JP5540442B1 - 増減速機のシリーズと増減速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】増減速機のシリーズは、低速軸部と変速機構部と高速軸部の3つの機構部から成り立ち、それぞれの部へ各ユニットおよび各部品を配置させ構成した増減速機群である。揺動内接噛合遊星歯車機構、プラネタリ型・スター型遊星歯車機構及び前記2つの遊星歯車機構を併せ持つ混合型遊星歯車機構をそれぞれの増減速機に採用して、広範囲な変速比に対応可能な増減速機群を収納した増減速機のシリーズである。
【選択図】図1
Description
遊星歯車機構を用いた増速機としては、最初に説明したプラネタリ型、ソーラ型およびスター型遊星歯車機構を採用した増減速機が一般に多く使用されている。変速1段に於ける変速比は、あまり高くはないが、確実な動力伝達が可能である利点を有している。また、この増減速機を多段変速することにより、大きな増減速比を得ることも可能となる。一方、後者の揺動内接噛合遊星歯車機構を採用した増減速機は、サイクロ減速機(商標登録)に代表されるものであり、一般的に大きな減速比を持つ減速装置として多く使用されている。増速装置として用いるには、構造的に多くの難点を有している。
しかしながら、この機構を改良して増速装置を構築した場合、低トルクの入力にて高トルクの出力を得ることは難しい。
現状では、出力側に要求されるトルクに対して、入力側のトルクは、その数倍のトルクが必要とされるが、入力側に大きな羽根を利用した風力発電には効果的であると思慮される。本願に於いては、上述の2種類の遊星歯車機構を用いた複数の増減速機とこれらの増減速機群を収納した増減速機のシリーズを開示している。
本願に使用している用語について下記のように定義付けをしている。
・揺動内接噛合型遊星歯車構造:太陽歯車である内歯歯車に遊星歯車である外歯歯車が1枚差以上で内接かみ合いをし、偏心部を有する入力軸により、遊星歯車が自転しながら公転をする遊星歯車機構を持つ構造
・プラネタリ型遊星歯車構造:遊星歯車機構に於いて、内歯歯車を固定して、太陽歯車とかみ合う遊星歯車が自転と公転を繰り返しながら、内歯歯車と内接かみ合いをする遊星歯車機構を持つ構造
・スター型遊星歯車構造:遊星歯車機構に於いて、キャリアを固定して、太陽歯車とかみ合う遊星歯車が自転をし、キャリアが公転を繰り返しながら、遊星歯車が内歯歯車と内接かみ合いをする遊星歯車機構を持つ構造
・混合型遊星歯車構造:揺動内接噛合型遊星歯車機構とプラネタリ型遊星歯車機構または、スター型遊星歯車機構を併せ持つ機構を持った構造
・低速軸:減速装置として機能した場合は出力軸に相当し、増速装置として機能した場合は入力軸に相当する軸
・高速軸:減速装置として機能した場合は入力軸に相当し、増速装置として機能した場合は出力軸に相当する軸
・増減速機:入力側および出力側を低速軸にするか、高速軸にするかにより減速機の機能と増速機の機能を併せ持つ装置
・変速比:減速機として機能する場合は減速比になり、増速機として機能する場合は増速比となる回転速度比
1) 円弧歯形を持った歯車を使用して増減速機を構成すること及び前記増減速機のシリーズ化を図ること。
特許公開文献1及び文献2にて、円弧歯形を持った歯車の特徴を開示しているところであるが、前記の文献によれば、任意の歯の大きさにて、歯車列を構成することが可能であり、歯車の歯同士による歯の干渉もないので、小数歯数の歯車のかみ合いが可能となる。従って、増減速機自体を軽量化、省力化することを目的とする。
2) 変速比(減速比および増速比)を大きくすること。
特許公開文献1及び文献2の請求項1に記載の歯車を使用して、特許公開文献3の請求項1に記載の減速機のシリーズに含まれる減速機群の各々の変速機構を増減速機に改良して応用することにより、円弧歯形を持った歯車で構成される増減速機の変速比を大きくすることを目的とする。
3) プラネタリ型およびスター型遊星歯車機構を採用した増減速機を円弧歯形を持った歯車で構築すること。
この種の増減速機は、従来技術ではインボリュート歯車にて遊星歯車機構を介して構築されている。円弧歯形を持った歯車にて遊星歯車機構を構築している増減速機は皆無であると思慮される。本願の課題の1つとして、円弧歯形を持った歯車にて、新たに遊星歯車機構を構築し、改良して増減速機として構築することを目的としている。更に、軽量で省力化が可能な増減速機を構築することを目的とするものである。
増速装置として、採用することが困難であると思慮される揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機を6種類収納している。前記揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機は、低速軸部に、内ピン穴付き低速軸部ユニット(A)または内歯歯車付き低速軸部ユニット(B)、高速軸部に内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)または内歯歯車付き高速軸部ユニット(E)を備えていることを特徴とするものである。この構造を持った増減速機は、比較的に大きな変速比を得ることが可能となる特徴を有している。
円弧歯形を持った歯車を使用してプラネタリ型遊星歯車構造を持った増減速機を4種類、スター型遊星歯車構造を持った増減速機を2種類構築することが可能となる。前記遊星歯車構造を持った増減速機は、インボリュート歯車を使用して構築されることが一般的であるが、円弧歯形を持った歯車用として新たに改良した遊星歯車構造を持った増減速機である。
更に、揺動内接噛合型遊星歯車構造、プラネタリ型遊星歯車構造およびスター型遊星歯車構造をそれぞれ併せ持った混合型として、揺動内接噛合・プラネタリ・スター型遊星歯車構造を持った増減速機を4種類構築することが可能となる特徴を有している。前記の混合型遊星歯車構造を持った増減速機は、それぞれの特徴を同時に併せ持つ増減速機である。
・ 内ピン穴付き低速軸部ユニット(A):内ピン穴付き低速軸(01)と低速軸用ケーシング(10)の部品で構成される。内ピン穴付き低速軸(01)に内ピン穴を設けたことを特徴とするものである。
・ 内歯歯車付き低速軸部ユニット(B):内歯歯車付き低速軸(02)と低速軸用ケーシング(10)の部品で構成される。内歯歯車付き低速軸(02)に内歯歯車を設けたことを特徴とするものである。
・ 遊星ピン穴付き低速軸部ユニット(C):遊星ピン穴付き低速軸(03)と低速軸用ケーシング(10)の部品で構成される。遊星ピン穴付き低速軸(03)に遊星ピン穴を設けたことを特徴とするものである。
・ 内ピン穴付き高速軸部ユニット(D):高速軸(04)または高速軸(05)と内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)の部品で構成される。内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)に内ピン穴を設けたことを特徴とするものである。
・ 内歯歯車付き高速軸部ユニット(E):高速軸(04)または高速軸(05)と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の部品で構成される。内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)に内歯歯車を設けたことを特徴とするものである。
・ プラネタリ型遊星歯車高速軸部ユニット(F):高速軸(06)とプラネタリ型F高速軸用ケーシング(13)の部品で構成される。増減速機08、増減速機10に使用される。
・ プラネタリ型遊星歯車高速軸部ユニット(G):高速軸(07)とプラネタリ型G高速軸用ケーシング(14)の部品で構成される。増減速機07、増減速機09、増減速機12に使用される。
・ スター型遊星歯車高速軸部ユニット(H):高速軸(08)とスター型H高速軸用ケーシング(15)の部品で構成される。増減速機11に使用される。
・ スター型遊星歯車高速軸部ユニット(I):高速軸(09)とスター型I高速軸用ケーシング(16)の部品で構成される。増減速機13、増減速機14に使用される。
・ 変速機構部ユニット(J):中間歯車(23)と内ピン(36)の部品で構成される。中間歯車(23)にボス穴が設けてあることを特徴とするものである。
・ 変速機構部ユニット(K):中間歯車(24)と内ピン(36)の部品で構成される。中間歯車(24)にボス穴が設けてあることを特徴とするものである。
・ 変速機構部ユニット(L):中間歯車(25)と内ピン(36)の部品で構成される。中間歯車(25)にボス穴が設けてあることを特徴とするものである。
・ 変速機構部ユニット(M):遊星歯車(26)と遊星ピン(37)とキャリア円板(38)の部品で構成される。
・ 変速機構部ユニット(N):遊星歯車(26)と遊星ピン(36)の部品で構成される。
・ 変速機構部ユニット(O):遊星歯車(27)と太陽歯車(29)と遊星ピン(36)の部品で構成される。
揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機の特徴を下記に示す。
1) 低速軸部部品において、内ピン穴付き低速軸(01)および内歯歯車付き低速軸(02)を使用していることである。
一般的に従来技術で使用されている揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った減速機を入力側と出力側を逆にして増速機として機能させた場合、入力側を低速軸部として機能させることになる。この時の動力伝達は、低速軸から内ピン(内ローラつき)へ伝達され、遊星歯車である曲面板の内ピン穴を介して曲面板に歯切りされている外歯歯車と太陽歯車である外ピンまたは内歯歯車が噛合い、その動力は出力軸の偏心部を介して出力軸へ伝達されることになる。この場合、内ピン(内ローラつき)から内ピン穴への伝達は、通常はセルフロック機能が働き、動力伝達は不可能であると考えられる。ここで、ウォ−ム減速機の場合を例にとってセルフロックについて説明をすると、次のようになる。機械的又は電気的なブレ−キ機構がない状態において、出力側(この場合ウォ−ムホィ−ルの側)から入力軸(ウォ-ム軸) を回転することができない状態にあることを言う。本願は、このセルフロック機能を解除する為に、低速軸に内ピン穴を設け、この内ピン穴を介して内ピンへ動力が伝達される機構を採用していることが大きな特徴となる。
また、同様に特開2013−200028に開示している図4の変速機構部ユニットB1および変速機構部ユニットB2を使用して、上述の様に増速機を構築した場合、減速機としては、入力側の偏心軸から外歯歯車への動力伝達および、この外歯歯車と揺動噛合いをする内歯歯車への動力伝達は可能となるが、増速機として機能させる場合は、逆の手順になり、内歯歯車から外歯歯車の噛合いを介して出力側の偏心軸から動力を取り出すことになる。上述の如くセルフロック機能が働くことになり、動力の伝達は不可能であると思われる。本願は、これを解除する為に、低速軸に内歯歯車を設け、中間歯車へ動力が伝達され、この中間歯車に設けられているボス穴に軸受を介して挿入される高速軸の偏心円筒部へと動力が伝達され出力される構造を採用している。また、多段変速をする増減速機においては、中間歯車のボス穴へ軸受を介して中間ローターの偏心円筒部が挿入され、変速2段目へと動力が伝達される構造を採用していることが大きな特徴となる。
2) 変速機構部において、変速機構部ユニット(J)、(K)および(L)を配置することにより、部品の共有化と共通化を図っていること、および内歯歯車付き中間ケーシング(17)、中間ケーシング(18)、中間歯車(23)、(24)および(25)、内歯歯車付き中間ローター(30)および内ピン穴付き中間ローター(31)を配置することにより、増減速機の多段化に対応していることである。
3) 高速軸部において、内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)および内歯歯車付き高速軸部ユニット(E)を配置していることである。
低速軸部において、内ピン穴付き低速軸(01)および内歯歯車付き低速軸(02)を使用していることの特徴と同様に、高速軸部においても、高速軸部部品である内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)および内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)を使用することにより、入出力時のセルフロック機能を解除する構造となっている。
4) 揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機の変速比の値は、他のプラネタリ型、スター型遊星歯車構造および混合型遊星歯車構造を持った増減速機の変速比の値よりも大きく設定することができる特徴を有している。
プラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機の特徴を下記に示す。
1) 低速軸部において、遊星ピン穴付き低速軸部ユニット(C)と内歯歯車付き低速軸部ユニット(B)を配置していることである。
遊星ピン穴付き低速軸部ユニット(C)は、プラネタリ型遊星歯車機構を採用した増減速機に使用され、本願独自に開発した円弧歯形を持った歯車で構成される遊星歯車装置である。本願の実施例に於いて、プラネタリ型遊星歯車構造を持った増減速機は、図6の(1)に示す各歯車の構成図を基にした機構を採用している。また、内歯歯車付き低速軸部ユニット(B)は、スター型遊星歯車構造を持った増減速機に使用され、図6の(2)に示す各歯車の構成図を基にした機構を採用している。いずれも本願独自に開発した円弧歯形を持った歯車で構成される遊星歯車装置である。
2) 変速機構部において、変速機構部ユニット(M)および(N)を配置することにより、部品の共有化と部品サイズの共通化を図っていること、および変速機構部品である内歯歯車付き中間ケーシング(19)、(20)遊星ピン穴付き中間ケーシング(21)および太陽歯車(28)とプラネタリ型中間ローター(34)、(35)を配置していることにより増減速機の多段化に対応していることである。
3) 高速軸部において、プラネタリ型遊星歯車高速軸部ユニット(F)、(G)およびスター型遊星歯車高速軸部ユニット(H)を配置していることである。
4) プラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機の変速比の値は、他の揺動内接噛合型遊星歯車構造および混合型遊星歯車構造を持った増減速機の変速比の値よりも小さいが、確実に動力伝達ができる特徴を有している。
表04および図4における各歯車の関係は次のようになる。
(a)プラネタリ型、スター型遊星歯車機構における各歯車の関係
プラネタリ型、スター型遊星歯車機構における太陽歯車Za,遊星歯車Zb,内歯歯車Zcの歯数と遊星歯車の個数Nを決めるには、次の3つの関係を満足する必要がある。
関係1) Zc=Za+2Zb+2
この式は、各歯車の中心距離をあわせるのに必要な関係式である。
また、この式は、特許文献1の特開2007−32836に記載の請求項1の歯車(標準歯車)を使用した時の関係を示す。つまり、図4の関係1に於いて、太陽歯車と遊星歯車の中心距離a1、遊星歯車と内歯歯車の中心距離a2を等しくする必要がある。
但し、特許文献2の特許公報(B2)特許第4811676号に記載の請求項1の歯車を使用すれば、かみあいの中心距離を調整することが可能となり、この式の関係にあわない歯数の歯車選択することも可能となる。
a1=a2
表04の関係1の欄にて、番号1から8までの各歯車の歯数Za,ZbおよびZcを関係1)の式にて求めた歯数を表示している。
関係2) (Za+Zc)/N=整数値 N:遊星歯車の個数
この式は、遊星歯車を等配位置に配置するのに必要な式である。表04および図4の関係2に於いて、遊星歯車を不等配位置に配置する場合は、次式の関係を満足させる必要がある。一般的に、遊星歯車は、次の式の拘束かみあいの関係を満足すれば、配置することが可能となる。
(Za+Zc)θ/180=整数値 θ:となりあう遊星歯車がなす角の半分の角度
表04の関係2の欄にて、番号1から8までの遊星歯車の個数と角度θおよび(Za+Zc)*N、(Za+Zc)*θ/180の各の値を関係2)の式にて求めた数値を表示している。番号4の各歯車構成における(Za+Zc)*θ/180の値は整数値を示していないが、特許文献2の特許公報(B2)特許第4811676号に記載の請求項1の歯車を使用すれば、各歯車の配置位置を作図上で微調整が可能となる場合がある。
関係3) Zb+2<(Za+2+Zb)sinθ
この式は、遊星歯車どうしがぶつかって干渉しない為の関係式である。この式は、特開2007−32836に記載の請求項1の歯車(標準歯車)を使用し、遊星歯車を等配位置に配置した時の関係式を示す。遊星歯車を不等配位置に配置する場合は、次式の関係を満足させる必要がある。
dba<2a1sinθ dba:遊星歯車の歯先円直径 a1:太陽歯車と遊星歯車の中心距離
表04の関係3の欄にて、番号1から8までのZb+2、(Za+2+Zb)*sinθ、(Za+Zc)*θ、dbaおよび2a1*sinθの各の値を関係3)の式にて求めた数値を表示している。まず、Zb+2と(Za+2+Zb)*sinθの各々の値は、いずれもZb+2<(Za+2+Zb)*sinθを示し、dbaと2a1*sinθの各の値は、dba<2a1*sinθを示していることが読み取れる。
(b)プラネタリ型、スター型遊星歯車機構の速度比(変速比)
図4に、(1)プラネタリ型および(2)スター型の遊星歯車機構の構成図を示している。(1)プラネタリ型は、内歯歯車を固定とし、太陽歯車を高速軸、キャリアを低速軸としたものである。(2)スター型は、キャリアを固定とし、太陽歯車を高速軸、内歯歯車を低速軸としたものである。それぞれ、速度比(変速比)i は次の式で示すことができる。
(1)プラネタリ型の速度比 i=Zc/Za+1
(2)スター型の速度比 i=−Zc/Za (マイナス値は、低速軸と高速軸の回転方向が反対になる)
上記の関係式は、インボリュート歯車を使用して遊星歯車機構を構成する場合に用いられる関係式を基にして、円弧歯形を持った歯車で構成される遊星歯車機構に改良して組み立てた関係式を示している。
遊星歯車の個数Nは、2個、3個および4個使用した図例を表示している。番号2),6)および8)は、遊星歯車を3個と4個の使用例を示している。安定した出力を得るためには、となりあう遊星歯車がなす角度の半分の角θが45度、遊星歯車の個数N=4の構成が良いと思われる。番号では、2)、6)および8)の図例になる。表04および図5に示す例以外に、最適な各歯車の組み合わせは考えられるが、今後の課題としたい。
表05から表10および図7から図9に示す揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機群は、外歯歯車が内歯歯車に揺動しながら1枚差でかみ合いをする揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用した増減速機群である。また、本願の増減速機のシリーズに収納した各々の増減速機は、低速軸と高速軸を備えており、低速軸側を入力軸側として機能させた場合は、増速機として機能し、高速軸側を入力軸側として機能させた場合は減速機として機能する大きな特徴を有している。揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機は、次項にて説明をするプラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機、混合型遊星歯車構造を持った増減速機よりも大きな変速比(表05から表20の各々の変速比を比較)を得ることができる構造を有している。それぞれの構造を持った増減速機の特徴については次項にて詳細に説明をすることにするが、変速比を例にすれば、各々の表が示すとおり、揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機は、大きな変速比を必要とする機械装置に適しており、プラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機は、変速比は小さいが、入力側から出力側へ確実に動力の伝達を行ないたい機械装置に適しており、混合型遊星歯車構造を持った増減速機は、前記両者の特徴を有するものであり、変速比で言えば両者の中間をなすものであり、両者の特徴を生かしたい機械装置に適していると言える。揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機の構造的な特徴を列挙することにする。
1.低速軸部に内ピン穴付き低速軸部ユニット(A)または内歯歯車付き低速軸部ユニット(B)を備えていること。
低速軸部に内ピン穴付き低速軸部ユニット(A)の部品である内ピン穴付き低速軸(01)は、内ピン穴を備えていることを特徴とし、内歯歯車付き低速軸部ユニット(B)の部品である内歯歯車付き低速軸(02)には、内歯歯車が歯切りされていることを特徴とするものである。いずれも、動力伝達を確実にする上で重要な要素となる。
2.高速軸部に内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)または内歯歯車付き低速軸部ユニット(E)を備えていること。
高速軸部に内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)の部品である内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)には、内ピン穴(固定)を備えていることを特徴とし、内歯歯車付き高速軸部ユニット(E)の部品である内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)には、内歯歯車が歯切りされていることを特徴とするものである。いずれも、動力伝達を確実にする上で重要な要素となる。
3.変速機構部に変速機構部ユニット(J)、(K)および(L)、変速機構部部品として内歯歯車付き中間ローター(30)および内ピン穴付き中間ローター(31)のいずれか1以上備えていること。
これらのユニットおよび部品は1段および多段に変速させる機構において重要な要素となる。
本願の増減速機のシリーズに収納される増減速機は、前述のごとく増速機としての機能と減速機としての機能の両方を兼ね備えている為、個別に増速比、減速比という用語は使用せずにそれぞれの機能に対する速度比を変速比として表現している。
表05は、増減速機01に使用される中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車の歯車基本データおよび変速比を一覧表にしたものである。この増減速機01は、1段変速の増減速機である。従って、変速比i=1/外歯歯車の歯数となるが、本願においては変速比を前記の式の逆数値として表現している。また、入力軸と出力軸の回転方向により、正の値と負の値により区別している。入力軸側の回転と出力軸側の回転が反対方向で回転する場合は、負の変速比として表現している。
表05より、増減速機01の変速比i=−29となる。
従来技術において、揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用した減速機は多く使用されている。その基本構造は次のようになる。
減速機として機能した場合、動力の伝達は、高速軸(入力軸)の偏心円筒部の回転が揺動しながら曲面板に歯切りされている外歯歯車(遊星歯車)へ伝達され、この外歯歯車は太陽歯車である外ピンまたは内歯歯車とかみ合うことになる。その動力は、曲面板に加工されている内ピン穴を介して、内ピンから出力軸へと伝達される機構となっている。この時の動力伝達は、曲面板の内ピン穴から内ピンへの動力伝達動作および外ピンまたは内歯歯車と曲面板に歯切りされている外歯歯車とのかみ合い動作に於いては、セルフロック機能が働き逆転しにくい構造となっている。もし、この減速機において、入力軸側と出力軸側を入れ替えて、増速機として機能させた場合、入力軸側の外ピンまたは内歯歯車と曲面板に歯切りされている外歯歯車と内接かみ合いをし、その動力は内ピンから、曲面板に加工されている内ピン穴へ動力が伝達され、出力軸へ動力が伝達されることになる。しかしながら、前記の外ピンまたは内歯歯車と曲面板に歯切りされている外歯歯車との内接かみ合い動作および内ピンから曲面板に加工されている内ピン穴への動力伝達動作に於いては、減速機の場合と同様にセルフロック機能が働くため動力伝達は不可能な状態になる。本願の増減速機は、前記記載のセルフロック機能を解除する為に(増速機として機能する為に)内ピン穴付き低速軸部ユニット(A)を備えていることが大きな特徴である。つまり、具体的には、このユニット部品である内ピン穴付き低速軸(01)を使用していることであり、この内ピン穴を介して内ピン(36)から中間歯車(23)へ、更に内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車と中間歯車(23)の外歯歯車が揺動内接かみ合いをし、その動力は中間歯車(23)に設けられたボス穴に軸受を介して挿入される高速軸(04)の偏心円筒部へ伝達され出力される機構を採用している。ただし、揺動内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機は、大きな変速比を得ることが可能であるが、前記記載のセルフロック機能を解除する構造であるため、増速機として機能させた場合、低速軸(入力軸)に大きなトルクを必要とする割に、高速軸(出力軸)には大きなトルクが伝達されない特徴を有している。風力発電における増減速装置として適していると思われる。
増速機として機能させた場合における例を変速段数ごとに各歯車の組み合わせを表示している。
変速1段目は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(17)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、増減速機01と同じ機構を取っているので、変速比1i=−29となる。変速2段目は、中間歯車(24)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ローター(30)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。図7で示すとおり、1段目の中間歯車(23)からの動力は、この中間歯車(23)に加工されているボス穴とそれに軸受を介して挿入される中間ローター(30)の偏心円筒部へと伝達される。更に、この中間ローター(30)には、内歯歯車が歯切りされており、この内歯歯車と中間歯車(24)の外歯歯車が揺動内接噛合いをしながら、その動力は中間歯車(24)に取り付けられる内ピン(36)を介して、内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)へと伝達される。 変速2段目の変速比2iは、1段目の逆回転方向がそのまま高速軸側へ伝達される構造である為、変速比としては正の値としている。変速比2i=23となる。よって、この増減速機02の変速比i=(−29)×23となり、i=−667となる。ここで、増減速機02に採用されている構造の特徴であるが、増減速機01同様にセルフロック機能を解除するために、高速軸部に内ピン穴付き高速軸部ユニット(D)を備えていることを特徴とするものであり、このユニット部品である内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)を備えていることである。つまり、この内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)には、内ピン穴(固定)が設けられており、内ピン(36)からの動力は、この内ピン穴を介して高速軸(05)の偏心円筒部へ伝達され出力される構造を採用していることである。
また、変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(17)と内歯歯車付き中間ローター(30)は、多段変速する為に重要な部品であり、本増減速機の特徴を示すものである。
増速機として機能させた場合における例を変速段数ごとに各歯車の組み合わせを表示している。変速1段目は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(17)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、増減速機01と同じ機構を取っているので、変速比1i=−29となる。変速2段目は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。図8にて図示しているように、1段目の中間歯車(23)からの動力は、この中間歯車(23)に加工されているボス穴とそれに軸受を介して挿入される中間ローター(31)の偏心円筒部へと伝達される。更に、この中間ローター(31)には、内ピン(36)が入る内ピン穴が設けられ、前記内ピンを介して中間歯車(23)へ動力が伝達される。中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車とが揺動内接噛合いをしながら、その動力は中間歯車(23)に加工されているボス穴とそれに軸受を介して挿入される高速軸(04)の偏心円筒部へと伝達され出力される構造になっている。変速2段目の変速比2iは、1段目の逆回転方向と反対方向になるので、変速比2iは負の値としている。変速比2i=−29となる。よって、この増減速機03の変速比i=(−29)×(−29)となり、i=841となる。変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(17)と内ピン穴付き中間ローター(31)は、多段変速する為に重要な部品であり、本増減速機03の特徴を示すものである。
変速機構部に設けられた中間ケーシング(18)、中間歯車(25)および内ピン穴付き中間ローター(31)は、多段変速する為に重要な部品であり、本増減速機の特徴を示すものである。
表13において、変速1段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車とプラネタリ型中間ローター(34)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(19)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、プラネタリ型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=4.75となる。変速2段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車と太陽歯車(28)の外歯歯車とプラネタリ型G高速軸用ケーシング(14)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の出力となる太陽歯車であるプラネタリ型中間ローター(34)の外歯歯車から前記プラネタリ型中間ローター(34)に設けられている遊星ピン穴に挿入される遊星ピン(36)へ動力が伝達される。ここで、遊星ピン(36)は揺動内接噛合型遊星歯車構造に於ける各増減速機にも使用されているので、部品名を内ピンまたは遊星ピンとしているが、プラネタリ型、スター型遊星歯車構造に於ける増減速機に於いては、遊星ピンとしての役割をなしている。前記遊星ピン(36)からの動力は、遊星歯車(26)へ伝達され、この遊星歯車(26)とプラネタリ型G高速軸用ケーシング(14)に歯切りされている内歯歯車とが内接かみ合いをする。その動力は、前記遊星歯車(26)と外接かみ合いをしている太陽歯車(28)に伝達され、高速軸(07)へ出力される。この遊星歯車機構は、変速1段目のプラネタリ型遊星歯車機構と同じである。従って、変速2段目の変速比2i=4.75となる。よって、この増減速機09の変速比i=4.75×4.75となり、i=22.5625となる。
変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(19)とプラネタリ型中間ローター(34)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機09の構造的な特徴を示すものである。
表14において、変速1段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車とプラネタリ型中間ローター(35)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(20)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、プラネタリ型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=4.75となる。変速2段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車と太陽歯車(28)の外歯歯車とプラネタリ型F高速軸用ケーシング(13)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の出力となる太陽歯車であるプラネタリ型中間ローター(35)の外歯歯車から前記プラネタリ型中間ローター(35)に設けられている遊星ピン穴に挿入される遊星ピン(36)へ動力が伝達される。前記遊星ピン(36)からの動力は、遊星歯車(26)へ伝達され、この遊星歯車(26)とプラネタリ型F高速軸用ケーシング(13)に歯切りされている内歯歯車とが内接かみ合いをする。その動力は、前記遊星歯車(26)と外接かみ合いをしている太陽歯車(28)に伝達され、高速軸(06)へ出力される。この遊星歯車機構は、変速1段目のプラネタリ型遊星歯車機構と同じである。従って、変速2段目の変速比2i=4.75となる。よって、この増減速機09の変速比i=4.75×4.75となり、i=22.5625となる。
変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(20)とプラネタリ型中間ローター(35)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機10の構造的な特徴を示すものである。機構的には、増減速機09と同じ機構を採用している。相違点は、増減速機08に示す如く、変速機構部ユニット(M)の部品としてキャリア円板(38)を使用していることであり、増減速機09より、安定的に確実に動力の伝達が可能になるように改良した構造を持つものである。
表16において、変速1段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車とプラネタリ型中間ローター(35)の外歯歯車と内歯歯車付き低速軸(02)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、スター型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=−3.75となる。変速2段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車と太陽歯車(28)の外歯歯車とプラネタリ型G高速軸用ケーシング(14)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の出力となる太陽歯車であるプラネタリ型中間ローター(35)の外歯歯車から前記プラネタリ型中間ローター(35)に設けられている遊星ピン穴に挿入される遊星ピン(36)へ動力が伝達される。前記遊星ピン(36)からの動力は、遊星歯車(26)へ伝達され、この遊星歯車(26)とプラネタリ型G高速軸用ケーシング(14)に歯切りされている内歯歯車とが内接かみ合いをする。その動力は、前記遊星歯車(26)と外接かみ合いをしている太陽歯車(28)に伝達され、高速軸(07)へ出力される。この遊星歯車機構は、変速1段目は、スター型遊星歯車機構であり、変速2段目は、プラネタリ型遊星歯車機構を採用している。従って、変速2段目の変速比2i=4.75となる。よって、この増減速機12の変速比i=−3.75×4.75となり、i=−17.8125となる。
変速機構部に設けられた遊星ピン穴付き中間ケーシング(21)とプラネタリ型中間ローター(35)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機12は、プラネタリ型遊星歯車機構とスター型遊星歯車機構を併せ持つ特徴を有している。
表17において、変速1段目は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(17)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=−29となる。変速2段目は、遊星歯車(27)の外歯歯車と太陽歯車(29)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ローター(30)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の中間歯車(23)からの動力は、この中間歯車(23)に加工されているボス穴とそれに軸受を介して挿入される中間ローター(30)の偏心円筒部へと伝達される。この中間ローター(30)には、内歯歯車が歯切りされており、この内歯歯車と遊星歯車(27)と太陽歯車(29)は、スター型遊星歯車機構を採用した構造になっている。前記中間ローター(30)の偏心円筒部からの動力は、前記スター型遊星歯車構造を経て、高速軸(09)へ出力される。
変速2段目は、スター型遊星歯車機構を採用しているので、変速比2i=−4となる。よって、この増減速機13の変速比i=(−29)×(−4)となり、変速比i=116となる。
変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(17)と内歯歯車付き中間ローター(30)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機13は、揺動内接噛合型遊星歯車機構とスター型遊星歯車機構を併せ持つ特徴を有している。また、変速機構部ユニット(O)を使用して構成する遊星歯車機構は、図6の(2)に示す機構と歯車列を採用している。
表18において、変速1段目は、中間歯車(25)の外歯歯車と内歯歯車付き低速軸(02)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=29となる。変速2段目は、遊星歯車(27)の外歯歯車と太陽歯車(29)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ローター(30)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の中間歯車(25)からの動力は、この中間歯車(25)に加工されているボス穴とそれに軸受を介して挿入される中間ローター(30)の偏心円筒部へと伝達される。この中間ローター(30)には、内歯歯車が歯切りされており、この内歯歯車と遊星歯車(27)と太陽歯車(29)は、スター型遊星歯車機構を採用した構造になっている。前記中間ローター(30)の偏心円筒部からの動力は、前記スター型遊星歯車構造を経て、高速軸(09)へ出力される。
変速2段目は、スター型遊星歯車機構を採用しているので、変速比2i=−4となる。よって、この増減速機14の変速比i=29×(−4)となり、変速比i=−116となる。
変速機構部に設けられた中間ケーシング(18)と内歯歯車付き中間ローター(30)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機14は、揺動内接噛合型遊星歯車機構とスター型遊星歯車機構を併せ持つ特徴を有している。
表19において、変速1段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車と内ピン穴外歯歯車付き中間ローター(33)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(22)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、プラネタリ型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=4.75となる。変速2段目は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の太陽歯車である内ピン穴外歯歯車付き中間ローター(33)の外歯歯車からの出力は、この中間ローター(33)に設けてある内ピン穴を介して、内ピン(36)へ伝達される。この内ピン(36)は中間歯車(23)に挿入されている。この内ピン(36)からの動力は、中間歯車(23)の外歯歯車と内歯歯車付き高速軸用ケーシング(12)の内歯歯車との内接かみ合いを経て、出力軸である高速軸(04)の偏心円筒部へ伝達され出力される。
変速2段目は、揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用しているので、変速比2i=−29となる。よって、この増減速機15の変速比i=4.75×(−29)となり、変速比i=−137.75となる。
変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(22)と内ピン穴外歯歯車付き中間ローター(33)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機15は、プラネタリ型遊星歯車機構と揺動内接噛合型遊星歯車機構とを併せ持つ特徴を有している。
表20において、変速1段目は、遊星歯車(26)の外歯歯車と外歯内歯歯車付き中間ローター(32)の外歯歯車と内歯歯車付き中間ケーシング(22)の内歯歯車の基本データと変速比1iを表示している。変速1段目は、機構的には、プラネタリ型遊星歯車機構を採用しているので、変速比1i=4.75となる。変速2段目は、中間歯車(24)の外歯歯車と外歯内歯歯車付き中間ローター(32)の内歯歯車の基本データと変速比2iを表示している。変速1段目の太陽歯車である外歯内歯歯車付き中間ローター(32)の外歯歯車からの出力は、この中間ローター(32)に歯切りされている内歯歯車と中間歯車(24)の外歯歯車との内接かみ合いを経て、中間歯車(24)設けてある内ピン穴に挿入される内ピン(36)へ伝達される。更に、この内ピン(36)は、内ピン穴付き高速軸用ケーシング(11)に設けられている内ピン穴へ挿入され、その内ピン(36)の揺動回転は、中間歯車(24)に設けられているボス穴に軸受を介して挿入される高速軸(05)の偏心円筒部へ伝達され出力される。
変速2段目は、揺動内接噛合型遊星歯車機構を採用しているので、変速比2i=23となる。よって、この増減速機16の変速比i=4.75×23となり、変速比i=109.25となる。
変速機構部に設けられた内歯歯車付き中間ケーシング(22)と外歯内歯歯車付き中間ローター(32)は、多段変速する為に重要な部品であり、増減速機16は、プラネタリ型遊星歯車機構と揺動内接噛合型遊星歯車機構とを併せ持つ特徴を有している。
1・本願の増減速機群は、円弧歯形を持った歯車を使用して増減速機を構成したものであり、歯車の歯の大きさRを自在に設定することにより、必要とする増減速機を機械装置の大きさや変速比に応じて任意に構成することが可能となる。(本願の実施例は、歯車の歯の大きさR=3にて、表および図に示している。)
2・本願の揺動内接噛合型遊星歯車構造を持つ増減速機は、増速機と減速機の両方の機能を持つことを特徴とするものである。
3・本願のプラネタリ型遊星歯車構造およびスター型遊星歯車構造を持つ増減速機は、円弧歯形を持つ歯車で構成したことを特徴とするものである。
4・本願の増減速機は、揺動内接噛合型遊星歯車機構、プラネタリ型遊星歯車機構およびスター型遊星歯車機構を1以上自在に併せ持つことが可能な増減速機である。
5・各々の増減速機は、部品の共有化および部品サイズの共通化を持たせ必要とされる増減速機のニーズに対応させたものである。
6・本願の増減速機は、円弧歯形を持った歯車を使用して増減速機を構成したものであるが、インボリュート歯形、サイクロイド歯形、
トロコイド歯形等、他の歯形を持った歯車を使用して増減速機を構成することも可能であると思われる。
01:内ピン穴付き低速軸
02:内歯歯車付き低速軸
03:遊星ピン穴付き低速軸
04:高速軸
05:高速軸
06:高速軸
07:高速軸
08:高速軸
09:高速軸
10:低速軸用ケーシング
11:内ピン穴付き高速軸用ケーシング
12:内歯歯車付き高速軸用ケーシング
13:プラネタリ型F高速軸用ケーシング
14:プラネタリ型G高速軸用ケーシング
15:スター型H高速軸用ケーシング
16:スター型I高速軸用ケーシング
17:内歯歯車付き中間ケーシング
18:中間ケーシング
19:内歯歯車付き中間ケーシング
20:内歯歯車付き中間ケーシング
21:内ピン穴付き中間ケーシング
22:内歯歯車付き中間ケーシング
23:中間歯車
24:中間歯車
25:中間歯車
26:遊星歯車
27:遊星歯車
28:太陽歯車
29:太陽歯車
30:内歯歯車付き中間ローター
31:内ピン穴付き中間ローター
32:外歯内歯歯車付き中間ローター
33:内ピン穴外歯歯車付き中間ローター
34:プラネタリ型中間ローター
35:プラネタリ型中間ローター
36:内ピン
37:内ピン
38:キャリア円板
ユニット記号
A:内ピン穴付き低速軸部ユニット
B:内歯歯車付き低速軸部ユニット
C:遊星ピン穴付き低速軸部ユニット
D:内ピン穴付き高速軸部ユニット
E:内歯歯車付き高速軸部ユニット
F:プラネタリ型遊星歯車高速軸部ユニット
G:プラネタリ型遊星歯車高速軸部ユニット
H:スター型遊星歯車高速軸部ユニット
I:スター型遊星歯車高速軸部ユニット
J:変速機構部ユニット
K:変速機構部ユニット
L:変速機構部ユニット
M:変速機構部ユニット
N:変速機構部ユニット
O:変速機構部ユニット
遊星歯車歯数
Za:太陽歯車歯数
Zb:遊星歯車歯数
Zc:内歯歯車歯数
記号
a1:太陽歯車と遊星歯車の中心距離
a2:遊星歯車と内歯歯車の中心距離
dba:遊星歯車の歯先円直径
N:遊星歯車の個数
R:円弧半径(歯の大きさ)
θ:となりあう遊星歯車がなす角の半分
Claims (4)
- 円弧歯形を持った歯車を含む複数の歯車で構成した増減速機を含む増減速機のシリーズであり、複数の低速軸部部品で構成した複数の低速軸部ユニットからなる低速軸部と、複数の変速機構部部品で構成した複数の変速機構部ユニットと複数の変速機構部部品からなる変速機構部と、複数の高速軸部部品で構成した複数の高速軸部ユニットからなる高速軸部とを備え、前記の低速軸部と変速機構部と高速軸部の複数ユニットおよび複数の部品から増減速機の変速比、伝達容量、歯車の歯の大きさおよび増減速機タイプのいずれか1以上の仕様が設定されることにより、前記の仕様が満たされるべき増減速機に必要な前記各部のそれぞれのユニットおよび部品が選択され、低速軸部から順次変速機構部、高速軸部へと前記各部のユニットと部品が組み立てられることにより、1以上の増減速機が構成されるものであり、複数の選択肢を持った前記各部のユニット群および複数の部品から前記のそれぞれの仕様にもとづく用途を持った増減速機を構成することが可能であり、これらの増減速機を複数収納したことを特徴とする増減速機のシリーズであり、前記複数の増減速機はいずれも低速軸と高速軸が同心となることと、前記複数の増減速機は、いずれも減速機としての機能と増速機としての機能の両方を有している特徴を持ち、更に、増速機として機能する場合、動力の伝達手段として低速軸または中間ローターに内ピン穴を設け、前記内ピン穴を介して中間歯車に取り付けられる内ピンへ伝達され、前記中間歯車に設けられたボス穴に軸受けを介して挿入される高速軸の偏心円筒部または中間ローターの偏心円筒部へ動力が伝達される機構を配置したこと、および低速軸または中間ローターに内歯歯車を設け、この内歯歯車と揺動内接噛合いをする中間歯車へ動力が伝達され、前記中間歯車に設けられたボス穴に軸受けを介して挿入される高速軸の偏心円筒部または中間ローターの偏心円筒部へ動力が伝達される機構を配置したことを特徴とする内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機群と、円弧歯形を持った歯車を使用して構築したプラネタリ型遊星歯車機構とスター型遊星歯車機構を配置したことを特徴とするプラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機群と、前記両方の特徴を併せ持つことを特徴とした混合型遊星歯車構造を持った増減速機群をそれぞれ収納したことを特徴とする増減速機のシリーズ。
- 請求項1の増減速機のシリーズに含まれる増減速機群の個々の増減速機であり、増速機として機能する場合、動力の伝達手段として低速軸または中間ローターに内ピン穴を設け、前記内ピン穴を介して中間歯車に取り付けられる内ピンへ伝達され、前記中間歯車に設けられたボス穴に軸受けを介して挿入される高速軸の偏心円筒部または中間ローターの偏心円筒部へ動力が伝達される機構を配置したこと、および低速軸または中間ローターに内歯歯車を設け、前記内歯歯車と揺動内接噛合いをする中間歯車へ動力が伝達され、前記中間歯車に設けられたボス穴に軸受けを介して挿入される高速軸の偏心円筒部または中間ローターの偏心円筒部へ動力が伝達される機構を配置したことを特徴とする内接噛合型遊星歯車構造を持った増減速機。
- 請求項1の増減速機のシリーズに含まれる増減速機群の個々の増減速機であり、円弧歯形を持った歯車を使用して構築したプラネタリ型遊星歯車機構とスター型遊星歯車機構を配置したことを特徴とするプラネタリ型、スター型遊星歯車構造を持った増減速機。
- 請求項1の増減速機のシリーズに含まれる増減速機群の個々の増減速機であり、内接噛合型遊星歯車構造とプラネタリ型、スター型遊星歯車構造の両方の特徴を併せ持つことを特徴とした混合型遊星歯車構造を持った増減速機。
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