JP4385153B2 - チップ形コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、プリント基板等に面実装されるチップ形コンデンサ、特には縦型のチップ形コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来において、これら縦型のチップ形コンデンサとしては、特開昭59−211011号等に提案されているように、コンデンサ本体に絶縁板を装着することで自立可能とし、面実装に対応可能としたものがある。これら従来のチップ形コンデンサは、加熱、加圧を伴うモ−ルド加工をする必要がないため、コンデンサ素子の特性劣化を生じることなく縦型のチップ形コンデンサを形成でき、高い実用性を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の縦型チップ形コンデンサにおいては、図6に示すように、コンデンサ01を自立可能とするために、絶縁板02の下面(実装面)に沿って折曲げ配置されるリ−ド端子03を、潰し加工等により平状として接続電極としており、これら薄肉の平状とされた部分において折曲げ加工が成されていることから、コンデンサ01に振動が加わると、その負荷がリード端子03の折曲げ加工された部分に集中し、該折曲げ部が破断して動作不能となってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンデンサ本体に振動が加わっても、この振動によるリード端子と接続端子との破断を防止することのできるチップ形コンデンサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明のチップ形コンデンサは、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納して該外装ケ−スの開放端を封口部材により封口するとともに、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体と、前記リード端子と電気的に接続され、かつ実装基板との接続がなされる接続端子をその下面に沿って有し、前記コンデンサ本体の封口端に当接して配置される絶縁板と、から構成されるチップ形コンデンサであって、前記絶縁板には前記封口部材より露出したリード端子を挿通可能な少なくとも1つの挿通孔が設けられ、前記接続端子には前記絶縁板の下面とほぼ平行方向に延びるスリットが設けられ、前記接続端子の少なくとも前記スリットの形成されているスリット部が、接続端子を挿通孔の内方向に折曲げ配置することにより形成されるとともに、前記挿通孔の内壁に沿った接続端子の折曲げ部が該内壁に当接され、前記スリットに前記リード端子が嵌入されて成ることを特徴としている。
この特徴によれば、従来のようなリード端子の折曲げ部がなく、加振時においても、これらリード端子の折曲げ部における破断を防止できるとともに、コンデンサ本体と絶縁板とが一体に固定され、コンデンサ本体を安定的に自立させることができ、しかもスリット部の嵌入方向への移動を規制して、嵌入を容易に行うことができる。
【0006】
本発明のチップ形コンデンサは、前記スリット部が弾性変形可能な金属板にて形成され、前記スリットの離間幅が前記リード端子の直径よりも幅狭に形成されて成ることが好ましい。
このようにすれば、リード端子がスリットを外方に弾性変形させながら嵌入され、スリットの弾性反発力によりリード端子がより一層強固に挟持されるため、リード端子と接続端子との接続部における信頼性を向上できる。
【0007】
本発明のチップ形コンデンサは、前記各極の接続端子におけるスリットの開口が、前記絶縁板の下面とほぼ平行方向において互いに対向する位置に形成されていることが好ましい。
このようにすれば、リード端子のスリットへの嵌入時において、各極のリード端子の嵌入方向が互いに反対方向となり、コンデンサ本体の回転等のずれが抑止された状態にてリード端子の嵌入が可能となるため、該嵌入を容易に行うことができる。
【0009】
本発明のチップ形コンデンサは、前記スリット部とスリットに嵌入されたリード端子とが溶接されて成ることが好ましい。
このようにすれば、スリット部とリード端子とが溶接されることにより、リード端子と接続端子とがより一層強固に固定される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0011】
(実施例)
図1は本発明の実施例におけるチップ形コンデンサ1を下方から見た外観斜視図、図2は図1のI−I断面図をそれぞれ示す。
【0012】
本実施例のチップ形コンデンサ1は、図1に示すような外観形状を有しており、内部にコンデンサ素子8を収容するアルミ製外装ケ−ス3の開口部を封口する封口部材4を貫通して導出されたリード端子5を有するコンデンサ本体2と、前記リード端子5が導出されたコンデンサ本体2の封口端面に上面が当接するように配設される絶縁板6と、から主に構成されており、この絶縁板6の下面である実装面6fにはインサート成形された接続端子7が形成されている。
【0013】
本実施例に用いたコンデンサ本体2は、図1、2に示すように、有底円筒状のアルミ製外装ケ−ス3内部にコンデンサ素子8を収納し、その開放端部に封口部材4を挿着した後、外装ケース3における外周側面の下部近傍を加締めることで封口部材4が係止されるようになっている。この封口部材4を貫通するようにリード端子5が設けられており、その端部がコンデンサ素子8より導出されたタブ9に溶接にて接続されている。
【0014】
コンデンサ素子8には、アルミニウム等の弁金属からなる陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて、巻回して形成され、電解液が含浸されたものや、電解質として固体の二酸化マンガン層をアルミニウム等の弁金属からなる陽極箔と陰極箔との間に形成した、固体電解コンデンサ素子等を用いることができる。
【0015】
絶縁板6は、図1に示すように、所定厚みの電気絶縁性を有する樹脂製とされ、上面視略方形で、かつその隣り合う1組の角に切欠き6dが形成されている。
【0016】
このように、絶縁板6の上面視形状を略方形に形成することは、得られるチップ形コンデンサ1の基板への実装面積を小さくできることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、上面視多角形状のものや上面視円形状としても良く、これら絶縁板6の形状は適宜選択すれば良い。
【0017】
また、絶縁板6に切欠き6dを形成すると、チップ形コンデンサ1を基板へ実装する際に、リード端子5の極性が目視にて容易に判別できることから好ましいが、これら切欠き等を設けずとも良い。
【0018】
また、本実施例では絶縁板6の材質として、実装時の半田付けにおける加熱に耐え得る耐熱性と電気絶縁性を有する樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミックスやガラス等の無機材質や、これら複数の材質の複合体としても良く、十分な絶縁性を有するものであれば使用することができる。
【0019】
絶縁板6には、図2、図3に示すように、コンデンサ本体2との当接面から実装面6fに貫通し、コンデンサ本体2の両極から導出された各々のリード端子5が接触することなく挿通可能な挿通孔6cが形成されている。
【0020】
絶縁板6の実装面6fには、挿通孔6cから両側の外側端部にかけて弾性変形可能な金属製の接続端子7がインサート成形により形成されている。
【0021】
これら接続端子7は、図2に示すように、実装面6fと面一となるように露出して実装時に基板に接続されることとなる接続部7aと、この接続部7aの一端から挿通孔6cの内壁6eに当接するように上方に折曲げ成形された折曲げ部7cと、この折曲げ部7cの先端からさらに挿通孔6c内に突出するように折曲げ成形されたスリット部7bとから構成されている。
【0022】
これら各極の接続端子7に形成されたスリット部7bの先端には、図3に示すように、互いにその開口が対向する状態となるようにリード端子5を嵌入可能なスリット7dが形成されているとともに、折曲げ部7c側の端部が絶縁板6に担持されるようになっている。
【0023】
また、スリット7dの離間幅は、リード端子5の直径よりも若干幅狭に形成されているとともに、スリット7dは、その開口部近傍がテーパ状に拡がるように形成されている。
【0024】
このように本実施例では、接続端子7が絶縁板6の実装面にインサート成形されており、接続端子7が絶縁板6に一体に固定されていることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁板6を成形した後に接続端子7を取付けるようにしても良い。
【0025】
また、折曲げ部7cが挿通孔6cの内壁6eに当接するように形成されており、リード端子5のスリット7dへの嵌入時において、折曲げ部7cが内壁6eに支持されることで、スリット部7bの嵌入方向への移動が規制され、嵌入を容易に行うことができることから好ましい。
【0026】
さらに、スリット部7bの折曲げ部7c側の端部は絶縁板6に担持されており、スリット部7bの変形が抑止されるため、例えば、リード端子5の嵌入時におけるスリット部7bの過度の変形が抑止されることで、リード端子5の嵌入も行い易くなるばかりか、搬送時等において不意な外力が加わっても、スリット部7bが不良になることを防止できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、特にスリット部7bが絶縁板6に担持されていなくても良い。
【0027】
また、スリット部7bは、折曲げ部7cを介して挿通孔6cの内方となる高さ位置に形成されており、リード端子5の先端部がスリット部7bから突出していても、この突出している部分が挿通孔6cに収容されて絶縁板6の実装面6fに突出することがないため、チップ形コンデンサ1を安定的に自立させることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリット部7bが実装面6fと面一に形成されていても良い。
【0028】
また、スリット7dは、その開口が互いに対向する状態となるように形成されており、リード端子5の嵌入時において、各極のリード端子5の嵌入方向が互いに反対方向となり、コンデンサ本体2の回転等のずれが抑止された状態にてリード端子5の嵌入が可能となるため、これら嵌入を容易に行うことができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、リード端子5を実装面6fに対しほぼ平行方向に嵌入できれば良く、例えば図5に示すチップ形コンデンサ1”のように、スリット部7b”に形成されたスリット7d”の開口が互いに対向していなくとも良い。
【0029】
また、スリット7dの離間幅は、リード端子5の直径よりも若干幅狭に形成されており、リード端子5を嵌入した際に、スリット7dが外方に弾性変形し、その弾性反発力によりリード端子5がより一層強固に挟持されることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、リード端子5がスリット7dに、実装面6fに対し水平方向に嵌入され、挟持されるようになっていれば良い。
【0030】
さらに、スリット7dの開口部近傍は、テーパ状に拡がるように形成されており、リード端子5を嵌入し易いことから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリット7dの形状は、リード端子5を嵌入可能に形成されていれば良い。
【0031】
次に、前述のように構成されたコンデンサ本体2と、絶縁板6との組立状況及びリード端子5と接続端子7との接続方法について説明する。
【0032】
まず、図3の仮想線に示すように、絶縁板6の挿通孔6cに、リード端子5を挿通して、コンデンサ本体2の封口端面を絶縁板6に当接するように配置する。
【0033】
次いで、図3に示すように、各々のリード端子5を互いに反対方向で、かつ実装面6fとほぼ平行方向に引っ張り、各々のスリット部7aのスリット7d内に、このスリット7dを外方に弾性変形させるようにして嵌入する。
【0034】
これにより、リード端子5がスリット7dの弾性反発力により強固に挟持され、リード端子5が接続端子7に接続されるとともに、コンデンサ本体2と絶縁板6とが一体に固定される。
【0035】
最後に、リード端子5の絶縁板6の実装面6fから突出している部分を切断し、実装面6fが面一状となるようにして、チップ形コンデンサ1が自立可能となるようにする。
【0036】
以上のように構成された本実施例のチップ形コンデンサ1にあっては、封口部材4より露出した上下方向に延びるリード端子5が、絶縁板6の挿通孔6cに挿通され、絶縁板6の実装面6fに沿って設けられた、接続端子7のスリット部7bに形成されたスリット7dに、絶縁板6の実装面6fとほぼ平行方向に嵌入され、リード端子5がスリット7dに挟持された状態で接続されることで、従来のようなリード端子5の折曲げ部がなく、加振時においてもこれらリード端子5の折曲げ部における破断を防止できる。
【0037】
また、リード端子5がスリット7dに、実装面6fに対しほぼ平行方向に嵌入されているため、加振によりリード端子5の位置が多少ずれてもスリット7dの内部での移動であれば、リード端子5がスリット部に常に挟持された状態が保たれるので、振動に対する耐性が向上する。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0039】
例えば、上記実施例では、1つの挿通孔6cにコンデンサ本体2の両極から導出されたリード端子5を挿通しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4に示すチップ形コンデンサ1’のように、絶縁板6’に一対の挿通孔6c’を形成して、各々にリード端子5を挿通させるようにしても良い。
【0040】
また、スリット部7bは、その先端にスリット7dが形成されているが、図4に示す接続端子7’のように、スリット部7b’にリード端子5が挿通可能な挿通孔7fを形成し、この挿通孔7f内に形成されたスリット部7d’にリード端子5を嵌入するようにしても良い。
【0041】
【発明の効果】
本発明は次の効果を奏する。
【0042】
(a)請求項1の発明によれば、従来のようなリード端子の折曲げ部がなく、加振時においても、これらリード端子の折曲げ部における破断を防止できるとともに、コンデンサ本体と絶縁板とが一体に固定され、コンデンサ本体を安定的に自立させることができ、しかもスリット部の嵌入方向への移動を規制して、嵌入を容易に行うことができる。
【0043】
(b)請求項2の発明によれば、リード端子がスリットを外方に弾性変形させながら嵌入され、スリットの弾性反発力によりリード端子がより一層強固に挟持されるため、リード端子と接続端子との接続部における信頼性を向上できる。
【0044】
(c)請求項3の発明によれば、リード端子のスリットへの嵌入時において、各極のリード端子の嵌入方向が互いに反対方向となり、コンデンサ本体の回転等のずれが抑止された状態にてリード端子の嵌入が可能となるため、該嵌入を容易に行うことができる。
【0046】
(d)請求項4の発明によれば、スリット部とリード端子とが溶接されることにより、リード端子と接続端子とがより一層強固に固定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるチップ形コンデンサを下方からみた外観斜視図である。
【図2】図1のチップ形コンデンサのI−I断面図である。
【図3】図1のチップ形コンデンサの下面図である。
【図4】図1のチップ形コンデンサの変形例を示す下面図である。
【図5】図1のチップ形コンデンサの変形例を示す下面図である。
【図6】従来のチップ形コンデンサを示す下方からみた外観斜視図である。
【符号の説明】
1、1’、1” チップ形コンデンサ
2 コンデンサ本体
3 外装ケース
4 封口部材
5 リード端子
6、6’ 絶縁板
6c、6c’ 挿通孔
6d 切欠き
6e 内壁
6f 実装面
7、7’、7” 接続端子
7a 接続部
7b、7b’、7b”スリット部
7c 折曲げ部
7d、7d’、7d”スリット
7f 挿通孔
8 コンデンサ素子
9 タブ
Claims (4)
- コンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納して該外装ケ−スの開放端を封口部材により封口するとともに、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体と、前記リード端子と電気的に接続され、かつ実装基板との接続がなされる接続端子をその下面に沿って有し、前記コンデンサ本体の封口端に当接して配置される絶縁板と、から構成されるチップ形コンデンサであって、前記絶縁板には前記封口部材より露出したリード端子を挿通可能な少なくとも1つの挿通孔が設けられ、前記接続端子には前記絶縁板の下面とほぼ平行方向に延びるスリットが設けられ、前記接続端子の少なくとも前記スリットの形成されているスリット部が、接続端子を挿通孔の内方向に折曲げ配置することにより形成されるとともに、前記挿通孔の内壁に沿った接続端子の折曲げ部が該内壁に当接され、前記スリットに前記リード端子が嵌入されて成ることを特徴とするチップ形コンデンサ。
- 前記スリット部が弾性変形可能な金属板にて形成され、前記スリットの離間幅が前記リード端子の直径よりも幅狭に形成されて成る請求項1に記載のチップ形コンデンサ。
- 前記各極の接続端子におけるスリットの開口が、前記絶縁板の下面とほぼ平行方向において互いに対向する位置に形成されている請求項1または2に記載のチップ形コンデンサ。
- 前記スリット部とスリットに嵌入されたリード端子とが溶接されて成る請求項1〜3のいずれかに記載のチップ形コンデンサ。
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