JP4392605B2 - 成形装置及び成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁界を印加しながら希土類磁石原料粉を加圧成形する成形装置及び成形方法に関するものであり、磁界印加方向と加圧方向とを互いに直交方向として成形する直交磁界成形法の成形装置及び成形方法の改良に関する。
ネオジム鉄ボロン系やサマリウムコバルト系等の希土類焼結磁石の製造に際しては、希土類磁石原料粉を所定の形状に加圧成形した後、これを焼結することで所定形状の希土類焼結磁石を得るようにしている。この場合、前記加圧成形は、金型のダイとパンチを用い、一軸方向に圧粉成形するのが一般的である。また、高配向、高磁気特性を得ることを目的に、磁界を印加しながら前記圧粉成形を行う磁界中成形法が行われている。
ここで、前記磁界中成形法には、磁界印加方向と圧粉方向が直交する直交磁界成形法と、磁界印加方向と圧粉方向が同一方向である平行磁界成形法があるが、それぞれ一長一短を有しているのが実情である。例えば、磁極面積が広く、厚みが薄い偏平な希土類焼結磁石を製造しようとする場合には、希土類磁石原料粉を平板状の形状に成形する必要がある。このような形状を前記直交磁界成形法により成形しようとすると、金型ダイの開口部の幅を狭くせざるを得ず、また開口部の面積に比べ深さ方向に深くなることから、希土類磁石原料粉のダイへの均一な充填が難しくなる。均一に充填しようとすると充填時間が長くなり量産性が低下する。したがって、このような形状での成形には、充填時間を短くでき、かつ、均一な充填が容易になるようなダイの開口部を広くとれる平行磁界成形法を採用せざるを得ない。
ただし、平行磁界成形法で得られる成形体の配向度は、直交磁界成形法で得られるそれに比べて低い値となるという欠点がある。平行磁界成形法では、加圧方向と磁界印加方向とが平行であるため、磁界印加による原料粉の配向が加圧によって乱されてしまい、前記配向度の低下が引き起こされるものと考えられる。成形体の配向度が低いと、焼結後に得られる希土類焼結磁石の残留磁束密度が低下し、最大エネルギー積もそれに応じて低下してしまう。実際、成形に平行磁界成形法を用いた磁石では、直交磁界成形法で成形した磁石に比べて、残留磁束密度に3〜8%程度の低下が見られる。
このような状況から、磁界中成形法の改良が試みられており、特許文献1に記載される方法もその一つである。特許文献1に記載される方法では、先ず、上パンチを十分上昇させておき、左・右圧密ダイス及び下パンチにより形成される成形空間に所定の微粉末を供給する。このとき、微粉末の供給口は従来の直交磁界成形法に比べて広いので、均一な供給が行える。微粉末供給終了後、上パンチを所定位置まで下降したら、磁界発生用コイルにより磁界を印加するとともに、左・右圧密パンチで圧密、成形する。
前記特許文献1記載の技術は、直交磁界成形法の1種であり、金型開口部が広く取れる方向を上に向けて原料粉の充填を容易にし、鉛直方向に磁界を印加するとともに、圧粉を行うパンチを水平方向に駆動することで、磁界印加方向と圧粉方向とを直交させている。すなわち、この特許文献1記載の発明は、平行磁界成形法における原料粉の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向の双方を実現することを試みたものである。
特開平7−173505号公報
前述の特許文献1記載の発明の考え方は、高配向での成形を容易に行うという観点からは理にかなったものと言える。しかしながら、希土類焼結磁石の量産を考えた場合、特許文献1記載の発明には、大きな見落としがある。それは、成形後の成形体の金型からの取り出しである。
希土類焼結磁石を量産する場合、連続成形が前提になるが、この連続成形においては、クラックの無い良好な成形体を如何にして金型から取り出すかが大きな課題になる。圧粉成形された成形体は、その取り扱いが難しく、不用意に力を加えると、簡単に破損してしまう。したがって、成形体を破損することなく効率的に金型から取り出す技術が量産化の鍵となるが、特許文献1には成形体を金型から取り出す方法については全く開示されていない。
本発明は、この点に鑑みて提案されたものであり、実際の連続成形において、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出し可能とし、希土類焼結磁石の量産を可能とする成形装置を提供することを目的とし、さらには成形方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の成形装置は、鉛直方向に分割された上部金型及び下部金型を備えるとともに、これら金型に対して略水平方向に移動し希土類磁石原料粉末を略水平方向に加圧する1つ以上のパンチと、前記希土類磁石原料粉末に対して略鉛直方向に磁界を印加する磁界印加手段とを有し、前記下部金型には、前記パンチが略水平方向に移動するためのスライド溝が設けられており、且つ、前記下部金型は、成形時に上面が下部金型のスライド溝の底面と同一平面を構成するように固定手段によって固定され、成形後に当該下部金型に対して略鉛直方向に相対移動される成形体取り出し手段を備え、前記固定手段は、下部金型内を略水平方向に移動可能であり、前記成形体取り出し手段に設けられた凹部に先端を挿入することで成形体取り出し手段を固定する構造とされていることを特徴とする。
また、本発明の成形方法は、鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記下部金型のスライド溝内を略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉末を略水平方向に加圧成形する成形方法であって、前記加圧成形の際には、前記下部金型内を略水平方向に移動可能であり前記成形体取り出し手段に設けられた凹部に先端を挿入することで成形体取り出し手段を固定する構造を有する固定手段により上面が下部金型のスライド溝の底面と同一平面を構成するように成形体取り出し手段を固定しておき、成形後に前記固定手段による固定を解除して前記下部金型に設けられた成形体取り出し手段を相対的に上昇させ、成形された成形体を金型から取り出すことを特徴とする。
本発明の成形装置、成形方法では、鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記金型に対して略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉末を加圧成形する。このとき、開口部が広く取れる方向が上に向くように金型を設計することで、希土類磁石原料粉の充填が容易なものとなる。また、前記の通り、鉛直方向に磁界を印加するとともに、圧粉を行うパンチを水平方向に駆動するので、磁界印加方向と圧粉方向とが直交する。したがって、先の特許文献1記載の発明と同様、原料粉(希土類磁石原料粉)の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向が両立される。
また、本発明の成形装置、成形方法では、下部金型に鉛直方向に相対移動可能な成形体取り出し手段(下パンチ)を設け、これを利用して成形後に金型内の成形体を取り出すようにしている。すなわち、成形後に前記下パンチを下部金型に対して相対的に上昇させることで、成形体が金型から押し出され、速やかに取り出される。取り出しに際しては、下パンチの上面で成形体の下面を支持する形になるので、成形体に局部的に力が加わることがなく、破損等も防止される。
なお、前記下部金型に設けられる下パンチは、例えば平行磁界成形法における下パンチ等とは異なり、成形時に加圧するための力が印加されるわけではなく、成形面の一部を構成するように、下部金型のいずれかの面と同一平面となるように固定されている。この場合、基本的には下パンチが動かないようにその背面側を所定の力で支持するように構成するが、左右パンチによる原料粉への加圧によって下パンチへも圧力が加わり、下パンチの成形体と接する上面が若干歪む可能性がある。本発明者らが種々の検討を行ったところ、下パンチの上面が歪むと、成形体のクラックの要因となる可能性があることがわかった。
これを解消するための構成が、請求項4記載の発明、あるいは請求項9記載の発明である。すなわち、前記成形装置において、成形時に前記下パンチを固定する固定手段を有することを特徴とする。あるいは、前記成形方法において、前記加圧成形の際には、前記下部金型に設けられた固定手段により下パンチを固定しておき、成形後に前記固定手段による固定を解除して下パンチを上昇させることを特徴とする。
下パンチを固定する固定手段を設けることで、下パンチ上面の歪が最小限に抑えられ、当該歪に起因するクラックの発生が解消される。
本発明の成形装置、成形方法によれば、例えば連続成形において、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出すことが可能であり、希土類焼結磁石を量産することが可能である。また、平行磁界成形法における原料粉の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向とを両立することができ、高性能な希土類焼結磁石を生産性良く作製することができる。
以下、本発明を適用した成形装置及びその成形方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の成形装置は、直交磁界成形法により成形を行う成形装置である。図1は、本実施形態の成形装置の概略構成を示すものであり、金型構造としては、鉛直方向、すなわち上下に分割された上部金型1、下部金型2、及び水平方向に可動とされた左パンチ3、右パンチ4を組み合わせた構造とされている。
ここで、上部金型1及び下部金型2は、成形の際に閉空間を形成するためのものであり、例えば板状の成形体を成形する場合に、面積の大きな主面の面出しを行う。したがって、上部金型1の下面(下部金型2との対向面)は、平坦面である。
一方、下部金型2は、先の上部金型1と同様、成形体の反対側の主面の面出しを行うものであるが、前記左パンチ3及び右パンチ4の移動(スライド)をガイドするスライド溝2aが形成されている。このスライド溝2aの幅や深さは、前記左パンチ3、右パンチ4の幅や厚さとほぼ同じであり、これによって成形体の幅や厚さが決まる。
左パンチ3及び右パンチ4は、加圧手段に相当するものであり、前記スライド溝2a内において水平方向に移動し、前記上部金型1と下部金型2間の空間に充填された希土類磁石原料粉を加圧成形する。したがって、成形の際には、加圧力は水平方向に加わることになる。なお、本実施形態では、左右2つのパンチ3,4を組み合わせた構成としているが、例えば4方から加圧するように4つのパンチを組み合わせることも可能である。また、金型構造によっては(例えば、前記スライド溝2aの片側が閉塞されているような場合には)、パンチを1つとすることも可能である。さらに、左パンチ3、右パンチ4のうち一方を固定しておき他方を移動しながら加圧するようにしても良い。
成形に際しては、前記左パンチ3や右パンチ4の先端の形状によって成形される成形体の平面形状が決まり、図1に示す左パンチ3、右パンチ4の先端形状の場合、平面形状が矩形の成形体に成形されることになる。例えば、平面形状が円形の円板状の成形体を成形する場合には、図2に示すように、左パンチ3、右パンチ4の先端面3a,4aの形状を円弧状とすればよい。
本実施形態の成形装置には、図1においては図示を省略するが、鉛直方向に磁界を印加する磁界発生用コイルが設置されており、成形の際に成形体には鉛直方向に磁界が印加される。成形の際には、前記左パンチ3及び右パンチ4によって加圧力が水平方向に加わることから、磁界印加方向と圧粉方向が直交する直交磁界成形法により成形が行われることになる。
また、前記金型構造において、希土類磁石原料粉は、上部金型1を上昇させ、下部金型2のスライド溝2aと左パンチ3、右パンチ4で構成される空間内に充填することになるが、その開口部の面積は、成形体の主面に対応して広く取ることができ、充填を容易に行うことができる。
以上が、成形装置の基本構造であるが、本実施形態の成形装置では、成形した成形体の取り出しを考慮して、下部金型2に成形体取り出し手段である下パンチ5が組み込まれている。この下パンチ5は、前記下部金型2に対して鉛直方向に相対移動可能であり、成形時には下部金型2のスライド溝2aの底面2bと同一平面を構成する位置に固定され、その上面5aが成形面として機能する。成形後には、下パンチ5を上昇、あるいは下部金型2を下降させることで、成形体が下パンチ5の上面5aで支持された状態で金型から取り出される。なお、成形体を金型から取り出す時、上部金型1を先に上昇させ次いで下パンチ5を上昇させる場合と、成形体を上部金型1で挟んだ状態のままで下パンチ5を上昇させる場合との2通りがある。
この場合、下パンチ5の上面5aの形状や大きさは、成形後の成形体の下面の形状、大きさとほぼ同じとするか、または若干大きくすることが好ましい。これにより、成形体を破損することなく速やかに金型から取り出すことができる。なお、下パンチ5の上面5aの大きさを成形体の下面の大きさよりも微量小サイズとすることも可能であるが、下パンチ5の上面5aの形状や大きさが成形後の成形体の下面の形状や大きさよりも大幅に小さくなると、取り出しに際して成形体に局部的に力が加わるおそれがあり、成形体を破損する可能性が生ずる。
また、前記下パンチ5は、金型の成形面の一部を構成するものであるので、少なくとも上面5aは超硬合金により構成することが好ましい。ただし、下パンチ5全体を超硬合金で形成すると、一般に超硬合金は非磁性または弱磁性(飽和磁束密度0〜0.4T程度)であることから、効率的な磁界の印加の妨げになるおそれがある。したがって、下パンチ5の上面5a近傍のみに板状の超硬合金を貼り付け、その他の部分は磁性体である鉄やダイス鋼等で構成するのが好ましい構成である。
前記上部金型1や下部金型2等についても同様であり、成形面に板状の超硬合金を貼り付け、その他の部分は磁性体である鉄やダイス鋼等で構成することが、効率的な磁界印加と金型の耐久性確保を両立する上で好ましい。特に、上部金型1に関しては、下面が帯磁すると、希土類磁石原料粉が吸着し、バリ等の原因になるが、前記のようにここに非磁性の板状の超硬合金を貼り付ければ、前記原料粉の吸着を抑制することもできる。なお、前記板状の超硬合金は、非磁性であることが好ましいが、弱磁性(飽和磁束密度0.4T以下程度)であっても同様の効果を得ることができる。
以上が本実施形態の成形装置の構成であるが、次に、この成形装置を用いた成形方法について説明する。
本実施形態の成形装置、成形方法は、希土類焼結磁石の製造において、原料粉の成形に適用される。製造対象となる希土類焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とするものであり、磁気特性に非常に優れることから、各種デバイスに用いた場合、その小型化、高性能化を実現することができる。
製造する希土類焼結磁石の磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bの他、保磁力等の特性改善を目的として、例えばAl等の元素を添加してもよい。これらの元素の他、不可避的不純物又は微量添加物として、例えば炭素や酸素等が含有されていてもよい。
前記のような希土類焼結磁石の製造には、粉末冶金法が用いられ、その製造プロセスは、例えば、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程、焼結工程、時効工程、機械加工工程、被膜形成工程等により構成される。
本発明の成形装置や成形方法は、前記磁場中成形工程に適用され、希土類磁石原料粉を所定の方向に配向した状態で所定の形状に成形する。成形した成形体は、次の焼結工程に供され、焼結が行われる。
図3a〜図3dは、図1に示す成形装置を用いて希土類磁石原料粉を成形する手順を示すものである。図3a〜図3dにおいては、成形時に磁界を印加する上コイル6及び下コイル7が示されており、これらコイル6,7によって鉛直方向(図中上下方向)に磁界が印加される。
希土類磁石原料粉の成形に際しては、先ず、図3aに示すように、上部金型1を上昇させておき、原料粉9が収容され底面が開放されたフィーダーボックス8を往復動させることで、原料粉9を下部金型2と左右両パンチ3,4で囲まれた空間に、いわゆるスリきり状態となるように充填する。この時、下部金型2と左右両パンチ3,4で囲まれた空間の開口面積は、偏平な成形体の主面に対応して大きく取られており、例えば板状の成形体を縦方向に配置した場合の開口と比べて格段に広くすることができるとともに、深さ方向にも浅くでき、原料粉9を容易に充填することができる。なお、図3aに示す段階では、下パンチ5は上面5aが下部金型2のスライド溝2aの底面2bと同一平面となる位置まで下降されている。
次に、図3bに示すように、上部金型1の下面が下部金型2の上面に突き当たるまで上部金型1を下降し、上部金型1、下部金型2、左右パンチ3,4によって囲まれる閉空間を形成する。前記工程で充填された原料粉9は、この閉空間に収容されることになる。
続いて、図3cに示すように、この状態(原料粉10が閉空間に収容された状態)で左パンチ3を図中右方向に、また右パンチ4を図中左方向に移動し、前記充填した原料粉9を左右から加圧して圧粉する。これにより、所定形状の成形体10が形成される。この時、前記上コイル6及び下コイル7により、原料粉9に対して鉛直方向に磁界を印加する。磁界印加方向は、前記左右のパンチ3,4による加圧方向とは直交する方向であり、したがって、直交磁界成形が行われる。
前記圧粉に際して、左右パンチ3,4による加圧圧力は、使用する原料粉9の種類、大きさ、形状等に応じて適宜設定すればよいが、通常は30MPa〜200MPa程度である。印加する磁界の強さも、同様に、使用する原料粉9に応じて適宜設定すればよく、例えば0.8T〜2.0T程度に設定すればよい。
成形体10の成形の後、図3dに示すように、上部金型1を上昇させ、次いで下パンチ5を押し上げ、成形体10を下部金型2から取り出す。偏平な成形体10の面積の大きな下面が下パンチ5の上面5aで支持された状態で押し上げられるので、成形体10は、破損することなく速やかに下部金型2から取り出される。また、成形体10の取り出しの際に、ラミネートクラックの発生が懸念される場合には、上部金型1と下パンチ5とによって成形体10を挟んだ状態のままで取り出す方法もある。
以上のように、本実施形態の成形装置、成形方法によれば、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出すことが可能であり、連続成形が可能となる。また、原料粉9の充填も容易である。さらに、成形される成形体は、直交磁界成形により成形されるので、配向度が高く、これを焼結した磁石は磁気特性に優れたものとなる。したがって、本実施形態によれば、これら効果が相俟って、高性能な希土類焼結磁石を量産することが可能可能である。
(第2の実施形態)
本実施形態の成形装置は、下パンチ5を下部金型2に対して固定する、固定手段を設けた実施形態である。先にも述べたように、成形過程において、下パンチ5の長さ方向(図面の上下方向)に下パンチ部材自体の圧縮による歪みを発生する可能性があり、このような歪が生ずると、成形体10にクラックが入る要因となる。そこで、本実施形態の成形装置では、圧縮歪みの量を極力抑えるために下パンチ5の上面5a近傍に機械的なストッパーを設け、成形加圧時に下パンチ5の歪を抑え、前記上面5aが下部金型2の成形面と同一平面となるように維持するようにしている。これにより、確実にクラックの無い成形体10を得ることができ、金型から取り出すことが可能となる。
図4a〜図4eは、本実施形態の成形装置による成形手順を示すものである。成形装置の具体的構成としては、例えば図4aに示すように、前記固定手段として下パンチストッパ11が設けられている。その他の構成は、先の第1の実施形態と同様であるので、ここでは同一の部材に同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記下パンチストッパ11は、図中左右方向から下パンチ5に係止し、下パンチ5を所定の位置(上面5aが下部金型2の成形面と同一平面となる位置)に固定する。下パンチ5の上面5aから若干後退した位置には、周面に前記下パンチストッパ11に対応して凹部5bが形成されており、前記下パンチストッパ11の先端をこの凹部5bに挿入することで、下パンチ5が下部金型2に対して固定される。
下パンチストッパ11は、成形時の加圧力に抗して下パンチ5を固定するものであり、その材質は、これに耐え得る強度を有する材質とすればよい。具体的には、超硬合金等により形成するのが好ましい。また、その形状も、ここでは板状としたが、ピン状等、任意の形状とすることができる。さらに、下パンチストッパ11は、本実施形態では左右双方から下パンチ5に係止するようにしたが、これに加えて例えば紙面に対して表裏方向からも下パンチストッパ11が下パンチ5に係止するようにし、4方から下パンチ5に係止してこれを固定するようにしてもよい。
以下、本実施形態の成形装置による成形プロセスを説明すると、先の第1の実施形態と同様、先ず、図4aに示すように、上部金型1を上昇させておき、原料粉9が収容され底面が開放されたフィーダーボックス8を往復動させることで、原料粉9を下部金型2と左右両パンチ3,4で囲まれた空間に、いわゆるスリきり状態となるように充填する。このとき、下パンチストッパ11は、先端が下パンチ5の凹部5bに挿入され、下パンチ5を固定状態としている。
次に、図4bに示すように、上部金型1の下面が下部金型2の上面に突き当たるまで上部金型1を下降し、上部金型1、下部金型2、左右パンチ3,4によって囲まれる閉空間を形成する。続いて、図4cに示すように、この状態(原料粉10が閉空間に収容された状態)で左パンチ3を図中右方向に、また右パンチ4を図中左方向に移動し、前記充填した原料粉9を左右から加圧して圧粉する。これにより、所定形状の成形体10が形成される。この時、前記上コイル6及び下コイル7により、原料粉9に対して鉛直方向に磁界を印加する。磁界印加方向は、前記左右のパンチ3,4による加圧方向とは直交する方向であり、したがって、直交磁界成形が行われる。
前記下パンチ5は、前記成形が終了するまで下パンチストッパ11により固定されており、成形が終了した後には、図4dに示すように、下パンチストッパ11が矢印x方向に後退し、下パンチ5への係止が外れて固定状態が解除される。この状態で上部金型1で挟んだ状態を維持しながら下部金型2及び左右パンチ3,4を矢印z方向へ下降させ(相対的に下パンチ5が上昇する。)、最後に図4eに示すように上部金型1を上昇させ、下パンチ5上の成形体10を取り出す。
本実施形態の成形装置、成形方法においても、先の第1の実施形態と同様、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出すことが可能であり、連続成形が可能となる。また、原料粉9の充填も容易である。さらに、成形される成形体は、直交磁界成形により成形されるので、配向度が高く、これを焼結した磁石は磁気特性に優れたものとなる。そして、下パンチ5の固定手段である下パンチストッパ11を追加しているので、下パンチ5における歪の発生を解消することができ、この歪に由来するクラックの発生を防止することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
組成がNd30重量%−Dy2重量%−B1重量%−Co0.5重量%−残部Feとなるように合金を溶解し、水素吸蔵・放出による粗粉砕及び窒素ガスを用いたジェットミルによる微粉砕を行って材料微粉末(原料粉)を得た。これを、先の第1の実施形態、及び第2の実施形態の成形装置を用いて成形した。
成形に際しては、下部金型と左右パンチからなる金型空間に、フィーダー振幅及びすり切りによって原料粉を充填した。いずれの成形装置においても、原料粉の充填は容易に行うことができた。原料粉の充填の後、上部金型を下降させ、次いで左右パンチにより圧粉し、磁界を印加しながら直交磁界成形を行った。成形時の印加磁界強度は1.5Tとし、左右パンチの圧粉の圧力は150MPaとし、50mm×35mm×3mm(磁場配向方向)の成形体を得た。
いずれの成形装置を用いた場合にも、下パンチを作動させることで、成形体を容易に取り出すことが可能であった。ただし、第1の実施形態の成形装置を用いた場合には、いくつかの成形体に、下パンチの歪に起因すると思われるクラックの発生が見られた。これに対して、下パンチに機械的なストッパを設けた第2の実施形態の成形装置において、下パンチを駆動させる時以外は、下パンチをストッパにて固定したところ、クラックの無い成形体が得られた。
各成形装置で成形した成形体の抗折強度を測定し、平行磁界成型法で成形して得た同様な寸法の成形体の抗折強度と比較したところ、ほぼ同等であった。次に、成形体を最高温度1100℃で2時間の真空焼結を行なった後、850℃、1時間、及び600℃、1時間の時効処理を行ない、希土類焼結磁石を得た。その磁気特性を測定したところ、平行磁界成形法で成形したものに比較して、残留磁束密度Brが4%上昇していた。
第1の実施形態の成形装置の概略構成を示す斜視図である。 左右パンチの他の形状例を示す斜視図である。 第1の実施形態の成形装置による成形プロセスを示す図であり、原料粉充填工程を示す図である。 閉空間形成工程を示す図である。 左右パンチによる磁界中圧粉工程を示す図である。 成形体取り出し工程を示す図である。 第2の実施形態の成形装置による成形プロセスを示す図であり、原料粉充填工程を示す図である。 閉空間形成工程を示す図である。 左右パンチによる磁界中圧粉工程を示す図である。 下パンチストッパ解除及び下部金型下降工程を示す図である。 成形体取り出し工程を示す図である。
符号の説明
1 上部金型、2 下部金型、2a スライド溝、2b 底面、3 左パンチ、4 右パンチ、5 下パンチ、5a 上面、5b 凹部、6 上コイル、7 下コイル、8 フィーダーボックス、9 原料粉、10 成形体、11 下パンチストッパ

Claims (5)

  1. 鉛直方向に分割された上部金型及び下部金型を備えるとともに、これら金型に対して略水平方向に移動し希土類磁石原料粉末を略水平方向に加圧する1つ以上のパンチと、前記希土類磁石原料粉末に対して略鉛直方向に磁界を印加する磁界印加手段とを有し、
    前記下部金型には、前記パンチが略水平方向に移動するためのスライド溝が設けられており、
    且つ、前記下部金型は、成形時に上面が下部金型のスライド溝の底面と同一平面を構成するように固定手段によって固定され、成形後に当該下部金型に対して略鉛直方向に相対移動される成形体取り出し手段を備え、
    前記固定手段は、下部金型内を略水平方向に移動可能であり、前記成形体取り出し手段に設けられた凹部に先端を挿入することで成形体取り出し手段を固定する構造とされていることを特徴とする成形装置。
  2. 相対向する2つのパンチを有することを特徴とする請求項1記載の成形装置。
  3. 前記成形体取り出し手段の上面形状は、成形される成形体の下面の形状と略同一形状であることを特徴とする請求項1または2記載の成形装置。
  4. 前記固定手段は、板状またはピン状のストッパであることを特徴とする請求項3記載の成形装置。
  5. 鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記下部金型のスライド溝内を略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉末を略水平方向に加圧成形する成形方法であって、
    前記加圧成形の際には、前記下部金型内を略水平方向に移動可能であり前記成形体取り出し手段に設けられた凹部に先端を挿入することで成形体取り出し手段を固定する構造を有する固定手段により上面が下部金型のスライド溝の底面と同一平面を構成するように成形体取り出し手段を固定しておき、
    成形後に前記固定手段による固定を解除して前記下部金型に設けられた成形体取り出し手段を相対的に上昇させ、成形された成形体を金型から取り出すことを特徴とする成形方法。
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