出従動ローラが記憶媒体のラベル面に接触しない状態で、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとでトレイを搬送しながら記憶媒体のラベル面に記録を実行することができるという作用効果が得られる。
【0019】
本願発明の第3の態様は、前述した第2の態様において、前記記憶媒体を装着した状態の前記トレイを前記セット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを操作することによって、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第1の移動位置まで移動させ、前記トレイ搬送手段によって前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第2の移動位置まで移動させ、前記ラベル面記録手段によって前記記憶媒体のラベル面に記録を実行し、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を再び前記第1の移動位置まで移動させ、前記トレイ搬送手段によって前記トレイを再び前記セット位置まで搬送する全自動記録手段を備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0020】
このように、全自動記録手段によって、記憶媒体を装着した状態のトレイをセット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを操作するだけで、記憶媒体のラベル面に記録が実行されてトレイがセット位置まで再び搬送されるので、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができるばかりでなく、普通紙等の記録紙と同じ感覚で記憶媒体のラベル面への記録を簡単に行うことができるという作用効果が得られる。
【0021】
本願発明の第4の態様は、前述した第2の態様又は第3の態様において、前記係合部材移動手段の駆動力源の駆動力伝達経路を、前記係合部材移動手段から一時的に前記トレイ搬送手段へ切り換える駆動力伝達経路切換手段を備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0022】
このように、駆動力伝達経路切換手段によって、係合部材移動手段の駆動力源の駆動力伝達経路を、係合部材移動手段から一時的にトレイ搬送手段へ切り換えることによって、係合部材移動手段の駆動力源の駆動力を利用してトレイを搬送することができる。したがって、1つの駆動力源を係合部材移動手段とトレイ搬送手段とで共用することができ、トレイ搬送手段に専用の駆動力源を設ける必要がないので、記録装置のコストを低減させることができるという作用効果が得られる。
【0023】
本願発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、被記録材の搬送方向と直交する方向に往復動可能に配設され、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジを備え、前記駆動力伝達経路切換手段は、前記キャリッジが特定の位置にある状態においてのみ、前記駆動力源の駆動力伝達経路が前記係合部材移動手段から前記トレイ搬送手段へ切り換わる構成を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0024】
このように、記録を実行する手段を構成しているキャリッジとキャリッジの駆動手段を利用して、駆動力伝達経路切換手段による駆動力源の駆動力伝達経路を切り換えるので、駆動力伝達経路切換手段の駆動力伝達経路の切換機構を低コストで構成することができるという作用効果が得られる。
【0025】
本願発明の第6の態様は、前述した第2の態様〜第5の態様のいずれかにおいて、前記係合部材は、普通紙への記録に対応した第3の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、普通紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0026】
このように、係合部材の第3の位置において、搬送従動ローラ及び排出従動ローラが非レリース状態となり、記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、普通紙において所定のPGとなる間隔に設定されるので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を、前述した係合部材移動手段によって、普通紙へ記録を実行する際に最適となるように設定することができる。したがって、普通紙への記録時においても、ユーザーが操作することなく、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段を普通紙に対応した状態にすることができるという作用効果が得られる。
【0027】
本願発明の第7の態様は、前述した第6の態様において、前記係合部材は、専用紙への記録に対応した第4の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、専用紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0028】
このように、係合部材の第4の位置において、搬送従動ローラ及び排出従動ローラが非レリース状態となり、記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、専用紙において所定のPGとなる間隔に設定されるので、専用紙へ記録を実行する際において、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を、前述した係合部材移動手段によって、専用紙へ記録を実行する際に最適となるように設定することができる。したがって、専用紙への記録時においても、ユーザーが操作することなく、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段を専用紙に対応した状態にすることができるという作用効果が得られる。また、専用紙への記録時に普通紙への記録時と異なるPGに設定することができるので、よりきめ細かなPGの設定が可能になるという作用効果も得られる。
【0029】
本願発明の第8の態様は、前述した第1の態様〜第7の態様のいずれかにおいて、前記係合部材は、薄板に前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段の可動部に設けられた凸部が係合する長孔が形成されて構成されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、係合部材が薄板形状を成しているので、記録装置内において係合部材が占有する空間を小さくすることができ、係合部材によって記録装置が大型化する虞がほとんどないという作用効果が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本願発明に係る「記録装置」としてのインクジェット式記録装置について説明する。図1は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の概略の正面図であり、図2は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の上蓋を外した状態の概略の平面図である。図3は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部斜視図である。図4は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部平面図であり、図5は、図4において、さらに要部を示したものである。
【0031】
インクジェット式記録装置50には、記録紙又はトレイTRに装着された「記憶媒体」としての光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行する記録手段として、主走査方向Xに往復動可能に軸支されたキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61は、メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64との2本のガイド軸によって軸支されており、メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64は、個々に上下動可能に軸支されている。キャリッジ61は、無端ベルト66を介してキャリッジ駆動用モータ65の駆動力が伝達されて主走査方向Xに往復動する。また、キャリッジ61には、記録面にインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62と、カラーインクカートリッジ6a及びブラックインクカートリッジ6bとが搭載されている。記録ヘッド62と対向して、記録ヘッド62のヘッド面と記録面とのギャップを規定するプラテン5が設けられている。そして、キャリッジ61とプラテン5の間に記録紙又はトレイTRを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド62を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド62から記録面にインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録が行われる。
【0032】
給紙カセット51は、前面から符号Aで示した方向に引き出すことが可能な構成になっている。引き出した給紙カセット51に記録紙を積重してから給紙カセット51を押し入れることでインクジェット式記録装置50内に記録紙をセットすることができる。給紙カセット51の底部には、給紙カセット51に積重された記録紙を給紙ローラ52の周面に付勢するためのホッパー(図示せず)が配設されている。給紙ローラ52は、モータ等の回転駆動力源からの回転が伝達されて回転し、給紙ローラ52に付勢された給紙カセット51内の記録紙を後述する搬送手段へ給送する。
【0033】
記録紙又はトレイTRを副走査方向Yに搬送する搬送手段として、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とが設けられている。搬送駆動ローラ53は、搬送用モータ57の回転駆動力が無端ベルト571及び歯車58を介して伝達され、搬送駆動ローラ53の回転により、記録紙又はトレイTRが副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送従動ローラホルダ541に軸支された状態で搬送駆動ローラ53に付勢され、記録紙又はトレイTRが搬送駆動ローラ53の回転により搬送される際に、記録紙又はトレイTRに接しながらその搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ53の表面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ54によって、搬送駆動ローラ53の表面に押しつけられた記録紙又はトレイTRは、その表面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の表面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yに搬送される。
【0034】
一方、記録実行後の記録紙を排出カセット71へ排出する手段として、排出駆動ローラ55と排出従動ローラ56が設けられている。排出駆動ローラ55は、搬送用モータ57の回転駆動力により回転制御され、排出駆動ローラ55の回転により、記録紙は副走査方向Yに排出される。排出従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラになっている。複数の排出従動ローラ56は、排出パネル7に軸支された状態で、それぞれ個々に排出駆動ローラ55に付勢され、記録紙が排出駆動ローラ55の回転により排出される際に記録紙に接して記録紙の排出に従動して回転する。
【0035】
また、排出パネル7と排出カセット71との間には、排出駆動ローラ55と排出従動ローラ56との間から記録後の記録紙が排出カセット71に排出されるのを補助するための複数の排出補助ローラ56aが配設されている。排出補助ローラ56aは、個々に排出補助パネル8に従動回転可能に軸支されている。そして、排出カセット71は、給紙カセット51と同様に前面に引き出す(符号Aで示した方向)ことが可能に配設されており、排出カセット71に排出された記録後の記録紙を取り出すことができるようになっている。
【0036】
インクジェット式記録装置50の側面フレーム501には、係合部材1が符号Sで示した方向に、ガイド502及びガイド503とによって摺動可能に支持されている。ガイド502は係合部材1に形成されている長孔12に、ガイド503は係合部材1に形成されている長孔13にそれぞれ長孔方向に摺動可能に係合している。係合部材1は、係合部材1に形成されているラック部11とアシストモータ2の回転駆動力が伝達されて回転するピニオン31とで構成されるラックピニオン機構によって符号Sで示した方向に移動する。アシストモータ2の回転駆動力は、アシストモータ2のプーリー2aに回転伝達可能に係合している歯車24に伝達され、歯車24から歯車26、歯車21、及び歯車25を介してピニオン31へ伝達される。
【0037】
歯車21は、アシストトリガレバー22のポジションによって移動可能に軸支された状態で配設されており、歯車21の位置によってアシストモータ2の回転駆動力の伝達経路は、歯車25側か歯車23側かのいずれか一方に選択的に切り換わるようになっている。アシストトリガレバー22は、キャリッジ61の移動位置がホームポジション(図4に示したキャリッジ61の移動位置)において、キャリッジ61と係合して符号Bで示した方向に揺動する(アシストトリガON)。すると、歯車21が符号Cで示した方向に移動し、アシストモータ2の回転駆動力の伝達経路は、歯車25側(ピニオン31側)から歯車23側へ切り換わる。アシストモータ2の回転駆動力は、歯車23を介してトレイTRへ伝達され、トレイTRは、アシストモータ2の回転駆動力によってその回転方向に応じて、副走査方向Y又は副走査方向Yと反対方向へ移動する。
【0038】
図6は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図である。また、図7は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図であり、便宜的に側面フレーム501及び係合部材1を取り除いた状態を示したものである。
【0039】
係合部材1には、PGを変更するためのメインキャリッジガイド軸調節用長孔17、及びサブキャリッジガイド軸調節用長孔14とが形成されている。また、係合部材1には、排出フレーム7を揺動させて排出駆動ローラ55から排出従動ローラ56をレリースさせるための排出従動ローラレリース用長孔16と、排出補助フレーム8を揺動させて排出補助ローラ56aをトレイTRの搬送経路からレリースさせるための排出補助ローラレリース用長孔15とが形成されている。さらに、係合部材1には、全ての搬送従動ローラホルダ541を揺動させて搬送駆動ローラ53から搬送従動ローラ54をレリースさせるための搬送従動ローラレリース用長孔18が形成されている。そして、前述したように、係合部材1は、係合部材1に形成されているラック部11とアシストモータ2の回転駆動力が伝達されて回転するピニオン31とで構成されるラックピニオン機構によって符号Sで示した方向に移動する。
【0040】
メインキャリッジガイド軸63は、偏心ブッシュ63aを介してインクジェット式記録装置50の本体に軸支されており、メインキャリッジガイド軸63を周方向に回転させることでメインキャリッジガイド軸63の高さが変更できるようになっている。メインキャリッジガイド軸63を周方向に回転可能に配設されている腕部631の係合部632が前述したメインキャリッジガイド軸調節用長孔17に係合している。また、サブキャリッジガイド軸64は、偏心ブッシュ64aを介してインクジェット式記録装置50の本体に軸支されており、サブキャリッジガイド軸64を周方向に回転させることでサブキャリッジガイド軸64の高さが変更できるようになっている。サブキャリッジガイド軸64を周方向に回転可能に配設されている腕部641の係合部642が前述したサブキャリッジガイド軸調節用長孔14に係合している。
【0041】
複数の排出従動ローラ56を軸支している排出フレーム7は、排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。排出フレーム7と一体に構成されている揺動体72が揺動することによって排出フレーム7が揺動し、全ての排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体72の係合部721が前述した排出従動ローラレリース用長孔16に係合している。複数の排出従動ローラ56を軸支している排出フレーム7は、排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。また、排出補助フレーム8と一体に構成されている揺動体81が揺動することによって排出補助フレーム8が揺動し、全ての排出補助ローラ56aがトレイTRの搬送経路から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体81の係合部811が前述した排出補助ローラレリース用長孔15に係合している。
【0042】
搬送従動ローラ54を軸支している複数の搬送従動ローラホルダ541は、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。全ての搬送従動ローラホルダ541を連結している揺動体542が揺動することによって全ての搬送従動ローラホルダ541が揺動し、全ての搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体542は、軸591を揺動軸として揺動可能に軸支されている腕部59に連結されており、腕部59の係合部592が前述した搬送従動ローラレリース用長孔18に係合している。
【0043】
つづいて、係合部材1の移動位置に対するメインキャリッジガイド軸63、サブキャリッジガイド軸64、排出フレーム7、排出補助フレーム8、及び搬送受動ローラホルダ541の状態について、図8〜図11を参照しながら説明する。
図8は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション0に位置している状態を示したものである。
【0044】
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第4の移動位置」としてのポジション0に位置している状態において、専用紙への記録に対応する。ポジション0においては、搬送従動ローラ54、排出従動ローラ56、及び排出補助ローラ56aは、図示の如く非レリース状態となる。また、メインキャリッジガイド軸63及びサブキャリッジガイド軸64は、記録ヘッド62のヘッド面の高さが専用紙に最も適したPGとなる高さとなる。
【0045】
図9は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション+に位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第3の移動位置」としてのポジション+に位置している状態において、普通紙への記録に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向に一定量移動させてポジション0からポジション+へ移動させると、腕部631の係合部632がメインキャリッジガイド軸調節用長孔17の長孔方向に摺動し、腕部631が符号Gで示した方向に揺動する。腕部631が符号Gで示した方向に揺動することによって、メインキャリッジガイド軸63が一定量上昇する。
【0046】
また、同時に、腕部641の係合部642がサブキャリッジガイド軸調節用長孔14の長孔方向に摺動し、腕部641が符号Fで示した方向に揺動する。腕部641が符号Fで示した方向に揺動することによって、サブキャリッジガイド軸64がメインキャリッジガイド軸63と同じ量だけ上昇する。メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64とが同じ上昇量だけ上昇するので、キャリッジ61が符号Hで示した方向に上昇し、記録ヘッド62のヘッド面は、記録面との平行度を維持したまま一定量だけ上昇して、PGが専用紙への記録時に最適なPGから普通紙への記録時に最適なPGへと変更される。したがって、普通紙への記録時において、ユーザーが操作することなく、普通紙への記録時に最適なPGへと変更することができる。
【0047】
また、排出従動ローラレリース用長孔16は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部721が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出フレーム7の揺動位置は変わらない。したがって、排出従動ローラ56は非レリース状態のままとなる。排出補助ローラレリース用長孔15は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部811が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出補助フレーム8の揺動位置は変わらない。したがって、排出補助ローラ56aも非レリース状態のままとなる。搬送従動ローラレリース用長孔18は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部592が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、搬送従動ローラホルダ541の揺動位置は変わらない。したがって、搬送従動ローラ54も非レリース状態のままとなる。
【0048】
図10は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション++に位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第2の移動位置」としてのポジション++に位置している状態において、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向にさらに一定量移動させてポジション+からポジション++へ移動させると、腕部631の係合部632がメインキャリッジガイド軸調節用長孔17の長孔方向に摺動し、腕部631が符号Gで示した方向にさらに揺動する。腕部631が符号Gで示した方向にさらに揺動することによって、メインキャリッジガイド軸63が一定量さらに上昇する。
【0049】
また、同時に、腕部641の係合部642がサブキャリッジガイド軸調節用長孔14の長孔方向に摺動し、腕部641が符号Fで示した方向にさらに揺動する。腕部641が符号Fで示した方向にさらに揺動することによって、サブキャリッジガイド軸64がメインキャリッジガイド軸63と同じ量だけさらに上昇する。メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64とが同じ上昇量だけさらに上昇するので、キャリッジ61が符号Hで示した方向にさらに上昇し、記録ヘッド62のヘッド面は、記録面との平行度を維持したまま一定量だけさらに上昇して、PGが普通紙への記録時に最適なPGからトレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録時に最適なPGへと変更される。
【0050】
また、揺動体72の係合部721が排出従動ローラレリース用長孔16の長孔方向に摺動し、揺動体72が符号Jで示した方向に揺動する。揺動体72が符号Jで示した方向に揺動することによって、排出フレーム7に軸支されている複数の排出従動ローラ56は、排出駆動ローラ55から離間した状態となりレリース状態となる。揺動体81の係合部811が排出補助ローラレリース用長孔15の長孔方向に摺動し、揺動体81が符号Kで示した方向に揺動する。揺動体81が符号Kで示した方向に揺動することによって、排出補助フレーム8に軸支されている複数の排出補助ローラ56aは、トレイTRの搬送経路から離間した状態となりレリース状態となる。一方、搬送従動ローラレリース用長孔18は、係合部材1がポジション+からポジション++へ移動する間に係合部592が係合する区間も、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、搬送従動ローラホルダ541の揺動位置はそのまま変わらない。したがって、搬送従動ローラ54は非レリース状態のままとなる。
【0051】
このように、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aがレリース状態となり、搬送従動ローラ54は非レリース状態のままなので、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aが光記録ディスクDVDのラベル面に接触しない状態で、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とでトレイTRを搬送しながら光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行することができる。
【0052】
図11は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジションレリースに位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第1の移動位置」としてのポジションレリースに位置している状態において、トレイTRをアシストモータ2の回転駆動力によって搬送する動作時に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向にさらに一定量移動させてポジション++からポジションレリースへ移動させると、メインキャリッジガイド軸調節用長孔17は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部632が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、腕部631の揺動位置はそのまま変わらない。したがって、メインキャリッジガイド軸63の高さはそのまま変わらない。
【0053】
同様に、サブキャリッジガイド軸調節用長孔14は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部642が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、腕部641の揺動位置もそのまま変わらない。したがって、サブキャリッジガイド軸64の高さもそのまま変わらない。
【0054】
また、排出従動ローラレリース用長孔16は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部721が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出フレーム7の揺動位置は変わらない。したがって、排出従動ローラ56はレリース状態のままとなる。排出補助ローラレリース用長孔15は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部811が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出補助フレーム8の揺動位置も変わらない。したがって、排出補助ローラ56aもレリース状態のままとなる。そして、揺動体59の係合部592が搬送従動ローラレリース用長孔18の長孔方向に摺動し、揺動体59が符号Lで示した方向に揺動する。揺動体59が符号Lで示した方向に揺動することによって、搬送従動ローラホルダ541が符号Mで示した方向に揺動して、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間した状態となりレリース状態となる。
【0055】
このように、排出従動ローラ56、排出補助ローラ56a、及び搬送従動ローラ54の全ての従動ローラがレリース状態となるので、アシストモータ2の回転駆動力によって、トレイTRを搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に搬送することができる。
【0056】
図12は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50において、光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行する手順を示した概略のフローチャートである。
インクジェット式記録装置50は、マイクロプロセッサーと、キャリッジ61の位置や搬送駆動ローラ53の回転位置等の各種状態情報を入力する手段と、キャリッジ駆動用モータ65や搬送用モータ57、アシストモータ2等の駆動力源を制御する手段とを有する制御部(図示せず)を備えている。当該フローチャートに示した手順は、制御部のマイクロプロセッサーにおいて実行可能なプログラムによって実現される制御手順である。
【0057】
まず、インクジェット式記録装置50の本体に配設されたトレイ記録ボタン(図示せず)が押下された否かを判定する(ステップS1)。トレイ記録ボタンが押下されていなければ(ステップS1でNo)、そのまま当該手順を終了する。一方、トレイ記録ボタンが押下されていれば(ステップS1でYes)、つづいて、係合部材1のポジションをレリースにする(ステップS2)。アシストモータ2を回転させてピニオン31を所定量回転させ、係合部材1をレリースポジションまで移動させる。係合部材1のポジションがレリースポジションとなっている場合には、前述したように、排出従動ローラ56、排出補助ローラ56a、及び搬送従動ローラ54が全てレリース状態となる。
【0058】
つづいて、アシストトリガをONにする(ステップS3)。キャリッジ61をホームポジションまで移動させてアシストトリガレバー22を符号B(図4)で示した方向に揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路を係合部材1側からトレイ搬送側へ切り換える。つづいて、トレイTRをセット位置から記録開始位置まで搬送する(ステップS4)。尚、当該実施の形態においてトレイTRは、排出カセット71内の底面に移動可能な状態で組み込まれて配設されており、排出カセット71を引き出し、トレイTRに光記録ディスクDVDを装着してから排出カセット71を押し入れることで、光記録ディスクDVDを装着したトレイTRをインクジェット式記録装置50のセット位置にセットすることができる。
【0059】
光記録ディスクDVDを装着した状態でセット位置にセットされているトレイTRは、歯車23とトレイTRに形成されている係合部(図示せず)とが係合しており、アシストモータ2の回転駆動力が歯車23を介して伝達されることによって搬送駆動ローラ53に向けて搬送される。前述したように、係合部材1のポジションはレリースになっているので(ステップS2)、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53からレリース状態(離間した状態)になっている。したがって、搬送駆動ローラ53へ向けて搬送されるトレイTRの先端近傍は、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挿入された状態となる。
【0060】
つづいて、アシストトリガをOFFにする(ステップS5)。キャリッジ61をホームポジションから移動させてアシストトリガレバー22を元の位置に揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路をトレイ搬送側から係合部材1側へ切り換える。つづいて、係合部材1のポジションを++にする(ステップS6)。アシストモータ2を回転させてピニオン31を所定量回転させ、係合部材1を++ポジションまで移動させる。係合部材1のポジションをレリースから++にすることによって、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aがレリース状態のままで、搬送従動ローラ54が非レリース状態となる。つまり、搬送従動ローラ54が非レリース状態となって搬送駆動ローラ53へ付勢された状態となる。したがって、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挿入されたトレイTRは、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持された状態となり、搬送駆動ローラ53の駆動回転によるトレイTRの搬送が可能な状態となる。
【0061】
また、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aは、レリース状態となっているので、前述した歯付きローラとなっている排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aの歯が、光記録ディスクDVDのラベル面への記録実行中に光記録ディスクDVDのラベル面に接触して傷をつけてしまうことを防止することができる。さらに、前述したように、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録に対応したPGとなるようにキャリッジ61の高さが設定されている。
【0062】
つづいて、トレイTRに対して普通紙や記録紙へ記録を実行する場合と同様の手順で記録を実行することによって、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録を実行する(ステップS7)。光記録ディスクDVDのラベル面への記録が終了した時点で、係合部材1を++ポジションから再びレリースポジションへ移動させる(ステップS8)。それによって、搬送従動ローラ54が再びレリース状態となり、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間にトレイTRが挟持された状態から搬送従動ローラ54がトレイTRから離間するので、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間からトレイTRを取り出すことが可能な状態となる。
【0063】
つづいて、アシストトリガを再びONにする(ステップS9)。キャリッジ61をホームポジションまで再び移動させてアシストトリガレバー22を揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路を係合部材1側からトレイ搬送側へ切り換える。つづいて、トレイTRを記録開始位置からセット位置まで搬送する(ステップS10)。装着されている光記録ディスクDVDのラベル面への記録を終えた状態のトレイTRは、アシストモータ2の回転駆動力が歯車23を介して伝達されてセット位置へ搬送される。そして、アシストトリガをOFFにし(ステップS11)、係合部材1のポジションを0に移動させ(ステップS12)、デフォルトとしての専用紙への記録待機状態で当該手順を終了する。
【0064】
このようにして、当該実施の形態に示したインクジェット式記録装置50は、光記録ディスクDVDを装着したトレイTRをインクジェット式記録装置50のセット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを押下するだけで、あとはユーザーの操作を必要とすることなく光記録ディスクDVDのラベル面への記録を実行することができる(全自動記録手段)。したがって、搬送従動ローラ54をレリース状態にしたり、光記録ディスクDVDのラベル面への記録に合わせてキャリッジ61の高さを変更してPGを変更したり、搬送従動ローラ56及び搬送補助ローラ56aをレリース状態にしたり等をユーザーが判断して操作する必要がない。それによって、誤ってPGの変更や搬送従動ローラ56及び搬送補助ローラ56aのレリース操作をしないままトレイTRに装着した光記録ディスクのラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができる。
【0065】
尚、本願発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本願発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るインクジェット式記録装置の概略の正面図。
【図2】本願発明に係るインクジェット式記録装置の上蓋を外した状態の概略の平面図。
【図3】本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部斜視図。
【図4】本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部平面図。
【図5】図4において、さらに要部を示したもの。
【図6】本願発明に係るインクジェット式記録装置の要部正面図。
【図7】本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図であり、便宜的に側面フレーム及び係合部材を取り除いた状態を示したもの。
【図8】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション0に位置している状態を示したもの。
【図9】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション+に位置している状態を示したもの。
【図10】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション++に位置している状態を示したもの。
【図11】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジションレリースに位置している状態を示したもの。
【図12】光記録ディスクのラベル面に記録を実行する手順を示した概略のフローチャート。
【符号の説明】
1 係合部材、2 アシストモータ、5 プラテン、14 サブキャリッジガイド軸調節用長孔、15 排出補助ローラレリース用長孔、16 排出従動ローラレリース用長孔、17 メインキャリッジガイド軸調節用長孔、18 搬送従動ローラレリース用長孔、22 アシストトリガレバー、50 インクジェット式記録装置、51 給紙カセット、52 給紙ローラ、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排出駆動ローラ、56 排出従動ローラ、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、71 排出カセット、TR トレイ、DVD 光記録ディスク
【発明の属する技術分野】
本願発明は、CD−RやDVD等の記憶媒体のラベル面に記録可能な構成を成す記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD−RやDVD等の円板形状を有する記憶媒体としての光記録ディスクは、データ記憶面と反対側の面、いわゆるラベル面の所定の領域に、その光記録ディスクに記憶されているインデックス情報等の文字の書き込みや写真等の画像を記録することが可能になっている。そして、このラベル面に記録を行う記録装置については、特開平11−5332号公報にて、記録方法については、特許第2794628号公報にて開示されている。また、国際公開第WO97/11850号公報にて、光記録ディスクを専用のトレイに装着し、そのトレイを搬送して記録を行う記録装置が開示されている。これは、矩形形状の薄い板からなる光記録ディスクのトレイの中央に形成した浅い円形溝からなる装着部に光記録ディスクを装着し、光記録ディスクを装着したトレイを搬送ローラにて搬送して記録ヘッドにて光記録ディスクのラベル面に記録を行うものである。
【0003】
また、主走査方向に記録ヘッドを往復動させながら記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射する動作と、その被記録材を副走査方向に所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返して被記録材への記録を行う、いわゆるインクジェット式記録装置が近年広く普及している。そして、このインクジェット式記録装置において、上述したように、光記録ディスクを装着したトレイを記録紙と同様に被記録材として搬送し、光記録ディスクのラベル面にインクを噴射して記録を実行することができるものがすでに公知のものとなっている。
【0004】
このようなインクジェット式記録装置にて光記録ディスクを装着したトレイに対して記録紙と同様に記録を実行しようとすると、いくつかの問題が出てくる。まず、トレイは、普通紙等の記録紙と比較して厚みがあるので、それによって、記録ヘッドのヘッド面とインクを噴射する記録面との間の間隔、いわゆるPG(ペーパー・ギャップ)が短くなってしまう。インクジェット式記録装置は、PGが常に最適な一定の間隔に規定されることで、最適な記録画質が得られるようになっている。したがって、PGが短くなることによって記録画質が低下したり、記録ヘッドのヘッド面が記録面に接触してしまったりする虞が生じてしまう。
【0005】
また、一般的なインクジェット式記録装置は、記録後の記録紙の排出手段として排出用の駆動ローラに付勢されて状態で従動回転可能に軸支されている歯付きローラを備えている。歯付きローラは、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っているので、この歯付きローラが光記録ディスクのラベル面に接触すると、その歯によってラベル面に傷がついてしまうことがある。CD−RやDVD等の光記録ディスクは、ラベル面に傷が付いてしまうと、それがわずかな傷であってデータ記憶面(ラベル面と反対側の面)に記憶されているデータが読み出せなくなってしまうことがある。
【0006】
そのため、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録する機能を有する従来のインクジェット式記録装置は、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録を実行する場合に、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に合わせてPGの間隔を変更する手段や、排出用の駆動ローラに付勢されている歯付きローラを排出用の駆動ローラからレリースする手段を備えている。それによって、トレイに装着した光記録ディスクのラベル面に記録を実行する際においてもPGを最適な間隔に設定することができる。また、歯付きローラを排出用の駆動ローラからレリースすることによって、歯付きローラが光記録ディスクに接触しないようにすることができるので、歯付きローラの歯によって光記録ディスクのラベル面に傷がついてしまうことを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインクジェット式記録装置は、上述したようなPGの変更や歯付きローラのレリースを、ユーザーが全て手動操作で行う構成になっていた。したがって、ユーザーが誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した光記録ディスクのラベル面への記録を実行してしまい、記録ヘッドのヘッド面がトレイや光記録ディスクに接触してしまったり、光記録ディスクのラベル面に歯付きローラの歯によって傷がついてしまったりする虞があった。
【0008】
本願発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、インクジェット式記録装置等の記録装置において、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願発明の第1の態様は、専用のトレイに装着した記憶媒体を被記録材として、前記記憶媒体のラベル面に記録を実行する記憶媒体ラベル面記録手段と、被記録材の厚みに応じて記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔を変更するPG変更手段と、従動回転可能に軸支され、排出駆動ローラに付勢されている排出従動ローラを前記排出駆動ローラからレリースする排出従動ローラレリース手段と、従動回転可能に軸支され、所定の搬送量で被記録材を搬送するための搬送駆動ローラに付勢されている搬送従動ローラを前記搬送駆動ローラからレリースする搬送従動ローラレリース手段とを備えた記録装置であって、前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段と係合した状態で移動可能に配設され、移動位置に応じて前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラのレリース状態、及び前記搬送従動ローラのレリース状態を変更可能な形状を成す係合部材と、前記記憶媒体ラベル面記録手段における前記トレイの状態に応じて、該トレイの状態に対応した前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラレリース手段の状態、及び前記搬送従動ローラレリース手段の状態となる移動位置へ前記係合部材を移動させる係合部材移動手段とを備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0010】
光記録ディスク等の記憶媒体を装着したトレイを被記録材として、普通紙等の記録紙と同様に記録を実行するためには、まず、所定の搬送量で被記録材を搬送するための搬送駆動ローラと、搬送駆動ローラに付勢されている搬送従動ローラとの間にトレイが挟持された状態にする必要がある。普通紙等の記録紙の場合には、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの当接面(ニップ点)に記録紙の先端を押しつけた状態で搬送駆動ローラを駆動回転させることで、記録紙が引き込まれて搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間に挟持された状態に記録紙を引き込むことができる。しかし、記憶媒体を装着するトレイは、厚みがあるため、そのようなわけにはいかない。そこで、搬送従動ローラレリース手段によって、いったん搬送従動ローラが搬送駆動ローラからレリースした状態(離間した状態)にし、離間している搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイの先端近傍を挿入してから搬送従動ローラを再び非レリース状態に戻すといった動作が必要になる。
【0011】
また、搬送駆動ローラの駆動回転によってトレイを搬送しながらトレイに装着された記憶媒体に記録を実行する前に、記録ヘッドと記憶媒体のラベル面との間の間隔が最適なPGになるように、PG変更手段によって記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔を変更する必要がある。また、一般的に前述した歯付きローラとなっている排出従動ローラを、排出従動ローラレリース手段によって排出駆動ローラからレリースさせた状態にして、記録実行中に歯付きローラが記憶媒体のラベル面に接触しないようにする必要がある。
【0012】
上述した搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段は、移動可能に配設された1つの係合部材と係合した状態で配設されているので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段のそれぞれの状態を様々な組合せで設定することが、1つの係合部材の移動位置を変えることによって行うことができる。つまり、例えば、トレイを搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間に挟持させる際には、搬送従動ローラと排出従動ローラとをレリースさせ、記憶媒体のラベル面への記録時には、搬送従動ローラの非レリース状態に戻すとともにPGを変更するといったことが1つの係合部材の位置を移動させることによって行うことができる。
【0013】
そして、トレイの状態に応じて、トレイの状態に対応した記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、排出従動ローラレリース手段の状態、及び搬送従動ローラレリース手段の状態となる移動位置へ係合部材を移動させる係合部材移動手段によって、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段をユーザーが判断して手動操作する必要がない。また、1つの係合部材を移動させることで、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を変えることができるので、係合部材を移動させるための駆動力源を個々に設ける必要がなく、かつ単純な駆動力伝達機構で駆動力源の駆動力を、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段に係合部材を介して個々に伝達することができる。
【0014】
このように、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段をユーザーが判断して手動操作する必要がないので、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができるという作用効果が得られる。また、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段が1つの係合部材に係合した状態で配設されているので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段に駆動力源を伝達する駆動力伝達機構を単純な構成にすることができるという作用効果も得られる。
【0015】
本願発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記記憶媒体ラベル面記録手段は、セット位置にセットした前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、前記記憶媒体のラベル面への記録実行後、前記トレイを前記セット位置まで搬送するトレイ搬送手段と、前記トレイを前記搬送駆動ローラにて搬送しながら前記トレイに装着されている記憶媒体のラベル面へ記録を実行するラベル面記録手段とを有し、前記係合部材は、前記トレイ搬送手段に対応した第1の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラがレリース状態となり、前記ラベル面記録手段に対応した第2の移動位置において、前記搬送従動ローラが非レリース状態、前記排出従動ローラがレリース状態となる形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0016】
トレイ搬送手段によって、セット位置にセットしたトレイを搬送駆動ローラまで搬送する際には、搬送駆動ローラに搬送従動ローラが当接して付勢されていると、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイを挿入することができないので、搬送従動ローラをレリース状態にする必要がある。また、トレイ搬送手段によって、記憶媒体のラベル面への記録実行後のトレイをセット位置まで搬送する際には、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間にトレイが挟持されているので、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとの間からトレイを引き出してセット位置まで搬送するために搬送従動ローラをレリース状態にする必要がある。
【0017】
したがって、トレイ搬送手段によるトレイの搬送時と、搬送従動ローラ及び排出従動ローラがレリース状態となる係合部材の第1の移動位置とを対応させることによって、トレイ搬送手段によるトレイの搬送を搬送従動ローラがレリースされた状態で行うことができるという作用効果が得られる。さらに、係合部材の第1の移動位置においては、排出従動ローラもレリース状態となるので、トレイ搬送手段によるトレイの搬送時に、排出従動ローラがトレイに引っ掛かってしまう虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。
【0018】
また、ラベル面記録手段によって、トレイを搬送駆動ローラにて搬送しながら装着されている記憶媒体のラベル面へ記録を実行する際には、搬送従動ローラを非レリース状態にして、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとでトレイが挟持された状態にする必要がある。そして、排出従動ローラは、排出従動ローラを記憶媒体のラベル面に接触させないためにレリース状態としておく必要がある。したがって、ラベル面記録手段による記憶媒体のラベル面への記録時と、搬送従動ローラが非レリース状態で排出従動ローラがレリース状態となる係合部材の第2の移動位置とを対応させることによって、排出従動ローラが記憶媒体のラベル面に接触しない状態で、搬送駆動ローラと搬送従動ローラとでトレイを搬送しながら記憶媒体のラベル面に記録を実行することができるという作用効果が得られる。
【0019】
本願発明の第3の態様は、前述した第2の態様において、前記記憶媒体を装着した状態の前記トレイを前記セット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを操作することによって、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第1の移動位置まで移動させ、前記トレイ搬送手段によって前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第2の移動位置まで移動させ、前記ラベル面記録手段によって前記記憶媒体のラベル面に記録を実行し、前記係合部材移動手段によって前記係合部材を再び前記第1の移動位置まで移動させ、前記トレイ搬送手段によって前記トレイを再び前記セット位置まで搬送する全自動記録手段を備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0020】
このように、全自動記録手段によって、記憶媒体を装着した状態のトレイをセット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを操作するだけで、記憶媒体のラベル面に記録が実行されてトレイがセット位置まで再び搬送されるので、誤ってPGの変更や歯付きローラのレリース操作をしないままトレイに装着した記憶媒体のラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができるばかりでなく、普通紙等の記録紙と同じ感覚で記憶媒体のラベル面への記録を簡単に行うことができるという作用効果が得られる。
【0021】
本願発明の第4の態様は、前述した第2の態様又は第3の態様において、前記係合部材移動手段の駆動力源の駆動力伝達経路を、前記係合部材移動手段から一時的に前記トレイ搬送手段へ切り換える駆動力伝達経路切換手段を備えている、ことを特徴とした記録装置である。
【0022】
このように、駆動力伝達経路切換手段によって、係合部材移動手段の駆動力源の駆動力伝達経路を、係合部材移動手段から一時的にトレイ搬送手段へ切り換えることによって、係合部材移動手段の駆動力源の駆動力を利用してトレイを搬送することができる。したがって、1つの駆動力源を係合部材移動手段とトレイ搬送手段とで共用することができ、トレイ搬送手段に専用の駆動力源を設ける必要がないので、記録装置のコストを低減させることができるという作用効果が得られる。
【0023】
本願発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、被記録材の搬送方向と直交する方向に往復動可能に配設され、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジを備え、前記駆動力伝達経路切換手段は、前記キャリッジが特定の位置にある状態においてのみ、前記駆動力源の駆動力伝達経路が前記係合部材移動手段から前記トレイ搬送手段へ切り換わる構成を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0024】
このように、記録を実行する手段を構成しているキャリッジとキャリッジの駆動手段を利用して、駆動力伝達経路切換手段による駆動力源の駆動力伝達経路を切り換えるので、駆動力伝達経路切換手段の駆動力伝達経路の切換機構を低コストで構成することができるという作用効果が得られる。
【0025】
本願発明の第6の態様は、前述した第2の態様〜第5の態様のいずれかにおいて、前記係合部材は、普通紙への記録に対応した第3の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、普通紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0026】
このように、係合部材の第3の位置において、搬送従動ローラ及び排出従動ローラが非レリース状態となり、記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、普通紙において所定のPGとなる間隔に設定されるので、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を、前述した係合部材移動手段によって、普通紙へ記録を実行する際に最適となるように設定することができる。したがって、普通紙への記録時においても、ユーザーが操作することなく、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段を普通紙に対応した状態にすることができるという作用効果が得られる。
【0027】
本願発明の第7の態様は、前述した第6の態様において、前記係合部材は、専用紙への記録に対応した第4の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、専用紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置である。
【0028】
このように、係合部材の第4の位置において、搬送従動ローラ及び排出従動ローラが非レリース状態となり、記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、専用紙において所定のPGとなる間隔に設定されるので、専用紙へ記録を実行する際において、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段の状態を、前述した係合部材移動手段によって、専用紙へ記録を実行する際に最適となるように設定することができる。したがって、専用紙への記録時においても、ユーザーが操作することなく、搬送従動ローラレリース手段、PG変更手段、及び排出従動ローラレリース手段を専用紙に対応した状態にすることができるという作用効果が得られる。また、専用紙への記録時に普通紙への記録時と異なるPGに設定することができるので、よりきめ細かなPGの設定が可能になるという作用効果も得られる。
【0029】
本願発明の第8の態様は、前述した第1の態様〜第7の態様のいずれかにおいて、前記係合部材は、薄板に前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段の可動部に設けられた凸部が係合する長孔が形成されて構成されている、ことを特徴とした記録装置である。
このように、係合部材が薄板形状を成しているので、記録装置内において係合部材が占有する空間を小さくすることができ、係合部材によって記録装置が大型化する虞がほとんどないという作用効果が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本願発明に係る「記録装置」としてのインクジェット式記録装置について説明する。図1は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の概略の正面図であり、図2は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の上蓋を外した状態の概略の平面図である。図3は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部斜視図である。図4は、本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部平面図であり、図5は、図4において、さらに要部を示したものである。
【0031】
インクジェット式記録装置50には、記録紙又はトレイTRに装着された「記憶媒体」としての光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行する記録手段として、主走査方向Xに往復動可能に軸支されたキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61は、メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64との2本のガイド軸によって軸支されており、メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64は、個々に上下動可能に軸支されている。キャリッジ61は、無端ベルト66を介してキャリッジ駆動用モータ65の駆動力が伝達されて主走査方向Xに往復動する。また、キャリッジ61には、記録面にインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62と、カラーインクカートリッジ6a及びブラックインクカートリッジ6bとが搭載されている。記録ヘッド62と対向して、記録ヘッド62のヘッド面と記録面とのギャップを規定するプラテン5が設けられている。そして、キャリッジ61とプラテン5の間に記録紙又はトレイTRを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド62を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド62から記録面にインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録が行われる。
【0032】
給紙カセット51は、前面から符号Aで示した方向に引き出すことが可能な構成になっている。引き出した給紙カセット51に記録紙を積重してから給紙カセット51を押し入れることでインクジェット式記録装置50内に記録紙をセットすることができる。給紙カセット51の底部には、給紙カセット51に積重された記録紙を給紙ローラ52の周面に付勢するためのホッパー(図示せず)が配設されている。給紙ローラ52は、モータ等の回転駆動力源からの回転が伝達されて回転し、給紙ローラ52に付勢された給紙カセット51内の記録紙を後述する搬送手段へ給送する。
【0033】
記録紙又はトレイTRを副走査方向Yに搬送する搬送手段として、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とが設けられている。搬送駆動ローラ53は、搬送用モータ57の回転駆動力が無端ベルト571及び歯車58を介して伝達され、搬送駆動ローラ53の回転により、記録紙又はトレイTRが副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送従動ローラホルダ541に軸支された状態で搬送駆動ローラ53に付勢され、記録紙又はトレイTRが搬送駆動ローラ53の回転により搬送される際に、記録紙又はトレイTRに接しながらその搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ53の表面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ54によって、搬送駆動ローラ53の表面に押しつけられた記録紙又はトレイTRは、その表面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の表面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向Yに搬送される。
【0034】
一方、記録実行後の記録紙を排出カセット71へ排出する手段として、排出駆動ローラ55と排出従動ローラ56が設けられている。排出駆動ローラ55は、搬送用モータ57の回転駆動力により回転制御され、排出駆動ローラ55の回転により、記録紙は副走査方向Yに排出される。排出従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラになっている。複数の排出従動ローラ56は、排出パネル7に軸支された状態で、それぞれ個々に排出駆動ローラ55に付勢され、記録紙が排出駆動ローラ55の回転により排出される際に記録紙に接して記録紙の排出に従動して回転する。
【0035】
また、排出パネル7と排出カセット71との間には、排出駆動ローラ55と排出従動ローラ56との間から記録後の記録紙が排出カセット71に排出されるのを補助するための複数の排出補助ローラ56aが配設されている。排出補助ローラ56aは、個々に排出補助パネル8に従動回転可能に軸支されている。そして、排出カセット71は、給紙カセット51と同様に前面に引き出す(符号Aで示した方向)ことが可能に配設されており、排出カセット71に排出された記録後の記録紙を取り出すことができるようになっている。
【0036】
インクジェット式記録装置50の側面フレーム501には、係合部材1が符号Sで示した方向に、ガイド502及びガイド503とによって摺動可能に支持されている。ガイド502は係合部材1に形成されている長孔12に、ガイド503は係合部材1に形成されている長孔13にそれぞれ長孔方向に摺動可能に係合している。係合部材1は、係合部材1に形成されているラック部11とアシストモータ2の回転駆動力が伝達されて回転するピニオン31とで構成されるラックピニオン機構によって符号Sで示した方向に移動する。アシストモータ2の回転駆動力は、アシストモータ2のプーリー2aに回転伝達可能に係合している歯車24に伝達され、歯車24から歯車26、歯車21、及び歯車25を介してピニオン31へ伝達される。
【0037】
歯車21は、アシストトリガレバー22のポジションによって移動可能に軸支された状態で配設されており、歯車21の位置によってアシストモータ2の回転駆動力の伝達経路は、歯車25側か歯車23側かのいずれか一方に選択的に切り換わるようになっている。アシストトリガレバー22は、キャリッジ61の移動位置がホームポジション(図4に示したキャリッジ61の移動位置)において、キャリッジ61と係合して符号Bで示した方向に揺動する(アシストトリガON)。すると、歯車21が符号Cで示した方向に移動し、アシストモータ2の回転駆動力の伝達経路は、歯車25側(ピニオン31側)から歯車23側へ切り換わる。アシストモータ2の回転駆動力は、歯車23を介してトレイTRへ伝達され、トレイTRは、アシストモータ2の回転駆動力によってその回転方向に応じて、副走査方向Y又は副走査方向Yと反対方向へ移動する。
【0038】
図6は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図である。また、図7は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図であり、便宜的に側面フレーム501及び係合部材1を取り除いた状態を示したものである。
【0039】
係合部材1には、PGを変更するためのメインキャリッジガイド軸調節用長孔17、及びサブキャリッジガイド軸調節用長孔14とが形成されている。また、係合部材1には、排出フレーム7を揺動させて排出駆動ローラ55から排出従動ローラ56をレリースさせるための排出従動ローラレリース用長孔16と、排出補助フレーム8を揺動させて排出補助ローラ56aをトレイTRの搬送経路からレリースさせるための排出補助ローラレリース用長孔15とが形成されている。さらに、係合部材1には、全ての搬送従動ローラホルダ541を揺動させて搬送駆動ローラ53から搬送従動ローラ54をレリースさせるための搬送従動ローラレリース用長孔18が形成されている。そして、前述したように、係合部材1は、係合部材1に形成されているラック部11とアシストモータ2の回転駆動力が伝達されて回転するピニオン31とで構成されるラックピニオン機構によって符号Sで示した方向に移動する。
【0040】
メインキャリッジガイド軸63は、偏心ブッシュ63aを介してインクジェット式記録装置50の本体に軸支されており、メインキャリッジガイド軸63を周方向に回転させることでメインキャリッジガイド軸63の高さが変更できるようになっている。メインキャリッジガイド軸63を周方向に回転可能に配設されている腕部631の係合部632が前述したメインキャリッジガイド軸調節用長孔17に係合している。また、サブキャリッジガイド軸64は、偏心ブッシュ64aを介してインクジェット式記録装置50の本体に軸支されており、サブキャリッジガイド軸64を周方向に回転させることでサブキャリッジガイド軸64の高さが変更できるようになっている。サブキャリッジガイド軸64を周方向に回転可能に配設されている腕部641の係合部642が前述したサブキャリッジガイド軸調節用長孔14に係合している。
【0041】
複数の排出従動ローラ56を軸支している排出フレーム7は、排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。排出フレーム7と一体に構成されている揺動体72が揺動することによって排出フレーム7が揺動し、全ての排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体72の係合部721が前述した排出従動ローラレリース用長孔16に係合している。複数の排出従動ローラ56を軸支している排出フレーム7は、排出従動ローラ56が排出駆動ローラ55から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。また、排出補助フレーム8と一体に構成されている揺動体81が揺動することによって排出補助フレーム8が揺動し、全ての排出補助ローラ56aがトレイTRの搬送経路から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体81の係合部811が前述した排出補助ローラレリース用長孔15に係合している。
【0042】
搬送従動ローラ54を軸支している複数の搬送従動ローラホルダ541は、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間する方向に揺動可能に軸支されて配設されている。全ての搬送従動ローラホルダ541を連結している揺動体542が揺動することによって全ての搬送従動ローラホルダ541が揺動し、全ての搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間した状態(レリース状態)となる。揺動体542は、軸591を揺動軸として揺動可能に軸支されている腕部59に連結されており、腕部59の係合部592が前述した搬送従動ローラレリース用長孔18に係合している。
【0043】
つづいて、係合部材1の移動位置に対するメインキャリッジガイド軸63、サブキャリッジガイド軸64、排出フレーム7、排出補助フレーム8、及び搬送受動ローラホルダ541の状態について、図8〜図11を参照しながら説明する。
図8は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション0に位置している状態を示したものである。
【0044】
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第4の移動位置」としてのポジション0に位置している状態において、専用紙への記録に対応する。ポジション0においては、搬送従動ローラ54、排出従動ローラ56、及び排出補助ローラ56aは、図示の如く非レリース状態となる。また、メインキャリッジガイド軸63及びサブキャリッジガイド軸64は、記録ヘッド62のヘッド面の高さが専用紙に最も適したPGとなる高さとなる。
【0045】
図9は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション+に位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第3の移動位置」としてのポジション+に位置している状態において、普通紙への記録に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向に一定量移動させてポジション0からポジション+へ移動させると、腕部631の係合部632がメインキャリッジガイド軸調節用長孔17の長孔方向に摺動し、腕部631が符号Gで示した方向に揺動する。腕部631が符号Gで示した方向に揺動することによって、メインキャリッジガイド軸63が一定量上昇する。
【0046】
また、同時に、腕部641の係合部642がサブキャリッジガイド軸調節用長孔14の長孔方向に摺動し、腕部641が符号Fで示した方向に揺動する。腕部641が符号Fで示した方向に揺動することによって、サブキャリッジガイド軸64がメインキャリッジガイド軸63と同じ量だけ上昇する。メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64とが同じ上昇量だけ上昇するので、キャリッジ61が符号Hで示した方向に上昇し、記録ヘッド62のヘッド面は、記録面との平行度を維持したまま一定量だけ上昇して、PGが専用紙への記録時に最適なPGから普通紙への記録時に最適なPGへと変更される。したがって、普通紙への記録時において、ユーザーが操作することなく、普通紙への記録時に最適なPGへと変更することができる。
【0047】
また、排出従動ローラレリース用長孔16は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部721が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出フレーム7の揺動位置は変わらない。したがって、排出従動ローラ56は非レリース状態のままとなる。排出補助ローラレリース用長孔15は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部811が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出補助フレーム8の揺動位置は変わらない。したがって、排出補助ローラ56aも非レリース状態のままとなる。搬送従動ローラレリース用長孔18は、係合部材1がポジション0からポジション+へ移動する間に係合部592が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、搬送従動ローラホルダ541の揺動位置は変わらない。したがって、搬送従動ローラ54も非レリース状態のままとなる。
【0048】
図10は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジション++に位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第2の移動位置」としてのポジション++に位置している状態において、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向にさらに一定量移動させてポジション+からポジション++へ移動させると、腕部631の係合部632がメインキャリッジガイド軸調節用長孔17の長孔方向に摺動し、腕部631が符号Gで示した方向にさらに揺動する。腕部631が符号Gで示した方向にさらに揺動することによって、メインキャリッジガイド軸63が一定量さらに上昇する。
【0049】
また、同時に、腕部641の係合部642がサブキャリッジガイド軸調節用長孔14の長孔方向に摺動し、腕部641が符号Fで示した方向にさらに揺動する。腕部641が符号Fで示した方向にさらに揺動することによって、サブキャリッジガイド軸64がメインキャリッジガイド軸63と同じ量だけさらに上昇する。メインキャリッジガイド軸63とサブキャリッジガイド軸64とが同じ上昇量だけさらに上昇するので、キャリッジ61が符号Hで示した方向にさらに上昇し、記録ヘッド62のヘッド面は、記録面との平行度を維持したまま一定量だけさらに上昇して、PGが普通紙への記録時に最適なPGからトレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録時に最適なPGへと変更される。
【0050】
また、揺動体72の係合部721が排出従動ローラレリース用長孔16の長孔方向に摺動し、揺動体72が符号Jで示した方向に揺動する。揺動体72が符号Jで示した方向に揺動することによって、排出フレーム7に軸支されている複数の排出従動ローラ56は、排出駆動ローラ55から離間した状態となりレリース状態となる。揺動体81の係合部811が排出補助ローラレリース用長孔15の長孔方向に摺動し、揺動体81が符号Kで示した方向に揺動する。揺動体81が符号Kで示した方向に揺動することによって、排出補助フレーム8に軸支されている複数の排出補助ローラ56aは、トレイTRの搬送経路から離間した状態となりレリース状態となる。一方、搬送従動ローラレリース用長孔18は、係合部材1がポジション+からポジション++へ移動する間に係合部592が係合する区間も、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、搬送従動ローラホルダ541の揺動位置はそのまま変わらない。したがって、搬送従動ローラ54は非レリース状態のままとなる。
【0051】
このように、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aがレリース状態となり、搬送従動ローラ54は非レリース状態のままなので、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aが光記録ディスクDVDのラベル面に接触しない状態で、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54とでトレイTRを搬送しながら光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行することができる。
【0052】
図11は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50の一部を拡大して要部のみを模式的に示した正面図であり、係合部材1の移動位置がポジションレリースに位置している状態を示したものである。
インクジェット式記録装置50は、係合部材1が本願発明に係る「第1の移動位置」としてのポジションレリースに位置している状態において、トレイTRをアシストモータ2の回転駆動力によって搬送する動作時に対応する。ピニオン31を符号Dで示した方向に回転させ、係合部材1を符号Eで示した方向にさらに一定量移動させてポジション++からポジションレリースへ移動させると、メインキャリッジガイド軸調節用長孔17は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部632が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、腕部631の揺動位置はそのまま変わらない。したがって、メインキャリッジガイド軸63の高さはそのまま変わらない。
【0053】
同様に、サブキャリッジガイド軸調節用長孔14は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部642が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、腕部641の揺動位置もそのまま変わらない。したがって、サブキャリッジガイド軸64の高さもそのまま変わらない。
【0054】
また、排出従動ローラレリース用長孔16は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部721が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出フレーム7の揺動位置は変わらない。したがって、排出従動ローラ56はレリース状態のままとなる。排出補助ローラレリース用長孔15は、係合部材1がポジション++からポジションレリースへ移動する間に係合部811が係合する区間が、係合部材1の移動方向と平行な長孔になっているので、排出補助フレーム8の揺動位置も変わらない。したがって、排出補助ローラ56aもレリース状態のままとなる。そして、揺動体59の係合部592が搬送従動ローラレリース用長孔18の長孔方向に摺動し、揺動体59が符号Lで示した方向に揺動する。揺動体59が符号Lで示した方向に揺動することによって、搬送従動ローラホルダ541が符号Mで示した方向に揺動して、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53から離間した状態となりレリース状態となる。
【0055】
このように、排出従動ローラ56、排出補助ローラ56a、及び搬送従動ローラ54の全ての従動ローラがレリース状態となるので、アシストモータ2の回転駆動力によって、トレイTRを搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に搬送することができる。
【0056】
図12は、本願発明に係るインクジェット式記録装置50において、光記録ディスクDVDのラベル面に記録を実行する手順を示した概略のフローチャートである。
インクジェット式記録装置50は、マイクロプロセッサーと、キャリッジ61の位置や搬送駆動ローラ53の回転位置等の各種状態情報を入力する手段と、キャリッジ駆動用モータ65や搬送用モータ57、アシストモータ2等の駆動力源を制御する手段とを有する制御部(図示せず)を備えている。当該フローチャートに示した手順は、制御部のマイクロプロセッサーにおいて実行可能なプログラムによって実現される制御手順である。
【0057】
まず、インクジェット式記録装置50の本体に配設されたトレイ記録ボタン(図示せず)が押下された否かを判定する(ステップS1)。トレイ記録ボタンが押下されていなければ(ステップS1でNo)、そのまま当該手順を終了する。一方、トレイ記録ボタンが押下されていれば(ステップS1でYes)、つづいて、係合部材1のポジションをレリースにする(ステップS2)。アシストモータ2を回転させてピニオン31を所定量回転させ、係合部材1をレリースポジションまで移動させる。係合部材1のポジションがレリースポジションとなっている場合には、前述したように、排出従動ローラ56、排出補助ローラ56a、及び搬送従動ローラ54が全てレリース状態となる。
【0058】
つづいて、アシストトリガをONにする(ステップS3)。キャリッジ61をホームポジションまで移動させてアシストトリガレバー22を符号B(図4)で示した方向に揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路を係合部材1側からトレイ搬送側へ切り換える。つづいて、トレイTRをセット位置から記録開始位置まで搬送する(ステップS4)。尚、当該実施の形態においてトレイTRは、排出カセット71内の底面に移動可能な状態で組み込まれて配設されており、排出カセット71を引き出し、トレイTRに光記録ディスクDVDを装着してから排出カセット71を押し入れることで、光記録ディスクDVDを装着したトレイTRをインクジェット式記録装置50のセット位置にセットすることができる。
【0059】
光記録ディスクDVDを装着した状態でセット位置にセットされているトレイTRは、歯車23とトレイTRに形成されている係合部(図示せず)とが係合しており、アシストモータ2の回転駆動力が歯車23を介して伝達されることによって搬送駆動ローラ53に向けて搬送される。前述したように、係合部材1のポジションはレリースになっているので(ステップS2)、搬送従動ローラ54が搬送駆動ローラ53からレリース状態(離間した状態)になっている。したがって、搬送駆動ローラ53へ向けて搬送されるトレイTRの先端近傍は、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挿入された状態となる。
【0060】
つづいて、アシストトリガをOFFにする(ステップS5)。キャリッジ61をホームポジションから移動させてアシストトリガレバー22を元の位置に揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路をトレイ搬送側から係合部材1側へ切り換える。つづいて、係合部材1のポジションを++にする(ステップS6)。アシストモータ2を回転させてピニオン31を所定量回転させ、係合部材1を++ポジションまで移動させる。係合部材1のポジションをレリースから++にすることによって、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aがレリース状態のままで、搬送従動ローラ54が非レリース状態となる。つまり、搬送従動ローラ54が非レリース状態となって搬送駆動ローラ53へ付勢された状態となる。したがって、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挿入されたトレイTRは、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間に挟持された状態となり、搬送駆動ローラ53の駆動回転によるトレイTRの搬送が可能な状態となる。
【0061】
また、排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aは、レリース状態となっているので、前述した歯付きローラとなっている排出従動ローラ56及び排出補助ローラ56aの歯が、光記録ディスクDVDのラベル面への記録実行中に光記録ディスクDVDのラベル面に接触して傷をつけてしまうことを防止することができる。さらに、前述したように、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録に対応したPGとなるようにキャリッジ61の高さが設定されている。
【0062】
つづいて、トレイTRに対して普通紙や記録紙へ記録を実行する場合と同様の手順で記録を実行することによって、トレイTRに装着された光記録ディスクDVDのラベル面への記録を実行する(ステップS7)。光記録ディスクDVDのラベル面への記録が終了した時点で、係合部材1を++ポジションから再びレリースポジションへ移動させる(ステップS8)。それによって、搬送従動ローラ54が再びレリース状態となり、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間にトレイTRが挟持された状態から搬送従動ローラ54がトレイTRから離間するので、搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54との間からトレイTRを取り出すことが可能な状態となる。
【0063】
つづいて、アシストトリガを再びONにする(ステップS9)。キャリッジ61をホームポジションまで再び移動させてアシストトリガレバー22を揺動させ、アシストモータ2の回転駆動力伝達経路を係合部材1側からトレイ搬送側へ切り換える。つづいて、トレイTRを記録開始位置からセット位置まで搬送する(ステップS10)。装着されている光記録ディスクDVDのラベル面への記録を終えた状態のトレイTRは、アシストモータ2の回転駆動力が歯車23を介して伝達されてセット位置へ搬送される。そして、アシストトリガをOFFにし(ステップS11)、係合部材1のポジションを0に移動させ(ステップS12)、デフォルトとしての専用紙への記録待機状態で当該手順を終了する。
【0064】
このようにして、当該実施の形態に示したインクジェット式記録装置50は、光記録ディスクDVDを装着したトレイTRをインクジェット式記録装置50のセット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを押下するだけで、あとはユーザーの操作を必要とすることなく光記録ディスクDVDのラベル面への記録を実行することができる(全自動記録手段)。したがって、搬送従動ローラ54をレリース状態にしたり、光記録ディスクDVDのラベル面への記録に合わせてキャリッジ61の高さを変更してPGを変更したり、搬送従動ローラ56及び搬送補助ローラ56aをレリース状態にしたり等をユーザーが判断して操作する必要がない。それによって、誤ってPGの変更や搬送従動ローラ56及び搬送補助ローラ56aのレリース操作をしないままトレイTRに装着した光記録ディスクのラベル面への記録を実行してしまうことを防止することができる。
【0065】
尚、本願発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本願発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るインクジェット式記録装置の概略の正面図。
【図2】本願発明に係るインクジェット式記録装置の上蓋を外した状態の概略の平面図。
【図3】本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部斜視図。
【図4】本願発明に係るインクジェット式記録装置の一部を拡大して示した要部平面図。
【図5】図4において、さらに要部を示したもの。
【図6】本願発明に係るインクジェット式記録装置の要部正面図。
【図7】本願発明に係るインクジェット式記録装置50の要部正面図であり、便宜的に側面フレーム及び係合部材を取り除いた状態を示したもの。
【図8】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション0に位置している状態を示したもの。
【図9】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション+に位置している状態を示したもの。
【図10】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジション++に位置している状態を示したもの。
【図11】インクジェット式記録装置の要部のみを示した正面図であり、係合部材がポジションレリースに位置している状態を示したもの。
【図12】光記録ディスクのラベル面に記録を実行する手順を示した概略のフローチャート。
【符号の説明】
1 係合部材、2 アシストモータ、5 プラテン、14 サブキャリッジガイド軸調節用長孔、15 排出補助ローラレリース用長孔、16 排出従動ローラレリース用長孔、17 メインキャリッジガイド軸調節用長孔、18 搬送従動ローラレリース用長孔、22 アシストトリガレバー、50 インクジェット式記録装置、51 給紙カセット、52 給紙ローラ、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排出駆動ローラ、56 排出従動ローラ、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、71 排出カセット、TR トレイ、DVD 光記録ディスク
Claims (8)
- 専用のトレイに装着した記憶媒体を被記録材として、前記記憶媒体のラベル面に記録を実行する記憶媒体ラベル面記録手段と、
被記録材の厚みに応じて記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔を変更するPG変更手段と、
従動回転可能に軸支され、排出駆動ローラに付勢されている排出従動ローラを前記排出駆動ローラからレリースする排出従動ローラレリース手段と、
従動回転可能に軸支され、所定の搬送量で被記録材を搬送するための搬送駆動ローラに付勢されている搬送従動ローラを前記搬送駆動ローラからレリースする搬送従動ローラレリース手段とを備えた記録装置であって、
前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段と係合した状態で移動可能に配設され、移動位置に応じて前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラのレリース状態、及び前記搬送従動ローラのレリース状態を変更可能な形状を成す係合部材と、
前記記憶媒体ラベル面記録手段における前記トレイの状態に応じて、該トレイの状態に対応した前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔、前記排出従動ローラレリース手段の状態、及び前記搬送従動ローラレリース手段の状態となる移動位置へ前記係合部材を移動させる係合部材移動手段とを備えている、ことを特徴とした記録装置。 - 請求項1において、前記記憶媒体ラベル面記録手段は、セット位置にセットした前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、前記記憶媒体のラベル面への記録実行後、前記トレイを前記セット位置まで搬送するトレイ搬送手段と、前記トレイを前記搬送駆動ローラにて搬送しながら前記トレイに装着されている記憶媒体のラベル面へ記録を実行するラベル面記録手段とを有し、
前記係合部材は、前記トレイ搬送手段に対応した第1の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラがレリース状態となり、前記ラベル面記録手段に対応した第2の移動位置において、前記搬送従動ローラが非レリース状態、前記排出従動ローラがレリース状態となる形状を成している、ことを特徴とした記録装置。 - 請求項2において、前記記憶媒体を装着した状態の前記トレイを前記セット位置にセットした状態でトレイ記録ボタンを操作することによって、
前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第1の移動位置まで移動させ、
前記トレイ搬送手段によって前記トレイを前記搬送駆動ローラまで搬送し、
前記係合部材移動手段によって前記係合部材を前記第2の移動位置まで移動させ、
前記ラベル面記録手段によって前記記憶媒体のラベル面に記録を実行し、
前記係合部材移動手段によって前記係合部材を再び前記第1の移動位置まで移動させ、
前記トレイ搬送手段によって前記トレイを再び前記セット位置まで搬送する全自動記録手段を備えている、ことを特徴とした記録装置。 - 請求項2又は3において、前記係合部材移動手段の駆動力源の駆動力伝達経路を、前記係合部材移動手段から一時的に前記トレイ搬送手段へ切り換える駆動力伝達経路切換手段を備えている、ことを特徴とした記録装置。
- 請求項4において、被記録材の搬送方向と直交する方向に往復動可能に配設され、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジを備え、前記駆動力伝達経路切換手段は、前記キャリッジが特定の位置にある状態においてのみ、前記駆動力源の駆動力伝達経路が前記係合部材移動手段から前記トレイ搬送手段へ切り換わる構成を成している、ことを特徴とした記録装置。
- 請求項2〜5のいずれか1項において、前記係合部材は、普通紙への記録に対応した第3の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、普通紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置。
- 請求項6において、前記係合部材は、専用紙への記録に対応した第4の移動位置において、前記搬送従動ローラ及び前記排出従動ローラが非レリース状態となり、前記記録ヘッドのヘッド面とプラテンとの間隔は、専用紙において所定のPGとなる間隔に設定される形状を成している、ことを特徴とした記録装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、前記係合部材は、薄板に前記PG変更手段、前記排出従動ローラレリース手段、及び前記搬送従動ローラレリース手段の可動部に設けられた凸部が係合する長孔が形成されて構成されている、ことを特徴とした記録装置。
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JP2002255387A JP2004090448A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 記録装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007223280A (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-06 | Seiko Epson Corp | 記録装置及び液体噴射装置 |
JP2009023124A (ja) * | 2007-07-17 | 2009-02-05 | Seiko Epson Corp | 動力伝達切換装置および記録装置 |
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JP2011121319A (ja) * | 2009-12-11 | 2011-06-23 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2012111111A (ja) * | 2010-11-24 | 2012-06-14 | Ricoh Co Ltd | インクジェット記録装置 |
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-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255387A patent/JP2004090448A/ja active Pending
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