JP4388677B2 - 揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1軸に対して偏心体を介して偏心揺動回転する複数枚の外歯歯車と、この外歯歯車と内接噛合する内歯歯車と、複数枚の外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備える複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置に用いられる外歯歯車に関するものであり、特に、外歯歯車の枚数が異なる装置間で、この外歯歯車を共有化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、第1軸と、該第1軸に設けた偏心体を介してこの第1軸に対して偏心回転可能な状態で取付けられた外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転成分と同期させる手段を介して連結された第2軸と、を備えた揺動内接噛合遊星歯車装置(以下揺動歯車装置という)が広く知られている。
【0003】
この装置の従来例を図11及び図12に示す。この従来例は、前記第1軸を入力軸、第2軸を出力軸とすると共に、内歯歯車を固定することによって上記装置を「減速機」に適用したものである。
【0004】
入力軸1には所定位相差(この例では180°)をもって偏心体3a、3bが嵌合されている。なお、偏心体3aと3bは一体化されている。それぞれの偏心体3a、3bには軸受4a、4bを介して2枚の外歯歯車5a、5bが取付けられている。この外歯歯車5a、5bには内ピン孔6a、6bが複数個設けられ、内ピン7及び内ローラ8が嵌合されている。
【0005】
前記外歯歯車5a、5bの外周にはトロコイド歯形や円弧歯形等の外歯9が設けられている。この外歯9はケーシング12に固定された内歯歯車10と内接噛合している。内歯歯車10の内歯は具体的には外ピン11が外ピン穴13に遊嵌され、回転し易く保持された構造とされている。
【0006】
前記外歯歯車5a、5bを貫通する内ピン7は、出力軸2のフランジ部14に固着又は嵌入されている。
【0007】
入力軸1が1回転すると偏心体3a、3bが1回転する。この偏心体3a、3bの1回転により、外歯歯車5a、5bも入力軸1の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯歯車10によってその自転が拘束されるため、外歯歯車5a、5bは、この内歯歯車10に内接しながらほとんど揺動のみを行うことになる。
【0008】
今、例えば外歯歯車5a、5bの歯数をN、内歯歯車10の歯数をN+1とした場合、その歯数差は1である。そのため、入力軸1の1回転毎に外歯歯車5a、5bはケーシング12に固定された内歯歯車10に対して1歯分だけずれる(自転する)ことになる。これは入力軸1の1回転が外歯歯車の−1/Nの回転に減速されたことを意味する。
【0009】
この外歯歯車5a、5bの回転は内ピン孔6a、6b及び内ピン7の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが該内ピン7を介して出力軸2へと伝達される。
【0010】
ここにおいて、内ローラ孔6a、6b及び内ピン7(内ローラ8)は「等速度内歯車機構」を形成している。
【0011】
この結果、結局減速比−1/Nの減速が達成される。
【0012】
なお、この従来例では、当該内接噛合遊星歯車構造の内歯歯車を固定し、第1軸を入力軸、第2軸を出力軸としていたが、第2軸を固定し、第1軸を入力軸、内歯歯車を出力軸とすることによっても減速機を構成可能である。更に、これらの入出力を逆転させることにより、増速機を構成することも可能である。
【0013】
この揺動歯車装置は、2枚の外歯歯車5a、5bが採用された「2枚式」である。このようにしたのは、単位外歯歯車の負担を軽減させることで伝達容量(定格トルク)を増大させるためである。又、外歯歯車5a、5bの位相差が180度で設定されることにより、両者の偏心重量が相殺され、極めて振動の少ない円滑な動力伝達が可能となる。
【0014】
又、ここでは2枚式の揺動歯車装置を示したが、3枚の外歯歯車を用いた3枚式揺動歯車装置も実現されており、2枚式よりも更に大きな定格トルクを得ることができる。この場合、位相差が120度の状態で3枚の外歯歯車が組み込まれ、三位一体となって互いの偏心重量が相殺されるようになっている。勿論、4枚式以上の揺動歯車装置も同様の理論の下で実現可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この複数枚式の揺動歯車装置においては、位相差等が異なる関係上、減速比が同じにもかかわらずその外歯歯車の枚数が異なる装置毎に専用の歯形設計を要していたので、製造コストが非常に高いものであった。外歯歯車の枚数を変更して定格トルクを新たに設定する場合、揺動歯車装置の総てを設計変更しなければならなかった。
【0016】
その結果、例えば相手機械との取り合い寸法を一定にした状態で、外歯歯車の枚数のみを変更して定格トルクを自由に設定するという思想も全く存在していなかった。又本発明者も、当初、そのようにすることはコストの面で現実的でないと考えていた。
【0017】
一方で、実際には、増・減速機や相手機械との取り合い寸法を一定に維持した状態で、自由に定格トルクを選定・変更できれば使用者にとって大変便利である。というのも、使用環境に応じて、外歯歯車の枚数を減らして伝達効率を優先させる場合と、外歯歯車の枚数を増やして伝達効率よりも伝達トルクを優先させる場合との双方のニーズが混在している可能性が十分に有り得るからである。
【0018】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、異なる外歯歯車枚数となる揺動内接噛合遊星歯車装置間でその外歯歯車を共有化し、容易且つ低コストに伝達トルクを切替可能とすることを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1軸と、該第1軸に対して、偏心体を介して互いに360/X(度)(X:2以上の整数)の位相差を有して偏心揺動回転するX枚の外歯歯車と、該外歯歯車よりもs個歯数が多く設定され、該X枚の外歯歯車の総てと内接噛合する内歯歯車と、前記X枚の外歯歯車の各々に形成される内ピン孔に該X枚分まとめて遊嵌する内ピンを有して前記外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備えるX枚式揺動内接噛合遊星歯車装置が、少なくとも、その外歯歯車の枚数Xがm、n(m、n:互いに異なる2以上の整数)となるm枚式及びn枚式を含むようにして複数用意された複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズであって、前記m枚式及びn枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置の前記内歯歯車の歯数が、前記m、nの最小公倍数Pの倍数Z2に設定され、シリーズ中に含まれる前記外歯歯車の歯数がZ2−sに設定されると共に、該外歯歯車の前記内ピン孔が、個数が前記Pの倍数であるZ1となるように周方向に一定の間隔を空けて形成され、該外歯歯車が、前記m枚式及びn枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置に少なくとも共用されていることにより上記目的を達成するものである。
【0020】
増減速比が一定で、定格トルクが異なる複数の揺動内接噛合遊星歯車装置(以下、揺動歯車装置という)を用意すれば、使用者がその用途に応じて適宜トルクを選択できるので大変便利である。本発明者は、そのニーズの存在を推察し、その場合に従来障害となるであろうコストの増大を、外歯歯車を共有させることで解消するようにした。
【0021】
上記の揺動歯車装置では、複数枚の外歯歯車の偏心方向の位相差が均等になることが望ましい。例えば、3枚の外歯歯車であれば、各外歯歯車が互いに120度の位相差で配設されるようにし、2枚であれば180度の位相差で配設されるようにする。このようにすると、外歯歯車の偏心重量が互いにキャンセルされ、極めて円滑な動力伝達が可能になるからである。
【0022】
しかし、従来の揺動歯車装置では、例えば120度の位相差で配置される外歯歯車と、180度の位相差で配置される外歯歯車とは全く異なるものであり、互いに共有できるものではなかった。これは、上記のように外歯歯車の枚数を「切り換える」という思想自体が従来存在しておらず、各々を専用設計していたからである。
【0023】
本発明では、外歯歯車に2と3の双方の倍数(つまり6の倍数)Z1分だけ内ピン孔が形成されるので、360/2(度)の位相差で2枚の外歯歯車を組み合わせた場合、360/3(度)の位相差で3枚の外歯歯車を組み合わせた場合の双方において、それらの外歯歯車の間で内ピン孔が一致するようになっている。
【0024】
更に、外歯歯車の歯数が、2と3の双方の倍数Z2に対して、噛合予定の内歯歯車との歯数差sを減じた量に設定される。従って、この外歯歯車と組み合わされる内歯歯車の歯数はZ2となり、確実に1枚の(歯数Z2の)内歯歯車に対して、2又は3枚の外歯歯車を各最大偏心方向に偏心させて組み込むことが出来るようになる。
【0025】
これらの条件が必要となる理由は下記の通りである。
【0026】
図1に模式的に示されるように、例えば、3枚の素材を重ねて同時加工された3枚の外歯歯車1A、1B、1Cを120度の位相差で回転させて1枚の内歯歯車2に組み込む場合、内歯歯車の内歯は120度の位相差で均等状態に配置されることが条件となる。というのも、例えば3つの外歯歯車1A、1B、1Cにおける同時加工された2つの外歯を仮にa、bとした場合、これらが均等に偏心するためには、各外歯歯車1A、1B、1Cの各外歯a、bの(内歯歯車2との)噛合状態が常に同一でなければならないからである。これを実現するには、内歯歯車2の歯数が3の倍数(Z2)であることが要求され、外歯歯車1A、1B、1C はそこから歯数差sを減じた数(Z2−s)に設定される。
【0027】
又、外形が全く同じ3枚の外歯歯車1A、1B、1Cは、外歯歯車1Aを基準にして、外歯歯車1Bは正方向Rに120度回転させられ、又外歯歯車1Cは正方向Rに240度回転させられて組み込まれる。その際に、3枚の外歯歯車1A、1B、1Cの自転成分をまとめて伝達するには、内ピンが挿入される内ピン孔3の位相が一致していなければならない。従って、内ピン孔の数も3の倍数(Z1)に設定されなければならない。
【0028】
又、図2に模式的に示されるように、例えば、同時加工された2枚の外歯歯車1A、1Bを180度の位相差で回転させて1枚の内歯歯車2に組み込む場合、内歯歯車の内歯は180度の位相差で均等状態に配置されることが必要となる。というのも上記と全く同様に、2つの外歯歯車1A、1Bが均等に偏心するためには、各外歯歯車1A、1Bの同時加工された外歯a、bの(内歯歯車2との)噛合状態が常に同一でなければならないからである。その結果、内歯歯車2の歯数は2の倍数(Z2)であることが要求され、外歯歯車1A、1Bはそれに対して歯数差sを減じた数(Z2−s)に設定される。
【0029】
又、外形が全く同じ2枚の外歯歯車1A、1Bは、外歯歯車1Aを基準にして、外歯歯車1Bが正方向Rに180度回転させられて組み込まれる。その際に、自転成分をまとめて伝達するためには、内ピン孔3が一致していなければならない。従って、内ピン孔の数も2の倍数(Z1)に設定されなければならない。
【0030】
この図1及び図2の状態を共に満足する外歯歯車を考えた場合、内ピン孔の数(Z1)が6(=2*3:*は乗算を意味する)の倍数であり、内歯歯車の歯数も6の倍数(Z2)であり、外歯歯車の歯数は「内歯歯車の歯数(Z2)−歯数差(s)」となる。
【0031】
このようにすると、外歯歯車を2枚式と3枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置に完全に共有することが出来るので、(変速比が一定で)異なる定格トルクとなる揺動内接噛合遊星歯車装置を極めて低コストで得ることが出来るようになる。又、図1及び図2からも解るように、内歯歯車の歯形も共有する事が出来るので、歯切り工具が共有化されて、装置全体で考えると更に製造コストが低減される。
【0032】
また、トルク変換の為に一般的となっている従来の手法、即ち歯厚、歯数等を変更する事によって定格トルクを変更する手法では装置サイズが大きく変化してしまう。しかし、本発明の外歯歯車の枚数を切り換える手法によれば、軸方向の寸法が(枚数変化の分だけ)変動する可能性があるものの、軸方向に対して垂直となる面(例えば入・出力側面)を一定にすることが出来、外部部材との取り合い寸法を一定に維持することが出来る。これこそ、使用者の要求である「定格トルクだけを切り換える」という思想に合致するものであり、この揺動歯車装置を機械内部に組み込む場合の設計の自由度が高められる。
【0034】
上記の内容からも明らかなように、本発明は、増減速比が一定で異なる定格トルクの揺動歯車装置をシリーズとして用意する際に大変便利である。
【0035】
なお、上記の図1及び図2を参照して説明した模式例をこのシリーズに適用した場合、mが2、nが3となる場合に相当するものである(請求項2)。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0037】
図3〜図9に、本発明の第1実施形態に係る外歯歯車が、2枚式及び3枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置(以下揺動歯車装置という)200、300に組み込まれている状態を示す。なお、基本的な構造は2枚式と3枚式で殆ど同様であることから、先ず2枚式について詳細に説明すると共に、3枚式については2枚式と異なる点について主に説明する。その際、3枚式揺動歯車装置300において、2枚式揺動歯車装置200と同一又は類似する部分・部材については下二桁をこの2枚式揺動歯車装置200と同じ符号を付することにより構成・作用等の説明は省略する。
【0038】
図3に示されるように、2枚式揺動歯車装置200は、第1軸202と、この第1軸202に対して、偏心体204a、204bを介して互いに360/2(度)の位相差を有して偏心揺動回転する2枚の外歯歯車206a、206bと、この外歯歯車206a、206bよりも1個歯数が多く設定され、2枚の外歯歯車206a、206bと内接噛合する内歯歯車208と、外歯歯車206a、206bの自転成分と同期可能な第2軸210と、を備える。
【0039】
この2枚の外歯歯車206a、206bの各々には内ピン孔212が形成されており、第2軸210が有する内ピン214及びこの内ピン214に設置される内ローラ215が、内ピン孔212を2枚分まとめて遊嵌している。従って、この遊嵌状態によって外歯歯車206a、206bの揺動成分が吸収され、自転成分のみが伝達される。その結果、第2軸210は、外歯歯車206a、206bの自転と「同期」することになる。
【0040】
この内ピン214の一端は上記第2軸210に支持されているが、他端は、保持部材216に支持されている。第2軸210と保持部材216とは連結ボルト218によって連結され、両者が一体となっている。この連結ボルト218が貫通するために、外歯歯車206a、206bには貫通孔220が形成されているが、これは上記内ピン孔212と全く異なるものであり、外歯歯車206a、206bと第2軸210とを同期させる機能を有するものではない。
【0041】
内歯歯車208は、ケーシング222に対して一体的に形成されており、このケーシング222には、2つの軸受224を介して、上記第2軸210及び保持部材216が回転自在に配設される。更に、この第2軸210及び保持部材216の内部には、2つの軸受226を介して上記第1軸202が回転自在に配設される。このように入れ子状に構成したのは、装置200全体をコンパクトにするためである。
【0042】
第1軸202が一回転すると偏心体204a、204bが一回転する。この偏心体204a、204bの回転により外歯歯車206a、206bも揺動回転しようとするが、内歯歯車208によってその自由な自転が拘束されるため、外歯歯車206a、206bは内歯歯車208に内接しながらわずかな自転を伴って殆ど揺動のみを行う。このわずかな自転成分に対して第2軸210が同期するので、高い減速比を得ることが出来る。なお、この第2軸210を入力軸、第1軸202を出力軸とした場合には、これと反対に高い増速比を得ることが出来る。勿論、内歯歯車208を入・出力要素にすることも可能である。
【0043】
次に、外歯歯車206a、206bについて、内歯歯車208との関係を含めて説明する。なお、以降に示す図において、説明の便宜上、内ピン孔212と貫通孔220とを明確に区別するために、貫通孔220については点線で示すことにする。
【0044】
外歯歯車206a、206bは3枚の素材を重ねて同時加工されて製造された中の2枚を採用したものであり、後述する3枚式の揺動歯車装置300と共有されている。図4に示されるように、内ピン孔212は、(適用される揺動歯車装置の外歯歯車の枚数に対応する)2及び3から求められる最小公倍数6(=2*3)の倍数である6個で、周方向に一定の間隔(60度)を空けて形成されている。なお、2枚の外歯歯車206a、206bの内ピン孔212に、1〜6の番号を付しておく。これは、同一番号の内ピン孔212は同時加工されたことを意味している。
【0045】
内歯歯車208の歯数についても、(適用される揺動歯車装置の外歯歯車の枚数に対応する)2及び3から求められる最小公倍数6(=2*3)の倍数の(30)に設定されており、外歯歯車206a、206b自身の歯数は、内歯歯車208の歯数(30)に対して歯数差(1)分少なく設定されて(29)となっている。
【0046】
このようにすると、内歯歯車208の内歯は、歯数が2の倍数に設定されているので、180度の位相差に位置する各内歯が、均等状態となっている。つまり、180度の位相差の一方に内歯A1が配置される場合、180度の位相差に「必ず」内歯A2が存在する。この結果、図4及び図5から明らかなように、180度の位相差で組み込まれた各外歯歯車206a、206bの最大偏心方向F1、F2の噛合状態を互いに一致させることができる。
【0047】
又、図4及び図5において、同時加工された内ピン孔212の配置からも解るように、2枚の外歯歯車206a、206bは、一方の外歯歯車206aを基準にして外歯歯車206bが正方向Rに180度回転させられて組み込まれる。その際に、内ピン孔212の数が2の倍数(6)に設定されているので、2枚の外歯歯車206a、206bの内ピン孔212の位相を一致させることができる。
【0048】
次に、図6を参照して3枚式揺動歯車装置300について説明する。
【0049】
この3枚式揺動歯車装置300においては、第1軸302に、3つ偏心体304a、304b、304cを介して3枚の外歯歯車306a、306b、306cが偏心揺動自在に配設される。各外歯歯車306a、306b、306cは、互いに360/3(度)の位相差を有しており、内歯歯車308と内接噛合している。
【0050】
この内歯歯車308は、2枚式の場合と比べ軸方向に長くなっているが、その他の寸法については2枚式の外歯歯車208と一致しており、歯数も同様の30となっている。
【0051】
外歯歯車306a、306b、306cは、2枚式の際の外歯歯車206a、206bと完全に同一のものを用いており、3枚の素材を重ねて同時加工したものである。従って、内ピン孔312は、(適用される外歯歯車の枚数に対応する)2及び3から求められる最小公倍数6(=2*3)の倍数である6とされ、同一円周上に周方向に一定の間隔(60度)を空けて形成されている。又外歯の歯数も、内歯歯車308の歯数(30)に対して歯数差(1)分少ない(29)である。
【0052】
図7〜図9に示されるように、内歯歯車308の内歯は、歯数が3の倍数となっているので、120度の位相差で均等状態に配置されている。即ち、ある位置の内歯Aに対して、120度の位相には必ず内歯Bが存在し、更に、240度の位相には必ず内歯Cが存在する。この結果、3枚の外歯歯車306a、306b、306cが120度の位相差で内歯歯車308に組み込まれると、各外歯歯車306a、306b、306cの最大偏心方向F1、F2、F3の噛合状態が全く同一となる。
【0053】
又、3枚の外歯歯車306a、306b、306cは、外歯歯車306aを基準にして、外歯歯車306bは正方向Rに120度回転させられ、又外歯歯車306cは正方向Rに240度回転させられて組み込まれる。その際に内ピン孔312の数が3の倍数の6に設定されていることから、各外歯歯車306a、306b、306cの内ピン孔312の位相が完全に一致する。なお、3枚の間で同一の番号が付されている内ピン孔312は同時加工されたものであることを意味している。
【0054】
以上のことからも明らかなように、上記の外歯歯車は、少なくとも、2枚式揺動内接噛合遊星歯車装置200、及び、3枚式揺動内接噛合遊星歯車装置300に共用可能となっている。しかも、2枚の外歯歯車の場合は、各外歯歯車を互いに180度の位相差で配設することができ、又、3枚の外歯歯車の場合は、各外歯歯車を互いに120度の位相差で配設することができる。このようにすると、外歯歯車の偏心重量が互いにキャンセルされ、極めて円滑な動力伝達が可能になる。
【0055】
又、上記の結果から、(変速比が一定で)異なる定格トルクとなる揺動内接噛合遊星歯車装置200、300を極めて低コストで得ることができるようになる。この低コスト化に関しては、内歯歯車208、308の歯形も共有することができるので、歯切り工具が統一されることも貢献している。
【0056】
又、この実施形態のように外歯歯車の枚数を切り換えて定格トルクを切り換える手法によれば、装置の軸方向Lの寸法が(枚数変化の分だけ)変動する可能性を有するものの、軸方向Lに対して垂直となる面(例えば入・出力側面)を共通形状にすることができ、2枚式又は3枚式揺動歯車装置200、300の間で外部部材との取り合い寸法を一定に維持することができる。この結果、揺動歯車装置200、300を機械内部に組み込もうとする場合の設計が容易化される。
【0057】
以上の第1実施形態においては、外歯歯車が、2枚及び3枚式揺動歯車装置200、300に適用された状態を示したが、このことからも明らかなように、定格トルクの異なる複数の揺動歯車装置をシリーズとして用意すると大変便利である。
【0058】
その1例として、図10に第2実施形態の複数枚式揺動歯車装置のシリーズを示す。このシリーズは、外歯歯車の枚数(定格トルクに対応する)が1、2、3、4枚に設定されると共に、減速比がa<b<c<dに設定され、これによって構成されるマトリックスMのセルSの一部(全部でも構わない)に対応するようにして、複数個の揺動歯車装置Y1〜Y8が用意されている。Y1〜Y8の中で、サークルT1(Y1、Y2)、T2(Y3、Y4)、T3(Y5、Y6)、T4(Y7、Y8)によって区別された組において、外歯歯車の共有化が図られるようになっている。
【0059】
例えば、減速比がbに設定された(サークルT2に属する)2つの揺動歯車装置Y3,Y4では、それぞれ、外歯歯車の枚数が2枚と3枚に設定され、そこで外歯歯車の共有化が図られている。これは、上記の第1実施形態で示したものと同様である。
【0060】
又、減速比がdに設定された(サークルT4に属する)2つの揺動歯車装置Y7,Y8では、それぞれ、外歯歯車の枚数が3枚と4枚に設定され、そこで外歯歯車の共有化が図られている。具体的には、外歯歯車の内ピン孔の数が3、4の最小公倍数12(=3*4)の倍数であるZ1に設定されると共に、内歯歯車の歯数が12の倍数であるZ2に設定され、外歯の歯数がそのZ2に対してZ2−s(s:歯数差)に設定されている。このようにすれば第1実施形態で示した場合と同様な理論により、外歯歯車を3枚式及び4枚式揺動歯車装置Y7,Y8に共用可能となる。
【0061】
このように構成されるシリーズによれば、製造コストを低く押さえた状態で、定格トルクの異なる揺動歯車装置をシリーズとして提供することが出来るので、使用者は、使用環境に応じて最適な定格トルクを(取り合い寸法は一定のままで)選択することが出来るようになる。
【0062】
なお、上記第1及び第2実施形態において、内歯歯車と外歯歯車の歯数差は特に限定されるものではないが、sが1又は2のいずれかに設定されているようにしてもよく、望ましくは1に設定する。というのも、歯数差sが1の場合は、各外歯歯車を位相差分だけ回転させて内歯歯車に組み込むだけで良いからである。
【0063】
又、上記のシリーズの概念を一般化すると、m、n(m、n:互いに異なる2以上の整数)となるm枚式及びn枚式を(少なくとも一部に)含むようにして複数枚式揺動歯車装置をシリーズとして用意する場合、m枚式及びn枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置の内歯歯車の歯数を、m、nの最小公倍数Pの倍数Z2に設定し、それに提供される外歯歯車の内ピン孔を、Pの倍数であるZ1の個数となるように、周方向に一定の間隔を空けて形成する。又、外歯歯車の歯数をZ2−s(s:歯数差)に設定すれば、この外歯歯車が、m枚式及びn枚式の揺動歯車装置に少なくとも共用することができる。
【0064】
従って、上記実施例以外にも、mが2且つnが4とされて前記内歯歯車の歯数が2、4の最小公倍数4の倍数であるZ1に設定されると共に、前記外歯歯車の前記内ピン孔の個数が4の倍数であるZ2にに設定され、該外歯歯車が、2枚式及び4枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置に少なくとも共用されているようにしても良い。
【0065】
又更に、前記mが2且つ前記nが6とされて前記内歯歯車の歯数が2、6の最小公倍数6の倍数であるZ1に設定されると共に、前記外歯歯車の前記内ピン孔の個数が6の倍数であるZ2に設定され、該外歯歯車が、2枚式、6枚式揺動内接噛合遊星歯車装置に少なくとも共用されているようにしてもよい。
【0066】
なお、以上に示した「X枚式」の揺動歯車装置は、外歯歯車を360/X(度)の位相差で組み込むことが前提となる。従って、例えば、4枚の外歯歯車を1組として、それら2組を90度の位相差で組み込んだ場合、それは2枚式の揺動歯車装置を2重構造にした事と同義であり、形式的には4枚の外歯歯車であるが本発明でいう「2枚式」揺動歯車装置の範疇に属するものである。
【0067】
以上において本発明の第1、第2実施形態を示したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、これらの各部分等を適宜組み合わせた実施形態も存在し、更に、今回示した形態以外の各種実施形態も存在する。なお、明細書全文に表れてくる部材の形容(機能・形状)はあくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる外歯歯車の枚数となる揺動内接噛合遊星歯車装置間において外歯歯車を共有化され、容易且つ低コストに定格トルクを切替ることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための外歯歯車と内歯歯車の噛み合い状態を示す模式図
【図2】本発明を説明するための外歯歯車と内歯歯車の噛み合い状態を示す模式図
【図3】本発明の第1実施形態に係る外歯歯車を2枚式揺動内接噛合遊星歯車装置に組み込んだ状態を示す断面図
【図4】図3のIV−IV断面図
【図5】図3のV−V断面図
【図6】本発明の第1実施形態に係る外歯歯車を3枚式揺動内接噛合遊星歯車装置に組み込んだ状態を示す断面図
【図7】図6のVII−VII断面図
【図8】図6のVIII−VIII断面図
【図9】図6のIX−IX断面図
【図10】本発明の第2実施形態に係る複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズ構成を示すマトリックス
【図11】従来の複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置を示す断面図
【図12】図11のXII−XII断面図
【符号の説明】
200…2枚式揺動内接噛合遊星歯車装置
300…3枚式揺動内接噛合遊星歯車装置
202、302…第1軸
204a、204b、304a、304b、304c…偏心体
206a、206b、306a、306b、306c…外歯歯車
208、308…内歯歯車
210、310…第2軸
212、312…内ピン孔
Claims (2)
- 第1軸と、該第1軸に対して、偏心体を介して互いに360/X(度)(X:2以上の整数)の位相差を有して偏心揺動回転するX枚の外歯歯車と、該外歯歯車よりもs個歯数が多く設定され、該X枚の外歯歯車の総てと内接噛合する内歯歯車と、前記X枚の外歯歯車の各々に形成される内ピン孔に該X枚分まとめて遊嵌する内ピンを有して前記外歯歯車の自転成分と同期可能な第2軸と、を備えるX枚式揺動内接噛合遊星歯車装置が、少なくとも、その外歯歯車の枚数Xがm、n(m、n:互いに異なる2以上の整数)となるm枚式及びn枚式を含むようにして複数用意された複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズであって、
前記m枚式及びn枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置の前記内歯歯車の歯数が、前記m、nの最小公倍数Pの倍数Z2に設定され、
シリーズ中に含まれる前記外歯歯車の歯数がZ2−sに設定されると共に、該外歯歯車の前記内ピン孔が、個数が前記Pの倍数であるZ1となるように周方向に一定の間隔を空けて形成され、
該外歯歯車が、前記m枚式及びn枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置に少なくとも共用されている
ことを特徴とする複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズ。 - 請求項1において、
前記mが2且つ前記nが3とされて前記内歯歯車の歯数が6の倍数であるZ2に設定されると共に、前記外歯歯車の前記内ピン孔の個数が6の倍数であるZ1に設定され、
該外歯歯車が、2枚式及び3枚式の揺動内接噛合遊星歯車装置に少なくとも共用されている
ことを特徴とする複数枚式揺動内接噛合遊星歯車装置のシリーズ。
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