JP7448067B1 - 帯電防止性ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】干渉むらが抑制され、さらに密着性にも優れた帯電防止性ハードコートフィルムの提供。【解決手段】本発明の課題は、トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有する帯電防止性ハードコートフィルムであって、ハードコート層は、特定の帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)、を含む帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成され、混合層は、トリアセチルセルロースフィルムが、帯電防止性ハードコート層形成用組成物によって溶解または膨潤されて形成された層であり、帯電防止性ハードコートフィルムを、走査型電子顕微鏡で厚み方向の断面を観察したとき、ハードコート層と混合層の合計膜厚に占める混合層の膜厚比率が65%以上である、帯電防止性ハードコートフィルムによって解決できる。【選択図】 図1

Description

本発明は、帯電防止性ハードコートフィルムに関する。
テレビ、コンピューター、カーナビゲーションシステム、車載用計器盤、携帯電話等の画像表示装置として用いられる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、CRTディスプレイ等各種ディスプレイにおいて、ディスプレイ等の表面を保護する目的でハードコートフィルムが用いられている。
ハードコートフィルムには、機械的特性、寸法安定性、電気絶縁性などに優れた性質を有することから、光学表示材料をはじめとして包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材として透明なプラスティックが広く使用されている。
透明なプラスティックのなかでも、ディスプレイのような光学表示材料には、透明性や光の屈折率、耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの面からトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが多く用いられている。
通常、ハードコートフィルムは、基材であるトリアセチルセルロースフィルム上に、樹脂組成物を塗工や印刷などの方法でハードコート層を形成して製造される。紫外線などの活性エネルギー線にて硬化する分子中に(メタ)アクリロイル基を有する化合物から形成される硬化塗膜(ハードコート層)は、固有表面抵抗値が高く静電気が発生し易いため、粉塵の吸着および静電気に起因したトラブルが発生し、生産性が著しく損なわれたりする等の問題が生じる。
これらの問題を解決するためにフィルムへの帯電防止性を付与した帯電防止性ハードコートフィルムの検討が試みられてきた。
特許文献1には、4級アンモニウム塩基を有する帯電防止性共重合体、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤、アルコール及び炭酸エステル類、若しくは環状エーテル類から選ばれる溶剤を含む帯電防止性コーティング組成物が開示されている。この帯電防止性コーティング組成物を基材に塗布することによって、耐久性に優れた帯電防止層を形成してなる帯電防止性ハードコートフィルムが記載されている。
一方、ハードコートフィルムは、ハードコート層の屈折率と、基材フィルムとなるトリアセチルセルロースの屈折率との屈折率差、或いは界面を境にした屈折率の不連続な変化のために、ハードコート層表面で反射する光と、ハードコート層と基材フィルムの界面で反射する光が干渉し、干渉むら(虹色のムラ)が起き、ディスプレイの視認性を劣化させ、またディスプレイの美観を損なうという問題がある。
近年ディスプレイの薄型化、軽量化に伴うフィルム基材の薄膜化に伴い、干渉むらの抑制に対する要求レベルは益々上がっているのが現状である。
さらに、トリアセチルセルロースフィルムを基材として用いたハードコートフィルムは透湿度が高いため、高温・高湿度環境下ではフィルムの吸湿によって寸法が変化して歪みが生じたり、密着性が低下したりするといった問題がある。
干渉むらが抑制され、さらに密着性にも優れた、トリアセチルセルロースフィルムを基材として用いた帯電防止性ハードコートフィルムは未だ開発されていなかった。
特開2012-102166号公報
上記の課題を鑑み、本発明の課題は、干渉むらが抑制され、さらに密着性にも優れた帯電防止性ハードコートフィルムの提供である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有する帯電防止性ハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層は、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)、を含む帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成され、前記混合層は、前記トリアセチルセルロースフィルムが、前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物によって溶解または膨潤されて形成された層であり、
帯電防止性ハードコートフィルムを、走査型電子顕微鏡で厚み方向の断面を観察したとき、ハードコート層と混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率が65%以上であり、
前記帯電防止性共重合体(A)が、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)及び下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)を必須の構成成分とする共重合体である、帯電防止性ハードコートフィルムに関する。
一般式(1)
CH=C(R1)COZ(CH)kN(R2)(R3)R4・X
(式中、R1はHまたはCH、R2~R4は炭素数が1~9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1~10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
一般式(2)
CH=C(R5)COO(AO)nR6
(式中、R5はHまたはCH、R6は水素または炭素数が1~22の炭化水素基、nは2~200の整数、Aは炭素数が2~4のアルキレン基を表す。)
また本発明は、化合物(C)/溶剤(E)の質量比が、0.03~0.30である前記帯電防止性ハードコートフィルムに関する。
また本発明は、溶剤(E)が、炭酸ジメチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンおよび1,3-ジオキソランからなる群より選ばれることを特徴とする前記帯電防止性ハードコートフィルムに関する。
また、本発明は、短辺2cm×長辺4cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期の質量(X1)と、前記トリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物35g中に2時間浸漬した後のトリアセチルセルロースフィルムの質量(X2)との質量変化値[(X2)/(X1)]が1.2以上である、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(c1)を含むことを特徴とする前記帯電防止性ハードコートフィルムに関する。
本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物を用いることによって、干渉むらが抑制され、さらに優れた密着性を有する帯電防止性ハードコートフィルムを提供できる。
本実施形態の帯電防止性ハードコートフィルムの構成の一例を示す模式的な断面図である。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。また、本明細書において「フィルム」や「シート」は、厚みによって区別されないものとする。換言すると、本明細書の「シート」は、厚みの薄いフィルム状のものも含まれ、本明細書の「フィルム」は、厚みのあるシート状のものも含まれるものとする。
尚、本明細書では、「(メタ)アクリル」、と表記した場合には、特に断りがない限り、それぞれ「アクリルまたはメタクリル」を表す。
また、「帯電防止性ハードコートフィルム」を「ハードコートフィルム」と、「帯電防止性ハードコート層」を「ハードコート層」と、「帯電防止性共重合体(A)」を「共重合体(A)」と、「3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)」を「化合物(B)」と、「1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)」を「化合物(C)」と、「1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(c1)」を「化合物(c1)」と、それぞれ称することがある。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
《帯電防止性ハードコートフィルム》
本発明の帯電防止性ハードコートフィルムは、トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有するハードコートフィルムである。
<トリアセチルセルロースフィルム>
本発明で用いるトリアセチルセルロースフィルムは、偏光板などの基材として使用できる光学的に透明なグレードであればよく、トリアセチルセルロースフィルムの厚さは特に制限はないが、一般には強度や取り扱い等の作業性、薄層性等の点より10~500μm程度である。特に20~250μmが好ましい。
<混合層>
混合層は、トリアセチルセルロースフィルムが、帯電防止性ハードコート層形成用組成物によって溶解または膨潤されて形成された層である。さらにハードコートフィルムを、走査型電子顕微鏡で、厚み方向の断面を観察したとき、ハードコート層と混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率が65%以上である。
膜厚比率は、より好ましくは67%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。また、密着性の向上の面から、好ましくは、90%以下である。混合層の膜厚比率65%以上であることで、干渉むらを低減させることができる。干渉むらの低減に優れる点で前記膜厚比率は高い方が好ましい。
<ハードコート層>
本発明のハードコート層は、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)を含む帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗工し、溶剤を乾燥した後に紫外線を照射して硬化させることで形成される。
前記混合層の膜厚比率を65%以上とするために、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、および溶剤(E)を含むことが重要である。帯電防止性ハードコート層形成用組成物をトリアセチルセルロースフィルムに塗工した際、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)および溶剤(E)が、トリアセチルセルロースフィルムを浸食することで、混合層が形成される。化合物(C)および溶剤(E)の種類、並びにこれらの含有量により混合層の膜厚比率を制御することが可能である。化合物(C)が後述する化合物(c1)である場合、または/および溶剤(E)が後述する溶剤(e1)である場合、特に混合層の膜厚比率を65%以上としやすくなるために好ましい。すなわち、化合物(C)が化合物(c1)であり、かつ溶剤(E)が溶剤(e1)であることが特に好ましい。
また、帯電防止性ハードコート層形成用組成物の不揮発分濃度の調整、またはトリアセチルセルロースフィルムにハードコート層形成用組成物を塗工後に静置させる、などの製造方法によって基材浸透性(基材浸食)を向上させることによっても、混合層の膜厚比率を65質量%以上にすることが可能である。
(帯電防止性ハードコート層形成用組成物)
帯電防止性ハードコート層形成用組成物は、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)を含む。
また、化合物(C)は、後述する質量変化値[(X2)/(X1)]が1.2以上である1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。
また、溶剤(E)は、後述するヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]が0.10以上である溶剤であることが好ましい。
特に好ましくは、化合物(C)が、質量変化値[(X2)/(X1)]が1.2以上の1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(c1)であり、溶剤(E)が、ヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]が0.10以上の溶剤(e1)であることが好ましい。
これにより基材浸透性が向上し、干渉むら低減に効果的である。
帯電防止性ハードコート層形成用組成物の不揮発分濃度は、基材浸透性を向上させる観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。塗膜ヘイズの低下を抑制する観点から、不揮発分25質量%以上が好ましく、35質量%以上がさらに好ましい。帯電防止性ハードコート層形成用組成物の不揮発分を調整することで、混合層の膜厚比率を65質量%以上に制御しやすくなる。
[帯電防止性共重合体(A)]
帯電防止性共重合体(A)は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)と下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)とを必須の構成成分とし、さらに必要に応じて前記(a-1)、(a-2)と共重合可能な化合物(a-3)をアルコール系溶剤中でラジカル共重合して得られる。
一般式(1)
CH=C(R1)COZ(CH)kN(R2)(R3)R4・X
(式中、R1はHまたはCH、R2~R4は炭素数が1~9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1~10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
一般式(2)
CH=C(R5)COO(AO)nR6
(式中、R5はHまたはCH、R6は水素または炭素数が1~22の炭化水素基、nは2~200の整数、Aは炭素数が2~4のアルキレン基を表す。)
<4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)>
4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)は、前記一般式(1)で表され、一般式(1)におけるR2~R4の炭素数が1~9の炭化水素基の場合、前記炭化水素基は置換又は無置換のものが選択でき、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基が好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、
いずれをも使うことができる。
R2~R4の炭素数が10よりも大きい場合、生成される帯電防止性共重合体(A)の疎水性が高まる結果、前記帯電防止性共重合体(A)を含有する帯電防止層の吸湿性が低下し、良好な帯電防止性能を得られない場合がある。
一般式(1)におけるR2~R4のうち、無置換のアルキル基としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、等の無置換のアルキル基を有するものが入手し易いという点で好ましい。
4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)は、例えばアミノ基を有する(メタ)アクリレート類、もしくは(メタ)アクリルアミド類を4級化剤によって4級化することで得られる。また市販の4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリルアミド類も使用することができる。
一般式(1)におけるZが酸素原子の4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリレート類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
一般式(1)におけるZがNH基の4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1) を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
前記アミノ基を有する(メタ)アクリレート類や前記アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類を4級塩化するための4級化剤としては、アルキルベンジルクロライド、ベンジルクロライド、アルキルクロライド、アルキルブロマイド等の各種ハライド類、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸類、p-トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル類、トリメチルホスファイト等のアルキルリン酸類が用いられる。
<アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)>
次に、本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)の形成に用いられるもう1つの必須成分、アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)について説明する。
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)は、前記一般式(2)で表され、例えば、エチレンオキシドのアルキルアルコールによる開環重合後、(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換反応、もしくは(メタ)アクリル酸クロライドとの反応により得ることができる。
前記一般式(2)において、アルキレンオキサイド基(AO)は、炭素数2~4のアルキレンオキサイド基であり、例えばエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基が挙げられる。また同一モノマー内に炭素数が異なるアルキレンオキサイド基が存在していてもよい。
アルキレンオキサイド基数(n)は2~200の整数であり、好ましくは10~100の整数である。2以下、または101以上の場合は、後述する分子中に3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)との十分な相溶性が得られない場合がある。
R6は水素または炭素数1~22の炭化水素基である。炭素数23以上では、原料が高価であるため実用的ではない。
炭素数1~22の炭化水素基としては、置換又は無置換のものが選択でき、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基が好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。
アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)としては、具体的には例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノベンジルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ) アクリレートモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノテトラデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノヘキサデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノオクタデシルエーテルポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクチルエーテル、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートオクタデシルエーテル、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
<(a-1)、(a-2)と共重合可能な化合物(a-3)>
本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)は、4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)とアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)とを必須の構成成分とし、さらに必要に応じて任意に前記(a-1)、(a-2)と共重合可能な化合物(a-3)をアルコール系溶剤中でラジカル共重合して得られる。
本発明における(a-1)、(a-2)と共重合可能な化合物(a-3)は、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であればよく、特に限定されるものでないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ) アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートやスチレン、メチルスチレン等が挙げられる。
本発明で用いられる帯電防止性共重合体(A)は、化合物(a-1)、(a-2)及び任意に(a-3)をアルコール系溶剤中でラジカル共重合して得ることができる。
化合物(a-1)、(a-2)及び(a-3)の使用量は、ラジカル重合性化合物の合計100質量%中、化合物(a-1) は、帯電防止性能の観点から、30~60質量%、化合物(a-2)は、後述する3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)との相溶性の観点から、10~50質量%であるのが好ましい。化合物(a-3)は、生成される帯電防止性共重合体(A)の帯電防止性、溶解性、剛直性を整える目的で、必要に応じて0~50質量%の範囲で使用される。
帯電防止性共重合体(A)は、前記量比で混合された化合物(a-1)、(a-2) 及び任意に(a-3)を、パーオキサイド系やアゾビス系等の重合開始剤を用いた溶液重合法等により得ることができる。
重合に際して用いる溶剤はアルコール系溶剤であれば特に限定されないが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-エトキシ-2-プロノール、2-エトキシ-1-プロノール及び3-エトキシ-1-プロノールからなる群より選ばれるアルコール系溶剤が好適に用いられる。
帯電防止性共重合体(A)の使用量は、後述する3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)と1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)との合計100質量部に対し、1~20質量部が好ましく、5~15質量部がより好ましい。1質量部以上であると、十分な帯電防止性能を得ることができ、20質量部以下であると形成されるハードコート層の密着性が向上する。
[3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)]
次に本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物に用いられる3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)について説明する。
3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)は、分子中に少なくとも3つの以上の(メタ)アクリロイル基を有する架橋反応性化合物が好ましく、その分子内にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等を含むことができる。
化合物(B)は、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;
ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキッドポリ(メタ)アクリレート、ポリエポキシポリ(メタ)アクリレート、ポリスピロアセタールポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンポリ(メタ)アクリレート、ポリチオールポリエンポリ(メタ)アクリレート、ポリシリコンポリ(メタ)アクリレート等の多官能化合物のポリ(メタ)アクリレート化合物;
多価アルコールと多塩基酸および(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4(モル比)から合成されるエステル化合物等が挙げられる。
化合物(B)は密着性の面から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルポリ(メタ)アクリレート、およびポリアクリルポリ(メタ)アクリレートが好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、およびポリエステルポリ(メタ)アクリレートがより好ましい。これらは任意に組み合わせられる。特に、ウレタンを有するポリウレタンポリ(メタ)アクリレートと、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートまたは/およびジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートと、を組み合わせることが好ましい。
化合物(B)の含有率は、化合物(B)と後述する1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)との合計100質量%中、70~97質量%であることが好ましく、80~95質量%がより好ましい。この範囲であることで、塗膜強度が向上し、密着性が向上することから好ましい。
[化合物(C)]
化合物(C)は、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物であり、後述の有機溶剤(E)と同様に帯電防止性ハードコート層形成用組成物のトリアセチルセルロースフィルムへの基材浸透性を高める役割を有する。トリアセチルセルロースフィルム上に帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗布した際に、化合物(C)がトリアセチルセルロースフィルムを浸食することで帯電防止性ハードコート層形成用組成物が浸透して混合層の膜厚比率が高まり、干渉むらを低減できる。後述の有機溶剤(E)の前記効果はフィルム塗布から乾燥するまでの間であるのに対し、化合物(C)はフィルム塗布から紫外線照射までその効果を発揮できると考えられる。
化合物(C)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロオキシエチルアシッドホスフェートなどのエステル化合物;
スチレン、α-メチレンなどのスチレン系化合物;
γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのシラン化合物;
2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニル-ε-カプロラクタム、アクリロイルモルホリンなどの窒素含有化合物;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有化合物;
ポリマーの主鎖がシリコーン成分であり片末端が(メタ)アクリレート基で修飾された重合性シリコーン化合物等が挙げられる。
化合物(C)は、短辺2cm×長辺4cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期の質量(X1)と、前記トリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)35g中に2時間浸漬した後のトリアセチルセルロースフィルムの質量(X2)との質量変化値[(X2)/(X1)]が1.2以上である化合物(c1)とすることが、混合層の膜厚比率を65%以上に制御しやすく、干渉むら低減に優れたものとできる点で好ましい。
質量変化値[(X2)/(X1)]は、より好ましくは、2.0~10.0であり、さらに好ましくは3.0~6.0である。これを満たす化合物(C)により、密着性が向上し、干渉むらの低減をより優れたものとすることができる。[(X2)/(X1)]の更に好適な範囲は3.5~4.5である。
化合物(C)の質量変化値[(X2)/(X1)]を例示すると、アクリロイルモルホリン(3.9)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(2.9)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(1.5)、N-ビニル-ε-カプロラクタム(4.3)、ジエチルアクリルアミド(5.2)、ラウリルアクリレート(1.0)、イソボルニルアクリレート(1.0)、フェノキシエチルアクリレート(1.1)であり、化合物(c1)である、アクリロイルモルホリン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、ジエチルアクリルアミド等を用いることが好ましい。
基材浸透性が向上し、干渉むらの低減に効果的である観点から、より好ましくは、アクリロイルモルホリン、N-ビニル-ε-カプロラクタムであり、さらに好ましくは、アクリロイルモルホリンである。
化合物(C)の含有率は、化合物(B)と化合物(C)との合計100質量%に対し、3~30質量%が好ましく、より好ましくは4~25質量%、更に好ましくは5~20質量%である。化合物(C)の含有率が、3質量%以上であることで、基材浸透による干渉むらの低減効果が大きくなり、30質量%以下であることで、塗膜強度が向上し、密着性がより優れるために好ましい。
[光重合開始剤(D)]
光重合開始剤(D)は、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばアセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ホスフィンオキシド化合物、ケタール化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物等が挙げられる。具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。また、増感剤として公知の有機アミンを加えることもできる。
光重合開始剤(D)の使用量は、化合物(B)と化合物(C)との合計100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは1~15質量部である。この範囲であることで、十分な重合開始効果が得られ、密着性の向上に効果的である。
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物には、光重合開始剤(D)に増感剤を併用できる。
増感剤は、アミン系増感剤、アントラセン系増感剤、チオキサントン系増感剤等が挙げられる。増感剤は、単独または2種類以上を併用できる。
アミン系増感剤は、例えばトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
アントラセン系増感剤は、例えば9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
チオキサントン系増感剤は、例えば2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系増感剤を挙げることができる。市販品の代表例としては、アミン系増感剤では、EPA(日本化薬社製)、アントラセン系増感剤では、DBA、DEA(川崎化成工業社製)、チオキサントン系増感剤では、DETX、ITX(Lambson社製)等が例示できる。
増感剤は、チオキサントン系増感剤等が好ましい。
増感剤を用いる場合、その含有量は、化合物(B)と化合物(C)との合計100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましい。
[溶剤(E)]
溶剤(E)は、帯電防止性ハードコート層形成用組成物のトリアセチルセルロースフィルムへの基材浸透性を高める役割を有する。トリアセチルセルロースフィルム上に帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗布した際に、溶剤(E)がトリアセチルセルロースフィルムを浸食することで帯電防止性ハードコート層形成用組成物が浸透して混合層の膜厚比率が高まり、干渉むらを低減できる。すなわち、溶剤(E)は加熱により溶剤が揮発乾燥する前の段階でその効果を発揮するものである。なお、ハードコート層中に溶剤(E)が残存すると、塗膜硬度が低下して耐擦傷性等のハードコートの基本性能に悪影響を及ぼすため、溶剤(E)は紫外線照射前に乾燥させる必要がある。
溶剤(E)は、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;
蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル、γ-ブチロラクトン等のエステル類;
その他、2-メトキシ酢酸メチル、2-エトキシ酢酸メチル、2-エトキシ酢酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1,2-ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
溶剤(E)は、短辺10cm×長辺10cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期のヘイズ値(Y1)と、前記トリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、溶剤(E)を0.1g滴下して2分間放置した後、60℃で1分間加熱し、その後のトリアセチルセルロースフィルムのヘイズ値(Y2)のヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]が0.10以上の溶剤(e1)が好ましい。溶剤(e1)は、混合層の膜厚比率を65%以上に制御しやすく、干渉むら低減に優れたものとできる点で好ましい。
ヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]は、より好ましくは、0.10以上0.80以下であり、さらに好ましくは0.11以上0.40以下である。これを満たす溶剤(E)により、塗膜のヘイズを低下させることなく、基材浸透性が向上し、干渉むらの低減に効果的である。
溶剤(E)のヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]を例示すると、炭酸ジメチル(0.15)、酢酸エチル(0.47)、アセトン(0.81)、メチルエチルケトン(0.42)、1,3-ジオキソラン(0.48)、メチルイソブチルケトン(0.01)、イソプロピルアルコール(0.04)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(0.00)であり、溶剤(e1)である、炭酸ジメチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンおよび1,3-ジオキソランからなる群より選ばれることが好ましい。
塗膜のヘイズを低下させることなく、基材浸透性が向上し、干渉むらの低減に効果的であることから、より好ましくは、炭酸ジメチル、メチルエチルケトン、1,3-ジオキソラン、または酢酸エチルであり、さらに好ましくは、炭酸ジメチルである。
化合物(C)および溶剤(E)の合計の含有率は、ハードコート層形成用組成物100質量%中、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましい。30質量%以上であると、基材浸透性が高いことで、密着性がより向上し、80質量%以下であると、基材浸透性が高すぎず、塗膜ヘイズの悪化をより抑制できる。
化合物(C)/溶剤(E)の質量比は、0.03~0.30が好ましく、0.05~0.20がより好ましい。0.03以上であると密着性が向上し、0.30以下であると十分な基材浸透性を確保できるため、干渉むらの低減効果がより向上する。
本発明における帯電防止性ハードコート層形成用組成物には、必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤は、例えば、可塑剤、表面調整剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤が挙げられる。
<帯電防止性ハードコートフィルムの製造>
帯電防止性ハードコートフィルムの製造方法は、トリアセチルセルロースフィルム上に帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗工する等の、従来公知の方法で製造することができ、特に制限されない。
例えば、本発明の帯電防止性ハードコート層形成用組成物をトリアセチルセルロースフィルムに塗工した後、必要に応じ溶剤を乾燥させる。そこへ活性エネルギー線を照射することにより、塗工した帯電防止性ハードコート層形成用組成物を架橋硬化させ、トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有する帯電防止性ハードコートフィルムが得られる。
これにより走査型電子顕微鏡で帯電防止性ハードコートフィルムの断面を観察したとき、ハードコート層と混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率が65%以上である、帯電防止性ハードコートフィルムが得られる。
また、トリアセチルセルロースフィルムに帯電防止性ハードコート層形成用組成物を塗工し、静置させることで基材浸透性が向上し、混合層の膜厚比率を65質量%以上にしやすくなるために好ましい。
塗工方法としては、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等が挙げられる。
活性エネルギー線としては、電子線や、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線を用いることができる。
ハードコート層の膜厚はハードコート性を保有していれば特に限定されず、通常1~20μm、好ましくは2~15μmである。ハードコート層と混合層を合わせた膜厚も特に制限されないが、干渉むらの低減のために0.5~100μmが好ましく、より好ましくは1.1~30μm、さらに好ましくは1.2~25μmである。
ハードコートフィルムの膜厚は、特に制限されないが、50~300μmが好ましく、より好ましくは81~100μm、さらに好ましくは82~95μmである。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
また、表中の配合量は、質量部であり、溶剤以外は、不揮発分換算値である。尚、表中の空欄は配合していないことを表す。また、特許請求の範囲に整合させるために、実施例6、7、13、14、16~20、30~36の実施例を参考例に読み替える。
<化合物(C)の質量変化値[(X2)/(X1)]>
化合物(C)の質量変化値[(X2)/(X1)]は、下記の方法で求めた。
まず、短辺2cm×長辺4cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期の質量(X1)を測定した。次いで、このトリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)35g中に2時間浸漬した。その後、トリアセチルセルロースフィルムを取り出し、キムタオルで軽く拭いた後、トリアセチルセルロースフィルムの質量(X2)を測定した。なお、トリアセチルセルロースフィルムとしては、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製)を用いた(後述するヘイズもこのフィルムを用いた)。
<溶剤(E)のヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]>
溶剤(E)のヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]は、下記の方法で求めた。
まず、短辺10cm×長辺10cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期のヘイズ値(Y1)を求めた。次いで、このトリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、溶剤(D)を0.1g滴下し、2分間放置した。その後に60℃1分間加熱し、常温に戻してからトリアセチルセルロースフィルムのヘイズ値(Y2)を測定した。
(合成例)
(アルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)の製造)
攪拌装置、温度計、アルキレンオキサイド導入管、並びに、窒素ガス導入管を備えたオートクレーブに、ステアリルアルコール511.7部、トルエン752.9部、および、水酸化カリウム2部を仕込み、系中を窒素ガスにて置換した後、反応容器内圧力8kgf/cm2以下、温度90℃以下でステアリルアルコールに対して30倍モルのエチレンオキサイドを4時間かけて圧入し、さらに90℃で5時間反応させた。
次に空気を通じて未反応のエチレンオキサイドを除去した後、協和化学工業(株)製キョーワード600[アルカリ(土類)金属水酸化物の吸着除剤]を42.0部加え、乾燥空気5kPa、30℃の条件にて2時間処理後、濾別し、得られた濾液からトルエンを加熱減圧によって除去し、ポリエチレンオキサイド付加アルコールを得た。
得られたポリエチレンオキサイド付加アルコール317.7部を攪拌装置、温度計、空気導入管、液体添加ラインおよび精留塔を取り付けたフラスコに移し、メタクリル酸メチル200部(ポリエチレンオキサイド付加アルコールに対して10倍モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.04部仕込み、乾燥空気を吹き込みながら、80℃に加熱した後、オルトチタン酸テトライソプロピル0.2部を1時間毎に加え、エステル交換反応させた。反応中、必要に応じて副生するメタノールとメタクリル酸メチルを共沸混合物として反応系外へ留去させた。4時間後、アルコール転化率が95%になったところで反応を終了した。
得られた溶液を冷却し、水洗、脱水、濃縮を行い、濾過してエチレンオキサイド基数30とオクタデシル基を有する化合物(a-2)を得た。
なお、アルキレンオキサイド基数は、アルキレンオキサイド付加工程において使用したアルキレンオキサイドとアルコールとのモル比(理論値)をもって表す。
<帯電防止性共重合体(A)の製造(共重合過程)>
攪拌翼、還流冷却器、およびガス導入口を供えたフラスコに、前記で合成した(a-2)30部、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド50部、シクロヘキシルメタクリレート20部、アゾビスイソブチロニトリル1.5部、エタノール233部を仕込み、窒素気流下、70℃で8時間反応した。反応終了後、冷却し、帯電防止性共重合体(A)のエタノール溶液(固形分30重量%)を得た。
表1で使用した成分について下記に示す。
<四級アンモニウム塩>
・DQ―100:ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物(共栄社化学(株)製:ライトエステルDQ-100)
<3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)>
・UA-306H:(共栄社化学(株)製:6官能ウレタンアクリレート)
・M405:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製:アロニックスM405、6官能モノマー)
・PET30:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製:KAYARAD PET30、3官能モノマー)
<1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)>
なお、カッコ内の数値は、質量変化値[(X2)/(X1)]である。
[化合物(c1)]
・ACMO:アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ(株)製:ACMO、単官能モノマー、3.9)
・4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(三菱ケミカル(株)製:4HBA、単官能モノマー、2.9)、
・THF-A:テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートTHF-A、単官能モノマー、1.5)
・NVP:N―ビニルカプロラクタム(ASHLAND製:V-Cap/RC、単官能モノマー、4.3)
・DEAA:ジエチルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製:DEAA、単官能モノマー、5.2)
[その他(その他1つのエチレン性不飽和基を有する化合物)]
・LA:ラウリルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートL-A、単官能モノマー、1.0)
・IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製:IBXA、単官能モノマー、1.0)
・PEA:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートPO-A、単官能モノマー、1.1)
<光重合開始剤(D)>
・APO:ジフェニルー2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド(大同化成工業(株)製:DAIDO UV-CURE APO)
<溶剤(E)>
なお、カッコ内の数値は、ヘイズ変化値[(Y2)-(Y1)]である。
[溶剤(e1)]
・DMC:炭酸ジメチル(宇部興産(株)製、0.15)
・酢酸エチル((株)ダイセル製、0.47)
・アセトン(三菱ケミカル(株)製、0.81)
・MEK:メチルエチルケトン(丸善石油化学(株)製、0.42)
・1,3-ジオキソラン(東邦化学工業(株)製、0.48)
[その他(その他溶剤)]
・MIBK:メチルイソブチルケトン(三菱ケミカル(株)製、0.01)
・IPA:イソプロピルアルコール(キシダ化学(株)製、0.04)
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル(大伸化学(株)製、0.00)
・EtOH:エタノール(帯電防止共重合体(A)由来、0.01)
<実施例1>
合成例で製造した帯電防止性共重合体(A)のエタノール溶液を、帯電防止性共重合体が固形分で10質量部となるように加え、化合物(B)として、ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの2:1付加物を主成分とするウレタンプレポリマー(共栄社化学(株)製:UA-306H、6官能ウレタンアクリレート)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製:アロニックスM405、6官能モノマー)30部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製:KAYARAD PET30、3官能モノマー)10部、化合物(C)として、アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ(株)製:ACMO、単官能モノマー)10部、光重合開始剤(D)として、ジフェニルー2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド(大同化成工業(株)製:DAIDO UV-CURE APO)3部、溶剤(E)として、炭酸ジメチル(宇部興産(株)製:DМC)428.7部を混合して、帯電防止性ハードコート層形成用組成物を得た。
続いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製)上に、得られた帯電防止性ハードコート層形成用組成物を、25℃、相対湿度50%雰囲気下でバーコーターNo.10を用いて塗布し、熱風オーブンで1分間乾燥した。その後、出力80w/cmの高圧水銀ランプで紫外線を照射し、塗布層を硬化させて、トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有する帯電防止性ハードコートフィルムを得た。ハードコート層と混合層の合計膜厚は9.3μm、ハードコートフィルムの膜厚は87.0μmであった。またハードコート層と混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率は、71.4%であった。
<実施例2~36、比較例1~3>
表1~4に示すように、組成および配合量(質量部)を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~36、比較例1~3の帯電防止性ハードコート層形成用組成物を製造し、帯電防止性ハードコートフィルムを得た。得られた帯電防止性ハードコートフィルムのハードコート層と混合層の合計膜厚、ハードコートフィルムの膜厚、ハードコート層と混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率を、表1~4に示した。
[評価]
各実施例、比較例で得られた帯電防止性ハードコートフィルムについて以下の方法にて測定および、評価を行った。結果を表1~4に示す。
[混合層の膜厚比率]
得られた帯電防止性ハードコートフィルムの厚み方向の断面をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製、型式:EM UC7)を用いてダイヤモンドナイフで数回削って平滑にした後、走査電子顕微鏡(日本電子社製、型式:JSM―7800F)で加圧電圧5kVにて断面観察した。混合層の膜厚比率は、下記式から算出した。
混合層の膜厚比率(%)=混合層の膜厚(μm)/(ハードコート層の膜厚(μm)+混合層の膜厚(μm))×100
[帯電防止性ハードコートフィルムの膜厚]
得られた帯電防止性ハードコートフィルムの膜厚(μm)は、デジマイクロ(Nikоn社製、型式:MH―15M)を用いて測定した。
[密着性]
得られた帯電防止性ハードコートフィルムを用いて、テープ密着試験を実施した。テープ密着試験はJISK5600に準拠して実施した。
帯電防止性ハードコートフィルムを基材に達するが切断しない程度の深さで幅1mm間隔に10マス×10マスの計100マス目を形成するようにカッターナイフを入れ、セロハンテープ(25mm幅、ニチバン社製)を塗膜表面に貼り付けた後、セロハンテープを手で急速に剥離することで、残ったマス目の状態を評価した。
・評価基準
+++:剥離無し(非常に良好)。
++:マスの端がわずかに欠ける(良好)。
+:1~5マスの剥離が観察される(実用上問題ない)。
NG:6マス以上の剥離が観察される(実用不可)。
[干渉むら]
得られた帯電防止性ハードコートフィルムを5cm×5cmにカットし、塗工面とは反対側のTAC基材表面を紙やすりで10往復程度こすり、表面を平滑にした後、黒色マット塗料を滴下し70℃2分乾燥した。これを分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、型式:U-4100)にて5°絶対反射率を測定し、反射曲線のリップルの有無を観察した。
・評価基準
+++:リップルが観察されない(非常に良好)。
++:上記基準未満。リップルがほとんど観察されない(良好)。
+:上記基準未満。リップルがやや観察される(実用上問題ない)。
NG:上記基準未満。リップルが観察される(実用不可)。
[帯電防止性]
得られた帯電防止性ハードコートフィルムを25℃ 、相対湿度50%雰囲気下で24時間静置させた後、HIOKI社製表面抵抗率計(SM-8000series SME-8310)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の条件で、印加電圧100V をかけて1分後の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
・評価基準
+++:1.0E+09Ω/□未満(非常に良好)。
++:1.0E+09Ω/□以上1.0E+10Ω/□未満(良好)。
+:1.0E+10Ω/□以上1.0E+11Ω/□未満(実用上問題ない)。
NG:1.0E+11Ω/□以上(実用不可)。
表1~4の結果から、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)を含む帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成されるハードコート層および混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率が65%以上である、本帯電防止性ハードコートフィルムによれば、干渉むらが抑制され、さらに密着性にも優れた帯電防止性ハードコートフィルムが得られることを確認できた。
1 トリアセチルセルロースフィルム
2 混合層
3 ハードコート層



Claims (4)

  1. トリアセチルセルロースフィルム、混合層、およびハードコート層を有する帯電防止性ハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層は、帯電防止性共重合体(A)、3つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)、および溶剤(E)、を含む帯電防止性ハードコート層形成用組成物から形成され、
    前記混合層は、前記トリアセチルセルロースフィルムが、前記帯電防止性ハードコート層形成用組成物によって溶解または膨潤されて形成された層であり、
    帯電防止性ハードコートフィルムを、走査型電子顕微鏡で厚み方向の断面を観察したとき、前記ハードコート層と前記混合層の合計膜厚に占める前記混合層の膜厚比率が70%以上であり、
    前記帯電防止性共重合体(A)が、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(a-1)及び下記一般式(2)で表されるアルキレンオキサイド鎖を有する化合物(a-2)を必須の構成成分とする共重合体である、帯電防止性ハードコートフィルム。
    一般式(1)
    CH=C(R1)COZ(CH(R2)(R3)R4・X
    (式中、R1はHまたはCH、R2~R4は炭素数が1~9の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1~10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
    一般式(2)
    CH=C(R5)COO(AO)R6
    (式中、R5はHまたはCH、R6は水素または炭素数が1~22の炭化水素基、nは2~200の整数、Aは炭素数が2~4のアルキレン基を表す。)
  2. 化合物(C)/溶剤(E)の質量比が、0.03~0.30である、請求項1記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
  3. 溶剤(E)が、炭酸ジメチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンおよび1,3-ジオキソランからなる群より選ばれる溶剤(e1)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
  4. 短辺2cm×長辺4cm×厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの初期の質量(X1)と、前記トリアセチルセルロースフィルムを25℃の環境下、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物35g中に2時間浸漬した後のトリアセチルセルロースフィルムの質量(X2)との質量変化値[(X2)/(X1)]が1.2以上である、1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(c1)を含むことを特徴とする請求項3記載の帯電防止性ハードコートフィルム。
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