JP4382963B2 - 光硬化性樹脂組成物、積層体およびディスプレー前面板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、十分な帯電防止性を示すとともに、耐擦傷性および透明性にも優れ、ブリードアウトが抑制された被膜を有する積層体、および、その様な被膜を形成し得る光硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の合成樹脂は、透明性、耐衝撃性、電気絶縁性等の特徴を有し、工業用資材、建築用資材等として広く使用されている。しかし、これら合成樹脂よりなる成形品は、表面硬度が低いため、引掻き等による傷が発生し易い場合がある。また、合成樹脂成形品は、高い体積固有抵抗を有しているため、静電気により帯電が発生し、埃が付着し易い場合がある。これらの不具合を抑制するために、従来から多くの改良が試みられているが、有効な手段は余り知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
耐擦傷性を向上する方法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を用い、架橋被膜を基材表面に形成することが知られているが、従来の架橋被膜は帯電防止性を全く示さないか、不十分な場合が多かった。
【0004】
帯電防止性を改良する方法としては、特公昭54−15074号公報に開示されている様に、エチレングリコールジメタクリレート等の少なくとも2個のアクリロイルオキシ基及び/又はメタアクリロイルオキシ基を有する架橋重合性化合物と、分子中に四級アンモニウム塩を含む重合性化合物とを含んでなる組成物を重合させて皮膜を形成することにより、耐摩耗性および耐溶剤性に優れ、帯電防止性および表面染色性を改善できることが知られている。
【0005】
しかしながら、当該公報に記載の方法によると、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物の吸湿性が余りに高いために、皮膜を形成する組成物中に多くの水分が含まれることとなり、このため組成物の重合時に重合硬化ムラ、品質ムラ等を発生してしまう場合があった。更に、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物中の水分を除去しようとしても、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物の重合性が高いため、加熱及び減圧操作中に重合してしまい実質的に無水の四級アンモニウム塩を含む重合性化合物を得ることは困難であった。
【0006】
四級アンモニウム塩を含む重合性化合物の吸湿性に関する上述の不具合は、特開平6−73305号公報および特開平8−311366号公報にて開示される様に、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物に代えて、四級アンモニウム塩基を有する化合物(b1)と、ポリエチレングリコールメタクリレート等の四級アンモニウム塩基を有する化合物と共重合可能な1個の不飽和二重結合を有する化合物(b2)とからなる共重合体を使用することにより、改善されることが知られている。
【0007】
しかしながら、当該公報に記載の方法により吸湿性に関する問題は改善されるものの、得られた被膜を高温多湿の環境下に置いた場合、共重合体が加水分解され、加水分解により生じた四級アンモニウム塩がブリードアウトする場合があった。そして、四級アンモニウム塩のブリードアウトにより、被膜の外観が低下する場合があった。
【0008】
以上の様な状況に鑑み、本発明においては、十分な帯電防止性を示すとともに、耐擦傷性および透明性にも優れ、四級アンモニウム塩のブリードアウトが抑制された被膜を形成し得る光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明によれば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)30〜100質量%と、分子中に1個のα、β−エチレン系不飽和結合を有する化合物(a−2)0〜70質量%とからなる混合物(A)100質量部と、
下記一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R4は炭素数1〜9の置換基を含んでも良いアルキル基、mは1〜10の整数、X-は四級化剤のアニオン、Yは酸素原子またはNHを表す。)
で表される化合物(b−1)20〜99質量%と、該化合物(b−1)と共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化合物(b−2)1〜80質量%とを重合して得られる共重合体(B)0.5〜30質量部と、
光重合開始剤(C)0.1〜10質量部と、
ヒンダードアミン系化合物(D)0.01〜3質量部と、
を含んでなることを特徴とする光硬化性樹脂組成物が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、所定量のヒンダードアミン系化合物(D)を含んでいる。このため、得られる被膜の良好な帯電防止性、耐擦傷性、透明性等を実現すると同時に、たとえ高温多湿な環境下においても、四級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制できる。その機構は明らかではないが、ヒンダードアミン系化合物(D)が存在することにより、化合物(b−1)及び(b−2)を共重合して得られる共重合体(B)の加水分解が、抑制されるためだと推察している。
【0013】
本発明に用いられるヒンダードアミン系化合物(D)としては、四級アンモニウム塩のブリードアウトを抑制できるものであれば特に制限されないが、抑制効果が大きく、それ自身が化学的に安定である等の理由により、2及び6位の炭素上の全ての水素がメチル基で置換されているピペリジン骨格を、分子内に有するヒンダードアミン系化合物が好ましい。
【0014】
上記の様なヒンダードアミン系化合物(D)としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンゾイル7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、4−メトクリロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等を例示することができる。
【0015】
ヒンダードアミン系化合物(D)の添加量は、高温多湿条件下でのブリードアウトを十分抑制するために、混合物(A)の100質量部に対して0.01質量部以上とされ、0.05質量部以上が好ましい。また、光硬化性樹脂組成物の良好な硬化性を維持し、十分な耐擦傷性を実現するために、3質量部以下とされ、2.5質量部以下が好ましい。
【0016】
本発明で使用される重合性化合物(a−1)は、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物であり、各(メタ)アクリロイルオキシ基を結合する残基が、炭化水素またはその誘導体であり、その分子内にはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を含むことができる。なお、(メタ)アクリとは、アクリ及び/又はメタクリを意味する。
【0017】
これらの化合物の主な例としては、1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られるエステル化物;多価アルコールと多価カルボン酸またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られる、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物等を挙げることができる。
【0018】
1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸とから得られるエステルの例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、次の一般式(3)
【0019】
【化4】
【0020】
[式中、nは1〜4の整数であり、X1〜X6は少なくとも3個以上が(メタ)アクリロイル基で、他はヒドロキシル基を表す。]
で示される化合物、例えばジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0021】
多価アルコールと多価カルボン酸またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸とから得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物において、多価アルコールと多価カルボン酸またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸の好ましい組合わせとしては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。
【0022】
重合性化合物(a−1)の他の例としては、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’ーメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の3量化により得られる以下一般式(4)で示されるポリイソシアネートと、
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、Rは置換基を含んでも良い、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)
活性水素を有するアクリルモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等とを、イソシアネート1モル当たり3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート;公知のエポキシポリアクリレート;公知のウレタンポリアクリレート等を挙げることができる。
【0025】
なお、重合性化合物(a−1)の含有量としては、塗膜の十分な耐擦傷性を実現するために、混合物(A)の全体に対して30質量%以上とされる。
【0026】
本発明で使用される化合物(a−2)としては、通常公知の、分子内に1個のα,β−エチレン系不飽和結合を有する単量体を挙げることができる。特に、重合性化合物(a−1)と共重合体(B)との両者に相溶性を有する化合物であって、分子内に極性基を有する化合物が好ましい。
【0027】
具体的には、重合性化合物(a−1)と共重合体(B)との種類および量によって適宜選択されるが、一般には、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらのアミド、アミドのメチロール化物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0028】
なお、化合物(a−2)の含有量としては、塗膜の十分な耐擦傷性を実現するために、混合物(A)の全体に対して70質量%以下とされる。
【0029】
本発明で使用される化合物(b−1)は、四級アンモニウムを有する化合物であり、例えばアミノ基を有する(メタ)アクリレート類または(メタ)アクリルアミド類等を四級化剤により四級化することにより得られる。
【0030】
アミノ基を有する(メタ)アクリレート類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0032】
なお、一般式(1)で示される化合物(b−1)の中で、得られる共重合体(B)の高い耐加水分解性が実現でき、四級アンモニウム塩のブリードアウトがより抑制できる等の理由により、−Y−が−NH−である化合物がより好ましい。
【0033】
従って、アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類を四級化することにより得られる化合物が好ましい。
【0034】
四級化剤としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類、トリメチルホスファイト等のアルキルリン酸、アルキルベンジルクロライド、ベンジルクロライド、アルキルクロライド、アルキルブロマイド等の各種ハライドが用いられ、特にアルキル硫酸類、スルホン酸エステル類が耐熱分解性の点より好ましい。
【0035】
即ち、一般式(1)における四級化剤のアニオン(X-)は、一般式R7SO3 -またはR7OSO3 -(式中、R7は水素原子または炭素数1〜20の置換基を含んでも良いアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す)で示されるものが好ましい。
【0036】
なお、一般式(1)中のmは1以上10以下の整数であるが、得られる共重合体(B)の高い耐加水分解性が実現でき、四級アンモニウム塩のブリードアウトがより抑制できる等の理由により、2以上6以下が好ましい。
【0037】
以上に述べた化合物(b−1)と共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化合物(b−2)としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;N−フェニルマレイミド等のマレイミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有単量体;アクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメチルメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリルスチレン共重合体等のマクロモノマー類等を例示することができ、これらを2種以上混合して用いることもできる。
【0038】
これらの共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化合物(b−2)としては、得られる被膜の特性のバランスの観点から、以下一般式(2)
【0039】
【化6】
【0040】
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は水素原子または炭素数1〜18の置換基を含んでも良いアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、Aは炭素数2〜4の置換基を含んでも良いアルキレン基、nは0〜500の整数を表す。)
で表される化合物を使用することが好ましい。
【0041】
特に一般式(2)においてn=2〜500で表される化合物を用いると、共重合体(B)と重合性化合物(a−1)及び化合物(a−2)との相溶性が良好となり、光硬化性樹脂組成物が均一に硬化できるため好ましい。
【0042】
一般式(2)において、n=2〜500で表される化合物としては、ポリエチレングリコール(4)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノメチルエ−テル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノブチルエ−テル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノステアリルエーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノオレイルエーテル等を例示することができる。なお、カッコ内はポリアルキレングリコールユニットの数を表す。
【0043】
化合物(b−1)の含有量は、良好な帯電防止性を実現するために、共重合体(B)に対して20質量%以上99質量%以下、好ましくは90質量%以下とされる。一方、不飽和二重結合を有する化合物(b−2)の含有量は、光硬化性樹脂組成物の均一性及び基材合成樹脂との密着性の観点から、1質量%以上80質量%以下、好ましくは10質量%以上とされる。
【0044】
共重合体(B)は、上記の量比で混合された化合物(b−1)及び(b−2)から、パーオキサイド系やアゾビス系等の重合開始剤を用いて、メタノール等の溶媒中での溶液重合法等により製造できる。
【0045】
本発明においては、共重合体(B)の作用により、被膜に帯電防止性が付与される。その様な共重合体(B)の添加量は、十分な帯電防止性を実現するために、混合物(A)100質量部に対して0.5質量部以上とされ、良好な耐擦傷性を実現するために、30質量部以下とされる。
【0046】
本発明で使用される光重合開始剤(C)は特に限定されないが、具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0047】
光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂組成物の十分な硬化性を実現するために、混合物(A)100質量部に対し、0.1質量部以上とされ、硬化後の被膜の着色を抑制するために、10質量部以下とされる。なお、本発明においては、上記開始剤を単独で用いるだけでなく、複数の開始剤を併用して用いてもよい。
【0048】
本発明における光硬化性樹脂組成物には、従来から使用されている種々の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等を挙げることができる。
【0049】
本発明の光硬化性樹脂組成物を用い、ブリードアウトが抑制され、帯電防止性および耐擦傷性を有する積層体を得る方法としては、基材樹脂表面に、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、ディッピング法等の方法で、本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布し、光で硬化する方法;ガラスと基材樹脂との間に本発明の光硬化性樹脂組成物を挟込んで光硬化し、基材樹脂表面に被膜を転写する方法;鋳型表面に上記方法で光硬化性樹脂組成物を塗布し、光で硬化した後、得られた被膜を内側として鋳型を作製し、樹脂原料を注入して、重合硬化せしめ鋳型から剥離する方法等を例示することができる。
【0050】
本発明で使用される基材樹脂は特に限定されないが、好ましい例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩ビ樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂等を挙げることができる。
【0051】
本発明において、光硬化性樹脂組成物よりなる被膜の厚みは、十分な帯電防止性および耐擦傷性を実現するために、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また、被膜にクラックが発生したり、積層体の切断時に被膜が欠ける等の不具合を抑制するために、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0052】
本発明の積層体においては、必要に応じて、光硬化性樹脂組成物よりなる被膜の上に更に、反射防止膜を設けることができる。また積層体の片面に本発明の光硬化性樹脂組成物よりなる皮膜を設け、他方の片面に反射防止膜、接着膜等の他の機能薄膜を設けることもできる。
【0053】
本発明の積層体の表面は、透明性、耐擦傷性、帯電防止性に優れ、ブリードアウトが抑制されている。帯電防止性は、表面抵抗値および電荷半減期で評価することができ、表面抵抗値は、1×1013Ω/□以下が好ましく、5×1012Ω/□以下がより好ましく;電荷半減期は、30秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましい。また、耐擦傷性は擦傷ヘーズで評価することができ、擦傷ヘーズは10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。また、本発明によれば、耐湿試験後によるブリードアウトを生じさせない様にすることができる。
【0054】
本発明の光硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより得られる硬化被膜を、基材樹脂の少なくとも一部の表面に有する積層体によれば、帯電防止性を有するため埃が付着しにくく、耐擦傷性を有するため取り扱い等によって傷が付きにくく、着色等もなく、透明性は良好であり、四級アンモニウム塩のブリードアウトが抑制されているため、良好外観を維持できる。
【0055】
このため、本発明の積層体は、部品カバー、グレージング材、車両用部材、ディスプレー材、照明材、銘板等に使用できるが、特に、CRT、液晶テレビ、プロジェクションテレビ等の各種ディスプレーの前面板として好適に使用できる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
【0057】
なお、特に断りがない限り、全ての試薬は市販の良好品を使用した。また、部は質量部を意味する。
【0058】
(評価方法)
(ア)帯電防止性の指標として表面抵抗値を測定した。測定方法としては、超絶縁抵抗計(TOA製、ULTRA MEGOHMMETER MODEL SM−10E)を使用し、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で印加電圧500Vで1分後の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。なお、測定用の試料としては、予め、23℃、50%相対湿度で1日間調湿したものを用いた。
【0059】
(イ)帯電防止性の他の指標として電荷半減期を測定した。測定方法としては、スタティックオネストメーター(宍戸商会製)を使用し、印加電圧10000V、試料回転速度1550rpm、印加時間30秒、測定温度23℃、測定湿度50%の条件で測定し、電圧印加時の試料電圧が印加電圧切断後、半分になるまでの時間を電荷半減時間(秒)とした。なお、測定用の試料としては、予め、23℃、50%相対湿度で1日間調湿したものを用いた。
【0060】
(ウ)耐擦傷性については、擦傷試験の前後におけるヘーズの変化(擦傷ヘーズ)をもって評価した。即ち、#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、9.8Nの荷重下で、20mmの距離を100回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を下式(1)より求めた;
[擦傷ヘーズ(%)]
=[擦傷後のヘーズ(%)]−[擦傷前のヘーズ(%)] (1)。
なお、ヘーズは、日本電色製HAZE METER NDH2000により測定した。
【0061】
(エ)ブリードアウトについては、耐湿試験により評価した。即ち、40℃、95RH%の条件下に10日間サンプルを放置した後、被膜の外観を目視で観察し、次の3段階で評価した;
◎:変化無し、
○:僅かにブリード物が認められるが外観良好、
×:ブリード物で外観低下。
【0062】
(共重合体B−1の合成)
撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド188部、メタノール228部を投入し、撹拌しながらジメチル硫酸136部、メタノール41.3部の混合物を、内温が15℃以下となる様に滴下し、滴下終了後30分間撹拌を続け四級アンモニウム塩基を有する化合物溶液を得た。
【0063】
この溶液に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.4部、n−オクチルメルカプタン2.4部、メタノール384部、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレートモノメチルエーテル(カッコ内はポリエチレングリコールユニットの数)485部を加え、60℃で窒素雰囲気下に6時間重合させ、50℃で3日真空乾燥し、帯電防止性を付与する共重合体(B−1)を得た。
【0064】
(共重合体B−2の合成)
撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジエチルアミノエチルメタクリレート187部、メタノール220部を投入し、撹拌しながらジメチル硫酸126.2部、メタノール80部の混合物を、内温が15℃以下となる様に滴下し、滴下終了後30分間撹拌を続け、四級アンモニウム塩基を有する化合物溶液を得た。
【0065】
この溶液に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.4部、n−オクチルメルカプタン2.4部、メタノール483部、ポリエチレングリコール(23)モノメタクリレートモノメチルエーテル(カッコ内はポリエチレングリコ−ルユニットの数)467部を加え、60℃で窒素雰囲気下に6時間重合させた後、50℃で3日間真空乾燥し、帯電防止性を付与する共重合体(B−2)を得た。
【0066】
(実施例1)光硬化性樹脂組成物1および積層体1
化合物(a−1)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製、以下DPHAとも記載する)50部、および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学(株)製、以下C6DAとも記載する)40部の混合物と、化合物(a−2)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(商品名:HEA、大阪有機化学製、以下HEAとも記載する)10部と、共重合体(B)として、共重合体(B−1)16部と、光重合開始剤(C)として、ベンゾインエチルエーテル(商品名:セイクオールBEE、精工社製社製、以下BEEとも記載する)1.5部と、ヒンダードアミン系化合物(D)として、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:サノールLS770、三共製、以下LS770とも記載する)0.3部とを混合し、光硬化性樹脂組成物1を調製した。
【0067】
得られた光硬化性樹脂組成物1をガラス板に滴下し、その上に厚さ20μのポリエチレンテレフタレート製(以下、PETとも記載する)の2軸延伸フィルム(ダイヤホイル社製)を配置し、JIS硬度40゜のゴムロールにてしごき、光硬化性樹脂組成物層の厚みを20μmに設定した。その後、出力40Wの蛍光紫外線ランプ(東芝製、FL40BL)の下、10cmの位置を、PETフィルム面を上にして、2m/分のスピードで通過させ前硬化した後、PETフィルムを剥離した。次いで出力30W/cmの高圧水銀灯下20cmの位置を、塗膜を上にして0.8m/分のスピードで通過させ硬化させた。この様に処理した2枚のガラス板を硬化被膜が内側になるように対向させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合用のセルを作製した。このセルに、メタクリル酸メチル重合体20質量%とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ100質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートのナトリウム塩0.005質量部とからなる樹脂原料を注入し、対向するガラスの間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで、120℃の空気炉で1時間重合した。冷却後ガラス板から樹脂板を剥離することにより表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂積層体1を得た。
【0068】
得られたアクリル樹脂積層体1は透明性に優れており、その表面抵抗率値は1.0×1011Ω/□、電荷半減時間は1秒、擦傷ヘーズは0.2%であった。また耐湿試験後もアクリル樹脂積層体1の外観に変化は無かった。評価結果を表1に示す。
【0069】
以上より、本発明の光硬化性樹脂組成物より得られる被膜が形成された積層体においては、着色等が抑制され、十分な帯電防止性、耐擦傷性および透明性が実現され、四級アンモニウム塩のブリードアウトも抑制されていることが分かった。
【0070】
(実施例2)光硬化性樹脂組成物2および積層体2
化合物(a−1)として、DPHA50部と、C6DA20部と、重量平均分子量約200のポリエチレングリコールのジアクリレート(商品名:NKエステルA200、新中村化学製、以下A200とも記載する)20部とからなる混合物を使用し、ヒンダードアミン系化合物(D)として4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:サノールLS744、三共(株)製、以下LS744とも記載する)を用いた以外は、光硬化性樹脂組成物1の場合と同様にして光硬化性樹脂組成物2を調製し、アクリル樹脂積層体1の場合と同様にアクリル樹脂積層体2を作製した。得られたアクリル樹脂積層体2の評価結果を表1に示す。
【0071】
(実施例3)光硬化性樹脂組成物3および積層体3
共重合体(B)として、共重合体(B−2)を用いた以外は、光硬化性樹脂組成物2の場合と同様にして光硬化性樹脂組成物3を調製し、アクリル樹脂積層体2の場合と同様にアクリル樹脂積層体3を作製した。得られたアクリル樹脂積層体3の評価結果を表1に示す。
【0072】
(実施例4)積層体4
光硬化性樹脂組成物1をガラス板に塗布し、次いで厚さ1.5mmのアクリル樹脂板(三菱レイヨン製、アクリライトL)とガラス板とで、光硬化性樹脂組成物1を挟込むように重ね合わせた後、ゴムローラーでしごくことにより、光硬化性樹脂組成物層の厚みを20μmに設定した。この重ね合わせた状態で、ガラス面より遠赤外線ヒーターで加熱し、ガラス表面温度を70℃まで昇温させ、その状態で1分間保持した。次いで出力120W/cmの高圧水銀灯の下20cmの位置を、ガラス面を上にして2m/分のスピードで通過させ光硬化性樹脂組成物1を硬化させた。硬化後ガラスからアクリル樹脂板を剥離することにより、アクリル樹脂積層体4を得た。得られたアクリル樹脂積層体4の評価結果を表1に示す。
【0073】
(実施例5)光硬化性樹脂組成物4および積層体5
光重合開始剤(C)として、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:LucirinTPO、BASF社製、以下TPOとも記載する)2.8部と、ベンゾフェノン1部とを使用した以外は、光硬化性樹脂組成物1の場合と同様にして光硬化性樹脂組成物4を調製した。
【0074】
得られた光硬化性樹脂組成物4を、厚さ50μmのPETの2軸延伸フィルム(帝人(株)製)に滴下した。次いで、厚さ2mmのポリカーボネート樹脂板(三菱レイヨン製、ダイヤライト)に光硬化性樹脂組成物4を樹脂板側として、JIS硬度40゜のゴムロールでしごきながら、光硬化性樹脂組成物層4の厚みが10μmになるように貼り合わせた。その後、PETフィルム面を上側とし、出力120W/cmの高圧水銀灯の下20cmの位置を2.0m/分のスピードで通過させ硬化させた後、PETフィルムを剥離することにより、表面に被膜を有するポリカーボネート樹脂積層体5を得た。得られたポリカーボネート樹脂積層体5の評価結果を表1に示す。
【0075】
(比較例1)積層体6
ヒンダードアミン系化合物を使用しない以外は、積層体2の場合と同様にして、積層体6を作製した。得られた積層体6を評価した結果、表面抵抗値は1.0×1012Ω/□、電荷半減時間は3秒、擦傷ヘーズは0.2%で、耐湿試験の結果、被膜表面にブリードアウトによる曇りが発生した。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例2)積層体7
共重合体(B−1)を使用しない以外は、積層体1の場合と同様にして、積層体7を作製した。得られた積層体7は、帯電防止性を示さなかった。評価結果を表1に示す。
【0077】
(比較例3)積層体8
共重合体(B−1)の添加量を35部とする以外は、積層体1の場合と同様にして、積層体8を作製した。得られた積層体8の耐擦傷性は、不十分であった。評価結果を表1に示す。
【0078】
(比較例4)積層体9
化合物(a−1)としてC6DA25部、化合物(a−2)としてHEA75部を使用する以外は、積層体1の場合と同様にして、積層体9を作製した。得られた積層体9の耐擦傷性は、不十分であった。評価結果を表1に示す。
【0079】
(比較例5)
被膜を形成していないアクリル樹脂板(商標;アクリライトL)の評価を行った。表1に示した評価結果より明らかな通り、帯電防止性および耐擦傷性が、不十分であった。
【0080】
以下、表1に、特性の評価結果を示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)及びα、β−エチレン系不飽和結合を有する化合物(a−2)からなる混合物(A)と、所定の四級アンモニウム塩基を有する化合物(b−1)及び不飽和二重結合を有する化合物(b−2)を重合して得られる共重合体(B)と、光重合開始剤(C)と、ヒンダードアミン系化合物(D)とを、所定の質量比で含有しているため、この光硬化性樹脂組成物を光硬化して得られる被膜を有する積層体は、十分な帯電防止性を示すとともに、耐擦傷性および透明性にも優れ、四級アンモニウム塩のブリードアウトが抑制される。
Claims (6)
- 分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)30〜100質量%と、分子中に1個のα、β−エチレン系不飽和結合を有する化合物(a−2)0〜70質量%とからなる混合物(A)100質量部と、下記一般式(1)
- 四級化剤のアニオン(X-)は、一般式R7SO3 -またはR7OSO3 -(式中、R7は水素原子または炭素数1〜20の置換基を含んでも良いアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す。)であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
- ヒンダードアミン系化合物(D)は、2及び6位の炭素上の全ての水素がメチル基で置換されているピペリジン骨格を、分子内に有することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
- 基材樹脂の少なくとも一部の表面に請求項1乃至4いずれかに記載の光硬化性樹脂組成物の硬化被膜を有することを特徴とする積層体。
- 請求項5に記載の積層体からなることを特徴とするディスプレー前面板。
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