JP3193916B2 - パンチ、粉末成形装置および粉末成形方法 - Google Patents

パンチ、粉末成形装置および粉末成形方法

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JP3193916B2 JP2000117574A JP2000117574A JP3193916B2 JP 3193916 B2 JP3193916 B2 JP 3193916B2 JP 2000117574 A JP2000117574 A JP 2000117574A JP 2000117574 A JP2000117574 A JP 2000117574A JP 3193916 B2 JP3193916 B2 JP 3193916B2
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earth alloy
powder
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F7/02Permanent magnets [PM]
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    • HELECTRICITY
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    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0253Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets for manufacturing permanent magnets
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえば、ボイ
スコイルモータ用磁石を製造するために希土類合金粉末
等の粉末を圧縮成形するパンチ、そのパンチを用いて圧
縮成形する粉末成形装置および粉末成形方法、このよう
な粉末成形方法によって圧縮成形される成形体、ならび
に得られた成形体を用いて製造される焼結体およびボイ
スコイルモータに関する。
【0002】
【従来の技術】図14および図15を参照して、焼結後
ボイスコイルモータ用磁石等に使用される希土類合金粉
末の成形体8(図16参照)の従来の成形方法について
説明する。成形体8を製造するには、図14に示すよう
な圧縮成形用の金型1が用いられる。金型1は、貫通孔
2を有するダイ3、貫通孔2に予め挿入される下パンチ
4、および貫通孔2に挿入される上パンチ5を含む。下
パンチ4の上面の中央部には、略円弧状の凸部4a、両
端部には鍔状の凸部4bがそれぞれ形成される。上パン
チ5の下面には凹部5aが形成される。下パンチ4、上
パンチ5は、それぞれ硬い超硬合金で構成され、それぞ
れその凸部4b、端部5bは割れや欠けを考慮して、先
端部には0.8mmの面取りが施されている。
【0003】圧縮成形時には、まず、下パンチ4が降下
して貫通孔2内にキャビティ6が形成され、キャビティ
6に希土類合金粉末7が充填される。そして、キャビテ
ィ6内の希土類合金粉末7に配向磁界を印加しながら下
パンチ4と上パンチ5との間で希土類合金粉末7が圧縮
成形される。希土類合金粉末7の圧縮は、最終製品の形
状により近づけるため、図15に示すように、上パンチ
5の両端部5bと、下パンチ4の凸部4bとが当接する
直前(たとえば両パンチの隙間が1mm前後)まで行わ
れる。このようにして図16に示すような成形体8が得
られる。成形体8は、断面略円弧状に形成され、上パン
チ5の凹部5aによって形成された上面8a、下パンチ
4の凸部4aによって形成された下面8b、下パンチ4
の凸部4bによって形成された傾斜面8c、および貫通
孔2の壁面によって形成された端面8dを有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図16に示すように、
このような成形体8では、上面8aと傾斜面8cとの境
界部8eにひび割れAが発生するという問題があった。
ひび割れAの発生原因について説明する。
【0005】図14に示すように、希土類合金粉末7を
キャビティ6に充填する際に、希土類合金粉末7とは異
なる色のマーキング材Bを所定間隔で介挿して、圧縮成
形する。すると、図15に示すように、マーキング材B
の間隔は、上パンチ5の両側部5bと下パンチ4の凸部
4bとの間で、極めて狭くなる。これによって、上パン
チ5の両端部5bと下パンチ4の凸部4bとの間では、
他の箇所と比較すると、希土類合金粉末7の密度が非常
に高くなっていることがわかる。これは流動性の悪い希
土類合金粉末が圧縮時に下パンチ4の凸部4bと上パン
チ5の端部5bのそれぞれの先端部で挟まれて動けず、
境界部8eが高密度になったためと考えられる。したが
って、成形体8がダイ3の貫通孔2から抜き出されたと
き、成形体8に加わっていた圧力が解放される結果、境
界部8eのような密度の高い部分は大きく伸び、ひびや
割れが生じやすくなる。また焼結時にも同様の問題が発
生する。
【0006】希土類合金粉末7に対して、図16の矢印
C方向(凸部4bの長手方向)に、0.5MA/m以上
の強い配向磁界を印加して圧縮成形する場合には、磁化
された希土類合金粉末7同士の反発力によってキャビテ
ィ6周縁部の粉末密度が中央部よりも高くなるので、凸
部4b近傍の密度がさらに大きくなってしまう。また、
フィーダーボックス(図示せず)の下端によって希土類
合金粉末7をキャビティ6にすり切り給粉する場合に
は、凸部4bによって圧縮される領域に、必要とされる
量を超える希土類合金粉末が充填されることとなるが、
希土類合金粉末7には十分な流動性がないため、この領
域における成形密度はより高くなる。したがって、これ
らの場合には、成形体8の抜き出し時に境界部8eにお
けるひびや割れがさらに発生しやすくなる。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、製
品のひびや割れを防止して生産性を向上できる、パン
チ、粉末成形装置および粉末成形方法を提供することで
ある。この発明の他の目的は、そのような粉末成形方法
を用いて製造される成形体を提供することである。この
発明のその他の目的は、得られた成形体を用いて製造さ
れる焼結体およびボイスコイルモータを提供することで
ある。
【0008】
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の粉末成形装置は、希土類合金粉末
を圧縮成形するための粉末成形装置であって、キャビテ
ィが形成される貫通孔を有するダイ、貫通孔内を移動可
能であり、キャビティ内の希土類合金粉末を圧縮するた
めのパンチ面を含み、パンチ面はその端部に凸部を有し
かつ凸部は面取り幅が0.5mm以下の先端を有するパ
ンチ、およびキャビティ内の希土類合金粉末に対して、
パンチによって圧縮される方向に垂直な方向かつ凸部の
長手方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加するた
めの配向手段を備える。請求項2に記載の粉末成形装置
は、希土類合金粉末を圧縮成形するための粉末成形装置
であって、キャビティが形成される貫通孔を有するダ
イ、貫通孔内を移動可能であり、キャビティ内の希土類
合金粉末を圧縮するためのパンチ面を含み、パンチ面は
凸部を有しかつ凸部は面粗度Raが1.0μm以下とな
る斜面を有するパンチ、およびキャビティ内の希土類合
金粉末に対して、パンチによって圧縮される方向に垂直
な方向かつ凸部の長手方向に0.5MA/m以上の配向
磁界を印加するための配向手段を備える。請求項3に記
載の粉末成形方法は、希土類合金粉末を圧縮するための
パンチ面の端部に凸部を有しかつ凸部は面取り幅が0.
5mm以下の先端を有するパンチと、パンチが挿入され
る貫通孔を有するダイとを用いる粉末成形方法であっ
て、貫通孔に形成されるキャビティ内に希土類合金粉末
を充填する第1ステップ、およびキャビティに充填され
た希土類合金粉末に対して、パンチによって圧縮される
方向に垂直な方向かつ凸部の長手方向に0.5MA/m
以上の配向磁界を印加し、希土類合金粉末をパンチを用
いて圧縮する第2ステップを備える。
【0010】請求項4に記載の粉末成形方法は、希土類
合金粉末を圧縮するためのパンチ面が凸部を有しかつ凸
部は面粗度Raが1.0μm以下となる斜面を有するパ
ンチと、パンチが挿入される貫通孔を有するダイとを用
いる粉末成形方法であって、貫通孔に形成されるキャビ
ティ内に希土類合金粉末を充填する第1ステップ、およ
びキャビティに充填された希土類合金粉末に対して、パ
ンチによって圧縮される方向に垂直な方向かつ凸部の長
手方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加し、希土
類合金粉末をパンチを用いて圧縮する第2ステップを備
える。請求項5に記載の粉末成形方法は、請求項3また
は4に記載の粉末成形方法において、希土類合金粉末に
潤滑剤が添加されていることを特徴とする。請求項6に
記載の粉末成形方法は、請求項3または4に記載の粉末
成形方法において、希土類合金粉末が急冷法によって製
造されていることを特徴とする。
【0011】請求項7に記載の粉末成形方法は、請求項
3または4に記載の粉末成形方法において、第2ステッ
プによる圧縮後の成形体密度が3.90g/cm3
4.60g/cm3とされることを特徴とする。請求項
8に記載の粉末成形方法は、請求項3または4に記載の
粉末成形方法において、パンチを含む一対の上下パンチ
を有し、第2ステップでは、上パンチと下パンチとの最
接近時における最短距離が1.7mm以上とされること
を特徴とする。
【0012】請求項9に記載の粉末成形方法は、貫通孔
を有するダイと一対の上下パンチとを含み、上下パンチ
のうち少なくともいずれか一方が希土類合金粉末を圧縮
するためのパンチ面の端部に凸部を有する、金型を用い
る粉末成形方法であって、貫通孔に形成されるキャビテ
ィ内に希土類合金粉末を充填する第1ステップ、および
キャビティに充填された希土類合金粉末に対して、パン
チによって圧縮される方向に垂直な方向かつ凸部の長手
方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加し、希土類
合金粉末を上下パンチを用いて圧縮する第2ステップを
備え、第2ステップでは、上パンチと下パンチとの最接
近時における最短距離が1.7mm以上とされる。請求
項10に記載の成形体は、請求項3または4に記載の粉
末成形方法によって製造される。
【0013】請求項11に記載の成形体は、希土類合金
粉末の成形体であって、凸状に形成される一方主面、凹
状に形成される他方主面、他方主面の端部から形成され
る傾斜面、および一方主面と傾斜面との間に1.7mm
以上の幅を有して形成される側面を備え、希土類合金粉
末が成形体の長手方向に配向されたことを特徴とする。
請求項12に記載の成形体は、希土類合金粉末の成形体
であって、凸状に形成される一方主面、凹状に形成され
る他方主面、他方主面の端部から形成される傾斜面、お
よび一方主面と傾斜面との間に形成される側面を備え、
一方主面の最上部までの高さをH、側面の幅をSとする
と、S/Hが0.15以上とされ、かつ希土類合金粉末
が成形体の長手方向に配向されたことを特徴とする。
【0014】請求項13に記載の焼結体は、請求項11
に記載の成形体を焼結して得られる焼結体であって、凸
状に形成される一方主面、凹状に形成される他方主面、
他方主面の端部から形成される傾斜面、および一方主面
と傾斜面との間に1.45mm以上の幅を有して形成さ
れる側面を備える。請求項14に記載の焼結体は、請求
項12に記載の成形体を焼結して得られる焼結体であっ
て、凸状に形成される一方主面、凹状に形成される他方
主面、他方主面の端部から形成される傾斜面、および一
方主面と傾斜面との間に形成される側面を備え、一方主
面の最上部までの高さをH、側面の幅をSとすると、S
/Hが0.15以上とされる。
【0015】請求項15に記載のボイスコイルモータ
は、請求項13に記載の焼結体を用いたことを特徴とす
る。請求項16に記載のボイスコイルモータは、請求項
14に記載の焼結体を用いたことを特徴とする。
【0016】希土類合金粉末は、鋭利な形状をしており
流動性が悪い。したがって、成形時に振動等を与えたと
しても圧縮成形中に希土類合金粉末はキャビティ内で動
きにくく、成形体の密度を均一にすることは難しい。ま
た、圧縮成形時に、キャビティ内の希土類合金粉末に対
して、パンチの圧縮方向と垂直な方向であってパンチの
凸部の長手方向に配向磁界が印加される場合には、磁化
された磁粉同士の反発力によってキャビティ周縁部の粉
末密度が中央部よりも高くなる傾向にある。特に、希土
類合金粉末が0.5MA/m以上で配向される場合に
は、希土類合金粉末相互の反発力が大きくなり、その結
果、キャビティ内部の密度分布が不均一になるととも
に、キャビティ周縁部近傍では密度が上昇しやすい。し
かし、請求項1に記載の粉末成形装置では、パンチ面の
端部に形成される凸部の先端の面取り幅を0.5mm以
下と小さくすることで、端部によって圧縮される希土類
合金粉末の量を減らすことができるため、端部における
希土類合金粉末の流動性が向上する。したがって、圧縮
成形時に、パンチ面の凸部の先端に位置するすなわち密
度の高い部分の希土類合金粉末に圧縮力が加わると、そ
の希土類合金粉末は、凸部の先端に滞留することなく凸
部の斜面に沿って密度の低い部分に移動する。その結
果、希土類合金粉末に上述のような配向磁界を印加する
場合であっても、均一な密度の成形体を得ることがで
き、密度の不均一から生じるひびや割れの発生を防止で
きる。請求項3に記載の粉末成形方法、請求項10に記
載の成形体についても同様である。
【0017】請求項2に記載の粉末成形装置では、斜面
の面粗度Raを1.0μm以下とすることで、圧縮成形
時の希土類合金粉末の流動性を高めることができる。し
たがって、たとえばパンチ面の凸部先端のような密度の
高い部分にある希土類合金粉末は、斜面に沿って密度の
低い部分に移動する。その結果、キャビティ内での希土
類合金粉末の密度の均一性を増すことができる。したが
って、希土類合金粉末に上述のような配向磁界を印加す
る場合であっても、密度の均一性が高い成形体を得るこ
とができ、密度の不均一から生じるひびや割れの発生を
防止できる。請求項4に記載の粉末成形方法、請求項1
0に記載の成形体についても同様である。
【0018】希土類合金粉末に潤滑剤が添加されると流
動性がいっそう悪くなる。しかし、この発明は、希土類
合金粉末の流動性を向上できるので、請求項5に記載す
るように潤滑剤が添加される場合であってもキャビティ
内での粉末の密度の均一性を向上できる。希土類合金粉
末が急冷法によって作成されると、希土類合金粉末の粒
度分布が狭くてシャープになるため流動性が極めて悪く
なる。しかし、この発明は、希土類合金粉末の流動性を
向上できるので、請求項6に記載するように希土類合金
粉末が急冷法で作成される場合であってもキャビティ内
での粉末の密度の均一性を向上できる。
【0019】請求項7に記載するように、圧縮成形後の
成形体密度を3.90g/cm3〜4.60g/cm3
すると、必要な成形体強度を得ることができるととも
に、磁石特性のよい希土類磁石を得ることができる。
【0020】請求項8、9に記載の粉末成形方法では、
圧縮成形後の成形体の側面が1.7mm幅以上にできる
ので、成形体の側面に生じるひびや割れの発生を低減で
きる。
【0021】請求項11に記載の成形体では、成形体の
側面が1.7mm以上の幅を有する。また、請求項12
に記載の成形体では、高さHに対する側面の幅Sの比S
/Hが0.15以上になるように成形体に側面が形成さ
れる。したがって、成形体を構成する希土類合金粉末が
成形体の長手方向に配向されている場合であっても、側
面における密度の極度の上昇を抑制することができ、他
の部分との密度差を小さくできる。その結果、成形体の
側面で生じるひびや割れの発生を低減できる。請求項1
3に記載の焼結体では、圧縮成形時の成形体には1.7
mm幅以上の側面が形成されていることになる。また、
請求項14に記載の焼結体では、圧縮成形時の成形体に
おいても、高さHに対する側面の幅Sの比S/Hが0.
15以上になるように側面が形成されていることにな
る。したがって、成形体の側面で生じるひびや割れの発
生を低減できる。その結果、製造工程での歩留まりを向
上でき、焼結体の生産性を向上できる。上述のようにし
て得られた焼結体は、ひびや割れによる不良発生が少な
いので、請求項15、16に記載するようにそのような
焼結体を用いることによって、品質が安定したボイスコ
イルモータが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施形態について説明する。図1を参照して、この発
明の一実施形態の粉末成形装置10は、筐体状のフレー
ム12を含む。フレーム12内の下部および上部には、
それぞれ水平方向にパンチ固定テーブル14およびプレ
ート16が配置される。また、フレーム12内には圧縮
成形用の金型18が設けられる。金型18は、たとえば
ボイスコイルモータ等に使用される希土類磁石の成形体
88(後述)を形成するために用いられる。金型18は
貫通孔20を有するダイ22、貫通孔20にあらかじめ
挿入される下パンチ24、および貫通孔20に挿入可能
な上パンチ26を含む。ダイ22の貫通孔20にキャビ
ティ27が形成される。
【0023】ダイ22はダイセット28および30にセ
ットされ、ダイセット30上にはフィーダーボックス3
2が配置される。フィーダーボックス32内には希土類
合金粉末等の粉末34が収納され、フィーダーボックス
32はシリンダロッド36を介して油圧シリンダ38に
接続される。したがって、フィーダーボックス32は、
油圧シリンダ38によって貫通孔20に対して進退可能
とされる。ダイセット28、30の下面にはそれぞれガ
イドポスト40を介してダイセット連結板42が取り付
けられる。ダイセット連結板42はシリンダロッド44
を介して下部油圧シリンダ46に接続される。したがっ
て、ダイ22およびダイセット28、30は下部油圧シ
リンダ46によって上下方向に移動可能とされる。シリ
ンダロッド44の伸縮量すなわちダイ22の位置はリニ
アスケール48によって測定され、その測定値に基づい
て下部油圧シリンダ46の動作が制御される。
【0024】下パンチ24はベースプレート50上に設
けられ、ベースプレート50は支柱52を介してパンチ
固定テーブル14上に配置される。このようにして、下
パンチ24は固定される。上パンチ26の上端は上パン
チプレート54に取り付けられる。上パンチプレート5
4はシリンダロッド56を介して上部油圧シリンダ58
に接続される。上部油圧シリンダ58はプレート16上
に配置される。また、上パンチプレート54の両端近傍
にはガイドポスト60が挿通される。したがって、上パ
ンチプレート54は、ガイドポスト60に案内されなが
ら上部油圧シリンダ58によって上下方向に移動可能と
される。上パンチプレート54の伸縮量すなわち上パン
チ26の位置はリニアスケール62によって測定され、
その測定値に基づいて上部油圧シリンダ58の動作が制
御される。
【0025】また、キャビティ27内に充填された粉末
34に配向磁界を印加できるように、ダイ22の近傍に
は、一対のポールピース64およびポールピース64に
巻回されるコイル66が設けられる。このような粉末成
形装置10において注目すべきは、上パンチ26および
下パンチ24である。上パンチ26および下パンチ24
は、たとえば、硬度がHRAで75以上93以下であり
組成としてはMo:1.6wt%、Ni:20wt%、
残部WCを含むWC−Ni系の超硬合金等によって構成
される。ここで、超硬合金は、周期律表第IVa族、V
a族、VIa族に属する9種類の元素のうち少なくとも
1つの元素を含む炭化物を対象とし、これら炭化物粉末
をFe、Co、Ni、Mo、Sn等の鉄属金属、または
それらの合金を用いて焼結結合した合金をいう。超硬合
金としては、WC−TaC−Co系、WC−TiC−C
o系、またはWC−TiC−TaC−Co系の合金を用
いることもできる。
【0026】また、上パンチ26および下パンチ24と
して合金鋼が用いられてもよい。ここで合金鋼は、Fe
−Cを主体とするもので、高速度鋼、高マンガン鋼、ダ
イス鋼等を指し、所定の硬度を有していればよい。この
ように上パンチ26および下パンチ24を硬度がHRA
で75以上93以下の超硬合金や合金鋼によって構成す
ることによって、靭性と若干の弾性があるため、鋭利な
形状に加工しても割れや欠けを防止できる。
【0027】図2を参照して、下パンチ24は下パンチ
本体68を含む。下パンチ本体68の上端には粉末34
を圧縮するためのパンチ面70が形成される。パンチ面
70は、中央長手方向に略円弧状の凸部72、両端長手
方向にそれぞれ鍔状の凸部74を含む。その結果、凸部
72と凸部74との間には長手方向に延びる溝部76が
形成される。さらに、図3を参照して、凸部74の先端
78について説明する。凸部74の先端78は面取り処
理されている。点線80は、面取り処理前の凸部74の
先端を示す。点線80で示す先端を面取りして、半径R
の曲面状の先端78が形成される。なお、凸部74は、
斜面を有するように形成され、境界X1より上側が曲面
状に、下側が平面状に形成される。また、面取り幅h
は、境界X1からパンチ側面82までの最短距離をい
う。この実施形態では、面取り幅hは0.5mm以下と
する。なお、面取り幅hは0.1mm以下であることが
より好ましい。破損防止のためには、0.02mm〜
0.05mmの面取りを施すことが望ましい。
【0028】図2に戻って、上パンチ26は上パンチ本
体84を含む。上パンチ本体84の下端には粉末34を
圧縮するための凹状のパンチ面86が形成される。ま
た、上パンチ26のパンチ面86および下パンチ24の
パンチ面70は、面粗度Raが1μm以下となるように
表面処理されている。なお、この実施形態では、少なく
ともパンチ面70の凸部74の一部の面粗度Raが1μ
m以下となるように表面処理されていればよい。ここで
上パンチ26および下パンチ24に合金鋼を用いる場
合、表面処理のコーテイングとして、TiNコーテイン
グ、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーテイン
グを施すことで、研磨性の強いNd−Fe−B系合金粉
末に対して耐久性を高めることができる。また上パンチ
26および下パンチ24として、超硬合金を用いる場合
にも、上述と同様の表面処理をすることで耐久性が改善
される。なお、このような表面処理は、上述の上下パン
チ26、24が逆に構成された場合においても適用でき
る。
【0029】また、粉末34として用いられる希土類合
金粉末は、つぎのようにして作成される。まず、急冷法
による合金の作成法として米国特許第5,383,97
8号に示されるようなストリップキャスト法を用いて、
鋳片が作成される。具体的には、公知の方法によって製
造された、Nd:30wt%、B:1.0wt%、D
y:1.2wt%、Al:0.2wt%、Co:0.9
wt%、残部Feおよび不可避不純物からなる組成の合
金が高周波溶解により溶湯とされる。この溶湯が1,3
50゜Cに保持された後、ロール周速度を約1m/秒、
冷却速度500゜C/秒、過冷度200゜Cの条件で、
単ロール上で急冷され、厚さ0.3mmのフレーク状合
金鋳塊が得られる。なお、急冷法における冷却速度とし
ては102°C/秒〜104°C/秒を採用できる。
【0030】つぎに、合金インゴットが、水素吸蔵法に
よって粗粉砕された後、ジェットミルを用いて窒素ガス
雰囲気中で微粉砕され、平均粒径3.5μmの合金粉末
が得られる。このような希土類合金粉末には潤滑剤が添
加される。この場合、たとえば、潤滑剤として脂肪酸エ
ステル、溶剤として石油系溶剤が用いられる。そして、
希土類合金粉末に対して、脂肪酸エステルを石油系溶剤
で希釈したものが0.3wt%(潤滑剤ベース)添加混
合され、潤滑剤が希土類合金粉末の表面に被覆される。
【0031】つぎに、図4を参照して、粉末成形装置1
0の動作について説明する。最初は、前回の成形動作を
終了したときと同じ状態にあり、図4(a)に示すよう
に、ダイ22は下降端に位置しているとともに、上パン
チ26は上昇端に位置している。そして、図4(b)に
示すように、フィーダーボックス32が貫通孔20側に
スライドし、図4(c)に示すように、フィーダーボッ
クス32は貫通孔12の真上に位置したときに停止す
る。その後、図4(d)に示すように、ダイ22が上昇
し始め、貫通孔20上部にキャビティ27が形成され、
フィーダーボックス32内の粉末34がキャビティ27
内に落下する。ついで、図4(e)に示すように、ダイ
22が上昇端に達すると、フィーダーボックス32がキ
ャビティ27上から退避する。このとき、フィーダーボ
ックス32の下端で粉末34がすりきられる。そして、
図4(f)に示すように、上パンチ26が下降して貫通
孔20(キャビティ27)に挿入され、キャビティ27
内の粉末34に配向磁界が印加されかつ粉末34が上パ
ンチ26と下パンチ24とによって圧縮成形されること
で、成形体88が形成される。圧縮成形が終了すると、
図4(g)に示すように、上パンチ26が上昇するとと
もにダイ22が下降して成形体88が取り出される。
【0032】ここで、図4(f)に示す圧縮成形時のキ
ャビティ27内の状態について、図5を参照して説明す
る。図5に示すように、上パンチ26と下パンチ24と
はダイ22の貫通孔20にそれぞれ上下方向から挿入さ
れている。そして、粉末34は、ダイ22と上パンチ2
6と下パンチ24とによって圧縮成形される。このと
き、図5において紙面に対して垂直な方向、すなわち、
上下パンチ26、24によって圧縮される方向に垂直な
方向であって、図6の矢印Cで示すように、成形体88
の長手方向(凸部74の長手方向)に、0.5MA/m
以上の配向磁界が印加され、凸部74の上方はキャビテ
ィ27の中心部より粉末密度が大きくなる。
【0033】図5の矢印Pに示すように、凸部74の上
方に位置する粉末34は、上パンチ26が下方へ移動す
るにともなって、溝部76に向かって移動する。このと
き、凸部74の先端78は、面取り幅hが0.5mm以
下に形成されることによって粉末34の流動性が向上す
るので、凸部74の上方に位置する粉末34は、凸部7
4の上部に滞留することなく、凸部74の表面に沿って
円滑に下方に移動する。特に、凸部74の面粗度Raが
1.0μm以下となるように表面処理されているので、
粉末34を凸部74に沿って円滑に下方に移動すること
ができる。したがって、特に先端78を含む凸部74近
傍では、粉末34の密度分布を均一にすることができ
る。その結果、均一な密度の成形体88を得ることがで
き、密度の不均一さから生じるひびや割れの発生を防止
できる。したがって、流動性が悪くなる潤滑剤が添加さ
れている希土類合金粉末を用いる場合や、流動性が極め
て悪くなる急冷法によって作成された希土類合金粉末を
用いる場合であっても、成形体密度の均一性を向上でき
る。また、粉末34に0.5MA/m以上で配向磁界を
印加する場合であっても、キャビティ27内における粉
末34の密度の差を小さくできる。
【0034】上述のようにして成形された成形体88を
図6に示す。成形体88は、断面略円弧状に形成され、
凸状の上面90、凹状の下面92、下面92の両端から
斜め上方に形成される傾斜面94、上面90の両端と傾
斜面94の一端との間に形成される側面96、および略
円弧状の端面100を含む。上面90は上パンチ26の
パンチ面86によって形成され、下面92は下パンチ2
4のパンチ面70の凸部72によって形成され、傾斜面
94は下パンチ24のパンチ面70の凸部74によって
形成され、側面96および端面100はダイ22の貫通
孔20の壁面によって形成される。
【0035】ここで、側面96付近では、図5を参照し
た上述の説明からわかるように、粉末34の密度分布が
均一化されている。したがって、図16に示す密度分布
の不均一な従来の成形体8とは異なり、ひび割れAを生
じることはほとんどない。また、圧縮成形後の成形体8
8の密度を3.90g/cm3〜4.60g/cm3とす
ることで、必要な成形体強度を得ることができるととも
に、磁石特性のよい希土類磁石を得ることができる。密
度が3.90g/cm3以下では成形体強度が小さいの
で成形体88をハンドリングしにくく、一方、密度が
4.60g/cm3以上では成形体88の圧縮率が高く
なり配向が乱れてしまう。
【0036】つぎに、両パンチの面取り幅hとひび発生
率との関係を示す実験結果を図7に示す。この実験例で
は、上面90の横幅Wが52.22mm、上面90の最
上部までの高さHが30.2mm、成形体88の厚みD
が25.04mm、側面96の幅Sが7.55mmとさ
れた。パンチ面70の凸部74の面粗度Raは0.03
3μmとされた。粉末34として平均粒径が3.5μm
の希土類合金粉末が用いられ、圧縮後の成形体密度は
4.1g/cm3とされた。
【0037】面取り幅hが0.05mm〜0.50mm
までの間のひび発生率は、平均で0.2%であったが、
面取り幅hが0.60mmでのひび発生率は0.4%と
なり、面取り幅hが0.70mmでのひび発生率は1.
43%、面取り幅hが1.00mmでのひび発生率は
2.36%となった。したがって、面取り幅hは0.5
0mm以下とすることが好ましい。また、面取り幅hが
0.10mmのときのひび発生率は0.1%、面取り幅
hが0.05mmのときのひび発生率は0%であったこ
とから、面取り幅hを0.10mm以下とすることがさ
らに好ましく、さらに0.05mm以下の面取り幅とす
ることがより好ましい。
【0038】さらに、面粗度Raとひび発生率との関係
を示す実験結果を図8に示す。この実験例では、上面9
0の横幅Wが52.22mm、上面90の最上部までの
高さHが30.2mm、成形体88の厚みDが25.0
4mm、側面96の幅Sが7.55mmとされた。両パ
ンチの面取り幅hは0.05mmとされた。粉末34と
して平均粒径が3.5μmの希土類合金粉末が用いら
れ、圧縮後の成形体密度は4.1g/cm3とされた。
【0039】面粗度Raが0.05μm〜0.52μm
の間のひび発生率は、0.4%以下であり、面粗度Ra
が1.00μmでのひび発生率は0.8%である。しか
し、面粗度Raが1.00μmを越えると急激にひび発
生率は高くなり、たとえば面粗度Raが2.45μmで
のひび発生率は2、5%、面粗度Raが3.18μmで
のひび発生率は3.5%となっている.したがって、面
粗度Raは、1.00μm以下とすることが好ましい。
また、面粗度Raを0.52μm以下とすることがさら
に好ましい。
【0040】なお、凸部74の代わりに図9に示すよう
な凸部74aを有する下パンチ24aが用いられてもよ
い。下パンチ24aの凸部74aでは、面取りされた曲
面状の先端78aと傾斜した平面部102との間に、平
面部102よりも緩やかな傾斜した平面部104が形成
される。この場合、凸部74aの先端側が一旦、平面部
104を形成するように面処理される。図9における点
線80aは、このような平面部104が形成された後で
あり面取り処理前の凸部74aの先端を示す。点線80
aで示す先端を面取りして半径Rの曲面状の先端78a
が形成される。
【0041】なお、凸部74aでは、境界X2は先端7
8aと平面部104との境界であり、境界Yは平面部1
04と102との境界である。ここで面取り幅hとは、
境界Yからパンチ側面82aまでの最短距離、すなわ
ち、面取り加工がスタートした部分からパンチ側面82
aまでの最短距離をいう。この実施形態では、面取り幅
hは、0.5mm以下とする。なお、面取り幅hは0、
2mm以下であることがより好ましい。この実施形態に
よれば、平面部104を設けることで面取り幅hをさら
に小さく形成することができる。なお、境界Y近傍を面
取り処理して平面部102と104とを曲面でつなげる
ことが好ましい。また、平面部104に代えて曲面部が
形成されてもよい。
【0042】ついで、図10を参照して、この発明の他
の実施形態について説明する。ここでは、面取り幅hが
0.5mmを超える通常の下パンチ106が用いられ
る。その他の構成については粉末成形装置10と同様で
ある。動作において、粉末34の圧縮は、上パンチ26
と下パンチ106との最接近時における最短距離が少な
くとも2mm以上となるように行われる。すなわち、図
10に示すように、上パンチ26の端部108と下パン
チ106の凸部110との最接近時の隙間Gが少なくと
も2mm以上となるように、粉末34は圧縮される。し
たがって、得られる成形体88の側面96の幅Sは、
2.0mm以上となる。また、S/Hは0.15以上で
あることが好ましい。
【0043】成形体88はその後米国特許第4,79
2,368号のパラグラフ10(4)に示されるよう
に、アルゴン雰囲気の下、1,000°C〜1,200
°Cで1時間焼結され焼結体が得られるが、焼結体の側
面の幅は1.7mm以上となる。このとき、焼結体のS
/Hは、成形体88のS/Hとほぼ同値となる。上述の
ように、成形体88に、幅Sが2mm以上の側面96を
形成することによって、側面96での密度の極度の上昇
を抑制することができ、他の部分との密度差を小さくす
ることができるため、成形体88の側面で生じるひびや
割れの発生を低減できる。このような焼結体を用いるこ
とによって、製造工程での歩留まりを向上でき、生産性
の高い希土類磁石が得られる。また、圧縮成形時に成形
体88の傾斜面94と上面90との間に側面96を残存
させることで、姿加工や研磨等の加工工程において最終
工程に至るまで、加工のための基準面として側面96を
用いることができる。
【0044】また、ひびや割れによる不良発生の少ない
焼結体が得られ、このような焼結体を用いることで、品
質が安定したボイスコイルモータが得られる。ここでい
うボイスコイルモータは、たとえば米国特許第5,44
8,437号の図9に示されるようなディスクドライブ
に用いられる。この図9においてボイスコイルモータに
は37の参照番号がふられている。本願の図6に示され
る成形体88は、焼結され、端面100に平行な方向に
スライスされたのち、表面処理される。このような希土
類磁石は、たとえば米国特許第5,448,437号の
図1、2の参照番号3、4、5、6に示される磁石に用
いられる。
【0045】ついで、図11および図12を参照して、
下パンチ106を用いた粉末成形装置による実験結果に
ついて説明する。なお、この実験では、上述した脂肪酸
エステル系の潤滑剤が添加された希土類合金粉末が用い
られた。この希土類合金粉末に対して、1.0MA/m
の配向磁界が印加されて、4.0g/cm3〜4.2g
/cm3のグリーン密度になるように圧縮成形された。
ひびの数は、2個の成形体をプレスし、各成形体88毎
に両側面96に発生するひびの本数を数え、その本数を
平均したものである。
【0046】図11は、寸法比S/Hとひびの数との関
係を示す。ここでは、上面90と傾斜面94とのなす角
度θ(図6参照)が、95度、120度の場合について
実験した。実験に用いられた成形体88では、横幅Wが
53.32mm、上面90の曲率半径が37.58m
m、下面92の曲率半径が17.55mm、成形体88
の配向磁界方向の長さが80mmであった。この実験に
おいて上パンチ26および下パンチ106それぞれの面
取り幅は0.05mmとし、その斜面の面粗度Raは
0.033mmとした。図11に示すように、寸法比S
/Hが0.15以上になるとひびの発生はほとんど見ら
れない。なお、角度θ=95°の場合を除き、寸法比S
/Hが0.2より大きくなるとひびの発生は全くなかっ
た。
【0047】図12は、側面96の幅Sとひびの数との
関係を示す。ここでは、角度θが、90度、115度、
130度の場合について実験した。実験に用いられた成
形体88では、横幅Wが33.57mm、上面90の曲
率半径が20.84mm、下面92の曲率半径が13.
27mm、成形体88の配向磁界方向の長さが80mm
であった。この実験において上パンチ26および下パン
チ106それぞれの面取り幅は0.8mmとし、その斜
面の面粗度Raは0.033mmとした。図12に示す
ように、幅Sが2mm以上になるとひびの発生はほとん
ど見られない。なお、幅Sが3mm以上になるとひびの
発生は全くなかった。さらに、図10および図12を参
照して述べたものと同様の実験を、面取り幅hが0.0
5mm以下の下パンチ24を有する粉末成形装置10を
用いて行った。下パンチ24を用いる以外は、図10お
よび図12の場合と同条件で実験し、図13に示す結果
が得られた。
【0048】図13は、側面96の幅Sとひびの数との
関係を示す。図13に示すように、幅Sが1.7mm以
上になるとひびの発生はほとんど見られない。なお、幅
Sが3mm以上になるとひびの発生は全くなかった。こ
のように、面取り幅hが0.5mm以下の下パンチ24
を有する粉末成形装置10を用いれば、幅Sをさらに小
さくできる。したがって、上パンチ26と下パンチ24
との最接近時の最短距離、すなわち上パンチ26の端部
108と下パンチ24の凸部74との最接近時の隙間を
1.7mm以上とすることができる。因みに、側面96
の幅Sが1.7mmの成形体88を焼結して得られる焼
結体では、側面の幅が1.45mmになる。なお、下パ
ンチ24の凸部74は、パンチ面70の長手方向の少な
くとも一部に形成されればよい。また、上パンチおよび
下パンチの少なくともいずれか一方の面取り幅hが0.
05mm以下であればよい。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、希土類合金粉末の流
動性が向上するので、圧縮成形時に、希土類合金粉末は
密度の低い部分に移動する。したがって、均一な密度の
成形体を得ることができ、密度の不均一から生じるひび
や割れの発生を防止できる。また、成形体の側面におけ
る密度の極度の上昇を抑制することができ、他の部分と
の密度差を小さくできる。その結果、成形体の側面で生
じるひびや割れの発生を低減できる。したがって、ひび
や割れによる不良発生が少ない焼結体が得られ、そのよ
うな焼結体を用いることによって、品質が安定したボイ
スコイルモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の粉末成形装置を示す図
解図である。
【図2】図1の実施形態で用いられる上下パンチを示す
要部斜視図である。
【図3】下パンチのパンチ面の凸部の一例を示す要部側
面図である。
【図4】図1の実施形態の動作の一例を示す図解図であ
る。
【図5】金型における粉末の圧縮状態を説明するための
要部図解図である。
【図6】成形体の一例を示す斜視図である。
【図7】面取り幅hとひび発生率との関係を示すグラフ
である。
【図8】面粗度Raとひび発生率との関係を示すグラフ
である。
【図9】下パンチのパンチ面の凸部の変形例を示す要部
側面図である。
【図10】この発明の他の実施形態における上下パンチ
の最接近時の状態を示す要部側断面図である。
【図11】寸法比S/Hとひびの数との関係を示すグラ
フである。
【図12】側面の幅Sとひびの数との関係の一例を示す
グラフである。
【図13】側面の幅Sとひびの数との関係の他の例を示
すグラフである。
【図14】従来技術における金型の圧縮前の状態を示す
要部側断面図である。
【図15】従来技術における上下パンチの最接近時の状
態を示す要部側断面図である。
【図16】従来の成形体を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 粉末成形装置 18 金型 20 貫通孔 22 ダイ 24、106 下パンチ 26 上パンチ 27 キャビティ 34 粉末 64 ポールピース 66 コイル 70、86 パンチ面 72、74 凸部 78 先端 88 成形体 90 上面 92 下面 94 傾斜面 96 側面 100、108 端面 G 隙間 h 面取り幅 H 高さ Ra 面粗度 S 幅 S/H 寸法比
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 41/02 H01F 41/02 G (56)参考文献 特開 昭59−166601(JP,A) 特開 平9−150298(JP,A) 特開 平10−15696(JP,A) 特開 平4−218903(JP,A) 特開 昭62−40050(JP,A) 特開2000−254907(JP,A) 特開 平5−217735(JP,A) 実開 昭59−37724(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B30B 11/02 B22F 3/00 B22F 3/035 B30B 11/00 H01F 41/02 H01F 7/02

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類合金粉末を圧縮成形するための粉
    末成形装置であって、 キャビティが形成される貫通孔を有するダイ、 前記貫通孔内を移動可能であり、前記キャビティ内の前
    記希土類合金粉末を圧縮するためのパンチ面を含み、前
    記パンチ面はその端部に凸部を有しかつ前記凸部は面取
    り幅が0.5mm以下の先端を有するパンチ、および前
    記キャビティ内の前記希土類合金粉末に対して、前記パ
    ンチによって圧縮される方向に垂直な方向かつ前記凸部
    の長手方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加する
    ための配向手段を備える、粉末成形装置。
  2. 【請求項2】 希土類合金粉末を圧縮成形するための粉
    末成形装置であって、 キャビティが形成される貫通孔を有するダイ、 前記貫通孔内を移動可能であり、前記キャビティ内の前
    記希土類合金粉末を圧縮するためのパンチ面を含み、前
    記パンチ面は凸部を有しかつ前記凸部は面粗度Raが
    1.0μm以下となる斜面を有するパンチ、および前記
    キャビティ内の前記希土類合金粉末に対して、前記パン
    チによって圧縮される方向に垂直な方向かつ前記凸部の
    長手方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加するた
    めの配向手段を備える、粉末成形装置。
  3. 【請求項3】 希土類合金粉末を圧縮するためのパンチ
    面の端部に凸部を有しかつ前記凸部は面取り幅が0.5
    mm以下の先端を有するパンチと、前記パンチが挿入さ
    れる貫通孔を有するダイとを用いる粉末成形方法であっ
    て、 前記貫通孔に形成されるキャビティ内に前記希土類合金
    粉末を充填する第1ステップ、および前記キャビティに
    充填された前記希土類合金粉末に対して、前記パンチに
    よって圧縮される方向に垂直な方向かつ前記凸部の長手
    方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加し、前記希
    土類合金粉末を前記パンチを用いて圧縮する第2ステッ
    プを備える、粉末成形方法。
  4. 【請求項4】 希土類合金粉末を圧縮するためのパンチ
    面が凸部を有しかつ前記凸部は面粗度Raが1.0μm
    以下となる斜面を有するパンチと、前記パンチが挿入さ
    れる貫通孔を有するダイとを用いる粉末成形方法であっ
    て、 前記貫通孔に形成されるキャビティ内に前記希土類合金
    粉末を充填する第1ステップ、および前記キャビティに
    充填された前記希土類合金粉末に対して、前記パンチに
    よって圧縮される方向に垂直な方向かつ前記凸部の長手
    方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加し、前記希
    土類合金粉末を前記パンチを用いて圧縮する第2ステッ
    プを備える、粉末成形方法。
  5. 【請求項5】 前記希土類合金粉末に潤滑剤が添加され
    ている、請求項3または4に記載の粉末成形方法。
  6. 【請求項6】 前記希土類合金粉末が急冷法によって製
    造されている、請求項3または4に記載の粉末成形方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第2ステップによる圧縮後の成形体
    密度が3.90g/cm3〜4.60g/cm3とされ
    る、請求項3または4に記載の粉末成形方法。
  8. 【請求項8】 前記パンチを含む一対の上下パンチを有
    し、前記第2ステップでは、前記上パンチと前記下パン
    チとの最接近時における最短距離が1.7mm以上とさ
    れる、請求項3または4に記載の粉末成形方法。
  9. 【請求項9】 貫通孔を有するダイと一対の上下パンチ
    とを含み、前記上下パンチのうち少なくともいずれか一
    方が希土類合金粉末を圧縮するためのパンチ面の端部に
    凸部を有する、金型を用いる粉末成形方法であって、 前記貫通孔に形成されるキャビティ内に前記希土類合金
    粉末を充填する第1ステップ、および前記キャビティに
    充填された前記希土類合金粉末に対して、前記パンチに
    よって圧縮される方向に垂直な方向かつ前記凸部の長手
    方向に0.5MA/m以上の配向磁界を印加し、前記希
    土類合金粉末を前記上下パンチを用いて圧縮する第2ス
    テップを備え、 前記第2ステップでは、前記上パンチと前記下パンチと
    の最接近時における最短距離が1.7mm以上とされ
    る、粉末成形方法。
  10. 【請求項10】 請求項3または4に記載の粉末成形方
    法によって製造される、成形体。
  11. 【請求項11】 希土類合金粉末の成形体であって、 凸状に形成される一方主面、 凹状に形成される他方主面、 前記他方主面の端部から形成される傾斜面、および前記
    一方主面と前記傾斜面との間に1.7mm以上の幅を有
    して形成される側面を備え、 前記希土類合金粉末が前記成形体の長手方向に配向され
    た、成形体。
  12. 【請求項12】 希土類合金粉末の成形体であって、 凸状に形成される一方主面、 凹状に形成される他方主面、 前記他方主面の端部から形成される傾斜面、および前記
    一方主面と前記傾斜面との間に形成される側面を備え、 前記一方主面の最上部までの高さをH、前記側面の幅を
    Sとすると、S/Hが0.15以上とされ、かつ前記希
    土類合金粉末が前記成形体の長手方向に配向された、成
    形体。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の成形体を焼結して
    得られる焼結体であって、 凸状に形成される一方主面、 凹状に形成される他方主面、 前記他方主面の端部から形成される傾斜面、および前記
    一方主面と前記傾斜面との間に1.45mm以上の幅を
    有して形成される側面を備える、焼結体。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の成形体を焼結して
    得られる焼結体であって、 凸状に形成される一方主面、 凹状に形成される他方主面、 前記他方主面の端部から形成される傾斜面、および前記
    一方主面と前記傾斜面との間に形成される側面を備え、 前記一方主面の最上部までの高さをH、前記側面の幅を
    Sとすると、S/Hが0.15以上とされる、焼結体。
  15. 【請求項15】 請求項13に記載の焼結体を用いた、
    ボイスコイルモータ。
  16. 【請求項16】 請求項14に記載の焼結体を用いた、
    ボイスコイルモータ。
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