JP4388209B2 - 光半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトダイオード・CCDセンサー・CMOSセンサー等の光半導体素子収納用パッケージに関するものであり、特に受光エリア以外の部分に周辺回路を形成して1チップ化した半導体素子を搭載する、あるいは複数の半導体素子を単一基体上に搭載してモジュール化するのに好適な光半導体素子収納用パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フォトダイオード・光センサー等に代表される光半導体素子は受光感度が高くなり、かつこれら光半導体素子を搭載して成る装置に要求される受光精度も厳しいものとなってきている。
【0003】
また、光半導体素子の受光エリア以外の部分に信号処理を行う周辺回路を形成して1チップ化することによるチップの多機能化も進んできている。
【0004】
このような光半導体素子を搭載する光半導体素子収納用パッケージは、一般に酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・窒化珪素質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面中央部に半導体素子を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、略中央部に光を透過する開口を有する金属枠体の開口に透光性板材を接合して成る蓋体とから構成されている。
【0005】
また、蓋体は、例えば光信号として紫外線領域の光が使用される場合、透光性板材としてサファイヤガラスを用い、このサファイヤガラスとFe−Ni−Co合金から成り表面に防錆のためのニッケルめっきを施した金属枠体とをFe−Ni−Co合金製のシール部材を介して溶接することにより形成される。
【0006】
なお、サファイヤガラスを金属枠体に溶接する場合、両者の接合を良好とするためにあらかじめサファイヤガラスの金属枠体との接合部に金属膜を形成することが行われている。
【0007】
また、透光性板材は、光半導体素子が多くの光を得られるように高い光透過率特性が求められるため、通常その表面には反射防止膜が被着形成されている。
【0008】
しかしながら、このような透光性板材は反射防止膜を形成することにより光の反射を防止して光透過率を高めることは可能であるが、サファイヤガラス自体の光吸収による光透過率の低下が避けられず、入射光が減衰してしまい、良好な光の受信ができないという問題点を有していた。
【0009】
他方、このような問題点を解決するために、サファイヤガラスに変えてより光透過率の高い石英ガラスを透光性板材として用いる方法が提案されている。
【0010】
しかしながら、石英ガラスはシール部材を介して溶接を行った場合、割れてしまうという問題点を有していた。これは、金属枠体として用いるFe−Ni−Co合金の熱膨張係数(4.8×10-6/℃)に対して石英ガラスの熱膨張係数(0.5×10-6/℃)が非常に小さい為に、石英ガラスが両者の溶接後の熱収縮差により発生する応力を吸収しきれずに破壊してしまうためである。
【0011】
このため、表面にニッケルめっきを施した金属枠体と石英ガラスとを耐熱性・耐湿性に優れるエポキシ樹脂系接着剤を介して接合することが新たに提案されている。この提案によれば、低弾性率のエポキシ樹脂系接着剤が、透光性板材と金属枠体との接合時はもちろんのこと、その後の絶縁基体との接合時や、基板への2次実装時に加えられる熱、さらには光半導体素子の作動時に発生する熱によって生ずる部材間の応力を緩和し、石英ガラスが破壊するのを有効に防止できるというものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような石英ガラスをエポキシ樹脂系接着剤を介して金属枠体と接着することにより構成される蓋体においては、透光性板材である石英ガラスとエポキシ樹脂系接着剤との接合では水素結合により良好な接合強度が得られるのに対し、金属枠体のニッケルめっき層とエポキシ樹脂系接着剤との接合ではニッケルめっき層表面の凹凸による投錨効果のみの接合となることから、金属枠体とエポキシ樹脂系接着剤の接合強度は非常に弱いものとなり、光半導体素子が作動する際に発生する熱によって熱膨張係数の異なる金属枠体と石英ガラスとの間に大きな応力が発生し、その結果、両者の接合が破壊される、あるいは気圧の変化等により金属枠体部分が変形した場合に石英ガラスが容易に外れてしまうという問題点を有していた。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、金属枠体と透光性板材との密着が良好で、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、略中央部に光半導体素子を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、絶縁基体の上面に接合される、開口に透光性板材がエポキシ樹脂系接着剤を介して接合された金属枠体とから成る光半導体素子収納用パッケージであって、透光性板材が接合される金属枠体の表面に原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのSiO2層を設けており、エポキシ樹脂系接着剤が、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂にその熱硬化性樹脂よりも弾性率が低い有機材料粉末を含有させて、弾性率の値を0.1〜3GPaとしたものであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、透光性板材が接合される金属枠体の表面に原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのSiO2層を設けたことから、SiO2層とエポキシ樹脂系接着剤との接合は水素結合により強固なものとなるとともに、エポキシ樹脂系接着剤に含有されるエポキシ樹脂の分子の大きさに対し、金属枠体に設けたSiO2層表面の凹凸が良好な投錨効果を得るのに好適に働き、金属枠体と透光性板材との接合がより強固なものとなり、その結果、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0017】
また、本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、エポキシ樹脂系接着剤は、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂にその熱硬化性樹脂よりも弾性率が低い有機材料粉末を含有させて弾性率の値を0.1〜3GPaとしたことから、金属枠体と透光性板材との間に発生する応力をエポキシ樹脂系接着剤により良好に吸収することができ、金属枠体とエポキシ樹脂系接着剤との界面および透光性板材とエポキシ樹脂系接着剤との界面に応力歪みが残留し難くなり、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光半導体素子収納用パッケージを図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の光半導体素子収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、1は絶縁基体、2は配線導体層、3は金属枠体4・SiO2層5・透光性板材6・エポキシ樹脂系接着剤7から成る蓋体、8はシールリングであり主にこれらで本発明の光半導体素子収納用パッケージが構成される。
【0020】
絶縁基体1は、その上面の略中央部に光半導体素子9を搭載するための凹状の搭載部1aが設けてあり、この搭載部1aには光半導体素子9がガラス・樹脂・ろう材等から成る接着剤を介して接着固定される。
【0021】
絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体やムライト質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・窒化珪素質焼結体・炭化珪素質焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形法を採用しシート状にしてセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって製作される。
【0022】
また、絶縁基体1には、搭載部1aの底面から下面にかけて複数個の配線導体層2が被着形成されており、この配線導体層2の搭載部1aの底面部には光半導体素子9の各電極がボンディングワイヤ10を介して電気的に接続され、また、絶縁基体1の下面に導出された部位には外部電気回路(図示せず)が半田等の接続部材を介して電気的に接続される。
【0023】
配線導体層2は、光半導体素子9の各電極を外部電気回路に電気的に接続する際の導電路として作用し、タングステン・モリブデン・マンガン等の高融点金属により形成されている。
【0024】
配線導体層2は、例えばタングステン・モリブデン・マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤・溶媒・可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等の厚膜手法を採用して絶縁基体1となるセラミックグリーンシートにあらかじめ印刷塗布・穴埋めしておき、これをセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって絶縁基体1の搭載部1aの近傍から下面にかけて所定パターンに被着形成される。
【0025】
なお、配線導体層2は、その表面にニッケル・金等の良導電性で耐蝕性およびろう材との濡れ性が良好な金属をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくと、配線導体層2の酸化腐蝕を有効に防止することができるとともに配線導体層2とボンディングワイヤ10との接続および配線導体層2と外部電気回路の配線導体との半田付けを強固となすことができる。したがって、配線導体層2の酸化腐蝕を防止し、配線導体層2とボンディングワイヤ10との接続および配線導体層2と外部電気回路の配線導体との半田付けを強固となすには、配線導体層2の表面にニッケル・金等をめっき法により1〜20μmの厚みに被着させておくことが好ましい。
【0026】
さらに、絶縁基体1の上面には、搭載部1aを取り囲むようにしてタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成る枠状のメタライズ層(図示せず)が被着形成されており、そして、このメタライズ層の上面に銀ろう等のろう材(図示せず)を介して、枠状のシールリング8が被着形成されている。このようなメタライズ層は、配線導体層2と同様に、絶縁基体1となるセラミックグリーンシートの所定の位置にあらかじめタングステン・モリブデン・マンガン等の高融点金属粉末に適当な有機溶剤・溶媒・可塑剤等を添加混合して得た金属ペーストを印刷・塗布しておき、これをセラミックグリーンシートと同時に焼成することにより絶縁基体1上面に枠状に被着形成される。
【0027】
シールリング8は、例えばFe−Ni−Co合金等の金属から成り、メタライズ層の形状に対応した枠状であり、蓋体3を絶縁基体1に溶接するための下地金属部材として機能する。このようなシールリングは、例えばFe−Ni−Co合金からなる場合には、所定の厚みに圧延されたFe−Ni−Coから成る合金板材を従来周知の打ち抜き加工方法あるいは化学エッチング方法を採用することにより、枠状に形成される。
【0028】
また、シールリング8の上には、蓋体3が載置され、これらを例えばシームウエルド法を採用して溶接することによりシールリング8の上に蓋体3が接合される。
【0029】
蓋体3は、金属枠体4とSiO2層5と透光性板材6とエポキシ樹脂系接着剤7とから構成されており、光半導体素子9を気密に保護する機能を有する。
【0030】
金属枠体4は、開口11を有しており、この開口11外周の透光性板材6が接合される表面にSiO2層5が形成され、このSiO2層5にエポキシ樹脂系接着剤7を介して透光性板材6が接合されている。
【0031】
金属枠体4は、透光性板材6を所定の位置に固定するとともに、光半導体素子9に不要な光を遮蔽する機能を有し、通常Fe−Niを含む金属材料から成る。
【0032】
金属枠体4は、例えばFe−Ni−Co合金からなる場合、所定の厚さに圧延されたFe−Ni−Coから成る合金板材を従来周知の打ち抜き加工方法あるいは化学エッチング方法を採用することにより枠状に成形され、さらに、表面には防錆のためにニッケルめっき層が形成されている。
【0033】
なお、めっき層は、金属枠体4の腐食防止の観点からはニッケルめっき層のみで充分な効果が得られるが、金めっき層やクロムめっき層あるいはこれらを複層にした形態も可能である。
【0034】
金属枠体4の開口11外周の透光性板材6が接合される表面のSiO2層5は、真空蒸着法・スパッタリング法・イオンプレーティング法・ゾルゲル法等を用いることにより幅が0.1〜10mm、厚みが0.05〜3μmの範囲の枠状に被着形成されており、金属枠体4とエポキシ樹脂系接着剤7を強固に接合する機能を有する。
【0035】
本発明の光半導体素子収納用パッケージでは、金属枠体4の開口11外周の透光性板材6が接合される側の表面にSiO2層を被着形成するとともに、このSiO2層5の表面を原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのものとすることが重要である。
【0036】
透光性板材6が接合される金属枠体4の開口11外周の表面に原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのSiO2層5を設けたことにより、SiO2層5とエポキシ樹脂系接着剤7との接合は水素結合により強固なものとなるとともに、エポキシ樹脂系接着剤7に含有されるエポキシ樹脂の分子の大きさに対し、金属枠体4に設けたSiO2層5表面の凹凸が良好な投錨効果を得るのに好適に働き、金属枠体4と透光性板材6との接合強度がより強固なものとなり、その結果、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0037】
なお、SiO2層5の表面を原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2nm未満であると、エポキシ樹脂分子が表面の凹凸に良好に入り込むことができず、良好な投錨効果が得られない傾向がある。また、Raが25nmを超えると、エポキシ樹脂分子に対して表面の凹凸が大きすぎるものとなり、良好な投錨効果が得られない傾向がある。したがって、SiO2層5の表面を原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaを2〜25nmの範囲とすることが好ましい。
【0038】
このような表面は、例えばスパッタリング法の場合、真空度が約10-4Pa、温度が約180〜310℃の条件で0.5〜3時間処理することにより、層厚みが0.05〜3μmの範囲で原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmの表面を得ることができる。
【0039】
なお、SiO2層5の幅が0.1mm未満であると、SiO2層5とエポキシ樹脂系接着剤7との接合面積が小さなものとなり金属枠体4と透光性板材6との接合が弱く、透光性板材6が金属枠体4から外れ易くなる傾向があり、また、10mmを超えると弾性率の高い透光性板材6が弾性率の低い金属枠体6の動きを抑制し、外力に対する金属枠体6の弾性変形を阻害し、塑性変形を起こし易い傾向がある。SiO2層5の厚みが0.05μm未満の場合は、SiO2層5が均一に成膜されず、ピンホールが発生し易くなる傾向があり、さらに、3μmを超える場合は、金属枠体4が変形した際にSiO2層5が金属枠体4の変形に追随できずにSiO2層5にクラックが発生したりSiO2層5が金属枠体4から剥がれ易くなる傾向がある。したがって、SiO2層5は、幅を0.1〜10mm、厚みを0.05〜3μmの範囲とすることが好ましい。
【0040】
また、SiO2層5の上には、エポキシ樹脂系接着剤7を介して透光性板材6が接合される。
【0041】
透光性板材6は、光半導体素子9を気密に保護し、外部からの光を効率よく光半導体素子9に伝達する機能を有し、受光波長領域に応じてホウケイ酸ガラス・サファイヤガラス・石英ガラス等の無機材料やアクリル系樹脂・ポリエチレン系樹脂等の有機材料を用いて形成される。
【0042】
透光性板材6は、例えば石英ガラスを用いる場合、石英ガラスブロックを任意の厚みに切断した後表面を研磨し、所定の厚みにしたものをスライシング法・ダイシング法等を採用して、所定の寸法に切断することにより形成される。
【0043】
なお、透光性板材6は、高い光透過率を得るという観点からは石英ガラスが好ましいが、使用目的によりホウケイ酸ガラス・サファイヤガラス等の無機材料やアクリル系樹脂・ポリエチレン系樹脂等の有機材料を用いて形成してもよい。
【0044】
金属枠体4と透光性板材6との接合は、SiO2層5を被着した金属枠体4と、金属枠体4との接合部にエポキシ樹脂系接着剤7を塗布した透光性板材6とを、SiO2層5とエポキシ樹脂系接着剤7とを対向させ載置した後約110℃の温度で60〜90分間加圧加熱することにより行われる。
【0045】
なお、接合の際の残留応力を低減するという観点からは、約110℃の低温度での加熱が好ましいが、90〜250℃の温度で加熱してもよい。
【0046】
エポキシ樹脂系接着剤7は、透光性板材6と金属枠体4との接合時はもちろんのこと、その後の絶縁基体1との接合時や、基板への2次実装時に加えられる熱、さらには光半導体素子の作動時に発生する熱によって生ずる部材間の応力を緩和し、石英ガラスが破壊するのを有効に防止する機能を有する。
【0047】
このようなエポキシ樹脂系接着剤7は、耐湿性あるいは接合強度の観点から緻密な3次元網目構造を有するエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂・ビスフェノールF型エポキシ樹脂・フェノールノボラック型エポキシ樹脂・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂・特殊ノボラック型エポキシ樹脂・フェノール誘導体エポキシ樹脂・ビフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系・アミン系・リン系・ヒドラジン系・イミダゾールアダクト系・アミンアダクト系・カチオン重合系・ジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもので形成されている。
【0048】
なお、2種類以上のエポキシ樹脂を混合して用いてもよく、耐湿性あるいは接合強度の観点からは熱硬化性樹脂が好ましいが、紫外線硬化性エポキシ樹脂でも接合可能である。
【0049】
また、本発明では、エポキシ樹脂系接着剤7は、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂にその熱硬化性樹脂よりも弾性率が低い有機材料粉末を含有させて、弾性率を0.1〜3GPaの範囲とする。
【0050】
エポキシ樹脂系接着剤7は、その弾性率の値を0.1〜3GPaの範囲としたことから、金属枠体4と透光性板材6との間に発生する応力をエポキシ樹脂系接着剤7により良好に吸収することができ、金属枠体4とエポキシ樹脂系接着剤7との界面および透光性板材6とエポキシ樹脂系接着剤7との界面に応力歪みが残留し難くなり、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0051】
このような有機材料粉末としては、シリコンゴムやシリコンレジン・LDPE・HDPE・PMMA・架橋PMMA・ポリスチレン・架橋ポリスチレン・エチレン−アクリル共重合・ポリメタクリル酸エチル・ブチルアクリレート・ウレタン等の軟質微粒子が好ましい。
【0052】
なお、エポキシ樹脂系接着剤7は、その弾性率が0.1GPa未満であると、機械的応力が透光性板材6に加わった際にエポキシ樹脂系接着剤7が歪み、所定の位置に透光性板材6を保持することが困難となる。また、弾性率が3GPaを超えると、光半導体素子収納用パッケージに落下等の大きな衝撃が加わった際に生じる応力を吸収できず、透光性板材6が金属枠体4から外れてしまう。したがって、エポキシ樹脂系接着剤7は、その弾性率を0.1〜3GPaの範囲とする。
【0053】
かくして上述の光半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体1の搭載部1a底面に光半導体素子9をガラス・樹脂・ろう材等から成る接着剤を介して接着固定するとともに光半導体素子9の各電極をボンディングワイヤ10により配線導体層2に接続させ、しかる後、接合面にSiO2層5を設けた金属枠体4と透光性板材6とをエポキシ樹脂系接着剤7を介して接続して形成した蓋体3を、シールリング8を介して絶縁基体1に接合することによって最終製品としての光半導体装置が完成する。
【0054】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば図2に断面図で示すように、透光性板材6をキャビティ側に設置してもよい。また、絶縁基体1と金属枠体4とをシールリング8を介さずに熱硬化性樹脂接着剤により接合してもよい。
【0055】
また、本発明の効果は透光性板材4として石英ガラスを用いた場合にのみ発揮されるものではなく、ホウケイ酸ガラス・サファイヤガラス等においても同様に高い接合信頼性を得ることが可能である。
【0056】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、透光性板材が接合される金属枠体の表面に原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのSiO2層を設けたことから、SiO2層とエポキシ樹脂系接着剤と接合は水素結合により強固なものとなるとともに、エポキシ樹脂系接着剤に含まれるエポキシ樹脂の分子の大きさに対し、金属枠体に設けたSiO2層表面の凹凸が良好な投錨効果を得るのに好適に働き、金属枠体と透光性板材との接合強度がより強固なものとなり、その結果、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【0057】
また、本発明の光半導体素子収納用パッケージによれば、エポキシ樹脂系接着剤は、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂にその熱硬化性樹脂よりも弾性率が低い有機材料粉末を含有させて弾性率の値を0.1〜3GPaとしたことから、金属枠体と透光性板材との間に発生する応力をエポキシ樹脂系接着剤により良好に吸収することができ、金属枠体とエポキシ樹脂系接着剤との界面および透光性板材とエポキシ樹脂系接着剤との界面に応力歪みが残留し難くなり、気密信頼性の高い光半導体素子収納用パッケージとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体素子収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の光半導体素子収納用パッケージの他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・絶縁基体
1a・・・・・・搭載部
2・・・・・・・・導体配線層
3・・・・・・・・蓋体
4・・・・・・・・金属枠体
5・・・・・・・・SiO2層
6・・・・・・・・透光性板材
7・・・・・・・・エポキシ樹脂系接着剤
8・・・・・・・・シールリング
9・・・・・・・・光半導体素子
10・・・・・・・・ボンディングワイヤ
11・・・・・・・・開口
Claims (1)
- 略中央部に光半導体素子を搭載するための凹部を有する絶縁基体と、該絶縁基体の上面に接合される、開口に透光性板材がエポキシ樹脂系接着剤を介して接合された金属枠体とから成る光半導体素子収納用パッケージであって、前記透光性板材が接合される前記金属枠体の表面に原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが2〜25nmのSiO2層を設けており、前記エポキシ樹脂系接着剤が、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂に該熱硬化性樹脂よりも弾性率が低い有機材料粉末を含有させて、弾性率の値を0.1〜3GPaとしたものであることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
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