JP2017178992A - プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。又、以下において、特に明示する必要がない場合は、プラスチック製フィルム又はシートをまとめて「プラスチックフィルム」と表し、フィルム又はシートをまとめて「フィルム」と表す。又、活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物を「AE硬化型粘接着剤」又は「組成物」ともいい、活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートは「AE硬化型フィルム」という。
近年、これらのモバイル機器用の画像表示装置において、表面保護層又はタッチパネルと画像表示ユニットの表示面との間や、表面保護層とタッチパネルとの間に存在する空隙を、屈折率がこれらの部材に近い透明材料を充填することにより、光の反射を抑制して透過性を向上させ、画像表示装置の輝度やコントラストを向上させる方法が提案されている。透明材料としては、透明樹脂シート、反応硬化性液状樹脂、粘着剤等が挙げられる。
しかし、透明樹脂シートは液状樹脂や粘着剤よりも弾性率が高いので空隙充填性が悪いという問題がある。
又、反応硬化性液状樹脂は、液体を扱うプロセスとなり製造工程が複雑になり、さらにシリコーンゲルでは接着力が低く信頼性に問題がある。
しかし、画像表示装置における表面保護層が遮光層等の凹凸形状を有し、かかる凹凸形状面に粘着剤を貼り合わせる場合や、凹凸形状を有する層が設けられた画像表示ユニットの表示面に粘着剤を貼り合わせる場合は、それらの凹凸形状も隙間なく充填し、かつ高温や高湿度条件下に長時間置かれても表面保護層、画像表示ユニットの表示面、又はタッチパネルモジュールとの界面で気泡や剥がれが発生せず、更に白化することがないことが必要である。近年、意匠性の点から凹凸形状の膜厚が大きくなる傾向があり、空隙充填性と信頼性に対する要求はますます高まっており、この課題を解決する空隙充填用樹脂が求められている。
そこで、カバーの材料としてガラスに代え耐衝撃性に優れるプラスチック、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂等を使用し、プラスチックにITO等のタッチセンサを直接形成する、いわゆるOPS(One Plastic Solution)が提案されている。
しかしながら、上記プラスチックに従来の空隙充填樹脂や粘着剤を使用すると、界面で気泡が発生してしまうという問題が発生した。
特許文献5に記載の組成物は、上記物性に優れるものの、加熱下での剥離強度が低く、ポリカーボネート等を基材として用いると、耐熱試験や湿熱試験、冷熱衝撃試験で発泡やハガレが発生するという問題があった。
特許文献6に記載の組成物は、上記物性に優れるものの、空隙充填性が不十分であった、
特許文献7に記載の組成物は、上記物性に優れるものの、例えばプラスチック板とガラスといった線膨張係数の異なる、リジッドな基材同士を貼合し、高温環境下におかれると、接着層の弾性率の高さ故に反りが発生して外観を損なうことがあった。又、冷熱サイクル試験のような大きな温度変化が加わる環境にさらされると、剥がれを生じることがあった。
下記(A)及び(B)成分(以下、これらをまとめて「硬化性成分」という。)の合計100重量%中に、(A)成分を70〜96重量%及び(B)成分を4〜30重量%を含み、
硬化性成分の合計量100重量部に対して、(C)成分を0.05〜10重量部及び(D)成分を0.01〜5重量部含み、
活性エネルギー線照射後の硬化物のガラス転移温度が30℃未満であるプラスチックフィルム用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物に関する。
(A)成分:水酸基又は/及びカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が−50〜5℃である共重合体
(B)成分:分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(D)成分:2個以上のイソシアネート基を有する化合物
以下、本発明を詳細に説明する。
硬化性成分の合計100重量%中に、(A)成分を70〜96重量%及び(B)成分を4〜30重量%を含み、
硬化性成分の合計量100重量部に対して、(C)成分を0.05〜10重量部及び(D)成分を0.01〜5重量部含み、
活性エネルギー線照射後の硬化物のガラス転移温度が30℃未満であるプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物に関する。
(A)成分:水酸基又は/及びカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が−50〜5℃である共重合体
(B)成分:分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(D)成分:2個以上のイソシアネート基を有する化合物
尚、本発明において硬化性成分とは、前記(A)及び(B)成分を意味し、熱や活性エネルギー線などにより化学的に反応し架橋・硬化できる樹脂成分を意味する。
以下、(A)〜(D)成分について説明する。
本発明における(A)成分は、後記(D)成分のイソシアネート基と反応性を有する水酸基又は/及びカルボキシル基を有する共重合体で、ガラス転移温度が−50〜5℃である共重合体である。
(A)成分は、剥離強度や耐熱性を向上させるだけでなく、異種基材貼合時の反りを小さくするため、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)を−50〜5℃とする。(A)成分のTgが−50℃に満たないと、剥離強度と耐熱性が低下してしまう。一方、5℃を超えると異種基材貼合時の反りが大きくなり、場合によっては高温での耐久性試験の際に剥がれを生じる。
尚、本発明においてTgとは、示査走査熱量測定によって得られる熱流量曲線の、ベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点を意味する。
尚、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と略す。)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値を意味する。
以下、単量体(a)及び(b)、(A)成分の製造方法について説明する。
尚、後記する単量体(a)及び(b)は、1種のみを使用しても、又は2種以上を併用しても良い。
単量体(a)は、水酸基又はカルボキシル基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物である。
単量体(a)を共重合することで、共重合体(A)に反応性を付与でき、ポリマー間の架橋を(D)成分のイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の熱硬化型架橋剤を用いて行うことができる。又、共重合体の極性が向上し、組成物の基材への密着性を向上させることができる。
単量体(a)としては、エチレン性不飽和基を有し、水酸基又はカルボキシル基のいずれかの官能基を有していれば種々の化合物を使用でき、具体的には下記化合物を挙げることができる。
単量体(b)は、炭素数が1〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。
単量体(b)は、炭素数が15以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと比較し、得られる重合体の凝集力に優れ、組成物硬化物の粘着力又は接着強度を向上させることができる。加えて、単量体(b)は、工業的に入手が容易で安価なため好ましい。
これら化合物の中でも、得られる(A)成分のTgと凝集力を両立できるという理由で、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
(A)成分の製造方法は特に制限されるものではなく、前記した必須構成単量体である単量体(a)及び(b)を使用し、必要に応じてこれら以外の単量体をさらに使用し、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等の常法に従い製造すれば良い。
又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩等が挙げられる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキソエート)等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸ペンチル及び酢酸イソペンチル等のエステル系溶剤;
ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン及びε−カプロラクタム等の窒素化合物系溶剤;並びに
ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄化合物系溶剤が挙げられる。
単量体(a)は、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
単量体(b)は、10〜89.9重量%が好ましく、より好ましくは30〜84重量%である。
単量体(a)の共重合割合を0.1重量%以上とすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、30重量%以下とすることで、組成物の耐湿性を維持することができる。
単量体(b)の共重合割合を10重量%以上とすることで、得られる組成物の耐水性を高くすることができ、89.9重量%以下とすることで、組成物の接着力を高くすることができる。
本発明の(A)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量%中に、70〜96重量%であり、好ましくは80〜94重量%である。
(A)成分の含有割合が70重量%に満たないと、異種基材貼合時の反りが大きくなり、場合によっては高温での耐久性試験の際に剥がれを生じる。96重量%を超えると、剥離強度と耐熱性を高くすることができなくなってしまう。
本発明における(A)成分としては、脂環式基、芳香族基及び複素環基から選ばれるいずれかの官能基を有し、さらに水酸基又は/及びカルボキシル基を有する共重合体(以下、「(A1)成分」という〕が好ましい。当該共重合体は、接着性や環境試験における信頼性及び光学特性に優れるため好ましい。
以下、(A1)成分について説明する。
(A1)成分は、脂環式基、芳香族基及び複素環基から選ばれるいずれかの官能基を有し、さらに水酸基又は/及びカルボキシル基を有する共重合体である。
(A1)成分において、脂環式基としては、シクロヘキシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基及びトリシクロデカン基等が挙げられる。
又、芳香族基としては、フェニル基、アルキルフェニル基、ベンジル基、p−クミルフェニル基及びo−フェニルフェニル基等が挙げられる。
又、複素環基としては、テトラヒドロフルフリル基、ピロリドン基、カプロラクタム基、モルホリル基及びエチルヘキサヒドロフタルイミド基等が挙げられる。
以下、単量体、(A1)成分の製造方法について説明する。
尚、後記する単量体(c)は、1種のみを使用しても、又は2種以上を併用しても良い。
当該共重合体において、単量体(a)及び(b)としては、前記と同様の化合物を挙げることができ、前記と同様の化合物が好ましい。
単量体(c)を共重合することで、得られる組成物の剥離強度や環境試験耐性を向上させることができる。
芳香族基を有する化合物の例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート(アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる)、並びに
スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
複素環基を有する化合物の例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート及びスチレンが組成物硬化物の粘着力又は接着力が高いという理由で好ましい。
(A1)成分の好ましい製造方法としては、単量体(a)、(b)及び(c)を使用し、前記と同様の方法に従えば良い。
単量体(a)は、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
単量体(b)は、10〜89.9重量%が好ましく、より好ましくは30〜84重量%であ単量体(c)は、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは15〜50重量%である。
る。
単量体(a)の共重合割合を0.1重量%以上とすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、30重量%以下とすることで、組成物の耐湿性を維持することができる。
単量体(b)の共重合割合を10重量%以上とすることで、得られる組成物の耐水性を高くすることができ、89.9重量%以下とすることで、組成物の接着力を高くすることができる。
単量体(c)の共重合割合を10重量%以上にすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、60重量%以下とすることで、光学特性と組成物の空隙充填性を維持することができる。
(A)成分のエチレン性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びマレイミド基等が挙げられ、活性エネルギー線による硬化性に優れる点からマレイミド基及び(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分としては、エチレン性不飽和基を有する重合体であれば種々の重合体が使用でき、それらの中でも、マレイミド基を有する重合体(A−1)〔以下、「(A−1)」という〕及び(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A−2)〔以下、「(A−2)」という〕が好ましい。
以下、(A−1)及び(A−2)成分について詳述する。
(A−1)成分は、マレイミド基を有する重合体である。
ここでマレイミド基としては、下記一般式(1)で表される基が好ましい。
アルケニル基としては、炭素数4以下のアルケニル基が好ましい。
アリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。
一つとなって5員環若しくは6員環を形成する炭化水素基としては、飽和の炭化水素基としては、基−CH2CH2CH2−、基−CH2CH2CH2CH2−が挙げられ、不飽和の炭化水素基としては、基−CH=CHCH2−、基−CH2CH=CHCH2−等が挙げられる。尚、不飽和の炭化水素基において、マレイミド基が2量化反応するためには、最終的に得られる5員環又は6員環が芳香族性を有しないものを選択する必要がある。当該炭化水素基としては、飽和の炭化水素基が好ましい。
1-1)単量体(a)とマレイミド基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする共重合体。
1-2)単量体(a)として水酸基含有不飽和化合物を必須構成単量体単位とする共重合体に、マレイミド基とイソシアネート基を有する化合物を付加させた重合体。
1-3)単量体(a)としてカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする共重合体に、マレイミド基とエポキシ基又はマレイミド基とイソシアネート基を有する化合物を付加させた重合体。
1-4)イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする共重合体に、マレイミド基と水酸基を有する化合物を付加させた重合体。
1-5)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする共重合体に、マレイミド基とカルボキシル基を有する化合物を付加させた重合体。
1-6)酸無水物基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする酸無水物基含有共重合体に、マレイミド基と水酸基を有する化合物を付加させた重合体。
さらに、前記1-1)の重合体としては、前記一般式(1)で表されるマレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(d)〔以下、「単量体(d)」という〕、上述の単量体(a)、(b)、(c)を共重合して得られる重合体〔以下、「重合体(A11)」という〕がより好ましい。
以下、単量体(d)について説明する。
単量体(d)は、前記マレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。単量体(d)を共重合することで(A−1)成分に感光性基であるマレイミド基を導入でき、得られる組成物の光硬化性、密着性、硬化後の弾性率を向上させることができる。
マレイミド基以外のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。又、これらのエチレン性不飽和基は単独だけではなく、併用することも可能である。
R3のアルキレン基としては、直鎖状であっても又は分岐状を有していても良い。より好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。
(A−1)成分の好ましい製造方法としては、単量体(a)〜(d)を使用し、前記と同様の方法に従えば良い。
単量体(a)は、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
単量体(b)は、10〜89.8重量%が好ましく、より好ましくは30〜84重量%である。
単量体(c)は、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは15〜50重量%である。
単量体(d)は、0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。
単量体(a)の共重合割合を0.1重量%以上とすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、30重量%以下とすることで、組成物の耐湿性を維持することができる。
単量体(b)の共重合割合を10重量%以上とすることで、得られる組成物の耐水性を高くすることができ、89.8重量%以下とすることで、組成物の接着力を高くすることができる。
単量体(c)の共重合割合を10重量%以上にすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、60重量%以下とすることで、光学特性と組成物の空隙充填性を維持することができる。
単量体(d)の共重合割合を0.1重量%以上とすることで、得られる組成物の接着力や光硬化性を高くすることができ、50重量%以下とすることで、組成物の着色を抑制することができる。
(A−2)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する共重合体である。
(A−2)成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する重合体であれば種々の重合体を使用することができる。
(A−2)成分としては、水酸基、カルボキシル基又はエポキシ基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物(e)〔以下、「単量体(e)」という〕、単量体(b)、(c)を共重合体した官能基含有重合体に、単量体(e)の官能基と反応する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(f)〔以下、「単量体(f)」という〕を反応させて得られる重合体が、製造が容易である点で好ましい。
官能基含有重合体としては、単量体(e)、(b)、(c)に加え、さらに単量体(d)を共重合したものであっても良い。この場合、得られる(A−2)成分は、マレイミド基と(メタ)アクリロイル基を有する共重合体となる。
(A−2)成分の分子量としては、Mwで10,000〜2,000,000が好ましく、より好ましくは50,000〜1,500,000である。
単量体(e)は、水酸基、カルボキシル基又はエポキシ基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物である。
単量体(e)としては、前述した単量体(a)の他、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、アリルグリシジルエーテル及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、反応性と安全性の点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。
単量体(f)は、単量体(e)の官能基と反応する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
単量体(f)において、官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基が挙げられる。
例えば、単量体(e)が水酸基含有不飽和化合物の場合、単量体(f)としてはイソシアネート基含有不飽和化合物が選択され、
単量体(e)がカルボキシル基含有不飽和化合物の場合、単量体(f)としてはイソシアネート基含有不飽和化合物又はエポキシ基含有不飽和基化合物が選択され、
単量体(e)がエポキシ基含有不飽和化合物の場合、単量体(f)としてはカルボキシル基含有不飽和化合物が選択され、
単量体(e)がイソシアネート基含有不飽和化合物の場合、単量体(f)としては水酸基含有不飽和化合物又はカルボンキシル基含有不飽和化合物が選択される。
(A−2)成分の製造方法は、単量体(e)、(b)、(c)、必要に応じてさらに単量体(d)を常法により共重合して得られる官能基含有重合体に、その官能基と反応する別の単量体(f)を反応させることにより得られる。
前述の官能基含有重合体は、単量体(a)(b)、(c)、必要に応じてさらに単量体(d)を使用し、同様の方法に従えば良い。
得られた官能基含有重合体と、その官能基と反応する単量体(f)による変性は、通常は常圧にて、必要に応じて何らかの触媒を用い、50〜100℃の温度にて1〜24時間程度行なわれる。
又、カルボキシル基とエポキシ基の反応であれば、上述の3級アミン化合物、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
単量体(e)は、0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
単量体(b)は、10〜89.9重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。
単量体(c)は、10〜60重量%が好ましく、より好ましくは15〜50重量%である。
単量体(d)は、0〜49.9重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。
単量体(f)の変性量は、単量体(e)の共重合量によって変化するが、単量体(e)、(b)、(c)、(d)の合計量を100重量部とすると、0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。単量体(e)の共重合量を超えて単量体(f)を反応させることは、単量体(e)の未反応成分を残存させるため好ましくない。
単量体(f)の反応量を0.1重量部以上とすることで、得られる組成物の光硬化性を十分なものとすることができ、30重量部以下とすることで、(A−2)成分の製造を容易にすることができるうえ、得られる組成物の接着力に優れるものとすることができる。
本発明の組成物には、(B)成分である分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物を配合する。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリルアミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(B)成分の含有割合が4重量%に満たないと、剥離強度や耐熱性を十分に高くすることができなくなってしまい、30重量%を超えると、異種基材貼合時の反りを小さくすることができなくなってしまう。
(B1)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(B2)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
本発明においては、(B1)成分及び(B2)成分を併用することが好ましい。
以下、(B1)成分及び(B2)成分について説明する。
(B1)成分である2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、硬化物に優れた硬度、接着力及び耐熱性を付与する目的で配合する。
(B1)成分の例としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」ともいう。〕が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばジャパンエポキシレジン(株)製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。又、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート152、エピコート154等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。
多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
(B1)成分の含有割合が2重量%以上にすることで、剥離強度や耐熱性を十分に高くすることができ、20重量%以下とすることで、異種基材貼合時の反りを小さくすることができる。
又、(B1)成分は、1種又は2種以上用いることができる。
(B2)成分である分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物は、本発明の組成物により優れた空隙充填性及び接着力を示す組成物を得る目的で配合する。
尚、本発明における(B2)成分には、後述するエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤は含まないものとする。
又、その他にも、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリアルキレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリアルキレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール骨格を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、後述する乾燥被膜作製時の乾燥工程での揮発の抑制や、AE硬化型フィルムの臭気を小さくするため、(B2)成分の分子量は200以上であることが特に好ましい。具体的には、フェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
又、(B2)成分は、1種又は2種以上用いることができる。
本発明における(C)成分は、光重合開始剤及び/又は増感剤である。(C)成分を含むことにより、硬化物を接着力及び耐熱性に優れたものとすることができる。
通常、(A)及び(B)成分のエチレン性不飽和基がビニル基や(メタ)アクリロイル基等である場合、これらの基の光重合を開始するものを光重合開始剤と定義し、(A)成分のエチレン性不飽和基がマレイミド基の場合、この光二量化を促進するものを増感剤と定義するが、両方の機能を有する化合物もあり区別が困難であるため、本発明では「光重合開始剤及び/又は増感剤」と定義する。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、スピードキュアXKm(ランブソンジャパン製)等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
(C)成分の配合割合が0.01重量部に満たないと、適量な紫外線光量で組成物を硬化させることができず、生産性を向上させることができず、一方、10重量部を超えると、硬化物を耐侯性や透明性が低下してしまうことがある。
本発明の組成物において、硬化前の被膜に優れた貯蔵安定性、剥離性を付与するため、(D)成分の2個以上のイソシアネート基を有する化合物を配合する。
(D)成分としては、イソホロンジイソシネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式構造を有する2官能イソシアネート化合物、これら2官能イソシアネート化合物の三量体、多価アルコールと2官能イソシアネートとのアダクト体、2官能イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖した多価イソシアネート化合物のブロック体等が挙げられる。
(D)成分の含有割合が0.01〜3重量部の範囲から外れると、当該組成物を硬化した層の初期接着力が低くなり過ぎたり、貯蔵安定性が低下してしまう。
本発明の組成物は、前記した(A)、(B)、(C)及び(D)成分を必須成分とするものであるが、必要に応じて、有機溶剤〔以下、「(E)成分」という〕、シランカップリング剤〔以下、「(F)成分」という〕、劣化防止剤〔以下、「(G)成分」という〕高軟化点樹脂〔以下、「(H)成分」という〕、及びこれら以外の種々の成分を含むものであってもよい。
以下、その他の成分について説明する。
本発明の組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、(E)成分として有機溶剤を含むものが好ましい。有機溶剤としては、(A)成分の製造で使用した有機溶剤をそのまま使用してもよく、別途添加してもよい。有機溶剤の具体例としては、前記した(A)成分の製造で使用した有機溶剤を挙げることができる。
(E)成分の配合割合としては、適宜設定すればよいが、組成物中に10〜90重量%が好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。
本発明の組成物には、基材との密着性を高め、耐湿熱性等を向上させる目的で(F)成分であるシランカップリング剤を配合することが好ましい。
(F)成分は、1分子中に1個以上のアルコキシシリル基と1個以上の有機官能基を有する化合物であり、有機官能基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
尚、前述したように、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤は、(C)成分には含まれないものとする。
又、(F)成分におけるアルコキシシリル基の数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、シランカップリング剤における有機官能基の数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
(F)成分の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0.5重量部以上5重量%以下であることが、耐湿熱性向上とアウトガス低減の点から好ましい。
本発明の組成物において、硬化物の経時劣化を防止するため、(G)成分として劣化防止剤を配合することが好ましい。
(G)成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のヒンダードフェノール化合物、高分子フェノール化合物等の種々のフェノール系酸化防止剤や、ヒンダードアミン系、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤、クペロン系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
光安定剤としては、BASF社製TINUVIN 111FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本発明の組成物において、耐久性を向上させる目的で、(H)成分として高軟化点樹脂を配合することができる。
(H)成分における高軟化点とは、軟化点80℃以上を有する樹脂を意味する。
又、本発明における軟化点とは、JIS K2207、K 7234、ASTM E28等の規格に準拠した環球法で測定した値を意味する。
(H)成分としては、耐久性、着色の点から、前記した中でも石油樹脂が好ましい。
(H)成分は、組成物中に均一に存在していてもよいし、偏在していてもよい。
本発明の組成物には、前記以外にも必要に応じて後記するその他の成分を配合することもできる。具体的には、光重合開始助剤、無機材料、レベリング剤、(A)成分以外の高分子ポリマー、可塑剤、重合禁止剤、表面潤滑剤、消泡剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
以下これらの成分について説明する。
光重合開始助剤としては、脂肪族アミンあるいはジエチルアミノフェノン、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアシル等の芳香族アミン等が挙げられる。
光重合開始助剤の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0〜10重量%であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。
無機材料としては、コロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、タルク及び粘土等が挙げられる。
無機材料の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0〜50重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましく、0〜10重量%であることが更に好ましい。
レベリング剤としては、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0.5重量%以下であることが、接着性能への悪影響が小さいため好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルアジペート、リン酸トリクレシル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィン等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。
表面潤滑剤、消泡剤としては有機ポリマー系、シリコーン系、フッ素系等が挙げられる。
帯電防止剤としては、四級アンモニウム系、ポリエーテル系、導電性粉末、イオン液体、リチウム塩等の金属塩などが挙げられる。
これらの添加剤の使用量は目的に応じ上記範囲内で適宜定められる。
本発明の組成物は、前記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)成分を必須とし、必要に応じて(F)、(G)、(H)成分を任意で配合するものである。
本発明の組成物の製造方法は常法に従えばよく、各成分やその他の成分を撹拌・混合して得ることができる。必要に応じて、加熱することにより混合時間を短くすることができる。
AE硬化型フィルムの製造方法としては、目的に応じて種々の使用方法を採用することができる。
具体的には、基材に本発明の組成物を塗工し塗工被膜を形成するか、又は、必要に応じて加熱・乾燥して乾燥被膜を形成した後に、更に別の基材を貼り合わせて製造する方法等が挙げられる。
図1は、基材/粘接着剤層/離型材から構成されるAE硬化型フィルムB2の好ましい製造方法の一例を示す。
図1において、(1)は基材を意味し、(3)は離型材を意味する。
組成物が無溶剤型の場合(図1:A1)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工する。組成物が有機溶剤等を含む場合(図1:A2)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工した後に、乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる(図1:1−1)。
これらの方法により、基材上に粘接着剤層が形成された〔図1:(2)〕、AE硬化型フィルムが製造される(図1:B1)。
このAE硬化型フィルムB1には、必要に応じて粘接着剤層に、離型材(3)を保護フィルムとしてラミネートしておくことが好ましい(図1:B2)。
上記において、基材(1)としても離型材を使用すれば、離型材/粘接着剤層/離型材から構成されるAE硬化型フィルムB3を製造することができる。
塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すればよく、従来公知のバーコート、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すればよく、40〜140℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。
本発明の組成物は、AE硬化型粘接着フィルムの製造に使用される。
AE硬化型フィルムは、基材に、前記組成物の粘接着層を有するものである。
当該基材の材質としては、具体的にはガラス、アルミ等の金属、金属や金属酸化物の蒸着膜、シリコン及びポリマー等が挙げられる。
ポリマーとしては、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエーテルサルホン、上記ポリマーの共重合体、液晶ポリマー及びフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)が挙げられる。
ポリマーとしては、シート又はフィルム状のものが好ましい。
前記した通り、本発明の組成物は、被着体としてポリカーボネート及び(メタ)アクリル樹脂に適用した場合においても、優れた耐発泡性を有するものである。
基材が被着体である場合は、前記した材料から構成される部材等が挙げられ、好ましくは画像表示装置で使用される部材等が挙げられる。
離型処理フィルムにおける離型処理としては、シリコーン処理、長鎖アルキル処理及びフッ素処理等が挙げられる。具体例としては、離形処理されたポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)フィルム、ポリオレフィンフィルム、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。好ましい具体的としては、シリコーン処理PETフィルム等が挙げられる。
剥離性を有する表面未処理フィルムとしては、表面未処理PETフィルム、表面未処理OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム等の表面未処理ポリオレフィンフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理されたPETフィルム、表面未処理PETフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーが好ましい。
・AE硬化型フィルムB2:基材/粘接着剤層/離型材
・AE硬化型フィルムB3:離型材/粘接着剤層/離型材
AE硬化型フィルムとしては、上記B3のフィルムが好ましく、上記B3のフィルムにおいて、離型材がシリコーン処理されたPETフィルム、表面未処理PETフィルムである下記態様のフィルムがより好ましい。
シリコーン処理PET処理フィルム/粘接着剤層/シリコーン処理PET処理フィルム
シリコーン処理PET処理フィルム/粘接着剤層/表面未処理PETフィルム
又、Raの下限値は0であり、離型材のRaは、0〜30nmであることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、2〜20nmであることがさらに好ましい。
粘接着剤層の膜厚を1μm以上とすることによって、剥離強度を高くすることができる。又、膜厚を250μm以下とすることにより、積層体の膜厚を小さくして軽量化が可能になることと、乾燥後の塗膜に含まれる溶剤を少なくすることができる。
又、粘接着剤層の膜厚が離型材を剥離しているときに、スリップスティック現象と呼ばれる、剥離中に基材が引っ掛ったり、急激に剥離したりを繰り返して、高い剥離力と低い剥離力の間を振動する現象が発生すると、粘接着剤層が変形して跡が残りやすい。
又、上記剥離強度の下限値は、0.001N/mmである。
当該剥離強度を満たす離型処理フィルムとしては、藤森工業(株)製フィルムバイナHTA、KF、BD、DG−2等、三菱樹脂(株)製ダイヤホイルMRV、MRQ等が挙げられる。
この場合、粘接着剤層の膜厚と2枚の離型処理フィルムの膜厚とが、下記式(T)の値で1以下であるAE硬化型フィルムが好ましく、下記式(T)の値で0.1〜1がより好ましく、下記式(T)の値で0.3〜0.9が更に好ましい。
(粘接着剤層の膜厚)/(2枚の離型処理フィルムの合計膜厚)・・・(T)
上記式(T)の値で1以下であるAE硬化型フィルムは、AE硬化型フィルムの保管中にシワやトンネル状欠陥が発生を防止することができる。
本発明のAE硬化型フィルムは、硬化前には、貼付時に十分な剥離強度、空隙充填性を有し、硬化後には十分な光学特性、密着性、表面硬度、耐熱性、低着色性、信頼性を有する。
このようなAE硬化型フィルムを用いることで、凹凸形状を有している表面保護層、又は、凹凸形状を有する層(例えば、偏光板)が設けられた画像表示ユニット表示面に適用する場合でも、凹凸を吸収して空隙を充填することができ、その結果、画像表示装置における表示欠陥の発生を防止できる。又、フィルム自体の厚さにバラツキが存在する場合も、十分な柔軟性を有することから、被着体表面と隙間なく貼り合わせることができ、画像表示装置における表示ムラの発生を防ぐことができる。
又、活性エネルギー線照射後の硬化物のTgが−30℃未満の場合、剥離強度や耐熱性を十分に高くすることができなくなってしまう。
活性エネルギー線照射後における組成物の硬化物の85℃貯蔵弾性率G’(周波数1Hz)(以下、単に「硬化後G’(85℃)」という)が1×104Pa〜1×106Paであるものが好ましい。
尚、塗工被膜とは、(F)成分(有機溶剤)を含まない無溶剤型組成物を塗工して得られる被膜を意味し、乾燥被膜とは(F)成分(有機溶剤)を含む組成物を塗工した後、加熱・乾燥して得られる被膜を意味する。
本発明のAE硬化型フィルムは、積層体の製造に好ましく使用することができる。
積層体の製造方法としては、AE硬化型粘接着シートの基材又は被着体の少なくともいずれか一方を透明性材料とし、これらを貼り合せ、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が挙げられる。又、AE硬化型フィルムと被着体を貼り合わせた後、活性エネルギー線で硬化させることも、被着体同士を貼り合わせた後で活性エネルギー線を照射することも可能である。
又、本発明のAE硬化型フィルムは、種々の空隙を有する物品(以下、単に「物品」)の空隙の充填に使用することができ、画像表示装置、ブルーレイ等の記録メディア、ナノインプリント材料の製造に好ましく使用でき、画像表示装置の製造により好ましく使用することができる。
物品の空隙充填方法としては、AE硬化型フィルムの基材又は被着体の少なくともいずれか一方を透明性材料とし、これらを貼り合せ、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられる。
活性エネルギー線照射における、照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すればよい。
図2は、離型材でラミネートされたAE硬化型フィルムを使用し、シート状の基材側から活性エネルギー線を照射して硬化させる例を示している。図2のAE硬化型フィルムB2において、(1)は基材、(2)は粘接着剤層(又は、空隙樹脂層)、(3)は離型材を意味する。
図2では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図2:2−1)、粘接着剤層と被着体(4)を密着させた後(図2:2−2)、基材側から活性エネルギー線を照射し(図2:2−3)、積層体である物品(図2:2−4)が製造される。
図3では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図:3−1)、粘接着剤層と被着体〔図2:(5)〕を密着させた後(図3:3−2)、もう一方の離型材を離型し(図:3−3)、粘接着剤層と別の被着体〔図2:(4)〕を密着させた後(図3:3−4)、被着体(1)側から活性エネルギー線を照射し(図3:3−5)、積層体である物品(図3:3−6)が製造される。
図4では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図:4−1)、粘接着剤層(又は、空隙樹脂層)と被着体〔図4:(5)〕を密着させた後(図4:4−2)、離型材(3)側から活性エネルギー線を照射し(図4:4−3)、もう一方の離型材を離型して(図4:4−4)、積層体である物品(図4:4−5)が製造される。
本発明のAE硬化型フィルムから製造される物品としては、前記した通り、画像表示装置、記録メディア及びナノインプリント材料等が挙げられ、画像表示装置が好ましく、より好ましくは、タッチパネルを含む画像表示装置(以下、「タッチパネル型画像表示装置」という。)である。
以下、タッチパネル型画像表示装置について説明する。
本発明のAE硬化型フィルムは、表面保護層又はタッチパネルと画像表示ユニットとの空隙、表面保護層とタッチパネルとの空隙を埋めるために主に使用することができる。
本発明の画像形成装置は、本発明のAE硬化型粘接着剤の硬化物により、タッチパネルモジュール、表面保護層、及び、画像表示ユニットよりなる群から選ばれた少なくとも1つが固定されていることが好ましい。
表面保護層は、高分子フィルム、又はガラス等のみから構成されていても、他の層とともに複数の層から構成されていてもよい。
表面保護層は、画像表示装置の保護フィルム等として従来から使用されているものであればよく、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、(メタ)アクリレート重合体等のアクリル樹脂及びガラス等が挙げられ、本願発明のAE硬化型フィルムは、前記した通りプラスチック製フィルムの耐発泡性に優れるため、表面保護層として、ポリカーボネート及び(メタ)アクリル樹脂が使用される場合に好ましく適用できるものである。
表面保護層の厚さは、好ましくは0.05〜5mmである。
例えば、耐磨耗性及び耐擦傷性は、ハードコート層を形成することで得られる。更に、該ハードコート層に帯電防止性、防汚性等を付与することも可能である。
このような追加の層が、表面保護層の一部の領域に形成されている場合には、表面保護層は凹凸形状を有する表面となる。この場合の表面保護層の厚さは、全体として、好ましくは0.1〜6mmである。
画像表示ユニットの表示面には、追加の機能層(一層又は多層)、例えば、偏光板等を設けることができる。又、タッチパネルが画像表示ユニットの表示面に存在していてもよい。
当該電子装置の具体例としては、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子書籍、カーナビゲーションシステム、携帯音楽プレーヤー、時計、タブレット型コンピューター、ビデオカメラ、ビデオプレーヤー、デジタルカメラ、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)装置及びパーソナルコンピュータ(PC)等が挙げられる。
MMA :メチルメタクリレート
HA :2−エチルヘキシルアクリレート
BA :ブチルアクリレート
EHMA :2−エチルヘキシルメタクリレート
CHA :シクロヘキシルアクリレート
CHMA :シクロヘキシルメタクリレート
St :スチレン
AOI :2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート
BHT :ジブチルヒドロキシトルエン
DBTDL:ジブチルスズジラウレート
EtAc :酢酸エチル
BuAc :酢酸ブチル
V−65 :2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
AMBN :2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
DM :ドデシルメルカプタン
得られた共重合体溶液を150℃×1時間の条件で乾燥し、サンプルの乾燥前と後の重量から不揮発分(重量%)を算出した。
GPC(東ソー(株)製:HLC−8120、カラム:TSKgel−GMHxl×2本、溶離液:テトラヒドロフラン(THF) 1mL/min、検出器:示差屈折率計(RI))を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、乾燥後の膜厚が10μmになるようバーコーターで得られた共重合体溶液を塗工し、熱風乾燥機で90℃×5分乾燥し、ポリマー乾燥膜を得た。
得られた乾燥膜を、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製示差走査熱量計DSC6220を用いて、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点をTgとした。
撹拌機、温度計、冷却器を備えた1Lフラスコに、25℃で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
THPI:1.0g、HA:41.5g、BA:30.0g、HEA:7.5g、CHMA:20.0g、EtAc:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
THPI:1.0g、HA:41.5g、BA:30.0g、HEA:7.5g、CHMA:20.0g、EtAc:100g、V−65:1.50g
得られた共重合体〔以下、「[A-1-1]」という〕を含む溶液の不揮発分は49.8%で、Mnは47,000、Mwは337,000、分子量分布(Mw/Mn)は7.2、Tgは−33℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:5.0g、HA:8.0g、BA:42.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、EtAc:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
THPI:5.0g、HA:8.0g、BA:42.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、EtAc:100g、V−65:1.50g
得られた共重合体〔以下、「[A-1-2]」という〕を含む溶液の不揮発分は49.9%で、Mnは43,800、Mwは347,000、分子量分布(Mw/Mn)は7.9、Tgは−2℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、EtAc:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、EtAc:100g、V−65:1.50g
得られた共重合体〔以下、「[A1]」という〕を含む溶液の不揮発分は50.2%で、Mnは79,000、Mwは255,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.2、Tgは−9℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:30.0g、BA:20.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、THPI:5.0g、EtAc:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
HA:30.0g、BA:20.0g、HEA:5.0g、CHMA:40.0g、THPI:5.0g、EtAc:100g、V−65:1.50g
得られた共重合体〔以下、「[A-1-3]」という〕を含む溶液の不揮発分は50.0%で、Mnは59,000、Mwは334,000、分子量分布(Mw/Mn)は5.7、Tgは−5℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:30.0g、BA:30.0g、St:30.0g、HEA:5.0g、THPI:5.0g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
HA:30.0g、BA:30.0g、St:30.0g、HEA:5.0g、THPI:5.0g、V−65:1.50g
滴下終了後5時間撹拌し、1時間毎にEtAc:50gを計4回加えた。
得られた共重合体〔以下、「[A-1-4]」という〕を含む溶液の不揮発分は48.6%で、Mnは36,700、Mwは274,000、分子量分布(Mw/Mn)は7.5、Tgは−5℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:9.0g、BA:46.0g、HEA:5.0g、CHA:40.0g、THPI:5.0g、トルエン:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
HA:9.0g、BA:46.0g、HEA:5.0g、CHA:40.0g、THPI:5.0g、トルエン:100g、V−65:1.50g
一旦室温まで冷却した後、5%酸素/95%窒素混合ガスを流量50mL/分で吹き込みながら、BHT:0.1g、DBTDL:0.1gを追加し、均一に溶解させた。その後80℃まで昇温して1時間保持した後、AOI:0.15gを一括仕込みし、80℃で2時間反応させた。
得られた共重合体〔以下、「([A-2-1]」という〕を含む溶液の不揮発分は50.5%、Mn23,400、Mw149,000、分子量分布(Mw/Mn)は6.4、Tgは−21℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、IBXA:30.0g、THPI:5.0g、AA:5.0g、酢酸エチル:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、IBXA:30.0g、THPI:5.0g、AA:5.0g、酢酸エチル:100g、V−65:1.50g
得られた共重合体〔以下、「[A-1-4]」という〕を含む溶液の不揮発分は48.9%、Mn20,900、Mw153,000、分子量分布(Mw/Mn)は7.3、Tgは−20℃であった。
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、IBXA:30.0g、THPI:5.0g、AA:5.0g、酢酸エチル:100g、V−65:0.10g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
HA:30.0g、BA:25.0g、HEA:5.0g、IBXA:30.0g、THPI:5.0g、AA:5.0g、酢酸エチル:100g、V−65:1.50g
一旦室温まで冷却した後、5%酸素/95%窒素混合ガスを流量50mL/分で吹き込みながら、BHT:0.1g、TBAB:0.1gを追加し、均一に溶解させた。その後80℃まで昇温して1時間保持した後、GMA:0.30gを一括仕込みし、80℃で48時間反応させた。
得られた共重合体〔以下、「[A-2-2]」という〕を含む溶液の不揮発分は50.4%、Mn21,000、Mw155,000、分子量分布(Mw/Mn)は7.4、Tgは−20℃であった。
特許文献7(特開2015−209430号公報)の製造例1に基づいて、共重合体を合成した。
撹拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、25℃で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
THPI:15.0g、MMA:14.5g、BA:10.5g、HEA:10.0g、EtAc:73g、V−65:0.10g、DM:0.01g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
THPI:15.0g、MMA:14.5g、BA:10.5g、HEA:10.0g、EtAc:45g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体〔以下、「[A'2]」という〕を含む溶液の不揮発分は49.9%で、Mnは15,100、Mwは227,000、分子量分布(Mw/Mn)は15.0、Tgは10℃であった。
特許文献7の製造例6に基づいて、共重合体を合成した。
撹拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、25℃で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
THPI:15.0g、CHA:20.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:10.0g、EtAc:73.0g、V−65:0.1g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
THPI:15.0g、CHA:20.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:10.0g、EtAc:45.0g、V−65:0.40g
得られた共重合体〔以下、「[A'3]」という〕を含む溶液の不揮発分は37.3%で、Mnは18,500、Mwは230,000、分子量分布(Mw/Mn)は12.4、Tgは13℃であった。
特許文献6(国際公開第2014/092186号パンフレット)の製造例9に基づいて、共重合体を合成した。
撹拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、25℃で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
BA:24g、HA:18g、CHMA:5g、HEA:3g、THPI:3g、EtAc:50g、V−65:0.1g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、70℃で30分撹拌した後、78℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
BA:10g、HA:8g、CHMA:25g、HEA:2g、THPI:2g、EtAc:30g、V−65:0.4g
得られた共重合体〔以下、「[A-2-3]」という〕を含む溶液の不揮発分は52.4%で、Mnは21,900、Mwは355,000、分子量分布(Mw/Mn)は16.2、Tg−16℃であった。
後記表3〜5に示す化合物を表3〜5に示す割合でステンレス製容器に投入し、室温にてマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、AE硬化型粘接着剤を得た。
尚、表3〜5において、上段は各成分の種類を意味し、下段の括弧書きは各成分の部数を意味する。
又、実施例1〜14及び比較例1〜4において、(A)成分及び(E)成分(有機溶剤)は、製造例で得られた共重合体溶液を使用して配合しており、表3〜5においては、(A)成分及び(E)成分を分けて記載している。比較例1〜5も、同様に記載している。
(B1)成分
・M−315:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、東亞合成製「アロニックスM−315」
・M−313:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ及びトリアクリレート、東亞合成製「アロニックスM−313」
・NDDA:1,9−ノナンジオールジアクリレート、共栄社化学製「ライトアクリレート1.9ND−A」
・DCPA:ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、共栄社化学「ライトアクリレートDCP−A」
・SP−1509:エポキシアクリレート、昭和電工製「リポキシSP−1509」
・M−140:N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、東亞合成製「アロニックスM−140」、分子量251.3
・M−5700:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、東亞合成製「アロニックスM−5700」、分子量222.2
・M−101A:フェノール(エチレンオキサイド変性)アクリレート、東亞合成製「アロニックスM−101A」、分子量236.3
・ACMO:アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ製「ACMO」、分子量141.2
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン製「ルシリンTPO」
・PBZ:4−フェニルベンゾフェノン、ランブソンジャパン製「スピードキュアPBZ」
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASFジャパン製「イルガキュア184」
・BMS:4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ランブソンジャパン製「スピードキュアBMS」
・BP:ベンソフェノン、ランブソンジャパン製「スピードキュアベンゾフェノン」
・TPO−L:エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、ランブソンジャパン製「スピードキュアTPO−L」
・E1001:1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、LAMBERTI社製「エザキュア1001M」
・DETX:2,4−ジエチルチオキサントン、日本化薬製「カヤキュアDETX−S」
・TPA:3官能イソシアネート化合物、旭化成ケミカルズ製「デュラネートTPA−100」
・P301:3官能イソシアネート化合物、旭化成ケミカルズ製「デュラネートP301−75E」
・T1890:3官能イソシアネート化合物、エボニック・ジャパン製「VESTANAT T1890/100」
・CO−L:3官能イソシアネート化合物、日本ポリウレタン製「コロネートL」
・KBM5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製「KBM−5103」
・KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製「KBM−503」
・T622:HALS系劣化防止剤、BASFジャパン製「チヌビン622SF」
・135A:ホスファイト系酸化防止剤、ADEKA製「アデカスタブ135A」
・Irg1010:フェノール系酸化防止剤、BASFジャパン製「イルガノックス1010」
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン、試薬
・3010:ホスファイト系酸化防止剤、ADEKA製「アデカスタブ3010」
・AO80:フェノール系酸化防止剤、ADEKA製「アデカスタブAO−80」
・FTR8120:石油系樹脂、三井化学製「FTR8120」、軟化点120℃
・FTR6125:石油系樹脂、三井化学製「FTR6125」、軟化点125℃
・DBTDL:ジ−n−ブチルスズジラウレート、試薬
幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、得られた組成物を乾燥後の膜厚が100μmになるようバーコーターで塗工し、熱風乾燥機で60℃×5分、さらに90℃×10分乾燥した。その後、粘接着剤層に、幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナKF」(シリコーン処理PETフィルム、厚さ50μm)をラミネートし、AE硬化型粘接着シート(以下、単に「粘接着シート」という。)を得た。
得られた粘接着シートについて、下記の方法で評価した。それらの結果を表6に示す。
実施例及び比較例で得られたAE硬化型フィルムを積層し、厚さ500μmのサンプルを作製した。
このAE硬化型フィルムの動的粘弾性をJIS K7244−4に準じて測定(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)し、ずりモードにおける85℃での貯蔵弾性率G’(85℃)を算出した。
実施例及び比較例で得られたAE硬化型フィルムの「フィルムバイナHTA」側から、高圧水銀ランプにて照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)になるよう光照射した。この接着剤硬化物を70℃のホットプレートで加熱しながら積層し、厚さ500μmのサンプルを作製した。
この硬化物の動的粘弾性をJIS K7244−4に準じて測定(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)し、ずりモードにおける85℃での貯蔵弾性率G’(85℃)を算出した。
実施例及び比較例で得られたAE硬化型フィルムの「フィルムバイナHTA」側から、高圧水銀ランプにて照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)になるよう光照射した。
この接着剤硬化物を、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製示差走査熱量計DSC6220を用いて、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点をTgとした。
(B2)成分は分子量が小さいため、AE硬化型フィルムを作製する際の溶剤乾燥時に揮発する。(B2)成分が溶剤乾燥時にどの程度残存するのかを表すのが(B2)成分残存率である。この値が大きければ、乾燥時に揮発する(B2)成分が少なくなるので経済的に有利であり、環境への負荷も低減する。
AE硬化型粘接着剤(乾燥前)と、AE硬化型フィルム(乾燥後)を0.2g精秤し、内標であるトルエン0.01g、希釈溶剤であるアセトン10gを加えて1時間撹拌した。その後、0.5μmメンブランフィルターで濾過して、ガスクロマトグラフィー測定を行い、(B2)成分の定量を行った。その後、乾燥後の(B2)成分量を乾燥前の(B2)成分量で除して、(B2)成分残存率とした。
AE硬化型フィルムの片側の離型フィルムを剥がし、易接着処理された膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA−4300」東洋紡製)に貼り合せた。もう一方の離型フィルムを剥がし、ポリカーボネートシート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト製、膜厚1mm)に貼り合わせ、高圧水銀ランプにて照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)になるよう光照射した。
上記積層体を、剥離幅25mm、25℃又は85℃の条件においてJIS K−6854−1に準じて90度剥離試験を実施し、剥離強度とした。
光硬化後の剥離強度は、3.0N/25mm以上であることが好ましく、さらに5.0N/25mm以上であることが好ましく、さらに10.0N/25mm以上であることが特に好ましい。
印刷法にて、ガラス上に5〜50μm(5μm刻み)の段差を形成した段差付ガラスを作製した。その後、AE硬化型フィルムの片側の離型フィルムを剥がし、ポリカーボネートシート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト製、膜厚1mm)に転写した。段差付ガラスとAE硬化型フィルム付ポリカーボネートを、以下の条件で常圧下にてゴムロールを用いて貼合した後、オートクレーブ処理し、すぐに光照射して硬化した。
貼合温度:25℃ 貼合圧力:0.3MPa 貼合速度:2mm/秒
オートクレーブ:50℃×30分、0.5MPa
光照射:高圧水銀、照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)
硬化後、段差横の空気溜りの有無を光学顕微鏡(倍率100倍)にて確認し、空気溜りがなく貼合できていれば合格として、追従できた最大追従段差(μm)を空隙充填性の指標とした。
粘接着シートの離型フィルム「フィルムバイナKF」を剥がし、易接着処理PETフィルム「コスモシャインA−4300」(東洋紡績(株)製、膜厚125μm)に貼り合せ、更にもう一方の離型フィルム「フィルムバイナHTA」を剥がし、あらかじめ95℃×24時間加熱してアニール処理を行ったポリカーボネートシート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト製、膜厚1mm)に貼り合せた。同様に、ポリカーボネートシートの裏面にも粘接着シートにより「コスモシャインA−4300」を貼り合せ、積層体サンプルを作製した。
オートクレーブ(50℃×30分、0.5MPa)後、「ポリカエースEC105」越しに高圧水銀ランプにて、照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)になるよう光照射した。
その後、室温で12時間状態調整した後、60℃/90%RH×100時間又は85℃/85%RH×100時間の環境試験を実施し、積層体の外観変化を目視で確認し、以下の水準で評価した。
○:発泡、はがれ等の外観不良がない。
△:発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが1〜2ヶ所以上発生
×:発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが3ヶ所以上発生
粘接着シートの離型フィルム「フィルムバイナKF」を剥がし、あらかじめ95℃×24時間加熱してアニール処理を行ったポリカーボネートシート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト製、膜厚1mm)に貼り合せた。
その後、白ガラス(松浪硝子工業製、膜厚1mm)と、AE硬化型フィルム付ポリカーボネートを、以下の条件で常圧下にてゴムロールを用いて貼合した後、オートクレーブ処理し、ガラス側からすぐに光照射して硬化した。
貼合温度:25℃ 貼合圧力:0.3MPa 貼合速度:2mm/秒
オートクレーブ:50℃×30分、0.5MPa
光照射:高圧水銀、照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)
その後、室温で12時間状態調整した後、以下の条件で冷熱衝撃試験を実施した。
装置:エスペック製小型冷熱衝撃装置TSE−11
試験条件:−30℃〜85℃、保持時間30分、100サイクル
積層体の外観変化を目視で確認し、以下の水準で評価した。
○:発泡、はがれ等の外観不良がない。
△:発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが1〜2ヶ所以上発生
×:発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが3ヶ所以上発生
評価するAE硬化型フィルムの片側の離型フィルムを剥がし、易接着処理された膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA−4300」東洋紡製)に貼り合せた。
もう一方の離型フィルムを剥がし、スライドグラスに貼り合せ、オートクレーブ(50℃×30分、0.5MPa)後、ポリエチレンテレフタレートフィルム越しに高圧水銀ランプにて、照度200mW/cm2、積算光量2J/cm2(365nm)になるよう光照射した。
1日経過した後、ヘイズメーターでヘイズを測定し、色差計でイエローインデックスを測定した。その後、95℃×100hr後のイエローインデックスも測定し、耐着色性の指標とした。
尚、ヘイズ、イエローインデックスとも数値が小さいほど、外観品質が良好であることを意味する。
又、実施例5は、(G)成分を含まない組成物であるため、初期のヘイズと着色は良好だったものの、耐熱試験後の着色が他の実施例と比較して不十分なものであった。
又、実施例11は、(B2)成分として分子量の小さなアクリロイルモルホリン(分子量141.2)を用いているため、AE硬化型フィルム製造の際の乾燥工程で大部分が揮発してしまい、経済的、環境負荷の観点からみて改善の余地があるものであった。
又、特許文献6の実施例10に基づいた組成物である実施例14は、耐ポリカ発泡性、耐冷熱衝撃性は良好だったものの、空隙充填性が不十分であり、かつ耐熱試験後の着色が大きいものであった。
又、特許文献7の実施例3、実施例12に基づいた組成物である比較例1、比較例2は、耐ポリカ発泡性は良好だったものの、耐冷熱衝撃性が不十分なものであった。
本発明の組成物によれば、特に軽量・薄型かつ耐久性も良好な光学フィルム積層体を、生産性良く製造することが可能となる。
以上の特長から、本発明のAE硬化型粘接着シートは、繊維、複合材料、セラミック、ガラス、ゴム、コンクリート、紙、金属、プラスチック等の同種あるいは異種材料間の接着剤として有用であり、具体的には、壁紙、積層合板、防犯ガラス等の建築材料の製造、自動車等のUVカットフィルター付き窓ガラスの製造、飲料用の瓶、缶、ボトル等へのラベルの接着、ショーウインドー等への展示物等の接着、光ディスク基板の接着、非接触ICカードの接着、ICチップの接着、有機EL照明のカバーガラスの接着、プロジェクションテレビ及び封止構造が完全固体構造である有機ELディスプレイ等のディスプレイ用部材の接着、タッチパネルと液晶パネルの接着及びタッチパネルとフロントウインドウ等のタッチパネルの接着、フラットパネルディスプレイに用いられる各種光学フィルム(輝度向上フィルム、プリズムシート、光拡散シート、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、偏光フィルム、位相差フィルム、カラーフィルター、導光板、防眩フィルム、反射防止フィルム、反射シート、導電性フィルム、近赤外カットフィルター、電磁波遮蔽フィルム、視野角コントロールフィルム、視野角補償フィルム、熱線反射フィルム、ガスバリアフィルム、薄膜トランジスタ等)の接着、電気回路に使用される積層板の接着等といった様々な材料や部材を接着や積層体の製造に好適に使用することができる。
Claims (20)
- 下記(A)〜(D)成分を含む組成物であって、
下記(A)及び(B)成分(以下、これらをまとめて「硬化性成分」という。)の合計100重量%中に、(A)成分を70〜96重量%及び(B)成分を4〜30重量%を含み、
硬化性成分の合計量100重量部に対して、(C)成分を0.05〜10重量部及び(D)成分を0.01〜5重量部含み、
活性エネルギー線照射後の硬化物のガラス転移温度が30℃未満であるプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
(A)成分:水酸基又は/及びカルボキシル基を有し、ガラス転移温度が−50〜5℃である共重合体
(B)成分:分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(D)成分:2個以上のイソシアネート基を有する化合物 - 組成物の乾燥被膜の85℃の貯蔵弾性率(測定周波数1Hz)が1×103Pa〜1×105Paを満たし、
組成物の活性エネルギー線照射後の硬化物の85℃貯蔵弾性率(測定周波数1Hz)が1×104Pa〜1×106Paを満たす
請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。 - (A)成分が、脂環式基、芳香族基及び複素環基から選ばれるいずれかの官能基を有し、さらに水酸基又は/及びカルボキシル基を有する共重合体である請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分が、重量平均分子量が10,000〜1,200,000、分子量分布(Mw/Mn)が8.0未満及びガラス転移温度が−50〜5℃である共重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分が、下記単量体(a)を0.1〜30重量%、下記単量体(b)を10〜89.9重量%、下記単量体(c)を10〜60重量%を共重合してなる共重合体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
単量体(a):水酸基又はカルボキシル基と、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
単量体(b):炭素数が1〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
単量体(c):脂環式基、芳香族基又は複素環基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物 - (A)成分が、さらにエチレン性不飽和基を有する共重合体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分である共重合体(A−1)が、少なくとも下記単量体(a)を0.1〜30重量%、下記単量体(b)を10〜89.8重量%、下記単量体(c)を10〜60重量%、下記単量体(d)を0.1〜50重量%を共重合してなる共重合体である請求項6又は請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
単量体(a):水酸基又はカルボキシル基と、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
単量体(b):炭素数が1〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
単量体(c):脂環式基、芳香族基又は複素環基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物
単量体(d):上記一般式(1)で表されるマレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物 - (A)成分が、エチレン性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を有する重合体(A−2)である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分である共重合体(A−2)が、少なくとも下記単量体(e)を0.1〜30重量%、下記単量体(b)を10〜89.9重量%、下記単量体(c)を10〜60重量%、及び任意に下記単量体(d)を0〜50重量%を共重合した官能基含有共重合体100重量部に対し、下記単量体(f)を0.1〜20重量部を反応させてなる共重合体である請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
単量体(e):水酸基、カルボキシル基又はエポキシ基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物
単量体(b):炭素数が1〜14個のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート
単量体(c):脂環式基、芳香族基又は複素環基と、1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物
単量体(d):上記一般式(1)で表されるマレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物
単量体(f):単量体(e)の官能基と反応する官能基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物 - (B)成分が、下記(B1)成分及び(B2)成分を含み、硬化性成分の合計100重量%中に、(B1)成分を2〜20重量%及び(B2)成分を2〜20重量%含む請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
(B1)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(B2)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物 - (D)成分が、脂肪族又は脂肪族環構造を有し、2個以上のイソシアネート基を有する化合物である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- さらに、組成物中の硬化性成分100重量部に対し、(E)有機溶剤を1〜1,000重量部含む請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- さらに、組成物中の硬化性成分100重量部に対し、(F)シランカップリング剤を0.1〜5重量部含む請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- さらに、組成物中の硬化性成分100重量部に対し、(G)劣化防止剤を0.1〜5重量部含む請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- さらに、組成物中の硬化性成分100重量部に対し、(H)高軟化点樹脂を2〜30重量部含む請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- 離型処理された基材、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の組成物から得られる活性エネルギー線硬化型粘接着層及び離型処理された基材が、この順に形成されてなる活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート。
- 請求項18記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートの一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面と被着体とを粘着させる工程
もう一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面と他の被着体とを粘着させる工程、及び
いずれかの被着体の側から活性エネルギー線を照射する工程
をこの順で含む積層体の製造方法。 - 被着体、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の組成物から得られる活性エネルギー線硬化型粘接着層の硬化物及び他の被着体が、この順に形成されてなる積層体。
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