JP2002327005A - 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体

Info

Publication number
JP2002327005A
JP2002327005A JP2001135218A JP2001135218A JP2002327005A JP 2002327005 A JP2002327005 A JP 2002327005A JP 2001135218 A JP2001135218 A JP 2001135218A JP 2001135218 A JP2001135218 A JP 2001135218A JP 2002327005 A JP2002327005 A JP 2002327005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
mass
compound
resin composition
antibacterial agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001135218A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Kawai
治 川合
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2001135218A priority Critical patent/JP2002327005A/ja
Publication of JP2002327005A publication Critical patent/JP2002327005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐擦傷性及び透明性に優れ、且つ、抗菌性と
帯電防止能を併せ持つ樹脂積層体を得るための光硬化性
樹脂組成物及びその樹脂積層体を提供する。 【解決手段】 分子中に少なくとも2個のアクリロイル
オキシ基及び/またはメタクリロイルオキシ基を有する
重合性化合物(a−1)と、分子中に1個のα、β−エ
チレン系不飽和結合を有する化合物(a−2)とからな
る混合物(A)、無機系抗菌剤(B)、四級アンモニウ
ム化合物と不飽和二重結合を有する化合物から得られる
共重合体(C)、及び光重合開始剤(D)からなる光硬
化性樹脂組成物及びかかる樹脂からなる樹脂積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐擦傷性及び透明
性に優れ、且つ、抗菌性と帯電防止能を併せ持つ樹脂積
層体を得るための光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層
体に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等
の合成樹脂は、透明性、耐衝撃性、電気絶縁性等に優れ
ていることから、工業用資材、建築用資材等として広く
使用されている。しかし、これら合成樹脂よりなる成形
品は、表面硬度が低いため、引掻き等による傷が発生し
易く、また、合成樹脂成形品は、高い体積固有抵抗を有
しているため、静電気の発生により、埃が付着し易いと
いう問題点を有している。これらの合成樹脂成形品がも
っている問題点を改善するために、従来から多くの改良
研究が行われてきているが、今日に至っても有効な解決
手段は見出されていないといってよい。
【0003】また最近の清潔志向を背景に、多数の人が
利用する場所に設置される機器・製品には、細菌や黴の
発生防除機能をもつ材料からなるものが望まれている。
特に、病院、幼稚園、あるいは保育園等で使用される機
器・製品には、細菌の防除対策が強く求められており、
抗菌作用を有する樹脂組成物や樹脂成形体が使用されつ
つある。
【0004】抗菌性樹脂組成物や樹脂成形体に使用され
る抗菌剤は、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤に大別され
る。有機系抗菌剤としては、例えば特開昭51−151
740号公報には、ベンツイミダゾール化合物とフタル
イミド化合物との相乗効果に基づく抗菌作用を付与した
熱可塑性樹脂組成物が記載されている。特開平6−25
6563号公報及び特開平9−291188号公報に
は、リン酸塩に殺菌作用を有するベンザルコニウムイオ
ン等の第4級アンモニウムイオンをインターカレートせ
しめた抗菌性化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物が記
載されている。また、特開平9−157548号公報に
は、第4級アンモニウム塩化合物を固定化したリン酸塩
を主体とする抗菌剤を含有するコート剤を被膜した抗菌
性合成樹脂成形体が記載されている。
【0005】しかし最近では、樹脂組成物や樹脂成形体
を作製する際の加熱工程等における熱に対して、より高
い耐熱性を示す無機系抗菌剤が多用される傾向にある。
この無機系抗菌剤としては、抗菌作用を有する金属を、
ゼオライト、アパタイト、アルミナ、シリカゲルなどの
多孔質体に保持せしめたセラミック型が一般的で、金属
としては、高い抗菌性及び安全性を兼ね備えた銀が多用
されている。例えば、特開昭59−133235号公報
には、銀を保持せしめたゼオライトを有機高分子体に含
有せしめたゼオライト粒子含有高分子体が開示されてい
る。また、特開平8−73633号公報には、カップリ
ング剤で表面処理した、銀、亜鉛等の抗菌性金属を含む
セラミック抗菌剤を樹脂シートに固着せしめた抗菌性樹
脂シートが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のとおり、有機系
及び無機系の各種抗菌剤を含有せしめた樹脂組成物及び
その成形品、あるいは抗菌剤を含有するコート剤を被覆
した樹脂成形品などが開発されてきた。しかしながら、
従来の抗菌性樹脂は、樹脂に抗菌活性をもたせることを
主たる目的として進められてきたため、耐擦傷性、帯電
防止性を併せ持つ樹脂はほとんど開発されて来なかっ
た。また無機系抗菌剤は、分子レベルで樹脂との相溶性
の高い有機系抗菌剤と比較して、樹脂中で凝集や沈降を
起こし易く、そのため、分散性が不充分で、抗菌剤の持
っている抗菌活性が有効に発現されない傾向にあり、ま
た、無機抗菌剤が十分に樹脂中に分散されないことから
樹脂積層体の外観が悪くなるという問題を内在してい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記抗菌
性樹脂のもつ問題点を改善するため鋭意研究を進めた結
果、無機抗菌剤が特定の2個の(メタ)アクリロイルオ
キシ基を有する架橋反応性化合物と四級アンモニウム塩
化合物を含む光重合性樹脂組成物中によく分散され、そ
の樹脂積層体は、抗菌性だけでなく、耐擦傷性、帯電防
止性等においても優れた特性をもっていることを見出し
た。
【0008】すなわち、本発明は、分子中に少なくとも
2個のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクリロイ
ルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)50〜10
0質量%と、分子中に1個のα、β−エチレン系不飽和
結合を有する化合物(a−2)0〜50質量%とからな
る混合物(A)100質量部と、無機系抗菌剤(B)
0.1〜3質量部と下記一般式(1)
【化4】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、R〜R
炭素数1〜9の置換基を有していてもよいアルキル基、
mは1〜10の整数、Xはアニオン残基、Yは酸素原
子または窒素原子を表す。)で表される四級アンモニウ
ム塩化合物(c−1)20〜99質量%と、該四級アン
モニウム塩化合物(c−1)と共重合可能な1つの不飽
和二重結合を有する化合物(c−2)1〜80質量%と
の共重合体(C)0.1〜20質量部、及び光重合開始
剤(D)0.1〜10質量部を含有する新規な抗菌性光
硬化性樹脂組成物を提供するものであり、また、かかる
光硬化性樹脂組成物の光硬化物からなる樹脂層と基材樹
脂層とからなる耐擦傷性、帯電防止性等に優れた抗菌性
樹脂積層体を提供するものである。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用される重合性化合物
(a−1)は、分子中に少なくとも2個の(メタ)アク
リロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物であり、各
(メタ)アクリロイルオキシ基を結合する残基が、炭化
水素またはその誘導体であり、その分子内にはエーテル
結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、
ウレタン結合等を含むことができる。これらの化合物の
主な例としては、1モルの多価アルコールと、2モル以
上の(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得
られるエステル化物、多価アルコールと多価カルボン酸
またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸またはそれら
の誘導体とから得られる、1分子中に2個以上の(メ
タ)アクリロイルオキシ基を有する線状のエステル化物
等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル−と
は、通常の用法に従いアクリル−及びメタクリル−の双
方を意味するものである。
【0010】1モルの多価アルコールと、2モル以上の
(メタ)アクリル酸とから得られるエステルの例として
は、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレー
ト、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリ
セロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)
アクリレート、また、次の一般式(4)
【0011】
【化5】 (式中、nは1〜4の整数であり、X〜Xは少なく
とも3個以上が(メタ)アクリロイル基で、他はヒドロ
キシル基を表す。)で示される化合物、例えばジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペン
タエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ
ペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等を
挙げることができる。
【0012】多価アルコールと多価カルボン酸またはそ
れの無水物と(メタ)アクリル酸とから得られる1分子
中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する
線状のエステル化物において、多価アルコールと多価カ
ルボン酸またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸の好
ましい組合わせとしては、マロン酸/トリメチロールエ
タン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロール
プロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン
/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトー
ル/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエ
タン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロール
プロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン
/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトー
ル/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロール
エタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロ
ールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリ
セリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリ
スリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメ
チロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ト
リメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル
酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペ
ンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸
/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシ
ン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、
セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシ
ン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フ
マル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、
フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル
酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマ
ル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イ
タコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル
酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル
酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アク
リル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メ
タ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロ
パン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリ
ン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリ
スリトール/(メタ)アクリル酸等を挙げることができ
る。
【0013】重合性化合物(a−1)の他の例として
は、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シク
ロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネ
ート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の
3量化により得られる下記一般式(5)
【化6】 (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12
の2価の炭化水素基を表す)で示されるポリイソシアネ
ートと活性水素を有するアクリルモノマー、
【0014】例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)
アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,
3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレ
ート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等とを、イソシアネート1モル
当たり3モル以上を反応させて得られるウレタン(メ
タ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)
アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエ
チル]イソシアヌレート;公知のエポキシポリアクリレ
ート;公知のウレタンポリアクリレート等を挙げること
ができる。なお、重合性化合物(a−1)の含有量とし
ては、塗膜の十分な耐擦傷性を実現するために、混合物
(A)の全体に対して50質量%以上とされる。
【0015】本発明で使用される化合物(a−2)とし
ては、分子内に1個のα,β−エチレン系不飽和結合を
有する単量体である。特に、重合性化合物(a−1)と
共重合体(C)との両者に相溶性を有する化合物であっ
て、分子内に極性基を有する化合物が好ましい。具体的
には、重合性化合物(a−1)と共重合体(C)との種
類及び量によって適宜選択されるが、アクリル酸、メタ
クリル酸、及びそれらのアミド、アミドのメチロール化
物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。なお、化
合物(a−2)の含有量としては、塗膜の十分な耐擦傷
性を実現するために、混合物(A)の全体に対して50
質量%以下とされる。
【0016】本発明で使用する無機系抗菌剤(B)とし
ては、銀を含有するリン酸複塩よりなる抗菌剤が好まし
く、そのリン酸複塩としては、リン酸アルミニウム、リ
ン酸ジルコニウム、リン酸チタンを含有するものを好ま
しい例として挙げることができる。中でも、銀の固定化
能力が高く、複塩の製造工程で良好な沈殿性を有するリ
ン酸アルミニウムが好ましい。また、本発明において
は、銀の固定化量の指標となる、銀の抗菌剤に占める平
均的な割合が0.1質量%以上が好ましく、0.3質量
%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好まし
く、他方上限は、20質量%以下が好ましく、15質量
%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好まし
い。銀の固定量が少なすぎると十分な抗菌効果を得られ
ず、多すぎる場合は抗菌剤の製造が困難となる場合があ
る。前記リン酸複塩が銀イオンとリン酸アルミニウムを
含有するイオンとからなる場合、好ましい銀の固定化量
が実現できる。また更には、耐光性とコストのバランス
から、前記リン酸アルミニウムを含有するイオンがリン
酸アルミニウム亜鉛カチオンであることが好ましい。
【0017】本発明におけるリン酸複塩中には、アルミ
ニウムや亜鉛以外に、製造工程においてイオン交換法が
利用できるなどの理由から、アルカリ金属イオン、アル
カリ土類金属イオン、または第4級アンモニウムが含ま
れてもよい。なかでも、イオン交換能の高いアルカリ土
類金属イオン、特にカルシウムイオンが好ましい。すな
わち、本発明においては、前記リン酸アルミニウム亜鉛
カチオンのカチオンがカルシウムイオンであることが好
ましい。
【0018】最も優れた無機系抗菌剤として、下記一般
式(2)で表される銀、亜鉛、カルシウムを含むリン酸
アルミニウム複塩を挙げることができる。
【化7】 (式中、α、β及びγは、0<α<9、0<β<9、0
<γ<5及び2α+2β+3γ=17の関係を満た
す。)
【0019】銀、亜鉛、カルシウムを含むリン酸アルミ
ニウム複塩からなる抗菌剤を含むものとしては新東Vセ
ラックス(株)の抗菌セラ・コートC715S、C9
1、P011などが挙げられる。本発明における無機系
抗菌剤(B)の含有量は、混合物(A)100質量部に
対し、0.1〜3質量部である。含有量が多すぎると、
樹脂層の透明性の低下とともに、耐擦傷性が低下し好ま
しくない。また、少なすぎる場合は十分な抗菌性能が得
られない。
【0020】本発明で使用される前記一般式(1)で表
される四級アンモニウム塩化合物(c−1)は、例えば
アミノ基を有する(メタ)アクリレート類または(メ
タ)アクリルアミド類等を四級化することにより得るこ
とができる。このアミノ基を有する(メタ)アクリレー
ト類の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
レート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0021】また、アミノ基を有する(メタ)アクリル
アミド類の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリ
ルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミ
ド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキ
シエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げ
ることができる。一般式(1)で表される四級アンモニ
ウム塩化合物(c−1)の中で、得られる共重合体
(C)の高い耐加水分解性が実現でき、四級アンモニウ
ム塩化合物のブリードアウトがより抑制される等の理由
により、−Y−が−NH−である化合物、すなわち、ア
ミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類を四級化する
ことにより得られる化合物が特に好ましい。
【0022】四級化剤としては、ジメチル硫酸、ジエチ
ル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トル
エンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等の
スルホン酸エステル類、トリメチルホスファイト等のア
ルキルリン酸、アルキルベンジルクロライド、ベンジル
クロライド、アルキルクロライド、アルキルブロマイド
等の各種ハライドが用いられ、特にアルキル硫酸類、ス
ルホン酸エステル類が耐熱分解性の点で好ましい。即
ち、一般式(1)におけるアニオン残基(X)として
は、式RSO またはROSO (式中、R
は水素原子または炭素数1〜20の置換基を有していて
もよいアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を
表す)で示されるものが好ましい。
【0023】次に、上記四級アンモニウム塩化合物(c
−1)と共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化
合物(c−2)としては、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;メチル
アクリレート、エチルアクリレート等のアクリル酸エス
テル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン
酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;
N−フェニルマレイミド等のマレイミド類;2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート等のヒドロキシ基含有単量体;アクリルアミ
ド、アクリロニトリル等の窒素含有単量体;アリルグリ
シジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキ
シ基含有単量体;末端メタクリレートポリメチルメタク
リレート、末端スチリルポリメチルメタクリレート、末
端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポ
リエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニ
トリルスチレン共重合体等のマクロモノマー類等を例示
することができ、これらを2種以上混合して用いること
もできる。
【0024】これらの共重合可能な1つの不飽和二重結
合を有する化合物(c−2)としては、得られる樹脂特
性のバランスの観点から、下記一般式(3)
【化8】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原
子または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいア
ルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、Aは炭素
数2〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基、n
は0〜500の整数を表す。)で表される化合物が好ま
しい。
【0025】特に一般式(3)においてn=2〜500
で表される化合物を用いると、共重合体(C)と重合性
化合物(a−1)及び化合物(a−2)との相溶性が良
く、光硬化性樹脂組成物が均一に硬化されるため好まし
い。n=2〜500で表される具体的化合物としては、
ポリエチレングリコール(4)モノ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコール(300)モノ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(23)
モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール
(23)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コール(23)モノ(メタ)アクリレートモノメチルエ
−テル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メタ)
アクリレートモノブチルエ−テル、ポリエチレングリコ
ール(23)モノ(メタ)アクリレートモノステアリル
エーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メ
タ)アクリレートモノフェニルエーテル、ポリエチレン
グリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノベン
ジルエーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ
(メタ)アクリレートモノオレイルエーテル等を例示す
ることができる。なお、カッコ内はポリアルキレングリ
コールユニットの数を表す。
【0026】四級アンモニウム塩化合物(c−1)の含
有量は、良好な帯電防止性を実現するために、共重合体
(C)に対して20質量%以上99質量%以下、好まし
くは90質量%以下とされる。一方、不飽和二重結合を
有する化合物(c−2)の含有量は、光硬化性樹脂組成
物の均一性及び基材合成樹脂との密着性の観点から、1
質量%以上80質量%以下、好ましくは10質量%以上
とされる。共重合体(C)は、上記の量比で混合された
化合物(c−1)及び(c−2)から、パーオキサイド
やアゾビス等の重合開始剤を用い、メタノール等の溶媒
を用いた溶液重合法等により製造することができる。
【0027】上記共重合体(C)は、帯電防止性だけで
なく、無機系抗菌剤の光硬化性樹脂組成物中での分散安
定性にも寄与し、目的とする樹脂積層体に良好な外観と
安定した抗菌性を付与しているものである。この共重合
体(C)の添加量は、無機系抗菌剤の分散安定性に寄与
するためには、無機抗菌剤の使用量100質量部あたり
10質量部以上の使用が好ましい。十分な帯電防止性を
発現させるためには、混合物(A)100質量部に対し
て0.5質量部以上とされ、また、良好な耐擦傷性を実
現するためには、混合物(A)100質量部に対して2
0質量部以下とされる。
【0028】本発明で使用される光重合開始剤(D)は
特に限定されないが、具体例としては、ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベ
ンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメ
トキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニル
グリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、
4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモ
ノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の
硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフ
ォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0029】光重合開始剤(D)の添加量は、光硬化性
樹脂組成物の十分な硬化性を実現するために、混合物
(A)100質量部に対し、0.1質量部以上とされ、
硬化後の着色を抑制するために、10質量部以下とされ
る。なお、本発明においては、上記光重合開始剤を単独
で用いるだけでなく、複数の開始剤を併用して用いても
よい。更に、本発明における光硬化性樹脂組成物には、
従来から使用されている種々の添加剤を添加してもよ
い。添加剤としては、界面活性剤、レベリング剤、染
料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃
剤、可塑剤等を挙げることができる。
【0030】本発明の光硬化性樹脂組成物を用い、抗菌
性、帯電防止性及び耐擦傷性を有する樹脂積層体を得る
方法としては、基材樹脂層表面に硬化フィルムを積層す
る方法、あるいは、ローラーコート法、バーコート法、
噴霧コート法、エアーナイフコート法、ディッピング法
等の方法で、本発明の光硬化性樹脂組成物を基材樹脂層
表面に塗布し光で硬化する方法、ガラスと基材樹脂層と
の間に本発明の光硬化性樹脂組成物を挟込んで光硬化
し、基材樹脂層表面に被膜を転写する方法、鋳型表面に
上記方法で光硬化性樹脂組成物を塗布し、光で硬化した
後、得られた被膜を内側として鋳型を作製し、樹脂原料
を注入して、重合硬化せしめ鋳型から剥離する方法等を
例示することができる。また、表面に微少な凹凸を有す
るガラスや鋳型を用いたり、光硬化性樹脂組成物に溶解
や膨潤をしないで、且つ、表面に微少な凹凸を有するフ
ィルムをガラスや鋳型にはりつけることによって、表面
に微少な凹凸を有する樹脂積層体を得ることもできる。
本発明で使用される基材樹脂層を構成する樹脂は特に限
定されないが、好ましい例としては、アクリル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、塩ビ樹脂、ABS樹脂、スチレン
樹脂等を挙げることができる。
【0031】本発明において、光硬化性樹脂組成物より
なる樹脂層の厚みは、十分な帯電防止性及び耐擦傷性を
実現するために、0.5μm以上が好ましく、1μm以
上がより好ましい。また、被膜にクラックが発生した
り、樹脂積層体の切断時に被膜が欠ける等の不具合を抑
制するために、100μm以下が好ましく、50μm以
下がより好ましい。本発明の樹脂積層体においては、必
要に応じて、光硬化性樹脂組成物よりなる樹脂層の上に
反射防止膜を設けることが出来る。また片面に本発明の
光硬化性樹脂組成物よりなる樹脂層を設け、もう片面に
反射防止膜、拡散層、接着層等の他の機能薄膜を設ける
といった構成も可能である。
【0032】本発明の樹脂積層体の表面は、透明性、耐
擦傷性、抗菌性、帯電防止性に優れている。帯電防止性
は、表面抵抗率及び電荷半減期で評価することができ、
表面抵抗率は、1×1013Ω以下が好ましく、5×1
12Ω以下がより好ましく;電荷半減期は、30秒以
下が好ましく、10秒以下がより好ましい。また、耐擦
傷性は擦傷ヘーズで評価することができ、擦傷ヘーズは
10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例によって制限されるもの
ではない。なお、特に記さない限り、部は質量部を意味
する。 (ア)抗菌性評価方法 試験菌として黄色ブドウ球菌(IFO12732)及び
大腸菌(IFO3972)を用い、以下の試験方法に従
い、抗菌性能を評価した。 (1)試験菌の培養 試験菌を普通寒天(NA)培地に移植し、温度37±1
℃で16〜24時間培養(前々培養)した菌を、更にN
A培地に1白金耳移植し、温度37±1℃で16〜24
時間培養(前培養)した。 (2)接種用菌液の調整 0.2%肉エキス加普通ブイヨン培地をリン酸緩衝液で
500倍に希釈し、前培養した菌を均一に分散したもの
を接種用菌液とした。
【0034】(3)試験操作、評価方法 試験面に接種用菌液0.4ml(1.0×10〜5.
0×10の菌を含む)を接種し、その上に40×40
mmに切った被覆フィルム(強化ポリエチレン)を被せ
て蓋をした後、温度35±1℃、相対湿度90%以上の
条件下で保存した。24時間後にSCDLP培地を10
ml加えて洗い出した後1ml取り出し、標準寒天培地
を用いて、混釈平板培養法により生残菌数を測定し、試
験片1枚当たりの生残菌数に換算した。
【0035】(イ)全光線透過率及びヘーズ 全光線透過率及びヘーズは、日本電色製HAZE ME
TER NDH2000を使用し測定した。 (ウ)表面抵抗率 帯電防止性の指標として表面抵抗率を測定した。測定方
法としては、測定用の試料を、予め、23℃、50%相
対湿度で1日間調湿したものを用い、超絶縁抵抗計(T
OA製、ULTRA MEGOHMMETER MOD
EL SM−10E)を使用し、測定温度23℃、測定
湿度50%の条件で印加電圧500Vで1分後の表面抵
抗率(Ω)を測定した。
【0036】(エ)電荷半減期 帯電防止性の他の指標として電荷半減期を測定した。測
定方法としては、測定用の試料を、予め、23℃、50
%相対湿度で1日間調湿し、スタティックオネストメー
ター(宍戸商会製)を使用し、印加電圧10000V、
試料回転速度1550rpm、印加時間30秒、測定温
度23℃、測定湿度50%の条件で測定し、電圧印加時
の試料電圧が印加電圧切断後、半分になるまでの時間を
電荷半減時間(秒)とした。
【0037】(オ)耐擦傷性 耐擦傷性については、擦傷試験の前後におけるヘーズの
変化(擦傷ヘーズ)をもって評価した。即ち、#000
のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パ
ッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、9.8Nの荷重
下で、20mmの距離を100回往復擦傷し、擦傷前と
擦傷後のヘーズ値の差を下式(1)より求めた; [擦傷ヘーズ(%)] =[擦傷後のヘーズ(%)]−[擦傷前のヘーズ(%)] (1) (カ)分散安定性 調製した光硬化性樹脂組成物を、1週間静置し、その後
抗菌剤の分散状態を目視で観察した。 ○:抗菌剤の沈降無し ×:抗菌剤の沈降が認められ
【0038】(キ)共重合体Cの合成 撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジメチルアミノプロ
ピルメタクリルアミドのジメチル硫酸塩(日東理研製;
MAPTAS)324部、2,2−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)2.4部、n−オクチルメル
カプタン2.4部、メタノール809部、ポリエチレン
グリコール(23)モノメタクリレートモノメチルエー
テル(カッコ内はポリエチレングリコールユニットの
数)485部を加え、60℃で窒素雰囲気下に6時間重
合させ、50℃で3日真空乾燥し、帯電防止性を付与す
る共重合体Cを得た。
【0039】(実施例1)化合物(a−1)として、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:K
AYARAD DPHA、日本化薬(株)製、以下DP
HAとも記載する)50部、及び1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート(大阪有機化学(株)製、以下C6
DAとも記載する)40部の混合物と、化合物(a−
2)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート(商品
名:HEA、大阪有機化学製、以下HEAとも記載す
る)10部と、無機系抗菌剤(B)として、銀−リン酸
アルミニウム亜鉛カルシウムを含む抗菌剤(銀の抗菌剤
に占める平均の割合は1質量%、抗菌剤の平均粒径は1
μm)の濃度50質量%のアクリレートモノマー、分散
液である、セラ・コートC715S(新東Vセラックス
(株)製;以下C715S)0.5部、共重合体(C)
として、共重合体C 16部と、光重合開始剤(D)と
して、ベンゾインイソプロピルエーテル(商品名:セイ
クオールBIP、精工社製、以下BIPとも記載する)
1.5部と、安定剤として、2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジルベンゾエート(商品名:サノール
LS744、三共製、以下LS744とも記載する)
0.3部とを混合し、光硬化性樹脂組成物を調製した。
【0040】得られた光硬化性樹脂組成物を鏡面を有す
るステンレス板の鏡面側に滴下し、その上に厚さ12μ
mのポリエチレンテレフタレート製(以下、PETとも
記載する)の2軸延伸フィルム(帝人社製)を配置し、
JIS硬度30゜のゴムロールにてしごき、光硬化性樹
脂組成物層の厚みを20μmに設定した。その後、出力
40Wの蛍光紫外線ランプ(東芝製、FL40BL)の
下10cmの位置を、PETフィルム面を上にして、
0.8m/分のスピードで通過させ前硬化した後、PE
Tフィルムを剥離した。次いで出力30W/cmの高圧
水銀灯下20cmの位置を、塗膜を上にして0.8m/
分のスピードで通過させ硬化させた。この様に処理した
2枚のステンレス板を硬化被膜が内側になるように対向
させ、周囲を軟質塩ビ製のガスケットで封じ、注型重合
用の鋳型を作製した。この鋳型に、重合率20%のメタ
クリル酸メチル部分重合体100質量部と、アゾビスジ
メチルバレロニトリル0.05質量部と、ジオクチルス
ルフォサクシネートのナトリウム塩0.005質量部と
からなる樹脂原料を注入し、対向するガラスの間隔を2
mmに調整し、80℃の水浴中で1時間、次いで、13
0℃の空気炉で1時間重合した。冷却後ガラス板から樹
脂板を剥離することにより表面に硬化被膜を有するアク
リル樹脂積層体を得た。得られたアクリル樹脂積層体は
全光線透過率93%、ヘーズ0.4%で透明性に優れて
おり、その表面抵抗率は1.0×1011Ω、電荷半減
時間は1秒、擦傷ヘーズは0.2%であった。また、抗
菌性を有するものであった。評価結果を表1、2に示
す。
【0041】(実施例2)CS715Sの添加量を1質
量部とする以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂積
層体を得た。評価結果を表1、2に示す。
【0042】(実施例3)無機系抗菌剤(B)として、
銀−リン酸アルミニウム亜鉛カルシウムを含む抗菌剤
(銀の抗菌剤に占める平均の割合は1質量%、抗菌剤の
平均粒径は0.3μm)の濃度25質量%のキシレン分
散液である、抗菌セラ・コートC91(新東Vセラック
ス(株)製;以下C91)1.0質量部を使用した以外
は実施例1と同様にして、アクリル樹脂積層体を作製し
た。得られたアクリル樹脂積層体の評価結果を表1、2
に示す。
【0043】(実施例4)光重合開始剤(D)として
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフ
ィンオキサイド(商品名:LucirinTPO、BA
SF社製、以下TPOとも記載する)2質量部を用いる
以外は、実施例1と同様にして得た光硬化性樹脂組成物
をガラス板に塗布し、次いで、厚さ1.5mmのアクリ
ル樹脂板(三菱レイヨン製、アクリライトL)とガラス
板とで光硬化性樹脂組成物を挟込むように重ね合わせた
後、ゴムローラーでしごくことにより、光硬化性樹脂組
成物層の厚みを20μmに設定した。この重ね合わせた
状態で、ガラス面より遠赤外線ヒーターで加熱し、ガラ
ス表面温度を70℃まで昇温させ、その状態で1分間保
持した。次いで出力120W/cmの高圧水銀灯の下2
0cmの位置を、ガラス面を上にして2m/分のスピー
ドで通過させ光硬化性樹脂組成物を硬化させた。硬化後
ガラスからアクリル樹脂板を剥離することにより、アク
リル樹脂積層体を得た。得られたアクリル樹脂積層体の
評価結果を表1、2に示す。
【0044】(実施例5)光重合開始剤(D)として、
TPO 2.8質量部と、ベンゾフェノン1部とを使用
した以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物
を調製した。得られた光硬化性樹脂組成物を、厚さ50
μmのPETの2軸延伸フィルム(帝人(株)製)に滴
下した。次いで、厚さ2mmのポリカーボネート樹脂板
(三菱エンプラ社製、ユーピロン)に光硬化性樹脂組成
物を樹脂板側として、JIS硬度40゜のゴムロールで
しごきながら、光硬化性樹脂組成物層の厚みが5μmに
なるように貼り合わせた。その後、PETフィルム面を
上側とし、出力120W/cmのメタルハライドランプ
の下20cmの位置を2.0m/分のスピードで通過さ
せ硬化させた後、PETフィルムを剥ぎ取った後、高圧
水銀灯の下20cmの位置を2.0m/分のスピードで
通過させ更に硬化させることにより、表面に被膜を有す
るポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られたポリカ
ーボネート樹脂積層体の評価結果を表1、2に示す。
【0045】(比較例1)無機系抗菌剤(B)を使用し
ない以外は、実施例1と同様にして、樹脂積層体を作製
した。得られた樹脂積層体を評価した結果、抗菌性は全
く有していなかった。評価結果を表1、2に示す。
【0046】(比較例2)共重合体(C)を使用しない
以外は、実施例1と同様にして、樹脂積層体を作製し
た。得られた樹脂積層体は、帯電防止性を示さず、光硬
化性樹脂組成物中の無機系抗菌剤の分散安定性も低下し
た。評価結果を表1、2に示す。
【0047】(比較例3)715Sの添加量を10部
(抗菌剤として5部)とする以外は実施例1と同様にし
て、樹脂積層体を作成した。得られた樹脂積層体の透明
性が低下した。評価結果を表1、2に示す。
【0048】(比較例4)共重合体Cの添加量を25質
量部とする以外は、実施例1と同様にして、樹脂積層体
を作製した。得られた樹脂積層体の耐擦傷性は、不十分
であった。評価結果を表1、2に示す。
【0049】(比較例5)化合物(a−1)としてDP
HA40部、化合物(a−2)としてHEA60部を使
用する以外は、実施例1と同様にして、樹脂積層体を作
製した。得られた樹脂積層体の耐擦傷性は、不十分であ
った。評価結果を表1に示す。
【0050】(比較例6)被膜を形成していないアクリ
ル樹脂板(商標;アクリライトL)の評価を行った。表
1、2に示した評価結果より明らかな通り、抗菌性を有
さず、帯電防止性及び耐擦傷性が、不十分であった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の光硬化性樹脂組成物を光硬化さ
せることにより得られる樹脂層を有する樹脂積層体は、
抗菌性を有するため菌の繁殖が抑えられ、着色等もなく
透明性が良好であり、また帯電防止性を有するため埃が
付着しにくく、耐擦傷性を有するため取り扱い等によっ
て傷が付きにくいため、良好な外観が維持される。従っ
て、本発明の樹脂積層体は、多数の人が利用する場所に
設置される機器・製品の部品カバー、グレージング材、
ディスプレー材、照明材、銘板等として有用であり、特
に多くの人が手で操作し、透明性が要求されるタッチパ
ネルの前面板として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 2/50 C08F 2/50 265/00 265/00 Fターム(参考) 4F100 AA04B AA33B AB04 AG00 AK01A AK03B AK25B AL01B AL05B BA02 BA07 CA30B DD01B EH46 EJ08 EJ54 GB07 JB14B 4J011 PA10 PA69 PB26 PB34 PB40 PC02 PC08 QA02 QA06 QA13 QA23 QA24 QA34 QA38 QA39 QB16 QB19 QB24 SA01 SA21 SA31 SA41 SA83 SA84 UA01 VA01 WA02 4J026 AA45 AA50 AA76 BA25 BA28 BA29 BA30 BA32 BA50 BB03 DB11 GA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に少なくとも2個のアクリロイル
    オキシ基及び/またはメタクリロイルオキシ基を有する
    重合性化合物(a−1)50〜100質量%と、分子中
    に1個のα、β−エチレン系不飽和結合を有する化合物
    (a−2)0〜50質量%とからなる混合物(A)10
    0質量部と、無機系抗菌剤(B)0.1〜3質量部と下
    記一般式(1) 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、R〜R
    炭素数1〜9の置換基を有していてもよいアルキル基、
    mは1〜10の整数、Xはアニオン残基、Yは酸素原
    子または窒素原子を表す。)で表される四級アンモニウ
    ム塩化合物(c−1)20〜99質量%と、該四級アン
    モニウム塩化合物(c−1)と共重合可能な1つの不飽
    和二重結合を有する化合物(c−2)1〜80質量%と
    の共重合体(C)0.1〜20質量部、及び光重合開始
    剤(D)0.1〜10質量部を含有する光硬化性樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 無機系抗菌剤(B)が銀を含有するリン
    酸複塩よりなる抗菌剤であることを特徴とする請求項1
    記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 無機系抗菌剤(B)が一般式(2) 【化2】 (式中、α、β及びγは、0<α<9、0<β<9、0
    <γ<5及び2α+2β+3γ=17の関係を満た
    す。)で表される銀、カルシウム及び亜鉛を含有するリ
    ン酸アルミニウムの複塩よりなる抗菌剤であることを特
    徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 共重合可能な1つの不飽和二重結合を有
    する化合物(c−2)が、下記一般式(3)で表される
    化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の光硬化性樹脂組成物。 【化3】 (式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原
    子または炭素数1〜18の置換基を有していてもよいア
    ルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、Aは炭素
    数2〜4の置換基を有していてもよいアルキレン基、n
    は0〜500の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の光硬
    化性樹脂組成物の光硬化物からなる樹脂層と基材樹脂層
    とからなる樹脂積層体。
  6. 【請求項6】 光硬化性樹脂組成物の光硬化物からなる
    樹脂層の表面が微少な凹凸を有することを特徴とする請
    求項5に記載の樹脂積層体。
JP2001135218A 2001-05-02 2001-05-02 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体 Pending JP2002327005A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001135218A JP2002327005A (ja) 2001-05-02 2001-05-02 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001135218A JP2002327005A (ja) 2001-05-02 2001-05-02 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002327005A true JP2002327005A (ja) 2002-11-15

Family

ID=18982723

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001135218A Pending JP2002327005A (ja) 2001-05-02 2001-05-02 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002327005A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006130680A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル系樹脂積層体、透明電極板およびタッチパネルの製造方法
JP2009520076A (ja) * 2005-12-14 2009-05-21 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 抗菌接着フィルム
WO2011007650A1 (ja) * 2009-07-16 2011-01-20 日本合成化学工業株式会社 樹脂成形体およびディスプレイ用保護板
CN109135232A (zh) * 2017-06-27 2019-01-04 江南大学 一种抗菌高分子复合材料及制备方法
WO2022181492A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 パナソニックIpマネジメント株式会社 重合性組成物及び抗菌性材料
WO2022209331A1 (ja) * 2021-03-29 2022-10-06 住友化学株式会社 熱可塑性樹脂と抗菌剤とを含有する成形体の製造方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006130680A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリル系樹脂積層体、透明電極板およびタッチパネルの製造方法
JP4673038B2 (ja) * 2004-11-02 2011-04-20 三菱レイヨン株式会社 アクリル系樹脂積層体、透明電極板およびタッチパネルの製造方法
JP2009520076A (ja) * 2005-12-14 2009-05-21 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 抗菌接着フィルム
US9247736B2 (en) 2005-12-14 2016-02-02 3M Innovative Properties Company Antimicrobial adhesive films
WO2011007650A1 (ja) * 2009-07-16 2011-01-20 日本合成化学工業株式会社 樹脂成形体およびディスプレイ用保護板
JP2011038081A (ja) * 2009-07-16 2011-02-24 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 樹脂成形体およびディスプレイ用保護板
CN102449063A (zh) * 2009-07-16 2012-05-09 日本合成化学工业株式会社 树脂成形体和显示器用保护板
CN109135232A (zh) * 2017-06-27 2019-01-04 江南大学 一种抗菌高分子复合材料及制备方法
WO2022181492A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 パナソニックIpマネジメント株式会社 重合性組成物及び抗菌性材料
WO2022209331A1 (ja) * 2021-03-29 2022-10-06 住友化学株式会社 熱可塑性樹脂と抗菌剤とを含有する成形体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0832917B1 (en) Molded resin articles having marproof organic hard coat layer and nonfogging organic hard coat layer, process for the production of the same, and coating materials therefor
JP5291919B2 (ja) ディスプレイ表面に用いる偏光板用保護フィルム又は画像表示装置前面板用フィルム
JP5365038B2 (ja) 紫外線硬化型塗料、ハードコート層、透明ポリカーボネートシート
EP0050996A1 (en) Uncured filled coating compositions and cured products thereof
JP2013173871A (ja) 組成物、帯電防止性コート剤及び帯電防止性積層体
JP5315829B2 (ja) 硬化型ハードコート剤組成物
JP2009040924A (ja) 硬化性樹脂組成物およびこれを利用する高透明性帯電防止ハードコート材
JP4382963B2 (ja) 光硬化性樹脂組成物、積層体およびディスプレー前面板
TW201418295A (zh) (甲基)丙烯酸酯系共聚物、抗菌劑、賦予抗菌性之樹脂組成物及賦予抗靜電性之樹脂組成物
JP3577145B2 (ja) ハードコートフィルム
WO2018235816A1 (ja) 光硬化性樹脂組成物、硬化被膜、硬化被膜付き基材、これらの製造方法およびウイルス不活化方法
JP2002327005A (ja) 光硬化性樹脂組成物及びその樹脂積層体
JP2006342213A (ja) 光硬化性樹脂組成物、樹脂積層体および樹脂積層体の製造方法
JP2014009306A (ja) 抗菌性組成物
JPH09157548A (ja) 抗菌性の表面コート剤および合成樹脂成形体
JP5538489B2 (ja) ハードコート積層体
WO2014157070A1 (ja) 活性エネルギー線硬化型塗料組成物
US5880212A (en) Surface coating composition, cured film thereof and synthetic resin molded article coated with cured film
JPH08311366A (ja) 被覆用樹脂組成物及び帯電防止性に優れた合成樹脂成形品並びにその製造方法
JPH09327622A (ja) 抗菌性の表面コート剤および合成樹脂成形体
JPH08269387A (ja) 加熱硬化型被覆組成物
JP2006342214A (ja) 光硬化性樹脂組成物、積層体
JP2010030249A (ja) 樹脂積層体及びその製造方法
JPS5941366A (ja) 被覆用硬化型樹脂組成物
JP2003292510A (ja) 光硬化性樹脂組成物及び積層体