JP2015209430A - プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)〜(E)成分を特定割合で含むプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
(A)成分:マレイミド基と極性基とを有し、ガラス転移温度が0℃を超え40℃以下である重合体
(B)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
(D)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(E)成分:熱硬化型架橋剤
【選択図】なし
Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、以下において、特に明示する必要がない場合は、プラスチック製フィルム又はシートをまとめて「プラスチックフィルム」と表し、フィルム又はシートをまとめて「フィルム」と表す。
近年、これらのモバイル機器用の画像表示装置において、表面保護層又はタッチパネルと画像表示ユニットの表示面との間や、表面保護層とタッチパネルとの間に存在する空隙を、屈折率がこれらの部材に近い透明材料を充填することにより、光の反射を抑制して透過性を向上させ、画像表示装置の輝度やコントラストを向上させる方法が提案されている。透明材料としては、透明樹脂シート、反応硬化性液状樹脂、粘着剤等が挙げられる。
しかし、透明樹脂シートは液状樹脂や粘着剤よりも弾性率が高いので空隙充填性が悪いという問題がある。
又、反応硬化性液状樹脂は、液体を扱うプロセスとなり製造工程が複雑になり、さらにシリコーンゲルでは接着力が低く信頼性に問題がある。
しかし、画像表示装置における表面保護層が遮光層等の凹凸形状を有し、かかる凹凸形状面に粘着剤を貼り合わせる場合や、凹凸形状を有する層が設けられた画像表示ユニットの表示面に粘着剤を貼り合わせる場合は、それらの凹凸形状も隙間なく充填し、かつ高温や高湿度条件下に長時間置かれても表面保護層、画像表示ユニットの表示面、又はタッチパネルモジュールとの界面で気泡や剥がれが発生せず、更に白化することがないことが必要である。近年、意匠性の点から凹凸形状の膜厚が大きくなる傾向があり、空隙充填性と信頼性に対する要求はますます高まっており、この課題を解決する空隙充填用樹脂が求められている。
近年では、タッチパネルの薄型軽量化、透過率の向上及び部材のコストダウンの目的で、カバーガラスにITO等のタッチセンサを直接形成するカバー一体型タッチパネル、いわゆるOGS(One Glass Solution)が一部採用されている。しかしながら、OGSタイプのタッチパネルは、ガラスの耐衝撃性が不十分であるため、モバイル機器を落とすとカバーガラスが割れやすく、タッチパネルを操作できなくなってしまう問題を有する。
そこで、カバーの材料としてガラスに代え耐衝撃性に優れるプラスチックを使用し、プラスチックにITO等のタッチセンサを直接形成する、いわゆるOPS(One Plastic Solution)が提案されている。
本発明者は、空隙充填性と信頼性に優れ、物品に、特に画像表示装置の表面保護層、画像表示ユニットの表示面又はタッチパネル等に貼付した際、界面で気泡が発生せず、さらに、高温・高湿度下で長時間置かれても気泡や剥がれが発生せず、剥離強度にも優れるプラスチック製フィルム用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物を見出すため、鋭意検討を行ったのである。
即ち、本発明は、下記(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E)成分、及び、任意に(C)成分を含み、
下記(A)〜(C)成分(以下、これらをまとめて「硬化性成分」という。)の合計中に、(A)成分を40〜90重量%、(B)成分を10〜60重量%及び(C)成分を0〜20重量%含み、
硬化性成分の合計量100重量部に対して、(D)成分を0.05〜10重量部及び(E)成分を0.01〜3重量部含むことを特徴とする
プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物に関する。
(A)成分:マレイミド基と極性基とを有し、ガラス転移温度が0℃を超え40℃以下である重合体
(B)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
(D)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(E)成分:熱硬化型架橋剤
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分:マレイミド基と極性基とを有し、ガラス転移温度が0℃を超え40℃以下である重合体
(B)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
(D)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(E)成分:熱硬化型架橋剤
本発明の活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(D)成分、及び、(E)成分を必須成分として含み、また、任意成分として(C)成分を含んでいてもよい組成物である。
尚、本発明において硬化性成分とは、前記(A)〜(C)成分を意味し、マレイミド基又はエチレン性不飽和基を少なくとも有する化合物で、活性エネルギー線の照射により架橋・硬化する成分を意味する。
以下、(A)〜(E)成分について説明する。
本発明における(A)成分は、マレイミド基と極性基とを有し、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)が0℃を超え40℃以下である重合体である。又、(A)成分は、非粘着性の重合体であることが好ましい。
(A)成分のマレイミド基としては、重合体鎖と連結する部分以外にマレイミド環上に置換基を有していてもよく、下記式(1)で表される基が好ましい。
R1及びR2におけるアルケニル基としては、炭素数4以下のアルケニル基が好ましい。
R1及びR2におけるアリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、フェニル基等を挙げることができる。
R1及びR2における一つとなって5員環若しくは6員環を形成する炭化水素基としては、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等の飽和炭化水素基、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−等の不飽和炭化水素基が挙げられる。
尚、前記不飽和炭化水素基において、マレイミド基が2量化反応するためには、最終的に得られる5員環又は6員環が芳香族性を有しないものを選択する必要がある。当該炭化水素基としては、飽和の炭化水素基が好ましい。
R1及びR2としては、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が、(A)成分製造における分子量制御が容易である点で好ましい。
更に、これらの中でも、R1及びR2としては、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が(A)成分製造における分子量制御が特に容易であり、接着力にも優れる点でより好ましい。
さらに、組成物を酸化インジウムスズ(ITO)等から形成される透明導電層や銀ナノワイヤー等の粘接着に適用する場合は、耐腐食性に優れる点で、水酸基が好ましい。
尚、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」と略す。)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値を意味する。
尚、本発明においてTgとは、示査走査熱量測定によって得られる熱流量曲線の、ベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点を意味する。
(A)成分の含有割合が40重量%に満たないと、密着性が低下する。また、後述するAE硬化型フィルムの形に加工した際、保管中に流動や変形を起こすなど、さまざまな不具合が生じてしまい、90重量%を超えると、塗膜硬度を十分に高くすることができなくなってしまう。
以下、(A−1)、(A−2)成分について詳述する。
(A−1)成分は、マレイミド基及び水酸基を有する重合体であり、(A−2)成分は、マレイミド基及びカルボキシル基を有する重合体である。
ここでマレイミド基としては、前述した通りである。
1-1)マレイミド基を含有するエチレン性不飽和化合物及び水酸基を含有するエチレン性不飽和化合物(以下、「水酸基含有不飽和化合物」ともいう。)を必須構成単量体単位とする共重合体。
1-2)水酸基含有不飽和化合物を必須構成単量体単位とする水酸基含有重合体に、マレイミド基とイソシアネート基とを有する化合物を付加させた重合体。
1-3)水酸基含有不飽和化合物とカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物(以下、「カルボキシル基含有不飽和化合物」ともいう。)を必須構成単量体単位とする水酸基及びカルボキシル基含有重合体に、マレイミド基とエポキシ基とを有する化合物を付加させた重合体。
1-4)水酸基含有不飽和化合物とエポキシ基とを含有するエチレン性不飽和化合物(以下、「エポキシ基含有不飽和化合物」ともいう。)を必須構成単量体単位とする水酸基及びエポキシ基含有重合体に、マレイミド基とカルボキシル基とを有する化合物を付加させた重合体。
1-5)水酸基含有不飽和化合物と酸無水物基とを含有するエチレン性不飽和化合物(以下、「酸無水物基含有不飽和化合物」ともいう。)必須構成単量体単位とする水酸基及び酸無水物基含有重合体に、マレイミド基と水酸基とを有する化合物を付加させた重合体。
1-6)水酸基及びエポキシ基含有重合体に、マレイミド基とカルボキシル基とを有する化合物を付加させた重合体。
2-1)マレイミド基を含有するエチレン性不飽和化合物及びカルボキシル基を含有するエチレン性不飽和化合物(以下、「カルボキシル基含有不飽和化合物」ともいう。)を必須構成単量体単位とする共重合体。
2-2)カルボキシル基含有不飽和化合物を必須構成単量体単位とするカルボキシル基含有重合体に、マレイミド基とイソシアネート基とを有する化合物を付加させた重合体。
2-3)カルボキシル基含有不飽和化合物を必須構成単量体単位とするカルボキシル基含有重合体に、マレイミド基とエポキシ基とを有する化合物を付加させた重合体。
2-4)酸無水物基を含有するエチレン性不飽和化合物を必須構成単量体単位とする酸無水物基含有重合体に、マレイミド基と水酸基とを有する化合物を付加させた重合体。
更に、前記1-1)及び2-1)の重合体としては、前記式(1)で表されるマレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)〔以下、「単量体(a)」ともいう。〕、水酸基又はカルボキシル基と、エチレン性不飽和基とを有する化合物(b)〔以下、「単量体(b)」ともいう。〕、並びに、単量体(a)及び(b)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(c)〔以下、「単量体(c)」ともいう。〕を共重合して得られる重合体〔以下、「重合体(A11)」ともいう。〕がより好ましい。
以下、単量体(a)〜(c)について説明する。
単量体(a)は、前記マレイミド基及び当該マレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。単量体(a)を共重合することで(A−1)成分に感光性基であるマレイミド基を導入でき、得られる組成物の光硬化性、密着性、硬化後の弾性率を向上させることができる。
マレイミド基以外のエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
R3のアルキレン基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基である。
単量体(b)は、水酸基又はカルボキシル基と、エチレン性不飽和基とを有する化合物である。単量体(b)を共重合することで重合体(A11)に水酸基又はカルボキシル基を導入でき、得られる組成物の基材への密着性を向上させることができる。
単量体(b)としては、単量体(a)と共重合性を有し、かつ水酸基又はカルボキシル基を有していれば種々の化合物を使用でき、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」ともいう。〕、ビニル化合物、ビニルエステル、共役ジエン等を挙げることができる。
これらの単量体(b)は、1種又は2種以上用いることができる。
重合体(A11)のTgや粘着力、接着力等の物性を調整する目的で、単量体(c)を共重合することができる。単量体(c)としては、単量体(a)及び(b)と共重合性を有し、単量体(a)及び(b)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用でき、単官能(メタ)アクリレート、ビニル化合物、ビニルエステル、共役ジエン及び(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びトリシクロデカン(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びo−フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート(アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる);
ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びN−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環を有する(メタ)アクリレート;並びに
モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェート、モノ〔3−クロロ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ホスフェート、モノ〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェートモノエタノールアミン塩、モノ〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、〔モノ(ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート)塩、モノ〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ホスフェート、〔モノ(ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート)塩等のリン酸(メタ)アクリレートが挙げられる。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
重合体(A11)の製造方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等の常法に従い製造すればよい。
又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。レドックス開始剤の例としては、過酸化水素−鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド−鉄(II)塩等が挙げられる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール及び1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル及び酢酸イソペンチル等のエステル系溶剤;
ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン及びε−カプロラクタム等の窒素化合物系溶剤;並びに
ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄化合物系溶剤が挙げられる。
単量体(a)は、5〜50重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
単量体(b)は、1〜30重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましい。
単量体(c)は、20〜94重量%が好ましく、45〜89重量%がより好ましい。
単量体(a)の共重合割合を5重量%以上とすることで、得られる組成物の光硬化性を十分なものとすることができ、50重量%以下とすることで、(A−1)成分の製造を容易にすることができるうえ、得られる組成物の接着力に優れ、かつ着色を少なくすることができる。
単量体(b)の共重合割合を1重量%以上とすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、30重量%以下とすることで、組成物の耐湿性を維持することができる。
単量体(c)の共重合割合を20重量%以上にすることで、組成物と被着体との接着力が高くすることができ、94重量%以下とすることで、組成物の密着性、光硬化性を維持することができる。
本発明の組成物は、硬化物に優れた硬度、接着力及び耐熱性を付与する目的で、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)〔以下、単に「(B)成分」ともいう。〕を配合する。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリルアミド基が挙げられる。
また、(B)成分におけるエチレン性不飽和基の数は、2〜20個であることが好ましく、2〜10個であることがより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2〜5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばジャパンエポキシレジン(株)製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。又、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート152、エピコート154等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。
多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
25℃における粘度が1,000〜10,000,000mPa・sである化合物として、具体的には、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが好ましい。
(B)成分の25℃における粘度を1,000mPa・s以上とすることで、活性エネルギー線照射前の粘着力や保存安定性を良好にすることができる。一方、粘度が10,000,000mPa・s以下であると、組成物を製造するときの作業性、及び、硬化物の外観に優れる。
(B)成分の含有割合が10重量%に満たないと、硬化物の硬度を十分に高くすることができなくなってしまい、60重量%を超えると、密着性が低下したり、後述するAE硬化型フィルムの形に加工した際、保管中に流動や変形を起こすなど、さまざまな不具合が生じてしまう。
又、(B)成分は、1種又は2種以上用いることができる。
本発明の組成物には、より優れた接着力、耐熱性を示す組成物を得る目的で、必要に応じて、硬化性成分として、分子中に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)を配合することができる。なお、本発明における(C)成分には、後述するエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤は含まないものとする。
また、分子中に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物は、ケイ素原子を有しないことが好ましい。
具体的には、前述した単量体(a)、(b)、(c)が挙げられ、単官能(メタ)アクリレート、ビニル化合物、ビニルエステル、共役ジエン及び(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
又、(C)成分は、1種又は2種以上用いることができる。
本発明における(D)成分は、光重合開始剤及び/又は増感剤である。(D)成分を含むことにより、硬化物を接着力及び耐熱性、表面硬度に優れたものとすることができる。
通常、(A)成分のエチレン性不飽和基がビニル基や(メタ)アクリロイル基等である場合、これらの基の光重合を開始するものを光重合開始剤と定義し、(A)成分のエチレン性不飽和基がマレイミド基の場合、この光二量化を促進するものを増感剤と定義するが、両方の機能を有する化合物もあり区別が困難であるため、本発明では「光重合開始剤及び/又は増感剤」と定義する。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
(D)成分の配合割合が0.05重量部に満たないと、適量な紫外線光量で組成物を硬化させることができず、生産性を向上させることができず、一方、10重量部を超えると、硬化物を耐侯性や透明性が低下してしまうことがある。
本発明の組成物において、硬化前の被膜に優れた貯蔵安定性、剥離性を付与できるため、(E)成分の熱硬化型架橋剤を配合する。
(E)成分としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、及び、アミノ系樹脂、有機金属架橋剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の架橋剤が好ましく挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は市販されており、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。
(E)成分の含有割合が0.01〜3重量部の範囲から外れると、当該組成物を硬化した層の初期接着力が低くなり過ぎたり、貯蔵安定性が低下してしまう。
本発明の組成物は、前記した(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分を必須とするものであるが、これら以外に、必要に応じて、(C)成分や他の種々の成分を含むものであってもよい。以下、その他の成分について説明する。
本発明の組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含むものが好ましい。有機溶剤としては、(A)成分の製造で使用した有機溶剤をそのまま使用してもよく、別途添加してもよい。有機溶剤の具体例としては、前記した(A)成分の製造で使用した有機溶剤を挙げることができる。
有機溶剤の配合割合としては、適宜設定すればよいが、組成物中に10〜90重量%が好ましく、30〜80重量%であることがより好ましい。
本発明の組成物において、硬化物の経時劣化を防止するため、劣化防止剤を配合することが好ましい。
劣化防止剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等のヒンダードフェノール化合物、高分子フェノール化合物等の種々のフェノール系酸化防止剤や、ヒンダードアミン系、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤、クペロン系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
光安定剤としては、BASF社製TINUVIN 111FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本発明の組成物には、基材との密着性を高め、耐湿熱性等を向上させる目的でシランカップリング剤を配合することが好ましい。
シランカップリング剤は、1分子中に1個以上のアルコキシシリル基と1個以上の有機官能基を有する化合物であり、有機官能基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
なお、前述したように、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤は、(C)成分には含まれないものとする。
また、シランカップリング剤におけるアルコキシシリル基の数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、シランカップリング剤における有機官能基の数は、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
シランカップリング剤の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0.5重量部以上5重量%以下であることが、耐湿熱性向上とアウトガス低減の点から好ましい。
本発明の組成物には、前記以外にも必要に応じて後記するその他の成分を配合することもできる。具体的には、光重合開始助剤、無機材料、レベリング剤、(A)成分以外の高分子ポリマー、可塑剤、重合禁止剤、表面潤滑剤、消泡剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
以下これらの成分について説明する。
光重合開始助剤としては、脂肪族アミンあるいはジエチルアミノフェノン、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアシル等の芳香族アミン等が挙げられる。
光重合開始助剤の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0〜10重量%であることが好ましく、0〜5重量%であることがより好ましい。
無機材料としては、コロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、タルク及び粘土等が挙げられる。
無機材料の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0〜50重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましく、0〜10重量%であることが更に好ましい。
レベリング剤としては、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合割合は、組成物の固形分100重量部に対して、0.5重量%以下であることが、接着性能への悪影響が小さいため好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルアジペート、リン酸トリクレシル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィン等が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。
表面潤滑剤、消泡剤としては有機ポリマー系、シリコーン系、フッ素系等が挙げられる。
帯電防止剤としては、四級アンモニウム系、ポリエーテル系、導電性粉末等が挙げられる。
これらの添加剤の使用量は目的に応じ上記範囲内で適宜定められる。
本発明の組成物は、前記(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分を必須とするものである。
本発明の組成物の製造方法は常法に従えばよく、前記(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分、必要に応じて、(C)成分やその他の成分を撹拌・混合して得ることができる。必要に応じて、加熱することにより混合時間を短くすることができる。
組成物の被膜層(塗工被膜又は乾燥被膜)の25℃貯蔵弾性率G’(周波数1Hz)(以下、単に「G’(25℃)」という)が0.001〜1.0MPaで、
組成物の被膜層の85℃貯蔵弾性率G’(周波数1Hz)(以下、単に「G’(85℃)」という)が0.001〜0.05MPaであり、かつ
活性エネルギー線照射後における組成物の硬化物の85℃貯蔵弾性率E’(周波数1Hz)(以下、単に「E’」という)が5.0〜5000MPaであるものが好ましい。
尚、塗工被膜とは、(D)成分(有機溶剤)を含まない無溶剤型組成物を塗工して得られる被膜を意味し、乾燥被膜とは(D)成分(有機溶剤)を含む組成物を塗工した後、加熱・乾燥して得られる被膜を意味する。
活性エネルギー線照射前の被膜層のG’(25℃)を0.001MPa以上とすることで、被着体に貼り付ける際に、被膜層(充填樹脂層)の漏出することがなく、積層体の製造を良好にすることができる。又、G’(25℃)を1.0MPa以下とすることで、10〜20μm程度の凹凸形状面を有する被着体に被膜層を含むフィルムを貼り合わせた場合において、画像表示装置の表示欠陥や表示ムラの発生を防止することができる。
尚、G’(25℃)としては、0.002〜0.7MPaがより好ましい。
G’(85℃)としては、0.001〜0.01MPaがより好ましい。
本発明においてG’(25℃)とは、厚さ100μm、歪み0.2%、測定周波数1Hz、昇温速度2℃/分で測定を行い、25℃で測定した値をいい、G’(85℃)とは、同様の条件で85℃で測定した値をいう。
組成物の硬化物のE’は、組成物における各成分の種類、分子量、組成比を適宜変更することによって調整することができる。
本発明においてE’とは、厚さ100μm、紫外線積算光量2J/cm2(365nm光)で硬化させたサンプルを、歪み0.5%、周波数1Hz、昇温速度2℃/分で測定を行い、85℃で測定した値をいう。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート(AE硬化型フィルム)の製造に使用される。
AE硬化型フィルムは、基材に、前記組成物の粘接着層を有するものである。
当該基材の材質としては、具体的にはガラス、アルミ等の金属、金属や金属酸化物の蒸着膜、シリコン及びポリマー等が挙げられる。
ポリマーとしては、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエーテルサルホン、上記ポリマーの共重合体、液晶ポリマー及びフッ素樹脂等が挙げられる。
ポリマーとしては、シート又はフィルム状のものが好ましい。
前記した通り、本発明の組成物は、被着体としてポリカーボネート及び(メタ)アクリル樹脂に適用した場合においても、優れた耐発泡性を有するものである。
基材が被着体である場合は、前記した材料から構成される部材等が挙げられ、好ましくは画像表示装置で使用される部材等が挙げられる。
離型処理フィルムにおける離型処理としては、シリコーン処理、長鎖アルキル処理及びフッ素処理等が挙げられる。具体例としては、離形処理されたポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)フィルム、ポリオレフィンフィルム、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。好ましい具体的としては、シリコーン処理PETフィルム等が挙げられる。
剥離性を有する表面未処理フィルムとしては、表面未処理PETフィルム、表面未処理OPP(延伸ポリプロピレン)フィルム等の表面未処理ポリオレフィンフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理されたPETフィルム、表面未処理PETフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーが好ましい。
・AE硬化型フィルムB2:基材/粘接着剤層/離型材
・AE硬化型フィルムB3:離型材/粘接着剤層/離型材
AE硬化型フィルムとしては、上記B3のフィルムが好ましく、上記B3のフィルムにおいて、離型材がシリコーン処理されたPETフィルム、表面未処理PETフィルムである下記態様のフィルムがより好ましい。
シリコーン処理PET処理フィルム/粘接着剤層/シリコーン処理PET処理フィルム
シリコーン処理PET処理フィルム/粘接着剤層/表面未処理PETフィルム
また、Raの下限値は0であり、離型材のRaは、0〜30nmであることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、2〜20nmであることがさらに好ましい。
粘接着剤層の膜厚を0.5μm以上とすることによって、剥離強度を高くすることができ、被着体に凹凸が存在した場合でも隙間なく充填することが可能となる。又、膜厚を500μm以下とすることにより、積層体の膜厚を小さくして軽量化が可能になることと、乾燥後の塗膜に含まれる溶剤を少なくすることができる。
又、粘接着剤層の膜厚が離型材を剥離しているときに、スリップスティック現象と呼ばれる、剥離中に基材が引っ掛ったり、急激に剥離したりを繰り返して、高い剥離力と低い剥離力の間を振動する現象が発生すると、粘接着剤層が変形して跡が残りやすい。
また、上記剥離強度の下限値は、0N/mmである。
当該剥離強度を満たす離型処理フィルムとしては、藤森工業(株)製フィルムバイナHTA、KF、BD、DG−2等が挙げられる。
この場合、粘接着剤層の膜厚と2枚の離型処理フィルムの膜厚とが、下記式(T)の値で1以下であるAE硬化型フィルムが好ましく、下記式(T)の値で0.1〜1がより好ましく、下記式(T)の値で0.4〜0.9が更に好ましい。
(粘接着剤層の膜厚)/(2枚の離型処理フィルムの合計膜厚)・・・(T)
上記式(T)の値で1以下であるAE硬化型フィルムは、AE硬化型フィルムの保管中にシワやトンネル状欠陥が発生を防止することができる。
このようなAE硬化型フィルムを用いることで、凹凸形状を有している表面保護層、又は、凹凸形状を有する層(例えば、偏光板)が設けられた画像表示ユニット表示面に適用する場合でも、凹凸を吸収して空隙を充填することができ、その結果、画像表示装置における表示欠陥の発生を防止できる。又、フィルム自体の厚さにバラツキが存在する場合も、十分な柔軟性を有することから、被着体表面と隙間なく貼り合わせることができ、画像表示装置における表示ムラの発生を防ぐことができる。
AE硬化型フィルムの製造方法としては、目的に応じて種々の使用方法を採用することができる。
具体的には、基材に本発明の組成物を塗工し塗工被膜を形成するか、又は、必要に応じて加熱・乾燥して乾燥被膜を形成した後に、更に別の基材を貼り合わせて製造する方法等が挙げられる。
図1は、基材/粘接着剤層/離型材から構成されるAE硬化型フィルムB2の好ましい製造方法の一例を示す。
図1において、(1)は基材を意味し、(3)は離型材を意味する。
組成物が無溶剤型の場合(図1:A1)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工する。組成物が有機溶剤等を含む場合(図1:A2)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工した後に、乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる(図1:1−1)。
これらの方法により、基材上に粘接着剤層が形成された〔図1:(2)〕、AE硬化型フィルムが製造される(図1:B1)。
このAE硬化型フィルムB1には、必要に応じて粘接着剤層に、離型材(3)を保護フィルムとしてラミネートしておくことが好ましい(図1:B2)。
上記において、基材(1)としても離型材を使用すれば、離型材/粘接着剤層/離型材から構成されるAE硬化型フィルムB3を製造することができる。
塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すればよく、従来公知のバーコート、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すればよく、40〜140℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。
本発明のAE硬化型フィルムは、積層体の製造に好ましく使用することができる。
積層体の製造方法としては、AE硬化型フィルムの基材又は被着体の少なくともいずれか一方を透明性材料とし、これらを貼り合せ、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して硬化させる方法が挙げられる。又、AE硬化型フィルムと被着体を貼り合わせた後、活性エネルギー線で硬化させることも、被着体同士を貼り合わせた後で活性エネルギー線を照射することも可能である。
又、本発明のAE硬化型フィルムは、種々の空隙を有する物品(以下、単に「物品」)の空隙の充填に使用することができ、画像表示装置、ブルーレイ等の記録メディア、ナノインプリント材料の製造に好ましく使用でき、画像表示装置の製造により好ましく使用することができる。
物品の空隙充填方法としては、AE硬化型フィルムの基材又は被着体の少なくともいずれか一方を透明性材料とし、これらを貼り合せ、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられる。
活性エネルギー線照射における、照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すればよい。
図2は、離型材でラミネートされたAE硬化型フィルムを使用し、シート状の基材側から活性エネルギー線を照射して硬化させる例を示している。図2のAE硬化型フィルムB2において、(1)は基材、(2)は粘接着剤層(又は、空隙樹脂層)、(3)は離型材を意味する。
図2では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図2:2−1)、粘接着剤層と被着体(4)を密着させた後(図2:2−2)、基材側から活性エネルギー線を照射し(図2:2−3)、積層体である物品(図2:2−4)が製造される。
図3では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図:3−1)、粘接着剤層と被着体〔図2:(5)〕を密着させた後(図3:3−2)、もう一方の離型材を離型し(図:3−3)、粘接着剤層と別の被着体〔図2:(4)〕を密着させた後(図3:3−4)、被着体(1)側から活性エネルギー線を照射し(図3:3−5)、積層体である物品(図3:3−6)が製造される。
図4では、使用直前にAE硬化型フィルムから離型材を離型し(図:4−1)、粘接着剤層(又は、空隙樹脂層)と被着体〔図4:(5)〕を密着させた後(図4:4−2)、離型材(3)側から活性エネルギー線を照射し(図4:4−3)、もう一方の離型材を離型して(図4:4−4)、積層体である物品(図4:4−5)が製造される。
本発明のAE硬化型フィルムから製造される物品としては、前記した通り、画像表示装置、記録メディア及びナノインプリント材料等が挙げられ、画像表示装置が好ましく、より好ましくは、タッチパネルを含む画像表示装置(以下、「タッチパネル型画像表示装置」という。)である。
以下、タッチパネル型画像表示装置について説明する。
本発明のAE硬化型フィルムは、表面保護層又はタッチパネルと画像表示ユニットとの空隙、表面保護層とタッチパネルとの空隙を埋めるために主に使用することができる。
本発明の画像形成装置は、本発明の活性エネルギー線硬化型粘接着剤用樹脂組成物の硬化物により、タッチパネルモジュール、表面保護層、及び、画像表示ユニットよりなる群から選ばれた少なくとも1つが固定されていることが好ましい。
表面保護層は、高分子フィルム、又はガラス等のみから構成されていても、他の層とともに複数の層から構成されていてもよい。
表面保護層は、画像表示装置の保護フィルム等として従来から使用されているものであればよく、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂及びガラス等が挙げられ、本願発明のAE硬化型フィルムは、前記した通りプラスチック製フィルムの耐発泡性に優れるため、表面保護層として、ポリカーボネート及び(メタ)アクリル樹脂が使用される場合に好ましく適用できるものである。
表面保護層の厚さは、好ましくは0.1〜5mmである。
例えば、耐磨耗性及び耐擦傷性は、ハードコート層を形成することで得られる。更に、該ハードコート層に帯電防止性、防汚性等を付与することも可能である。
このような追加の層が、表面保護層の一部の領域に形成されている場合には、表面保護層は凹凸形状を有する表面となる。この場合の表面保護層の厚さは、全体として、好ましくは0.1〜6mmである。
画像表示ユニットの表示面には、追加の機能層(一層又は多層)、例えば、偏光板等を設けることができる。又、タッチパネルが画像表示ユニットの表示面に存在していてもよい。
当該電子装置の具体例としては、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子書籍、カーナビゲーションシステム、携帯音楽プレーヤー、時計、タブレット型コンピューター、ビデオカメラ、ビデオプレーヤー、デジタルカメラ、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)装置及びパーソナルコンピュータ(PC)等が挙げられる。
製造例で使用した略号の意味は、以下のとおりである。
THPI :下記式(11)で表される化合物
MMA :メチルメタクリレート
HA :2−エチルヘキシルアクリレート
BA :ブチルアクリレート
EHMA :2−エチルヘキシルメタクリレート
CHA :シクロヘキシルアクリレート
CHMA :シクロヘキシルメタクリレート
EtAc :酢酸エチル
BuAc :酢酸ブチル
V−65 :2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
AMBN :2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
DM :ドデシルメルカプタン
撹拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、25℃で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させた。
THPI:15.0g、MMA:14.5g、BA:10.5g、HEA:10.0g、EtAc:73g、V−65:0.10g、DM:0.01g
窒素吹き込みを続けながら、この後昇温して、85℃で30分撹拌した後、90℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌した。
THPI:15.0g、MMA:14.5g、BA:10.5g、HEA:10.0g、EtAc:45g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体A−1を含む溶液の不揮発分は49.8%で、A−1のMnは15,300、Mwは223,000、Tg10℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:15.0g、CHA:25.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:5.0g、EtAc:94.9g、V−65:0.1g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:15.0g、CHA:25.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:5.0g、EtAc:58.5g、V−65:0.4g
得られた共重合体A−2を含む溶液の不揮発分は39.4%で、A−2のMnは18,300、Mwは139,000、Tg14℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:0.5g、MMA:28.5g、BA:16.0g、HEA:5.0g、EtAc:91.3g、V−65:0.10g、DM:0.01g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:0.5g、MMA:28.5g、BA:16.0g、HEA:5.0g、EtAc:56.3g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体A−3を含む溶液の不揮発分は40.0%で、A−3のMnは24,500、Mwは156,000、Tg12℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:2.5g、MMA:26.5g、BA:16.0g、HEA:5.0g、EtAc:62.8g、V−65:0.10g、DM:0.01g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:2.5g、MMA:26.5g、BA:16.0g、HEA:5.0g、EtAc:38.7g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体A−4を含む溶液の不揮発分は49.7%で、A−4のMnは28,200、Mwは139,000、Tg33℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:5.0g、MMA:24.5g、BA:15.5g、HEA:5.0g、EtAc:62.1g、V−65:0.10g、DM:0.01g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:5.0g、MMA:24.5g、BA:15.5g、HEA:5.0g、EtAc:38.3g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体A−5を含む溶液の不揮発分は49.8%で、A−5のMnは26,300、Mwは175,000、Tg30℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:15.0g、CHA:20.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:10.0g、EtAc:73.0g、V−65:0.1g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:15.0g、CHA:20.0g、HA:2.5g、BA:2.5g、HEA:10.0g、EtAc:45.0g、V−65:0.40g
得られた共重合体A−6を含む溶液の不揮発分は37.2%で、A−6のMnは19,300、Mwは231,000、Tg13℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:5.0g、MMA:20.0g、BA:15.0g、HEA:10.0g、EtAc:89.8g、V−65:0.10g、DM:0.01g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:5.0g、MMA:20.0g、BA:15.0g、HEA:10.0g、EtAc:55.4g、V−65:0.40g、DM:0.05g
得られた共重合体A−7を含む溶液の不揮発分は40.8%で、A−7のMnは23,500、Mwは242,000、Tg1℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:2.5g、CHA:20.0g、HA:10.0g、BA:15.0g、HEA:2.5g、EtAc:86.1g、V−65:0.10g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:2.5g、CHA:20.0g、HA:10.0g、BA:15.0g、HEA:2.5g、EtAc:53.1g、V−65:0.40g
得られた共重合体A’−1を含む溶液の不揮発分は40.6%で、A’−1のMnは24,400、Mwは319,000、Tg−18℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:6.0g、EHMA:18.0g、BA:24.0g、HEA:12.0g、BuAc:76.0g、AMBN:0.12g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、攪拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:6.0g、EHMA:18.0g、BA:24.0g、HEA:12.0g、BuAc:76.0g、AMBN:0.12g
得られた共重合体溶液の不揮発分は42.0%、Mn20,000、Mw294,000、Tg−26℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:18.0g、EHMA:12.0g、BA:18.0g、HEA:12.0g
BuAc:76.0g、AMBN:0.12g、DM:0.24g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、攪拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:18.0g、EHMA:12.0g、BA:18.0g、HEA:12.0g
BuAc:76.0g、AMBN:0.48g、DM:0.24g
得られた共重合体溶液の不揮発分は41.1%、Mn13,900、Mw200,600、Tg−11℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
EHMA:21.0g、BA:27.0g、HEA:12.0g、BuAc:76.0g、AMBN:0.12g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、攪拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
EHMA:21.0g、BA:27.0g、HEA:12.0g、BuAc:76.0g、AMBN:0.48g
得られた共重合体溶液の不揮発分は41.5%、Mn18,000、Mw63,000、Tg21℃であった。
製造例1と同様の方法で下記化合物を仕込み、均一に溶解させた。
THPI:2.5g、CHMA:20.0g、HA:4.0g、BA:21.0g、HEA:2.5g、EtAc:102.2g、V−65:0.10g
この後昇温して、製造例1と同様の方法及び条件で、撹拌した後、下記混合液を滴下し、その後撹拌した。
THPI:2.5g、CHMA:20.0g、HA:4.0g、BA:21.0g、HEA:2.5g、EtAc:63.0g、V−65:0.40g
得られた共重合体A−6を含む溶液の不揮発分は37.7%、Mn21,300、Mwは162,000、Tg−3℃であった。
又、これら重合体について、次の方法に従い不揮発分及び分子量、Tgを測定した。それらの結果を表1に示す。
得られた共重合体溶液を150℃×1時間の条件で乾燥し、サンプルの乾燥前と後の重量から不揮発分(重量%)を算出した。
GPC(東ソー(株)製:HLC−8120、カラム:TSKgel−GMHxl×2本、溶離液:テトラヒドロフラン(THF) 1mL/min、検出器:示差屈折率計(RI))を使用し、ポリスチレン換算の分子量を測定した。
エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製示差走査熱量計DSC6220を用いて、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点をTgとした。
後記表2に示す化合物を表2に示す割合でステンレス製容器に投入し、室温にてマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物を得た。なお、表2における各成分の使用量の単位は、「部」である。尚、実施例1〜13において、(A)成分及び有機溶剤は、製造例1〜7で得られた共重合体溶液を使用して配合しており、表2においては、(A)成分及び有機溶剤を分けて記載している。比較例1〜9も、同様に記載している。
・M−313:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ及びトリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−313、25℃における粘度=27,000mPa・s
・SP−1509:エポキシアクリレート、昭和電工(株)製「リポキシSP−1509」、25℃粘度=30,000mPa・s
・M−1200:ポリエステル系ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1200、25℃における粘度=2,000,000mPa・s
・M−140:N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、東亞合成(株)製アロニックスM−140
・ACMO:アクリロイルモルホリン、興人フィルム&ケミカルズ(株)製
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
・PBZ:4−フェニルベンゾフェノン
・P301−75E:3官能イソシアネート化合物、旭化成ケミカルズ(株)製「デュラネートP301−75E」
・CO−L:3官能イソシアネート化合物、日本ポリウレタン(株)製コロネートL
・FTR8120:石油系樹脂、三井化学(株)製
・S−1511:アクリル系粘着剤、東亞合成(株)製アロンタックS−1511(X)固形分40wt%(酢酸エチル、トルエン溶液)
幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、得られた組成物を乾燥後の膜厚が100μmになるようバーコーターで塗工し、熱風乾燥機で60℃×5分、さらに90℃×10分乾燥した。
その後、粘接着剤層に、幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナKF」(シリコーン処理PETフィルム、厚さ50μm)をラミネートし、AE硬化型フィルムを得た。
得られたAE硬化型フィルムについて、下記の方法で評価した。それらの結果を表3に示す。
実施例F1〜F13及び比較例F1〜F9で得られたAE硬化型フィルムを積層し、厚さ500μmのサンプルを作製した。
このAE硬化型フィルムの動的粘弾性をJIS K7244−4に準じて測定(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)し、ずりモードにおける25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)を算出し、同様の方法で85℃での貯蔵弾性率G’(85℃)を算出した。
実施例F1〜F13及び比較例F1〜F9で得られたAE硬化型フィルムを積層し、幅5mm×長さ50mm×厚さ100μmの短冊状サンプルを作製した。
その後、高圧水銀ランプによる紫外線照射(365nm光の照度100mW/cm2、積算光量2J/cm2)にて硬化物を作製した。この接着剤硬化物の機械特性をJIS K7244−4に準じて測定(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)し、引張モードにおける85℃での貯蔵弾性率E’を算出した。
AE硬化型フィルムの片側の離型フィルムを剥がし、易接着処理された膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA−4300」東洋紡製)に貼り合せた。もう一方の離型フィルムを剥がし、ポリカーボネート(PC)シート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト(株)製、膜厚1mm)に貼り合わせ、集光型高圧水銀灯(120W/cm、1灯、ランプ高さ30cm)下を7m/minのコンベアスピードで4パス通過することにより紫外線を照射した(365nm光の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量0.5J/cm2)。
上記積層体を、剥離幅25mm、85℃、23%RHの条件においてJIS K−6854−1に準じて90度剥離試験を実施し、剥離強度とした。
紫外線硬化後の高温剥離強度(85℃)は、3.0N/25mm以上であることが好ましく、さらに5.0N/25mm以上であることが好ましく、さらに10.0N/25mm以上であることが特に好ましい。
(基材構成:PET/PC/PET)
AE硬化型フィルムの離型フィルム「フィルムバイナKF」を剥がし、易接着処理PETフィルム「コスモシャインA−4300」(東洋紡績(株)製、膜厚125μm)に貼り合せ、更にもう一方の離型フィルム「フィルムバイナHTA」を剥がし、ポリカーボネート(PC)シート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト(株)製、膜厚1mm)に貼り合せた。
「ポリカエースEC105」越しに、集光型高圧水銀灯(120W/cm、1灯、ランプ高さ30cm)下を7m/minのコンベアスピードで4パス通過することにより紫外線を照射した(365nm光の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量0.5J/cm2)。上記と同様に、「ポリカエースEC105」の裏面にもAE硬化型フィルムにより「コスモシャインA−4300」を貼り合せ、積層体サンプルを製造した。
積層体サンプルについて、室温で12時間状態調整した後85℃/85%RH×100時間の環境試験を実施し、積層体の外観変化を目視で確認し、以下の水準で評価した。
○:合格;発泡、はがれ等の外観不良がない。
×:不合格;発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが1ヶ所以上発生
平滑なガラス板(100mm×100mm)に、ソルダーレジストフィルム(東亞合成株式会社「SRF−8000」、20μm)を用いて、フォトリソグラフィー法により長さ50mm、幅5mm、厚さ15μmの長方形の凹凸形状を作製した。その凹凸全面にAE硬化型フィルムないしは粘着フィルムを貼付した。その際、凹凸形状の縁の空気溜り(エアー)の有無を光学顕微鏡(倍率100倍)にて確認した。エアーがなく貼合できていれば○:合格、そうでなければ×:不合格とした。
これに対して、マレイミド基及び極性基を有するもののTgが0℃に満たない重合体A’−1を含む組成物(比較例F1)、重合体A’−2を含む組成物(比較例F2、F3)、重合体A’−3を含む組成物(比較例F4)及び重合体A’−5を含む組成物(比較例F7、F8)を含む組成物は、剥離強度は優れるものの、耐発泡性が不良となった。さらに、重合体A’−3を含む組成物(比較例F5)では、剥離強度も低下してしまった。
又、極性基を有し、Tgが0℃を超えるもののマレイミド基を有さない重合体A’−4を含む組成物(比較例F6)、剥離強度は優れるものの、耐発泡性が不良となった。
又、市販のアクリル系粘着剤を使用した比較例F9は、耐発泡性及び空隙充填性が不良となってしまった。
実施例F1〜F13の組成物及び比較例F1〜F9の組成物に、含有する硬化性成分100部に対して、シランカップリング剤として下記KBM−5103を1部それぞれ配合した。
以下、実施例F1〜F13の組成物及び比較例F1〜F9の組成物に対応して、更にカップリング剤を含む組成物を、それぞれ実施例S1〜同S13及び比較例1〜S9という。
・KBM−5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製「KBM−5103」
(基材構成:PC/ガラス)
AE硬化型フィルムの「フィルムバイナKF」を剥がし、ポリカーボネート(PC)シート「ポリカエースEC105」(住友ベークライト(株)製、膜厚1mm)に貼り合せ、更にもう一方の離型フィルム「フィルムバイナHTA」を剥がし、白スライドグラス(松浪硝子工業(株)製S−1112)に貼り合せた。
「ポリカエースEC105」越しに、集光型高圧水銀灯(120W/cm、1灯、ランプ高さ30cm)下を7m/minのコンベアスピードで4パス通過することにより紫外線を照射した(365nm光の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量0.5J/cm2)、積層体サンプルを製造した。
積層体サンプルについて、室温で12時間状態調整した後85℃/85%RH×100時間の環境試験を実施し、積層体の外観変化を目視で確認し、以下の水準で評価した。
○:合格;発泡、はがれ等の外観不良がない。
×:不合格;発泡、界面はがれや接着層のシワ、クラックが1ヶ所以上発生
これに対して、比較例S1〜S9の組成物について、いずれも×の評価結果であった。
尚、実施例S1〜S13の組成物についても、剥離強度及び空隙充填性の評価を行ったが、前記表3と同様の効果を有するものであった。
実施例F1〜F13の組成物について、含有する硬化性成分100部に対して、更に劣化防止剤として下記AO−80を0.50部及び下記AS3010を0.10部それぞれ配合した。
以下、実施例F1〜F13の組成物に対応して、更に劣化防止剤を含む組成物を、それぞれ実施例P1〜P13という。
・AO−80:フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製「アデカスタブAO−80」
・AS3010:ホスファイト系酸化防止剤、(株)ADEKA製「アデカスタブ3010」
・KBM−5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製「KBM−5103」
実施例F1〜F13の組成物は、耐熱性試験後のイエローインデックスが1.2〜1.5程度であるのに対して、実施例P1〜P13の組成物は、耐熱性試験後においてもイエローインデックスが0.32〜0.87という着色の少ないものであった。
AE硬化型フィルムを用いて、易接着処理された膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA−4300」東洋紡績(株)製)同士を貼り合せた。その後、密着性試験と同じ装置及び条件で紫外線を照射した。
1日経過した後、色差計でイエローインデックスを測定した。その後、100℃×100hr後のイエローインデックスも測定し、着色の指標とした。
積層体としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等のプラスチック基材から構成されるタッチパネル付き画像表示装置の表面保護層、画像表示ユニットの表示面又はタッチパネル等の製造に好適に使用することができる。
Claims (18)
- 下記(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E)成分、及び、任意に(C)成分を含み、下記(A)〜(C)成分(以下、これらをまとめて「硬化性成分」という。)の合計中に、(A)成分を40〜90重量%、(B)成分を10〜60重量%及び(C)成分を0〜20重量%含み、
硬化性成分の合計量100重量部に対して、(D)成分を0.05〜10重量部及び(E)成分を0.01〜3重量部含むことを特徴とする
プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
(A)成分:マレイミド基と極性基とを有し、ガラス転移温度が0℃を超え40℃以下である重合体
(B)成分:分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
(C)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する化合物
(D)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤
(E)成分:熱硬化型架橋剤 - (A)成分が、マレイミド基及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)〔以下、単量体(a)ともいう。〕及び水酸基又はカルボキシル基と、エチレン性不飽和基とを有する化合物(b)〔以下、単量体(b)ともいう。〕を少なくとも共重合した共重合体である、請求項1又は請求項2記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分が、前記単量体(a)、前記単量体(b)、並びに単量体(a)及び(b)以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(c)〔以下、単量体(c)ともいう。〕由来の単量体単位を有する共重合体である、請求項3又は請求項4記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- (A)成分が、下記単量体由来の単量体単位を有し、かつ下記共重合割合の共重合体である、請求項3〜請求項5のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
・前記単量体(a):5〜50重量%
・前記単量体(b)が分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート:1〜30重量%
・前記単量体(c)がアルキル(メタ)アクリレート:20〜94重量% - (B)成分の25℃における粘度が、1,000〜10,000,000mPa・sである、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- 有機溶剤を更に含む、請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- シランカップリング剤を更に含む、請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- 劣化防止剤を更に含む、請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートが、ポリカーボネート又は(メタ)アクリル樹脂である請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物。
- 請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型粘接着剤組成物を基材に塗布・乾燥して成膜し、得られた粘接着面に別の基材を貼り合せてなる活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート。
- 少なくとも一方の基材の算術平均粗さRaが30nm以下である、請求項12記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート。
- 基材の一方が、離型処理されたものである、請求項12又は請求項13記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート。
- 基材の両方が、離型処理されたものである、請求項12又は請求項13記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシート。
- 一方の基材のみが離型処理された請求項14記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートの離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面とプラスチック製フィルム又はシート製被着体とを粘着させる工程、及び、
離型処理されていない基材又は被着体側から活性エネルギー線を照射する工程をこの順で含む
積層体の製造方法。 - 基材の両方が離型処理された請求項15記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートの一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面とプラスチック製フィルム又はシート製被着体とを粘着させる工程、
もう一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面と他の被着体とを粘着させる工程、及び、
いずれかの被着体の側から活性エネルギー線を照射する工程をこの順で含む
積層体の製造方法。 - 請求項15記載の活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートの一方の離型処理された基材を剥ぎ取り、露出した組成物の面と被着体とを粘着させる工程、及び、
もう一方の基材が付着したまま、基材又は被着体の側から活性エネルギー線を照射する工程をこの順で含み、
前記活性エネルギー線硬化型粘接着フィルム又はシートの残された基材の算術平均粗さRaが30nm以下である
積層体の製造方法。
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