JP2003292510A - 光硬化性樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物及び積層体

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JP2003292510A
JP2003292510A JP2002098942A JP2002098942A JP2003292510A JP 2003292510 A JP2003292510 A JP 2003292510A JP 2002098942 A JP2002098942 A JP 2002098942A JP 2002098942 A JP2002098942 A JP 2002098942A JP 2003292510 A JP2003292510 A JP 2003292510A
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mass
meth
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photocurable resin
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JP2002098942A
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English (en)
Inventor
Osamu Kawai
治 川合
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な帯電防止性、優れた耐擦傷性及び透明
性を有し外観悪化が抑制された被膜を形成し得る光硬化
性樹脂組成物と、表面特性に優れた積層体を提供する。 【解決手段】 複数の(メタ)アクリロイルオキシ基を
有する重合性化合物(a−1)30〜100質量%と、
1個のα、β−エチレン系不飽和結合を持つ化合物(a
−2)0〜70質量%とからなる混合物100質量部;
下式の化合物(b−1)20〜98質量%と、これと共
重合可能な1つの不飽和二重結合を持つ化合物(b−
2)1〜70質量%と、側鎖にヒンダードピペリジン基
を有し化合物(b−1)及び(b−2)と共重合可能な
1つの不飽和二重結合を持つ化合物(b−3)1〜10
質量%との重合体0.5〜30質量部;並びに光開始剤
0.1〜10質量部を含む光硬化性樹脂組成物。基材樹
脂の少なくとも一部の表面に上記組成物の硬化被膜を有
する積層体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、十分な帯電防止性
を示すとともに、耐擦傷性および透明性にも優れ、ブリ
ードアウトが抑制された被膜を有する積層体、および、
その様な被膜を形成し得る光硬化性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等
の合成樹脂は、透明性、耐衝撃性、電気絶縁性等の特徴
を有し、工業用資材、建築用資材等として広く使用され
ている。しかし、これら合成樹脂よりなる成形品は、表
面硬度が低いため、引掻き等による傷が発生し易い場合
がある。また、合成樹脂成形品は、高い体積固有抵抗を
有しているため、静電気により帯電が発生し、埃が付着
し易い場合がある。これらの不具合を抑制するために、
従来から多くの改良が試みられているが、有効な手段は
余り知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】耐擦傷性を向上する方
法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能性
単量体を用い、架橋被膜を基材表面に形成することが知
られているが、従来の架橋被膜は帯電防止性を全く示さ
ないか、不十分な場合が多かった。
【0004】帯電防止性を改良する方法としては、特公
昭54−15074号公報に開示されている様に、エチ
レングリコールジメタクリレート等の少なくとも2個の
アクリロイルオキシ基及び/又はメタアクリロイルオキ
シ基を有する架橋重合性化合物と、分子中に四級アンモ
ニウム塩を含む重合性化合物とを含んでなる組成物を重
合させて皮膜を形成することにより、耐摩耗性および耐
溶剤性に優れ、帯電防止性および表面染色性を改善でき
ることが知られている。
【0005】しかしながら、当該公報に記載の方法によ
ると、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物の吸湿性
が余りに高いために、皮膜を形成する組成物中に多くの
水分が含まれることとなり、このため組成物の重合時に
重合硬化ムラ、品質ムラ等を発生してしまう場合があっ
た。更に、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物中の
水分を除去しようとしても、四級アンモニウム塩を含む
重合性化合物の重合性が高いため、加熱及び減圧操作中
に重合してしまい実質的に無水の四級アンモニウム塩を
含む重合性化合物を得ることは困難であった。
【0006】四級アンモニウム塩を含む重合性化合物の
吸湿性に関する上述の不具合は、特開平6−73305
号公報および特開平8−311366号公報にて開示さ
れる様に、四級アンモニウム塩を含む重合性化合物に代
えて、四級アンモニウム塩基を有する化合物と、ポリエ
チレングリコールメタクリレート等の四級アンモニウム
塩基を有する化合物と共重合可能な1個の不飽和二重結
合を有する化合物とからなる共重合体を使用することに
より、改善されることが知られている。
【0007】しかしながら、当該公報に記載の方法によ
り吸湿性に関する問題は改善されるものの、得られた被
膜を高温多湿の環境下に置いた場合、共重合体が加水分
解され、加水分解により生じた四級アンモニウム塩がブ
リードアウトする場合があった。そして、四級アンモニ
ウム塩のブリードアウトにより、被膜の外観が低下する
場合があった。
【0008】以上の様な状況に鑑み、本発明において
は、十分な帯電防止性を示すとともに、耐擦傷性および
透明性にも優れ、四級アンモニウム塩のブリードアウト
が抑制され、外観悪化が抑制された被膜を形成し得る光
硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。またこ
のような被膜を有し、表面特性に優れた積層体を提供す
ることも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明によれば、分子中に少なくとも2個の(メタ)
アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)
30〜100質量%と、分子中に1個のα、β−エチレ
ン系不飽和結合を有する化合物(a−2)0〜70質量
%とからなる混合物(A)100質量部と、下記一般式
(1)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2〜R4はそれぞれ独立に、置換基としてハロゲンを含
んでも良い炭素数1〜9のアルキル基、mは1〜10の
整数、X-は四級化剤の残査からなるアニオン、Yは酸
素原子またはNHを表す。)で表される四級アンモニウ
ム塩基を有する化合物(b−1)20〜98質量%と、
該化合物(b−1)と共重合可能な1つの不飽和二重結
合を有する化合物(b−2)1〜70質量%と側鎖にヒ
ンダードピペリジン基を有し、化合物(b−1)および
(b−2)と共重合可能な1つの不飽和二重結合を有す
る化合物(b−3)1〜10質量%を重合して得られる
共重合体(B)0.5〜30質量部と、光開始剤(C)
0.1〜10質量部とを含んでなることを特徴とする光
硬化性樹脂組成物が提供される。
【0012】この光硬化性樹脂組成物において、化合物
(b−2)は、下記一般式(2)で表される化合物であ
ることが好ましい。
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R5は水素原子またはメチル基、
6は水素原子または置換基としてハロゲンを含んでも
良い炭素数1〜18のアルキル基、アリール基もしくは
アラルキル基、Aは炭素数1〜2のアルキル置換基を含
んでも良い炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50
0の整数を表す。) また、四級化剤のアニオンX-は、一般式R7SO3 -また
はR7OSO3 -(式中、R7は水素原子または置換基とし
てハロゲンを含んでも良い炭素数1〜20のアルキル
基、アリール基もしくはアラルキル基を表す。)である
ことが好ましい。
【0015】さらに、一般式(1)において、YはNH
であることが好ましい。
【0016】本発明により、また、基材樹脂の少なくと
も一部の表面に上記光硬化性樹脂組成物の硬化被膜を有
することを特徴とする積層体が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で使用される重合性化合物
(a−1)は、分子中に少なくとも2個の(メタ)アク
リロイルオキシ基を有する架橋反応性化合物であり、各
(メタ)アクリロイルオキシ基を結合する残基が、炭化
水素またはその誘導体であり、その分子内にはエーテル
結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、
ウレタン結合等を含むことができる。なお、(メタ)ア
クリとは、アクリ及び/又はメタクリを意味する。
【0018】これらの化合物の主な例としては、1モル
の多価アルコールと、2モル以上の(メタ)アクリル酸
またはそれらの誘導体とから得られるエステル化物;多
価アルコールと多価カルボン酸またはそれの無水物と
(メタ)アクリル酸またはそれらの誘導体とから得られ
る、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ
基を有する線状のエステル化物等を挙げることができ
る。
【0019】1モルの多価アルコールと、2モル以上の
(メタ)アクリル酸とから得られるエステルの例として
は、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエ
チレングリコールのジ(メタ)アクリレート;1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナン
ジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリ
レート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)ア
クリレート等を挙げることができる。
【0020】多価アルコールと多価カルボン酸またはそ
れの無水物と(メタ)アクリル酸とから得られる1分子
中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する
線状のエステル化物において、多価アルコールと多価カ
ルボン酸またはそれの無水物と(メタ)アクリル酸の好
ましい組合わせとしては、マロン酸/トリメチロールエ
タン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロール
プロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン
/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトー
ル/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエ
タン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロール
プロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン
/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトー
ル/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロール
エタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロ
ールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリ
セリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリ
スリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメ
チロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ト
リメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル
酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペ
ンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸
/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシ
ン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、
セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシ
ン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フ
マル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、
フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル
酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマ
ル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イ
タコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル
酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル
酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アク
リル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メ
タ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロ
パン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリ
ン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/ペンタエリ
スリトール/(メタ)アクリル酸等を挙げることができ
る。
【0021】重合性化合物(a−1)の他の例として
は、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シク
ロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネ
ート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の
3量化により得られるポリイソシアネートと、活性水素
を有するアクリルモノマー、例えば、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシ
プロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリル
アミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ
(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等とを、イソ
シアネート1モル当たり3モル以上を反応させて得られ
るウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレー
ト、トリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アク
リロイルオキシエチル]イソシアヌレート;公知のエポ
キシポリアクリレート;公知のウレタンポリアクリレー
ト等を挙げることができる。
【0022】なお、重合性化合物(a−1)の含有量と
しては、塗膜の十分な耐擦傷性を実現するために、混合
物(A)の全体に対して30質量%以上とされる。な
お、本発明においては、重合性化合物(a−1)100
質量%からなり、化合物(a−2)を含まないものであ
っても、便宜的に「混合物(A)」という。
【0023】本発明では光硬化性樹脂組成物中の共重合
体(B)の分散安定性を向上したり、光硬化性樹脂組成
物の粘度調節、硬化後の塗膜の架橋度の調節等の目的
で、重合性化合物(a−2)を使用することが出来る。
【0024】本発明で使用される化合物(a−2)とし
ては、分子内に1個のα,β−エチレン系不飽和結合を
有する単量体を挙げることができる。特に、重合性化合
物(a−1)と共重合体(B)との両者に相溶性を有す
る化合物であって、分子内に極性基を有する化合物が好
ましい。
【0025】具体的には、重合性化合物(a−1)と共
重合体(B)との種類および量によって適宜選択される
が、一般には、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれら
のアミド、アミドのメチロール化物、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等が好ましい。
【0026】なお、化合物(a−2)の含有量として
は、塗膜の十分な耐擦傷性を実現するために、混合物
(A)の全体に対して70質量%以下とされる。
【0027】本発明で使用される一般式(1)で示され
る化合物(b−1)は、四級アンモニウムを有する化合
物であり、例えばアミノ基を有する(メタ)アクリレー
ト類または(メタ)アクリルアミド類等を四級化剤によ
り四級化することにより得られる。
【0028】アミノ基を有する(メタ)アクリレート類
の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。
【0029】アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド
類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルア
ミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピル
アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノ
エチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチルア
ミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることがで
きる。
【0030】なお、化合物(b−1)の中で、得られる
共重合体(B)の高い耐加水分解性が実現でき、四級ア
ンモニウム塩のブリードアウトがより抑制できる等の理
由により、−Y−が−NH−である化合物がより好まし
い。
【0031】従って、アミノ基を有する(メタ)アクリ
ルアミド類を四級化することにより得られる化合物が好
ましい。
【0032】四級化剤としては、ジメチル硫酸、ジエチ
ル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p−トル
エンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等の
スルホン酸エステル類、トリメチルホスファイト等のア
ルキルリン酸、アルキルベンジルクロライド、ベンジル
クロライド、アルキルクロライド、アルキルブロマイド
等の各種ハライドが用いられ、特にアルキル硫酸類、ス
ルホン酸エステル類が耐熱分解性の点より好ましい。
【0033】即ち、一般式(1)における四級化剤の残
査で形成されるアニオン(X-)は、一般式R7SO3 -
たはR7OSO3 -(式中、R7は水素原子または置換基と
してハロゲンを含んでも良い炭素数1〜20のアルキル
基、アリール基もしくはアラルキル基を表す)で示され
るものが好ましい。
【0034】なお、一般式(1)中のmは1以上10以
下の整数であるが、得られる共重合体(B)の高い耐加
水分解性が実現でき、四級アンモニウム塩のブリードア
ウトがより抑制できる等の理由により、2以上6以下が
好ましい。
【0035】以上に述べた化合物(b−1)と共重合可
能な1つの不飽和二重結合を有する化合物(b−2)と
しては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート
等のメタクリル酸エステル類;メチルアクリレート、エ
チルアクリレート等のアクリル酸エステル類;アクリル
酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;N−フェニルマレ
イミド等のマレイミド類;2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒ
ドロキシ基含有単量体;アクリルアミド、アクリロニト
リル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエーテル、
グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;
末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端ス
チリルポリメチルメタクリレート、末端メタクリレート
ポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコ
ール、末端メタクリレートアクリロニトリルスチレン共
重合体等のマクロモノマー類等を例示することができ、
これらを2種以上混合して用いることもできる。
【0036】これらの共重合可能な1つの不飽和二重結
合を有する化合物(b−2)としては、得られる被膜の
特性のバランスの観点から、以下一般式(2)
【0037】
【化5】
【0038】(式中、R5は水素原子またはメチル基、
6は水素原子または置換基としてハロゲンを含んでも
良い炭素数1〜18のアルキル基、アリール基もしくは
アラルキル基、Aは炭素数1〜2のアルキル置換基を含
んでも良い炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50
0の整数を表す。)で表される化合物を使用することが
好ましい。
【0039】特に一般式(2)においてn=2〜500
で表される化合物を用いると、共重合体(B)と重合性
化合物(a−1)及び化合物(a−2)との相溶性が良
好となり、光硬化性樹脂組成物が優れて均一に硬化でき
るため好ましい。
【0040】一般式(2)において、n=2〜500で
表される化合物としては、ポリエチレングリコール
(4)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール(23)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコール(300)モノ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコール(23)モノ(メタ)アクリレー
ト、ポリブチレングリコール(23)モノ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコール(23)モノ(メ
タ)アクリレートモノメチルエ−テル、ポリエチレング
リコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノブチル
エ−テル、ポリエチレングリコール(23)モノ(メ
タ)アクリレートモノステアリルエーテル、ポリエチレ
ングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノフ
ェニルエーテル、ポリエチレングリコール(23)モノ
(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、ポリエチ
レングリコール(23)モノ(メタ)アクリレートモノ
オレイルエーテル等を例示することができる。なお、カ
ッコ内はポリアルキレングリコールユニットの数を表
す。
【0041】本発明の光硬化性樹脂組成物は、共重合体
Bを製造する際、側鎖にヒンダードピペリジン基を有
し、化合物(b−1)、(b−2)と共重合可能な1つ
の不飽和二重結合を有する化合物(b−3)を所定量共
重合することにより、得られる被膜の良好な帯電防止
性、耐擦傷性、透明性等を実現すると同時に、たとえ高
温多湿な環境下においても、四級アンモニウム塩のブリ
ードアウトを抑制できる。
【0042】またヒンダードピペリジン基を有する化合
物を共重合することなく添加することも可能ではある
が、一般に光硬化性樹脂組成物の粘度は高く、溶解が困
難であるため、溶解が不十分な場合、光硬化性樹脂組成
物の暗所保存安定性を著しく低下させる場合がある。本
発明のごとく、共重合体Bに共重合することによりその
様な問題を防ぐことができる。
【0043】本発明に用いられる化合物(b−3)とし
ては、4−(メタ)アクリロキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロキシ−
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等を例示
することができる。
【0044】化合物(b−1)の含有量は、良好な帯電
防止性を実現するために、共重合体(B)に対して20
質量%以上98質量%以下、好ましくは90質量%以下
とされる。一方、不飽和二重結合を有する化合物(b−
2)の含有量は、光硬化性樹脂組成物の均一性及び基材
合成樹脂との密着性の観点から、1質量%以上70質量
%以下であり、この下限値は好ましくは10質量%以上
とされる。更に化合物(b−3)の含有量は、高温多湿
条件下でのブリードアウトを十分抑制する観点から1質
量%以上とし、帯電防止効果の維持及び光硬化性樹脂組
成物の均一性の観点から10質量%以下とする。
【0045】共重合体(B)は、上記の量比で混合され
た化合物(b−1)、(b−2)及び(b−3)から、
パーオキサイド系やアゾビス系等の重合開始剤を用い
て、メタノール等の溶媒中での溶液重合法等により製造
できる。
【0046】本発明においては、共重合体(B)の作用
により、被膜に帯電防止性が付与される。その様な共重
合体(B)の添加量は、十分な帯電防止性を実現するた
めに、混合物(A)100質量部に対して0.5質量部
以上とされ、良好な耐擦傷性を実現するために、30質
量部以下とされる。
【0047】本発明で使用される光重合開始剤(C)は
特に限定されないが、具体例としては、ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベ
ンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメ
トキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニル
グリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、
4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモ
ノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の
硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフ
ォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0048】光重合開始剤の添加量は、光硬化性樹脂組
成物の十分な硬化性を実現するために、混合物(A)1
00質量部に対し、0.1質量部以上とされ、硬化後の
被膜の着色を抑制するために、10質量部以下とされ
る。なお、本発明においては、上記開始剤を単独で用い
るだけでなく、複数の開始剤を併用して用いてもよい。
【0049】本発明における光硬化性樹脂組成物には、
希釈するための有機溶剤、従来から使用されている種々
の添加剤を添加しても良い。有機溶剤としてはアルコー
ル類、芳香族炭化水素類、ケトン類等が挙げられる。有
機溶剤の添加量は任意に選択できる。添加剤としては、
界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等を挙げること
ができる。添加剤の添加量は、得られる被膜の物性が損
なわれない範囲内で適宜選択できるが、成分(A)、成
分(B)、成分(C)の合計100質量部当たり、10
質量部までであることが好ましい。
【0050】本発明の光硬化性樹脂組成物を用い、ブリ
ードアウトが抑制され、帯電防止性および耐擦傷性を有
する積層体を得る方法としては、基材樹脂表面に、ロー
ラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナ
イフコート法、ディッピング法等の方法で、本発明の光
硬化性樹脂組成物を塗布し、光で硬化する方法;ガラス
と基材樹脂との間に本発明の光硬化性樹脂組成物を挟込
んで光硬化し、基材樹脂表面に被膜を転写する方法;鋳
型表面に上記方法で光硬化性樹脂組成物を塗布し、光で
硬化した後、得られた被膜を内側として鋳型を作製し、
樹脂原料を注入して、重合硬化せしめ鋳型から剥離する
方法等を例示することができる。
【0051】本発明で使用される基材樹脂は特に限定さ
れないが、好ましい例としては、アクリル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチレ
ン樹脂等を挙げることができる。
【0052】本発明において、光硬化性樹脂組成物より
なる被膜の厚みは、十分な帯電防止性および耐擦傷性を
実現するために、0.5μm以上が好ましく、1μm以
上がより好ましい。また、被膜にクラックが発生した
り、積層体の切断時に被膜が欠ける等の不具合を抑制す
るために、100μm以下が好ましく、50μm以下が
より好ましい。
【0053】本発明の積層体においては、必要に応じ
て、光硬化性樹脂組成物よりなる被膜の上に更に、反射
防止膜を設けることができる。また積層体の片面に本発
明の光硬化性樹脂組成物よりなる皮膜を設け、他方の片
面に反射防止膜、接着膜等の他の機能薄膜を設けること
もできる。
【0054】本発明の積層体の表面は、透明性、耐擦傷
性、帯電防止性に優れ、ブリードアウトが抑制されてい
る。帯電防止性は、表面抵抗値および電荷半減期で評価
することができ、表面抵抗値は、1×1013Ω以下が好
ましく、5×1012Ω以下がより好ましく;電荷半減期
は、30秒以下が好ましく、10秒以下がより好まし
い。また、耐擦傷性は擦傷ヘーズで評価することがで
き、擦傷ヘーズは10%以下が好ましく、5%以下がよ
り好ましい。また、本発明によれば、耐湿試験後による
ブリードアウトを生じさせない様にすることができる。
【0055】本発明の光硬化性樹脂組成物を光硬化させ
ることにより得られる硬化被膜を有する積層体によれ
ば、帯電防止性を有するため埃が付着しにくく、耐擦傷
性を有するため取り扱い等によって傷が付きにくく、着
色等もなく、透明性は良好であり、四級アンモニウム塩
のブリードアウトが抑制されているため、良好な外観を
維持できる。
【0056】このため、本発明の積層体は、部品カバ
ー、グレージング材、車両用部材、ディスプレー材、照
明材、銘板等に使用できるが、特に、CRT、液晶テレ
ビ、プロジェクションテレビ等の各種ディスプレーの前
面板として好適に使用できる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例によって制限されるもの
ではない。
【0058】なお、特に断りがない限り、全ての試薬は
市販の良好品を使用した。また、部は質量部を意味す
る。
【0059】(評価方法) (ア)帯電防止性の指標として表面抵抗値を測定した。
測定方法としては、超絶縁抵抗計(TOA製、商品名:
ULTRA MEGOHMMETER MODEL S
M−10E)を使用し、測定温度23℃、測定相対湿度
50%の条件で印加電圧500Vで1分後の表面抵抗値
(Ω)を測定した。なお、測定用の試料としては、予
め、23℃、50%相対湿度で1日間調湿したものを用
いた。
【0060】(イ)帯電防止性の他の指標として電荷半
減期を測定した。測定方法としては、スタティックオネ
ストメーター(宍戸商会製)を使用し、印加電圧100
00V、試料回転速度1550rpm、印加時間30
秒、測定温度23℃、測定相対湿度50%の条件で測定
し、電圧印加時の試料電圧が印加電圧切断後、半分にな
るまでの時間を電荷半減時間(秒)とした。なお、測定
用の試料としては、予め、23℃、50%相対湿度で1
日間調湿したものを用いた。
【0061】(ウ)耐擦傷性については、擦傷試験の前
後におけるヘーズの変化(擦傷ヘーズ)をもって評価し
た。即ち、#000のスチールウールを装着した直径2
5.4mmの円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置
き、9.8Nの荷重下で、20mmの距離を100回往
復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を下式(I)
より求めた。
【0062】
【数1】
【0063】なお、ヘーズは、日本電色製、商品名:H
AZE METER NDH2000により測定した。
【0064】(エ)ブリードアウトについては、耐湿試
験により評価した。即ち、40℃、相対湿度95%の条
件下に10日間サンプルを放置した後、被膜の外観を目
視で観察し、次の3段階で評価した; ◎:変化無し、 ○:僅かにブリード物が認められるが外観良好、 ×:ブリード物で外観低下。
【0065】(共重合体B−1の合成)本発明で用いる
共重合体(B)として、以下に示すように化合物(b−
1)、(b−2)および(b−3)を用いて共重合体B
−1を合成した。
【0066】撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジメチ
ルアミノプロピルメタクリルアミド188部、メタノー
ル228部を投入し、撹拌しながらジメチル硫酸136
部、メタノール41.3部の混合物を、内温が15℃以
下となる様に滴下し、滴下終了後30分間撹拌を続けジ
メチル硫酸で4級化されたジメチルアミノプロピルメタ
クリルアミド(化合物b−1)318部を含む溶液59
3.3部を得た。
【0067】この溶液に2,2−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)2.48部、n−オクチルメル
カプタン2.48部、メタノール406部、ポリエチレ
ングリコール(23)モノメタクリレートモノメチルエ
ーテル(カッコ内はポリエチレングリコールユニットの
数)485部、4−メタクリロキシ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン16.5部を加え、60℃で窒
素雰囲気下にて6時間重合させた後、50℃で3日真空
乾燥し、帯電防止性を付与する共重合体(B−1)を得
た。
【0068】(共重合体B−2の合成)本発明で用いる
共重合体(B)として、以下に示すように化合物(b−
1)、(b−2)および(b−3)を用いて共重合体B
−2を合成した。
【0069】撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジメチ
ルアミノプロピルメタクリルアミド188部、メタノー
ル228部を投入し、撹拌しながらジメチル硫酸136
部、メタノール41.3部の混合物を、内温が15℃以
下となる様に滴下し、滴下終了後30分間撹拌を続けジ
メチル硫酸で4級化されたジメチルアミノプロピルメタ
クリルアミド(化合物b−1)318部を含む溶液59
3.3部を得た。
【0070】この溶液に2,2−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)2.55部、n−オクチルメル
カプタン2.55部、メタノール427部、ポリエチレ
ングリコール(23)モノメタクリレートモノメチルエ
ーテル(カッコ内はポリエチレングリコールユニットの
数)485部、4−メタクリロキシ−2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン42.6部を加え、60℃で窒
素雰囲気下にて6時間重合させ、50℃で3日真空乾燥
し、帯電防止性を付与する共重合体(B−2)を得た。
【0071】(共重合体B−3の合成)後述する比較例
のために、化合物(b−1)および(b−2)を用い、
化合物(b−3)を用いずに共重合体を合成した。
【0072】撹拌羽根付きガラス製フラスコに、ジメチ
ルアミノプロピルメタクリルアミド188部、メタノー
ル228部を投入し、撹拌しながらジメチル硫酸136
部、メタノール41.3部の混合物を、内温が15℃以
下となる様に滴下し、滴下終了後30分間撹拌を続けジ
メチル硫酸で4級化されたジメチルアミノプロピルメタ
クリルアミド(化合物b−1)318部を含む溶液59
3.3部を得た。
【0073】この溶液に2,2−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)2.4部、n−オクチルメルカ
プタン2.4部、メタノール384部、ポリエチレング
リコール(23)モノメタクリレートモノメチルエーテ
ル(カッコ内はポリエチレングリコールユニットの数)
485部を加え、60℃で窒素雰囲気下に6時間重合さ
せ、50℃で3日真空乾燥し、帯電防止性を付与する共
重合体(B−3)を得た。
【0074】(実施例1)光硬化性樹脂組成物1および
積層体1 化合物(a−1)として、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、
日本化薬(株)製、以下DPHAとも記載する)50
部、および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(大阪有機化学(株)製、以下C6DAとも記載する)
20部、重量平均分子量約200のポリエチレングリコ
ールのジアクリレート(商品名:NKエステルA20
0、新中村化学製、以下A200とも記載する)20部
と、化合物(a−2)として、2−ヒドロキシエチルア
クリレート(商品名:HEA、大阪有機化学製、以下H
EAとも記載する)10部と、共重合体(B)として、
共重合体(B−1)16部と、光重合開始剤(C)とし
て、ベンゾインエチルエーテル(商品名:セイクオール
BEE、精工社製、以下BEEとも記載する)1.5部
を混合し、光硬化性樹脂組成物1を調製した。
【0075】得られた光硬化性樹脂組成物1をガラス板
に滴下し、その上に厚さ20μmのポリエチレンテレフ
タレート製(以下、PETとも記載する)の2軸延伸フ
ィルム(ダイヤホイル社製)を配置し、JIS硬度40
゜のゴムロールにてしごき、光硬化性樹脂組成物層の厚
みを20μmに設定した。その後、出力40Wの蛍光紫
外線ランプ(東芝製、FL40BL)の下、10cmの
位置を、PETフィルム面を上にして、0.8m/分の
スピードで通過させ前硬化した後、PETフィルムを剥
離した。次いで出力30W/cmの高圧水銀灯下20c
mの位置を、塗膜を上にして0.8m/分のスピードで
通過させ硬化させた。この様に処理した2枚のガラス板
を硬化被膜が内側になるように対向させ、周囲を軟質塩
ビ製のガスケットで封じ、注型重合用のセルを作製し
た。このセルに、メタクリル酸メチル重合体20質量%
とメタクリル酸メチル80質量%とからなるシラップ1
00質量部と、アゾビスジメチルバレロニトリル0.0
5質量部と、ジオクチルスルフォサクシネートのナトリ
ウム塩0.005質量部とからなる樹脂原料を注入し、
対向するガラスの間隔を2mmに調整し、80℃の水浴
中で30分、次いで、130℃の空気炉で30分重合し
た。冷却後ガラス板を剥離することにより表面に硬化被
膜を有するアクリル樹脂積層体1を得た。
【0076】得られたアクリル樹脂積層体1は透明性に
優れており、その表面抵抗率値は2.0×1011Ω、
電荷半減時間は1秒、擦傷ヘーズは0.6%であった。
また耐湿試験後もアクリル樹脂積層体1の外観に変化は
無かった。評価結果を表1に示す。
【0077】以上より、本発明の光硬化性樹脂組成物よ
り得られる被膜が形成された積層体においては、着色等
が抑制され、十分な帯電防止性、耐擦傷性および透明性
が実現され、四級アンモニウム塩のブリードアウトも抑
制されていることが分かった。
【0078】(実施例2)積層体2 共重合体Bとして(B−2)を使用する以外は実施例1
と同様にして、光硬化性樹脂組成物を調整し、それを用
いてアクリル樹脂積層体2を作製した。得られたアクリ
ル樹脂積層体2の評価結果を表1に示す。
【0079】(実施例3)光硬化性樹脂3及び積層体3 光重合開始剤(C)として、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:
LucirinTPO、BASF社製、以下TPOとも
記載する)2部を使用した以外は、光硬化性樹脂組成物
1の場合と同様にして光硬化性樹脂組成物3を調製し
た。
【0080】光硬化性樹脂組成物3をガラス板に塗布
し、次いで厚さ1.5mmのアクリル樹脂板(三菱レイ
ヨン製、商品名:アクリライトL)とガラス板とで、光
硬化性樹脂組成物1を挟込むように重ね合わせた後、ゴ
ムローラーでしごくことにより、光硬化性樹脂組成物層
の厚みを20μmに設定した。この重ね合わせた状態
で、ガラス面より遠赤外線ヒーターで加熱し、ガラス表
面温度を70℃まで昇温させ、その状態で1分間保持し
た。次いで出力120W/cmの高圧水銀灯の下20c
mの位置を、ガラス面を上にして2m/分のスピードで
通過させ光硬化性樹脂組成物3を硬化させた。硬化後ガ
ラス板を剥離することにより、アクリル樹脂積層体3を
得た。得られたアクリル樹脂積層体3の評価結果を表1
に示す。
【0081】(実施例4)光硬化性樹脂組成物4および
積層体4 光重合開始剤(C)として、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:
LucirinTPO、BASF社製、以下TPOとも
記載する)3部を使用した以外は、光硬化性樹脂組成物
1の場合と同様にして光硬化性樹脂組成物4を調製し
た。
【0082】得られた光硬化性樹脂組成物4を、厚さ5
0μmのPETの2軸延伸フィルム(帝人(株)製)に
滴下した。次いで、厚さ2mmのポリカーボネート樹脂
板(三菱エンプラ製、登録商標:ユーピロン)に光硬化
性樹脂組成物4を樹脂板側として、JIS硬度40゜の
ゴムロールでしごきながら、光硬化性樹脂組成物層4の
厚みが10μmになるように貼り合わせた。その後、P
ETフィルム面を上側とし、出力120W/cmの高圧
水銀灯の下20cmの位置を2.0m/分のスピードで
通過させ硬化させた後、PETフィルムを剥離すること
により、表面に被膜を有するポリカーボネート樹脂積層
体4を得た。得られたポリカーボネート樹脂積層体4の
評価結果を表1に示す。
【0083】(比較例1)光硬化性樹脂組成物5および
積層体5 共重合体(B−1)に替えて、共重合体(B−3)を用
いた以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物
5を調製し、アクリル樹脂積層体1の場合と同様にアク
リル樹脂積層体5を作製した。得られたアクリル樹脂積
層体5を評価した結果、表面抵抗値は1.0×10
12Ω、電荷半減時間は3秒、擦傷ヘーズは0.2%で、
耐湿試験の結果、被膜表面にブリードアウトによる曇り
が発生した。結果を表1に示す。の評価結果を表1に示
す。
【0084】(比較例2)積層体6 共重合体(B−1)を使用しない以外は、実施例1と同
様にして、積層体6を作製した。得られた積層体6は、
帯電防止性を示さなかった。評価結果を表1に示す。
【0085】(比較例3)積層体7 共重合体(B−1)の添加量を35部とする以外は、実
施例1と同様にして、積層体7を作製した。得られた積
層体7の耐擦傷性は、不十分であった。評価結果を表1
に示す。
【0086】(比較例4)積層体8 化合物(a−1)としてC6DA25部、化合物(a−
2)としてHEA75部を使用する以外は、実施例1と
同様にして、積層体8を作製した。得られた積層体8の
耐擦傷性は、不十分であった。評価結果を表1に示す。
【0087】(比較例5)被膜を形成していないアクリ
ル樹脂板(三菱レイヨン社製、商品名:アクリライト
L)の評価を行った。表1に示した評価結果より明らか
な通り、帯電防止性および耐擦傷性が、不十分であっ
た。
【0088】以下、表1に、特性の評価結果を示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】本発明の光硬化性樹脂組成物は、2個以
上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合
物(a−1)及びα、β−エチレン系不飽和結合を有す
る化合物(a−2)からなる混合物(A)と、所定の四
級アンモニウム塩基を有する化合物(b−1)、不飽和
二重結合を有する化合物(b−2)及び側鎖にヒンダー
ドピペリジン基を有する化合物(b−3)を重合して得
られる共重合体(B)と、光重合開始剤(C)を、所定
の質量比で含有しているため、この光硬化性樹脂組成物
を光硬化して得られる被膜を有する積層体は、十分な帯
電防止性を示すとともに、耐擦傷性および透明性にも優
れ、四級アンモニウム塩のブリードアウトが抑制され、
外観悪化が抑制され、光硬化性樹脂の暗所保存安定性も
良好なものとすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B BA02 BA07 BA15 GB90 JB14B JG03 JN01 4J011 AA05 PA65 PA69 PA74 PB22 PB26 PC02 PC08 4J026 AA31 AA44 AA45 AA46 AA47 AA48 AA49 AA50 AA54 AA56 AA57 BA27 BA28 BA29 BA36 BA38 BB03 DA02 DA08 DB06 DB09 DB36 FA05 GA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に少なくとも2個の(メタ)アク
    リロイルオキシ基を有する重合性化合物(a−1)30
    〜100質量%と、分子中に1個のα、β−エチレン系
    不飽和結合を有する化合物(a−2)0〜70質量%と
    からなる混合物(A)100質量部と、下記一般式
    (1) 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2〜R4はそ
    れぞれ独立に、置換基としてハロゲンを含んでも良い炭
    素数1〜9のアルキル基、mは1〜10の整数、X-
    四級化剤の残査からなるアニオン、Yは酸素原子または
    NHを表す。)で表される四級アンモニウム塩基を有す
    る化合物(b−1)20〜98質量%と、該化合物(b
    −1)と共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化
    合物(b−2)1〜70質量%と側鎖にヒンダードピペ
    リジン基を有し、化合物(b−1)および(b−2)と
    共重合可能な1つの不飽和二重結合を有する化合物(b
    −3)1〜10質量%を重合して得られる共重合体
    (B)0.5〜30質量部と、光開始剤(C)0.1〜
    10質量部とを含んでなることを特徴とする光硬化性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 化合物(b−2)は、下記一般式(2)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載
    の光硬化性樹脂組成物。 【化2】 (式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は水素原子
    または置換基としてハロゲンを含んでも良い炭素数1〜
    18のアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、
    Aは炭素数1〜2のアルキル置換基を含んでも良い炭素
    数2〜4のアルキレン基、nは0〜500の整数を表
    す。)
  3. 【請求項3】 四級化剤の残査からなるアニオンX
    -は、一般式R7SO3 -またはR7OSO3(式中、R7
    水素原子または置換基としてハロゲンを含んでも良い炭
    素数1〜20のアルキル基、アリール基もしくはアラル
    キル基を表す。)であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、YはNHである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光硬
    化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 基材樹脂の少なくとも一部の表面に請求
    項1〜4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物の硬化
    被膜を有することを特徴とする積層体。
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JP2006045425A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Dainippon Printing Co Ltd 帯電防止膜形成用の電離放射線硬化性組成物と帯電防止膜および帯電防止膜を備えた構造体
JP2008038092A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Nippon Kasei Chem Co Ltd 帯電防止性樹脂組成物、帯電防止層、及び積層材

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