JP7327394B2 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及び粘着シート、並びに、その利用 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及び粘着シート、並びに、その利用 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線の照射により架橋又は硬化が進行して剥離強度が低下する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、当該組成物を使用して製造された活性ネルギー線硬化型粘着シート、及び当該組成物を使用する表面加工部材の製造方法に関する。
異種のフィルム、基板及び薄膜等を積層して一体化した積層体は、各産業分野で幅広く用いられている。例えば、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、ガスバリア層を積層した包装材料、銅箔にポリイミドフィルムを積層したフレキシブル回路基板、ヨウ素で染色したポリビニルアルコールとトリアセチルセルロースを積層した偏光板、透明導電フィルム、薄膜トランジスタフィルム等、多くが挙げられる。
それら積層体の多くは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、ゲーム機器等の小型電子機器に用いられ普及している。これらの小型電子機器に対する更なる小型化・薄型化・軽量化の市場要求は年々高まっており、特に、薄膜化は柔軟性が向上する点からも有利であることから、使用されるフィルムや基板を薄膜化したいという要望も強くなってきている。
しかし、フィルムや基板を薄膜化すると剛性が低下するため、薄膜化したフィルムや基板等(以下、「薄膜基材」という。)を用いて、前記積層体を製造する際に、割れや亀裂、シワが入りやすくなるといったハンドリング性低下の問題がある。
この問題を解決するための手段として、薄膜基材と、キャリアガラス等の無機材料からなる比較的剛性の高い基材(以下、「無機基材」という。)を、粘着剤を塗布した粘着フィルムを介して仮接着(仮固定)し、所望の加工を行った後、最終工程で無機基材を剥離するという工法(以下、「Lift-off方式」という。)が提案されている。
特に、薄膜基材としてロール状プラスチック基板を連続的に取り扱う「ロール・トゥ・ロール方式」では、既存設備の大幅な変更を伴うことが問題となっている。したがって、薄膜基材上に電子回路等の素子を形成した後に、キャリアガラスを剥離する「Lift-off方式」は、1枚のガラス基板を搬送する「シート・トゥ・シート方式」の既存の製造ラインを変更する必要がない点で、優れた工法である。
しかしながら、粘着フィルムを用いるLift-off方式は、簡便かつ経済的である一方、剥離強度が低いため、積層体の製造工程中に剥がれたり、耐熱性が低いため温度がかかる製造工程でハガレや気泡の発生といった不具合がある。
一方、前記の粘着フィルムとは異なる部材として、IC(集積回路)を製造する際にシリコンウエハーを所定の寸法に裁断する工程で使用される、ダイシングテープに用いられる粘着剤がある。これは、粘着剤上にシリコンウエハーを置いて仮接着し、特定寸法に裁断を行った後、熱又は光等のエネルギーにより、粘着剤を架橋・硬化させて粘着力を低減し、シリコン片をシートから剥離して取り外すというプロセス部材である。
特許文献1には、ベースポリマー、光重合性炭素-炭素二重結合を少なくとも2個有する低分子量化合物及び光重合開始剤を特定割合で含み、半導体ウエハに対する180゜剥離接着力が光照射前で200~1,000g/20mmであり、この接着力が光照射により150g/20mm以下となる組成物から得られるダイシングテープが開示されている。しかしながら、このダイシングテープは、熱反応性を有する粘着剤であるため、反応前の状態では耐熱性が低く、半導体素子を加工するような高温に曝されると変質し、剥れや発泡が生じるという不具合があった。
このような背景の下、特許文献2では、特定のマレイミド基を有する化合物を有する共重合体と、分子中に特定のマレイミド基を有する化合物及び増感剤からなる活性エネルギー線剥離型粘着剤組成物が開示されている。これは、ポリイミド等の薄膜基材をキャリアガラス等の無機基材に仮接着した後、150℃程度で処理されても、剥がれや発泡等の性能低下が発生せず、活性エネルギー線の照射により、薄膜基材の界面から容易に剥離できるものである。
特公平6-16524号公報 特開2012-97141号公報
しかしながら、特許文献2記載の組成物は、TFT(薄膜トランジスタ)回路等のデバイスの特性をより良好なものとするべく、200℃以上の高温で加熱処理を行った場合、活性エネルギー線を照射しても剥離強度が十分に低くならず、剥がれや発泡が発生することが問題であった。さらに、ポリイミド等の薄膜基材の界面から容易に剥離できるものの、Lift-off方式に用いる無機基材に対する硬化後粘着層の付着性が高く、無機基材を再利用できないため、生産性の点で問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄膜基材と無機基材の接合時には粘着性を有して仮接着させることができ、高温(例えば、200℃以上)に曝されても、剥がれや発泡が発生せず、活性エネルギー線の照射により薄膜基材と無機基材のいずれの界面からも容易に剥離できる、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及び粘着シート、並びに、これらを用いた表面加工部材の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光性基を有し、ガラス転移温度が-10℃以上40℃以下である共重合体、及び、劣化防止剤を含有する、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
〔1〕下記(A)成分及び(B)成分を含有する組成物であって、前記組成物から得られる塗膜に活性エネルギー線を照射した場合において、JIS K-6854-2で規定される180°剥離強度が、活性エネルギー線照射前よりも、活性エネルギー線照射後の方が低い活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(A)成分:感光性基を有し、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)が-10℃以上40℃以下である共重合体
(B)成分:酸化防止剤を必須成分として含む劣化防止剤であり、当該酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤を必須とし、リン系酸化防止剤又は/及び硫黄系酸化防止剤をさらに含む劣化防止剤
〔2〕さらに、熱硬化型架橋剤(C)を含む、〔1〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔3〕活性エネルギー線照射の光源が高圧水銀灯であって、UV-A領域の積算光量が500mJ/cm2以上の条件において、当該活性エネルギー線照射後の前記剥離強度が2N/25mm未満である、〔1〕又は〔2〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔4〕前記感光性基が、後記一般式(1)で表されるマレイミド基を含む、〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔5〕前記(A)成分が、後記一般式(1)で表されるマレイミド基及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)5~90質量%、並びに、化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(b)10~95質量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体である、〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔6〕前記化合物(a1)が、後記一般式(15)で表される化合物を含む、〔5〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔7〕前記(A)成分が、下記の単量体単位及び共重合割合の共重合体を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(a1):前記一般式(2)で表される化合物;5~90質量%
(b1):アルキル(メタ)アクリレート;9.9~94.9質量%
(b2):分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;0.1~40質量%
〔8〕前記(B)成分が、分子量が300以上の化合物を含む、〔1〕~〔7〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔9〕前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を0.01~20質量部の割合で含む、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔10〕さらに、光重合開始剤及び/又は増感剤(D)を含む、〔1〕~〔9〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔11〕さらに、分子中に前記一般式(1)で表されるマレイミド基を2個以上有する化合物(E)(但し、(A)成分を除く。)を含む、〔1〕~〔10〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔12〕前記(E)成分が、後記一般式(16)で表される化合物を含む、〔11〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔13〕〔1〕~〔12〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、2つの基材を積層してなる活性エネルギー線硬化型粘着シート。
〔14〕〔1〕~〔12〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射し、部分硬化させて得られる塗膜を介して、2つの基材を積層してなる活性エネルギー線硬化型粘着シート。
〔15〕前記基材の一方又は両方が剥離処理されたものである、〔13〕又は〔14〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着シート。
〔16〕〔1〕~〔12〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
〔17〕〔1〕~〔12〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物をから得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体を加圧脱泡処理する工程と、
前記の加圧脱泡処理する工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
〔18〕〔1〕~〔12〕のいずれか一に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体に活性エネルギー線を照射して、前記塗膜を部分硬化させる工程と、
前記の部分硬化させる工程で得られた積層体に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
尚、本発明において、剥離強度とは、JIS K-6854-2で規定される180°剥離強度であって、2つの基材のうち一方が薄膜基材、他方が無機基材であり、粘着層の膜厚が25μmである時に、剥離速度が300mm/minで測定される値を意味する。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物によれば、薄膜基材と無機基材の接合時には粘着性を有して仮接着させることができ、200℃以上の高温に曝された後でも、剥がれや発泡が発生せず、活性エネルギー線の照射により薄膜基材及び無機基材のいずれの界面からも容易に剥離することが可能となる。
図1は、本発明の組成物を使用した、活性エネルギー線硬化型粘着シートの製造フローの1例を示す。 図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートを使用した、表面加工部材の製造フローの1例を示す。 図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートを使用した、表面加工部材の製造フローの他の1例を示す。
以下、本明細書に開示される技術の各種実施形態を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。又、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基を意味する。
本発明は、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物であって、前記組成物から得られる塗膜に活性エネルギー線を照射した場合において、特定条件における剥離強度が、活性エネルギー線照射前よりも、活性エネルギー線照射後の方が低い活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関する。
以下、(A)成分、(B)成分、その他成分、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及びシート、表面加工部材の製造方法、並びに、用途について説明する。
尚、以下においては、「活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物」を、単に「組成物」ということもある。
1.(A)成分
(A)成分は、感光性基を有し、Tgが-10℃以上40℃以下である共重合体である。
本発明の感光性基は、活性エネルギー線を吸収して励起し、光二量化反応や水素引抜反応等を起こすことで架橋する官能基を意味する。
具体的には、マレイミド基(1)、桂皮酸基(2)、カルコン基(3)、シンナミリデン酢酸基(4)、ベンゾフェノン基(5)、クマリン基(6)、スチルベン基(7)、アントラセン基(8)、ピロン基(9)、及び、これらの誘導体残基等が挙げられる。尚、(1)~(9)は、下記一般式(1)~(9)に対応している。
Figure 0007327394000001
〔但し、一般式(1)において、R1及びR2は、一方が水素原子で他方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、両方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、又は一つとなって炭素環を形成する基を表す。〕
ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数4以下のアルキル基等が挙げられる。
アリール基としてはフェニル基等が挙げられる。
一つとなって炭素環を形成する基としては、5員環又は6員環を形成する炭化水素基が好ましい。5員環又は6員環を形成する炭化水素基としては、基-CH2CH2CH2-、基-CH2CH2CH2CH2-、基-CH=CH-CH2CH2-等が挙げられる。
Figure 0007327394000002
Figure 0007327394000003
Figure 0007327394000004
Figure 0007327394000005
これらの感光性基の中でも、光反応性の点から、マレイミド基、ベンゾフェノン基、アントラセン基が好ましく、マレイミド基、ベンゾフェノン基がより好ましく、特にマレイミド基が好ましい。
(A)成分のTgは、-10℃以上40℃以下であり、-5℃~35℃がより好ましく、特に好ましくは0~30℃である。(A)成分のTgが-10℃を下回ると、活性エネルギー線を照射しても無機基材の界面から容易に剥離できないことがある。又、(A)成分のTgが40℃を超えると、初期粘着力が弱くなり、無機基材に貼り付けることが困難となる。
尚、本発明においてTgとは、示査走査熱量測定によって得られる熱流量曲線の、ベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点を意味する。
(A)成分の分子量は、重量平均分子量で5,000~2,000,000が好ましく、より好ましくは50,000~1,500,000である。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という。)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値を意味する。
本発明における(A)成分は、種々の方法で得られる重合体を使用できるが、感光性基及び感光性基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)(以下、「単量体(a)」という。)及び当該単量体(a)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(b)(以下、「単量体(b)」という。)の共重合体が、高分子量体を容易に得られ製造時間を短くできる点、及び、活性エネルギー線照射前後の剥離強度の調整が容易である点で好ましい。
以下、単量体(a)及び単量体(b)について説明する。
1-1.単量体(a)
単量体(a)は、感光性基及び感光性基以外のエチレン性不飽和基を有する単量体である。本発明の単量体(a)としては、前記した感光性基及び感光性基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、それらの中でもマレイミド基及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する単量体〔以下、「単量体(a1)」という。〕、ベンゾフェノン基及びエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「単量体(a2)〕という。〕が好ましい。尚、これらの単量体(a)は、1種又は2種以上用いることができる。
以下、単量体(a1)及び単量体(a2)について説明する。
1-1-1.単量体(a1)
単量体(a1)は、前記一般式(1)で表されるマレイミド基〔以下、単に「マレイミド基」ということもある。〕及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
単量体(a1)は、前記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物であるため、(A)成分である共重合体を容易に製造することができる。一方、前記R1及びR2において両方が水素原子であるマレイミド基を有する化合物である場合は、製造工程でゲル化したり、又は共重合体の製造中に不飽和基が消費され、得られる共重合体中にマレイミド基を有しない共重合体となってしまう。
前記一般式(1)におけるR1及びR2としては、一方が水素原子で他方が炭素数4以下のアルキル基、R1及びR2の両方が炭素数4以下のアルキル基、並びにそれぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基が、ポリマーの分子量制御が容易であり、かつ組成物の耐熱性を向上させる点で好ましい。
さらに、これらの中でも、それぞれが一つとなって炭素環を形成する飽和炭化水素基がポリマーの分子量制御が特に容易であり、かつ組成物の耐熱性にも優れる点でより好ましい。
前記一般式(1)におけるマレイミド基の好ましい具体例を、以下の式(10)~式(14)に示す。尚、式(13)において、Xは塩素原子又は臭素原子を表す。又、式(14)におけるPhは、フェニル基を表す。
Figure 0007327394000006
Figure 0007327394000007
Figure 0007327394000008
単量体(a1)のエチレン性不飽和基としては、マレイミド基以外であれば良く、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明の単量体(a1)としては、前記したマレイミド基とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、下記一般式(15)で表される化合物が、共重合体の製造が容易で、得られた共重合体の硬化性に優れるため好ましい。
Figure 0007327394000009
〔但し、式(15)において、R1及びR2は前記と同義であり、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、nは1から6の整数を表す。〕
3のアルキレン基としては、直鎖状であっても又は分岐状を有していても良い。より好ましくは炭素数1~6のアルキレン基である。
1-1-2.単量体(a2)
単量体(a2)は、前記一般式(5)で表されるベンゾフェノン基とエチレン性不飽和基を有する化合物である。
本発明の単量体(a2)としては、前記したベンゾフェノン基とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、入手の容易さや活性エネルギー線硬化性の高さから、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノンが好ましい。
1-2.単量体(b)
単量体(b)は、前記した単量体(a)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体である。
単量体(b)としては、単量体(a)以外の化合物であれば種々の化合物を使用でき、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という。)、ビニル化合物、ビニルエステル化合物、共役ジエン化合物及び(メタ)アクリルアミド化合物等を挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、i-ミリスチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、i-デシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びn-ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びトリシクロデカン(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びメトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びo-フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート(アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる);並びに
ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクトン等が挙げられる。
ビニルエステル化合物の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、塩化ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。
共役ジエン化合物の具体例としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及びイソブチレン等挙げられる。
(メタ)アクリルアミド化合物の具体例としては、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びN-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
単量体(b)としては、前記した中でもアルキル(メタ)アクリレート(以下、「単量体(b1)」という。)が、単量体(a)との重合性に優れ、得られる組成物の粘着力又は接着力が大きく、かつ工業的に入手が容易で安価なため好ましい。それらの中でも、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1~10のアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。これらの単量体(b1)は、1種又は2種以上用いることができる。
単量体(b)としては、エチレン性不飽和基以外の官能基を含むものであっても良く、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及びカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(以下、「単量体(b2)」という。)が好ましい。これらの単量体(b2)は、1種又は2種以上用いることができる。
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等;並びにアリルアルコール等を挙げることができる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ケイヒ酸及び無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;ω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明の(A)成分としては、単量体(b1)に加え、単量体(b2)を共重合したものが、得られる粘着剤組成物の活性エネルギー線照射前の剥離強度をさらに大きくできる点で、好ましい。
単量体(b2)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましい。
1-3.共重合割合
(A)成分は、単量体(a):5~90質量%及び単量体(b):10~95質量%を構成単量体単位とする共重合体とすることができる。単量体(a)を使用することにより、得られる共重合体は、側鎖に多数の感光性基を有する共重合体となる。
単量体(a)の単量体単位の共重合割合を5質量%以上とすることで、活性エネルギー線を照射した後の剥離性を良好なものとすることができ、90質量%以下とすることで、(A)成分の製造を容易にすることができるうえ、活性エネルギー線を照射する前の接着力を高くすることができる。
さらに、単量体(b)として、単量体(b1)と単量体(b2)を併用する場合は、(A)成分における構成単量体単位の好ましい共重合割合としては、単量体(a):5~90質量%、(b1):9.9~94.9質量%、(b2):0.1~40質量%であるものが好ましい。
単量体(b2)の共重合割合としては、0.1~40質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.1~10質量%がさらに好ましく、0.1~5質量%が特に好ましい。単量体(b2)の単量体単位の共重合割合を0.1質量%以上とすることで、得られる粘着剤組成物の活性エネルギー線照射前の剥離強度を高くすることができ、40質量%以下とすることで、活性エネルギー線照射後の剥離強度、特に無機基材との剥離強度を低くすることができる。
ここで、単量体(a)として、前記一般式(1)で表されるマレイミド基及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)を用いる場合には、前記(A)成分が、化合物(a1):5~90質量%、及び化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(b):10~95質量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体を含むことが好ましい。
さらに、前記化合物(a1)が、前記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましく、特に、前記(A)成分が、単量体(a1):5~90質量%、前記単量体(b1):9.9~94.9質量%、前記単量体(b2):分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;0.1~40質量%の共重合体を含むことが好ましい。
又、単量体(a)として、単量体(a2)を用いる場合には、前記(A)成分が、単量体(a2):5~90質量%、及び単量体(a2)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(b):10~95質量%を構成単量体単位とする、ベンゾフェノン基を側鎖に有する共重合体を含むことが好ましい。
さらに、前記化合物(a2)が、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノンを含むことが好ましく、特に、前記(A)成分が、単量体(a2):5~90質量%、前記単量体(b1):9.9~94.9質量%、前記単量体(b2):分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;0.1~40質量%の共重合体を含むことが好ましい。
1-4.(A)成分の製造方法
(A)成分の製造方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合及び懸濁重合等の常法に従い製造すれば良い。
溶液重合法でラジカル重合により製造する方法としては、使用する原料単量体を有機溶剤に溶解させ、熱重合開始剤の存在下に加熱攪拌する方法等が挙げられる。
又、必要に応じて、重合体の分子量を調節するために連鎖移動剤を使用することができる。
使用される熱重合開始剤としては、熱によりラジカル種を発生する過酸化物、アゾ化合物及びレドックス開始剤等が挙げられる。
過酸化物の具体例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。
アゾ化合物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
レドックス開始剤の例としては、過酸化水素-鉄(II)塩、ペルオキソ二硫酸塩-亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド-鉄(II)塩等が挙げられる。
有機溶剤の具体例としては、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-イソペンチルオキシエタノール、2-ヘキシルオキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール及び1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、ビス(2-エトキシエチル)エーテル及びビス(2-ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸-i-ブチル、酢酸-sec-ブチル、酢酸ペンチル及び酢酸イソペンチル等のエステル系溶剤;
ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン及びε-カプロラクタム等の窒素化合物系溶剤;並びに
ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄化合物系溶剤等が挙げられる。
連鎖移動剤の具体例としては、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1~8アルキルエスエル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1~8アルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9-フェニルフルオレン等の芳香族化合物類;p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、p-ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;四臭化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレントリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3-クロロ-1-プロペン等のハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒド等のアルデヒド類;炭素類1~18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1~10アルキルエステル類;炭素数1~12のヒドロキシルアルキルメルカプタン類;並びにビネン及びターピノレン等のテルペン類等が挙げられる。
1-5.(A)成分の含有割合
(A)成分の含有割合としては、活性エネルギー線照射後の剥離強度を低くできる点で、硬化性成分全量100質量%中に、50~100質量%が好ましく、より好ましくは60~100質量%であり、より好ましくは70~100質量%である。
尚、硬化性成分とは、活性エネルギー線により硬化する、(A)成分、並びに、後記の(E)成分及び(F)成分を意味する。
2.(B)成分
(B)成分は、酸化防止剤を必須成分として含む劣化防止剤であり、当該酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤を必須とし、リン系酸化防止剤又は/及び硫黄系酸化防止剤をさらに含む劣化防止剤である。
(B)成分は、表面加工における高温加熱処理による粘着層の劣化を防止するために配合する成分である。ここで述べる劣化とは、粘着層が高温(例えば、200℃以上)に曝された際、粘着層のポリマー鎖の切断や解重合、粘着層内の不飽和二重結合の重合や、縮合反応などが意図しない形で起き、剥離強度の変化や粘着層の発泡・ハガレが生じることをいう。
このような劣化を防止するため、酸化防止剤のみ、又は酸化防止剤と重合禁止剤を配合することが効果的であり、本発明では、それらを称して、「劣化防止剤」という。
本発明における(B)成分は、効果的に粘着層の劣化を防止できる点で、酸化防止剤を必須成分として含む。さらに、当該酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤を必須とし、リン系酸化防止剤又は/及び硫黄系酸化防止剤をさらに含むものを使用する。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ジt-ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-70、AO-80等、BASFジャパン(株)製のイルガノックス1010が挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP-4C、PEP-8、PEP-24G、PEP-36、HP-10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO-23、AO-412S、AO-503A等が挙げられる。
(B)成分中における、フェノール系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤又は/及び硫黄系酸化防止剤の含有割合としては、フェノール系酸化防止剤100質量部に対して、リン系酸化防止剤を50~800質量部、又は/及び硫黄系酸化防止剤を50~800質量部含むことが好ましく、リン系酸化防止剤を100~500質量部、又は/及び硫黄系酸化防止剤を100~500質量部含むことがより好ましい。
酸化防止剤としては、前記酸化防止剤に加え、前記以外の酸化防止剤を配合することができる。
当該酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤の具体例としては、BASFジャパン(株)製のチヌビン622SF等が挙げられる。
(B)成分としては、前記酸化防止剤に加え、重合禁止剤を配合することができる。
重合禁止剤としては、有機系重合禁止剤、及び無機系重合禁止剤が挙げられる。
有機系重合禁止剤の具体例として、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物、ベンゾキノン等のキノン化合物、ガルビノキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等の安定ラジカル、フェノチアジン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム等の含窒素含有化合物等が挙げられる。
無機系重合禁止剤の具体例として、塩化銅、硫酸銅及び硫酸鉄等が挙げられる。
これら重合禁止剤の中でも、効果的に粘着層の劣化を防止できる点で、フェノール化合物、安定ラジカル、含窒素含有化合物が好ましい。
(B)成分中における、重合禁止剤の含有割合としては、酸化防止剤合計量100質量部に対して、重合禁止剤を0.01~100質量部含むことが好ましく、重合禁止剤を0.1~10質量部含むことがより好ましい。
(B)成分としては、表面加工における高温加熱処理(特に、200℃以上)時の揮発を防止するため、分子量が大きい化合物を含むことが好ましい。具体的には、分子量300以上の化合物を含むことが好ましく、分子量500以上の化合物を含むことがさらに好ましい。
(B)成分の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分全量100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、より好ましくは0.1~15質量部である。含有割合を0.01質量部以上とすると、組成物の劣化を防止することができ、20質量部以下とすることで、組成物の活性エネルギー線硬化性を優れたものとすることができる。
又、(B)成分は1種を用いても2種類以上を用いてもよい。劣化防止剤の好ましい組合せとしては、安定ラジカル及びフェノール系酸化防止剤の併用、安定ラジカル、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び/又は硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
3.その他成分
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、熱硬化型架橋剤(以下、「(C)成分」という。)、光重合開始剤及び/又は増感剤(以下、「(D)成分」という。)、分子中に前記一般式(1)で表されるマレイミド基を2個以上有する化合物(以下、「(E)成分」という。但し、(A)成分を除く。)、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物(以下、「F)成分」という。但し、(A)及び(E)成分を除く。)、有機溶剤、シランカップリング剤、高分子ポリマー(但し、(A)、(E)及び(F)成分を除く。)、可塑剤、レベリング剤、表面潤滑剤、消泡剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤も使用することができる。
3-1.(C)成分
(C)成分は、熱硬化型架橋剤である。
本発明の組成物において、硬化物にさらに優れた貯蔵安定性、剥離性を付与できる他、特に活性エネルギー線照射前の組成物における粘着剤のはみ出しを防止することができるため、(C)成分を配合することができる。
(C)成分としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、アミノ系樹脂、金属キレート等の架橋剤が挙げられる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート等の2官能イソシアネート化合物、これら2官能イソシアネート化合物の三量体、2官能イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー、2官能イソシアネート化合物、2官能イソシアネート化合物の三量体、末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖した多価イソシアネート化合物のブロック体等が挙げられる。
多価エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型のエポキシ樹脂を例示することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は市販されており、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。
又、これらの他に、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンポリオール(ネオペンチルグリコール、グリセロール等)ポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル系エポキシ、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキルメチル)アジペート等の環状脂肪族型、トリグリシジルイソシヌレート、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン等の複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、これらエポキシ樹脂のハロゲン化合物、これらエポキシ樹脂の多塩基酸又はポリエステルポリカルボン酸のポリグリシジルエステル、ポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アミノ系樹脂の具体例としては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、メラミン-ユリア共縮合樹脂、メラミン-フェノール共縮合樹脂等が挙げられる。
金属キレートの具体例としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリ-i-プロピオネート、アルミニウムトリ-s-ブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ-i-プロピレート等の有機アルミニウム化合物、チタニウムテトラ-i-プロピレート、チタニウムテトラ-2-エチルヘキシレート、トリエタノールアミンチタニウムジ-i-プロピレート、チタニウムラクテートのアンモニウム塩、テトラオクチレングリコールチタネート、ポリアルキルチタネート、ポリチタニウムアシレート(チタニウムテトラブチレートの重合物、チタニウムオレエートの重合物)等の有機チタン化合物、ジルコニウム-s-ブチレート、ジルコニウムジエトキシ-t-ブチレート等の有機ジルコニウム化合物、ハフニウム-t-ブチレート、アンチモンブチレート等のその他の有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中でも、(C)成分としては、接着力、貯蔵安定性の点から、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物が好ましい。又、(C)成分の配合割合としては、(A)成分の100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、より好ましくは0.01~3質量部である。
(C)成分の配合割合をこの範囲とすることにより、組成物の粘着層の初期接着力が低くなり過ぎることがなく、貯蔵安定性に優れるものとすることができる。
3-2.(D)成分
(D)成分は、光重合開始剤及び/又は増感剤である。
本発明の組成物は、(A)成分が感光性基を有するため、(D)成分を含まなくとも、活性エネルギー線を照射により組成物を架橋・硬化させることができる。活性エネルギー線として紫外線及び/又は可視光線を用いる場合には、より少ない活性エネルギー線の照射量により架橋・硬化させることができる点で、さらに、(D)成分を配合することが好ましい。これにより、組成物の硬化性に優れ、硬化膜が耐熱性に優れたものとすることができる。
(D)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシー2-メチルー1-プロパンー1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシー2-メチルー1-[4-1-(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-ヒドロキシー1-[4-[4-(2-ヒドロキシー2-メチループロピオニル)-ベンジル]-フェニル]-2-メチルプロパンー1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジルー2-ジメチルアミノー1-(4-モルフォリノフェニル)ブタンー1-オン、2-ジメチルアミノー2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イルーフェニル)-ブタンー1-オン、アデカオプトマーN-1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1-オン、4,4‘-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、N,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン及び4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチルー(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロー4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチルー9-オキソー9H-チオキサントンー2-イル]オキシ]-2-ヒドロキシプロピルーN,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10-ブチルー2-クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)-2-(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体及び2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;並びに
9-フェニルアクリジン及び1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、接着力や耐熱性、保存安定性の点から、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロー4-プロピルチオキサントンが、好ましい。特に、マレイミド基やベンゾフェノン基の増感剤として機能する点においては、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロー4-プロピルチオキサントンが好ましい
(D)成分の配合割合としては、組成物中に0.01~10質量%が好ましく、より好ましくは0.1~5質量%である。
(D)成分の配合割合を0.01質量%以上とすることにより、適量な活性エネルギー線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方、10質量%以下とすることで、硬化物を耐侯性や透明性に優れたものとすることができる。
3-3.(E)成分
(E)成分は、分子中に前記一般式(1)で表されるマレイミド基を2個以上有する化合物(但し、(A)成分を除く。)である。
(E)成分は、前記一般式(1)で表されるマレイミド基を有する化合物であるため、活性エネルギー線の照射により二量化及びラジカル重合による架橋反応が進行するため、剥離性に優れるものとなる効果を奏する。前記R1及びR2において、両方が水素原子以外の場合、活性エネルギー線の照射前の加熱工程においてラジカル重合が進行し難く活性エネルギー線照射後の剥離強度の低下が不充分とならない点で好ましい。
(E)成分のマレイミド基としては、前記したものと同様の構造が具体例として挙げられ、前記したものと同様の構造が好ましい。
(E)成分としては、下記一般式(16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007327394000010
〔但し、一般式(16)において、R1及びR2は前記と同義であり、Ra及びRcはアルキレン基、オキシアルキレン基又は単結合を表し、Rbは2価の有機基であって全体として炭素数1~20を有する基を表す。〕
Ra及びRcのアルキレン基としては、炭素数1~10であるものが好ましく、直鎖状であっても、分岐状であっても良い。Ra及びRcは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等が挙げられる。
Ra及びRcのオキシアルキレン基としては、オキシエチレン、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基等が挙げられ、これらが複数個連結しているポリオキシアルキレン基でも良い。Ra及びRcがオキシアルキレン基の繰返し数としては、1~6が好ましい。
Rbの2価の有機基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基、2価のアリール基、カルボニル基を含む2価の基、エステル結合を含む2価の基及びウレタン結合を含む2価の基が挙げられる。
アルキレン基としては、直鎖状であっても、分岐状であっても良い。アルキレン基としては、炭素数1~5の基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基及びテトラメチレン基等が挙げられる。
2価のアリール基としては、フェニレン基及び2価のトルイル基等が挙げられる。
カルボニル基を含む2価の基の例としては、後記一般式(17)で表される化合物における基が挙げられる。
エステル結合を含む2価の基及びウレタン結合を含む2価の基の例としては、後記一般式(19)で表される化合物における基が挙げられる。
(E)成分としては、式(16)において、Ra及びRcが炭素数1~3のアルキレン基で、Rcが2価のアリール基を有する化合物が硬化性に優れるため好ましい。
さらに、(E)成分としては、R1及びR2が、一方が水素原子で他方がアルキル基である化合物が硬化性に優れるため好ましい。
当該化合物の具体例としては、1,2-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6-ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4-ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3-ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4-ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5-ビスシトラコンイミドエチルトルエン及び2,6-ビスシトラコンイミドエチルトルエン等が挙げられる。
一般式(16)で表される化合物のより具体的な一般式として表現した化合物は、後記一般式(17)、(18)及び(19)で表される化合物が挙げられる。以下、それぞれの化合物について説明する。
1)一般式(17)で表される化合物
Figure 0007327394000011
〔但し、式(17)において、R1及びR2は前記と同義である。又、R5は、炭素数1~6のアルキレン基である。R6は、ジカルボン酸又はその酸無水物からカルボキシル基又はオキシジカルボニル基を除いた残基である。mは1~6の整数である。〕
一般式(17)で表される化合物は、一般式(16)において、Ra及びRcがオキシアルキレン基で、Rbの2価の有機基が、カルボニル基を有する2価の基である場合、より具体的には、-(CO)R6(CO)-である化合物に相当する。
一般式(17)で表される化合物において、R5のアルキレン基としては、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
一般式(17)において、R6は、多価カルボン酸又はその無水物〔以下多価カルボン酸(無水物)という〕からカルボキシル基又はオキシジカルボニル基を除いた残基であり、その原料多価カルボン酸(無水物)としては、ジカルボン酸(無水物)が好ましい。ジカルボン酸(無水物)としては、脂肪族ジカルボン酸(無水物)、環状脂肪族ジカルボン酸(無水物)及び芳香族ジカルボン酸等(無水物)が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(無水物)の具体例としては、マロン酸(無水物)、コハク酸(無水物)、メチルコハク酸(無水物)、グルタル酸(無水物)、3-メチルグルタル酸(無水物)、セバシン酸及び1,10-ドデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにマレイン酸(無水物)、シトラコン酸及びイタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸(無水物)の具体例としては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有するものであっても良い。酸素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸としては、ジグリコール酸(無水物)及び3-オキソアジピン酸等が挙げられる。窒素原子を有する脂肪族ジカルボン酸としては、イミノジ酢酸等が挙げられる。硫黄原子を有する脂肪族ジカルボン酸としては、チオマレイン酸及び3,3’-チオジプロピオン酸等が挙げられる。
環状脂肪族ジカルボン酸(無水物)としては、ヘキサヒドロフタル酸(無水物)等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸(無水物)の具体例としては、フタル酸(無水物)、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び2,3-ピラジンジカルボン酸等が挙げられる。
テトラカルボン酸無水物の具体例としては、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びエチレンジアミン四酢酸無水物等が挙げられる。
これらの中でも飽和脂肪族ジカルボン酸(無水物)が、得られる組成物の硬化性に優れる点で好ましい。
式(17)の化合物としては、R6が炭素数4~20のアルキレン基であるものが好ましい。
2)一般式(18)で表される化合物
Figure 0007327394000012
〔但し、式(18)において、R1及びR2は前記と同義であり、R7は、2価の有機基である。〕
一般式(18)で表される化合物は、一般式(16)において、Ra及びRcが単結合で、Rbの2価の有機基が、アルキレン基又はアリール基である化合物に相当する。
一般式(18)で表される化合物おいて、R7は、2価の有機基であって、原料ジアミンからアミノ基を除いた残基として得られ、当該原料ジアミンの好ましい例としては、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン及び1,6-ヘキサンジアミン等及び等が挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有するものであっても良い。酸素原子を有する脂肪族ジアミンとしては、4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン等が挙げられる。窒素原子を有する脂肪族ジアミンとしては、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン及びN-[(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン]等が挙げられる。硫黄原子を有する脂肪族ジアミンとしては、2-メチル-3-チオセミカルバジド等が挙げられる。
芳香族ジアミンの具体例としては、1,1-ビナフチル-2,2-ジアミン、1,2-フェニレンジアミン、4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン、2,3-ジアミノピリジン及び2,4-ジアミノピリジン等が挙げられる。
3)一般式(19)で表される化合物
Figure 0007327394000013
〔但し、式(19)において、R1及びR2は前記と同義である。R8は、炭素数1~6のアルキレン基である。R9は、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基である。R10は、ジオールから水酸基を除いた残基である。〕
一般式(19)で表される化合物は、一般式(16)において、Ra及びRcがオキシアルキレン基で、Rbの2価の有機基が、ウレタン結合を含む2価の有機基である化合物に相当する。
一般式(19)で表される化合物おいて、R8のアルキレン基としては、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
9は、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基であり、その原料ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
10はジオールから水酸基を除いた残基であり、その原料ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
低分子量ジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、並びにポリエチレンポリプロポキシブロックポリマージオール等のブロック又はランダムポリマーのジオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、前記低分子量ポリオール又は/及び前記ポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
上記一般式(17)、(18)及び(19)で表される化合物の製造方法は、下記に記載された方法に従い製造することができる。
・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10),897,(1972)
・Javier de Abajoら、Polymer,vol33(5),(1992)
・特開昭56-53119号公報、特開平1-242569号公報
・特許4337206号公報
さらに、(E)成分の他の具体例としては、以下の3種の重合体を挙げることができ、当該重合体の分子量としては、重量平均分子量で1,000~50,000が好ましく、より好ましくは2,000~10,000である。
・重合体(B1):2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとマレイミド基及び活性水素基を有する化合物の付加反応物。
・重合体(B2):2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸とマレイミド基及び活性水素基を有する化合物のエステル化反応物。
・重合体(B3):2個以上の水酸基を有するポリオールとマレイミド基を有するカルボン酸のエステル化反応物。
重合体(B1)~(B3)の製造方法としては、特開2012-97141号公報の段落〔0085〕~〔0102〕に記載の製造方法を採用することができる。
これら(E)成分の中でも、活性エネルギー線照射後の剥離強度が低下しやすい点で、かつ工業的に入手が容易で安価な1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが特に好ましい。1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼンの市販品としては、「PERKALINK900」「BCI-MX」(フレキシス社)が挙げられる。
3-4.(F)成分
(F)成分は、分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物(但し、(A)及び(E)成分を除く。)としては、前記単量体(a)、単量体(b)と同様のものが使用できる。
即ち、単官能(メタ)アクリレート、ビニル化合物、ビニルエステル化合物、共役ジエン化合物及び(メタ)アクリルアミド化合物等を挙げることができ、その具体例としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。又、1個以上の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物及び1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物等を挙げることができ、その具体例としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上用いることができる。
前記以外の分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物(但し、(A)及び(E)成分を除く。)の例としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という。〕が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、炭素数2~5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、炭素数2~5の脂肪族変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及びヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物の反応物や、多価アルコールを使用せずに多価イソシアネート及びヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物との反応物が挙げられる。
多価アルコールとしてはポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、前記多価アルコールと前記多塩基酸との反応によって得られるポリエステルポリオール、前記多価アルコールと前記多塩基酸とε-カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンポリオール、及びポリカーボネートポリオール(例えば、1,6-ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートポリオール等)等が挙げられる。
有機多価イソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及び2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性ビス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物である。
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばジャパンエポキシレジン社製エピコート827(商品名、以下同じ)、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004等が挙げられ、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート806、エピコート4004P等が挙げられる。又、ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート152、エピコート154等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応物である。
ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。
多価アルコールの具体例としては、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス-[ヒドロキシメチル]-シクロヘキサン等が挙げられる。
多塩基酸の具体例としては、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
3-5.有機溶剤
本発明の組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含むことが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、前記(A)成分の製造方法で例示した、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、窒素化合物系溶剤及び硫黄化合物系溶剤を挙げることができ、具体例も前記と同様の化合物を挙げることができる。
これらの中でも、(A)及び(B)成分の溶解性に優れる点で、ケトン系溶剤、及びエステル系溶剤がより好ましい。
有機溶剤は、(A)成分の製造で使用した有機溶剤をそのまま使用することも、さらに別途添加することもできる。
有機溶剤の含有割合は、組成物中に10~90質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。上記範囲であると、組成物を塗工に適当な粘度とすることができ、後記する公知の塗布方法で組成物を容易に塗布することができる。
3-6.添加剤
シランカップリング剤は、粘着層とガラス等の無機基材、プラスチックフィルムとの界面接着強度を改善できる成分である。本発明に用いられるシランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。
シランカップリング剤の具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらシランカップリング剤の中でも、組成物の貯蔵安定性、接着力の点から、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤の配合割合は、組成物中に0.1~20質量%が好ましく、より好ましくは1~10質量%である。シランカップリング剤の割合が0.1質量%未満だと、組成物の接着力を向上させる効果が十分でなく、20質量%を越えると、貯蔵安定性の悪化が著しい。シランカップリング剤は、前記した化合物を一種類だけ使用しても、又は二種以上を使用してもよい。
高分子ポリマー(但し、(A)、(E)及び(F)成分を除く。)の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂等が挙げられる。
可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルアジペート、リン酸トリクレシル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィン等が挙げられる。
レベリング剤、表面潤滑剤、消泡剤としては有機ポリマー系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料等が挙げられる。
帯電防止剤としては、四級アンモニウム系材料、ポリエーテル系材料、導電性粉末等が挙げられる。
充填剤としては、シリカゲル、酸化チタン、アルミナ、導電性粉末等が挙げられる。
これらの高分子ポリマー等の添加剤の使用量は目的に応じ上記範囲内で適宜定められる。
4.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
本発明は、前記(A)及び(B)成分を含有する組成物であって、前記組成物から得られる塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、剥離強度が、前記加熱処理後よりも、前記活性エネルギー線照射後の方が低くなる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物である。
本発明の組成物の製造方法は、常法に従えば良く、(A)成分及び(B)成分、並びに、必要に応じてその他成分を攪拌・混合して製造することができる。
本発明の組成物は、当該組成物から得られる塗膜に活性エネルギー線を照射した後に剥離強度が低下する必要がある。これにより、組成物の有する粘着性能を利用して基材を仮接着した後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、基材から硬化物を剥離することができるものとなる。
剥離強度としては、具体的には、活性エネルギー線の光源として高圧水銀灯を用い、UV-A領域(365nm近傍)の積算光量を500mJ/cm2以上の条件で、組成物に対して活性エネルギー線を照射した後に、2N/25mm未満に低下するものが好ましく、より好ましくは1N/25mm未満に低下するものである。
又、活性エネルギー線を照射する前の組成物の剥離強度は目的に応じて適宜設定すれば良いが、剥離強度が3N/25mm~50N/25mmであるものが好ましく、より好ましくは5N/25mm~25N/25mmである。
尚、技術常識に基づいて当業者であれば容易に、本発明の(A)及び(B)成分を含む組成物を用いることで、活性エネルギー線を照射した前後の剥離強度を前記の値に設計することができる。
5.活性エネルギー線硬化型粘着シート
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型粘着シート(以下、「AE硬化型粘着シート」という。)の製造に好ましく使用できる。
尚、この項目においては、図1に基づき一部説明する。
AE硬化型粘着シートの製造方法としては常法に従えば良く、例えば、組成物を基材に塗布して製造することができる。
図1は、AE硬化型粘着シートの好ましい製造方法の一例を示す。
組成物が無溶剤型の場合(図1:A1)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工する。組成物が有機溶剤等を含む場合(図1:A2)は、組成物を基材〔図1:(1)〕に塗工した後に、乾燥させて有機溶剤等を蒸発させる。
これらの方法により、基材上に活性エネルギー線硬化性の粘着層(以下、単に「粘着層」という。)が形成された〔図1:(2)〕、AE硬化型粘着シートが製造される(図1:B1)。
基材としては、薄膜基材又は無機基材であってもよく、薄膜基材及び無機基材とは無関係の離型可能な材料(以下、「離型材」という。)であっても良い。
当該基材の材質の具体例としては、木、紙、布、皮革、ガラス、セラミックス、鋼板やアルミニウム等の金属、金属や金属酸化物の蒸着膜、シリコン及びポリマー等が挙げられる。
ポリマーの具体例としては、セロハン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ユリア・メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエーテルサルホン、上記ポリマーの共重合体、液晶ポリマー及びフッ素樹脂等が挙げられる。紙としては、表面をシリコーン処理したものも使用できる。ポリマーの形状としては、シート又はフィルム状のものが好ましい。
離型材の具体例としては、表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)、シリコーン処理PETフィルム及び表面をシリコーン処理した紙等が挙げられる。
ポリマーを接着する場合、層間接着力を大きくするために、一方又は両方の表面に活性化処理を行うことができる。表面活性化処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、薬液処理、粗面化処理、エッチング処理及び火炎処理等が挙げられ、これらを併用しても良い。
本発明の組成物の塗工量としては、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、有機溶剤等を乾燥した後の膜厚が0.5~500μmとなるよう塗工するのが好ましく、より好ましくは1~50μmである。
組成物が有機溶剤等を含む場合は、塗布後に乾燥させ、有機溶剤等を蒸発させる必要があるが、乾燥条件は、使用する有機溶剤等に応じて適宜設定すれば良く、40~120℃の温度に加熱する方法等が挙げられる。
本発明では、基材の上に組成物を塗布して得られた乾燥塗膜に、活性エネルギー線を照射して部分硬化させることができる。乾燥膜にそのまま活性エネルギー線を照射してもよいし、他の基材を貼り合せた後、表面加工する前に活性エネルギー線を照射してもよい。
乾燥塗膜に活性エネルギー線を照射して部分硬化させることで、粘着剤の凝集力を高めることができ、粘着剤のはみ出しを防止することができる。
AE硬化型粘着シート製造後は、粘着層に離型材〔図1:(3)〕を保護フィルムとしてラミネートしておくことが好ましい(図1:B2)。又、基材として離型フィルムを使用し、粘着層の両側を離形フィルムでラミネートした形態でも使用できる。離形フィルムを基材として使用した場合は、他の基材へ転写することが可能であり、基材に直接塗工しなくても粘着層を形成できるという特徴がある。
6.表面加工部材の製造方法
薄膜で取扱いが非常に困難な薄膜基材は、直接表面加工処理することが困難であり、特にTFT回路等の電子デバイスを形成する等の微細加工を行う場合にはより困難である。このため、薄膜基材を表面加工する場合は、無機基材に貼り付け表面加工した後に、無機基材から剥がして最終製品を得ている。
本発明のAE硬化型粘着シートは、この薄膜基材の表面加工方法に好ましく使用できる。
この場合、薄膜基材又は無機基材の少なくともいずれか一方を透明性材料とする必要がある。薄膜基材を無機基材に貼り合せることで、薄膜基材が無機基材に固定され、表面加工が容易になる。
本発明のAE硬化型粘着シートを使用した薄膜基材の表面加工の方法としては、AE硬化型粘着シートを使用して薄膜基材及び無機基材を貼り合せ、薄膜基材に表面加工を実施し、透明性材料側から活性エネルギー線を照射して粘着層を硬化させ非粘着化して剥がし、表面加工部材を得る方法等が挙げられ、例えば、以下の態様が挙げられる。
<態様1>
本発明の組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
<態様2>
本発明の組成物をから得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体を加圧脱泡処理する工程と、
前記の加圧脱泡処理する工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
<態様3>
本発明の組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
前記工程で得られた積層体に活性エネルギー線を照射して、前記塗膜を部分硬化させる工程と、
前記の部分硬化させる工程で得られた積層体に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
薄膜基材の表面加工方法としては、目的及び用途等に応じて適宜設定すれば良い。
例えば、TFT回路等の電子デバイスを製造する場合には、薄膜基材としてポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフィルム基板を使用し、スパッタリング法及び真空蒸着法等により酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化錫及び酸化亜鉛等の金属酸化物、銅、金、銀、クロム、チタニウム及びアルミニウム等の金属、シリコン及びゲルマニウム等の半導体を使用して回路を形成する方法等が挙げられる。
薄膜基材に透明電極を形成する場合には、前記した金属酸化物又は導電性高分子を使用し、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーション法及び化学蒸気蒸着(CVD)法等を行う方法等が挙げられる。
これら以外にも、フォトリソグラフィー法及びメタルマスク法等でパターン形成をした後、薬液によるウェットエッチング法やドライエッチング法によるレリーフ形成も容易に行うことができる。これらの工程は、TFT回路等の電子デバイス等を作製する場合に多用される手段である。
これらの表面加工を薄膜基材に行った後、薄膜基材又は無機基材の少なくともいずれか一方の透明性材料の側から、活性エネルギー線を照射して粘着層を架橋・硬化させ、剥離することができる。そうすることで、TFT回路等の電子デバイス等を微細加工した薄膜基材だけを得ることが可能となる。
活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、X線及び電子線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができ、本発明の奏する効果が大きい点で、紫外線及び/又は可視光線が好ましい。
紫外線及び/又は可視光線の光源としては、種々のものが使用可能である。好適な光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、並びに、紫外線及び/又は可視光を放射するLED等が挙げられる。
これらの中でも、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。紫外線の照射量は、UV-A領域において、500mJ/cm2以上あることが好ましく、1,000mJ/cm2がより好ましく、1,500mJ/cm2以上がさらに好ましい。
表面加工における加熱処理の温度としては、表面加工の種類によって、適宜設定されるが、160℃以上であっても、200℃以上であっても、250℃以上であって良い。特に、加熱処理の温度が200℃以上の場合に、本発明の奏する効果が大きい。又、加熱処理の時間としては、表面加工の種類によって、適宜設定される。
ここで、高温加熱処理(例えば、200℃以上)を伴う表面加工を薄膜基材に行う際、剥れや発泡が生じるという不具合が生じやすい。本発明では、剥がれが発泡を抑制するため、薄膜基材と無機基材を貼り合せた後で、加圧脱泡処理を実施することが好ましい。
加圧脱泡処理は、ヒートプレス、ヒートラミネーター、オートクレーブなどを用いて行うことができ、加圧と同時に加熱することで、より効果的に脱泡することが可能である。
加圧条件としては、0.01MPa~2MPaが好ましく、特に好ましくは0.1~1MPaであり、加熱条件は、20~100℃が好ましく、特に好ましくは30~60℃である。
又、AE硬化型粘着シートを使用して薄膜基材と無機基材を貼り合わせ、粘着層が粘着性を喪失しない、部分硬化させる程度の活性エネルギー線を照射した後、高温加熱処理(例えば、200℃以上)を伴う表面加工を薄膜基材に行うと、前記発泡を抑制する効果が一層優れるため、さらに好ましい。加えて、前記加圧脱泡処理を施した上で、前記部分硬化の工程を取り入れて良く、発泡を抑制する効果が優れる。
尚、技術常識に基づいて当業者であれば容易に、本発明の(A)及び(B)成分を含む組成物を用いることで、前記部分硬化の活性エネルギー線照射条件を設定することができる。
次に、AE硬化型粘着シートを使用した表面加工部材の製造方法の製造方法について、図2及び図3を使用してより具体的に説明する。
図2は、薄膜基材を含む離型シートでラミネートされたAE硬化型粘着シートB2を使用して無機基材と密着させ、薄膜基材を表面加工した後、無機基材側から活性エネルギー線を照射して無機基材から剥がして表面加工部材を製造する例を示している。
図2のAE硬化型粘着シートB2において、(1)は薄膜基材、(2)は粘着層、(3)は離型材を意味する。
この場合、前記図1において、基材シート(1)として薄膜基材を使用し、この片側に前記方法に従い、基材上に粘着層が形成された〔図1:(2)〕、AE硬化型粘着シートを使用する(図1:B1)。
図2では、使用直前にAE硬化型粘着シートB2から離型シート(3)を離型し(図:2-1)、粘着層と無機基材〔図2:(4)〕を密着させる(図2:2-2)。その後、薄膜基材に表面加工処理を実施し(図2:2-3)、薄膜基材に表面加工層〔図2:(5)〕を形成する。加工終了後、無機基材〔図2:(4)〕側から活性エネルギー線を照射して粘着層を硬化して非粘着化し(図2:2-4)、薄膜基材を剥離することにより表面加工部材を得る(図2:2-5)。さらに、無機基材から硬化後の粘着層〔図2:(6)〕を剥離することにより、無機基材を再生することができる(図2:2-6)。
尚、図2では、離型シートでラミネートされたAE硬化型粘着シートB2を使用しているが、AE硬化型粘着シートB1を製造した後、直ちに粘着層と無機基材〔図2:(4)〕を密着させ前記と同様の方法で表面加工部材を製造することもできる。
図3は、離型シート2枚でラミネートされたAE硬化型粘着シートB3を使用し、薄膜基材と無機基材とを密着させ、薄膜基材を表面加工した後、無機基材側から活性エネルギー線を照射して基材から剥がして表面加工部材を製造する例を示している。
図3のAE硬化型粘着シートB3において、(2)は粘着層、(3)は離型材を意味する。
図3では、使用直前にAE硬化型粘着シートB3から離型シートを離型し(図:3-1)、粘着層と薄膜基材〔図3:(1)〕を密着させた後(図3:3-2)、もう一方の離型シートを離型し(図3:3-3)、粘着層と無機基材〔図3:(4)〕を密着させる(図3:3-4)。その後、薄膜基材に表面加工処理を実施し(図3:3-5)、薄膜基材に表面加工層〔図3:(5)〕を形成する。加工終了後、無機基材〔図3:(4)〕側から活性エネルギー線を照射して粘着層を硬化して非粘着化し(図3:3-6)、薄膜基材を剥離することにより表面加工部材を得る(図3:3-7)。さらに、被着体から硬化後の粘着層〔図3:(6)〕を剥離することにより、無機基材を再生することができる(図3:3-8)。
7.用途
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物によれば、取扱いの困難な薄膜基材を無機基材と仮接着させることができ、かつ高温プロセス(例えば、200℃以上)や各種薬品の接触にも耐えうる。さらに、活性エネルギー線の照射により架橋・硬化し、薄膜基材及び無機基材の界面から容易に剥離できる。
本発明の組成物は、これらの性能を生かして、表面加工部材の製造に好ましく使用することができ、種々の用途に使用することができる。
具体的には、薄膜基材としてプラスチックフィルム基板を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィルム基板にTFT回路を形成させるTFT基板、フィルム基板に電子回路を形成させるフレキシブルプリント配線板、フィルム基板に透明電極層を形成させる電界発光素子、フィルム基板に透明電極層、発光層、反射絶縁層、裏面電極及び保護層を形成させる電界発光灯、フィルム基板に切削加工を行う光学レンズ、半導体ウエハを素子小片に切断分離する際のダイシング等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。以下の記載において、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
製造例及び比較製造例で使用した略号は、下記を意味する。
・EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・BA:n-ブチルアクリレート
・HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
・AA:アクリル酸
・AMBN:2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
・V-65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)
・DM:ドデシルメルカプタン
・BAc:酢酸n-ブチル
・EAc:酢酸エチル
1.製造例
1)製造例1〔(A)成分の製造〕
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、室温で下記化合物を下記の量で仕込み、窒素を流量50mL/分で吹き込みながら均一に溶解させ、70℃で1時間以上保持して溶存酸素を除去した。
下記式(20)で表される化合物〔以下、「THPI」という。〕:75.0g、MMA:13.65g、BA:54.0g、HEA:1.5g、EAc:105g
Figure 0007327394000014
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:75.0g、MMA:25.35g、BA:54.0g、HEA:1.5g、EAc:90g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後、EAc:30.0g追加し、4時間撹拌して(A)成分となる共重合体(以下、「A-1」という。)を得た。
2)製造例2〔(A)成分の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、MMA:30.45g、BA:60.0g、HEA:1.5g、EAc:135g
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:45.0g、MMA:56.55g、BA:60.0g、HEA:1.5g、EAc:80g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後、EAc:45.0g追加し、4時間撹拌して(A)成分となる共重合体(以下、「A-2」という。)を得た。
3)製造例3〔(A)成分の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、MMA:30.45g、BA:60.0g、AA:1.5g、EAc:135g
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:45.0g、MMA:56.55g、BA:60.0g、AA:1.5g、EAc:80g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後EAcを45.0g追加し、4時間撹拌して(A)成分となる共重合体(以下、「A-3」という。)を得た。
4)製造例4〔(A)成分の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、MMA:13.65g、BA:85.5g、HEA:1.5g、EAc:135g
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:45.0g、MMA:25.35g、BA:85.5g、HEA:1.5g、EAc:80g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後、EAc:45.0g追加し、4時間撹拌して(A)成分となる共重合体(以下、「A-4」という。)を得た。
5)製造例5〔(A)成分の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、MMA:40.95g、BA:45.0g、HEA:1.5g、EAc:135g
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:45.0g、MMA:76.05g、BA:45.0g、HEA:1.5g、EAc:80g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後、EAc:45.0g追加し、4時間撹拌して(A)成分となる共重合体(以下、「A-5」という。)を得た。
6)比較製造例1〔(A)成分以外の共重合体の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、EHMA:30.0g、BA:45.0g、HEA:30.0g、DM:0.60g、BAc:190g、AMBN:0.3g
この後昇温して、85℃で30分撹拌した後、90℃に昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下し、その後5時間撹拌して共重合体(以下、「A’-1」という。)を得た。
THPI:45.0g、EHMA:30.0g、BA:45.0g、HEA:30.0g、DM:0.60g、BAc:190g、AMBN:1.2g
7)比較製造例2〔(A)成分以外の共重合体の製造〕
下記化合物を使用する以外は製造例1と同様の条件でフラスコに仕込み、均一に溶解させた。
THPI:45.0g、MMA:46.2g、BA:37.5g、HEA:1.5g、EAc:135g
窒素吹き込みを続けながら、V-65:0.15g、DM:0.06g、EAc:10.0gを添加し、この後30分かけて78℃まで昇温し、下記の混合液を3時間かけて滴下した。
THPI:45.0g、MMA:85.8g、BA:37.5g、HEA:1.5g、EAc:80g、V-65:0.30g、DM:0.27g
上記混合液を滴下後、1時間後にV-65:3.0g、EAc:20.0gを1時間かけて滴下した。その後、EAc:45.0g追加し、4時間撹拌して共重合体(以下、「A’-2」という。)を得た。
8)共重合体の評価方法
製造例1~5、比較製造例1及び同2で得られた共重合体について、下記の方法に従って、不揮発分、分子量及びTgを測定した。それらの結果を表1に示す。
◆不揮発分
得られた共重合体溶液を150℃×1時間の条件で乾燥し、サンプルの乾燥前と後の重量から不揮発分を算出した。
◆分子量
GPCにより、以下の測定条件で、ポリスチレン換算の分子量を測定した。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す。
・装置:東ソー(株)製 GPC システム名 HLC-8120
・検出器:RI検出器
・カラム:TSKgel-GMHxl×2本
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:テトラヒドロフラン(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量1mL/分
・分子量標準物質:ポリスチレン
◆Tg
藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、乾燥後の膜厚が10μmになるようバーコーターで得られた共重合体溶液を塗工し、熱風乾燥機で90℃×5分乾燥し、乾燥塗膜を得た。
得られた乾燥塗膜を、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製示差走査熱量計DSC6220を用いて、昇温速度10℃/分で示差走査熱量測定を行い、得られた熱流束曲線のベースラインと変曲点(上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点)での接線の交点をTgとした。
Figure 0007327394000015
2.実施例1~9、比較例1~4
1)活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の製造
後記表2及び表3に示す化合物を表2及び表3に示す割合でステンレス製容器に投入し、室温にてマグネチックスターラーで均一になるまで撹拌し、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
尚、表2及び表3における括弧内の数字は、質量部を意味する。
又、表2及び表3における略号は、下記を意味する。さらに、表2及び表3においては、フェノール系酸化防止剤をフェノール系AOと、リン系酸化防止剤をリン系AOと、硫黄系酸化防止剤を硫黄系AOと表記した。
◆(B)成分
・I―1010:フェノール系酸化防止剤、BASFジャパン製イルガノックス1010、分子量1,178
・A-3010:ホスファイト系酸化防止剤、ADEKA製アデカスタブ3010、分子量503
・AO-503:チオエーテル系酸化防止剤、ADEKA製アデカスタブAO-503、分子量543
・TEMPOL:有機系重合禁止剤(安定ラジカル)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、分子量172
・BHT:フェノール系酸化防止剤、4-メチル―2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、分子量220
◆(C)成分
・CO-L:3官能イソシアネート化合物、日本ポリウレタン(株)製コロネートL
・T-X:4官能エポキシ化合物、三菱ガス化学(株)製テトラッドX
◆(D)成分
・DETX:2,4-ジエチルチオキサントン、分子量268
◆(E)成分
・P900:1,3-ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、フレキシス(株)製パーカリンク900
又、(A)成分及び溶剤の欄において、上段は共重合体溶液としての配合割合、下段は各成分ごとの配合割合を意味する。
2)活性エネルギー線硬化型粘着シートの製造
(実施例1)
幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、2.1)で得られた組成物を乾燥後の膜厚が25μmになるようバーコーターで塗工し、熱風乾燥機で90℃×5分乾燥し、粘着層を得た。次いで、前記粘着層に、集光型高圧水銀灯(120W/cm、1灯、ランプ高さ28cm)の下を28m/minのコンベアスピードで1パス通過させることにより紫外線(UV-A領域の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量500mJ/cm2、いずれもヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を照射し、部分硬化させた。
さらに、前記の部分硬化した粘着層に、幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナKF」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm)をラミネートし、活性エネルギー線硬化型粘着シート(以下、単に「粘着シート」という。)を得た。
表2及び3において、当該製造条件を条件1という。
(実施例2)
1パス当たりの積算光量100mJ/cm2とした以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
表2において、当該製造条件を条件2という。
(実施例3~9、比較例1~4)
幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナHTA」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ75μm)に、2.1)で得られた組成物を乾燥後の膜厚が25μmになるようバーコーターで塗工し、熱風乾燥機で90℃×5分乾燥し、粘着層を得た。次いで、前記粘着層に、幅300mm×長さ300mmの藤森工業(株)製離型フィルム「フィルムバイナKF」(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm)をラミネートし、粘着シートを得た。ただし、比較例3で得られる塗膜は、粘着力が全く無く、フィルムバイナKFをラミネートできなかった。
表2及び3において、当該製造条件を条件3という。
尚、実施例3と実施例9で得られる粘着シートは、同一組成から得られるものであるが、当該粘着シートを用いた後記の評価3)(1)~(3)において、カプトンと白スライドガラスを貼り合せた後の工程が異なるため、便宜上、区別して記載した。
Figure 0007327394000016
Figure 0007327394000017
3)活性エネルギー線硬化型粘着シートの評価
実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、下記の方法で評価した。それらの結果を表4に示す。
(1)加熱処理前の剥離強度
粘着シートの片側の離型フィルムを剥がし、膜厚25μmのポリイミドフィルムフィルム〔商品名「カプトン」、東レデュポン(株)製。以下、単に「カプトン」という。〕に貼り合せた。その後、もう一方の離型フィルムを剥がし、厚さ1mmの白スライドガラスを貼り合せた。尚、実施例8については、得られた粘着シートを用いてカプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、オートクレーブ処理(50℃、30分、0.5MPa)を実施した。
その後、23℃、50%RHで1日保管して状態調整し、剥離幅25mm、23℃、50%RHの条件においてJIS K-6854-2に準じて180°剥離試験(剥離速度:300mm/min)を実施した。
(2)加熱処理後の剥離強度
実施例1~7及び比較例1~4では、得られた粘着シートの片側の離型フィルムを剥がし、カプトンに貼り合せた。その後、もう一方の離型フィルムを剥がし、厚さ1mmの白スライドガラスを貼り合せ、260℃、30分加熱した。
実施例8では、得られた粘着シートを用いてカプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、オートクレーブ処理(50℃×30分、0.5MPa)を実施し、次いで、260℃、30分加熱した。
実施例9では、得られた粘着シートを用いてカプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、白スライドガラス側から集光型高圧水銀灯(140W/cm、1灯、ランプ高さ28cm)下を5.5m/minのコンベアスピードで通過させることにより紫外線(UV-A領域の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量500mJ/cm2、いずれもヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を、500mJ/cm2(1パス)照射して部分硬化させ、次いで、260℃、30分加熱した。
前記の通り、実施例1~9及び比較例1~4において、260℃、30分加熱した後、23℃、50%RHで1日保管して状態調整し、剥離幅25mm、23℃、50%RHの条件においてJIS K-6854-2に準じて180°剥離試験(剥離速度:300mm/min)を実施した。
(3)加熱処理及び紫外線照射後の剥離強度
実施例1~7及び比較例1~4では、得られた粘着シートの片側の離型フィルムを剥がし、カプトンに貼り合せた。その後、もう一方の離型フィルムを剥がし、厚さ1mmの白スライドガラスを貼り合せ、260℃、30分加熱した。
実施例8では、得られた粘着シートを用いてカプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、オートクレーブ処理(50℃×30分、0.5MPa)を実施し、次いで、260℃、30分加熱した。
実施例9では、得られた粘着シートを用いてカプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、集光型高圧水銀灯(140W/cm、1灯、ランプ高さ28cm)下を5.5m/minのコンベアスピードで通過させることにより紫外線(UV-A領域の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量500mJ/cm2、いずれもヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を、白スライドガラス側から500mJ/cm2(1パス)照射して部分硬化させ、次いで、260℃、30分加熱した。
前記の通り、実施例1~9及び比較例1~4において、260℃、30分加熱した後、集光型高圧水銀灯(140W/cm、1灯、ランプ高さ28cm)下を5.5m/minのコンベアスピードで通過させることにより、紫外線(UV-A領域の照度200mW/cm2、1パス当たりの積算光量500mJ/cm2、いずれもヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を、白スライドガラス側から2J/cm2(4パス)照射した。
その後、23℃、50%RHで1日保管して状態調整し、剥離幅25mm、23℃、50%RHの条件においてJIS K-6854-2に準じて180°剥離試験(剥離速度:300mm/min)を実施した。
(4)加熱処理及び紫外線照射後の外観及び糊残り
前記3)(3)で180°剥離試験を実施した後、カプトンと白スライドガラスを剥離した後の粘着層を外観観察して、発泡やハガレの数を計測した。発泡やハガレが少ないほど、耐熱性が良好なことを意味する。
又、カプトン上の剥離界面に糊残りが全く無ければ○、糊残りの面積が0%超50%未満の場合には△、糊残りの面積が50%以上100%以下の場合には×とした。
(5)加熱処理紫外線照射後のガラス付着性
前記3)(3)で180°剥離試験を実施した後、白スライドガラスと粘着層硬化膜との密着性を、JIS K-5600-5-6に準じて付着性(クロスカット法)を試験した。
評価は5段階で行われ、ガラスとの付着性が高い「分類0」が最も不良であり、ガラスとの付着性が低い「分類5」が最良である。
Figure 0007327394000018
4)評価結果
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる粘着シート(実施例1~9)は、粘着層を260℃で加熱処理した後、活性エネルギー線を照射することにより、剥離強度が、前記活性エネルギー線照射前よりも、活性エネルギー線照射後の方が低くなった。さらに、加熱処理及び紫外線照射後においても、発泡やハガレが少なく、薄膜基材であるカプトンへの糊残りが無く、無機基材であるガラスへの付着性が低く良好であった。
これらの中でも、(B)成分が、分子量が300以上の化合物を含む場合(実施例1~3、実施例4~9)、前記の全ての性能に優れた。
又、カプトンと白スライドガラスを貼り合せた後、活性エネルギー線を照射して、部分硬化させる工程を経た後に、260℃で加熱処理し、活性エネルギー線を照射した場合、発泡を抑制する効果が極めて大きかった(実施例10)。
これらに対して、(B)成分を含まない組成物から得られる粘着シート(比較例1)、及び、Tgが-10℃未満の共重合体を含む組成物から得られる粘着シート(比較例2)は、加熱処理及び紫外線照射後の発泡やハガレが多く、薄膜基材であるカプトンへの糊残りが多く、性能が不十分であった。
又、Tgが40℃を超過する共重合体を含む組成物から得られる粘着シート(比較例3)は、粘着力が全く無く、貼合ができなかった。
又、劣化防止剤として、フェノール系酸化防止剤を含み、リン系酸化防止剤又は硫黄系酸化防止剤を含まない比較例4の組成物から得られる粘着シート(比較例4)は、剥離強度及びガラス付着性に優れるものの、加熱処理及び紫外線照射後の外観が不十分であり、わずかに糊残りを有するものであった。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物及び粘着シートによれば、薄膜基材と無機基材の接合時には粘着性を有して仮接着させることができ、高温(例えば、200℃以上)に曝されても、剥がれや発泡が発生せず、活性エネルギー線の照射により薄膜基材と無機基材のいずれの界面からも容易に剥離できる。このため、薄膜基材としてプラスチックフィルム基板を用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィルム基板にTFT回路を形成させるTFT基板、フィルム基板に電子回路を形成させるフレキシブルプリント配線板、フィルム基板に透明電極層を形成させる電界発光素子、フィルム基板に透明電極層、発光層、反射絶縁層、裏面電極及び保護層を形成させる電界発光灯、フィルム基板に切削加工を行う光学レンズの製造用部材、又、半導体ウエハを素子小片に切断分離する際のダイシング用部材として好適に用いることができる。

Claims (18)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を含有する組成物であって、前記組成物から得られる塗膜に活性エネルギー線を照射した場合において、JIS K-6854-2で規定される180°剥離強度が、活性エネルギー線照射前よりも、活性エネルギー線照射後の方が低い活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    (A)成分:感光性基を有し、ガラス転移温度が-10℃以上40℃以下である共重合体
    (B)成分:酸化防止剤を必須成分として含む劣化防止剤であり、当該酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤を必須とし、リン系酸化防止剤又は/及び硫黄系酸化防止剤をさらに含む劣化防止剤
  2. さらに、熱硬化型架橋剤(C)を含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  3. 活性エネルギー線照射の光源が高圧水銀灯であって、UV-A領域の積算光量が500mJ/cm2以上の条件において、当該活性エネルギー線照射後の前記剥離強度が2N/25mm未満である、請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  4. 前記感光性基が、下記一般式(1)で表されるマレイミド基を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    Figure 0007327394000019
    〔但し、一般式(1)において、R1及びR2は、一方が水素原子で他方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、両方がハロゲン原子、アルキル基若しくはアリール基、又は一つとなって炭素環を形成する基を表す。〕
  5. 前記(A)成分が、前記一般式(1)で表されるマレイミド基及びマレイミド基以外のエチレン性不飽和基を有する化合物(a1)5~90質量%、並びに、化合物(a1)と共重合性を有するエチレン性不飽和単量体(b)10~95質量%を構成単量体単位とするマレイミド基を側鎖に有する共重合体である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  6. 前記化合物(a1)が、下記一般式(15)で表される化合物を含む、請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    Figure 0007327394000020
    〔但し、式(15)において、R1及びR2は前記と同義であり、又、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又はメチル基を表し、nは1から6の整数を表す。〕
  7. 前記(A)成分が、下記の単量体単位及び共重合割合の共重合体を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    (a1):前記一般式(2)で表される化合物;5~90質量%
    (b1):アルキル(メタ)アクリレート;9.9~94.9質量%
    (b2):分子中に1個以上の水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;0.1~40質量%
  8. 前記(B)成分が、分子量が300以上の化合物を含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  9. 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を0.01~20質量部の割合で含む、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  10. さらに、(D)成分:光重合開始剤及び/又は増感剤を含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  11. さらに、(E)成分:分子中に前記一般式(1)で表されるマレイミド基を2個以上有する化合物(但し、(A)成分を除く。)を含む、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  12. 前記(E)成分が、下記一般式(16)で表される化合物を含む、請求項11に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    Figure 0007327394000021
    〔但し、一般式(16)において、R1及びR2は前記と同義であり、Ra及びRcはアルキレン基、オキシアルキレン基又は単結合を表し、Rbは2価の有機基であって全体として炭素数1~20を有する基を表す。〕
  13. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、2つの基材を積層してなる活性エネルギー線硬化型粘着シート。
  14. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射し、部分硬化させて得られる塗膜を介して、2つの基材を積層してなる活性エネルギー線硬化型粘着シート。
  15. 前記基材の一方又は両方が剥離処理されたものである、請求項13又は請求項14に記載の活性エネルギー線硬化型粘着シート。
  16. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
    前記工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
    前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
    前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
  17. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物をから得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
    前記工程で得られた積層体を加圧脱泡処理する工程と、
    前記の加圧脱泡処理する工程で得られた積層体の薄膜基材上に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
    前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
    前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
  18. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から得られる塗膜を介して、薄膜基材と無機基材を接着して積層体を得る工程と、
    前記工程で得られた積層体に活性エネルギー線を照射して、前記塗膜を部分硬化させる工程と、
    前記の部分硬化させる工程で得られた積層体に、加熱処理を伴う表面加工を行う工程と、
    前記の表面加工を行う工程で得られた積層体に、活性エネルギー線を照射する工程と、
    前記の活性エネルギー線を照射する工程で得られた積層体から薄膜基材を剥離する工程とを含む、表面加工部材の製造方法。
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