JP2002089638A - 駆動装置のシリーズ - Google Patents

駆動装置のシリーズ

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JP2002089638A
JP2002089638A JP2000280278A JP2000280278A JP2002089638A JP 2002089638 A JP2002089638 A JP 2002089638A JP 2000280278 A JP2000280278 A JP 2000280278A JP 2000280278 A JP2000280278 A JP 2000280278A JP 2002089638 A JP2002089638 A JP 2002089638A
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JP
Japan
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motor
gear
roller
planetary roller
simple planetary
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Pending
Application number
JP2000280278A
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English (en)
Inventor
Tokuyuki Yamazaki
徳之 山崎
Seiji Minegishi
清次 峯岸
Atsushi Tamenaga
淳 為永
Kenichi Kanemitsu
健一 兼光
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/02Gearboxes; Mounting gearing therein
    • F16H57/033Series gearboxes, e.g. gearboxes based on the same design being available in different sizes or gearboxes using a combination of several standardised units
    • F16H2057/0335Series transmissions of modular design, e.g. providing for different transmission ratios or power ranges

Abstract

(57)【要約】 【課題】 減速機付きモータのシリーズにおいて、使用
者の減速比の要求に柔軟に且つ確実に対応することがで
きると共に、騒音や振動レベルの低減を図る。 【解決手段】 モータとして複数種類のモータを用意す
ると共に、減速機として複数種類の歯車式の減速機を用
意し、更に、太陽ローラと遊星ローラとリングローラか
らなる単純遊星ローラ機構を用意し、単純遊星ローラ機
構に対し、その入力側において複数種類用意されたモー
タの中から任意のモータを選択・連結可能とすると共
に、遊星ローラの公転成分を取り出すキャリアを介し
て、その出力側において複数種類用意された減速機の中
から任意の減速機を選択・連結可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータと減速機と
を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを
選択可能とした駆動装置のシリーズに関する。
【0002】
【従来の技術】回転動力を発生するモータと、この回転
動力を減速する歯車式の減速機とを組み合わせた減速機
付きモータは、機械的に減速する構造であるため、モー
タを最も効率のよい状態(回転数領域)で運転をするこ
とができ、あらゆる産業分野で広く用いられている。
【0003】この場合、一般の歯車式の減速機の大半
(8割以上)は、総減速比が1/10〜1/60くらい
の範囲に設定されており、減速機の種類としては、例え
ば、単純遊星歯車減速機、揺動内接噛合遊星歯車減速
機、ベベル式減速機、ハイポイド減速機、ウォーム減速
機等の種々のタイプが、用途に応じて選択できるように
シリーズとして用意されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の減
速機付きモータのシリーズにおいては、歯車式の減速機
を使用する関係で、減速比が所定の間隔(公比)で設定
されているため、必ずしも豊富なバリエーションの減速
比を用意できるとは限らず、使用者の要求に細かく対応
できないこともあった。
【0005】また、歯車式の減速機を使用する場合、歯
車の噛み合いによって、減速機自体の騒音や振動が大き
くなってしまうことに加え、モータ側との共振現象によ
り、減速機付きモータ全体の騒音レベルや振動レベルが
単体での騒音以上に大きくなることがしばしばあるとい
った問題もあった。
【0006】この点を、特に騒音・振動レベルが大きく
なりがちである、従来公知の揺動内接噛合遊星歯車構造
(国際分類F16H1/32に該当する歯車装置)を減
速機して使用したギヤドモータを例に出して具体的に説
明する。
【0007】図16は、特開平5−231482号公報
に記載された揺動内接噛合遊星歯車減速機を備えたギヤ
ドモータ(減速機付きモータ)の例を示している。この
ギヤドモータ1は、減速機2とモータ3とを結合して一
体化したものである。
【0008】減速機2のケーシング51は、中央ケーシ
ング52と、モータ3側の継ケーシング53と、モータ
3と反対側の前部ケーシング54とからなる。モータ3
のケーシング55は、円筒ケーシング56と、減速機2
側の継ケーシング53と、減速機2と反対側の後面カバ
ー57とからなる。この場合、前記継ケーシング53
が、減速機2とモータ3のケーシング51、55の一部
を兼用しており、この継ケーシング53を介して、減速
機2とモータ3が一体に結合されている。
【0009】減速機2は、入力軸となる第1軸11と出
力軸となる第2軸12とを備える。
【0010】第1軸11の外周上には、所定位相差(こ
の例では180°)をもって2つの偏心体13a、13
bが嵌合され、これら偏心体13a、13bが、第1軸
11と一体に回転する。偏心体13a、13bの中心
は、それぞれ第1軸11の軸芯に対して所定の偏心量だ
け偏心している。それぞれの偏心体13a、13bの外
周には、外歯歯車15a、15bが嵌合されている。外
歯歯車15a、15bには、内ピン孔16a、16bが
それぞれ複数設けられており、これら内ピン孔16a、
16bに内ピン17が遊嵌されている。
【0011】外歯歯車15a、15bの外周にはトロコ
イド歯形や円弧歯形の外歯が設けられ、内歯歯車20に
対して内接噛合している。内歯歯車20は、中央ケーシ
ング52の内周に一体的に形成されており、各内歯が、
中央ケーシング52の内周に保持された外ピン21によ
って形成されている。
【0012】外歯歯車15a、15bの両側には一対の
キャリア23、24が配されている。両キャリア23、
24は、軸受31、32により回転自在に支持され、複
数本のキャリアピン(連結ピン)25及びスペーサ26
で一体に結合されている。
【0013】内ピン17の両端は、両側のキャリア2
3、24にすべり回転可能に結合され、外歯歯車15
a、15bの自転成分のみが、内ピン17を介して両側
のキャリア23、24に伝達される。
【0014】モータ3側のキャリア23の中央孔23a
には、第1軸11の一端が臨み、カップリング70を介
してモータ軸61と連結されている。
【0015】この構成によりこの減速機では公知の作用
で外歯歯車15a、15bの歯数分の1の減速が実現で
きる。
【0016】次に他の従来例を説明する。
【0017】図17、図18は、特開平10−2998
41公報に記載された従来のギヤドモータの例を示して
いる。このギヤドモータ500に使用されている揺動内
接噛合遊星歯車減速機は、いわゆる振り分け軸タイプの
ものである。
【0018】この内接噛合遊星歯車減速機は、外部のモ
ータ軸501に連結される第1軸502と、該第1軸5
02と同心の円周上に配置され、該第1軸502と連動
して回転する複数の振り分け軸503と、該複数の振り
分け軸503上にそれぞれ設けられた偏心体504と、
該偏心体504に嵌合されることにより、前記第1軸5
02に対して偏心回転可能とされた外歯歯車505と、
前記第1軸502と同心に組み込まれ、前記外歯歯車5
05が該第1軸502に対して偏心回転しながら内接噛
合する内歯歯車506と、前記複数の振り分け軸503
と連結された第2軸507と、を備える。
【0019】この内接噛合遊星歯車構造では、偏心体5
04を一対のキャリア523、324の間に位置するよ
うに配置すると共に、キャリア523、524によって
振り分け軸503を回転可能に支持している。そして、
前記第1軸502に太陽ローラ511を設け、前記複数
の振り分け軸503のそれぞれに、該太陽ローラ511
と各々外接する複数の振り分けローラ512をスプライ
ン結合により設け、これら複数の振り分けローラ512
の外側に、該振り分けローラ512が内接する圧接リン
グ513を設けたものである。この場合の圧接リング5
13は、単に太陽ローラ511と振り分けローラ512
との間に圧接力を発生させるためのものであり、機能と
しては単純遊星のリングのそれとは異なる。
【0020】以上の例にあげたような内接噛合遊星歯車
減速機を採用したギヤドモータは、単純且つコンパクト
な構造で剛性が高い上に、高い減速比が得られるという
利点を有するものの、外歯歯車が揺動しながら相手側歯
車と噛み合う構造になっているので、減速機側の振動と
モータ側の振動が重なって共振することで、どうしても
騒音が大きくなりやすいという問題を有している。
【0021】即ち、上記のギヤドモータの場合、減速機
側で発生する振動によって、それと結合されているモー
タが加振され、モータ自身が発生する振動と一緒になっ
て複雑な共振を起こす。更にその振動が元の減速機に戻
ることで、より複雑な共振を起こし、それらが原因で、
稀にギヤドモータ全体で大きな騒音を発生することがあ
る。
【0022】この点、図16のギヤドモータ1の場合
は、モータ軸61と第1軸11をスプライン式のカップ
リング70を介してフローティング結合することによ
り、モータユニット3自身の振動と、減速機ユニット2
自身の振動の相互伝達を阻止して、両者が共振するのを
防止するようにしている。
【0023】しかしながら、カップリング70を介して
フローティング結合するだけでは、振動の相互伝達を大
きく抑制することができないため、十分な騒音低減効果
が得られなかった。
【0024】又、図17の振り分け軸タイプの内接噛合
遊星歯車構造を採用したギヤドモータの場合も、実際に
運転してみると、期待していたほどの騒音低減効果が得
られなかった。その理由としては、次のことが考えられ
る。
【0025】即ち、この振り分けタイプの構造は、各振
り分け軸503に外歯歯車505の揺動運動に伴う振動
や撓みが生じるので、該振り分け軸503は、どうして
もこの外歯歯車505からの荷重を受けて振動したり変
形(撓む)したりする可能性が高い。にもかかわらず、
このギヤドモータでは、その振り分け軸503上に、太
陽ローラ511と圧接する振り分けローラ512が存在
するので、振り分け軸503の振動や変形が直接、振り
分けローラ512→太陽ローラ511と伝わってしま
い、摩擦ローラを使用した故の振動伝達の阻止作用がう
まく機能していない。換言すると、高速低トルクの動力
伝達に適したローラ512を、内接噛合遊星歯車構造の
荷重伝達に伴う変形の影響を直接的に受ける振り分け軸
503に直接配置していることに原因があったと考えら
れる。
【0026】いずれにしても(原因はともかく)、結
局、上述した2例では、フローティング結合や摩擦ロー
ラの組込みを採用していたとしても、騒音改善効果はギ
ヤドモータの常識を塗り替えるまでには達成されていな
かった。
【0027】このような騒音や振動レベルが大きくなる
という点は、他のタイプの歯車式減速機を使用した場合
にも、歯車で減速する構造をとる以上、似たような結果
となっていた。
【0028】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、使用者の減速比の要求に柔軟に且つ確実に対
応することができると共に、騒音や振動レベルの低減を
図ることのできる駆動装置のシリーズを提供することを
目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、モー
タと減速機とを組み合わせることにより、任意の減速機
付きモータを選択可能とした駆動装置のシリーズにおい
て、モータとして複数種類のモータを用意すると共に、
減速機として複数種類の歯車式の減速機を用意し、更
に、太陽ローラと、該太陽ローラの周りを転接する遊星
ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、か
らなる単純遊星ローラ部を備えた単純遊星ローラ機構を
用意し、同形の単純遊星ローラ部を有する単純遊星ロー
ラ機構に対し、その入力側において前記複数種類用意さ
れたモータの中から任意のモータを選択・連結可能とす
ると共に、前記遊星ローラの公転成分を取り出すキャリ
アを介して、その出力側において前記複数種類用意され
た減速機の中から任意の減速機を選択・連結可能とし、
前記モータ、単純遊星ローラ部、及び減速機の三者が連
結されてなる複数の駆動装置によって構築されているこ
とにより、上記課題を解決したものである。
【0030】この駆動装置においては、減速機とモータ
との間に単純遊星ローラ機構を介在させている。その結
果、その単純遊星ローラ機構が第1段目の減速機能を発
揮することにより、歯車式の減速機の入力回転速度を低
下させ、そもそも減速機で発生する振動・騒音自体を小
さく抑えることができ、加えて、単純遊星ローラ機構の
両側の減速機とモータ間で伝わろうとする振動(特に回
転方向の振動及び軸方向の振動)を、単純遊星ローラ機
構のローラの相互の接触によって吸収することができる
ようになる。
【0031】つまり、減速機とモータの間に単純遊星ロ
ーラ機構を介在させたことにより、減速機からモータへ
の振動伝達、及び、モータから減速機への振動伝達を、
共に有効に抑えることができ、結果として、共振を防止
して全体の騒音を低減することができる。
【0032】又、単純遊星ローラ機構は、遊星ローラの
自転や公転を伴う単純遊星ローラ機構特有の動力伝達構
造により、(複数の)ローラの接触面の摩擦によって回
転動力を伝達するので、各ローラ間の接触面、及び、遊
星ローラをキャリアで支持する部分によって、単純遊星
ローラ機構の両側の減速機とモータ間で相互伝達しよう
とする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を
極めて良好に吸収することができる。
【0033】上述した図17の振り分け軸タイプのもの
でも、摩擦ローラは用いていた。しかし、振り分け軸タ
イプのものの場合は、単純遊星ローラ機構を有しておら
ず、太陽ローラ511と圧接リング513の間に挟まれ
た振り分けローラ512自体が、振り分け軸503の振
動を拾いやすい構造になっている。そのため、振り分け
軸503の振動や変形に伴い、振り分けローラ512の
位置がずれたり、振り分けローラ512が振動したり
し、太陽ローラ511との間で正しい(速度変動のな
い)動力伝達ができなくなって、結果的に、摩擦接触面
における振動吸収作用を果たす以前に、振り分けローラ
512自体の振動が、全体の振動や騒音に影響を残すこ
とになっていた。
【0034】つまり、もともと、この装置は共振回避と
いう思想に立脚したものではないため、振り分け軸50
3からの振動が直接振り分けローラ512→太陽ローラ
511と伝わる構成となっており、振動伝達の阻止によ
る共振回避という本発明の目的を達成するような構造と
なっていなかったのである。
【0035】従って、摩擦ローラが組込まれていたとし
ても騒音改善効果はギヤモータの常識を塗り替えるまで
には達成されておらず、「摩擦ローラの効果もこの程度
のもの」と結果として考えられ、開発もそこで中断さ
れ、それ以上吟味されることもなかった。
【0036】これに対し、単純遊星ローラ機構を減速機
とモータの間に介在させる本発明の場合は、(振り分け
ローラの自転自体によって直接動力伝達を行うのではな
く)内周側の太陽ローラと外周側のリングローラと、こ
の間に挟まれた遊星ローラの三者の相対運動によって動
力伝達を行うものであるから、前述の振り分けローラの
ように、揺動内接噛合遊星歯車減速機からの無用の変形
や振動を直接受け取らずにすむ。
【0037】従って、太陽ローラとリングローラ間に挟
まれていながらも、摩擦伝動に必要な圧力で遊星ローラ
が太陽ローラ及びリングローラに転接するだけであり、
摩擦接触面における圧力変動が少なく、結果的に、単純
遊星ローラ機構を介しての振動伝達が抑制される。しか
も、前述したように摩擦接触面が振動吸収機能を有効に
果たすので、減速機とモータ間の相互振動伝達を阻止
し、騒音低減に大きな効果を果たすことになる。
【0038】又、単純遊星ローラ機構を採用したことに
より、同機構の入力部と出力部も同軸上に配置すること
ができ、従って、例えば太陽ローラとモータの連結部
と、キャリアを介して行う減速機との連結部を同一軸線
上に配置することができる。
【0039】この同軸性は、特に、前述した外歯歯車の
荷重の影響を受ける軸が、(振り分け軸タイプと違っ
て)減速機の中心部に1本だけという構造にできること
を意味し、この部分の剛性を高めるだけで全体の剛性を
大きくとることができるようになるという点で有益であ
る。
【0040】又、例えば揺動内接噛合遊星歯車タイプの
減速機とモータとを結合して減速機付きモータを構成す
る際に、外歯歯車からの振動を1本の高速軸に集約し、
この高速軸と単純遊星ローラ機構の一端を連結するだけ
で単純遊星ローラ機構との連結を完了できるため、振動
遮断という点でも有益である。
【0041】即ち、単純でコンパクトな構造でありなが
ら、剛性を大きくすることができ、それだけ大トルクの
伝達が可能となるというメリットが得られるほか、騒音
低減に関しても有利な構造と言えるものである。
【0042】更に、この同軸性は、1本の中心軸線上
に、モータの駆動軸、減速機側の入出力軸が並んだ構成
のギヤドモータに対して、簡単に本発明を適用すること
ができるという点でも有益である。例えば、図16に示
す従来のギヤドモータ1のモータ3と揺動内接噛合遊星
歯車減速機2の間に、前記の単純遊星ローラ機構を付加
することにより、本発明のシリーズに含まれる減速機付
きモータを簡単に実現することができる。その場合、図
16のギヤドモータ1では、モータ軸61と揺動内接噛
合遊星歯車ユニット2の第1軸11とをカップリング7
0で連結しているが、そのカップリング70を流用し
て、単純遊星ローラ機構の遊星ローラと減速機とをキャ
リアを介して連結したり、太陽ローラの軸とモータの駆
動軸とを連結したりすることができる。
【0043】更に、単純遊星ローラ機構を採用したこと
により、この段で所定の減速比を得ることができるよう
になり、その結果、歯車式の減速機の入力軸の回転を低
く抑えることができ、騒音の発生自体を低減できる。こ
の効果は非常に大きい。又、前段の単純遊星ローラ機構
と後段の歯車式減速機とを合わせることで、高減速比を
容易に実現することもでき、同じ減速比を達成する場合
は、後段の歯車減速機の負担を低減できる。単純遊星ロ
ーラ機構は、歯車と違って減速比を細かく設定すること
が容易にできるので、減速比を多数段階用意した減速機
付きモータのシリーズや、特定の用途に応じた特定の減
速比の減速機付きモータを提供することも容易に可能と
なる。
【0044】ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達
は、後段の歯車噛合によるトルク伝達よりも、確保し得
るトルク伝達量が小さくなるが、もともと前段の減速に
おいて伝達すべき伝達トルクはあまり大きくならず、
又、後述するように、単純遊星ローラ機構は、その入出
力部材を選択することにより各ローラにおける必要伝達
トルクを調整することができるため、大きな問題とはな
らない。
【0045】特に、単純遊星ローラ機構の場合、遊星ロ
ーラを減速機側と切り離したキャリアで連結することが
できるので、たとえ減速機側で振動や変形が発生して
も、その影響は単純遊星ローラ機構のローラ接触面には
ほとんど及ばない。よって、確実で安定したトルク伝動
が行われるため、一層問題は生じにくい。
【0046】本発明では、このような観点で単純遊星ロ
ーラ部をモータと減速機の間に介在させ、この単純遊星
ローラ部に対して複数のモータと複数の減速機をそれぞ
れ連結可能とし、3者を連結・一体化させるようにした
ため、上記利点を有し、且つ従来のギヤドモータとほぼ
同様の形態の種々の駆動装置を提供することができる。
【0047】請求項2の発明は、請求項1において、前
記単純遊星ローラ機構が、リングローラを同径として、
遊星ローラと太陽ローラの径比を変えて、異なる変速比
を有するように複数備えられていることにより、上記課
題を解決したものである。
【0048】このように一番外周側にあるリングローラ
の径を同径に設定し、遊星ローラと太陽ローラの径比だ
けを変えて、異なる複数の変速比を実現するようにする
と、減速機やモータとの取り合い寸法を大幅に変更する
ことなく、多種の減速比を用意した駆動装置のシリーズ
を提供することができる。
【0049】請求項3の発明は、請求項1又は2におい
て、前記単純遊星ローラ機構と前記複数種類用意された
モータとが同一の取り合い寸法を有すると共に、該単純
遊星ローラ機構と前記複数種類用意された減速機とが同
一の取り合い寸法を有することにより、上記課題を解決
したものである。
【0050】この構成は特に遊星ローラ機構を直接的に
モータ側や減速機側に連結する場合に有効である。この
ように、単純遊星ローラ機構と複数種のモータ、単純遊
星ローラ機構と複数種の減速機の取り合い寸法をそれぞ
れ同一にすることにより、コンパクトで自由で多彩な組
み合わせを可能にすることができる。なお、逆に言う
と、請求項1に記載の発明は、例えば結合用のフランジ
等を用いたものでもよいということである(後述)。
【0051】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載の単純遊星ローラ機構が、異なる枠番を有する
ように複数用意され、それぞれの枠番の単純遊星ローラ
機構を中心として、請求項1〜3のいずれかに記載の減
速機付きモータのシリーズが展開されていることによ
り、上記課題を解決したものである。
【0052】この発明では、モータと減速機の間に介在
させる単純遊星ローラ機構を、異なる枠番で複数用意し
ているので、より広範囲の減速比の選択自由度を提供す
ることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0054】図1は本発明を含む駆動装置のシリーズの
全体構成を示している。このシリーズは、任意の変速機
能付き駆動装置を構成するための、ギヤ部(主に減速
機)の選択群SGと、単純遊星ローラ機構としてのトラ
クションドライブ(T/Dと略する場合もある)の選択
群ST/Dと、モータ部(モータ)の選択群SMとから
構成されている。そして、モータ部の選択群SMの中か
ら選択した1個のモータと、T/Dの選択群ST/Dの
中から選択した1個のT/D部(単純遊星ローラ部)
と、ギヤ部の選択群SGの中から選択した1個の減速機
(減速機能を持たない出力機構部の場合を含む)との三
者を連結することにより、任意の変速機能付き駆動装置
を構成できるようになっている。
【0055】この場合、ギヤ部の選択群SGには、次の
複数種類の出力機構部が用意されている。
【0056】(1)それ自体には減速機能はなく、モー
タ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1
段減速を実現する駆動装置GM1を構成するための出力
機構部G1。
【0057】(2)それ自体にT/Dが組み込まれてお
り、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/D
による2段減速を実現する駆動装置GM2を構成するた
めのT/D式減速出力機構部G2。
【0058】(3)それ自体に揺動内接噛合遊星歯車構
造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせ
ることで、T/Dによる1段目減速+揺動内接噛合遊星
歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM3を
構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3。
【0059】(4)それ自体にベベル式歯車構造が内装
されており、モータ並びにT/Dと組み合わせること
で、T/Dによる1段目減速+ベベル式歯車構造による
2段目減速を実現する駆動装置GM4を構成するための
ベベル式歯車減速機G4。
【0060】(5)それ自体にハイポイド式歯車構造が
内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせるこ
とで、T/Dによる1段目減速+ハイポイド式歯車構造
による2段目減速を実現する駆動装置GM5を構成する
ためのハイポイド式歯車減速機G5。
【0061】(6)それ自体にウォーム式歯車構造が内
装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせること
で、T/Dによる1段目減速+ウォーム式歯車構造によ
る2段目減速を実現する駆動装置GM6を構成するため
のウォーム式歯車減速機G6。
【0062】ここで、T/Dによる1段減速を実現する
駆動装置GM1を構成するための出力機構部G1は、図
2に拡大して示すように、ケーシング11と、ケーシン
グ11に軸受13を介して回転自在に設けられた出力軸
12と、出力軸12の内端に結合されたキャリアピン1
01付きキャリア100とから構成されている。
【0063】また、T/Dによる2段減速を実現する駆
動装置GM2を構成するためのT/D式減速出力機構部
G2は、図3に拡大して示すように、ケーシング21
と、ケーシング21に軸受23を介して回転自在に設け
られた出力軸22と、この出力軸22に出力側が結合さ
れた後段減速部をなすT/D24と、このT/D24の
入力側に結合されたキャリアピン101付きキャリア1
00とから構成されている。
【0064】また、T/Dによる1段減速+揺動内接噛
合遊星歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM
3を構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3
は、図4に拡大して示すように、ケーシング31と、ケ
ーシング31に軸受33を介して回転自在に設けられた
出力軸32と、この出力軸32に出力側が結合された揺
動内接噛合遊星歯車構造34と、この揺動内接噛合遊星
歯車構造34の入力側に結合されたキャリアピン101
付きキャリア100とから構成されている。
【0065】また、T/Dによる1段減速+ベベル式歯
車構造による2段減速を実現する駆動装置GM4を構成
するためのベベル式の歯車減速機G4は、図5に拡大し
て示すように、ケーシング41と、ケーシング41に軸
受を介して回転自在に設けられた出力軸42と、この出
力軸42に結合されたベベルギヤ44と、このベベルギ
ヤ44と噛み合うピニオン45と、このベベルピニオン
45に結合されたキャリアピン101付きキャリア10
0とから構成されている。
【0066】また、T/Dによる1段減速+ハイポイド
式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM5を
構成するためのハイポイド式歯車減速機G5は、図6に
拡大して示すように、ケーシング51と、ケーシング5
1に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸52と、
この出力軸52に結合されたハイポイドギヤ54と、こ
のハイポイドギヤ54と噛み合うハイポイドピニオン5
5と、このハイポイドピニオン55に結合されたキャリ
アピン101付きキャリア100とから構成されてい
る。
【0067】また、T/Dによる1段減速+ウォーム式
歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM6を構
成するためのウォーム式歯車減速機G6は、図7に拡大
して示すように、ケーシング61と、ケーシング61に
軸受を介して回転自在に設けられた出力軸62と、この
出力軸62に結合されたピニオンギヤ64と、このピニ
オンギヤ64と噛み合うウォームギヤ65と、このウォ
ームギヤ65に結合されたキャリアピン101付きキャ
リア100とから構成されている。
【0068】また、ケーシングについては、図示例で
は、脚付きタイプ(出力軸と平行な据え付け面を持つ)
のものを示したが、フランジタイプ(出力軸と直角の据
え付け面を持つ)のものも必要に応じて用意されてい
る。
【0069】また、T/D(トラクションドライブ)部
の選択群ST/Dには、複数の枠番毎に、変速比を異な
らせた複数のローラの組み合わせ(リングローラ、遊星
ローラ、太陽ローラの組み合わせ=単純遊星ローラ部=
T/D部120)が用意されている。
【0070】また、モータ部の選択群SMには、三相モ
ータ、ブレーキ付三相モータ、単相モータ、インバータ
用モータ等の複数種類のモータが用意されている。場合
によっては、図8に示すように、大形のモータ群を別途
用意することもある。
【0071】即ち、モータには、出力軸周りカバー11
0A、110B(モータの前端ケーシング)が付属して
おり、このカバー110A、110Bに対して、T/D
部120を構成するローラの組み合わせ(リングロー
ラ、遊星ローラ、太陽ローラの組み合わせ)を組み付け
ることで、T/D機構が構成されるようになっている。
なお、前記カバー110A、110Bは、同径のモータ
(種類は問わず)に対して1種類用意されている。換言
すると、このカバー110A、110B(更に種類を用
意してもよい)に対して種々のモータが組込み可能とさ
れており、従って、カバー110A、110BのT/D
部側の取合い寸法を同一にしておけば、モータの種類、
同径異径に拘らず、同一のT/D部に多種類のモータを
組付けることができる。
【0072】T/D機構(単純遊星ローラ機構)は、太
陽ローラ121と、該太陽ローラ1121の周りを転接
する遊星ローラ122と、該遊星ローラ122が内接す
るリングローラ123とを主体として構成されており、
モータの前部に設けるカバー110に、これらの単純遊
星ローラ部を構成する三種のローラ121、122、1
23を組み込むことで、単純遊星ローラ機構が構成され
る。
【0073】ここでは、同形の単純遊星ローラ部を有す
る単純遊星ローラ機構に対し、その入力側において前記
複数種類用意されたモータの中から任意のモータを選択
・連結可能とすると共に、遊星ローラ122の公転成分
を取り出すキャリア100を介して、その出力側におい
て前記複数種類用意されたギヤ部の中から任意の出力機
構部(主に減速機)を選択・連結可能としている。
【0074】また、T/D部120は、リングローラ1
23を同径として、遊星ローラ122と太陽ローラ12
1の径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備
えられており、更に、T/D部120が、異なる枠番を
有するように複数用意され、それぞれの枠番のT/D部
120を中心として、(枠番の異なる)モータ部、ギヤ
部を有する駆動装置のシリーズが展開されている。ま
た、T/D部120と複数種類用意されたモータとが同
一の取り合い寸法を有するように設定されると共に、T
/D部120と複数種類用意されたギヤ部とが同一の取
り合い寸法を有するように設定されている。
【0075】次に、このシリーズにおいて構成可能な駆
動装置の各例について、拡大した図2〜図7に基づきよ
り詳しく説明する。
【0076】図2は、T/Dによる1段減速を実現する
駆動装置GM1の構成図である。
【0077】この駆動装置GM1は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
出力機構部G1とを組み合わせて一体化したものであ
る。
【0078】この駆動装置GM1を構成するには、モー
タM1の前端にカバー110を固定すると共に、カバー
110の前面の凹部111の内周部に、T/D部の一要
素であるリングローラ123をボルト112で固定す
る。また、リングローラ123の内周に3〜4個の遊星
ローラ122を配置し、遊星ローラ122の内側に太陽
ローラ121を配置して、この太陽ローラ121を、モ
ータ出力軸M1sの先端に結合する。
【0079】この段階で中速モータMCが構成される。
【0080】即ち、モータ出力軸M1sの高速回転をT
/D部120で減速して出力することができるので、後
は遊星ローラ122の公転を取り出すキャリア100を
介してギヤ部と連結することにより、これを実質的な中
速モータMC1として取り扱うことができるようにな
る。この場合、前述したように、T/D部120の減速
比は複数の中から自由に選択できるように用意されてい
るので、減速比の異なる中速モータMCを(潜在的な)
シリーズとして用意することができる。
【0081】上のように、T/D部120をモータM1
の前端のカバー110に組み込んだ後は、出力機構部G
1のキャリア100に設けてあるキャリアピン101
を、各遊星ローラ122に内ローラ(キャリヤピン10
1に被せられ、キャリヤピン121と遊星ローラ122
との間に介在された円筒状の滑り促進部材)101Aを
介して嵌合する。同時に、ケーシング11をボルト19
でモータM1の前端に結合したカバー110に連結す
る。これにより、駆動装置GM1が組み上がる。
【0082】この駆動装置GM1では、モータM1の高
速回転がT/D部120によって中速回転に落とされた
上で、そのまま出力軸12から取り出される。
【0083】即ち、モータM1の主力軸M1sが回転す
ると、その回転がT/D部120の太陽ローラ121に
伝わり、遊星ローラ122が回転しようとする。ここ
で、遊星ローラ122は、固定されたリングローラ12
3に接しているので、リングローラ123の内周に沿っ
て自転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア1
00を介して、出力機構部G1の出力軸12から取り出
される。
【0084】この場合の駆動装置GM1は、歯車減速機
を使用しないので、T/Dの特徴である低騒音、低振動
を実現することができる。また、減速比は、T/D部1
20の選定の仕方により色々と変更することができる。
【0085】なお、キャリア100は、出力機構部G1
の出力軸12の内端に対してスプライン18により結合
してあるので、遊星ローラ122の公転半径の大きさ等
に応じて随時交換することができる。
【0086】次に、図3は、T/Dによる2段減速を実
現する駆動装置GM2の構成図である。
【0087】この駆動装置GM2は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
T/D式減速出力機構部G2とを組み合わせて一体化し
たものである。
【0088】ここで、前述した中速モータMC部分まで
の構成は同じであり、異なるのはT/D式減速出力機構
部G2を出力側に組み合わせた点であるから、異なる点
のみ説明する。
【0089】T/D式減速出力機構部G2の中のT/D
24は、太陽ローラ24Aと、その外周に転接する遊星
ローラ24Bと、遊星ローラ24Bが自身の内周に転接
するリングローラ24Cと、遊星ローラ24Bの公転成
分を取り出すキャリアピン24D付きのキャリア24E
とからなり、このキャリア24Eが出力軸22の後端に
一体形成され、太陽ローラ24Aに、前段のT/D部1
20の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア
100が、スプライン28を介して結合されている。
【0090】この駆動装置GM2を構成するには、ま
ず、前述の中速モータMCを構成した後、T/D式減速
出力機構部G2のキャリア100に設けてあるキャリア
ピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101A
を介して嵌合する。同時に、ケーシング21をボルト2
9でリングローラ24Cと共に、モータM1の前端に結
合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置
GM2が組み上がる。
【0091】この駆動装置GM2では、モータM1の高
速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中
速回転に落とされた上で、T/D式減速出力機構部G2
に入力され、同出力機構部G2内のT/D24で更に減
速された上で、出力軸22から取り出される。
【0092】即ち、モータM1の出力軸M1sが回転す
ると、T/D部120で中速に減速された回転が、T/
D式減速出力機構部G2の入力部材である太陽ローラ2
4Aに入力される。次いで、太陽ローラ24Aの回転に
より、遊星ローラ24Bが回転しようとする。ここで、
遊星ローラ24Bは、固定されたリングローラ24Cに
接しているので、リングローラ24Cの内周に沿って自
転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア24E
を介して、出力軸22から取り出される。
【0093】この場合の駆動装置GM2は、前記の例と
同じく、歯車減速機を使用しないものであるから、T/
Dの特徴である低騒音、低振動を実現することができ
る。また、減速比は、1段目のT/D部120の選定の
仕方と、2段目のT/D24の選定の仕方により色々と
変更することができる。
【0094】次に、図4は、T/Dによる1段目減速+
揺動内接噛合遊星歯車構造による2段目減速を実現する
駆動装置GM3の構成図である。
【0095】この駆動装置GM3は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
揺動内接噛合遊星歯車減速機G3とを組み合わせて一体
化したものである。
【0096】ここで、前述した中速モータMC部分まで
の構成は同じであり、異なるのは揺動内接噛合遊星歯車
減速機G3を出力側に組み合わせた点であるから、異な
る部分のみ説明する。
【0097】揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の中の揺
動内接噛合遊星歯車構造34は、入力軸34Aと、入力
軸34Aの外周に設けられた偏心体34Bと、偏心体3
4Bの外周に軸受34Cを介して嵌合された外歯歯車3
4Dと、外歯歯車34Dが内接噛合する内歯歯車34E
と、外歯歯車34Dに自転成分のみを取り出すキャリア
ピン34F付きのキャリア34Gとからなり、このキャ
リア34Gが出力軸32の後端に一体に形成され、入力
軸34Aに、前段のT/D部120の遊星ローラ122
の公転成分を取り出すキャリア100が、スプライン3
8を介して結合されている。
【0098】この駆動装置GM3を構成するには、ま
ず、前述の中速モータMCを構成した後、揺動内接噛合
遊星歯車減速機G3のキャリア100に設けてあるキャ
リアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ10
1Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング31をボル
ト39で内歯歯車34Eと共に、モータM1の前端に結
合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置
GM3が組み上がる。
【0099】この駆動装置GM3では、モータM1の高
速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中
速回転に落とされた上で、揺動内接噛合遊星歯車減速機
G3に入力され、同揺動内接噛合遊星歯車減速機G3内
の揺動内接噛合遊星歯車構造34で更に大きく減速され
た上で、出力軸32から取り出される。
【0100】即ち、モータM1の主力軸M1sが回転す
ると、その回転がT/D部120で中速に減速された上
で、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の入力部材である
外歯歯車34Dに入力される。外歯歯車34Dは、内歯
歯車34Eに噛合しているので、入力された回転動力
は、外歯歯車34Eの自転成分として取り出され、出力
軸32に伝達される。
【0101】この場合の駆動装置GM3は、出力機構部
として結合してある揺動内接噛合歯車減速機G3自体
が、外歯歯車34Dの偏心回転によってとりわけ振動及
び騒音を生じ易い構造になっているが、T/D部120
の存在によって、全体として騒音及び振動が予想を超え
る大きさで大幅に低減される(後述)。
【0102】次に、図5は、T/Dによる1段目減速+
ベベル式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置
GM4の構成図である。
【0103】この駆動装置GM4は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
ベベル式歯車減速機G4とを組み合わせて一体化したも
のである。
【0104】ここで、前述した中速モータMC部分まで
の構成は同じであり、異なるのはベベル式歯車減速機G
4を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分の
み説明する。
【0105】ベベル式歯車減速機G4のケーシング41
には、互いに直交する関係で入力軸46と出力軸42が
それぞれ回転可能に取り付けられており、入力軸46の
一端にベベルピニオン45が形成され、入力軸46の他
端に、スプライン48を介して、T/D部120の遊星
ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結
合されている。また、出力軸42には、ベベルピニオン
45と噛合するベベルギヤ44が固定されている。
【0106】この駆動装置GM4を構成するには、ま
ず、前述の中速モータMCを構成した後、ベベル式歯車
減速機G4のキャリア100に設けてあるキャリアピン
101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介
して嵌合する。同時に、ケーシング41をボルト49
で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結す
る。これにより、駆動装置GM4が組み上がる。
【0107】この駆動装置GM4では、モータM1の高
速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中
速回転に落とされた上で、ベベル式歯車減速機G4に入
力され、同ベベル式歯車減速機G4内のベベルピニオン
45とベベルギヤ44の噛み合いにより、更に大きく減
速された上で、出力軸42から取り出される。
【0108】この場合の駆動装置GM4は、出力機構部
として結合してあるベベル式歯車減速機G4自体が振動
及び騒音を生じ易い構造になっているが、前述したよう
にT/D部120の存在によって、全体として騒音及び
振動が大幅に低減される。
【0109】次に、図6は、T/Dによる1段目減速+
ハイポイド式歯車構造による2段目減速を実現する駆動
装置GM5の構成図である。
【0110】この駆動装置GM5は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
ハイポイド式歯車減速機G5とを組み合わせて一体化し
たものである。
【0111】ここで、前述した中速モータMC部分まで
の構成は同じであり、異なるのはハイポイド式歯車減速
機G5を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部
分のみ説明する。
【0112】ハイポイド式歯車減速機G5のケーシング
51には、互いに直交する関係で入力軸56と出力軸5
2がそれぞれ回転可能に取り付けられている。この場
合、入力軸56は、出力軸52の中心を通る出力軸52
と直交する線に対して所定距離だけオフセットした軸線
上に配置されており、入力軸56の一端にハイポイドピ
ニオン55が形成され、入力軸56の他端に、スプライ
ン58を介して、T/D部120の遊星ローラ122の
公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。
また、出力軸52には、ハイポイドピニオン55と噛合
するハイポイドギヤ54が固定されている。
【0113】この駆動装置GM5を構成するには、ま
ず、前述の中速モータMCを構成した後、ハイポイド式
歯車減速機G5のキャリア100に設けてあるキャリア
ピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101A
を介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト5
9で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結
する。これにより、駆動装置GM5が組み上がる。
【0114】この駆動装置GM5では、モータM1の高
速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中
速回転に落とされた上で、ハイポイド式歯車減速機G5
に入力され、同ハイポイド式歯車減速機G5内のハイポ
イドピニオン55とハイポイドギヤ54の噛み合いによ
り、更に大きく減速された上で、出力軸52から取り出
される。
【0115】この場合の駆動装置GM5における出力機
構部として結合してあるハイポイド式歯車減速機G5
は、これ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっ
ているが、T/D部120の存在によって、全体として
一層騒音及び振動が低減された駆動装置が実現できる。
【0116】次に、図7は、T/Dによる1段目減速+
ウォーム式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装
置GM6の構成図である。
【0117】この駆動装置GM6は、モータ部の選択群
SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸
周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中
から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部1
20と、カバー110を介してモータM1と結合される
ウォーム式歯車減速機G6とを組み合わせて一体化した
ものである。
【0118】ここで、前述した中速モータMC部分まで
の構成は同じであり、異なるのはウォーム式歯車減速機
G6を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分
のみ説明する。
【0119】ウォーム式歯車減速機G6のケーシング6
1には出力軸62が回転可能に取り付けられており、こ
の出力軸62にウォームギヤ64が固定されている。ま
た、ウォームギヤ64に噛み合うようにウォームピニオ
ン65を備えた入力軸66が回転自在に設けられ、入力
軸66の一端に、スプライン68を介して、T/D部1
20の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア
100が結合されている。
【0120】この駆動装置GM6を構成するには、ま
ず、前述の中速モータMCを構成した後、ウォーム式歯
車減速機G6のキャリア100に設けてあるキャリアピ
ン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを
介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト69
で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結す
る。これにより、駆動装置GM6が組み上がる。
【0121】この駆動装置GM6では、モータM1の高
速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中
速回転に落とされた上で、ウォーム式歯車減速機G6に
入力され、同ウォーム式歯車減速機G6内のウォームピ
ニオン65とウォームギヤ64の噛み合いにより、更に
大きく減速された上で、出力軸62から外部に取り出さ
れる。
【0122】この場合の駆動装置GM6における出力機
構部として結合してあるウォーム式歯車減速機G6もこ
れ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっている
が、T/D部120の存在によって、全体として一層騒
音及び振動が低減された駆動装置が実現できる。
【0123】〔騒音測定試験〕次に、本発明の有効性を
客観的に示すデータとして、上述した本発明の実施形態
の駆動装置の騒音測定試験を実施した結果について説明
する。
【0124】ここでは、本発明の駆動装置のサンプルと
して、一番騒音レベルの高いとされる揺動内接噛合遊星
歯車減速機G3を組み込んだ駆動装置GM3を使用して
試験を行い、比較のために、他の複数のギヤドモータに
ついても同じ測定試験を行った。
【0125】測定試験に用いたギヤドモータは6種類あ
り、全てモータと2段の減速部を有する。即ち、モータ
に対して、1段目の減速部として比較例を含めて6種類
の減速部が連結され、2段目の減速部として、全て揺動
内接噛合遊星歯車構造が連結されている。
【0126】各サンプル(a)〜(f)として用意した
ギヤドモータは次の通りの構成であり、各タイプのギヤ
ドモータの機構部分の組み合わせを、簡略のために記号
を用いて図9に示す。
【0127】ここで使用している記号の意味は、 M … モータ C … 揺動内接噛合遊星歯車タイプ F … 振り分け軸タイプ P … 単純遊星タイプ G … 歯車タイプ T/D … ローラによる摩擦伝動タイプ であり、個別的には、 C1 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(後段側=2段目) C2 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(前段側=1段目) F(G) … 振り分け軸タイプで歯車式の減速段 F(T/D)… 振り分け軸タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段 P(G) … 遊星タイプで歯車式の減速段 P(T/D)… 遊星タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段 A … 遊星ローラの保持タイプ(1) B … 遊星ローラの保持タイプ(2) である。
【0128】〔試験に用いたギヤドモータのタイプ〕各
タイプのサンプル(a)〜(f)のギヤドモータについ
て、記号で表すと次のようになる。
【0129】(a)サンプル…「C1+C2+M」 (b)サンプル…「C1+F(G)+M」 (c)サンプル…「C1+F(T/D)+M」 (d)サンプル…「C1+P(G)+M」 (e)サンプル…「C1+P(T/D)A+M」 (f)サンプル…「C1+P(T/D)B+M」 これらのサンプルのうち、(a)〜(d)は比較例とし
て用意したギヤドモータ、(e)、(f)は本発明の実
施形態のギヤドモータである。
【0130】(a)のサンプル「C1+C2+M」のギ
ヤドモータは、図19に示すタイプのギヤドモータ60
0である。このギヤドモータ600は、第1段目の減速
部に揺動内接噛合遊星歯車機構601(C2)を有し、
第2段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構602
(C1)を有する。そして、第1段目の揺動内接噛合遊
星歯車機構601の入力軸に、モータ(M)603の軸
がスプライン605により浮動結合され、第1段目の揺
動内接噛合遊星歯車機構601の出力軸が、第2段目の
揺動内接噛合遊星歯車機構602の入力軸にスプライン
604により浮動結合されている。
【0131】(b)のサンプル「C1+F(G)+M」
のギヤドモータは、図20に示すタイプのギヤドモータ
700である。このギヤドモータ700は、図17の
「摩擦ローラ(太陽ローラ511と振り分けローラ51
2)」を、「歯車(太陽歯車711と振り分け歯車71
2)」に置き換えたものである。即ち、このギヤドモー
タ700は、振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車
機構(C1)751の振り分け軸703に、太陽歯車7
11と振り分け歯車712からなる歯車伝動機構752
〔F(G)〕で入力回転を与えるように構成したもので
ある。太陽歯車711を先端に設けた入力軸702は、
モータ753(M)の軸701にスプライン結合されて
いる。
【0132】(c)のサンプル「C1+F(T/D)+
M」のギヤドモータは、図17に示した従来のタイプの
ギヤドモータ500である。このギヤドモータ500で
は、振り分け軸に摩擦ローラタイプの伝動機構〔F(T
/D)〕によって入力回転を与えるようになっている。
【0133】(d)のサンプル「C1+P(G)+M」
のギヤドモータは、図21に示すタイプのギヤドモータ
800である。このギヤドモータ800は、1段目減速
部に遊星歯車機構801〔P(G)〕を有し、2段目減
速部に揺動内接噛合遊星歯車構造802(C1)を有す
るものであり、遊星歯車機構801の入力軸とモータM
の出力軸の連結部805、及び、遊星歯車機構801の
出力軸と揺動内接噛合遊星歯車構造802の入力軸の連
結部804が、共に浮動結合構造となっているものであ
る。
【0134】(e)のサンプル「C1+P(T/D)A
+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動
装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータ
は、1段目に単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且
つ、遊星ローラの公転成分の取出しをキャリアに設けた
リテーナで行うタイプのものである。
【0135】(f)のサンプル「C1+P(T/D)B
+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動
装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータ
は、単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且つ、遊星
ローラの公転部分の取出しをキャリアに設けたピンで行
うタイプのものである。
【0136】〔試験の条件及び方法〕測定試験の条件及
び方法は以下の通りである。
【0137】(1)測定は、無負荷の場合と100%負
荷の場合で行った。
【0138】(2)ならし運転は、潤滑方式によらず、
右2分、左2分だけ、測定前に無負荷で行った。
【0139】(3)測定時の回転方向は、左右両方向で
行った。
【0140】(4)測定は、ギヤドモータの上方、左
横、右横、低速軸の前、及びモータの後の各表面から1
m(突起物を除く1m)の距離の5カ所にマイクロホン
を設置して行った。
【0141】(5)測定は、マイクロホンセレクタを切
り替えて、精密騒音測定計で1カ所ずつデータを読みと
ることで行った。
【0142】(6)測定場所は防音室とした。
【0143】(7)据え付けは、設置条件として厳しい
低剛性の軽量架台への据付を想定した。なお、一部につ
いてはFC定盤(鋳鉄)の上への据付についても測定を
実施した。両者とも架台や定盤の上面とサンプル機械と
の間に空間があかないようにしてある。
【0144】(8)負荷はブロニーブレーキで与えた。
【0145】(9)聴感補正はA特性とした。
【0146】(10)騒音計の出力をFFT分析して、騒
音スペクトルを測定した。そのときのサンプリングモー
ドは、32回SUM(平均化処理)とした。
【0147】〔騒音測定結果〕騒音測定結果を図10の
表に数値で示し、100%負荷時の騒音量の違いを図1
1のグラフに示す。また、騒音スペクトルを分析した結
果を、図12〜図15に示す。
【0148】〔騒音測定結果からの考察1〕この測定試
験結果から、次のことが考察できる。
【0149】(1)まず、(a)のギヤドモータの場合
を基準に見てみると、(b)の振り分けタイプの歯車式
のギヤドモータは、(a)よりも高騒音となっている。
これは、振り分けタイプであるが故に、振り分け軸を通
して振動が相互伝達することにより、全体が共振化して
いるため、と考えることができる。
【0150】(2)次に振り分けタイプにおいて、振り
分け伝動方式を摩擦ローラ式にした(c)のタイプを見
てみると、(b)よりも低騒音化していることが分か
る。これは、摩擦ローラの接触面での振動吸収作用が功
を奏しているため、と考えることができる。しかし、摩
擦ローラを使用した場合でも、(a)のタイプと大差は
ない。このことは、単に摩擦ローラを使用したというだ
けでは、騒音低減の効果は必ずしも得られないことを意
味している。
【0151】(3)次に(d)の遊星歯車機構を前段に
使用したギヤドモータについて見てみると、(a)〜
(c)のタイプに比べて相当に騒音が大きいことが分か
る。これは、遊星歯車機構自体が歯車の噛み合い箇所を
多数持つものであり、多数の噛み合い箇所で発生する振
動が、全体の騒音レベルを押し上げているため、と考え
ることができる。このことは、単に単純遊星タイプの減
速部を介在させたというだけでは、騒音低減の効果は得
られず、むしろ、騒音は増大してしまう場合があること
を意味している。
【0152】(4)それに対し、本発明の実施形態で示
した(e)タイプと(f)タイプのギヤドモータについ
て見てみると、他のタイプのものに比べて、大幅な低騒
音化が達成できていることが分かる。これは、主には単
純遊星タイプにおいて、歯車の代わりに、摩擦ローラを
使用したことによる、と考えることができる。
【0153】つまり、(d)の遊星歯車タイプのギヤド
モータでは、遊星タイプであるが故に、逆に歯車の噛み
合い箇所が多くなることで、極めて高騒音化している
が、(e)、(f)のタイプのギヤドモータでは、その
歯車を摩擦ローラに代えることで、却って摩擦接触面が
多数箇所確保されることになり、騒音吸収効果が増して
全体の低騒音化が達成できたものと考えることができ
る。
【0154】(5)次に(c)のタイプと(e)、
(f)のタイプの違いを見てみると、(c)の振り分け
ローラタイプは、摩擦接触面の数は(e)、(f)のタ
イプと同じ程度確保することができるが、むしろ振り分
け軸の振動を拾ってしまう(前述)ことで、騒音低下の
効果があまり出てこなかったと考えることができる。反
対に、(e)、(f)のタイプは、単純遊星タイプであ
るが故に、無用な振動を拾わずに済むため、低騒音化に
寄与できたと見なせる。
【0155】(6)また、据え付け方式を軽量架台から
定盤にした場合、(a)のタイプは大きな変化があった
が、(e)、(f)のタイプでは、あまり大きな変化は
見られなかった。この事実から(a)のタイプでは、相
当大きなレベルの振動がギヤドモータ自体にあり、従っ
てこれを軽量架台に取り付けた場合には、該軽量架台が
ギヤドモータによって加振され(共振することによっ
て)大きな騒音を発生する。
【0156】一方、これを定盤のような剛性上極めて強
固な相手に据え付けた場合には、当該振動が据付によっ
て抑制されるようになるため、騒音も減少する;それに
対し、(e)、(f)のタイプでは、既にギヤドモータ
自体の振動のレベルが相当程度押さえ込まれているた
め、据え付け方式の違い、あるいは据え付け相手も違い
による差が出てこない、という推察が可能となる。
【0157】この推察の当否はともかく、いずれにして
も(e)、(f)の本発明の場合は、据え付け方式の違
いによる差が出て来ないレベルまで、振動低減効果が行
き届いていることだけは明白である。この種のギヤドモ
ータは、実際上必ず何らかの相手部材に据付なければな
らないことを考えると、「相手部材の如何によらず騒音
レベルが低い」というのは、非常に大きなメリットであ
ると言える。
【0158】(7)騒音スペクトルを見てみても分かる
ように、(e)、(f)の場合は、他の(a)〜(d)
に比べて、ほとんど全ての周波数領域において、騒音レ
ベルが低減している。従って、周波数が大きい範囲で知
覚され易い騒音も、周波数が低い範囲で知覚され易い振
動も大幅に低減されていると見なせる。
【0159】なお、ここでは、内接噛合遊星歯車構造の
減速部との連結のみをデータとして示したが、他の減速
部との連結においても同様の効果が得られることが発明
者らの追試験によって確認されている。そしてその知見
が本発明創案の原点となっている。
【0160】なお、上記実施形態では、ギヤドモータと
しての一体性を確保するために、モータのカバー110
の中にT/D部120を組み込んでいたが、カバー11
0を伝って減速機とモータ間で振動が伝達するのを遮断
するために、敢えて、減速機とモータのカバーとT/D
部のハウジングとを分離した上で結合するようにしても
よい。その場合は、T/D機構のハウジングの両端にフ
ランジを形成し、これらのフランジを減速機とモータに
結合するようにすればよい(フランジタイプ)。
【0161】このようにケーシング(ハウジングあるい
はカバーを含む)間の縁を切ることにより、ケーシング
を伝ってモータと減速機の間で振動が伝達するのを遮断
することができるようになり、一層の「低騒音化」が可
能になる。この場合、各ケーシングの連結部分にゴム等
の振動吸収手段を挟み込むことで、一層の振動伝達阻止
を図ることができる。
【0162】なお、フランジタイプの場合は、連結する
2者の取合い寸法の差を該フランジによって吸収するこ
とができるようになるため連結の自由度が一層高まると
いうメリットが得られる。
【0163】又、ケーシングを介しての外部への振動伝
達を回避する目的で、単純遊星ローラ機構のリングロー
ラ123をカバー110に直接固定するのを止めて、両
者の間に振動吸収部材や空間を介在させることも考えら
れる。
【0164】そうすれば、ギヤドモータとしての一体性
は若干低下するが、減速機と単純遊星ローラ機構とモー
タの三者を、動力伝達経路においても、又、ケーシング
においても、完全に遮断することができる。この結果、
特にケーシングの振動を抑えることができることから、
駆動装置自体のみならず、相手機械(部材)との間の共
振回避効果をも更に高めることができる。なお、このよ
うに三者のケーシングを分断した場合には、ギヤドモー
タの外部への取付脚部を、単純遊星ローラ機構のケーシ
ングに設けることで、据え付け状態での相手部材への振
動の伝達を更に抑制することができ、より一層騒音レベ
ルを低減させることができる。
【0165】また、本発明の駆動装置はT/D部を介在
させたことにより、各ローラの径のバリエーションを組
み合わせることにより、非常に多種多様な減速比を備え
た駆動装置のシリーズを容易に展開できる。
【0166】即ち、歯車式の減速機は、その構造上、ひ
とつひとつの部品が特殊で、多くの種類の部品を常時保
有するのは、在庫コストが非常に嵩むため、メーカーサ
イドでの大きな問題のひとつとなっている。しかし、単
純遊星ローラ機構は、ローラの径をわずかな追加加工で
無段階に容易に変えることができるため、個別的なより
微妙な変速比の調整についても適用範囲が広い。
【0167】なお、前述の各実施形態の駆動装置GM1
〜GM6においては、潤滑を特殊なグリース潤滑として
おり、一般的には分離して別の種類のグリースを用いる
1段目のT/D部分と、2段目以降の減速部の潤滑を共
有化している。これにより、低速段で温度上昇が少なく
消耗(酸化)の少ないグリースを高速段であるT/D部
分へ円滑に補給できるようになっている。なおT/Dと
歯車式の減速機とでグリースを共用化することについて
は、特願平11−364225号に詳しい開示がある。
【0168】
【発明の効果】本発明の駆動装置のシリーズによれば、
モータと減速機とを組み合わせて任意の減速機付きモー
タを構成する際に、モータと減速機との間に、太陽ロー
ラと、遊星ローラと、リングローラからなる単純遊星ロ
ーラ部を介在させたので、単純遊星ローラ部において減
速機とモータ間で伝わろうとする振動を効果的に吸収す
ることができ、減速機とモータ間で起こる複雑な共振現
象を回避することができて、駆動装置全体の振動や騒音
のレベルを大幅に低減することができる。また、モータ
及び減速機をそれぞれ複数種類の中から選択して組み合
わせることができる上に、第1減速段である単純遊星ロ
ーラ部での減速比のバリエーションを豊富に用意するこ
とができるので、使用者の減速比の要求に柔軟に且つ確
実に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態として示す駆動装置のシリー
ズの構成図
【図2】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第1例を示す側断面図
【図3】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第2例を示す側断面図
【図4】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第3例を示す側断面図
【図5】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第4例を示す側断面図
【図6】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第5例を示す側断面図
【図7】同シリーズにおいて構成することのできる駆動
装置の第6例を示す側断面図
【図8】同シリーズのモータの選択群を更に豊富化させ
た例を示す図
【図9】騒音測定試験を行うサンプルとして用意したギ
ヤドモータのタイプを示す図
【図10】騒音測定試験結果を表として示す図
【図11】騒音測定試験結果をグラフとして示す図
【図12】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図13】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図14】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図15】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図16】従来のギヤドモータの断面図
【図17】従来の振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星
歯車構造の断面図
【図18】図18のXIX−XIX矢視部の概略断面図
【図19】騒音測定試験で比較例として用いたギヤドモ
ータの断面図
【図20】騒音測定試験で比較例として用いた他のギヤ
ドモータの断面図
【図21】騒音測定試験で比較例として用いた更に他の
ギヤドモータの断面図
【符号の説明】
GM1〜GM6…駆動装置 G3〜G6…減速機 100…キャリア 120…単純遊星ローラ部(T/D部) 121…太陽ローラ 122…遊星ローラ 123…リングローラ SG…ギヤ部の選択群 ST/D…単純遊星ローラ部の選択群 SM…モータ部の選択群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 7/116 H02K 7/116 (72)発明者 為永 淳 愛知県大府市朝日町六丁目1番地 住友重 機械工業株式会社名古屋製造所内 (72)発明者 兼光 健一 愛知県大府市朝日町六丁目1番地 住友重 機械工業株式会社名古屋製造所内 Fターム(参考) 3J009 DA20 EA06 EA16 EA23 EA32 FA14 3J027 FA17 FB34 GA01 GB03 GC13 GC22 GD04 GD08 GD12 GE01 3J051 AA01 BA03 BB08 BC01 BD02 BE03 ED15 FA08 5H607 AA12 BB01 BB06 BB14 CC03 DD03 DD09 DD19 EE32 EE33 EE36 FF01 GG08 JJ05 JJ06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータと減速機とを組み合わせることによ
    り、任意の減速機付きモータを選択可能とした駆動装置
    のシリーズにおいて、 前記モータとして複数種類のモータを用意すると共に、
    前記減速機として複数種類の歯車式の減速機を用意し、
    更に、 太陽ローラと、該太陽ローラの周りを転接する遊星ロー
    ラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、からな
    る単純遊星ローラ部を備えた単純遊星ローラ機構を用意
    し、 同形の単純遊星ローラ部を有する単純遊星ローラ機構に
    対し、その入力側において前記複数種類用意されたモー
    タの中から任意のモータを選択・連結可能とすると共
    に、前記遊星ローラの公転成分を取り出すキャリアを介
    して、その出力側において前記複数種類用意された減速
    機の中から任意の減速機を選択・連結可能とし、 前記モータ、単純遊星ローラ部、及び減速機の三者が連
    結されてなる複数の駆動装置によって構築されているこ
    とを特徴とする駆動装置のシリーズ。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記単純遊星ローラ機構が、前記リングローラを同径と
    して、遊星ローラと太陽ローラの径比を変えて、異なる
    変速比を有するように複数備えられていることを特徴と
    する駆動装置のシリーズ。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 前記単純遊星ローラ機構と前記複数種類用意されたモー
    タとが同一の取り合い寸法を有すると共に、該単純遊星
    ローラ機構と前記複数種類用意された減速機とが同一の
    取り合い寸法を有することを特徴とする駆動装置のシリ
    ーズ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の単純遊星
    ローラ機構が、異なる枠番を有するように複数用意さ
    れ、それぞれの枠番の単純遊星ローラ機構を中心とし
    て、請求項1〜3のいずれかに記載の減速機付きモータ
    のシリーズが展開されていることを特徴とする駆動装置
    のシリーズ。
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