JP2007112987A - 化合物、光電変換素子及び光電気化学電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】配位子(II)及び配位子(III)配位子が金属原子に配位してなる錯体化合物(I)。
[式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、不飽和炭化水素基と芳香環を含有する基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、プロトン供与性基の塩またはプロトン供与性基を表し、R1及びR2の少なくとも一方はプロトン供与性基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に、プロトン非供与性基を表し、R3及びR4は互いに結合していてもよく、A及びBはそれぞれ独立に周期表第14、15又は第16族の元素を含む基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、a、b、c及びdは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、a+b≧1である。]
【選択図】なし
Description
一方、特許文献1には、製造が容易な光増感色素として、式(1)で表されるcis-ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)-ルテニウム(II)を酸化チタン微粒子からなる薄膜に吸着させた光電変換素子、並びに、該素子、電荷移動層及び対極を含む光電気化学電池が提案されている。
本発明の目的は、安価で、かつ、容易に製造することができ、700nm以上の長波長領域においても光電変換効率の高い光電変換素子を与える化合物、該化合物を含む光電変換素子用色素、該色素を含む光電変換素子、及び、該素子を含む光電気化学電池を提供することである。
[式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、不飽和炭化水素基と芳香環を含有する基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、プロトン供与性基の塩またはプロトン供与性基を表し、R1及びR2の少なくとも一方はプロトン供与性基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に、プロトン非供与性基を表し、R3及びR4は互いに結合していてもよく、A及びBはそれぞれ独立に周期表第14、15又は第16族の元素を含む基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、a、b、c及びdは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、a+b≧1である。]
本発明はFe、Ru、Osなどの金属原子、好ましくはRuに、前記式(II)で表される配位子及び前記式(III)で表される配位子を配位せしめて得られる。
また、本発明の錯体化合物(I)は、中心原子が、Fe、Ru、Osなどの金属原子、好ましくはRuであり、配位子の1つが前記式(II)で表される配位子であり、配位子の別の1つが前記式(III)で表される配位子である。
ここで、プロトン供与性基とは、活性水素(グリニアル試薬と反応して炭化水素を生成せしめる水素)を含有する基であり、具体的には、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スクアリン酸基、リン酸基、ホウ酸基、ケイ酸基等が例示される。中でも、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基は製造が容易であることから好ましく、特にカルボキシル基が好適である。
R1及びR2の少なくとも一方は、塩を形成していてもよく、塩としては、有機塩基の塩が挙げられ、具体的にはテトラアルキルアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩などの4級塩が挙げられる。
製造の容易さの観点から、Y1及びY2は、同一であることが好ましい。
Y1及びY2の具体例としては、式(IV)又は式(IV')で表される基が挙げられ、好ましくは、式(IV)で表される基である。
pが2又は3である場合、E体、Z体のいずれの構造異性体であってもよく、E体とZ体の混合物であってもよい。
式(IV)又は式(IV')で表される基において、Arの結合部位は、R1又はR2と結合していてもピリジン環と結合していてもよいが、Arの結合部位は、R1又はR2と結合している方が好ましい。
*印は、R1又はR2とArとの結合部位を表す。ヘテロ原子を含むArの場合は、通常、ヘテロ原子に近い部位(窒素原子よりも硫黄原子、酸素原子を優先)又は、両隣にヘテロ原子を有する部位でR1又はR2と結合している。
ここで、アルキル基は、炭素数1〜20、好ましくは2〜12である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、t−ブチル基、2−エチル−ヘキシル基などの分枝状アルキル基;シクロプロピル基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基などが挙げられる。
アリール基は、炭素数6〜20であり、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基などの芳香族基等が挙げられる。
アルキル基またはアリール基に含まれる炭素原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子で置換されていてもよい。
c及びdはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。
式(III)中のc及びdは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、c+d≧1である。即ち、式(III)には少なくとも1つのプロトン非供与性基が含まれ、好ましくはc=d=1である。中でも、a+b=2及びc+d=2がとりわけ好ましい。
m及びnはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表すが、好ましくは、m=0のときn=1、またはm=0のときn=0であり、特に好ましくは、m=0、n=1である。
−(A)m−、及び、−(B)n−の具体例としては、−S−、−O−、−SO2−、−P(R5)−、−N(R5)−、−Si(R5)(R6)−、−Se−等が挙げられ、好ましくは−S−である。ここでR5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基などの直鎖状アルキル基;i−プロピル基、t−ブチル基、2−エチル−ヘキシル基などの分枝状アルキル基;シクロプロピル基、シクロヘキシル基などの脂環式アルキル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基などの芳香族基等が挙げられる。
また、A(又はB)が硫黄原子の場合は、硫化ソーダと有機溶媒中、反応させることで、硫黄原子で架橋された目的化合物(m=1、2、以下S架橋体という場合がある)を得ることができる(式(2)の下式で表すことができる)。
また、A(又はB)がSO、SO2の場合はS架橋体をm−クロロ過安息香酸等で酸化することにより得ることができる。
化合物(II)の製造方法において、R1及びR2をエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル)等の保護基を導入してからカップリング反応したのち、保護基を外してもよい。
化合物(II)及び化合物(III)は、市販のジピリジル化合物をそのまま使用してもよい。
また、本発明の錯体化合物(I)は、中心原子が金属原子であり、配位子の1つが前記式(II)で表される配位子であり、配位子の別の1つが前記式(III)で表される配位子である。
錯体化合物(I)には、前記式(II)で表される配位子及び前記式(III)で表される配位子以外の補助配位子が配位していてもよく、該補助配位子としては、例えば、イソチオシアネート(−N=C=S、以下、NCSという場合がある)、チオシアネート(−S−C≡N、以下、SCNという場合がある)、ジケトナート、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、水酸基等が挙げられ、好ましくはNCSもしくはSCNである。
ここで、Ru試薬としては、2価および3価のRu試薬が用いられ、具体的には、RuCl3やRuCl2(DMSO)4などが例示される。
錯体化合物(I)と混合してもよい色素としては、波長 300〜700nm付近に吸収を持つ金属錯体や有機色素などを挙げることができる。
混合してもよい金属錯体の具体例としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号や特公平5−504023号に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体などが挙げられる。
ルテニウム錯体をさらに詳しく例示すれば、cis-ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)-ルテニウム(II) ビス-テトラブチルアンモニウム、cis-ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)-ルテニウム(II)、トリス(イソチオシアネート)−ルテニウム(II)-2,2':6',2"-テーピリジン-4,4',4"-トリカルボン酸トリス−テトラブチルアンモニウム、cis-ビス(イソチオシアネート)(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジノニル)ルテニウム(II)などが挙げられる。
シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所製)などが例示される。
メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所製)が挙げられる。
キサンテン系色素としては、例えば、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインなどが挙げられる。
トリフェニルメタン色素としては、例えば、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
クマリン系色素としては、NKX−2677(林原生物化学研究所製)等の以下に示した構造部位を含む化合物などが挙げられる。
インドリン系等の有機色素としては、具体的には以下に示した構造部位を含む化合物などが例示される。
スクアリリウム系色素としては、具体的には以下に示した構造部位を含む化合物などが例示される。
光電変換素子は、例えば、本発明の錯体化合物(I)を含む光増感色素の吸収波長である700nm以上の波長に感応する光センサや後述する光電気化学電池などに用いることができる。
ヨウ化銀、臭化銀、ヨウ化銅、臭化銅等の金属ハロゲン化物;
硫化亜鉛、硫化チタン、硫化インジウム、硫化ビスマス、硫化カドミウム、硫化ジルコニウム、硫化タンタル、硫化モリブデン、硫化銀、硫化銅、硫化スズ、硫化タングステン、硫化アンチモン等の金属硫化物;
セレン化カドミウム、セレン化ジルコニウム、セレン化亜鉛、セレン化チタン、セレン化インジウム、セレン化タングステン、セレン化モリブデン、セレン化ビスマス、セレン化鉛等の金属セレン化物;
テルル化カドミウム、テルル化タングステン、テルル化モリブデン、テルル化亜鉛、テルル化ビスマス等の金属テルル化物;
リン化亜鉛、リン化ガリウム、リン化インジウム、リン化カドミウム等の金属リン化物;
ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物、シリコン、ゲルマニウム等が挙げられる。
また、酸化亜鉛/酸化スズ、酸化スズ/酸化チタンのような二種以上の混合物であってもよい。
導電性物質としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、パラジウム又は鉄等の金属や、該金属のアロイ、或いはインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等の導電性金属酸化物、炭素、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。
導電性高分子は、例えば、パラトルエンスルフォン酸等がドープされていてもよい。
入射した光を閉じ込め、有効に利用するために、表面にテクスチャー構造を有するものが好ましい。
導電層(図1における2、6)は抵抗が低いほどよく、高透過性(350nmより長波長側で、透過率が80%以上)であることが好ましい。
導電性基板(図1における8及び9)としては、ガラス又はプラスチックに導電性の金属酸化物を塗布したものが好ましい。中でも、フッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を積層した導電性ガラスが特に好ましい。プラスチック基板とする場合は、アートン(JSRの登録商標)、ゼオノア(日本ゼオンの登録商標)、アペル(三井化学の登録商標)、トーパス(Ticona社の登録商標)等の環状ポリオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアミド(PA)等が用いられる。
これらの中でも、インジウム−スズ複合酸化物からなる導電層を堆積した導電性PETが、抵抗が低く、透過性も良く、入手もしやすいことから特に好ましい。
半導体微粒子のスラリーを導電性基板上に塗布する方法として、例えば、ドクターブレード、スキージ、スピンコート、ディップコートやスクリーン印刷等の手法が挙げられる。
この方法の場合、スラリー中の半導体微粒子の分散状態における平均粒径は、0.01μm〜100μmであることが好ましい。
スラリーを分散させる分散媒としては半導体微粒子を分散させ得るものであればよく、水、又はエタノール、イソプロパノール、t−ブタノールやテルピネオール等のアルコール溶媒;アセトン等のケトン溶媒等の有機溶媒が挙げられる。これらの水や有機溶媒は混合物であってもよい。分散液には、ポリエチレングリコール等のポリマー;Triton−X等の界面活性剤;酢酸、蟻酸、硝酸や塩酸等の有機酸又は無機酸;アセチルアセトン等のキレート剤を含んでいてもよい。
スラリーを塗布した導電性基板は焼成されるが、該焼成温度は熱可塑性樹脂等の基材の融点(又は軟化点)未満であり、通常は、焼成温度の上限は900℃であり、好ましくは600℃以下である。また、焼成時間は、通常、10時間以内である。導電性基板上の半導体微粒子層の厚みは、通常は1〜200μmであり、好ましくは5〜50μmである。
半導体微粒子は多くの光電変換素子用色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体微粒子層を基板上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限は、通常、1000倍程度である。
半導体微粒子層は、微粒子1個の単層に限らず、粒径の異なる層等を複数重ねてもよい。
半導体微粒子に付着していない光増感色素が浮遊することによる増感効果の低減を抑制するため、未吸着の光増感色素は洗浄によって除去することが望ましい。
吸着する光増感色素は1種類でもよいし、数種混合して用いてもよい。用途が光電気化学電池である場合、太陽光などの照射光の光電変換の波長域をできるだけ広くするように、混合する光増感色素を選ぶことが好ましい。また、光増感色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1gに対して0.01〜1ミリモルが好ましい。このような色素量とすると、半導体微粒子における増感効果が十分に得られ、半導体微粒子に付着していない光増感色素が浮遊することによる増感効果の低減を抑制する傾向にあることから好ましい。
他の光電気化学電池としては、例えば、光電変換素子及び電荷移動層からなる積層部が複数と1つの対極からなる光電気化学電池、複数の光電変換素子、1つの電荷移動層及び1つの対極が積層されてなる光電気化学電池などが例示される。
光電気化学電池は、湿式光電気化学電池及び乾式光電気化学電池に大別される。湿式光電気化学電池は、含まれる電荷移動層が電解液から構成される層であり、通常、電荷移動層は光電変換素子と対極の間に電解液が充填される。
乾式光電気化学電池としては、例えば、光電変換素子と対極との間の電荷移動層が固体のホール輸送材料である電池などが挙げられる。
上記の導電性基板8は、上から順に基板1と導電層2で構成されている。対極9は、下から順に基板7と導電層6で構成されている。
ここで、I2と組合せ得るヨウ化物としては、例えば、LiI、NaI、KI、CsIやCaI2等の金属ヨウ化物;1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイドダイド等の4価のイミダゾリウム化合物のヨウ素塩;4価のピリジニウム化合物のヨウ素塩;テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩等が挙げられる。
Br2と組合せ得る臭化物としては、例えば、LiBr、NaBr、KBr、CsBrやCaBr2等の金属臭化物;テトラアルキルアンモニウムブロマイドやピリジニウムブロマイド等の4価のアンモニウム化合物の臭素塩等が挙げられる。
アルキルビオローゲンとしては、例えば、メチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレートなどが挙げられ、ポリヒドロキシベンゼン類としては、例えば、ハイドロキノンやナフトハイドロキノン等が挙げられる。
電解質としては中でも、金属ヨウ化物、4価のイミダゾリウム化合物のヨウ素塩や4価のピリジニウム化合物のヨウ素塩、及びテトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のヨウ化物とI2との組合せが好ましい。
光電変換素子用色素が吸着された半導体微粒子層に光が到達するためには、前述の導電性基板と対極の少なくとも一方は、通常、実質的に透明である。本発明の光電変換素子においては、半導体微粒子層を有する導電性基板が透明で、照射光を導電性基板の側から入射させるものが好ましい。この場合、対極9は光を反射する性質を有することがより好ましい。
光電気化学電池の対極9としては、例えば、金属、カーボン、導電性の酸化物などを蒸着したガラスやプラスチックを使用することができる。具体的には、導電層を、1mm以下、好ましくは5nm〜100μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成して作製することもできる。本発明では白金やカーボンを蒸着したガラス、又は、蒸着やスパッタリングによって導電層を形成した対極とすることが好ましい。
反応容器を窒素置換し、[RuCl2(p-cymene)]231mg(0.05mmol、関東化学より購入)、N,N-ジメチルホルムアミド20mlを仕込み、室温で攪拌し、溶解するのを確認した。その後、化合物III-3(Eur.J.Inorg.Chem., 1353(2001)の記載に準じて調製した。)を22mg(0.10mmol)仕込み、室温で18時間攪拌し、原料が消失するのをHPLCで確認した。次いで、化合物II-4(Monatshefte fuer Chemie (1988), 119(1), 1-15の記載に準じて調製した。)を46mg(0.10mmol)仕込み、80℃に昇温して5時間攪拌した。その後、チオシアン酸カリウム101mg(1.03mol)を水2mlに溶解した溶液を仕込み、100℃で7時間攪拌した。
化合物(I-2) ESI-MS(m/z) m/z=922 M+
導電性基板である、フッ素をドープした酸化スズ膜付き導電性ガラス(日本板硝子製、10Ω/□)の導電性面に、酸化チタン分散液であるTi−Nanoxide T/SP(商品名、Solaronix社製)をスクリーン印刷機を用いて塗布後、500℃で焼成し、ガラスを冷却して、導電性基板に半導体粒子層を積層させた。続いて、化合物(I-2)の溶液(濃度は0.0003モル/リットル、溶媒はエタノールに16時間浸漬し、溶液から取り出したのち、アセトニトリルで洗浄後、自然乾燥させ、導電性基板及び光増感色素を吸着させた半導体微粒子層の積層体(酸化チタン電極の面積は24mm2)を得た。次に、該層の周りに、スペーサーとして25μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを設置後、該層に電解液(溶媒はアセトニトリル;溶媒中の沃素濃度は0.05モル/リットル、同じくヨウ化リチウム濃度は0.1モル/リットル、同じく4−t−ブチルピリジン濃度は0.5モル/リットル、同じく1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド濃度は0.6モル/リットル)を含浸させた。最後に、対極である白金蒸着ガラスを重ね合わせ、導電性基板、光増感色素を吸着させた半導体微粒子層、並びに該導電性基板の対極が積層され、導電性基板と対極との間に電解液が含浸された、光電気化学電池を得た。このようにして作製した光電気化学電池について、IPCE(incident photon-to-current efficiency)測定装置(分光計器製)を用いてIPCEを測定した。
実施例1で得た光電変換素子のIPCEを表6に示す。
化合物(III-3)の代わりに化合物(III-9)を用いた以外は、製造例1と同様に反応、後処理、精製を行い、化合物(I-4)を得た。
得られた固形物はESI-MSにより目的化合物(I-4、分子量 926)であることを確認した。
化合物(I-4) ESI-MS(m/z)
m/z= 926 M+
m/z= 868 脱NCS体[M-NCS]+
光増感色素として、化合物(I-2)の代わりに、化合物(I-4)を用いた以外は、実施例1と同様にして光電気化学電池を得た。次いで、IPCEを実施例1と同様にして測定した。結果を表6にまとめた。
化合物(III-3)の代わりに化合物(III-50)を用いた以外は、製造例1と同様に反応、後処理、精製を行い、化合物(I-19)を得た。
得られた固形物はESI-MSにより目的化合物(I-19、分子量 1045)であることを確認した。
化合物(I-19) ESI-MS(m/z)
m/z= 1045 M+
m/z= 987 脱NCS体[M-NCS]+
光増感色素として、化合物(I-2)の代わりに化合物(I-19)を用いた以外は、実施例1と同様にして光電気化学電池を得た。次いで、IPCEを実施例1と同様にして測定した。結果を表6にまとめた。
化合物(III-3)の代わりに化合物(III-37)を用いた以外は、製造例1と同様に反応、後処理、精製を行い、化合物(I-17)を得た。
得られた固形物はESI-MSにより目的化合物(I-17、分子量 894)であることを確認した。
化合物(I-17) ESI-MS(m/z)
m/z = 894 M+
m/z = 836 脱NCS体[M-NCS]+
光増感色素として、化合物(I-2)の代わりに化合物(I-17)を用いた以外は、実施例1と同様にして光電気化学電池を得た。次いで、IPCEを実施例1と同様にして測定した。結果を表6にまとめた。
光増感色素として、化合物(I-4)の代わりにカルボキシル基の一方がテトラn−ブチルアンモニウム塩を形成している化合物(I-4')を用いた以外は、実施例1と同様にして光電気化学電池を得た。次いで、IPCEを実施例1と同様にして測定した。結果を表6にまとめた。
光増感色素として、cis-ビス(イソチオシアネート)ビス(2,2'-ビピリジル-4,4'-ジカルボキシレート)-ルテニウム(II)(化合物(1))を用いた以外は、実施例1と同様にして光電気化学電池を得た。次いで、IPCEを実施例1と同様にして測定した。結果を表6にまとめた。
2 導電層
3 半導体粒子層
4 光増感色素
5 電解液
6 導電層
7 基板
8 導電性基板
9 対極
10 封止剤
Claims (21)
- 式(II)で表される配位子及び式(III)で表される配位子が金属原子に配位してなる錯体化合物(I)。
[式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、不飽和炭化水素基と芳香環を含有する基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、プロトン供与性基の塩またはプロトン供与性基を表し、R1及びR2の少なくとも一方はプロトン供与性基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に、プロトン非供与性基を表し、R3及びR4は互いに結合していてもよく、A及びBはそれぞれ独立に周期表第14、15又は第16族の元素を含む基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、a、b、c及びdは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、a+b≧1である。] - 中心原子が金属原子であり、配位子の1つが式(II)で表される配位子であり、配位子の別の1つが式(III)で表される配位子である錯体化合物(I)。
[式中、Y1及びY2は、それぞれ独立に、不飽和炭化水素基と芳香環を含有する基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、プロトン供与性基の塩またはプロトン供与性基を表し、R1及びR2の少なくとも一方はプロトン供与性基であり、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子またはプロトン非供与性基を表し、R3及びR4は互いに結合していてもよく、A及びBはそれぞれ独立に周期表第14、15又は第16族の元素を含む基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、a、b、c及びdは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表し、a+b≧1である。] - R1及びR2が、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スクアリン酸基、リン酸基、ホウ酸基及びケイ酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロトン供与性基またはその塩である請求項1又は2に記載の錯体化合物(I)。
- R1及びR2がカルボキシル基の塩またはカルボキシル基である請求項1〜3に記載の錯体化合物(I)。
- カルボキシル基の塩が、カルボキシル基の4級塩である請求項1〜4のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- R3及びR4が、水素原子であるか、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールアルキルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシアルキル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキル基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数7〜20のアリールアルキルチオ基、炭素数7〜20のアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、および、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で2置換されたアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1〜5のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- R3及びR4が、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である請求項1〜6のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- R3及びR4が、炭素数1〜20のアルコキシ基である請求項1〜6のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- R1及びR2が、Arと結合している請求項9に記載の錯体化合物(I)。
- Arがチオフェンでpが1である請求項10に記載の錯体化合物(I)。
- −(A)m−、及び−(B)n−が、それぞれ独立に、−S−、−O−、−SO−、−SO2−、−PR5−、−NR5−、−Si(R5)(R6)−および−Se−からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す請求項1〜11のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- −(A)m−、及び/又は−(B)n−が、−S−である請求項1〜12のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- a+b=2及びc+d=2である請求項1〜13のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- m=0、n=1である請求項1〜14のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- m=0、n=0である請求項1〜14のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- 金属原子が、Fe、RuまたはOsである請求項1〜17のいずれかに記載の錯体化合物(I)。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の錯体化合物(I)を含む光増感色素。
- 請求項19に記載の光増感色素を吸着させた半導体微粒子層を含む光電変換素子。
- 請求項20に記載の光電変換素子、電荷移動層及び対極を含む光電気化学電池。
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