JP4373597B2 - 揺動内接噛合遊星歯車機構及び角度伝達誤差低減方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の外歯歯車が組み込まれた揺動内接噛合遊星歯車機構に関するものであり、特に、回転動力を伝達する際の角度伝達誤差(角速度の変動)を低減させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、第1軸と、該第1軸に設けた偏心体を介してこの第1軸に対して偏心回転可能な状態で取付けられた複数枚の外歯歯車と、該複数枚の外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、外歯歯車に該外歯歯車の自転成分のみを伝達する手段を介して連結された第2軸と、を備えた揺動内接噛合遊星歯車機構が広く知られている。なお、このように外歯歯車を複数枚にしてあるのは、伝達できるトルク容量を増大させるためである。
【0003】
2枚の外歯歯車を採用した従来例を図12及び図13に示す。この従来例は、前記第1軸1を入力軸、第2軸2を出力軸とすると共に、内歯歯車10を固定することによって上記機構を「減速機」に適用したものである。
【0004】
入力軸1には所定位相差(この例では180°)をもって偏心体3a、3bが嵌合されている。なお、偏心体3aと3bは一体化されている。それぞれの偏心体3a、3bには軸受4a、4bを介して外歯歯車5a、5bが取付けられている。この外歯歯車5a、5bには内ローラ孔6a、6bが複数個設けられ、内ピン7及び内ローラ8が嵌合されている。
【0005】
前記外歯歯車5a、5bの外周にはトロコイド歯形等の外歯9が設けられている。この外歯9はケーシング12に固定された内歯歯車10と内接噛合している。内歯歯車10の内歯は具体的には外ピン11がピン溝13に遊嵌され、回転し易く保持された構造とされている。
【0006】
前記外歯歯車5a、5bを貫通する内ピン7は、出力軸2に固着又は嵌入されている。
【0007】
入力軸1が1回転すると偏心体3a、3bが1回転する。この偏心体3a、3bの1回転により、外歯歯車5a、5bも入力軸1の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯歯車10によってその自転が拘束されるため、外歯歯車5a、5bは、この内歯歯車10に内接しながらほとんど揺動のみを行うことになる。
【0008】
今、例えば外歯歯車5a、5bの歯数をN、内歯歯車10の歯数をN+1とした場合、その歯数差は1である。そのため、入力軸1の1回転毎に外歯歯車5a、5bはケーシング12に固定された内歯歯車10に対して1歯分だけずれる(自転する)ことになる。これは入力軸1の1回転が外歯歯車の−1/Nの回転に減速されたことを意味する。
【0009】
この外歯歯車5a、5bの回転は内ローラ孔6a、6b及び内ローラ8の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが内ローラ8及び内ピン7を介して出力軸2へと伝達される。
【0010】
ここにおいて、内ローラ孔6a、6b及び内ピン7(内ローラ8)は「等速度内歯車機構」を形成している。
【0011】
この結果、減速比−1/Nの減速が達成される。なお、この減速比を一般的に表現すると、減速比I=−(内歯の数−外歯の数)/(外歯の数)となる。
【0012】
なお、この従来例では、揺動内接噛合遊星歯車機構の内歯歯車10を固定し、第1軸1を入力軸、第2軸2を出力軸としていたが、第2軸2を固定し、第1軸1を入力軸、内歯歯車10を出力軸とすることによっても減速機を構成可能である。更に、これらの入出力を逆転させることにより、増速機を構成することも可能である。
【0013】
ところで、このように2枚の外歯歯車5a、5bを備え、且つ内歯と外歯の歯数差が「1」となる揺動内接噛合遊星歯車機構を設計・製作する際においては、外歯歯車5a、5bの歯数は奇数に設定され、又、この外歯歯車5a、5bは2枚の素材を重ねた状態で、外歯9及び内ローラ孔6a、6b等が同時加工(同一のチャッキングでまとめて加工)されることによって、2枚まとめて製造されるのが一般的である。そして更に、このように製造された2枚の外歯歯車5a、5bは、その一方のみを180度相対回転させて偏心体3a、3bに組み込まれ、内歯歯車10と噛合させられる。
【0014】
このようにするのは、揺動内接噛合遊星歯車機構においては以下の2つの条件を満たす必要があると一般的に考えられていたからである。
【0015】
(1)2枚の外歯歯車5a、5bの噛み合い状態を一致させる。つまり図14に模式的に示されるように、一方の外歯歯車5aが外歯9の間(つまり「谷」T)で噛み合っている状態の場合、他方の外歯歯車5bも「谷」Tで噛み合っているようにする。
【0016】
(2)一対の内ローラ孔6a、6bに対して1つの内ピン7及び内ローラ6を挿入するために、これらの内ローラ孔6a、6bの位相が一致していなければならない。
【0017】
例えば(1)の条件を満たすためには、内歯歯車10の歯数を偶数(外歯歯車の枚数2の倍数)に設定しなければならない。これは、図14に示したように、内歯歯車10の特定の外ピン11aに対する180度反対側に、同じように外ピン11bを用意しておかなければ、2枚の外歯歯車5a、5bの噛合状態を一致させることが出来ないからである。その結果歯数差が「1」の場合、外歯歯車5a、5bの歯数を奇数(偶数−1)に設定せざるを得ない。
【0018】
従って、外歯の歯数が奇数となる以上、特定の「谷」Tに対する180度反対側には外歯9(点線参照)が必ず存在する。その結果、(2)の条件を満たすことを含めて、外歯歯車5a、5bの一方を180度相対回転させた状態で偏心させ、内歯歯車10に組み込まなければならない。
【0019】
なお、特開昭60−260737号公報、あるいは米国特許3129611号等には平行軸歯車によって第1段の減速を行った後に、複数の偏心体軸を介して外歯歯車を揺動回転させるタイプの揺動内接噛合遊星歯車機構が提案されているが、入力軸の回転が複数本の偏心体軸に等しく減速分配されることを除いては、既に図12及び図13で説明した揺動内接噛合遊星歯車機構と殆ど同じ構造となっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、インボリュート系歯形は、噛み合う歯車の中心間距離に誤差があっても(該中心間距離が固定されている限り)入力・出力回転速度比は設定値からずれることはないが、トロコイド歯形等のサイクロイド系歯形においては、中心間距離に誤差があると速度比が設定値から周期的にずれてしまうのが大きな特徴の1つとされている(例えば日刊工業新聞社、仙波正荘著、「歯車」第1巻17頁)。
【0021】
揺動内接噛合遊星歯車機構においては、上述したように、その外歯歯車5a、5bがトロコイド歯形等のサイクロイド系歯形で構成されている。従って、内歯歯車10及び外歯歯車5a、5bのピッチ円中心間の距離に設計値に対する誤差があると、運転によってこの誤差が1回転毎に変動することにより、角度伝達誤差(入力回転角と出力回転角の理論値からのずれ)が周期的に現れ、これが回転方向の加振力の一因となるという問題があった。
【0022】
特に、2枚の外歯歯車5a、5bを同時加工によって製造した場合、設計値からの誤差の位相方向が双方の外歯歯車5a、5bで一致してしまう。この外歯歯車5a、5bの一方を180度回転させて組み込んだ場合、同時加工された外歯9が同時に内歯歯車10と噛み合うことになり、図15に示されるように、外歯歯車5aの角度伝達誤差Aと外歯歯車5bの角度伝達誤差Bが重畳され、大きな角度伝達誤差C(=A+B)となって現れるという問題があった。
【0023】
この問題に関連するものとして特開平6−241283号公報で提案されている技術が存在する。これは、歯数差が「1」であるという従来の一般的な考え方を覆し、「歯数差を外歯歯車の枚数の整数倍」としたものである。外歯歯車が複数枚であることが本技術の前提なので、この提案では歯数差は常に2以上となっている。
【0024】
例えば図16に示されるように、2枚の外歯歯車305a、305bで考えた場合、内歯歯車310と外歯歯車305a、305bとの歯数差が「2」の整数倍、即ち偶数に設定され、そもそも内歯311の歯数は偶数であることから、外歯歯車305a、305bの各々の歯数も偶数に設定される。
【0025】
この条件で2枚の外歯歯車305a、305bを重ねた状態で、それぞれの外歯309及び各外歯歯車を貫通する孔(例えば内ローラ孔)を加工すると共に、各外歯歯車305a、305bをそれぞれの偏心方向(180度反対方向)に単にずらし、「回転させることなく」組み込むようにする。
【0026】
このようにすると、2枚の外歯歯車305a、305bにおける同時に加工された外歯の噛合タイミングが180度がずれることになるので、各外歯歯車305a、305bの角度伝達誤差が打ち消し合うように作用し、全体として偏心体軸1回転当り1回の角度伝達誤差を低減できる。
【0027】
しかしながら、この特開平6−241283号公報でも指摘されているように、この技術は従来一般的であった「歯数差=1」という考えを覆した結果得られたものである。
【0028】
従って、揺動内接噛合遊星歯車構造の減速比IはI=−(歯数差)/(外歯の数)となることから、外歯歯車5a、5bの外歯の数を一定と考えた場合、歯数差を「2」にすると歯数差「1」の場合と比較して、得られる減速比が半減する(数値としては2倍となる)という問題があった。
【0029】
つまり、角度伝達誤差を低減させた上で従来と同等の減速比を得るには、外歯歯車5a、5bの歯数を2倍以上に増やす(これは外歯歯車が大きくなることを意味する)ことで従来通りの減速比を確保するか、或いは他の減速機構と組み合わせで2段減速以上の構成にしなければならず、結局、サイズアップや複数段減速等の他の要因で角度伝達誤差が増大してしまう可能性を有していた。
【0030】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い増減速比と角度伝達誤差の低減が両立された、優れた伝達特性を有する揺動内接噛合遊星歯車機構を得ることを目的としている。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1軸と、該第1軸に対して、偏心体を介し互いに360/X(度)(X:2以上の整数)の位相差を有して偏心揺動回転するX枚の外歯歯車と、該外歯歯車と内接噛合する内歯歯車と、前記X枚の外歯歯車の各々に形成される内ピン孔に該X枚分まとめて遊嵌する内ピンを有して前記外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備えるX枚式の揺動内接噛合遊星歯車機構において、前記内歯歯車を、前記X枚の外歯歯車のそれぞれに対応するようにX枚用意し、前記X枚の外歯歯車の歯数をそれぞれX*n(n:整数)に設定すると共に、前記X枚に用意された内歯歯車の理想歯数をそれぞれ(X*n)+1に設定し、前記X枚の内歯歯車を互いに1/X歯分だけ位相をずらして配置し、X枚の素材を重ねた状態で外歯を同時加工して製造された前記X枚の外歯歯車を、該X枚の内歯歯車に対して回転させることなく各偏心方向に移動させて組み込むようにして、上記目的を達成するものである。
【0032】
本発明者は、外歯歯車と内歯歯車の歯数差を「1」とした状態で、角度伝達誤差を低減させることについて詳細に検討した結果、「複数枚の外歯歯車が1つの内歯歯車(の内歯)を共有する」という従来の考えを払拭して複数枚の内歯歯車を用意することに着目した。そして、外歯の歯数を外歯歯車の枚数Xの整数倍に設定し、それより1だけ歯数の多いX枚の内歯歯車を、1/X歯分だけ互いに位相をずらして設けるようにした結果、X枚の外歯歯車をそれぞれ最大偏心方向に非回転状態でスライドさせて組み込むことが出来るようになった。
【0033】
この結果、従来の2枚以上の歯数差に限って実現されていた角度伝達誤差の低減を、1枚歯数差において達成することが可能となり、コンパクト且つ高増減速比を維持した状態で精密な回転速度制御が可能な揺動内接噛合遊星歯車機構を得ることが出来る。
【0034】
具体的に外歯歯車の枚数Xが3となる場合について図1を参照して説明する。
【0035】
本発明では、第1〜第3外歯歯車A、B、Cに対応するように内歯歯車が3枚(第1〜第3:H、I、J)が用意される。第1〜第3外歯歯車A、B、Cの歯数はそれぞれ3*n(n:整数)つまり3の倍数に設定され、第1〜第3内歯歯車H、I、Jの歯数は(歯数差が「1」であることから)それぞれ(3*n)+1に設定される。
【0036】
更に第1〜第3内歯歯車H、I、Jは、互いに1/3歯分だけ位相をずらして配置される。例えば、第1内歯歯車Hを1/3歯分(角度α)だけ回転させたと仮定すれば、それは第2内歯歯車Iに一致し、この第2内歯歯車Iを1/3歯分(β:αと一致)だけ回転させたと仮定すれば、それは第3内歯歯車Jと一致することになる。
【0037】
外歯歯車A、B、Cは、3枚の素材を重ねた状態で外歯を同時加工することによって製造されており、この3枚の外歯歯車A、B、Cが、3枚の内歯歯車H、I、Jに対して回転させることなく各最大偏心方向に移動(スライド)されて組み込まれる。実際にこのようにすれば、3枚の外歯歯車A、B、Cと3枚の内歯歯車H、I、Jとを確実に噛合させることが出来る。
【0038】
この結果、同時加工された外歯が同時に噛み合うことが無く、120度の位相差を有して噛み合うことになるので、図2に示されるように、各外歯歯車A、B、Cの角度伝達誤差が互いに打ち消し合うように作用し、回転方向の振動を低減させることが出来る。又、3枚の外歯歯車A、B、Cの噛合状態も一致させることが出来るようになる。
【0039】
なお、X枚の外歯歯車を同時加工する際には、上記内ピンが挿入される内ピン孔(これは、内ピンに内ローラが被覆されている場合には内ローラ孔とも呼ばれる)、及び偏心体が挿入される偏心体孔も同時加工しておくことが好ましい。
【0040】
ところで、本第1発明ではX枚の内歯歯車を用意しなければならず、部品点数が増加するという点で、出来る限り部品を共有化して簡潔な構造にすることが好ましい。従って望ましくは、X枚の内歯歯車が、筒状の単一の共通内歯枠と、該共通内歯枠の内周面に形成される(全理想歯数分とは限らない。この点については後述する)ピン溝と、各内歯歯車ごとに別個に設けられ、各内歯歯車の歯を構成し、前記ピン溝によって保持される外ピンと、を備えて一体的に構成されているようにする。
【0041】
このようにすると、実際に内歯歯車を提供する役目を有している外ピン自体を共有することは勿論出来ないが、この外ピンを保持する共通内歯枠を共有することが出来るようになり、構造を簡潔にすることが出来る。この場合、共通内歯枠にX枚分のピン溝が形成されることから、X枚の内歯歯車の同軸度を高めることが出来る。
【0042】
又このように内歯枠を共有する際、各内歯歯車の外ピンの数が前記理想歯数より少なくされ、一体的に構成される前記X枚の内歯歯車を軸方向から視た場合、前記X枚分の内歯歯車の前記外ピンが互いに干渉しない位置に各内歯歯車の外ピンを配設することが好ましい。
【0043】
X枚の内歯歯車の内歯(外ピン)が軸方向から視て実際に干渉していたとしても、外ピン自体は内歯歯車毎に独立しているので構造上全く問題とならない。
【0044】
しかし、加工の便宜の観点から、カッタを逃がすようにして、共通内歯枠の軸方向両端に至るまでピン溝を形成したいという要請があり、その際にピン溝が上記干渉状態であると、外ピンを保持できる程度に深い溝を形成することが困難となる。
【0045】
この場合、上記発明のようにすれば複数の内歯歯車同士でピン溝が干渉しないで済むので、総てのピン溝を共通内歯枠の軸方向両端に至るまで形成することが出来るようになる。これは、1つのカッタで総てのピン溝をまとめて形成することが出来ることにも繋がり、各内歯歯車の同軸度が更に高められると共に製造コストも低減させることが出来る。なお、内歯歯車の内歯の歯数が比較的少なく、そもそも複数の内歯歯車の間で外ピンが干渉していない場合には上記の問題は生じない。
【0046】
又、一般的には、前記外歯歯車の枚数Xが2又は3のいずれかに設定されていることが多く、その場合に上記発明を適用することが望ましい。
【0047】
更に、上記共通内歯枠を採用する際に、外ピン又はピン溝の干渉を具体的に防止するには、例えば前記Xが2とされて、前記外歯歯車を第1外歯歯車及び第2外歯歯車の2枚によって構成すると共に、前記内歯歯車を第1及び第2内歯歯車の2枚によって構成し、前記第1及び第2外歯歯車の歯数を2*(3m+1)(m:正の整数)に設定すると共に、前記第1及び第2内歯歯車の理想歯数を共に2*(3m+1)+1=6m+3に設定し、更に、該第1及び第2内歯歯車を一体的に構成可能とする前記共通内歯枠に、該第1及び第2内歯歯車の理想歯数を合計した総理想歯数2*(6m+3)に対して3分の1に省略された2*(2m+1)個の前記ピン溝を、周方向に等間隔で形成し、第1内歯歯車の理想歯数(6m+3)に対して3分の1に省略された2m+1個の第1外ピン群と、第2内歯歯車の理想歯数(6m+3)に対して3分の1に省略された2m+1個の第2外ピン群を、該第1、第2内歯歯車の歯として前記2*(2m+1)個の前記ピン溝を交互に用いて配設することが好ましい。
【0048】
2枚の外歯歯車(歯数は2の倍数)を2枚の内歯歯車にそれぞれ組み込む場合、各内歯歯車の内歯の理想歯数は奇数(2の倍数+1)となる。従って、2枚の内歯歯車の理想歯数の合計(これを総理想歯数という)は、奇数の2倍で偶数となり、この総理想歯数分の総てのピン溝を共通内歯枠の内周面に形成するとピン溝が干渉する可能性がある。
【0049】
既に説明したようにピン溝及び外ビンを適宜省略すれば(即ちピン溝をまびけば)干渉を回避できるが、例えば、総理想歯数のピン溝を一本おきに省略すると、第1内歯歯車の第1外ピン群用のピン溝が総て残り、第2内歯歯車の第2外ピン群用のピン溝が零となる状況が起こりうる。
【0050】
本発明では、各内歯歯車の理想歯数が3の倍数に設定されるので総理想歯数も3の倍数となり、この総理想歯数を3分の1に省略(つまり外ピン3本中の2本を省略)してピン溝が形成されるので、確実且つ全周に亘って等間隔に間引くことが可能になり、第1外ピン群と第2外ピン群のピン溝が交互に残ることになる。その点で、第1及び第2外歯歯車の噛み合い状態の均一化が図られ、角度伝達誤差を小さく維持することが出来るようになる。
【0051】
又、複数の内歯歯車の間でのピン溝の干渉が回避された場合には、このピン溝の総てが内歯枠の軸方向両端にまで達しているように加工することが望ましい。
【0052】
なお、上記の基本思想は角度伝達誤差の低減方法として捉えることも可能であり、例えば、前記X枚の外歯歯車の歯数をそれぞれX*n(n:整数)に設定すると共に、該X枚の外歯歯車の各々と噛合するX枚の前記内歯歯車の理想歯数を(X*n)+1に設定し、且つ、前記X枚の内歯歯車を互いに1/X歯分だけ位相をずらして配置し、X枚の素材を重ねた状態で外歯を同時加工して製造された前記X枚の外歯歯車を、前記X枚の内歯歯車に対して回転させることなく各偏心方向に移動させて組み込むようにすればよい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0054】
図3に、本発明の第1実施形態に係る揺動内接噛合遊星歯車機構が採用された減速装置100を示す。なお、ここでは、第1軸を入力軸、第2軸を出力軸とすると共に、内歯歯車を固定することによって揺動内接噛合遊星歯車機構を「減速機構」として適用したものである。
【0055】
減速装置100は、第1軸である入力軸101と、この入力軸101に対して偏心体103a、103bを介し互いに360/2(度)の位相差を有して偏心揺動回転する第1及び第2外歯歯車105a、105bと、第1及び第2外歯歯車105a、105bのそれぞれと内接噛合する第1及び第2内歯歯車110a、110bと、外歯歯車105a、105bの自転成分と同期可能な第2軸である出力軸102と、を備える。
【0056】
偏心体103a、103bは、入力軸101に所定位相差(この例では180°)をもって一体的に設けられている。それぞれの偏心体103a、103bは軸受104a、104bを介して、第1及び第2外歯歯車105a、105bの偏心体孔113a、113bに挿入され、その結果、第1及び第2外歯歯車105a、105bが偏心体103a、103bに対して回転自在となっている。
【0057】
第1及び第2外歯歯車105a、105bの各々には内ローラ孔(内ピン孔)106a、106bが形成されており、この双方に対して、出力軸102に設けられる内ピン107及び内ローラ108がまとめて遊嵌している。この内ピン107及び内ローラ108が介在することで、外歯歯車105a、105bの自転と出力軸102の回転とが同期している。なお、内ピン107の一端は、出力軸102に固着又は嵌入され、他端はリング状のフランジ部材116に保持されている。
【0058】
外歯歯車105a、105bの外周にはトロコイド歯形等の外歯109が形成されており、この外歯109が内歯歯車110a、110bと内接噛合している。
【0059】
具体的に内歯歯車110a、110bは、円筒状の共通内歯枠120と、この共通内歯枠120の内周面に形成されるピン溝122と、このピン溝122に遊嵌状態で設置される外ピン111a、111bと、を備えており、この外ピン111a、111bが回転し易く保持されている。又、共通内歯枠120は特に図示しない外部部材に固定されるようになっている。
【0060】
入力軸101が1回転すると偏心体103a、103bが1回転する。この偏心体103a、103bの1回転により、外歯歯車105a、105bが入力軸101の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯歯車110a、110bによってその自転が拘束されるため、外歯歯車105a、105bは、この内歯歯車110a、110bに内接しながら微小な自転を含んだ揺動を行うことになる。この微少な自転が、内ピン107を介して出力軸102に伝達されることにより、所望の減速を得ることができる。
【0061】
次に、外歯歯車105a、105bと内歯歯車110a、110bの歯数等について詳細に説明する。
【0062】
図4及び図5に示されるように、第1及び第2外歯歯車105a、105bの歯数はそれぞれ2*n(n:整数であり、ここでは40。歯数は「80」となる)に設定される。歯数差「1」を得ようとすれば、第1及び第2内歯歯車110a、110bの理想歯数はそれぞれ(2*n)+1=81(n=40)に設定される。なお、内歯歯車110a、110bに関して「理想歯数」と表現するのは、実際には図4又は図5のように理想歯数分の外ピン111a、111bが配設されるわけではなく、理想歯数より少ない状態で設置されるからである(後述)。つまり、この図4及び図5は実際の状態ではなく、仮想的な状態を示している。
【0063】
ところで図4と図5とを比較すれば明らかなように、第1及び第2内歯歯車110a、110bは、互いに1/2(1/外歯歯車の枚数)歯分だけ位相がずらされて配置される。具体的な位相のずれα(度)は、内歯の数が81であることからα=(360/81)×(1/2)である。即ち、第1内歯歯車110aを角度αだけ回転させると第2内歯歯車110bの内歯の位相と一致する。
【0064】
又、第1及び第2外歯歯車105a、105bは、2枚の素材を重ねた状態で、外歯109、内ピン孔106a、106b及び偏心体孔113a、113bが同時加工されて製造されている。従って、切削加工上の誤差は、第1及び第2外歯歯車105a、105bで殆ど一致している。この第1及び第2外歯歯車105a、105bは、回転させることなく各偏心方向E1、E2に移動させられた状態(即ち平行離反させられた状態)で第1及び第2内歯歯車110a、110bに組み込まれる。
【0065】
従って、歯数が偶数となる2枚の外歯歯車105a、105bを単にずらして組み込んだだけなので、外歯の噛み合い状態が双方で一致している。つまり、第1外歯歯車105aが外歯109の間(つまり「谷」T)で噛み合う状態の場合、第2外歯歯車105bも「谷」Tで噛み合うことになる。
【0066】
又同様に、同時加工された一対の内ローラ孔106a、106bも位相が一致していることになり、これらに対して1つの内ピン107及び内ローラ108をまとめて挿入することができる。この結果、出力軸102と外歯歯車105a、105bの自転が同期する。
【0067】
次に外ピン111の省略(まびき)について説明する。
【0068】
繰り返しになるが、図4及び図5は実際の状態ではなく、第1及び第2内歯歯車110a、110bの理想歯数(81)と、第1及び第2内歯歯車110a、110bの内歯の位相関係を説明するために便宜上提示したものである。図4及び図5の状態を仮に重ね合わせた場合を考えると図6のようになり、第1外ピン群(斜線でしめす)111aと第2外ピン群111bとが(見た目では)干渉していることが解る。
【0069】
そこで、実際には図7に示すように外ピン111a、111b及びピン溝122が省略(まびき)されている。
【0070】
第1及び第1内歯歯車110a、110bの理想歯数は81であったが、この理想歯数81は6m+3(m:13)という3の倍数として考えることが出来る。これは、第1及び第2外歯歯車105a、105bの外歯の数80が2*(3m+1)(m:13)という条件を考慮して設定されているからである。
【0071】
更に、第1及び第2内歯歯車110a、110bを一体的に構成する共通内歯枠120には、この第1及び第2内歯歯車の理想歯数を合わせた総理想歯数2*(6m+3)=162に対して3分の1に省略された2*(2m+1)=54個のピン溝122が、周方向に等間隔で形成される。この際、既に述べたように内歯歯車110a、110bの理想歯数は3の倍数であったことから、3分の1に省略しても余りが発生することが無く、ピン溝122を均等間隔で形成することが出来る。特に、図8に模式的に示されるように、ピン溝122が円筒状の共通内歯枠120の軸方向両端に至るまで形成することが好ましい。その際には、1つの切削カッタ124によって、第1及び第2外ピン群111a、111b用のピン溝122を区別することなくまとめて形成すると、高精度且つ低コストで共通内歯枠120を製造することが出来る。
【0072】
その状態で、図9に示されるように、第1内歯歯車110aの理想歯数6m+3=81に対して3分の1に省略された2m+1=27個の第1外ピン群111aと、第2内歯歯車110bの理想歯数6m+3=81に対して3分の1に省略された2m+1=27個の第2外ピン群111bとが、上記2*(2m+1)=54個のピン溝122を交互に利用するようにして配設されている。なお、第1及び第2外ピン群111a、111bの間には、相互に外ピン群111a、111bが移動してしまうことを防止するために、規制リング126が挿入されている。
【0073】
この結果、図7に戻って、一体的に構成される第1及び第2内歯歯車110a、110bを軸方向から視た場合、2枚分の内歯を構成する外ピン111a、111bが、互いに干渉しない程度に省略されていることになる。
【0074】
なお、外歯歯車105a、105bの歯数が80、内歯歯車110の理想歯数が81であるので、その歯数差は1である。そのため、入力軸101の1回転毎に第1及び第2外歯歯車105a、105bは外部部材に固定される第1及び第2内歯歯車110a、110bに対して1歯分だけずれる(自転する)。従って、実際の外ピン(内歯)111a、111bの数は3分の1(27)に省略されているにも拘らず、入力軸101の1回転が外歯歯車105a、105bの−1/80の回転に減速される。この外歯歯車105a、105bの回転は、内ローラ孔106a、106bと内ローラ108の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが内ピン107を介して出力軸102へと伝達される。
【0075】
この減速装置100では、第1及び第2外歯歯車105a、105bにおいて同時加工された外歯109が、内歯歯車110a、110bに対して同時に噛み合うことが防止される。具体的には、同時加工された外歯109は、位相が180度ずれたタイミングで噛み合うことになる。従って、図10に模式的に示されるように、第1外歯歯車105aと第1内歯歯車110aの噛み合いによっ生じる角度伝達誤差Aと、第2外歯歯車105bと第2内歯歯車110bの噛み合いによって生じる角度伝達誤差Bとが、互いに半周期(180度)分だけ位相がずれて互いに打ち消し合うように作用し、全体としての角度伝達誤差C(=A+B)を大幅に低減させることが出来る。
【0076】
しかも、この角度伝達誤差の低減を、1枚歯数差の状態で達成することが可能となり、コンパクト且つ高減速比(2枚歯数差と比較して2倍の減速)を維持した状態で精密な回転速度制御が可能な揺動内接噛合遊星歯車機構を得ることが出来る。
【0077】
又、第1及び第2内歯歯車110a、110bを構成する第1及び第2外ピン群111a、111bが、単一の共通内歯枠120によって保持されるので、減速装置100の内部構造を簡潔にすることが出来る。更に、共通内歯枠120に形成される複数のピン溝122が1つのカッタ124によって切削形成されるので、第1及び第2内歯歯車110a、110bの同軸度を高めることが出来る。
【0078】
更に、上記のようにピン溝122及び外ピン111が適度に省略されているため、カッタ124を逃がすようにしながら、共通内歯枠120にピン溝122を容易に形成することができるようになり、製造コストを低減させることが出来る。
【0079】
又、その省略(まびき)の際に、第1及び第2外ピン群111a、111bが交互且つ等間隔に残るように設定されているので、第1及び第2外歯歯車105a、105bの噛み合い状態が均等となり、角度伝達誤差を小さく維持することが出来るようになる。
【0080】
なお、この実施形態では、製造コストの低減等の観点から、ピン溝122及び外ピン111a、111bをまびいているが、第1及び第2内歯歯車110a、110bの内歯(外ピン111a、111b)が軸方向から視て実際に干渉していたとしても、外ピン111a、111b自体は各内歯歯車110a、110bで独立しているので、構造上全く問題とならない。
【0081】
例えば、図11に示される第2実施形態に係る減速装置200のように、共通内歯枠220の内周面に周方向に逃げ溝220aを形成し、この逃げ溝220aを境にして一方に第1外ピン群211a用のピン溝222を、他方に第2ピン群211b用のピン溝222を、理想歯数のままで互いに半歯分位相をずらして形成することも可能である。なお、減速装置200におけるその他の部分・部材等については、第1実施形態の減速装置100とほぼ同様であるので、各部品等に関して下二桁が同一となる符号を採用することによって、図示及び説明を省略する。
【0082】
この減速装置200のようにすると、図4及び図5に示した理想歯数のままの状態の揺動内接噛合遊星歯車構造を採用することが可能となり、外歯歯車205a、205bに対して同時に噛み合う内歯(外ピン211a、211b)の数が増し、トルク容量を増大させることが可能となる。
【0083】
なお、この第1及び第2実施形態では、第1及び第2内歯歯車が共通内歯枠によって構成されている場合を示したが、本発明はそれに限定されず、2つ以上の内歯枠が連結された構造でも構わない。又、本発明は外歯歯車が2枚の場合に限定されず3枚以上であっても良い。
【0084】
又この実施形態では、内歯歯車が固定され、第1軸を入力軸、第2軸を出力軸としていたが、第2軸を固定し、第1軸を入力軸、内歯歯車を出力軸とすることによっても減速装置を構成可能である。更に、これらの入出力を逆転させることにより増速装置を構成することも可能である。
【0085】
又、ここでは第1及び第2実施形態を示したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、これらの各部分等を適宜組み合わせた実施形態も存在し、更に、今回示した形態以外の各種実施形態も存在する。なお、明細書全文に表れてくる部材の形容(機能・形状)はあくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、揺動内接噛合遊星歯車機構の特徴である高い減速比を維持した状態で、回転方向の振動(角度伝達誤差)を低減することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するために、揺動内接噛合遊星歯車機構の一構成例を概念的に示す図
【図2】同揺動内接噛合遊星歯車機構による角度伝達誤差を模式的に示す線図
【図3】本発明の第1実施形態に係る揺動内接噛合遊星歯車機構が適用された減速装置を示す断面図
【図4】図3のIV−IV断面において、内歯が理想歯数である場合を仮想的に示した図
【図5】図3のV−V断面において、内歯が理想歯数である場合を仮想的に示した図
【図6】図4及び図5を重ねることで、内歯の干渉状態を仮想的に示した図
【図7】同減速装置の実際の内歯歯車の内歯の構成を示した図
【図8】同減速装置の共通内歯枠を部分的に示す斜視図
【図9】同共通内歯枠に外ピンが設置された状態を示す斜視図
【図10】同減速装置の角度伝達誤差を模式的に示す線図
【図11】本発明の第2実施形態に係る減速装置の共通内歯枠を部分的に示す斜視図
【図12】従来の揺動内接噛合遊星歯車機構が採用された減速装置を示す断面図
【図13】図12のXIII−XIII断面図
【図14】同揺動内接噛合遊星歯車機構の噛合状態を示す模式図
【図15】同揺動内接噛合遊星歯車機構の角度伝達誤差を示す線図
【図16】歯数差「2」の揺動内接噛合遊星歯車機構の噛合状態を示す模式図
【符号の説明】
100、200…減速装置
101…第1軸
102…第2軸
105a…第1外歯歯車
105b…第2外歯歯車
106…内ローラ孔
107…内ピン
108…内ローラ
110a、210a…第1内歯歯車
110b、210b…第2内歯歯車
111、211…外ピン
120、220…共通内歯枠
122、222…ピン溝
Claims (5)
- 第1軸と、該第1軸に対して、偏心体を介し互いに360/X(度)(X:2以上の整数)の位相差を有して偏心揺動回転するX枚の外歯歯車と、該外歯歯車と内接噛合する内歯歯車と、前記X枚の外歯歯車の各々に形成される内ピン孔に該X枚分まとめて遊嵌する内ピンを有して前記外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備えるX枚式の揺動内接噛合遊星歯車機構において、
前記内歯歯車を、前記X枚の外歯歯車のそれぞれに対応するようにX枚用意し、
前記X枚の外歯歯車の歯数をそれぞれX*n(n:整数)に設定すると共に、前記X枚用意された内歯歯車の理想歯数をそれぞれ(X*n)+1に設定し、
前記X枚の内歯歯車を互いに1/X歯分だけ位相をずらして配置し、
X枚の素材を重ねた状態で外歯を同時加工して製造された前記X枚の外歯歯車を、該X枚の内歯歯車に対して回転させることなく各偏心方向に移動させて組み込むようにした
ことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車機構。 - 請求項1において、
前記X枚の内歯歯車が、
筒状の単一の共通内歯枠と、この共通内歯枠の内周面に形成されるピン溝と、各内歯歯車ごとに別個に設けられ、各内歯歯車の歯を構成し、前記ピン溝によって保持される外ピンと、を備えて一体的に構成されている
ことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車機構。 - 請求項2において、
各内歯歯車の外ピンの数が前記理想歯数より少なくされ、
前記一体的に構成される前記X枚の内歯歯車を軸方向から視た場合、
前記X枚分の内歯歯車の前記外ピンが互いに干渉しない位置に各内歯歯車の外ピンを配設した
ことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車機構。 - 請求項3において、
前記Xが2とされて、前記外歯歯車を第1外歯歯車及び第2外歯歯車の2枚によって構成すると共に、前記内歯歯車を第1及び第2内歯歯車の2枚によって構成し、
前記第1及び第2外歯歯車の歯数を2*(3m+1)(m:正の整数)に設定すると共に、前記第1及び第2内歯歯車の前記理想歯数を共に2*(3m+1)+1=6m+3に設定し、更に、
該第1及び第2内歯歯車を一体的に構成可能とする前記共通内歯枠に、該第1及び第2内歯歯車の前記理想歯数を合計した総理想歯数2*(6m+3)に対して3分の1に省略された2*(2m+1)個の前記ピン溝を、周方向に等間隔で形成し、
第1内歯歯車の理想歯数(6m+3)に対して3分の1に省略された2m+1個の第1外ピン群と、第2内歯歯車の理想歯数(6m+3)に対して3分の1に省略された2m+1個の第2外ピン群を、該第1、第2内歯歯車の歯として前記2*(2m+1)個の前記ピン溝を交互に用いて配設した
ことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車機構。 - 第1軸と、該第1軸に対して、偏心体を介して互いに360/X(度)(X:2以上の整数)の位相差を有して偏心揺動回転するX枚の外歯歯車と、該外歯歯車と内接噛合する内歯歯車と、前記X枚の外歯歯車の各々に形成される内ピン孔に該X枚分まとめて遊嵌する内ピンを有して前記外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備えるX枚式の揺動内接噛合遊星歯車機構における回転動力の角度伝達誤差の低減方法において、
前記X枚の外歯歯車の歯数をそれぞれX*n(n:整数)に設定すると共に、該X枚の外歯歯車の各々と噛合するX枚の前記内歯歯車の理想歯数を(X*n)+1に設定し、且つ、
前記X枚の内歯歯車を互いに1/X歯分だけ位相をずらして配置し、
X枚の素材を重ねた状態で外歯を同時加工して製造された前記X枚の外歯歯車を、前記X枚の内歯歯車に対して回転させることなく各偏心方向に移動させて組み込む
ことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車機構の角度伝達誤差の低減方法。
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