JP2005259977A - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも低い成形体密度で磁界配向度の高い粉末成形体を形成し、しかも、成形体表面に割れや欠けを生じさせることなく、金型から取り出すことのできる希土類磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の希土類磁石の製造方法は、キャビティ内に供給された磁石粉末を圧縮形成するためのプレス装置を用いて前記磁石粉末の成形体を作製する希土類磁石の製造方法である。このプレス装置は、第1方向に沿って移動することによって磁石粉末を加圧する第1可動部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動することによって磁石粉末を加圧する第2可動部とを有する割り金型を備えている。本発明では、このプレス装置を用い、磁石粉末に磁界を印加して配向する工程(A)と、磁石粉末の成形体密度が3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下の範囲内になるように磁石粉末を第1および第2可動部によって加圧する工程(B)と、第1および第2可動部が前記磁石粉末に与える圧力を低減し、その後、磁石粉末の成形体を前記割り金型から取り出す工程(C)とを含む。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の希土類磁石の製造方法は、キャビティ内に供給された磁石粉末を圧縮形成するためのプレス装置を用いて前記磁石粉末の成形体を作製する希土類磁石の製造方法である。このプレス装置は、第1方向に沿って移動することによって磁石粉末を加圧する第1可動部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動することによって磁石粉末を加圧する第2可動部とを有する割り金型を備えている。本発明では、このプレス装置を用い、磁石粉末に磁界を印加して配向する工程(A)と、磁石粉末の成形体密度が3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下の範囲内になるように磁石粉末を第1および第2可動部によって加圧する工程(B)と、第1および第2可動部が前記磁石粉末に与える圧力を低減し、その後、磁石粉末の成形体を前記割り金型から取り出す工程(C)とを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、希土類磁石の製造方法に関し、特に、配向磁界を印加しながら磁石粉末を圧縮成形する希土類磁石の製造方法に関している。
希土類磁石は、希土類合金の粉末をプレス成形し、得られた粉末の成形体を焼結し、時効処理することによって製造される。Nd−Fe−B系磁石(以下、「R−Fe−B系磁石」と称する。Rは希土類元素、Feは鉄、Bは硼素である。)は、種々の磁石の中で最も高い最大磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。
R−Fe−B系焼結磁石は、主にR2Fe14Bの正方晶化合物からなる主相、Nd等からなるRリッチ相、およびBリッチ相から構成されている。なお、Feの一部がCoやNiなどの遷移金属と置換されてもよく、硼素(B)の一部が炭素(C)で置換されてもよい。本発明が好適に適用されるR−Fe−B系焼結磁石は、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。
このような磁石となるR−Fe−B系合金を作製するために、従来、インゴット鋳造法が用いられてきた。一般的なインゴット鋳造法によると、出発原料である希土類金属、電解鉄およびフェロボロン合金を高周波溶解し、得られた溶湯を鋳型内で比較的ゆっくりと冷却することによって合金インゴットが作製される。
近年、合金の溶湯を単ロール、双ロール、回転ディスク、または回転円筒鋳型の内面などと接触させることによって、比較的速く冷却し、合金溶湯から、インゴットよりも薄い凝固合金(「合金フレーク」と称する場合がある)を作製するストリップキャスト法や遠心鋳造法に代表される急冷法が注目されている。このような急冷法によって作製された合金片の厚さは、一般に、約0.03mm以上約10mm以下の範囲にある。急冷法によると、合金溶湯は冷却ロールに接触した面(ロール接触面)から凝固し始め、ロール接触面から厚さ方向に結晶が柱状に成長してゆく。その結果、ストリップキャスト法などによって作製された急冷合金は、短軸方向のサイズが約0.1μm以上約100μm以下で、長軸方向のサイズが約5μm以上約500μm以下のR2Fe14B結晶相と、R2Fe14B結晶相の粒界に分散して存在するRリッチ相とを含有する組織を持つにいたる。Rリッチ相は希土類元素Rの濃度が比較的高い非磁性相であり、その厚さ(粒界の幅に相当する)は約10μm以下になる。
急冷合金は、従来のインゴット鋳造法(金型鋳造法)によって作製された合金(インゴット合金)に比較して相対的に短い時間(冷却速度:102℃/秒以上、104℃/秒以下)で冷却されているため、組織が微細化され、結晶粒径が小さいという特徴を有している。また、粒界の面積が広く、Rリッチ相は粒界内に広く広がっているため、Rリッチ相の分散性にも優れるという利点がある。これらの特徴が故に、急冷合金を用いることによって、優れた磁気特性を有する磁石を製造することができる。
プレス成形に供される合金粉末は、上記の方法によって作製された合金を例えば水素吸蔵法および/または種々の機械的粉砕法(例えば、ディスクミルが用いられる)で粉砕し、得られた粗粉末(例えば、平均粒径10μm〜500μm)を例えばジェットミルを用いた乾式粉砕法で微粉砕することによって得られる。
プレス成形に供せられるR−Fe−B系合金粉末の平均粒径は、磁気特性の観点から、1.5μm〜6μmの範囲内にあることが好ましい。なお、粉末の「平均粒径」は、特にことわらない限り、ここでは、質量中位径(mass median diameter:MMD)を指すことにする。しかしながら、このように平均粒径が小さな粉末を用いると流動性やプレス成形性(キャビティ充填性や圧縮性を含む)が悪く、生産性が悪い。
特に、ストリップキャスト法等の急冷法(冷却速度が102/秒〜104/秒)で作製された粉末は、インゴット法によって作製された粉末に比べて、平均粒径が小さいだけでなく粒度分布がシャープ(急峻)なので、特に流動性が悪い。そのため、キャビティに充填される粉末の量が許容範囲を超えてばらついたり、キャビティ内の充填密度が不均一になったりする。その結果、成形体の質量や寸法が許容範囲を超えてばらついたり、成形体に欠けや割れが生じることがある。更に、配向磁界によって十分に配向させることができず、最終的に得られる焼結磁石の磁気特性(例えば残留磁束密度Br)が低いという問題があった。
磁界配向度を高めるには、成形体の見かけ密度(以下、「成形体密度」と称する。)を低い値に抑えることが有効である。また、プレス成形前の合金粉末にステアリン酸亜鉛やカプロン酸メチルなどの潤滑剤を添加すると、粉末の流動性が増加するため、磁界配向度が向上することも知られている。
米国特許第4,770,723号明細書
米国特許第4,792,368号明細書
特開平5−234789号公報
しかしながら、プレス工程時の成形体密度を低く設定すると、成形体をプレス装置のキャビティから抜き出すときに成形体が壊れてしまうという問題がある。このことは、潤滑剤を粉末に添加した場合でも同様である。潤滑剤を添加した場合において、成形体を金型から抜き出すときに成形体に割れや欠けが生じないようにするには、成形体密度を3.8g/cm3以上に設定しておく必要があり、余裕をもって4.1g/cm3以上に設定することが好ましい。特許文献3は、成形体密度を3.81〜4.57g/cm3に設定することを開示している。
しかし、プレス装置から成形体を抜き出すときの形状保持を行なう目的で成形体密度を高くすると、潤滑剤を添加して磁界配向度を向上させるという当初の課題が達成されなくなる。すなわち、成形体密度を高くするために粉末に大きな圧力を印加すると、強い力を受けて粉末粒子が回動し、配向度が却って低下してしまうことになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも低い成形体密度で磁界配向度の高い粉末成形体を形成し、しかも、成形体表面に割れや欠けを生じさせることなく、金型から取り出すことのできる希土類磁石の製造方法を提供することにある。
本発明による希土類磁石の製造方法は、キャビティ内に供給された磁石粉末を圧縮形成するためのプレス装置を用いて前記磁石粉末の成形体を作製する希土類磁石の製造方法であって、前記プレス装置は、第1方向に沿って移動することによって前記磁石粉末を加圧する第1可動部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動することによって前記磁石粉末を加圧する第2可動部とを有する割り金型を備えており、前記磁石粉末に磁界を印加して配向する工程(A)と、前記磁石粉末の成形体密度が3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下の範囲内になるように前記磁石粉末を前記第1および第2可動部によって加圧する工程(B)と、前記第1および第2可動部が前記磁石粉末に与える圧力を低減し、その後、前記磁石粉末の成形体を前記割り金型から取り出す工程(C)とを含む。
好ましい実施形態において、前記第1および第2可動部のうち、少なくとも前記磁石粉末と接触する押圧部は剛体から形成されている。
好ましい実施形態において、前記剛体は金属またはセラミックスから形成されている。
好ましい実施形態において、前記第1可動部が前記磁石粉末に及ぼす力の向きは、前記第2可動部が前記磁石粉末に及ぼす力の向きと略直交している。
好ましい実施形態において、前記磁石粉末は、Nd−Fe−B系磁石の粉末である。
好ましい実施形態において、前記磁石粉末に潤滑剤を添加する工程をさらに含む。
本発明によれば、従来よりも低い成形体密度で磁界配向度の高い粉末成形体を形成し、しかも、成形体表面に割れや欠けを生じさせることなく、金型から取り出すことが可能になる。
本発明では、各々が異なる方向に移動が可能な複数の可動部を有する割金型(ダイスおよびパンチ)を用いて磁石粉末の圧縮成形を行う。
本発明者が種々検討したところによると、上記構造の割金型を用いると、成形体密度が3.8g/cm3を超えないように圧縮成形しても、成形体に割れや欠けなどを生じさせることなく金型から適切に抜き出すことが可能になる。成形体密度をこのように低い範囲(3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下)に抑えることにより、磁界配向度を十分に高め、磁石特性(特に残留磁束密度Br)を向上させることができる。
圧縮成形工程の途中において、成形性を良くするために成形体密度を高めると、強い力が粉末粒子に印加されて粉末が流動するため配向度が低下するが、本発明では、最終的に得られる成形体の成形体密度を従来よりも低く設定し、割れや欠けなどを生じさせることなく、配向度の低下を避けることができる。
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
まず、本実施形態で用いる希土類合金粉末について説明する。本発明に用いることが可能な希土類合金粉末としては種々あるが、R−Fe−B系希土類合金が好適に用いられる。R−Fe−B系希土類合金の組成および製造方法は、例えば、米国特許第4,770,723号および米国特許第4,792,368号に記載されている。
R−Fe−B系希土類合金の典型的な組成では、RとしてNdまたはPrが主に用いられ、Feは部分的に遷移元素(例えばCo)に部分的に置換されてもよく、BはCによって置換されてもよい。
本実施形態では、急冷法によって作製したNd−Fe−B系凝固合金(密度7.5g/cm3)を粉砕することによって得られた平均粒径1.5μm〜6μmの範囲内の粉末を用いる。合金粉末の表面は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤で被覆しておくことが好ましい。具体的には、以下のようにして作製することができる。まず、組成が、Nd:30質量%、B:1.0質量%、Dy:1.2質量%、Al:0.2質量%、Co:0.9質量%、残部がFeおよび不可避不純物の合金を、高周波溶解法によって溶湯とし、米国特許5、383、978号に記載されているストリップキャスト法を用いて合金薄帯を作製する。得られた合金薄帯を水素法で脆化した後、ジェットミルで微粉砕することにより、平均粒径が3.5μm(潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を含む)の合金粉末を得ることができる。
潤滑剤としては、特開平6−290919号公報、特開平8−111308号公報、特開平9−3504号公報、特開2000−109903号公報などに記載されている公知の潤滑剤を添加することができる。潤滑剤は、ロッキングミキサなどを用いて粉末に混入され、粉末粒子の表面を被覆する。潤滑剤の添加により、粉末粒子の酸化が防止されるとともに、圧縮成形時の配向・成形性が向上する。
次に、上記の粉末をプレス装置で圧縮成形する。図1および図2を参照しながら、本実施形態において好適に用いられるプレス装置の構成を、従来のプレス装置を対比しながら説明する。
本実施形態の説明を分かりやすく行なうため、まず、従来のプレス装置の構成を説明する。図1(a)および(b)は、従来の一軸プレス装置における主要部の構成を示している。このプレス装置の金型10は、貫通穴を有するダイ2と、貫通穴に挿入される上パンチ4および下パンチ6とを備えている。上パンチ4の下端面および下パンチ6の上端面の間に位置する粉末は、上パンチ4および/または下パンチ6を鉛直方向に移動させることによって圧縮され、成形される。
図1(a)および(b)では、簡単のため、直方体のキャビティを規定する4つの側面のうち、対向する2つの側面が開放されているかのように記載されているが、現実には、上記4つの側面は全て1個のダイに設けられた貫通穴の内壁である。
図1(b)に示すように、上パンチ4と下パンチ6との間隔を縮小することによって粉末の成形体に充分な大きさの圧力Pが印加される。こうして、所定の成形体密度を有する成形体が完成すると、その後は、成形体をキャビティから抜き出す必要がある。このような成形体の抜き出し工程は、上パンチ4および下パンチ6をダイ2に対して上昇させるか、逆にダイ2を降下させることによって実行される。成形体をキャビティから完全に抜き出すまで、成形体には上パンチ4と下パンチ6とによって小さな圧力(保持圧力)が印加され続ける。
これに対して、本実施形態では、図2(a)および(b)に示す割金型20を備えている。この割金型20は、鉛直方向に沿って移動する第1可動部21と、鉛直方向から傾斜した方向に沿って移動する第2可動部22とを有している。第2可動部22は、平坦な上面および側面と、傾斜した底面とを有している。第2可動部22の上面が第1可動部21によって下方に押圧されると、第2可動部22の底面がダイ25の傾斜面によって規制されているため、第2可動部22はダイ25の傾斜面上をスライドしながら、図2(b)の矢印方向に移動し、キャビティ内の磁石粉末を加圧する。可動部21および22は、ダイ25と同様に、金属またはセラミックスなどの剛体から形成されている。
第2可動部22の移動方向は、第2可動部22の底面と接触するダイ25の傾斜面が規定するため、この傾斜面の角度を調節することにより、第2可動部22の移動方向を調節することができる。例えば、傾斜面の角度を水平方向に対して45゜に設定すると、第2可動部22が移動する向きは水平方向に対して45゜となる。この場合、第2可動部22が水平方向に移動する速度は、第1可動部21の降下速度に等しくなる。
本実施形態の金型20は、第2可動部22の移動に伴って水平方向に移動する第3可動部23を更に有している。この第3可動部23は、他の可動部21、22と同様の材料から形成されている。第3可動部23は、第2可動部22に押されながら、ダイ25の不図示の習動面上を水平方向にスライドする。
このように本実施形態の金型20は、異なる方向に移動しながらキャビティ内の粉末を圧する複数の可動部21〜23を有しているため、粉末の2軸方向圧縮が可能になる。このような構成の割金型20を用いることにより、本実施形態では、磁石粉末に磁界を印加して配向する工程(A)と、磁石粉末の成形体密度が3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下の範囲内になるように第1可動部21および第2可動部の移動によって磁石粉末を加圧する工程(B)を行なう。そして、工程(B)の後、第1可動部21および第2可動部22を移動させて磁石粉末に与える圧力を低減し、その後、磁石粉末の成形体を割金型20から取り出す工程(C)を行なう。なお、配向磁界の印加開始タイミングは、磁石粉末への加圧開始時より後であっても前であっても良く、また同時であってもよい。
本実施形態では、かさ密度が1.5〜2.0g/cm3程度に達した時点で磁界配向のための静磁界(最高磁界強度:0.5〜3T)を印加する。配向磁界の印加は、可動部21,22などに微小な振動を加えながら行なってもよい。その後、本実施形態では、最終的な成形体密度が3.0g/cm3〜3.8g/cm3となるまで加圧する。本実施形態の場合、成形体の大きさは、例えば、25mm×25mm×25mmとすることができる。
本実施形態では、配向磁界として静磁界を印加しているが、配向磁界はパルス磁界であってもよい。パルス磁界の場合、パルスを複数回印加してもよいし、パルス磁界とともに静磁界を印加しても良い。
成形体を割金型から抜き出す工程(C)では、圧縮成形時とは反対の方向に各可動部21〜23を移動させることになる。本実施形態では、各可動部21〜23のうち、少なくとも磁石粉末と接触する押圧部が剛体から形成されているため、工程(C)において、可動部21〜23の剛体部分は成形体の表面から略垂直方向にスムーズに離れてゆく。従来のシリコーンゴムを用いたRIP法では、圧縮される粉末成形体の表面に弾性を有するシリコーンゴムが接触しているため、完成した成形体をシリコーンゴムから取り出すとき、収縮していたシリコーンゴムを引き伸ばす必要があるが、このとき、成形体表面に接触しているゴム面が成形体表面に平行な向きにも移動するため、成形体に割れや欠けが生じやすいという問題がある。これに対し、本発明では、可動部のうち粉末に接触する部分を剛体から形成しているため、成形体から可動部を引き離すとき、成形体に割れや欠けが生じにくい。
なお、本実施形態では、第1可動部21が磁石粉末に及ぼす力の向きが、第2可動部22が磁石粉末に及ぼす力の向きと略直交している。また、配向のための磁界Mは、ダイ25の近傍に配置された不図示の磁場発生装置によって発生させられる。磁場発生装置は、ダイ25の両側から挟むように対象的に配置されており、プレス方向と配向磁界の方向とは直角の関係にあるが、磁場発生装置の配置を変更すれば、プレス方向と配向磁界の方向とを平行にすることも可能である。一般には、磁界Mの向きが圧縮方向と一致するとき、配向度が低下しやすいため、このような場合に本発明の効果が顕著に発揮される。
なお、図2(a)および(b)では、キャビティを規定する面のうち、磁界Mに垂直な面は図示されていないダイ25の内壁面であり、プレス工程中も固定されたままである。
本発明の実施形態によれば、成形体密度が3.0g/cm3という極めて低い値でも割れや欠けを生じさせることなく成形体を金型から抜き出すことができる。また、成形体に割れ・欠けを生じさせることなく金型から取り出しながら、配向度として0.99以上の高い値を達成することができる。
上記の成形体に対して、例えば、不活性ガス雰囲気中で約1000〜1100℃で数時間の焼結処理を行った後、不活性ガス雰囲気中で時効処理を行うことによって、焼結体を得ることができる。焼結工程のあと、約500〜700℃で再加熱処理を行ってもよい。なおも不活性ガスとしては、窒素やアルゴンガスなどを好適に用いることができる。
(実施例)
上記実施形態の装置および方法を用いて、焼結体を作製した。具体的には、以下の条件で焼結体を作製した。
上記実施形態の装置および方法を用いて、焼結体を作製した。具体的には、以下の条件で焼結体を作製した。
原料粉末: 組成が、Nd:30質量%、B:1.0質量%、Dy:1.2質量%、Al:0.2質量%、Co:0.9質量%、残部がFeおよび不可避不純物の合金を水素粉砕によって粗粉砕した後、ジェットミルによって微粉砕した粉末を使用。
成形方法: 図2の装置を用い、配向磁界として強度が1.7Tの静磁界を印加して圧縮成形を行った。
成形体の形状およびサイズ:25mm×25mm×25mm
金型から取り出した後における成形体の密度: 3.0〜3.8g/cm3
焼結条件: Ar雰囲気中または窒素ガスなどの不活性雰囲気中で約1000〜1100℃で数時間の焼結処理を行った後、上記の不活性雰囲気で約500〜700℃で数時間の再加熱処理を行った。
金型から取り出した後における成形体の密度: 3.0〜3.8g/cm3
焼結条件: Ar雰囲気中または窒素ガスなどの不活性雰囲気中で約1000〜1100℃で数時間の焼結処理を行った後、上記の不活性雰囲気で約500〜700℃で数時間の再加熱処理を行った。
本実施例では、成形体密度が3.2g/cm3でも、金型から取り出すときに成形体に割れや欠けが発生しなかった。成形体密度が3.2〜3.8g/cm3のとき、配向度は0.992〜0.994であった。成形体密度のより好ましい下限値は、ハンドリングの容易性という観点から、3.2g/cm3であり、更に好ましくは3.4g/cm3である。
図3は、本実施形態における成形体密度と最終的に得られる磁石の残留磁束密度Brとの関係を示すグラフである。図3からわかるように、成形体密度が3.8g/cm3を超えて大きくなると、残留磁束密度Brは1.380Tを下回る値になる。これは、成形体密度の上昇に伴って配向度が低下するためである。したがって、配向度を高め、優れた磁石特性を得るという観点からは、成形体密度を3.8g/cm3以下に設定する必要がある。成形体密度の好ましい上限値は3.7g/cm3であり、更に好ましい上限値は、3.8g/cm3である。
(比較例)
図1に示す従来型のプレス装置を用いた点以外は、実施例の条件と同様にして焼結体(比較例)を作製した。比較例では、成形体密度が4.1g/cm3を下回ると、金型から取り出すとき成形体の表面の一部に割れや欠けが発生することがあった。成形体密度を大きくするほど、強く収縮していた成形体がキャビティから引き抜かれるときに外方へ弾性変形する(スプリングバック)。このスプリングバックの程度が大きくなると、成形体に亀裂が生じたり、表面に欠けが発生しやすくなる。
図1に示す従来型のプレス装置を用いた点以外は、実施例の条件と同様にして焼結体(比較例)を作製した。比較例では、成形体密度が4.1g/cm3を下回ると、金型から取り出すとき成形体の表面の一部に割れや欠けが発生することがあった。成形体密度を大きくするほど、強く収縮していた成形体がキャビティから引き抜かれるときに外方へ弾性変形する(スプリングバック)。このスプリングバックの程度が大きくなると、成形体に亀裂が生じたり、表面に欠けが発生しやすくなる。
比較例の配向度は、成形体密度が4.1g/cm3のとき、0.987であり、上記実施例の配向度よりも低下してしまった。
上記の実施例では、磁気特性に優れる反面、特に流動性の低い、ストリップキャスト法で作製されたNd−Fe−B系合金粉末を用いたが、他の方法によって製造された希土類合金粉末を用いても本発明の効果が得られることは言うまでもない。
また、本発明の好ましい実施形態では、合金粉末を潤滑剤で表面処理を施して用いるが、他の表面処理を施してもよく、更に、造粒粉を用いてもよい。振動および/または配向磁界を用いて造粒粉を解砕することができるので、十分な配向度を得ることができる。
(他の実施形態)
図4(a)および(b)は、本発明の製造方法に用いられる他のプレス装置における割金型の構成例を示す図である。この割金型40は、可動部41〜44を備えており、これらの可動部41〜44によって囲まれた空間がキャビティとして機能する。このキャビティ内に粉末を充填した後、キャビティ内の粉末を4方から押圧するように可動部41〜44を駆動し、成形体を形成する。成形体を金型から抜き出すとき、各可動部41〜44を反対方向に駆動し、キャビティの大きさを成形体よりも大きく広げればよい。
図4(a)および(b)は、本発明の製造方法に用いられる他のプレス装置における割金型の構成例を示す図である。この割金型40は、可動部41〜44を備えており、これらの可動部41〜44によって囲まれた空間がキャビティとして機能する。このキャビティ内に粉末を充填した後、キャビティ内の粉末を4方から押圧するように可動部41〜44を駆動し、成形体を形成する。成形体を金型から抜き出すとき、各可動部41〜44を反対方向に駆動し、キャビティの大きさを成形体よりも大きく広げればよい。
このような割金型40を用いて成形体を作製する場合でも、成形体密度を3.0〜3.8g/cm3の範囲に抑えることによって高い配向度を実現しながら、成形体の割れ欠けを防止することができる。
本発明によれば、残留磁束密度の高い希土類磁石が歩留まり良く生産される。
2 金型20のダイ
4 金型20の上パンチ
6 金型20の下パンチ
10 金型(従来例)
20 本発明の実施形態で用いる割金型
21 割金型20の第1可動部
22 割金型20の第2可動部
23 割金型20の第3可動部
25 割金型20のダイ
40 本発明の実施形態で用いる他の割金型
41〜44 割金型40の可動部
4 金型20の上パンチ
6 金型20の下パンチ
10 金型(従来例)
20 本発明の実施形態で用いる割金型
21 割金型20の第1可動部
22 割金型20の第2可動部
23 割金型20の第3可動部
25 割金型20のダイ
40 本発明の実施形態で用いる他の割金型
41〜44 割金型40の可動部
Claims (6)
- キャビティ内に供給された磁石粉末を圧縮形成するためのプレス装置を用いて前記磁石粉末の成形体を作製する希土類磁石の製造方法であって、
前記プレス装置は、
第1方向に沿って移動することによって前記磁石粉末を加圧する第1可動部と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動することによって前記磁石粉末を加圧する第2可動部とを有する割り金型を備えており、
前記磁石粉末に磁界を印加して配向する工程(A)と、
前記磁石粉末の成形体密度が3.0g/cm3以上3.8g/cm3以下の範囲内になるように前記磁石粉末を前記第1および第2可動部によって加圧する工程(B)と、
前記第1および第2可動部が前記磁石粉末に与える圧力を低減し、その後、前記磁石粉末の成形体を前記割り金型から取り出す工程(C)と、
を含む希土類磁石の製造方法。 - 前記第1および第2可動部のうち、少なくとも前記磁石粉末と接触する押圧部は剛体から形成されている請求項1に記載の製造方法。
- 前記剛体は金属またはセラミックスから形成されている請求項2に記載の製造方法。
- 前記第1可動部が前記磁石粉末に及ぼす力の向きは、前記第2可動部が前記磁石粉末に及ぼす力の向きと略直交している請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記磁石粉末は、Nd−Fe−B系磁石の粉末である請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記磁石粉末に潤滑剤を添加する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
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