JP4864182B2 - チップ形コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、プリント基板等に面実装されるチップ形コンデンサ、特には縦型のチップ形コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来において、これら縦型のチップ形コンデンサとしては、特開昭59−211011号等に提案されているように、コンデンサ本体に絶縁板を装着することで自立可能とし、面実装に対応可能としたものがある。これら従来のチップ形コンデンサは、加熱、加圧を伴うモ−ルド加工をする必要がないため、コンデンサ素子の特性劣化を生じることなく縦型のチップ形コンデンサを形成でき、高い実用性を有する。
【0003】
しかしながら、これら従来の縦型チップ形コンデンサにおいては、コンデンサを自立可能とするために、前記絶縁板の下面(実装面)に沿って折り曲げ配置されるリ−ド端子を、潰し加工等により平状として接続電極としており、これら平状とされた部分において前記折り曲げ加工が成されていることから、コンデンサに振動が加わると、その負荷が前記折り曲げ加工された部分に集中し、リード端子の折り曲げ部が破断して動作不能となってしまうことがあった。
【0004】
このため、これらリード端子の破断を防止する手法として図6に示す実公平2−14196号において提案されているように、突起部05を有する支持部03を絶縁板01に設け、この突起部05と、コンデンサ本体02の下部開口を封口する封口部材を係止する目的で外周側面に形成された横溝04とを嵌合させて、コンデンサ本体02と絶縁板01とを一体化することにより、リード端子06にかかる負荷を低減したものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記横溝04は、コンデンサ本体02の下部開口を封口する封口部材を係止する目的で形成されるため、コンデンサ本体02の比較的下部の位置に形成されることから、コンデンサ本体02は、前記のように比較的下部に位置する横溝04にて支持されるようになり、例えば、コンデンサ本体02が長寸の場合等においては、振動が加わると横溝04を支点として揺動し易く、リード端子06に過剰な負荷が加わって破断する場合があり、これらリード端子06の破断を防止するには不十分であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンデンサ本体に振動が加わっても、この振動によりリード端子に加わる負荷を軽減することで、リード端子の破断を防止することのできるチップ形コンデンサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した問題を解決するために、本発明のチップ形コンデンサは、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納して該外装ケ−スの開放端を封口部材により封口するとともに、外装ケースの外周側面に設けた溝部で封口部材を係止し、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体と、前記リード端子が挿通する挿通孔を備え、前記コンデンサ本体の封口端に当接配置される絶縁板と、から構成されるチップ形コンデンサであって、前記絶縁板に、前記溝部より上方であって、コンデンサ本体の重心位置よりも上方の外周側面において、コンデンサ本体外周側面を挟持する、複数の絶縁板から上方に延びる支持柱を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、前記絶縁板から上方に延びる支持柱が、コンデンサ本体の溝部より上方の外周側面を挟持することになり絶縁板からのアーム長さを効果的に稼げるため、前記コンデンサ本体が前記支持柱に確実に支持され、該コンデンサ本体の横方向の揺動を抑止できるとともに、支持柱がコンデンサ本体の重心位置よりも上方の外周側面を支持するので、振動時におけるコンデンサ本体の揺動の振幅を効果的に低減できるので、リード端子に加わる負荷が軽減され、リード端子の破断を防止できる。
【0008】
本発明のチップ形コンデンサは、前記支持柱を、コンデンサ本体を挟んで対向する位置に設けることが好ましい。
このようにすれば、対向する支持柱間にコンデンサ本体が挟持されるようになるので、コンデンサ本体の揺動をより効果的に抑止できる。
【0009】
本発明のチップ形コンデンサは、前記支持柱は、外方に弾性変形可能とされているとともに、該支持柱の上端が下端よりも内方に位置するように傾斜していることが好ましい。
このようにすれば、各々の支持柱の弾性反発力により、コンデンサ本体がより強固に支持柱間に挟持されるので、コンデンサ本体の揺動をより一層効果的に抑止できる。
【0011】
本発明のチップ形コンデンサは、前記支持柱に、内方へ突出する突起部を形成してなることが好ましい。
このようにすれば、突起部を支持柱に設けることにより、支持柱とコンデンサ本体との間に空隙が形成されるため、コンデンサ本体の放熱性を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0013】
(実施例)
図1は本実施例におけるチップ形コンデンサ1を示す外観斜視図、図2における(a)は、図1のチップ形コンデンサ1のA−A断面図、(b)は、(a)のB−B断面図をそれぞれ示す。
【0014】
本実施例のチップ形コンデンサ1は、図1に示すような外観形状を有しており、内部にコンデンサ素子8を収容するアルミ製外装ケ−ス3の開口部を封口する封口部材4を貫通して導出されたリード端子5を有するコンデンサ本体2と、前記リード端子5が導出されたコンデンサ本体2の封口端面に上面が当接するように配設される絶縁板6とから主に構成されている。
【0015】
本実施例に用いたコンデンサ本体2は、図2(a)、(b)に示すように、有底円筒状のアルミ製外装ケ−ス3内部にコンデンサ素子8を収納し、その開放端部に封口部材4を挿着した後、外装ケース3における外周側面の下部近傍に溝部3aが形成されるように加締めることで封口部材4が係止されるようになっている。この封口部材4を貫通するようにリード端子5が設けられており、コンデンサ素子8より導出されたタブ9に溶接にて接続されている。
【0016】
コンデンサ素子8には、アルミニウム等の弁金属からなる陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて、巻回して形成され、電解液が含浸されたものや、電解質として固体の二酸化マンガン層をアルミニウム等の弁金属からなる陽極箔と陰極箔との間に形成した、固体電解コンデンサ素子等を用いることができる。
【0017】
絶縁板6は、図2(a)、(b)に示すように、所定厚みの電気絶縁性を有する樹脂製とされ、上面視略方形で、かつその隣り合う1組の角に切欠き6dが形成されている。
【0018】
このように、絶縁板6の上面視形状を略方形に形成することは、得られるチップ形コンデンサ1の基板への実装面積を小さくできることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、上面視多角形状のものや、図5に示すような上面視円形状の絶縁板11としても良く、これら絶縁板6の形状は適宜選択すれば良い。
【0019】
また、絶縁板6に切欠き6dを形成すると、チップ形コンデンサ1を基板へ実装する際に、リード端子5の極性が目視にて容易に判別できることから好ましいが、これら切欠き等を設けずとも良い。
【0020】
また、本実施例では絶縁板6の材質として、実装時の半田付けにおける加熱に耐え得る耐熱性と電気絶縁性を有する樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミックスやガラス等の無機材質や、これら複数の材質の複合体としても良く、十分な絶縁性を有するものであれば使用することができる。
【0021】
絶縁板6には、コンデンサ本体2との当接面から実装面6fに貫通し、リード端子5が挿通可能な一対の挿通孔6cが穿設されているとともに、実装面6fには、挿通孔6cから外側端部にかけてリード端子5を収納可能なようにリード端子5の肉厚分にほぼ等しい深さを有する溝部6eが形成されている。
【0022】
これら挿通孔6cには、コンデンサ本体2から導出されたリード端子5が挿通され、溝部6eに沿って外方に折曲げ加工されるので、絶縁板6がコンデンサ本体2と折曲げられたリード端子5との間に挟持され、絶縁板6にコンデンサ本体2が装着、一体化されるようになっている。
【0023】
この際、リード端子5の実装面6fに露出している部分が、溝部6e内に収容され、リード端子5と実装面6fとがほぼ面一状となって、チップ形コンデンサ1が自立可能とされている。
【0024】
絶縁板6のコンデンサ本体2の外周に露出する部分である4角には上向きの支持柱6aが形成されており、これら支持柱6aの上端には内方に突出する突起部6bがそれぞれ形成されている。
【0025】
これら支持柱6aは、図2の仮想線が示すように、その上端が若干内方位置となるように傾斜して形成されており、コンデンサ本体2をこれら支持柱6aの内側に配設することで、各々の支持柱6aの突起部6b間に強固に挟持されるようになっている。また、支持柱6aの長さは、コンデンサ本体2の高さとほぼ等しい長さに形成されており、突起部6bがコンデンサ本体2の外周側面の上部近傍に当接するようになっているとともに、前記突起部6bの先端がコンデンサ本体2の外周側面に当接するので、支持柱6aとコンデンサ本体2の外周側面との間には空隙Sが形成されるようになっている。
【0026】
このように、支持柱6aの長さを、コンデンサ本体2の高さとほぼ等しい長さとし、突起部6bがコンデンサ本体2の外周側面の上部近傍に当接させることは、コンデンサ本体2がその重心位置より上方にて支持され、コンデンサ本体2の加振時における揺動を効果的に低減できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも支持柱の一部がコンデンサ本体2に設けられた溝部3aよりも上方の外周側面に当接するようになっていれば良い。
【0027】
以上のように構成された実施例1のチップ形コンデンサ1にあっては、絶縁板6の4角から上方に延びる支持柱6aの突起部6bが、コンデンサ本体2における重心位置よりも上部の外周側面に当接することになり絶縁板6からのアーム長さを効果的に稼げるため、コンデンサ本体2が支持柱6aに確実に支持され、コンデンサ本体2の横方向の揺動を抑止できるので、リード端子5に加わる負荷が軽減され、リード端子5の破断を防止できる。
【0028】
また、本実施例では、支持柱6aは内方に傾斜して形成されており、この支持柱6aの内方への弾性反発力により、各々の突起部6b間にコンデンサ本体2が強固に挟持され、加振時におけるコンデンサ本体2の揺動がより一層効果的に抑止されることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら支持柱を直立して設けても良く、これら支持柱の形状等は適宜選択すれば良い。
【0029】
また、上述のように、支持柱6aに突起部6bを設けて空隙Sを形成することはコンデンサ本体2の放熱性向上の観点から好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、図5に示すように、絶縁部材10に形成された支持柱10aの内側面全体がコンデンサ本体2の外周側面に当接するようにしても良い。
【0030】
また、本実施例では、突起部6bを支持柱6aの上端にのみ形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図3に示すチップ形コンデンサ1’のように、支持柱6a’の上下にわたり内方に向かってテーパ状に突出する突起部6b’を形成するようにしても良く、さらには、突起部を複数設けたものや、従来例のように支持柱の下部位置に突起部を設け、コンデンサ本体2の溝部3aに嵌合するようにしても良い。
【0031】
また、突起部6bを支持柱6と別の材質としても良く、例えば、ゴム部材等の弾性部材で形成するようにして、コンデンサ本体2の揺動を効果的に吸収して迅速に振動を減衰できるようにしても良い。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0033】
例えば、上記実施例では、支持柱6aは絶縁板6の4角に形成されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、支持柱10が2本形成され、両支持柱10間にコンデンサ本体2が支持されているものであっても良く、これら支持柱の本数は任意とされる。
【0034】
また、上記実施例では、支持柱6aを対向するように形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図5に示すように、支持柱11aが3本形成され、コンデンサ本体2が各支持柱11aから均等に支持されるものであっても良い。
【0035】
また、上記実施例では、支持柱6aを絶縁板6と同一材でなる樹脂にて一体形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら支持柱6aを絶縁板6と異なる材質、例えば、金属等で形成しても良い。
【0036】
【発明の効果】
本発明は次の効果を奏する。
【0037】
(a)請求項1の発明によれば、前記絶縁板から上方に延びる支持柱が、コンデンサ本体の溝部より上方の外周側面を挟持することになり絶縁板からのアーム長さを効果的に稼げるため、前記コンデンサ本体が前記支持柱に確実に支持され、該コンデンサ本体の横方向の揺動を抑止できるとともに、支持柱がコンデンサ本体の重心位置よりも上方の外周側面を支持するので、振動時におけるコンデンサ本体の揺動の振幅を効果的に低減できるので、リード端子に加わる負荷が軽減され、リード端子の破断を防止できる。
【0038】
(b)請求項2の発明によれば、対向する支持柱間にコンデンサ本体が挟持されるようになるので、コンデンサ本体の揺動をより効果的に抑止できる。
【0039】
(c)請求項3の発明によれば、各々の支持柱の弾性反発力により、コンデンサ本体がより強固に支持柱間に挟持されるので、コンデンサ本体の揺動をより一層効果的に抑止できる。
【0040】
(d)請求項4の発明によれば、支持柱がコンデンサ本体の重心位置よりも上方の外周側面を支持するので、振動時におけるコンデンサ本体の揺動の振幅を効果的に低減できる。
【0041】
(e)請求項5の発明によれば、支持柱とコンデンサ本体との間に空隙が形成されるため、コンデンサ本体の放熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるチップ形コンデンサを示す外観斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図3】本発明の実施例2におけるチップ形コンデンサの示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例における変形例を示す上面図である。
【図5】本発明の実施例における変形例を示す上面図である。
【図6】従来のチップ形コンデンサを示す断面図である。
【符号の説明】
1、1’ チップ形コンデンサ
2 コンデンサ本体
3 外装ケース
3a 溝部
4 封口部材
5 リード端子
6 絶縁板
6a、6a’ 支持柱
6b、6b’ 突起部
6c 挿通孔
6d 切欠き
8 コンデンサ素子
9 タブ
10、11 絶縁部材
10a、11a 支持柱
S 空隙
10
Claims (4)
- コンデンサ素子を有底筒状の外装ケース内に収納して該外装ケ−スの開放端を封口部材により封口するとともに、外装ケースの外周側面に設けた溝部で封口部材を係止し、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体と、前記リード端子が挿通する挿通孔を備え、前記コンデンサ本体の封口端に当接配置される絶縁板と、から構成されるチップ形コンデンサであって、前記絶縁板に、前記溝部より上方であって、コンデンサ本体の重心位置よりも上方の外周側面において、コンデンサ本体外周側面を挟持する、複数の絶縁板から上方に延びる支持柱を設けたことを特徴とするチップ形コンデンサ。
- 前記支持柱を、コンデンサ本体を挟んで対向する位置に設けた請求項1に記載のチップ形コンデンサ。
- 前記支持柱は、外方に弾性変形可能とされているとともに、該支持柱の上端が下端よりも内方に位置するように傾斜している請求項1または2に記載のチップ形コンデンサ。
- 前記支持柱に、内方へ突出する突起部を形成してなる請求項1ないし3のいずれかに記載のチップ形コンデンサ。
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