JP2004338214A - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Osamu Kawai
治 川合
Hidemasa Sugamoto
秀征 菅本
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
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Abstract

【課題】耐擦傷性、透明性、耐候性に優れた樹脂成形体を製造する。
【解決手段】式(1)[RはC1−15ジイソシアネート残基]の化合物と水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基を1以上有する化合物との反応で得たウレタン化合物(a−1)20−70質量%及び2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−2)30−80質量%からなる単量体混合物(A)100質量部と光重合開始剤(B)0.1−10質量部とを含む紫外線硬化性組成物(C)を介在させて、透明樹脂フィルムを型に積層し、フィルムを介して紫外線を照射し、硬化被膜を残してフィルムを剥がし、硬化被膜が内面となるように鋳型を構成し、鋳型内に樹脂原料を注入して注型重合を行い、転写した硬化被膜を表面に有する樹脂成形体を取り出す、樹脂成形体の製造方法。
【化1】
Figure 2004338214

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性や耐擦傷性に優れた樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル樹脂は、透明性、耐衝撃性、易成形性等が良好である点に特徴を有しており、工業用資材、建築用資材等として広く使用されている。そして近年は、その透明性と耐衝撃性から、携帯電話などの液晶画面の前面板として使用されるに至っている。ただし他の樹脂と同様に、アクリル樹脂もガラスと比較すると表面硬度が低いので、引掻き等による傷が発生し易い。したがって、一般的には、表面の耐擦傷性を改良したものがそのような用途において使用されている。
【0003】
耐擦傷性を向上する方法として、例えば、多官能(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を用い、架橋被膜を基材表面に形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、基材表面への塗布硬化によって架橋被膜を形成する場合は、空気中のゴミの付着により外観欠陥が発生し易い。
【0004】
一方、鋳型を形成する型に塗膜を形成し注型重合を行う方法もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2記載のように透明樹脂フィルムでカバーして硬化を行った後フィルムを剥がす方法の場合は、そのフィルムを剥がす際に、硬化被膜が型から剥がれ易いという問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭50−110477号公報
【特許文献2】
特開昭50−140567号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑み為されたものである。すなわち、本発明の目的は、耐擦傷性および透明性に優れた表面層を有し、更には耐候性にも優れた樹脂成形体を、高い生産性で製造できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の3量体からなる分子中に3個のイソシアネート基を有する下記一般式(1)
【0008】
【化2】
Figure 2004338214
(式中、Rは炭素原子数1〜15のジイソシアネート残基を表す。)
で表される化合物と、分子中にイソシアネートと反応し得る水酸基とメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する化合物との反応により得られる、メタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物(a−1)20〜70質量%、および、分子中に2個以上のメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−2)30〜80質量%からなる単量体混合物(A)100質量部と、光重合開始剤(B)0.1〜10質量部とを含む紫外線硬化性組成物(C)を介在させて、透明樹脂フィルムを鋳型を構成する為の型に積層する第1の工程と、
前記透明樹脂フィルムを介して紫外線を照射することにより、前記型上の紫外線硬化性組成物(C)を硬化させる第2の工程と、
硬化した紫外線硬化性組成物(C)を前記型上に残して、前記透明樹脂フィルムを剥がす第3の工程と、
前記型を用いて、前記紫外線硬化性組成物(C)の硬化被膜が内面となるように鋳型を構成する第4の工程と、
前記鋳型内に樹脂原料を注入して注型重合を行う第5の工程と、
注型重合終了後、前記鋳型の内面側から転写した硬化被膜を表面に有する前記原料の重合体からなる樹脂成形体を取り出す第6の工程と
を含む樹脂成形体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、第1の工程として、紫外線硬化性組成物(C)を介在させて、透明樹脂フィルムを鋳型を構成する為の型に貼り付け等により積層する。
【0010】
この紫外線硬化性組成物(C)は、ウレタン化合物(a−1)および重合性化合物(a−2)からなる単量体混合物(A)100質量部と、光重合開始剤(B)0.1〜10質量部とを主成分として含む組成物である。
【0011】
ウレタン化合物(a−1)は、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の3量体からなる分子中に3個のイソシアネート基を有する前記一般式(1)で表される化合物と、分子中にイソシアネートと反応し得る水酸基とメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する化合物との反応により得られる。
【0012】
一般式(1)で表される化合物(3量体)を構成する、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、あるいは、これらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート等)などが挙げられる。これらを3量化させることにより、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0013】
一般式(1)で表される化合物と反応させる、分子中にイソシアネートと反応し得る水酸基とメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジメタクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの総称である。これら化合物の水酸基と、一般式(1)で表される化合物のイソシアネート基とが反応することにより、メタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物(a−1)を得ることができる。
【0014】
特に、塗膜硬度、基材密着性および耐候性のバランスの点から、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体と、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジメタクリレートまたは3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン化合物が好ましい。
【0015】
重合性化合物(a−2)は、分子中に2個以上のメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有する重合性化合物であって、上述したウレタン化合物(a−1)以外の化合物である。重合性化合物(a−2)としては、例えば、1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られるエステル化物;多価アルコールと、多価カルボン酸またはその無水物と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られるエステル化物;などを使用できる。ここで「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の総称である。
【0016】
1モルの多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られるエステル化物の具体例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
多価アルコールと、多価カルボン酸またはその無水物と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られるエステル化物の具体例としては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸またはその無水物と、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエステル化物が挙げられる。
【0018】
上述した種々の化合物は、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。特に、紫外線硬化性組成物の粘度と塗膜硬度のバランスの点から、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
単量体混合物(A)は、上述したウレタン化合物(a−1)20〜70質量%と、重合性化合物(a−2)30〜80質量%とからなるものである。ウレタン化合物(a−1)の割合を20質量%以上[および重合性化合物(a−2)の割合を80質量%以下]とすることにより、十分な塗膜硬度および良好な耐候性が得られ、かつ第3の工程において透明樹脂フィルムを剥がす際に硬化被膜が型から剥がれ難くなる。また、ウレタン化合物(a−1)の割合を70質量%以下[および重合性化合物(a−2)の割合を30質量%以上]とすることにより、紫外線硬化性組成物(C)の粘度が塗工に適したものになる。
【0020】
本発明で使用する光重合開始剤(B)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド;などが挙げられる。
【0021】
光重合開始剤(B)の添加量は、単量体混合物(A)100質量部に対し、紫外線による硬化性の点から0.1質量部以上であり、塗膜の良好な色調を維持する点から10質量部以下である。
【0022】
第1の工程で使用する透明樹脂フィルムは、後の硬化に使用する紫外線を透過し、紫外線硬化性組成物(C)により溶解あるいは膨潤しない耐溶剤性を有し、酸素の透過率が低いものが好ましい。その様なフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムが挙げられる。フィルムの厚みは、フィルム強度を維持する点から1μm以上が好ましく、取り扱い性やコスト等の点から200μm以下が好ましい。
【0023】
第1の工程において、紫外線硬化性組成物(C)を介在させ、透明樹脂フィルムを鋳型を構成する為の型に積層する方法としては、例えば、透明樹脂フィルムもしくは型に紫外線硬化性組成物(C)を塗布し、これらをゴムロール等で圧着する方法が挙げられる。紫外線硬化性組成物(C)を塗布する方法は特に限定されず、例えば、刷毛塗り、バーコート、流し塗り、スプレーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコート等を適用できる。
【0024】
紫外線硬化性組成物(C)の厚みは、硬化後の厚みで1μm〜100μmの範囲内となるようにすることが好ましい。この厚みが1μm以上であれば耐擦傷性等の点で好ましく、100μm以下であれば塗膜のクラック防止等の点で好ましい。
【0025】
本発明においては、第1の工程で透明樹脂フィルムを積層した後、第2の工程として、透明樹脂フィルムを介して紫外線を照射することにより型上の紫外線硬化性組成物(C)を硬化させる。この紫外線照射には、紫外線ランプ等を使用すればよい。紫外線ランプとしては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、蛍光紫外線ランプ等が挙げられる。
【0026】
第2の工程における紫外線硬化性組成物(C)の硬化は、1段階で行っても良いし、2段階以上で行っても良い。また、第2の工程において、完全に硬化させても良いし、あるいは2段階以上の硬化過程のうちの一部のみを行っても良い。後者の場合は、具体的には、透明樹脂フィルムを介して前硬化し(第2の工程)、そのフィルムを剥離し(第3の工程)、その剥離後更に紫外線を直接照射して硬化し、完全に硬化した後に第4の工程を行えばよい。
【0027】
本発明においては、第3の工程として、硬化した紫外線硬化性組成物(C)を型上に残して透明樹脂フィルムを剥がし、表面の少なくとも一部に硬化被膜を有する型を得る。ここで必要ならば上述したように更なる硬化を行っても良い。
【0028】
そして第4の工程として、その硬化被膜が形成された型を少なくとも用いて、硬化被膜が内面(成形面の少なくとも一部)となるように注型重合用の鋳型を構成する。ここで、鋳型を構成する為の型としては、例えば、鏡面を有するステンレス板やガラス板、もしくは表面に凹凸を有するステンレス板やガラス板等を挙げることができ、これらを用いて注型重合用の鋳型を構成することができる。
【0029】
具体的には、例えば、2枚の型の間に、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等からなるガスケットをはさみ込み、クランプで固定する等の方法によって、鋳型が組立てられる。また、連続的に注型重合する方法として、対向して走行する2枚のステンレス製エンドレスベルトの間で樹脂原料を注型重合する方法が知られているが、この場合はステンレス製エンドレスベルト表面に硬化被膜を形成しておけばよい。この方法は生産性の点で優れている。
【0030】
第4の工程において注型重合用の鋳型が完成したら、第5工程として、その鋳型内に樹脂原料を注入して注型重合(キャスト重合)を行う。樹脂原料としては、従来より知られる各種の原料を使用できる。例えば、アクリル樹脂成形体を注型重合で製造する場合は、その樹脂原料として、(メタ)アクリル酸のエステル類を主成分とする単量体、あるいは、この単量体とこの単量体からなる重合体の混合物を含有するシロップ等を挙げることができる。アクリル樹脂は、単独重合体でも良いし、共重合体でも良い。(メタ)アクリル酸のエステル類としては、メタクリル酸メチルを例示することができる。例えば、メタクリル酸メチルを主な単量体成分とする場合、共重合単量体成分として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;などを併用できる。また、シロップを使用する場合、このシロップは、例えばメタクリル酸メチルに重合体を溶解させて得たものでも良いし、あるいはメタクリル酸メチルの一部を重合させて得たものでも良い。
【0031】
注型重合において、原料を重合させる為に添加する開始剤としては、一般的に用いられるアゾ系の開始剤、パーオキサイド系開始剤が挙げられる。それら開始剤は通常量使用すればよい。また、樹脂原料には、その他目的に応じ、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料等の各種添加剤を添加することもできる。
【0032】
注型重合終了後、第6の工程として、樹脂成形体を取り出す。この樹脂成形体は鋳型に注入した樹脂原料の重合体から成るものであるが、同時にその表面に鋳型の内面側から転写した硬化被膜を有している。このようにして得た樹脂成形体は、成形体へ塗布硬化した硬化被膜と比較すると、異物等による欠陥が無い優れた被膜表面を有する。しかもその硬化被膜は上述の特定の材料から成るものなので、耐擦傷性、透明性、耐候性にも優れている。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。また、各評価は下記方法に従い実施した。
【0034】
(評価方法)
(ア)ヘーズおよび全光線透過率は、日本電色工業(株)製HAZE METER NDH2000を使用して測定した。
【0035】
(イ)耐擦傷性については、擦傷試験の前後におけるヘーズの変化をもって評価した。即ち、#000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、9.8Nの荷重下で、20mmの距離を100回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差(△ヘーズ)を、次式より求めた。[△ヘーズ(%)]=[擦傷後ヘーズ値(%)]−[擦傷前ヘーズ値(%)]。
【0036】
(ウ)耐候性試験については、スガ試験機(株)製サンシャインウェザーオメーターを使用し、ブラックパネル温度63℃、60分中12分間純水スプレーを行う条件で、2000時間の加速暴露を行った後の外観観察を行った。
【0037】
<実施例1>
(a−1)成分としてヘキサメチレンジイソシアネートの3量体からなるトリイソシアネート1モルに対し3モルの3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを反応して得られるウレタン化合物40部と、(a−2)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート60部と、光重合開始剤(B)としてベンゾインエチルエーテル1.5部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C)を調製した。
【0038】
次いで、鋳型となる鏡面を有するSUS板の鏡面上に、紫外線硬化性組成物(C)を塗布し、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と称す)フィルムを被せ、JIS硬度40°のゴムロールを用い、過剰な紫外線硬化性組成物(C)をしごき出しながら、気泡を含まないように圧着させて、その厚みを20μmとした。次いで、このPETフィルム面を上にして、出力40wの蛍光紫外線ランプ(東芝(株)製FL40BL)の下20cmの位置を0.3m/minのスピードで通過させて、塗膜の前硬化を行った(第一の硬化)。そして、SUS板上に硬化塗膜を残して、PETフィルムを剥離した。次いで、SUS板の硬化塗膜面を上にして、出力30w/cmの高圧水銀灯の下20cmの位置を0.3m/minスピードで通過させて、塗膜をさらに硬化させた(第二の硬化)。第一の硬化および第二の硬化の後、何れにおいても硬化塗膜のSUS板からの剥離は見られなかった。
【0039】
この様にして硬化塗膜を形成した2枚のSUS板を、硬化被膜が内側になるように対向させ、周囲を軟質ポリ塩化ビニル製のガスケットで封じ、注型重合用の鋳型を作製した。そして、この鋳型内に、重量平均分子量22万のメタクリル酸メチル重合体20部とメタクリル酸メチル単量体80部の混合物100部、アゾビスジメチルバレロニトリル0.05部、ジオクチルスルフォサクシネートのナトリウム塩0.005部からなる原料を注入し、対向するSUS板の間隔を2mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで130℃の空気炉で1時間重合した。その後これを冷却し、成形体であるアクリル樹脂板を鋳型のSUS板から剥離したところ、鋳型内表面の硬化被膜は樹脂板に転写しており、表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂板が得られた。
【0040】
この樹脂板の全光線透過率は92%、ヘーズは0.2%であり、透明性に優れていた。さらに、異物による外観欠陥も無く、良好な外観を有するものであった。また、擦傷後のヘーズ増分は0.0%であり、耐候性試験後の外観も良好であり、耐擦傷性および耐候性に優れるものであった。
【0041】
<実施例2>
(a−1)成分として実施例1で使用したウレタン化合物30部と、(a−2)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート70部と、光重合開始剤(B)としてベンゾインエチルエーテル1.5部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C)を調製した。この紫外線硬化性組成物(C)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂板を得た。ここで、第一の硬化および第二の硬化の後、何れにおいても硬化塗膜のSUS板からの剥離は見られなかった。また、得られた樹脂板の全光線透過率は92%、ヘーズは0.2%であり、透明性に優れていた。さらに、異物による外観欠陥も無く、良好な外観を有するものであった。また、擦傷後のヘーズ増分は0.0%であり、耐候性試験後の外観も良好であり、耐擦傷性および耐候性に優れるものであった。
【0042】
<実施例3>
(a−1)成分として実施例1で使用したウレタン化合物50部と、(a−2)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート50部と、光重合開始剤(B)としてベンゾインエチルエーテル1.5部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C)を調製した。この紫外線硬化性組成物(C)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂板を得た。ここで、第一の硬化および第二の硬化の後、何れにおいても硬化塗膜のSUS板からの剥離は見られなかった。また、得られた樹脂板の全光線透過率は92%、ヘーズは0.2%であり、透明性に優れていた。さらに、異物による外観欠陥も無く、良好な外観を有するものであった。また、擦傷後のヘーズ増分は0.0%であり、耐候性試験後の外観も良好であり、耐擦傷性および耐候性に優れるものであった。
【0043】
<比較例1>
(a−1)成分として実施例1で使用したウレタン化合物10部と、(a−2)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート90部と、光重合開始剤(B)としてベンゾインエチルエーテル1.5部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C’)を調製した。この紫外線硬化性組成物(C’)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂板を得た。この樹脂板の擦傷後のヘーズ増分は1.8%であり、耐擦傷性が不十分であった。
【0044】
<比較例2>
トリメチロールエタントリアクリレート40部と、(a−2)成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート60部と、光重合開始剤(B)としてベンゾインエチルエーテル1.5部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C’)を調製した。この紫外線硬化性組成物(C’)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化被膜を有するアクリル樹脂板を得た。ここで、第一の硬化後、フィルムを剥がす際に塗膜の一部がフィルムに付着した状態で剥離してしまった。また、得られた樹脂板の擦傷後のヘーズ増分は0.1%であり、耐擦傷性は良好であったが、耐候性試験後の塗膜に微細なクラックが発生し耐候性は不十分であった。
【0045】
<比較例3>
実施例1で使用したウレタン化合物30部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート30部と、ベンゾインイソプロピルエーテル2部と、ベンゾフェノン3部と、イソプロピルアルコール189部と、トルエン126部とを混合溶解して、紫外線硬化性組成物(C’)を調製した。この紫外線硬化性組成物(C’)中に、厚さ2mmのアクリル樹脂板(商品名:アクリライトL、三菱レイヨン(株)製)を30秒間浸漬し、0.5cm/秒の速度で引き上げて被膜を形成した。これを5分間室温で放置した後、30cmの距離で対向して設置した2灯の高圧水銀灯(出力120w/cm)を用いて、アクリル樹脂板の両面から10秒間の照射を2回行い、硬化被膜を形成した。得られた樹脂板の硬化被膜面には、空気中の埃灯が付着し外観欠陥が多数観察された。
【0046】
<比較例4>
紫外線硬化性組成物(C)からなる被膜を形成せず、SUS板をそのまま使用して鋳型を作製した。この鋳型を使用したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル樹脂の注型重合を行った。得られたアクリル樹脂板は表面に塗膜を有していないので、擦傷後のヘーズ増分は20%であり耐擦傷性が不良であった。
【0047】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、鋳型面から転写したものなので異物等による欠陥が無い優れた硬化被膜であって、かつ十分な耐擦傷性および透明性に優れた硬化被膜を有する樹脂成形体を、高い生産性で製造できる。
【0048】
このような優れた樹脂成形体(特にアクリル樹脂板)は、各種電気機器の銘板、間仕切り等の各種グレージング、CRT、液晶テレビ、プロジェクションテレビ等の各種ディスプレーの前面板、情報端末の液晶等情報表示部の前面板等に好適に使用できる。

Claims (1)

  1. 分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の3量体からなる分子中に3個のイソシアネート基を有する下記一般式(1)
    Figure 2004338214
    (式中、Rは炭素原子数1〜15のジイソシアネート残基を表す。)
    で表される化合物と、分子中にイソシアネートと反応し得る水酸基とメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を少なくとも1つ有する化合物との反応により得られる、メタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物(a−1)20〜70質量%、および、分子中に2個以上のメタクリロイルオキシ基および/またはアクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−2)30〜80質量%からなる単量体混合物(A)100質量部と、光重合開始剤(B)0.1〜10質量部とを含む紫外線硬化性組成物(C)を介在させて、透明樹脂フィルムを鋳型を構成する為の型に積層する第1の工程と、
    前記透明樹脂フィルムを介して紫外線を照射することにより、前記型上の紫外線硬化性組成物(C)を硬化させる第2の工程と、
    硬化した紫外線硬化性組成物(C)を前記型上に残して、前記透明樹脂フィルムを剥がす第3の工程と、
    前記型を用いて、前記紫外線硬化性組成物(C)の硬化被膜が内面となるように鋳型を構成する第4の工程と、
    前記鋳型内に樹脂原料を注入して注型重合を行う第5の工程と、
    注型重合終了後、前記鋳型の内面側から転写した硬化被膜を表面に有する前記原料の重合体からなる樹脂成形体を取り出す第6の工程と
    を含む樹脂成形体の製造方法。
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