JP4377148B2 - 光電変換素子用材料および光電変換素子 - Google Patents
光電変換素子用材料および光電変換素子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換素子用材料および金属錯体化合物を半導体微粒子に結合および/または吸着させた電極を用いてなる光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光を電気に変換する材料は、太陽光発電を中心に盛んに研究され、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池等の無機材料を用いた太陽電池が実用化されている。
【0003】
現在、無機材料を用いた太陽電池製造技術に関して、製造コストの低減、大面積化、高効率化といった課題が残されている。
【0004】
該課題に対し、特に製造コストの低減、高効率化という観点から有機材料を光電変換材料として用いる事が提唱されている。例えば、グレッツエルらの研究グル−プによる非特許文献文献1、特許文献1〜3記載の報告を挙げることができる。報告されている光電変換材料は、ルテニウム錯体が二酸化チタン多孔質膜に結合および/または吸着した電極を用いることを特徴とした材料である。用いられているルテニウム色素は、可視光領域を幅広く吸収することがきるため、ほぼ可視光の全領域の光を電気に変換できるという利点がある。
【0005】
しかしながら、非特許文献1記載の公知のルテニウム色素については、可視光領域の光を光電変換しうるものの、太陽光に含まれる700nmを超える近赤外〜赤外の波長領域において光電変換特性が低いという問題があり、可視光から赤外域にわたる広い波長領域で吸収を有し、高い光電変換特性を示す材料の開発が望まれてきた。また、特許文献4〜7記載の長波長に吸収を有する金属錯体色素についても可視光〜赤外領域の光電変換特性には今だ改善の余地があった。
【0006】
【非特許文献1】
Nature (第353巻、第737〜740頁、1991年)
【特許文献1】
米国特許第4927721号公報
【特許文献2】
WO94/04497号公報
【特許文献3】
特開平1-220380号公報
【特許文献4】
特開2000-311723号公報
【特許文献5】
特開2000-105346号公報
【特許文献6】
特開2001-291534号公報
【特許文献7】
特開2002-105346号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、長波長領域まで光吸収特性を示し、かつ半導体微粒子を効率よく増感し得る金属錯体化合物、かかる金属錯体化合物を用いることにより、高い光電変換効率を示し、かつ耐久性に優れた光電変換素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者はこれらの課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち本発明は、
(イ)下記一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物を含むことを特徴とする光電変換素子用材料。
【0010】
【化6】
【0011】
〔式中、R1 およびR 4 は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R 2 およびR 3 は置換基を有していてもよいアリール基または水素原子を表し、R 5 およびR6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表し、R7およびR8は置換基を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のとき、R7は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、a2が2以上のとき、R8は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、a1およびa2が共に1以上のときR7とR8が互いに連結して環を形成してもよい。〕
(ロ)R1〜R4が置換基を有していてもよいアリ−ル基であることを特徴とする(イ)記載の光電変換素子用材料。
(ハ)一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物が下記一般式(2)により表されることを特徴とする(イ)または(ロ)記載の光電変換素子用材料。
【0012】
【化7】
【0013】
〔式中、Mは遷移金属原子を表し、R1〜R8、a1およびa2は、前記一般式(1)中のそれらと同義であり、m1は1〜3の整数であり、LL1は2座のビピリジン配位子または3座のテルピリジン配位子であり、m2は0〜2の整数であり、m1+m2が2または3であり、Xは1座または2座の配位子であり、n1は0〜2の整数であり、Y1は、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。〕
(ニ)Mが、Ru、Os、Fe、CoまたはCuであることを特徴とする(ハ)記載の光電変換素子用材料。
(ホ)LL1が下記一般式(3−1)〜(3−5):
【0014】
【化8】
【0015】
〔式中、R11〜R20はそれぞれ独立にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基またはこれらのプロトン解離体を表し、R21〜R30はそれぞれ独立に置換基を表し、R11〜R30は環上のどの位置に結合してもよく、c1〜c9およびc11〜c19はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、c10およびc20はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、c1〜c20が2以上のとき、R11〜R30は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。〕
で表されることを特徴とする(ハ)または(ニ)記載の光電変換素子用材料。
(へ)(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の光電変換素子用材料を使用してなる光電変換素子。
(ト)(イ)〜(ホ)のいずれかに記載の光電変換素子用材料を半導体微粒子に結合および/または吸着させた電極を用いてなる(ヘ)記載の光電変換素子。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の様態について詳細に説明する。
【0021】
本発明の光電変換素子用材料は、一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物を含むことを特徴とする光電変換素子用材料である。
【0022】
ここで「光電変換素子」としては公知の光電変換素子(例えば特開平1−220380号公報記載の光電化学電池)を表わし、本発明の光電変換素子用材料は、これらの光電変換素子に有用に使用することができる。
【0023】
一般式(1)中、R1 およびR 4 は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R 2 およびR 3 は置換基を有していてもよいアリール基または水素原子を表し、R 5 およびR6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリ−ル基または置換基を有していてもよいヘテロアリ−ル基を表わす。
【0024】
ここで、置換基(以下置換基R'と記載する)の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基またはこれらのプロトン解離体〔好ましくは、−COO-、−SO3 -、−P(O)(OH)(O-)、−B(OH)(O-)等〕、アルキル基(好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは、炭素原子数2〜20のアルケニル基、具体例としては、ビニル基、アリル基、オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜20のアルキニル基、具体例としては、エチニル基、ブタジイニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリ−ル基(好ましくは、炭素原子数6〜26のアリ−ル基、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロアリール基(好ましくは、炭素原子数2〜20のヘテロアリール基、具体例としては、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリ−ルオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜26のアリ−ルオキシ基、具体例としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜20のアミノ基、具体例としては、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基等)、スルホンアミド基(好ましくは、炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、具体例としては、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、アシル基(好ましくは、炭素数1〜10のアシル基、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等)、アシルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、具体例としては、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜20のカルバモイル基、具体例としては、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、シアノ基、またはハロゲン原子(具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
【0025】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、前記の置換基R'を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、好ましくは、炭素数1〜20の置換基R'を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基、クロロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、ホルミルメチル基、ホルミルオキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、ベンジル基、1−カルボキシメチル基等のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0026】
置換基を有していてもよいアルケニル基としては、
前記の置換基R'を有していてもよい直鎖、分岐のアルケニル基であり、好ましくは、炭素数2〜10の置換基R'を有していてもよい直鎖、分岐のアルケニル基であり、具体例としては、ビニル基、プロペニル基、iso−ブテニル基、1−カルボキシルビニル基、スチリル基、4−フェニル−2−ブテニル基等であり、好ましくは、ビニル基、2−カルボキシルビニル基等が挙げられる。
【0027】
置換基を有していてもよいアリ−ル基としては、
前記の置換基R'を有していてもよいアリール基であり、好ましくは、炭素数6〜20の置換基R'を有していてもよいアリ−ル基であり、具体例としては、フェニル基、4−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基、2,4,6−トリカルボキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−ジヒドロキシボラニルフェニル基、4−スルホニルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ヨ−ドフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−(5’−メチルベンゾキサゾ−ル−2’−イル)フェニル基、4−(2−チエニル)フェニル基、4−(2−フリル)フェニル基、ジブチルアミノカルボニルフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、1−ナフチル基、2−ニトロ−1−ナフチル基、2−シアノ−1−ナフチル基、6−ヒドロキシ−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、2−トリフルオロメチル−1−ナフチル基等であり、好ましくは、フェニル基、4−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−ブロモフェニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。
【0028】
置換基を有していてもよいヘテロアリ−ル基としては、
前記の置換基R'を有していてもよいヘテロアリ−ル基であり、好ましくは、炭素数2〜20の置換基R'を有していてもよいヘテロアリ−ル基であり、具体例としては、4−カルボキシ−2−フラニル基、4−カルボキシ−2−ピロリル基、2−チエニル基、4H−ピラニル基等のヘテロアリ−ル基等が挙げられる。
【0029】
R1〜R4は、好ましくは、前記の置換基R'を有していてもよい炭素数6〜20のアリ−ル基であり、具体例としては、フェニル基、4−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−スルホニルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、1−ナフチル基等であり、好ましくは、フェニル基、4−カルボキシフェニル基、3−カルボキシフェニル基、4−ブロモフェニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。
【0030】
R7およびR8はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくは、置換基R'の具体例として記載した置換基を挙げることができる。具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基またはこれらのプロトン解離体(好ましくは、−COO-、−SO3 -等)、置換基R'に記載したアルキル基、置換基R'に記載したアリ−ル基、置換基R'に記載したアルコキシ基、置換基R'に記載したアルコキシカルボニル基、置換基R'に記載したアミノ基、置換基R'に記載したアシル基、またはハロゲン原子等であり、好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、ホウ酸基、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、ジメチルアミノ基、ホルミル基、臭素原子等が挙げられ、より好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、メチル基、フェニル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基が挙げられる。
【0031】
一般式(1)中、置換基の数を表すa1およびa2は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、a1が2以上のとき、R7は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、a2が2以上のとき、R8は同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、a1およびa2が共に1以上のときR7とR8が互いに連結して環を形成してもよく、好ましくは、a1およびa2は、0〜2であり、より好ましくは、0または1である。
【0032】
以下に一般式(1)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、下記具体例における配位子がプロトン解離性基(具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基)を含む場合、配位子は必要に応じて解離しプロトンを放出してもよい。
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物は、下記一般式(2)により表されるのが好ましい。
【0037】
【化14】
【0038】
〔式中、Mは遷移金属原子を表し、R1〜R8、a1およびa2は、前記一般式(1)中のそれらと同義であり、m1は1〜3の整数であり、LL1は2座のビピリジン配位子または3座のテルピリジン配位子であり、m2は0〜2の整数であり、m1+m2が2または3であり、Xは1座または2座の配位子であり、n1は0〜2の整数であり、Y1は、電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。〕 一般式(2)中のR1〜R8、a1およびa2は、前記一般式(1)中のそれらと同義である。
【0039】
一般式(2)中、Mは遷移金属原子を表し、好ましくは、4配位または6配位が可能な金属を表し、より好ましくは、Ru、Fe、Os、Co 、Rh、Ir、Cr、Mo、W、Ni、Pd、Pt、Mn、Re、Cu、Znであり、さらに好ましくは、Ru、Os、Fe、CoおよびCuであり、特に好ましくはRuである。
【0040】
一般式(2)中、配位子の数を表すm1は、1〜3の整数であり、好ましくは1である。
【0041】
一般式(2)中、LL1は、2座のビピリジン配位子または3座のテルピリジン配位子を表し、好ましくは、配位子LL1が下記一般式(3−1)〜(3−5):
【0042】
【化15】
【0043】
〔式中、R11〜R20はそれぞれ独立にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基またはこれらのプロトン解離体を表し、R21〜R30はそれぞれ独立に置換基を表し、R11〜R30は環上のどの位置に結合してもよく、c1〜c9およびc11〜c19はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、c10およびc20はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、c1〜c20が2以上のとき、R11〜R30は同じでも異なっていてもよく、互いに連結して環を形成していてもよい。〕
のいずれかにより表され、より好ましくは、一般式(3−1)、(3−4)、(3−5)により表され、さらに好ましくは、一般式(3−1)により表される。
【0044】
一般式(3−1)〜(3−5)中、R11〜R20は、それぞれ独立にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基またはこれらのプロトン解離体を表し、好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基が挙げられる。
【0045】
一般式(3−1)〜(3−5)中、R21〜R30は、それぞれ独立に置換基を表し、具体例としては、前記の置換基R'に記載したアルキル基、前記の置換基R'に記載したアルケニル基、前記の置換基R'に記載したシクロアルキル基、前記の置換基R'に記載したアリール基、前記の置換基R'に記載したヘテロアリール基、前記の置換基R'に記載したアルコキシ基、前記の置換基R'に記載したアリールオキシ基、前記の置換基R'に記載したアシルオキシ基、前記の置換基R'に記載したアルコキシカルボニル基、前記の置換基R'に記載したカルバモイル基、前記の置換基R'に記載したアシルアミノ基、前記の置換基R'に記載したアミノ基、前記の置換基R'に記載したアシル基、前記の置換基R'に記載したスルホンアミド基、シアノ基またはハロゲン原子である。
【0046】
一般式(3−1)〜(3−5)中、c1〜c9およびc11〜c19はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは、0〜2の整数であり、より好ましくは0または1である。
【0047】
一般式(3−1)〜(3−5)中、c10およびc20はそれぞれ0〜3の整数を表し、好ましくは、0〜2の整数であり、より好ましくは1である。
【0048】
一般式(2)中、配位子LL1の数を表すm2は、0〜2の整数であり、好ましくは1である。
【0049】
一般式(2)中、Xは1座または2座の配位子であり、Xの配位子の数を表すn1は0〜2の整数である。
【0050】
配位子Xの例としては、アシルオキシ基〔好ましくは、炭素数1〜20のアシルオキシ基、具体例としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ基、オキザリレン基(−OC(O)C(O)O−)〕、アシルチオ基(好ましくは、炭素数1〜20のアシルチオ基、具体例としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ基)、アシルアミノオキシ基〔好ましくは、炭素数1〜20のアシルアミノオキシ基、具体例としては、N−メチルベンゾイルアミノオキシ基(PhC(O)N(CH3)O−)、アセチルアミノオキシ基(CH3C(O)NHO−)〕、チオアシルオキシ基〔好ましくは、炭素数1〜20のチオアシルオキシ基、具体例としては、チオアセチルオキシ基(CH3C(S)O−)〕、チオアシルチオ基〔好ましくは、炭素数1〜20のチオアシルチオ基、具体例としては、チオアセチルチオ基(CH3C(S)S−)、チオベンゾイルチオ基(PhC(S)CS−)〕、チオカルボネート基〔好ましくは、炭素数1〜20のチオカルボネート基、具体例としては、エチルトリチオカルボネート基(C2H5SC(S)S−)、フェニルトリチオカルボネート基(PhSC(S)S−)〕、ジチオカルボネート基〔好ましくは、炭素数1〜20のジチオカルボネート基、具体例としては、エチルジチオカルボネート基(C2H5OC(S)S−)〕、トリチオカルボネート基〔好ましくは、炭素数1〜20のトリチオカルボネート基、具体例としては、エチルトリチオカルボネート基(C2H5SC(S)S−)〕、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜20、具体例としては、メタンチオ基、エチレンジチオ基)、アリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜20のアリールチオ基、具体例としては、フェニルチオ基、1,2−フェニレンジチオ基)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜20のアルコキシ基、具体例としては、メトキシ基、エチレンジオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、具体例としては、フェノキシ基)、イソチオシアネート基、イソシアネート基、シアネート基、チオシアネート基からなる群から選ばれた1座または2座の配位子、あるいはβ−ジケトナト配位子〔好ましくは、炭素数3〜20のβ−ジケトナト配位子、具体例としては、CH3C(O…)CH=C(O−)CH3(…は配位結合を表す)〕、β−ジチオケトナト配位子〔好ましくは、炭素数3〜20のβ−ジチオケトナト配位子、具体例としては、CH3C(S…)CH=C(S−)CH3〕、β−ケトチオナト配位子〔好ましくは、炭素数3〜20のβ−ケトチオナト配位子、具体例としては、CH3C(O…)CH=C(S−)CH3〕、β−チオケトナト配位子〔好ましくは、炭素数3〜20のβ−チオケトナト配位子、具体例としては、CH3C(S…)CH=C(O−)CH3〕、ジアルキルケトン配位子(好ましくは、炭素数3〜20のジアルキルケトン配位子、具体例としては、ジメチルケトン配位子〔(CH3)2CO…)〕、カルボンアミド配位子(好ましくは、炭素数1〜20のカルボンアミド配位子)、チオカルボンアミド配位子(好ましくは、炭素数1〜20のチオカルボンアミド配位子)、チオウレア配位子(好ましくは、炭素数1〜20のチオウレア配位子)、イソチオウレア配位子(好ましくは、炭素数1〜20のイソチオウレア配位子)、ハロゲン、水などが挙げられるが、好ましくは、イソチオシアネート基、イソシアネート基、シアネート基またはチオシアネート基あるいはハロゲンであり、好ましくは、イソシアネート基またはイソチオシアネート基であり、さらに好ましくは、イソチオシアネート基である。
【0051】
一般式(2)中、対イオンを表すY1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。本発明の金属錯体化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その金属、配位子、および置換基に依存する。また置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持っても良く、この場合にも分子全体の電荷はY1によって中和される。好ましくは、陽イオンは、無機または有機のアンモニウムイオン(具体例としては、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)およびアルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは、無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、より好ましくは、ハロゲン陰イオン、(具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、アリールスルホン酸イオン(具体例としては、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(具体例としては、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(具体例としては、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに電荷均衡対イオンとしてイオン性ポリマー、あるいは金属錯体化合物と逆電荷を有する他の化合物を用いてもよいし、金属錯イオン(具体例としては、ビスベンゼン−1,2−ジチオラトニッケル(III)等)も使用可能である。
【0052】
前記一般式(2)により表される金属錯体化合物は、好ましくは、下記一般式(4)により表される。
【0053】
【化16】
【0054】
〔式中、R1〜R8、a1およびa2は、前記一般式(1)中のそれらと同義であり、m1、LL1、m2、X、n1およびY1は、前記一般式(2)中のそれらと同義である。〕
一般式(4)中、R1〜R8、a1およびa2は、前記一般式(1)中のそれらと同義であり、m1、LL1、m2、X、n1およびY1は、前記一般式(2)中のそれらと同義である。
【0055】
好ましくは、前記一般式(4)のR1〜R4が、置換基を有していてもよいアリ−ル基であり、より好ましくは、前記の置換基R'を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基であり、さらに好ましくは、下記一般式(5)の置換基で表されるアリール基である。
【0056】
【化17】
【0057】
〔式中、R31は前記一般式(1)のR7およびR8と同義の置換基であり、a3は0〜5の整数を表し、a3が2以上のとき、R31はそれぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよい。〕
一般式(5)中、R31は前記一般式(1)のR7およびR8と同義の置換基であり、具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホウ酸基、またはこれらのプロトン解離体(例えば、−COO-、−SO3 -等)、前記の置換基R'に記載したアルキル基、前記の置換基R'に記載したアリ−ル基、前記の置換基R'に記載したアルコキシ基、前記の置換基R'に記載したアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子が挙げられる。
【0058】
a3は、0〜5の整数を表し、a3が2以上のとき、R31はそれぞれ同じでも異なっていてもよく互いに連結して環を形成してもよく、好ましくは、1または2であり、さらに好ましくは1である。
【0059】
一般式(2)で表される金属錯体化合物の具体例を下記一般式(6−1)〜(6−3)を用いて以下に示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、下記具体例における金属錯体化合物が、プロトン解離性基(具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、リン酸基、珪酸基、ホウ酸基)を有する配位子を含む場合、該配位子は必要に応じて解離しプロトンを放出してもよい。
【0060】
【化18】
【0061】
一般式(6−1,6−2,6−3)の例示化合物を第1表に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
本発明で用いる一般式(1)で表される配位子を有する金属錯体化合物は、J.Am. Chem. Soc., 119, 4622-4632 (1997)等の文献及び文献中に引用された方法等を参考にして製造することができる。
【0067】
すなわち、一般式(1)記載の化合物は、例えば下記一般式(6)と一般式(7)のWitting−Horner−Emmons反応によるアルケンの形成により製造することができる。
【0068】
【化19】
【0069】
〔式中、R7、R8、a1およびa2は、一般式(1)のR7、R8、a1およびa2と同じであり、R32は、メチル基またはエチル基を表す。〕
【0070】
【化20】
【0071】
〔式中、R1およびR2は、一般式(1)のR1〜R4と同じである。〕
公知のWitting-Horner-Emmons反応による製造方法としては、前記一般式(6)と前記一般式(7)とを、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等)中で、塩基(カリウム−t−ブトキシド、水素化ナトリウム、炭酸カリウム等)の存在下に反応させる方法を挙げることができる。
【0072】
本発明で用いる一般式(2)で表される金属錯体化合物は、例えば、 Inorg. Chem., 38, 6298〜6305 (1999), Chem. Commun., 1705〜1706(1997), Inorg. Chem., 37, 5251〜5259 (1998) 等の文献及び文献中に引用された方法等を参考にして製造することができる。
【0073】
例えば、以下の3段階の反応にて製造することができる。
【0074】
まず、第1段階では前記一般式(1)により表される配位子と遷移金属のハロゲン化塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、または遷移金属の有機錯体とを溶媒中(例えば、エタノール、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水等)で反応して一般式(1)により表される配位子の金属錯体化合物を得、次いで第2段階では、前記第1段階で得た金属錯体化合物と下記一般式(9)の配位子とを溶媒中(例えば、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水等)で反応させて、一般式(1)および下記一般式(9)の配位子を有する金属錯体化合物を得、次いで第3段階では、前記第2段階で得た金属錯体化合物と一般式(10)で示される配位子化合物とを溶媒中(例えば、エタノール、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水等)で反応させて製造することができる。
【0075】
また、前記製造法において、第1段階に用いた前記一般式(1)の配位子の代わりに下記一般式(9)で表される配位子を用い、第2段階に用いた下記一般式(9)の配位子の代わりに前記一般式(1)の配位子を用いても同様に製造できる。
一般式(9)
LL1
〔式中、LL1は、一般式(2)のLL1と同じである。〕
一般式(10)
Z・X1
〔式中、X1は、一般式(2)のXと同じであり、ZはXの対イオンを表し、好ましくは、水素イオン、無機陽イオン(ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、有機陽イオン(アンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)が挙げられる。〕
以上、詳述した下記一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物を含むことを特徴とする光電変換素子用材料は、従来の公知の材料と比較し、吸収帯がより近赤外〜赤外領域まで広がることで広い波長領域で光増感することができるため光電変換素子用材料として好ましい。
【0076】
次に本発明に係る光電変換素子について述べる。
【0077】
本発明に係る光電変換素子は、前記一般式(1)記載の配位子を含有する金属錯体化合物を使用してなる光電変換素子であり、好ましくは、前記一般式(1)記載の配位子を含有する金属錯体化合物を半導体微粒子に結合および/または吸着させた電極を用いてなる光電変換素子であり、より好ましくは、図1に示すように、基板1、導電層3、色素吸着半導体微粒子層5、電荷移動層6、導電層4および基板2の順に積層してなる素子である。
【0078】
以下、前記の基板、導電層、色素吸着半導体微粒子層および電荷移動層に関して説明する。
【0079】
本発明の光電変換素子に用いられる基板としては、ガラスおよび樹脂等が挙げられる。
【0080】
ガラスの具体例としては、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸ガラス、ソ−ダ石灰ガラス、ケイ酸アルカリガラス、カリ石灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラスなどのケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラスなどが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリカ−ボネ−ト、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタラ−ト、テフロン(登録商標)などフッ素樹脂が挙げられる。
【0081】
基板は透明であっても半透明であってもよく、着色していてもよいが、透明なものが好ましい。
【0082】
本発明の光電変換素子に用いられる導電層としては、金属、導電性金属酸化物および導電性有機物が挙げられる。
【0083】
導電層に用いる金属の具体例としては、仕事関数が3.5〜 6.0 eVの金属を用いることができる。例えば、白金、金、銀、銅、コバルト、鉄、ニッケル、パラジウム、バナジウム、ロジウム、タングステン、亜鉛などを挙げることができる。
【0084】
導電性金属酸化物としては、導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ド−プした酸化スズなど)が挙げられ、導電層を形成した際に表面抵抗が低いものほどよい。好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であり、更に好ましくは、30Ω/cm2以下である。この下限には特に制限はないが通常は0.1〜10Ω/cm2程度である。導電層の厚さは、0.02〜10mm程度であることが好ましい。また、透明な基板に導電性金属酸化物の層を0.02〜10mm程度形成した場合には、透明導電層として使用することができる。
【0085】
導電性有機物の具体例としては、一般の炭素電極に用いられる炭素材料やフラ−レンなどの炭素材料、カ−ボンナノチュ−ブ、ポリアセチレンなどの炭化水素、置換基を有していてもよいポリアニリンやポリチオフェンなどの導電性高分子、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタンなどの電荷移動錯体を、蒸着法、スピンコ−ト法等により基板上に形成したものが挙げられる。
【0086】
色素吸着半導体微粒子層は、半導体微粒子層と色素層などから構成される層である。ここで、半導体微粒子層とは、半導体微粒子により形成された層であり、色素層とは、前記半導体微粒子層に結合および/または吸着させることにより形成された本発明の前記一般式(1)記載の配位子を含有する金属錯体化合物の層である。
【0087】
半導体微粒子層の材料の具体例としては、TiO2、 Fe2O3、 WO3、 ZnO、 Nb2O5、 SnO2などの金属酸化物の半導体微粒子が挙げられ、好ましくは、TiO2、 ZnO、 SnO2などの半導体微粒子である。より好ましくはTiO2の半導体微粒子である。また、半導体微粒子は、単独で用いてもよいし異なる半導体微粒子を混合して用いてもよい。また、導電層として挙げた金属と前記半導体微粒子の混合物でもよい。
【0088】
導電層を形成した基板上に半導体微粒子層を形成する場合には、特開平11−312541号公報に記載のように緻密な薄膜層を下塗り層として塗布しておくことが好ましい。
【0089】
導電層を形成した基板上に半導体微粒子層を形成する方法としては、スプレ−パイロリシス法、印刷法などが好ましい。
【0090】
半導体微粒子層の形成方法としては、前記半導体微粒子層に用いる材料を微粒子化し、分散液またはコロイド液を調製し塗布する事による方法が挙げられる。コロイド溶液の調整法として技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コ−ティング技術」(1995)、(株)シ−エムシ−社発行の「色素増感太陽電池の最新技術」などに記載の方法が好ましい。また半導体微粒子の作製法として、乳鉢ですり潰す方法、ミルによる粉砕法などが挙げられる。
【0091】
これらの半導体微粒子の粒径は、粉砕化後の1次微粒子として5〜200nmであることが好ましく特に8〜100nmであることが好ましい。また、分散中の半導体微粒子(2次粒子)の平均粒径としては0.01〜10mmであることが好ましい。さらには、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる半導体微粒子を混合してもよい。
【0092】
係る方法により調製した半導体微粒子を分散溶剤に分散させることによりコロイド溶液を調製することができる。分散溶媒の具体例としては、水または各種の有機溶媒(例えばメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル)が挙げられる。分散の際、必要に応じて、ポリマ−、界面活性剤、酸、もしくはキレ−ト剤などを分散補助剤として用いてもよい。
【0093】
係る分散液、コロイド溶液の導電層を形成した基板への塗布の具体的方法として、ドクタ−ブレ−ド法、ロ−ラ法、ディップ法、エア−ナイフ法、スピン法、スプレ−法、スクリ−ン印刷法などが挙げられるが、好ましくは、ドクタ−ブレ−ド法、ロ−ラ法、スピン法、スクリ−ン印刷法である。
【0094】
また、半導体微粒子層は単層と限定する必要はない。半導体微粒子の粒径が違った分散液を多層塗布することも可能であり、種類が異なる半導体微粒子、バインダ−および添加剤の組成が異なる半導体微粒子の分散液を多層に塗布することもできる。多層塗布する場合、数回から十数回重ね塗りしてもよい。重ね塗りの場合にはスクリ−ン印刷法が好ましい。
【0095】
半導体微粒子層の厚みは、好ましくは、0.1〜200mmである。より好ましくは、1〜100mmである。半導体層の材料の1m2あたりの塗布量は好ましくは、0.5〜400gであり、より好ましくは、5〜100gである。
【0096】
半導体層は、基板に塗布後、粒子同士を物理的に接触させるため、および塗膜強度を向上させるために加熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは、100℃以上550℃未満である。また加熱処理時間は10分〜10時間程度であるが、好ましくは、30分から2時間である。樹脂基板など融点の低い基板を用いる場合は、高温処理は好ましくなく、基板の変質や変形が起こる温度よりも低い温度での加熱処理を行う。
【0097】
また、加熱後に半導体微粒子の表面純度を上げたり金属錯体化合物の結合および/または吸着を促進するため、四塩化チタンや三塩化チタンを用いたメッキ処理を行ってもよい。
【0098】
半導体微粒子は、多くの金属錯体化合物が吸着できるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子を支持基板に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10〜3000倍であることが好ましい。
【0099】
以下に、本発明の色素層について以下説明する。色素層は、本発明の金属錯体化合物を半導体微粒子層に結合および/または吸着させることにより形成された金属錯体化合物の層である。
【0100】
色素層の形成方法としては、半導体微粒子層に結合および/または吸着することにより層を形成させる方法であれば問わないが、好ましい方法としては、本発明の金属錯体化合物を溶媒に溶解させた後、該溶液に、導電層および半導体微粒子層を形成した基板を一定時間浸漬し、半導体微粒子層に金属錯体化合物を結合および/または吸着させることにより形成する方法等が挙げられる。
【0101】
前記の色素層の形成方法に用いられる溶媒としては、基板の材質を変質や変形などにより痛めることなく、また本発明の金属錯体化合物を溶解させるものであれば問わないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、アセトン、ヘキサン、水等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、アセトニトリルであり、金属錯体化合物溶液の濃度は、0.0001〜1 mol / Lに調整すればよいが、好ましくは、0.1〜100 mM / Lであり、浸漬温度および時間は、室温から溶媒の還流温度であり、時間は10分から1000時間の間である。好ましくは、室温〜溶媒の還流温度で5時間〜100時間であり、金属錯体化合物溶液は、本発明の1種類の金属錯体化合物からなるものでもよいし、数種類混合したものでもよい。
【0102】
また、本発明の金属錯体化合物と公知の色素、例えば、公知のポルフィリン色素、ルテニウム錯体色素、メチン色素、スクアリリウム色素、キサンテン色素、フェナジノン色素、トリフェニルメタン色素、クマリン色素、フタロシアニン色素などを併用して光電変換の波長域をより広くすることも可能である。
【0103】
本発明の電荷移動層について下記に詳細を述べる。
電荷移動層は、色素の酸化体に電子を補充する、または色素の還元体に正孔を補充する機能を有する。
【0104】
本発明で用いることのできる電荷移動層としては、酸化還元能を有する物質を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元体を有機溶媒中に溶解した液体をポリマ−マトリクスに含浸したゲル電解質、酸化還元能を有する溶融塩および固体電解質などが挙げられる。
【0105】
電解液は、電解質、溶媒、添加物から構成されることが好ましい。
電解質の具体例としては、過塩素酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウムブロミド、テトラアルキルアンモニウムPF6、金属ハロゲン化物(例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化リチウム, ヨウ化ナトリウム, ヨウ化カリウム, ヨウ化セシウム、臭化リチウム, 臭化ナトリウム, 臭化カリウム, 臭化セシウム, 臭化カリウム, テトラアルキルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩の臭素塩、テトラアルキルアンモニウムヨ−ダイド等の4級アンモニウム塩のヨウ素塩)、臭素およびヨウ素であり、好ましくは、過塩素酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムPF6、ヨウ素、ヨウ化リチウムなどが挙げられる。また、上述した電解質を混合して用いてもよい。
【0106】
電解質の濃度は、好ましくは、0.1 mM以上10 M以下であり、より好ましくは、0.1mM以上5M以下であり、さらに好ましくは、0.1mM以上1.0M以下である。
【0107】
本発明で電解液に使用する溶媒は、粘度が低く誘電率の高い優れたイオン移動度を有する溶媒が好ましい。そのような溶媒の具体例としては、ジオキサン、ジエチルエ−テルなどのエ−テル化合物、エチレングリコ−ルジアルキルエ−テル、プロピレングリコ−ルジアルキルエ−テルなどの鎖状エ−テル類、メタノ−ル、エタノ−ル、エチレングリコ−ルモノアルキルエ−テルなどのアルコ−ル類、エチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、グリセリンなどの多価アルコ−ル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、メトキシアセトニトリルなどのニトリル類、エチレンカ−ボネ−ト、プロピレンカ−ボネ−トなどのカ−ボネ−ト類、ジメチルスルホキシド、スルホランおよび水などが挙げられる。
【0108】
添加物の具体例としては、電解液の酸化還元特性を変化させる、キノン類、アミン類、金属錯体、ピリジニウム塩などが挙げられる。例えばハイドロキノン、ジシアノジクロロパラベンゾキノン(DDQ)、フラ−レン等のアクセプタ−、t−ブチルピリジンや2−ピコリン、トリエタノ−ルアミン等の塩基性ドナ−、フェロセン−フェリシアン酸塩、ポルフィリン等の遷移金属錯体、ビオロ−ゲンおよびメチルビオロ−ゲンなどを用いることもできる。好ましくは、t−ブチルピリジン、トリエタノールアミンが挙げられる。
【0109】
ゲル電解質の例としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどが代表例として挙げられる。
【0110】
溶融塩を用いる電荷移動層としては、カチオン種とアニオン種の組み合わせによりなるイオン伝導性塩であり、具体例としては、カチオン種として、テトラアルキルアンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、トリアルキルスルホニルカチオンなどが用いられ、アニオン種として、ヨウ素アニオン(I-、I3 -)、塩化アルミニウムアニオン(AlCl4 -、AlCl7 -)、含フッ素アニオン〔BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、N(CF3SO2)2 -、F(HF)n -〕が挙げられる。好ましくは、粘性の低いヘキシルメチルイミダゾリウムヨ−ダイドが挙げられる。
【0111】
固体電解質としては、正孔(ホ−ル)輸送材料、導電性高分子が挙げられ、好ましくは、N,N−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン等の芳香族アミン類、置換または無置換のポリチオフェンやポリピロ−ルなどの導電性高分子、ヨウ化銅、硫酸銅、チオアシアン化銅などの金属の塩化物、シアン化物および硫酸化物などの無機固体化合物等が挙げられる。また、より該素子の強度を高めるため、各層に保護層や下塗り層など他の1層以上の層を形成していてもかまわない。
【0112】
本発明の光電変換素子は、太陽電池、屋内発電素子、光センサ−(フォトセル、カラ−センサ−、複写機用感光ドラム、撮像デバイス)、発電可能な窓ガラスやフィルムなどへの用途が考えられる。
【0113】
【実施例】
以下に本発明について実施例によって具体的に説明するが本発明はこれらに限定されない。
[実施例1]
本発明のD-1製造法を以下に示す。
【0114】
【化21】
【0115】
化合物A-3の製造
窒素雰囲気下、1000 mLの3つ口フラスコに、化合物(A-1) 10 g (21.9 mmol)および無水テトラヒドロフラン 600 mLを装入し、−5℃で撹拌しながらカリウムt-ブトキシド 5.3 gを装入し30分撹拌した。続いて−5℃で化合物(A-2) 15.7 g (48 mmol)を装入し、4時間加熱環流撹拌した。テトラヒドロフランを減圧留去後、残渣をトルエンに溶解し、該混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を添加しトルエン層を洗浄後、さらにトルエン層を水洗し、分液後トルエン層を乾燥し、トルエンを減圧留去した。その後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、メタノールスラッジし、15 gの(A-3)を淡黄色固体として得た。
FD-MS 800(M+)
【0116】
【表5】
HPLC純度>99面積%
【0117】
化合物A-4の製造
窒素雰囲気下、100mLのセパラブルフラスコに、化合物(A-3) 12 g (15 mmol)、ジエチレングリコール 60mLおよび粉砕した水酸化ナトリウム6.0 g(150 mmol)を装入し150℃で6時間加熱撹拌した。室温冷却後1N 塩酸でpHを4にした後、1日室温放置した。析出した黄色固体を濾取し蒸留水で洗浄後乾燥し、8.5 gの化合物(A-4)の2水和物を淡黄色固体として得た。
FD-MS 688 (M+)
【0118】
【表6】
【0119】
化合物A-7の製造
遮光アルゴン雰囲気下、500mLのセパラブルフラスコに、化合物(A-5) 5.0g (10.3 mmol)、4,4'-ジカルボキシ-2,2'-ビピリジン 2.2 g (10.3 mmol)、クロロホルム100mLおよびエタノール100mLを装入した。撹拌しながら6日間加熱還流した。室温に冷却後、エタノールとクロロホルムを減圧留去した。残渣を200mLのクロロホルムに溶解後、1000mLのアセトンおよびエーテルの混合溶媒を装入し、生じた粉末をろ過し、粉末を室温で減圧乾燥することにより、化合物(A-7)を3.6 gの濃橙色固体として得た。
【0120】
【表7】
HPLC純度>99面積%
【0121】
化合物D-1の製造
遮光アルゴン雰囲気下、300mLの3つ口フラスコに、化合物(A-7)1.8 g (3.1 mmol)、化合物(A-4) 2.1 g (3.1 mmol)および脱気した脱水N,N-ジメチルホルムアミド100mLを装入した。100℃で10時間加熱攪拌した。室温冷却後、濃赤褐色溶液を減圧濃縮した。残渣をメタノールおよびジエチルエーテルの混合溶媒を用いて再結晶し、2.5gの化合物(D-1)を黒褐色固体として得た。
【0122】
【表8】
HPLC純度>99面積%
可視部吸収波長ピーク:540nm(エタノール溶液)
吸収の長波長端:810nm(エタノール溶液)
【0123】
[実施例2]
化合物(D-2)の製造
【0124】
【化22】
【0125】
遮光アルゴン雰囲気下、100mLのセパラブルフラスコに、化合物(D-1)0.64 g (0.58 mmol)および脱気した脱水N,N-ジメチルホルムアミド 60 mLを装入し、脱気した水10mLに1.0 gのチオシアン酸アンモニウムを溶解した溶液を添加し、撹拌しながら1日加熱還流した。室温冷却後、N,N-ジメチルホルムアミドおよび水を減圧留去し、残渣に0.05N水酸化ナトリウム水溶液100mLを装入し、該水溶液中の不溶物を濾過により除去後、濾液に0.1N硝酸をpHが 3-4になるまで装入し、生じた黒褐色固体をろ過した。メタノールおよびエーテルの混合溶媒を用いて再結晶し、化合物D-2を黒褐色固体を0.3g得た。
LC-MS(ESI−nega) 1149(M+-1)
【0126】
【表9】
HPLC純度>99面積%
可視部吸収波長ピーク:544nm(エタノール溶液)
吸収の長波長端:820nm(エタノール溶液)
【0127】
[実施例3]
本発明のD-19の製造法を以下に示す。
【0128】
【化23】
【0129】
化合物(A-9)の製造
500 mLの3つ口フラスコに、化合物(A-1) 6.8 g (17 mmol)および無水テトラヒロドフラン250 mLを装入し、−5℃で撹拌しながらカリウムt-ブトキシド 4.3 gを装入し30分撹拌した。続いて−5℃で無水テトラヒドロフラン 100 mLに溶解させた化合物(A-8) 8.9 g (34 mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。更に5時間加熱還流し、室温に冷却後、反応懸濁溶液に希塩酸を加え、水に排出し、生じた黄色固体を濾過した。濾取した固体をトルエンに溶解しカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;トルエン:アセトン=8:2)およびメタノールスラッジにより精製し、9.5 gの化合物(A-9)を淡黄色固体として得た。
H-NMR (CDCl3, d) 8.78 (d, 2H), 8.44 (d, 2H), 8.05 (d, 4H), 7.99 (dd, 2H), 7.60 (d, 4H), 7.25 (s, 4H), 4.32 (t, 4H), 1.78(qin, 4H), 1.3-1.5 (m, 20H), 0.88 (t, 6H)
HPLC純度>99面積%
FD-MS 672 (M+)
【0130】
化合物(A-10)の製造
窒素雰囲気下、500 mLのセパラブルフラスコに、化合物(A-9) 3.1 g (4.6 mmol)、ジエチレングリコール 300 mLおよび粉砕した水酸化ナトリウム 2.0g (50 mmol)を装入し120℃で6時間加熱撹拌した。室温冷却後、1N 塩酸でpHを4にし、その後析出した黄色固体を濾取した。固体をメタノールスラッジすることにより化合物(A-10) 1.9 gを黄色固体として得た。
FD-MS 448(M+)
【0131】
【表10】
【0132】
化合物D-19の製造
遮光アルゴン雰囲気下、300mLの3つ口フラスコに、化合物(A-10)0.89 g (2.0 mmol)、化合物(A-7) 0.57 g (1.0 mmol)および脱水N,N-ジメチルホルムアミド100 mLを装入し、130℃で6時間加熱攪拌した。室温冷却後、濃赤褐色溶液を減圧濃縮し、残渣をメタノールおよびアセトンの混合溶媒でスラッジし、得た黒色固体を、遮光アルゴン雰囲気下、100mLのセパラブルフラスコに装入し、脱気した脱水N,N-ジメチルホルムアミド 100 mLを装入し、脱気した水20mLに1.5 gのチオシアン酸アンモニウムを溶解した溶液を添加し、撹拌しながら8時間加熱還流した。室温冷却後、N,N-ジメチルホルムアミドおよび水を減圧留去し、残渣をメタノールによりスラッジし0.8 gの化合物D-19を黒褐色固体として得た。
【0133】
【表11】
HPLC純度>99面積%
可視部吸収波長ピーク:540nm(エタノール溶液)
吸収の長波長端:810nm(エタノール溶液)
【0134】
[実施例4]
化合物D-32の製造
【0135】
【化24】
【0136】
遮光アルゴン雰囲気下、300mLの3つ口フラスコに、化合物(A-5) 1.5 g (3.1 mmol)、化合物(A-4) 4.2 g (6.2 mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド200 mLを装入し、130℃で8時間加熱攪拌した。室温冷却後、濃赤褐色溶液を減圧濃縮した。残渣をメタノールおよびアセトンの混合溶媒から再結晶し4.0gの化合物(D-32)を黒褐色固体として得た。
【0137】
【表12】
HPLC純度>99面積%
可視部吸収波長ピーク:550nm(エタノール溶液)
吸収の長波長端:840nm(エタノール溶液)
【0138】
[実施例5]
化合物(D-33)の製造
【0139】
【化25】
【0140】
遮光アルゴン雰囲気下、300mLの3つ口フラスコに、化合物(D-32)1.23 g (0.8 mmol)および脱気したN,N-ジメチルホルムアミド100 mLを装入し、さらに脱気した水20mLに1.5 gのチオシアン酸アンモニウムを溶解した溶液を添加し、撹拌しながら8時間加熱還流した。室温冷却後、N,N-ジメチルホルムアミドおよび水を減圧留去し、得られた残渣をメタノールを用いてスラッジし、化合物D-33を黒褐色固体として0.7g得た。
【0141】
【表13】
HPLC純度>98面積%
可視部吸収波長ピーク:555nm(エタノール溶液)
吸収の長波長端:830nm(エタノール溶液)
【0142】
実施例1〜5の本発明の金属錯体化合物は、いずれも下記の比較化合物(D-N)〔可視部吸収波長ピーク:531nm(エタノール溶液)、吸収の長波長端:750nm(エタノール溶液)〕と比べ、可視部吸収ピーク波長が長波長側に移動し、かつ吸収の長波長端が長波長側に移動していることから、より長波長の光まで光増感でき、可視光から赤外領域にかけての光増感が可能な光電変換素子用材料として好ましいことがわかる。
比較化合物(D-N)
【0143】
【化26】
【0144】
[実施例6]
光電変換素子を以下の操作により作製した。
▲1▼ テフロン(登録商標)コ−トしたステンレス容器に二酸化チタン微粒子〔日本アエロジル(株)製、Degussa P−25〕15g、脱イオン水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビ−ズ30gを入れ、サンドグラインダ−ミルを用いて1500rpmで2時間分散処理した。得られた分散液からジルコニアビ−ズをろ過により除去した。得られた分散液中の二酸化チタン微粒子の平均粒径は2.5μmであった。
▲2▼ 透明電極付きガラス基板〔旭硝子(株)製 TCO−ガラス−U:表面抵抗約30Ω/□〕にガラス棒を用いて、▲1▼で調製した二酸化チタン分散液を塗布した。尚、塗布量は20g/m2とした。その後、室温で一日風乾した。次に、このガラスを電気炉に入れ450℃にて30分間焼成し、室温まで冷却後取り出し、基板、導電層および半導体層を形成した半導体微粒子電極基板とした。
▲3▼ ▲2▼で作製した半導体微粒子電極基板を金属錯体化合物(化合物D-1)のエタノ−ル溶液(3×10-4mol/l)に15時間浸漬した。その後、前記溶液から取り出した半導体微粒子電極基板を4−tert−ブチルピリジン2mol%のアセトニトリル溶液に15分間浸漬した後、エタノ−ルで洗浄し、自然乾燥し色素吸着半導体微粒子層を形成した電極基板とした。
▲4▼ ▲3▼で作製した色素吸着半導体微粒子層を形成した電極基板に、これと同じ大きさの白金蒸着ガラスを重ね合わせ、次に両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電界液を染み込ませ、図1に示す構成の光電変換素子を作製した。尚、電界液としてはエチレンカ−ボネ−トとアセトニトリルの混合溶液(4:1vol/vol)10ml中にテトラプロピルヨ−ダイド1.44gとヨウ素0.076gを溶解させたものを使用した。
▲5▼ ▲4▼で作製した素子をエポキシ系封止剤で封止し光電変換素子を作製した。
【0145】
作製した光電変換素子の光電変換能をオプテル社製のIPCE(Incident Photonto Current Conversion Efficiency)測定装置によってIPCEを測定した。光電変換素子の800nm単色光でのIPCEを第11表にまとめた。
【0146】
[実施例7〜10]
実施例6において、金属錯体化合物(化合物D-1)を使用するかわりに、金属錯体化合物(化合物D-2:実施例7)、金属錯体化合物(化合物D-19:実施例8)、金属錯体化合物(化合物D-32:実施例9)、金属錯体化合物(化合物D-33:実施例10)を使用する以外は実施例6と同様な操作により光電変換素子を作製した。作製した光電変換素子を実施例6と同様な方法でIPCEを測定し、第11表にまとめた。
【0147】
[比較例1]
実施例6において金属錯体化合物(化合物D-1)のかわりに前記比較化合物(D−N)を用いる以外は、実施例6と同様な操作で光電変換素子を作製し、作製した光電変換素子を実施例6と同様な方法でIPCEを測定し、第11表にまとめた。
【0148】
[比較例2]
実施例6において金属錯体化合物(化合物D-1)のかわりに、特開2001-291534号公報記載の下記比較化合物(D−M)を用いる以外は、実施例6と同様な操作で光電変換素子を作製し、作製した光電変換素子を実施例6と同様な方法でIPCEを測定し、第11表にまとめた。
比較化合物(D−M)
【0149】
【化27】
【0150】
【表14】
【0151】
実施例6〜9の測定中、素子は安定しており、素子の性能の劣化は全く観測されなかった。光源をAM 1.5 (100 mW/cm2)に変えて用いても素子の劣化は全く観測されなかった。一方で、比較例1および2の素子はそれぞれ光電流値の初期値より10%の劣化が観測された。
【0152】
以上の結果より本発明の金属錯体化合物を用いた光電変換素子は、比較化合物(D−N)に対して、近赤外領域まで良好な光電変換特性を示し、耐久性も良好であることがわかる。また、本発明の金属錯体化合物を用いた光電変換素子は、近赤外領域まで光電変換特性を示す比較化合物(D−M)と比較しても、良好な光電変換特性を示すことがわかる。
【0153】
【発明の効果】
本発明により、近赤外領域までの光電変換特性を示し、半導体微粒子を効率よく増感し、耐久性に優れる光電変換素子用材料ならびに光電変換素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を表す部分断面図である。
【符号の説明】
1、2…基板
3、4…導電層
5…色素吸着半導体微粒子層
6…電荷移動層
Claims (7)
- 下記一般式(1)により表される配位子を含有する金属錯体化合物を含むことを特徴とする光電変換素子用材料。
- R1〜R4が置換基を有していてもよいアリ−ル基であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子用材料。
- Mが、Ru、Os、Fe、CoまたはCuであることを特徴とする請求項3記載の光電変換素子用材料。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子用材料を使用してなる光電変換素子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子用材料を半導体微粒子に結合および/または吸着させた電極を用いてなる請求項6記載の光電変換素子。
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