JP2006095567A - 成形装置及び成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形体をクラックの無い状態で効率的に金型から取り出し可能とし、連続成形を可能とする。
【解決手段】 金型構造としては、鉛直方向、すなわち上下に分割された上部金型1、下部金型2、及び水平方向に可動とされた左パンチ3、右パンチ4を組み合わせた構造を有する。また、磁界を印加する上コイル6及び下コイル7を備え、直交磁界成形が行われる。成形体5は、左右パンチ3、4に挟み込まれた状態で水平方向に移動され、金型空間から取り出される。
【選択図】 図4a
【解決手段】 金型構造としては、鉛直方向、すなわち上下に分割された上部金型1、下部金型2、及び水平方向に可動とされた左パンチ3、右パンチ4を組み合わせた構造を有する。また、磁界を印加する上コイル6及び下コイル7を備え、直交磁界成形が行われる。成形体5は、左右パンチ3、4に挟み込まれた状態で水平方向に移動され、金型空間から取り出される。
【選択図】 図4a
Description
本発明は、磁界を印加しながら希土類磁石原料粉を加圧成形する成形装置及び成形方法に関するものであり、磁界印加方向と加圧方向とを互いに直交方向として成形する直交磁界成形法の成形装置及び成形方法の改良に関する。
ネオジム鉄ボロン系やサマリウムコバルト系等の希土類焼結磁石の製造に際しては、希土類磁石原料粉を所定の形状に加圧成形した後、これを焼結することで所定形状の希土類焼結磁石を得るようにしている。この場合、前記加圧成形は、金型のダイとパンチを用い、一軸方向に圧粉成形するのが一般的である。また、高配向、高磁気特性を得ることを目的に、磁界を印加しながら前記圧粉成形を行う磁界中成形法が行われている。
ここで、前記磁界中成形法には、磁界印加方向と圧粉方向が直交する直交磁界成形法と、磁界印加方向と圧粉方向が同一方向である平行磁界成形法があるが、それぞれ一長一短を有しているのが実情である。例えば、磁極面積が広く、厚みが薄い偏平な希土類焼結磁石を製造しようとする場合には、希土類磁石原料粉を平板状の形状に成形する必要がある。このような形状を前記直交磁界成形法により成形しようとすると、金型ダイの開口部の幅を狭くせざるを得ず、また開口部の面積に比べ深さ方向に深くなることから、希土類磁石原料粉のダイへの均一な充填が難しくなる。均一に充填しようとすると充填時間が長くなり量産性が低下する。したがって、このような形状での成形には、充填時間を短くでき、かつ、均一な充填が容易になるようなダイの開口部を広くとれる平行磁界成形法を採用せざるを得ない。
ただし、平行磁界成形法で得られる成形体の配向度は、直交磁界成形法で得られるそれに比べて低い値となるという欠点がある。平行磁界成形法では、加圧方向と磁界印加方向とが平行であるため、磁界印加による原料粉の配向が加圧によって乱されてしまい、前記配向度の低下が引き起こされるものと考えられる。成形体の配向度が低いと、焼結後に得られる希土類焼結磁石の残留磁束密度が低下し、最大エネルギー積もそれに応じて低下してしまう。実際、成形に平行磁界成形法を用いた磁石では、直交磁界成形法で成形した磁石に比べて、残留磁束密度に3〜8%程度の低下が見られる。
このような状況から、磁界中成形法の改良が試みられており、特許文献1に記載される方法もその一つである。特許文献1に記載される方法では、先ず、上パンチを十分上昇させておき、左・右圧密ダイス及び下パンチにより形成される成形空間に所定の微粉末を供給する。このとき、微粉末の供給口は従来の直交磁界成形法に比べて広いので、均一な供給が行える。微粉末供給終了後、上パンチを所定位置まで下降したら、磁界発生用コイルにより磁界を印加するとともに、左・右圧密パンチで圧密、成形する。
前記特許文献1記載の技術は、直交磁界成形法の1種であり、金型開口部が広く取れる方向を上に向けて原料粉の充填を容易にし、鉛直方向に磁界を印加するとともに、圧粉を行うパンチを水平方向に駆動することで、磁界印加方向と圧粉方向とを直交させている。すなわち、この特許文献1記載の発明は、平行磁界成形法における原料粉の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向の双方を実現することを試みたものである。
特開平7−173505号公報
前述の特許文献1記載の発明の考え方は、高配向での成形を容易に行うという観点からは理にかなったものと言える。しかしながら、希土類焼結磁石の量産を考えた場合、特許文献1記載の発明には、大きな見落としがある。それは、成形後の成形体の金型からの取り出しである。
希土類焼結磁石を量産する場合、連続成形が前提になるが、この連続成形においては、クラックの無い良好な成形体を如何にして金型から取り出すかが大きな課題になる。圧粉成形された成形体は、その取り扱いが難しく、不用意に力を加えると、簡単に破損してしまう。したがって、成形体を破損することなく効率的に金型から取り出す技術が量産化の鍵となるが、特許文献1には成形体を金型から取り出す方法については全く開示されていない。
本発明は、この点に鑑みて提案されたものであり、実際の連続成形において、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出し可能とし、希土類焼結磁石の量産を可能とする成形装置を提供することを目的とし、さらには成形方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の成形装置は、鉛直方向に分割された上部金型及び下部金型を備えるとともに、これら金型に対して略水平方向に移動可能で希土類磁石原料粉を略水平方向に加圧するパンチと、前記希土類原料粉末に対して略鉛直方向に磁界を印加する磁界印加手段とを有し、前記パンチは、成形された成形体を略水平方向に取り出す成形体取り出し機構として機能することを特徴とする。
また、本発明の成形方法は、鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記金型に対して略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉を略水平方向に加圧成形した後、前記パンチにより、成形された成形体を金型から略水平方向に取り出すことを特徴とする。
本発明の成形装置、成形方法では、鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記金型に対して略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉を加圧成形する。このとき、開口部が広く取れる方向が上に向くように金型を設計することで、希土類磁石原料粉の充填が容易なものとなる。また、前記の通り、鉛直方向に磁界を印加するとともに、圧粉を行うパンチを水平方向に駆動するので、磁界印加方向と圧粉方向とが直交する。したがって、先の特許文献1記載の発明と同様、原料粉(希土類磁石原料粉)の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向が両立される。
また、本発明の成形装置、成形方法では、前記パンチを利用して、成形後に金型内の成形体を水平方向に移動することにより取り出すようにしている。すなわち、成形後に前記パンチを下部金型に対して水平方向に移動することで、成形体が金型から押し出され、速やかに取り出される。取り出しに際しては、成形体において最も面積の広い底面が支持された形になるので、成形体に局部的に力が加わることがなく、破損等も防止される。
なお、成形体を成形後に金型から取り出す場合、急激に圧力が開放されることに起因して、成形体にラミネートクラックと称されるクラックが発生する場合がある。これを回避するためには、2つのパンチで挟み込んだ状態で成形体を水平方向に取り出し、取り出しに際して2つのパンチにより成形体に所定の加圧力を加える。取り出しの際に成形体に加圧力を加えるようにすれば、前記急激な圧力の開放が緩和され、クラックの発生が抑制される。
あるいは、前記ラミネートクラックを抑制する手段として、金型にいわゆる抜きテーパを付加することも有効である。例えば、2つのパンチを下部金型に設けられたスライド溝内において水平方向に移動し、希土類磁石原料粉を加圧する構成の場合、下部金型に設けられたスライド溝を、前記成形体の取り出し方向において次第に幅が広がるように形成する。金型に抜きテーパを付加しておけば、急激な圧力の開放が緩和され、クラックの発生が抑制される。
本発明の成形装置、成形方法によれば、例えば連続成形において、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出すことが可能であり、希土類焼結磁石を量産することが可能である。また、成形体の取り出しのための特段の機構を付加する必要もなく、装置構成を簡略化することができる。さらに、平行磁界成形法における原料粉の充填し易さと、直交磁界成形法における高配向とを両立することができ、高性能な希土類焼結磁石を生産性良く作製することができる。
以下、本発明を適用した成形装置及びその成形方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の成形装置は、直交磁界成形法により成形を行う成形装置である。図1は、本実施形態の成形装置の概略構成を示すものであり、金型構造としては、鉛直方向、すなわち上下に分割された上部金型1、下部金型2、及び水平方向に可動とされた左パンチ3、右パンチ4を組み合わせた構造とされている。
ここで、上部金型1及び下部金型2は、臼型と称される金型であり、成形の際に閉空間を形成する。本実施形態の成形装置では、例えば板状の成形体を成形する場合に、面積の大きな主面の面出しを行う。したがって、上部金型1の下面(下部金型2との対向面)は、平坦面である。
一方、下部金型2は、先の上部金型1と同様、成形体の反対側の主面の面出しを行うものであるが、前記左パンチ3及び右パンチ4の移動(スライド)をガイドするスライド溝2aが形成されている。このスライド溝2aの幅や深さは、前記左パンチ3、右パンチ4の幅や厚さとほぼ同じであり、これによって成形体の幅や厚さが決まる。
左パンチ3及び右パンチ4は、加圧手段に相当するもので、前記スライド溝2a内において水平方向に移動し、前記上部金型1と下部金型2間の空間に充填された希土類磁石原料粉を加圧成形する。したがって、成形の際には、加圧力は水平方向に加わることになる。なお、一方のパンチによって加圧しても良いが、両方のパンチで加圧するほうが原料粉に均一に圧力が加わるのでより好ましい。
成形に際しては、前記左パンチ3や右パンチ4の先端の形状によって成形される成形体の平面形状が決まり、図1に示す左パンチ3、右パンチ4の先端形状の場合、平面形状が矩形の成形体に成形されることになる。例えば、平面形状が円形の円板状の成形体を成形する場合には、左パンチ3、右パンチ4の先端面の形状を円弧状とすればよい。
本実施形態の成形装置には、図1においては図示を省略するが、鉛直方向に磁界を印加する磁界発生用コイルが設置されており、成形の際に成形体には鉛直方向に磁界が印加される。成形の際には、前記左パンチ3及び右パンチ4によって加圧力が水平方向に加わることから、磁界印加方向と圧粉方向が直交する直交磁界成形法により成形が行われることになる。
また、前記金型構造において、希土類磁石原料粉は、上部金型1を上昇させ、下部金型2のスライド溝2aと左パンチ3、右パンチ4で構成される空間内に充填することになるが、その開口部の面積は、成形体の主面に対応して広く取ることができ、充填を容易に行うことができる。
成形後には、左パンチ3及び右パンチ4を前記スライド溝2a内でスライドさせ、成形体5をこれらパンチ3,4で挟み込んだ状態で水平方向に移動し、例えば図2に示すように、上部金型1及び下部金型2で構成される閉空間から成形体5を取り出す。したがって、前記左パンチ3及び右パンチ4は、成形体1を取り出すための成形体取り出し機構としても機能することになる。
この時、例えば下部金型2のスライド溝2aの底面2bと同一平面を構成する支持テーブルを下部金型2と隣接して設け、スライド溝2aの底面2b、及び支持テーブルの上面で成形体5の底面が支持された状態で前記パンチ3,4により水平移動すれば、成形体5に局所的な力が加わることがなく、成形体5の不用意な破損を防止することができる。
前記成形体5の取り出しに際しては、前述のように、急激に圧力が開放されることに起因して、成形体にラミネートクラックと称されるクラックが発生する場合がある。そこで、これを回避するために、前記のように2つのパンチ3,4で挟み込んだ状態で成形体5を水平方向に取り出すとともに、取り出しに際して2つのパンチ3,4により成形体5に所定の加圧力を加えるようにする。これにより、前記急激な圧力の開放が緩和され、クラックの発生が抑制される。なお、前記のように水平移動に際して2つのパンチ3,4により成形体5に所定の加圧力を加えるには、例えばこれらパンチ3,4のどちらか一方または両方にダンパやクッションを設けておき、これらダンパやクッションの弾性力により前記加圧力を加えるようにするのが簡便である。ここで、所定の加圧力とは、一定の圧力でも良いが、成形体の抜き出し量に応じて漸減していくことが好ましい。
あるいは、金型に抜きテーパを設けて、前記ラミネートクラックを抑制するようにしてもよい。前記構造の金型の場合には、図3に示すように、下部金型2のスライド溝2aにテーパを設ければよい。この場合、成形体5の取り出し方向を矢印方向とすると、当該成形体5の取り出し方向においてスライド溝2aの次第に幅が広がるように抜きテーパを形成する。具体的には、スライド溝2aにおいて、右パンチ4による押し込み側端部の幅W1よりも取り出し側端部の幅W2が大きくなるようにする。
なお、図3においては、テーパを誇張して描画してあるが、実際には目に見えるほどのテーパではなく、非常に僅かな寸法差のテーパを付加すればよい。具体的な数値としては、例えば前記スライド溝2aの長さ100mm当たり0.02mm〜0.5mm程度である。テーパの設計としては、これに限らず、金型の閉空間の寸法や成形する材料等に応じて適宜設定すればよい。
以上が本実施形態の成形装置の構成であるが、次に、この成形装置を用いた成形方法について説明する。
本実施形態の成形装置、成形方法は、希土類焼結磁石の製造において、原料粉の成形に適用される。製造対象となる希土類焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とするものであり、磁気特性に非常に優れることから、各種デバイスに用いた場合、その小型化、高性能化を実現することができる。
製造する希土類焼結磁石の磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bの他、保磁力等の特性改善を目的として、例えばAl等の元素を添加してもよい。これらの元素の他、不可避的不純物又は微量添加物として、例えば炭素や酸素等が含有されていてもよい。
前記のような希土類焼結磁石の製造には、粉末冶金法が用いられ、その製造プロセスは、例えば、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程、焼結工程、時効工程、機械加工工程、被膜形成工程等により構成される。
本発明の成形装置や成形方法は、前記磁場中成形工程に適用され、希土類磁石原料粉を所定の方向に配向した状態で所定の形状に成形する。成形した成形体は、次の焼結工程に供され、焼結が行われる。
図4a〜図4dは、図1に示す成形装置を用いて希土類磁石原料粉を成形する手順を示すものである。図4a〜図4dにおいては、成形時に磁界を印加する上コイル6及び下コイル7が示されており、これらコイル6,7によって鉛直方向(図中上下方向)に磁界が印加される。また、下部金型2に隣接して支持テーブル8が設けられており、この支持テーブル8の上面は下部金型2のスライド溝2aの底面2bと同一平面を構成している。
希土類磁石原料粉の成形に際しては、先ず、図4aに示すように、上部金型1を上昇させておき、原料粉10が収容され底面が開放されたフィーダーボックス9を往復動させることで、原料粉10を下部金型2と左右両パンチ3,4で囲まれた空間に、いわゆるスリきり状態となるように充填する。この時、下部金型2と左右両パンチ3,4で囲まれた空間の開口面積は、偏平な成形体の主面に対応して大きく取られており、例えば偏平な板状の成形体を縦方向に配置した場合の開口と比べて格段に広くすることができるとともに、深さ方向にも浅くでき、原料粉10を容易に充填することができる。
次に、図4bに示すように、上部金型1の下面が下部金型2の上面に突き当たるまで上部金型1を下降し、上部金型1、下部金型2、左右パンチ3,4によって囲まれる閉空間を形成する。前記工程で充填された原料粉10は、この閉空間に収容されることになる。
続いて、図4cに示すように、この状態(原料粉10が閉空間に収容された状態)で左パンチ3を図中右方向に、また右パンチ4を図中左方向に移動し、前記充填した原料粉10を左右から加圧して圧粉する。これにより、所定形状の成形体5が形成される。この時、前記上コイル6及び下コイル7により、原料粉10に対して鉛直方向に磁界を印加する。磁界印加方向は、前記左右のパンチ3,4による加圧方向とは直交する方向であり、したがって、直交磁界成形が行われる。
前記圧粉に際して、左右パンチ3,4による加圧圧力は、使用する原料粉10の種類、大きさ、形状等に応じて適宜設定すればよいが、通常は30MPa〜200MPa程度である。印加する磁界の強さも、同様に、使用する原料粉10に応じて適宜設定すればよく、例えば0.8T〜2.0T程度に設定すればよい。
成形体5の成形の後、図4dに示すように、左パンチ3及び右パンチ4で挟み込んだ状態で成形体5を図中左方向に水平移動させ、上部金型1と下部金型2の間の閉空間から取り出す。このとき、成形体5は、下部金型2のスライド溝2の底面2b、あるいは支持テーブル8の上面に接した状態(支持された状態)で水平移動され、取り出しの際に不用意な力が加わって成形体5を破損するというような事態が回避される。また、成形体5の水平移動の際に、左右パンチ3,4によって成形体5にある程度の加圧力を加えることで、あるいは下部金型2のスライド溝2aに抜きテーパを付与しておくことで、取り出しの際のラミネートクラックの発生も抑制することができる。
以上のように、本実施形態の成形装置、成形方法によれば、クラックの無い良好な成形体を効率的に金型から取り出すことが可能であり、連続成形が可能となる。また、原料粉9の充填も容易である。さらに、成形される成形体は、直交磁界成形により成形されるので、配向度が高く、これを焼結した磁石は磁気特性に優れたものとなる。したがって、本実施形態によれば、これら効果が相俟って、高性能な希土類焼結磁石を量産することが可能可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
組成がNd30重量%−Dy2重量%−B1重量%−Co0.5重量%−残部Feとなるように合金を溶解し、水素吸蔵・放出による粗粉砕及び窒素ガスを用いたジェットミルによる微粉砕を行って材料微粉末(原料粉)を得た。これを、先の実施形態の成形装置を用いて成形した。
成形に際しては、下部金型と左右パンチからなる金型空間に、フィーダー振幅及びすり切りによって原料粉を充填した。いずれの成形装置においても、原料粉の充填は容易に行うことができた。原料粉の充填の後、上部金型を下降させ、次いで左右パンチにより圧粉し、磁界を印加しながら直交磁界成形を行った。成形時の印加磁界強度は1.5Tとし、左右パンチの圧粉の圧力は150MPaとし、50mm×35mm×3mm(磁場配向方向)の成形体を得た。
成形後、左右パンチ3,4の相対的な位置関係を維持しながら、成形体5を左右パンチ3,4により水平方向に移動して、上部金型1と下部金型2間の閉空間から取り出した。左右パンチ3,4を水平移動させることで、成形体5を容易に取り出すことが可能であった。また、前記取り出し方法とすることで、クラックの無い状態で成形体5を取り出すことができた。
成形した成形体の抗折強度を測定し、平行磁界成型法で成形して得た同様な寸法の成形体の抗折強度と比較したところ、ほぼ同等であった。次に、成形体を最高温度1100℃で2時間の真空焼結を行なった後、850℃、1時間、及び600℃、1時間の時効処理を行ない、希土類焼結磁石を得た。その磁気特性を測定したところ、平行磁界成形法で成形したものに比較して、残留磁束密度Brが4%上昇していた。
1 上部金型、2 下部金型、2a スライド溝、3 左パンチ、4 右パンチ、5 成形体、6 上コイル、7 下コイル、8 支持テーブル、9 フィーダーボックス、10 原料粉
Claims (9)
- 鉛直方向に分割された上部金型及び下部金型を備えるとともに、これら金型に対して略水平方向に移動可能で希土類磁石原料粉を略水平方向に加圧するパンチと、前記希土類原料粉末に対して略鉛直方向に磁界を印加する磁界印加手段とを有し、
前記パンチは、成形された成形体を略水平方向に取り出す成形体取り出し機構として機能することを特徴とする成形装置。 - 相対向する2つのパンチを有するとともに、前記下部金型には、これらパンチが略水平方向に移動するためのスライド溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
- 下部金型と隣接して支持テーブルを有し、当該支持テーブルは前記下部金型のスライド溝の底面と略同一平面を構成することを特徴とする請求項2記載の成形装置。
- 前記成形体取出し機構は、前記成形体を前記2つのパンチによって挟み込んだ状態で前記支持テーブル上に水平移動する構造とされていることを特徴とする請求項3記載の成形装置。
- 前記パンチは、前記成形体を水平移動して取り出す際に、成形体に所定の加圧力を加える加圧機構を有することを特徴とする請求項4記載の成形装置。
- 前記下部金型に設けられたスライド溝は、前記成形体の取り出し方向に向かって次第に幅が広がるように形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項記載の成形装置。
- 鉛直方向に分割された上部金型と下部金型間の空間において、磁界印加手段により略鉛直方向に磁界を印加しながら、前記金型に対して略水平方向に移動可能なパンチにより希土類磁石原料粉を略水平方向に加圧成形した後、
前記パンチにより、成形された成形体を金型から略水平方向に取り出すことを特徴とする成形方法。 - 相対向する2つのパンチにより希土類磁石原料粉を略水平方向に加圧成形し、これらパンチで挟み込んだ状態で成形体を略水平方向に取り出すことを特徴とする請求項7記載の成形方法。
- 前記成形体を水平移動して取り出す際に、前記2つのパンチにより成形体に所定の加圧力を加えることを特徴とする請求項8記載の成形方法。
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