JP2000329200A - 揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置及び変速装置 - Google Patents

揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置及び変速装置

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JP2000329200A
JP2000329200A JP11180641A JP18064199A JP2000329200A JP 2000329200 A JP2000329200 A JP 2000329200A JP 11180641 A JP11180641 A JP 11180641A JP 18064199 A JP18064199 A JP 18064199A JP 2000329200 A JP2000329200 A JP 2000329200A
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planetary gear
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Seiji Minegishi
清次 峯岸
Akira Yamamoto
章 山本
Atsushi Tamenaga
淳 為永
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動や騒音のレベルを大幅に低減する。 【解決手段】 ユニットの中心軸線L上に第1軸111
と第2軸112を有し、第1軸の外周に揺動転可能に外
歯歯車115a、115bが嵌合され、第1軸と同心に
外歯歯車が内接噛合する内歯歯車120が設けられ、第
2軸が外歯歯車の自転成分のみを取り出す手段117を
介して外歯歯車に連結されてなる揺動内接噛合遊星歯車
構造式の減速機ユニット102と、モータユニット10
3とを互いに連結してなるギヤドモータ101におい
て、減速機ユニットとモータユニットの間に、ローラの
摩擦で回転動力を伝達する単純遊星ローラ機構202を
介在させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揺動内接噛合遊星
歯車構造を変速機構として備えたギヤドモータ等の駆動
装置、並びに、揺動内接噛合遊星歯車構造を変速部の主
体として備えた変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内歯歯車、及び該内歯歯車に内接
噛合する外歯歯車を有し、且つ、前記内歯歯車の中心
が、外歯歯車の周囲の内側にある揺動内接噛合歯車装置
(国際分類F16H1/32に該当する歯車装置)が広
く知られている。
【0003】図17は、特開平5−231482号公報
に記載された従来のこの種の揺動内接噛合遊星歯車装置
を減速機ユニットとして備えたギヤドモータの例を示し
ている。このギヤドモータ1は、当該減速機ユニット
(揺動内接噛合遊星歯車ユニット)2と、モータユニッ
ト3とを結合して一体化したものである。
【0004】減速機ユニット2のケーシング51は、軸
線方向中央に配された中央ケーシング52と、モータユ
ニット3側の継ケーシング53と、モータユニット3と
反対側の前部ケーシング54とからなる。モータユニッ
ト3のケーシング55は、固定子等を内装した円筒ケー
シング56と、減速機ユニット2側の継ケーシング53
と、減速機ユニット2と反対側の後面カバー57とから
なる。この場合、前記継ケーシング53が、両ユニット
2、3のケーシング51、55の一部を兼用しており、
この継ケーシング53を介して、両ユニット2、3が一
体に結合されている。
【0005】減速機ユニット2は、ユニットの中心軸線
L上に、入力軸となる第1軸11と出力軸となる第2軸
12とを備えている。第1軸11は減速機ユニット2の
軸線方向一端側に配され、第2軸12は減速機ユニット
2の軸線方向他端側に配されている。
【0006】第1軸11の外周上には、所定位相差(こ
の例では180°)をもって軸方向に隣接して2つの偏
心体13a、13bが嵌合され、これら偏心体13a、
13bが、第1軸11と一体に回転するようになってい
る。偏心体13a、13bの中心は、それぞれ第1軸1
1の軸芯に対して所定の偏心量だけ偏心している。それ
ぞれの偏心体13a、13bの外周には、ベアリング1
4a、14bを介して外歯歯車15a、15bが嵌合さ
れている。
【0007】これら各偏心体13a、13bに嵌合され
た複列の外歯歯車15a、15bには、内ピン孔16
a、16bがそれぞれ複数設けられており、これら内ピ
ン孔16a、16bに内ピン17が遊嵌されている。
【0008】外歯歯車を2枚(複列)にしているのは、
主に伝達容量の増大、強度の維持、回転バランスの保持
を図るためである。
【0009】外歯歯車15a、15bの外周にはトロコ
イド歯形や円弧歯形の外歯が設けられ、この外歯は、第
1軸11と同心に設けられた内歯歯車20に対して内接
噛合している。内歯歯車20は、中央ケーシング52の
内周に一体的に形成されており、各内歯が、中央ケーシ
ング52の内周に保持された外ピン21によって形成さ
れている。
【0010】結局、この減速機ユニット2は、内歯歯車
20、及び該内歯歯車20に内接噛合する外歯歯車15
a、15bを有し、且つこの内歯歯車20の中心が外歯
歯車15a、15bの外周の内側にあるという特徴(国
際分類F16H1/32に規定する特徴)を有している
ことになる。
【0011】2枚の外歯歯車15a、15bの両側には
一対のキャリア23、24が配されている。両キャリア
23、24は、それぞれ継ケーシング53の内周及び前
部ケーシング54の内周に嵌合した軸受31、32によ
り回転自在に支持され、外歯歯車15a、15bを貫通
する複数本のキャリアピン(連結ピン)25及びスペー
サ26で一体に結合されている。
【0012】又、前記外歯歯車15a、15bの内ピン
孔16a、16bに遊嵌された内ピン17の両端は、両
側のキャリア23、24にすべり回転可能に結合されて
いる。そして、これにより、外歯歯車15a、15bの
自転成分のみが、内ピン17を介して両側のキャリア2
3、24に伝達されるようになっている。
【0013】モータユニット3側のキャリア23は、中
央孔23aを有するリング状をなしており、この中央孔
23aに、第1軸11の一端が、モータ軸61と連結で
きるように臨んでいる。
【0014】又、反対側のキャリア24は第2軸12の
基部に一体形成されており、該キャリア24に形成され
た凹所24aに、第1軸11の他端が挿入されている。
そして、第1軸11は、一方のキャリア23の中央孔2
3aの内周に嵌合された軸受33と、他方のキャリア2
4の内周に嵌合された軸受34とによって回転自在に支
持されている。
【0015】モータユニット3のモータ軸61は、後端
が後面カバー57に嵌合した軸受62により支持され、
前端が継ケーシング53に嵌合した軸受63により支持
されており、減速機ユニット2の中心軸線Lと同軸上に
配されている。
【0016】前端側の軸受63より外に突出したモータ
軸61の先端は、減速機ユニット2の内部に挿入されて
おり、減速機ユニット2のキャリア23の中央孔23a
内において、前記第1軸11の一端とカップリング70
により連結されている。
【0017】この場合、カップリング70の内周と両軸
11、61の外周にはスプラインが形成されており、カ
ップリング70を介して両軸11、61がスプライン結
合されている。ここでは、スプラインによって、第1軸
11とモータ軸61とが、相対的に径方向の遊びを許し
ながら互いにフローティング結合(浮動結合)されてい
る。
【0018】次に作用を説明する。
【0019】このような構成のギヤドモータ1におい
て、モータ軸61と連結された第1軸11が1回転する
と、偏心体13a、13bが1回転する。この偏心体1
3a、13bの1回転により、外歯歯車15a、15b
は第1軸11の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯
歯車20によってその自由な自転が拘束されるため、外
歯歯車15a、15bは、この内歯歯車20に内接しな
がらほとんど揺動のみを行うことになる(この種の減速
構造の特徴)。
【0020】今、例えば外歯歯車15a、15bの歯数
をN、内歯歯車20の歯数をN+1とした場合、その歯
数差Nは1である。そのため、第1軸11の1回転毎に
外歯歯車15a、15bは、固定された内歯歯車20に
対して1歯分だけずれる(自転する)ことになる。これ
は第1軸11の1回転が外歯歯車15a、15bの−1
/Nの回転に減速されたことを意味する。
【0021】この外歯歯車15a、15bの回転は内ピ
ン孔16a、16b及び内ピン17の隙間によってその
揺動成分が吸収され、自転成分のみが該内ピン17を介
してキャリア23、24に伝えられ、それが第2軸12
へと伝達される。
【0022】この結果、結局減速比−1/N(マイナス
は逆回転を表す)の減速が達成される。
【0023】次に他の従来例を説明する。
【0024】図18、図19は、特開平10−2998
41公報に記載された従来のギヤドモータの例を示して
いる。このギヤドモータ500に使用されている揺動内
接噛合遊星歯車構造は、いわゆる振り分け軸タイプのも
のである。
【0025】この内接噛合遊星歯車構造は、外部のモー
タ軸501に連結される第1軸502と、該第1軸50
2と同心の円周上に配置され、該第1軸502と連動し
て回転する複数の振り分け軸503と、該複数の振り分
け軸503上にそれぞれ設けられた偏心体504と、該
偏心体504に嵌合されることにより、前記第1軸50
2に対して偏心回転可能とされた外歯歯車505と、前
記第1軸502と同心に組み込まれ、前記外歯歯車50
5が該第1軸502に対して偏心回転しながら内接噛合
する内歯歯車506と、前記複数の振り分け軸503と
連結された第2軸507と、を備える。この内接噛合遊
星歯車構造では、偏心体504を一対のキャリア52
3、324の間に位置するように配置すると共に、キャ
リア523、524によって振り分け軸503を回転可
能に支持している。そして、前記第1軸502に太陽ロ
ーラ511を設け、前記複数の振り分け軸503のそれ
ぞれに、該太陽ローラ511と各々外接する複数の振り
分けローラ512をスプライン結合により設け、これら
複数の振り分けローラ512の外側に、前記太陽ローラ
511の直径と振り分けローラ512の直径の2倍との
和よりやや小さい内径を有すると共に、前記振り分けロ
ーラ512が内接する圧接リング513を設けたもので
ある。この場合の圧接リング513は、単に太陽ローラ
511と振り分けローラ512との間に圧接力を発生さ
せるためのものであり、機能としては単純遊星のリング
のそれとは異なる。
【0026】なお、図17、図18等に示したこの種の
歯車構造としては、上述したように外歯歯車が内歯歯車
に対して揺動回転するタイプと逆に内歯歯車が外歯歯車
に対して揺動回転するタイプとがある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図17や図
18に示したような外歯歯車(又は内歯歯車)が相手歯
車に対して相対的に揺動回転する内接噛合遊星歯車構造
を採用した減速ユニットは、単純且つコンパクトな構造
で剛性が高い上に、高い減速比が得られるという利点を
有するものの、外歯歯車(あるいは内歯歯車)が揺動し
ながら相手側歯車と噛み合う構造になっているので、ど
うしても騒音が大きくなりやすいという問題を有してい
る。
【0028】特に、実際には他の外部ユニットと結合し
て使用するので、ユニット同士が互いに共振して、騒音
が一層大きくなる現象が起こるという問題がある。
【0029】例えば、上記のようにモータと組み合わせ
てギヤドモータを構成した場合、減速機ユニット側で発
生する振動によって、それと結合されているモータが加
振され、モータ自身が発生する振動と一緒になって複雑
な共振を起こす。更にその振動が元の減速機ユニットに
戻ることで、より複雑な共振を起こし、それらが原因
で、稀にギヤドモータ全体で大きな騒音を発生すること
がある。
【0030】この点、図17のギヤドモータ1の場合
は、モータ軸61と第1軸11をスプライン式のカップ
リング70を介してフローティング結合することによ
り、モータユニット3自身の振動と、減速機ユニット2
自身の振動の相互伝達を阻止して、両者が共振するのを
防止するようにしている。
【0031】しかしながら、カップリング70を介して
フローティング結合するだけでは、振動の相互伝達を大
きく抑制することができないため、十分な騒音低減効果
が得られなかった。
【0032】又、図18の振り分け軸タイプの内接噛合
遊星歯車構造を採用したギヤドモータの場合も、実際に
運転してみると、期待していたほどの騒音低減効果が得
られなかった。その理由としては、次のことが考えられ
る。
【0033】即ち、この振り分けタイプの構造は、各振
り分け軸503に外歯歯車505の揺動運動に伴う振動
や撓みが生じるので、該振り分け軸503は、どうして
もこの外歯歯車505からの荷重を受けて振動したり変
形(撓む)したりする可能性が高い。にもかかわらず、
このギヤドモータでは、その振り分け軸503上に、太
陽ローラ511と圧接する振り分けローラ512が存在
するので、振り分け軸503の振動や変形が直接、振り
分けローラ512→太陽ローラ511と伝わってしま
い、摩擦ローラを使用したこと故の振動伝達の阻止作用
がうまく機能していない。換言すると、高速低トルクの
動力伝達に適したローラ512を、内接噛合遊星歯車構
造の荷重伝達に伴う変形の影響を直接的に受ける振り分
け軸503に直接配置していることに原因があったと考
えられる。
【0034】いずれにしても(原因はともかく)、結
局、上述した従来技術では、摩擦ローラが組込まれてい
たとしても、騒音改善効果はギヤドモータの常識を塗り
替えるまでには達成されていなかった。
【0035】本発明は、上記知見に基づいて為されたも
ので、振動や騒音のレベルを大幅に低減することのでき
る揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置及び変速
装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の駆動装
置は、内歯歯車、及び該内歯歯車に内接する外歯歯車を
有し、且つ、前記内歯歯車の中心が外歯歯車の周囲の内
側にある揺動内接噛合遊星歯車ユニットと、該揺動内接
噛合遊星歯車ユニットに対して動力を入力、又は取り出
し可能に連結された外部ユニットとを、備えた駆動装置
において、前記揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユ
ニットとの間に、互いに接する複数の摩擦ローラの摩擦
により揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニットと
の間で回転動力を伝達する摩擦伝動ユニットを介在さ
せ、且つ、該摩擦伝動ユニットを、前記摩擦ローラとし
て、太陽ローラと、キャリアに保持されると共に前記太
陽ローラの外周に転接する複数の遊星ローラと、該複数
の遊星ローラが内接するリングローラと、を備える単純
遊星ローラ機構によって構成したことにより、上記課題
を解決したものである。
【0037】この駆動装置において最も重要な要件は、
1つは揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニットと
の間に、摩擦伝動ユニットが介在されていることであ
り、もう1つはその摩擦伝動ユニットとして単純遊星ロ
ーラ機構が採用されていることである。
【0038】この2つの要件は、これからの説明や実験
結果から明らかなように、これらが組合わされて初めて
本発明本来の(従来の常識を超える)効果をもたらす。
即ちいずれか一方のみでは有益な効果は得られない。
【0039】以下、詳細に説明する。
【0040】この駆動装置では、先ず、揺動内接噛合遊
星歯車ユニットと外部ユニットとの間に、単純遊星ロー
ラ機構よりなる摩擦伝動ユニットを介在させているの
で、そもそも揺動内接噛合遊星歯車ユニットの入力回転
速度が低下することにより、揺動内接噛合遊星歯車ユニ
ットで発生する振動を小さくすることができ、加えて、
摩擦伝動ユニットの両側のユニット間で伝わろうとする
振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を、摩擦
伝動ユニットの摩擦ローラの接触面によって吸収するこ
とができる。
【0041】その結果、揺動内接噛合遊星歯車ユニット
と外部ユニット間で振動が伝達することにより発生する
複雑な共振現象を回避することができ、駆動装置全体で
発生する騒音のレベルを低減することができる。
【0042】つまり、揺動内接噛合遊星歯車ユニットと
外部ユニットの間に、あえて振動伝達を阻止するための
迂回回路とでも言うべき第3のユニット(摩擦伝動ユニ
ット)を1つ介在させたことにより、揺動内接噛合遊星
歯車ユニットから外部ユニットへの振動伝達、及び、外
部ユニットから揺動内接噛合遊星歯車ユニットへの振動
伝達を、共に有効に抑えることができ、結果として、全
体の騒音を低減することができる。
【0043】ここで重要なことは、摩擦伝動ユニットと
して単純遊星ローラ機構を用いたことである。
【0044】即ち、ここで摩擦伝動ユニットとして使用
する単純遊星ローラ機構は、特に遊星ローラの自転や公
転を伴う該単純遊星ローラ機構特有の動力伝達構造によ
り、(複数の)ローラの接触面の摩擦によって回転動力
を伝達するので、各接触面、及び、遊星ローラをキャリ
アで支持する部分によって、摩擦伝動ユニットの両側の
ユニット(揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニッ
ト)間で相互伝達しようとする振動(特に回転方向の振
動及び軸方向の振動)を吸収することができるものであ
る。
【0045】上述した図18の振り分け軸タイプのもの
でも、摩擦ローラは用いていた。しかし、振り分け軸タ
イプのものの場合は、単純遊星ローラ機構を有しておら
ず、太陽ローラ511と圧接リング513の間に挟まれ
た振り分けローラ512自体が、振り分け軸503の振
動を拾いやすい構造になっている。そのため、振り分け
軸503の振動や変形に伴い、振り分けローラ512の
位置がずれたり、振り分けローラ512が振動したり
し、太陽ローラ511との間で正しい(速度変動のな
い)動力伝達ができなくなって、結果的に、摩擦接触面
における振動吸収作用を果たす以前に、振り分けローラ
512自体の振動が、全体の振動や騒音に影響を残すこ
とになっていた。
【0046】つまり、もともと、この装置は共振回避と
いう思想に立脚したものではないため、振り分け軸50
3からの振動が直接振り分けローラ512→太陽ローラ
511と伝わる構成となっており、振動伝達の阻止によ
る共振回避という本発明の目的を達成するような構造と
なっていなかったのである。
【0047】従って、摩擦ローラが組込まれていたとし
ても騒音改善効果はギヤモータの常識を塗り替えるまで
には達成されておらず、「摩擦ローラの効果もこの程度
のもの」と結果として考えられ、開発もそこで中断さ
れ、それ以上吟味されることもなかった。
【0048】これに対し、摩擦伝動ユニットに単純遊星
ローラ機構を採用した本発明の場合は、(振り分けロー
ラの自転自体によって直接動力伝達を行うのではなく)
内周側の太陽ローラと外周側のリングローラと、この間
に挟まれた遊星ローラの3者の相対運動によって動力伝
達を行うものであるから、前述の振り分けローラのよう
に、揺動内接噛合遊星歯車ユニットからの無用の変形や
振動を直接受け取らずにすむ。
【0049】従って、太陽ローラとリングローラ間に挟
まれていながらも、摩擦伝動に必要な圧力で遊星ローラ
が太陽ローラ及びリングローラに転接するだけであり、
摩擦接触面における圧力変動が少なく、結果的に、摩擦
伝動ユニットを介しての振動伝達が抑制される。しか
も、前述したように摩擦接触面が振動吸収機能を有効に
果たすので、ユニット間の相互振動伝達を阻止し、騒音
低減に大きな効果を果たすことになる。 又、単純遊星
ローラ機構を採用したことにより、摩擦伝動ユニットの
入力部と出力部も同軸上に配置することができ、従っ
て、例えば太陽ローラと外部ユニットの連結部と、キャ
リアと揺動内接噛合歯車ユニットの連結部とを同一軸線
上に配置することができる。
【0050】この同軸性は、特に、前述した外歯歯車の
荷重の影響を受ける軸が、(振り分け軸タイプと違っ
て)ユニットの中心部に1本だけという構造にできるこ
とを意味し、この部分の剛性を高めるだけでユニット全
体の剛性を大きくとることができるようになるという点
で有益である。又、外歯歯車からの振動を1本の高速軸
に集約し、この高速軸と摩擦伝動ユニットの一端を連結
するだけで摩擦伝動ユニットとの連結を完了できるた
め、振動遮断という点でも有益である。
【0051】即ち、単純でコンパクトな構造でありなが
ら、剛性を大きくすることができ、それだけ大トルクの
伝達が可能となるというメリットが得られるほか、騒音
低減に関しても有利な構造と言えるものである。
【0052】更に、この同軸性は、1本の中心軸線上
に、外部ユニットの駆動軸、揺動内接噛合遊星歯車ユニ
ットの入出力軸が並んだ構成のギヤドモータに対して、
簡単に本発明を適用することができるという点でも有益
である。例えば、図17に示す従来のギヤドモータ1の
モータユニット3と揺動内接噛合遊星歯車ユニット2の
間に、前記の単純遊星ローラ機構式の摩擦伝動ユニット
を付加することにより、本発明の駆動装置を簡単に実現
することができる。その場合、図17のギヤドモータ1
では、モータ軸61と揺動内接噛合遊星歯車ユニット2
の第1軸11とをカップリング70で連結しているが、
そのカップリング70を流用して、単純遊星ローラ機構
のキャリアと揺動内接噛合遊星歯車ユニットとを連結し
たり、太陽ローラの軸と外部ユニットの駆動軸とを連結
したりすることができる。
【0053】更に、単純遊星ローラ機構を採用したこと
により、この段で所定の減速比を得ることができるよう
になり、前段の単純遊星ローラ機構と後段の揺動内接噛
合遊星歯車ユニットとを合わせることで、高減速比を容
易に実現することができる。単純遊星ローラ機構は、歯
車と違って減速比を細かく設定することが容易にできる
ので、減速比を多数段階用意したギヤドモータシリーズ
や、特定の用途に応じた特定の減速比のギヤドモータを
提供することも容易に可能となる。
【0054】ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達
は、後段の歯車噛合によるトルク伝達よりも、確保し得
るトルク伝達量が小さくなるが、もともと前段の減速に
おいて伝達すべき伝達トルクはあまり大きくならず、
又、後述するように、単純遊星ローラ機構は、その入出
力部材を選択することにより各摩擦ローラにおける必要
伝達トルクを調整することができるため、大きな問題と
はならない。
【0055】特に、単純遊星ローラ機構の場合、遊星ロ
ーラを揺動内接噛合遊星歯車ユニット側と切り離したキ
ャリアで支持することができるので、たとえ該揺動内接
噛合遊星歯車ユニット側で振動や変形が発生しても、そ
の影響は単純遊星ローラ機構のローラ接触面にはほとん
ど及ばない。よって、確実で安定したトルク伝動が行わ
れるため、一層問題は生じにくい。
【0056】なお、請求項1の発明の駆動装置には、外
部ユニットを、揺動内接噛合構造の高速軸側、低速軸側
のいずれかに接続する場合と、いずれにも接続する場合
とが含まれる。但し、振動が出てくるのが一番大きいの
は高速軸側であるので、高速軸側に外部ユニットを接続
する場合に本発明を適用することで、特に有効性を発揮
することができる。
【0057】又、外部ユニットの中には、モータ等の駆
動源の他に、駆動対象の機械が含まれる。ユニットの接
続の仕方としては例えば次のような場合がある。
【0058】揺動内接噛合遊星歯車ユニットを減速機と
して使用する場合は、その高速軸側に駆動源であるモー
タを連結し、低速軸側に駆動対象機械を連結する。これ
が一般的なギヤドモータの使い方である。又、揺動内接
噛合遊星歯車ユニットを増速機として使用する場合は、
その低速軸側に駆動源を連結し、高速軸側に駆動対象機
械を連結する。そして、共振のおそれのあるユニット間
に本発明を適用する。
【0059】即ち、互いに連結した駆動源と揺動内接噛
合遊星歯車ユニット間で共振のおそれがある場合は、摩
擦伝動ユニットを駆動源と揺動内接噛合遊星歯車ユニッ
ト間に介在させる。又、駆動対象機械と揺動内接噛合遊
星歯車ユニット間で共振のおそれがある場合は、摩擦伝
動ユニットを駆動対象機械と揺動内接噛合遊星歯車ユニ
ット間に介在させる。そうすることで、全体の振動や騒
音を減らせる。
【0060】又、摩擦伝動ユニットは、摩擦ローラの摩
擦によって動力伝達を行うものであるから、互いに接す
る摩擦ローラの径を適当に変えることにより、このユニ
ット内において所望の変速比を得ることもできる。但
し、摩擦伝動であるから、大きなトルク伝達には向か
ず、例えば、揺動内接噛合遊星歯車ユニットで減速する
場合の前段減速機構として使用すると良好で、そうする
ことで全体の総減速比を高く設定することができる。
【0061】なお、前述の単純遊星ローラ機構における
遊星ローラの支持の仕方としては、例えば、次の二通り
が考えられる。
【0062】請求項2の発明では、単純遊星ローラ機構
のキャリアが、複数の遊星ローラの周囲の空間に位置し
て各遊星ローラの相互位置を一定に保持するリテーナを
備えている(=リテーナタイプ)。
【0063】請求項3の発明では、単純遊星ローラ機構
のキャリアが、各遊星ローラの中心を貫通して該各遊星
ローラの相互位置を一定に保持するピンを備えている
(=ピンタイプ)。
【0064】請求項2、3のリテーナタイプとピンタイ
プの違いについて述べると、ピンタイプは、(a)動力
の伝達効率、(b)動力伝達の安定性、(c)捻れや組
み付け誤差に対する許容性において、リテーナタイプよ
りも優れていると言うことができる。その理由は、ピン
タイプでは、ピンの外周に軸受を介して遊星ローラを嵌
合する構造なので、遊星ローラの回転性能を、リテーナ
タイプより高く維持することが容易にできるからであ
る。
【0065】又、この(a)〜(c)の効果より、「制
振効果」についても一般的にはリテーナタイプより良好
な特性が長期にわたって得られると推察できる。
【0066】しかしながら、リテーナタイプは、「制振
効果」に関する限り、設計とメインテナンス次第でピン
タイプよりも優れた効果が得られるようにできる可能性
がある。それは、リテーナタイプの場合、後述するよう
に、出力を取り出すリテーナは、太陽ローラにもリング
ローラにも圧接されておらず、いわばフリーの状態で円
周方向の駆動力のみを遊星ローラから受ける構造となっ
ているため、 a)ピン(揺動内接噛合遊星歯車ユニット側)→遊星ロ
ーラ→太陽ローラ(モータ側)の振動伝達、及び、 b)ピン(揺動内接噛合遊星歯車ユニット側)→遊星ロ
ーラ→リングローラ(ケーシング側)の振動伝達、 の発生を抑えることができ、揺動内接噛合歯車ユニット
と外部ユニットとの間の振動の遮断を一層確実にできる
と考えられるためである。
【0067】単純遊星ローラ機構の各要素の固定・入力
・出力の関係としては、図16の表に示す組み合わせが
可能である。即ち: 1)太陽ローラを入力要素とした場合は、リングローラ
を固定要素、遊星キャリアを出力要素とする場合と、リ
ングローラを出力要素、遊星キャリアを固定要素とする
場合とがあり; 2)遊星キャリアを入力要素とした場合は、リングロー
ラを固定要素、太陽ローラを出力要素とする場合と、リ
ングローラを出力要素、太陽ローラを固定要素とする場
合とがあり; 3)リングローラを入力要素とした場合は、遊星キャリ
アを固定要素、太陽ローラを出力要素とする場合と、遊
星キャリアを出力要素、太陽ローラを固定要素とする場
合とがある。
【0068】請求項4の発明では、単純遊星ローラ機構
のリングローラを固定要素とし、複数の遊星ローラを支
持するキャリア及び太陽ローラの一方を入力要素、他方
を出力要素としている。
【0069】このように、外周に配したリングローラを
固定要素とする場合、ケーシングにリングローラを固定
するだけでよいので、簡単な構造とすることができる。
【0070】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かにおいて、前記外部ユニットが、揺動内接噛合遊星歯
車ユニットに回転入力を与えるモータユニットであり、
該モータユニットの駆動軸と前記揺動内接噛合遊星歯車
ユニットとの間に前記摩擦伝動ユニットが介在され、前
記揺動内接噛合遊星歯車ユニットとモータユニットと
が、これら各ユニットのケーシングの一部をなす継ケー
シングで一体に結合されており、該継ケーシング内に前
記摩擦伝動ユニットが組み込まれていることにより、上
記課題を解決したものである。
【0071】外部ユニットがモータユニットの場合、揺
動内接噛合遊星歯車ユニットを減速機として使用しよう
とすると、高速軸側にモータユニットの駆動軸を接続す
ることになる。つまり、一般的なギヤドモータが構成さ
れることになる。そこで、そのようなギヤドモータにお
いて、揺動内接噛合遊星歯車ユニットの高速軸とモータ
ユニットの駆動軸との間に摩擦伝動ユニットを介在させ
て、モータユニットと揺動内接噛合遊星歯車ユニット間
の振動伝達を遮断すれば、共振の影響による振動の増幅
作用を回避できる。
【0072】ところで、一般にギヤドモータを構成する
場合、揺動内接噛合遊星歯車ユニットのケーシングとモ
ータユニットのケーシングを互いに結合することで、一
体化したギヤドモータを作る。その場合、両ユニットの
ケーシングの一部をなす継ケーシングを介して両ユニッ
トを一体に結合することが、従来では行われている(特
開平5−231482号公報参照)。
【0073】そこで、この請求項5の発明では、継ケー
シング内に、新たに付加する摩擦伝動ユニットを組み込
んでいる。そうすることにより、両側のユニットの構造
をあまり変更せずに、簡単に摩擦伝動ユニットの組み込
みが可能となる。
【0074】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれ
かにおいて、前記摩擦伝動ユニットと前記揺動内接噛合
遊星歯車ユニット、及び、摩擦伝動ユニットと外部ユニ
ットの連結部のうち、少なくとも一方側の連結部を浮動
結合構造としたことにより、上記課題を解決したもので
ある。
【0075】この発明では、摩擦伝動ユニットと揺動内
接噛合遊星歯車ユニット或いは外部ユニットとの軸連結
部が、浮動結合(フローティング結合)構造とされてい
るので、摩擦ローラに対して各ユニットの揺動による振
動が連結部を介して加わるのを防止することができ、摩
擦ローラ同士の接圧の変動を抑えることができる。従っ
て、摩擦伝動ユニットでの伝動トルクの変動がなく、安
定、且つ確実なトルク伝達が可能である。
【0076】請求項7の発明は、請求項6において、前
記単純遊星ローラ機構よりなる摩擦伝動ユニットの前記
キャリアと前記揺動内接噛合歯車ユニットの連結部、及
び、前記太陽ローラと前記外部ユニットの連結部のう
ち、少なくともキャリアと揺動内接噛合歯車ユニットの
連結部の側が前記浮動結合構造とされていることによ
り、上記課題を解決したものである。
【0077】即ち、この発明では、単純遊星ローラ機構
のリングローラを固定要素とし、キャリアを揺動内接噛
合遊星歯車ユニットに連結すると共に、太陽ローラを外
部ユニットに連結する場合において、少なくともキャリ
アと揺動内接噛合歯車ユニットの連結部を浮動結合と
し、揺動内接噛合遊星歯車ユニットからの径方向の振動
が単純遊星ローラ機構に極力伝達しないようにしてい
る。従って、揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニ
ット間での振動の相互伝達を一層阻止することができ、
共振の問題を回避することができる。
【0078】請求項8の発明は、請求項6又は7におい
て、前記浮動結合構造として、スプライン結合構造が用
いられていることにより、上記課題を解決したものであ
る。
【0079】通常の軸継構造として利用可能なスプライ
ンにより、フローティング結合状態が得られるので、実
現容易である。
【0080】なお、浮動結合構造の他の例としては、例
えば歯車を用いた結合がある。
【0081】以上の請求項1〜8は、ユニット同士の連
結という観点で本発明の技術をとらえた場合を示した
が、以下に述べるように、外部ユニットと切り離した変
速装置として本発明をとらえることもできる。
【0082】請求項9の発明の変速装置は、外部機械に
連結される回転軸と、内歯歯車及び該内歯歯車に内接す
る外歯歯車を有し、且つ、前記内歯歯車の中心が外歯歯
車の周囲の内側にある揺動内接噛合遊星歯車機構と、摩
擦ローラとして、太陽ローラと、キャリアに保持される
と共に前記太陽ローラの外周に転接する複数の遊星ロー
ラと、該遊星ローラが内接するように組み込まれたリン
グローラと、を有する単純遊星ローラ機構と、を備え、
前記太陽ローラ、キャリア、リングローラのうちの一つ
が固定され、他の二つのうちの一つが前記揺動内接噛合
遊星歯車機構と連結され、残る一つが前記回転軸と連結
されていることにより、上記課題を解決したものであ
る。
【0083】請求項10の発明の変速装置は、請求項9
において、前記リングローラが固され、前記キャリアと
前記揺動内接噛合遊星歯車機構が連結され、前記遊星ロ
ーラが前記回転軸に連結されており、前記キャリアと前
記揺動内接噛合遊星歯車機構との連結部、及び、前記太
陽ローラと前記回転軸の連結部のうち、少なくともキャ
リアと揺動内接噛合遊星歯車機構との連結部の側が浮動
結合構造とされていることにより、上記課題を解決した
ものである。
【0084】請求項11の発明の変速装置は、請求項9
又は10において、前記揺動内接噛合遊星歯車機構が、
変速装置の中心軸線上に位置する第1軸及び第2軸を有
し、前記第1軸の外周に偏心体を介して該第1軸に対し
て揺動回転可能に外歯歯車が嵌合され、前記第1軸と同
心に前記外歯歯車が内接噛合する内歯歯車が設けられ、
前記第2軸が前記外歯歯車の自転成分のみを取り出す手
段を介して該外歯歯車に連結されてなる揺動内接噛合遊
星歯車機構であることにより、上記課題を解決したもの
である。
【0085】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0086】図1は実施形態として示すギヤドモータの
断面図、図2はその中の摩擦伝動ユニット(摩擦伝動機
構)の拡大断面図、図3は図2のIII−III矢視図、図4
は図1のIV−IV矢視断面図、図5は図4と同様な他の減
速比の例を示す図である。
【0087】なお、以下の説明においては、図18に示
す従来公知例の構成と同一又は類似の部分については下
2桁が同一の番号を付し、明らかな重複説明は省略す
る。
【0088】このギヤドモータ101は、揺動内接噛合
遊星歯車構造を内蔵した減速機ユニット(揺動内接噛合
遊星歯車ユニット、揺動内接噛合遊星歯車機構)102
と、モータユニット(外部ユニット)103とを結合し
て一体化すると共に、減速機ユニット102とモータユ
ニット103との間に、互いに接する多数のローラ(摩
擦ローラ)の摩擦により両ユニット102、103間で
回転動力を伝達する単純遊星ローラ機構202からなる
摩擦伝動ユニット(摩擦伝動機構)201を介在させた
ものである。
【0089】減速機ユニット102のケーシング151
は、軸線方向中央に配された中央ケーシング152と、
モータユニット103側の継ケーシング153と、モー
タユニット103と反対側の前部ケーシング154とか
らなる。モータユニット103のケーシング155は、
固定子等を内装した円筒ケーシング156と、減速機ユ
ニット102側の継ケーシング153と、減速機ユニッ
ト102と反対側の後面カバー157とからなる。
【0090】この場合、継ケーシング153が、減速機
ユニット2とモータユニット3のケーシング151、1
55の一部を兼用しており、この継ケーシング153を
介して、減速機ユニット102とモータユニット103
が一体に結合されている。そして、継ケーシング153
の内部に、摩擦伝動ユニット201としての単純遊星ロ
ーラ機構202が組み込まれている。
【0091】ここでは、単純遊星ローラ機構202が前
段減速部に相当し、減速機ユニット102としての揺動
内接噛合遊星歯車構造が後段減速部に相当する。
【0092】減速機ユニット102は、ユニットの中心
軸線L上に、入力軸(高速軸)となる第1軸111と、
出力軸(低速軸)となる第2軸112とを備えている。
【0093】第1軸111の外周上には、所定位相差
(この例では180°)をもって軸方向に隣接して2つ
の偏心体113a、113bが嵌合され、これら偏心体
113a、113bが、第1軸111と一体に回転する
ようになっている。図4に示すように、偏心体113
a、113bの中心O1は、それぞれ第1軸111の軸
芯O2に対して所定の偏心量eだけ偏心している。それ
ぞれの偏心体113a、113bの外周には、ベアリン
グ114a、114bを介して外歯歯車115a、11
5bが嵌合されている。
【0094】これら各偏心体113a、113bに嵌合
された複列の外歯歯車115a、115bには、内ピン
孔116a、116bがそれぞれ複数設けられており、
これら内ピン孔116a、116bに内ピン117が遊
嵌されている。
【0095】外歯歯車115a、115bの外周にはト
ロコイド歯形や円弧歯形の外歯が設けられ、この外歯
は、第1軸111と同心に設けられた内歯歯車120と
内接噛合している。内歯歯車120は、中央ケーシング
152の内周に一体的に形成されており、各内歯が、中
央ケーシング152の内周に保持された外ピン121に
よって形成されている。
【0096】なお、外歯歯車115a、115bと内歯
歯車120の歯数差は、図4の例では「4」、図5の例
では「1」となっている。
【0097】2枚の外歯歯車115a、115bの両側
には一対のキャリア123、124が配されている。両
キャリア123、124は、それぞれ継ケーシング15
3の内周及び前部ケーシング154の内周に嵌合した軸
受131、132により回転自在に支持され、外歯歯車
115a、115bを貫通する複数本のキャリアピン
(連結ピン)125及びスペーサ126で軸方向に位置
決めして一体に結合されている。
【0098】又、前記外歯歯車115a、115bの内
ピン孔116a、116bに遊嵌された内ピン117の
両端は、両側のキャリア123、124に滑り回転可能
に結合されている。そして、これにより、外歯歯車11
5a、115bの自転成分のみが、内ピン117を介し
て両側のキャリア123、124に伝達されるようにな
っている。
【0099】モータユニット103側のキャリア123
は、中央孔123aを有するリング状をなしており、こ
の中央孔123aに第1軸111の先端(後述するスプ
ライン軸部)111aが臨んでいる。
【0100】又、反対側のキャリア124は第2軸11
2の基部に一体形成されており、該キャリア124に形
成された凹所124aに、第1軸111の他端111b
が挿入されている。そして、第1軸111は、一方のキ
ャリア123の貫通孔123aの内周に嵌合された軸受
133と、他方のキャリア124の内周に嵌合された軸
受134とによって回転自在に支持されている。
【0101】又、モータユニット103のモータ軸(駆
動軸、回転軸)161は、後端が後面カバー157に嵌
合した軸受162、前端が継ケーシング153に嵌合し
た軸受163により支持されており、減速機ユニット2
の中心軸線Lと同軸上に配されている。
【0102】ここまでは、図17の従来のギヤドモータ
1とほぼ同じである。
【0103】違うのは、モータユニット103側のキャ
リア123を支持する軸受131の隣りに新たなスペー
スを確保して、そこに前記摩擦伝動ユニット201とし
て単純遊星ローラ機構202を組み込んだことである。
【0104】この単純遊星ローラ機構202を組み込む
ために、継ケーシング153は軸方向寸法が若干拡大さ
れており、その減速機ユニット102側の内面には深く
くりぬかれた凹部251が形成され、その凹部251の
モータユニット103側の奥部に、単純遊星ローラ機構
202が組み込まれている。
【0105】単純遊星ローラ機構202は、図2、図3
に示すように、摩擦ローラとして、スプライン軸部21
4を有する太陽ローラ211と、太陽ローラ211の外
周に転接する複数(本例では4個)の中空円筒状の遊星
ローラ212と、太陽ローラ211の直径D1と前記遊
星ローラ212の直径D2の2倍との和よりやや小さい
内径D3を有し前記遊星ローラ212が内接するように
組み込まれたリングローラ213とを備えている。
【0106】この場合、リングローラ213が、単純遊
星ローラ機構202の固定要素として、継ケーシング1
53に貫通ボルト252で固定されている。又、太陽ロ
ーラ211が入力要素、遊星ローラ212を支持するキ
ャリア215が出力要素となっている。
【0107】遊星ローラ212の公転を取り出すキャリ
ア215は、減速機ユニット102側に突出した中空円
筒状の出力軸部216と、略リング状のリテーナ部(リ
テーナ)217とを有し、出力軸部216の内周には内
スプライン218が形成されている。
【0108】又、キャリア215のリテーナ部217に
は、出力軸部216と反対側の端面が開放した円形の凹
所219が、円周方向に等しい間隔で4つ形成されてお
り、各凹所219に前記遊星ローラ212が回転可能に
収容されている。各円形凹所219の周面は、リテーナ
部217の外周側の一部と内周側の一部で開放してお
り、外周側の開放部219aから各遊星ローラ212の
周面の一部が露出して、リングローラ213の内周面に
接している。又、内周側の開放部219bから各遊星ロ
ーラ212の周面の一部が露出して、太陽ローラ211
の外周面に接している。
【0109】このリテーナ部217は、複数の遊星ロー
ラ212の周囲の空間に位置しており、各遊星ローラ2
12の相互位置を一定に保持している。そして、このリ
テーナ部217を備えたキャリア215が、遊星ローラ
212を自転可能に保持する役目と、遊星ローラ212
の公転成分を取り出す役目とを果たす。
【0110】又、リングローラ213の両端面にはリン
グ状の側板221、221が配され、これら両側板22
1により、リングローラ213と遊星ローラ212の接
触部分が全周にわたり外から遮蔽されている。この遮蔽
された空間の内周側は、リテーナ部217の外周面によ
って封じられており、この遮蔽された空間の内部に、歯
車用グリースよりも高価なトラクショングリースが封入
されている。このグリースは、摩擦を減らすのではな
く、摩擦力を確保するためのものである。
【0111】又、太陽ローラ211の奥部にも、太陽ロ
ーラ211を収容した空間部分と出力軸部216の内部
空間を仕切る仕切板222が配されている。
【0112】この単純遊星ローラ機構202の組み立て
は例えば次のように行われている。
【0113】まず、キャリア215のリテーナ部217
に遊星ローラ212を装着した状態で、遊星ローラ21
2を太陽ローラ211の外周に外接させる。その状態
で、リングローラ213を加熱して膨張させ、キャリア
215で保持した遊星ローラ212を、リングローラ2
13の内周に入れる。そして、これが冷めることで、所
定の接圧でリングローラ213と遊星ローラ212が接
すると共に、遊星ローラ212と太陽ローラ211が接
した状態の単純遊星ローラ機構202が出来上がる。
【0114】この単純遊星ローラ機構202は、継ケー
シング153に形成された凹部251の奥部に、キャリ
ア215の出力軸部216を減速機ユニット102側に
向け、且つ、太陽ローラ211のスプライン軸部214
をモータユニット103側に向けて、組み立てセット状
態で収容される。そして、リングローラ213に通した
貫通ボルト252を、凹部251の奥壁にねじ込むこと
で、継ケーシング153に固定される。
【0115】この状態で、単純遊星ローラ機構202の
キャリア215の出力軸部216は、減速機ユニット1
02のモータユニット103側のキャリア123の中央
孔123a内に挿入されている。
【0116】又、減速機ユニット102側のキャリア1
23を支持する軸受131は、前記凹部251の入口側
に嵌合されている。この軸受131は、単純遊星ローラ
機構202との間に挟んだスペーサ253により軸方向
に位置決めされている。
【0117】このように単純遊星ローラ機構202は、
減速機ユニット102とモータユニット103の間に配
されており、単純遊星ローラ機構202の太陽ローラ2
11と、モータユニット103のモータ軸161とが、
カップリング170を介して結合されている。又、単純
遊星ローラ機構202のキャリア215の出力軸部21
6と、減速機ユニット102の第1軸111とが、該第
1軸111の先端(スプライン軸部)111aを出力軸
部216の内周に挿入することで結合されている。
【0118】ここでは、内スプライン170a付のカッ
プリング170を介して、モータ軸161の先端のスプ
ライン軸部161aと太陽ローラ211のスプライン軸
部214とが、相対的に径方向の遊びを許しながら互い
にフローティング結合(浮動結合)されている。又、内
スプライン218付の出力軸部216に第1軸111の
先端のスプライン軸部111aを挿入することにより、
キャリア215の出力軸部216と第1軸111とが、
相対的に径方向の遊びを許しながら互いにフローティン
グ結合(浮動結合)されている。
【0119】なお、単純遊星ローラ機構202のキャリ
ア215の内部に設けた仕切板222により、出力軸部
216の内部空間が、太陽ローラ211の端面と接する
部分で封鎖されている。従って、減速機ユニット102
側の潤滑油と区別した形で摩擦伝動に有効なグリースを
単純遊星ローラ機構202側に充填しておくことができ
る。
【0120】次に作用を説明する。
【0121】モータ軸161が回転すると、その回転が
単純遊星ローラ機構202の太陽ローラ211に伝わ
り、遊星ローラ212が回転しようとする。ここで、遊
星ローラ212は、固定されたリングローラ213に接
しているので、リングローラ213の内周に沿って自転
・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア215を
介して、減速機ユニット102の第1軸111に入力さ
れる。
【0122】以降は、従来例と同様に、外歯歯車115
a、115bが内歯歯車120に内接しながら揺動する
ことで、外歯歯車115a、115bの揺動運動の自転
成分がキャリア123、124を介して第2軸112に
取り出される。
【0123】上記の動力伝達において、減速機ユニット
102及びモータユニット103は個々に固有な振動を
発生するが、単純遊星ローラ機構202と両端のユニッ
ト102、103の軸連結部である、キャリア215と
第1軸111の連結部、及び、太陽ローラ211とモー
タ軸161の連結部には、第1軸111及びモータ軸1
61の径方向の遊びを許すスプライン機構(浮動結合構
造)が設けられているので、この部分で両端の減速機ユ
ニット102とモータユニット103間で伝わろうとす
る振動(特に径方向の振動)がまず吸収される。
【0124】その上で、両ユニット102、103の間
には摩擦伝動ユニット201として単純遊星ローラ機構
202が配されているので、両側の減速機ユニット10
2、モータユニット103間で伝わろうとする振動(特
に回転方向の振動及び軸方向の振動)が、単純遊星ロー
ラ機構202の太陽ローラ211と遊星ローラ212の
接触面、及び、遊星ローラ212とリングローラ213
の接触面、更には遊星ローラ212とキャリア215と
の接触面によって吸収され、両側のユニット102、1
03間での振動の伝達が確実に遮断される。
【0125】従って、減速機ユニット102とモータユ
ニット103間で振動が伝達することにより発生する複
雑な共振現象が回避されることになり、ギヤドモータ1
01全体で発生する振動や騒音のレベルが低減される。
【0126】つまり、減速機ユニット102とモータユ
ニット103の間に、あえて第3のユニットとして単純
遊星ローラ機構202を介在させたことにより、減速機
ユニット102からモータユニット103への振動伝
達、及び、モータユニット103から減速機ユニット1
02への振動伝達を有効に抑えることができ、結果とし
て、ギヤドモータ101全体の振動や騒音を低減するこ
とができる。
【0127】又、振動の低減により、モータユニット1
03の各構成部品、及び、減速機ユニット102の外歯
歯車115a、115bや偏心体113a、113b、
内歯歯車120等の各構成部品の耐久性も向上する。
【0128】又、単純遊星ローラ機構202とその両側
の減速機ユニット102及びモータユニット103の軸
連結部には、前述したように軸径方向の遊びを許す浮動
結合(フローティング結合)構造が設けられているの
で、遊星ローラ212や太陽ローラ211に対して両側
のユニット102、103から径方向の外力(振動も含
む)が加わるのを防ぐことができる。
【0129】従って、遊星ローラ212と太陽ローラ2
11の接触面、及び、遊星ローラ212とリングローラ
213の接触面の接圧の変動が抑えられ、単純遊星ロー
ラ機構202での伝動トルク変動が抑制されて、安定且
つ確実なトルク伝達が可能となる。
【0130】又、このギヤドモータ101に使用してい
る減速機ユニット102は、ユニットの中心軸線L上に
第1軸111と第2軸112を有するので、単純でコン
パクトな構造でありながら、剛性を大きくすることがで
き、それだけ大トルクの伝達が可能であるというメリッ
トを持つ。
【0131】例えば、外歯歯車115a、115bの荷
重の影響を一番大きく受ける第1軸111を剛性大に設
定することができ、撓みによる振動の問題を少なくでき
る。
【0132】又、上述した従来の振り分け軸タイプの技
術と違って、振動の出てくる第1軸111と切り離した
形のキャリア215によって各遊星ローラ212を支持
しているので、たとえ第1軸111に振動や変形が発生
しても、その影響は単純遊星ローラ機構202のローラ
接触面には及ばなくなる。よって、単純遊星ローラ機構
202においては、この面でも確実で安定したトルク伝
動が行われることになる。
【0133】又、上記のギヤドモータ101において
は、減速機ユニット102とモータユニット103を結
合する継ケーシング153内に、新たに付加する単純遊
星ローラ機構202を組み込んでいるので、両側の減速
機ユニット102やモータユニット103の構造をあま
り変更せずに改良することができる。
【0134】特に、単純遊星ローラ機構202は、入力
部(太陽ローラ211)と出力部(キャリア215の出
力軸部216)とを同軸上に有するので、図17の従来
のギヤドモータ1に僅かな改造を施すだけで、実施形態
のギヤドモータ101を作り上げることができる。
【0135】又、単純遊星ローラ機構202自体で減速
を行うことができるので、前段の単純遊星ローラ機構2
02と後段の揺動内接噛合遊星歯車構造式の減速機ユニ
ット102とを合わせたギヤドモータ101で、高い総
減速比を実現することができる。しかも、単純遊星ロー
ラ機構202は、歯車と違って減速比を細かく設定する
ことが容易にできるので、減速比を多数段階用意したギ
ヤドモータシリーズや、特定の用途に使用する特定の減
速比のギヤドモータを提供することも容易に可能であ
る。
【0136】例えば、揺動内接噛合遊星歯車構造式の減
速機ユニット102の減速比は、等比数列的にあらかじ
め用意することができるので、単純遊星ローラ機構10
2の1段目減速と合わせて、多数段の等比数列的な総減
速比を実現することができる。
【0137】ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達
は、確保し得るトルク伝達量が小さいのであるが、もと
もと前段の減速において伝達すべき伝達トルクはあまり
大きく、且つ振動の遮断された状態で安定回転できるた
め、問題とはならない。
【0138】又、上記実施形態では、揺動内接噛合遊星
歯車ユニットである減速機ユニット102とモータユニ
ット103の間に摩擦伝動ユニット201を介在させた
場合を示したが、揺動内接噛合遊星歯車ユニットと、他
の任意の外部ユニットとの間に摩擦伝動ユニットを介在
させても、上記と同様の共振を回避するという効果を期
待することができる。
【0139】例えば、第2軸112に連結する外部機械
との間で共振のおそれがある場合には、第2軸と外部機
械の入力軸との間に浮動結合構造を介して摩擦伝動ユニ
ットを介在させればよい。
【0140】又、揺動内接噛合遊星歯車ユニットを増速
機として使用する場合には、第2軸が入力軸、第1軸が
出力軸となり、第2軸にモータユニット、第1軸に外部
機械を接続することになるが、その場合も、共振のおそ
れのあるユニット間に摩擦伝動ユニットを介在させれば
よい。
【0141】又、上記実施形態では、遊星ローラ212
を保持するキャリア215にリテーナ部217を設け、
該リテーナ部217によって、複数の遊星ローラ212
の相互位置を一定に保持するように構成した場合を示し
たが、ピンで遊星ローラを保持するタイプの単純遊星ロ
ーラ機構を摩擦伝動ユニットに採用してもよい。
【0142】図6はピンタイプの単純遊星ローラ機構4
02を摩擦伝動ユニット401として採用したギヤドモ
ータ301の例を示す。図7は単純遊星ローラ機構40
2の拡大断面図、図8は図7のVIII−VIII矢視図であ
る。なお、このギヤドモータ301は、単純遊星ローラ
機構402のタイプが、図1〜図5に示したギヤドモー
タ101と若干異なるだけで、他のほとんどの構成が、
図1〜図5のものと同じである。従って、以下の説明に
おいては、図1〜図5に示すものと同一の部分について
は、下2桁が同一の番号を付し、重複説明は省略する。
ここでは、図1〜図5において100番台の符号は30
0番台、200番台の符号は400番台で表す。
【0143】このギヤドモータ301の単純遊星ローラ
機構402は、図7、図8に示すように、摩擦ローラと
して、スプライン軸部414を有する太陽ローラ411
と、太陽ローラ411の外周に転接する複数(本例では
4個)の中空円筒状の遊星ローラ412と、太陽ローラ
411の直径D1と前記遊星ローラ412の直径D2の
2倍との和よりやや小さい内径D3を有し前記遊星ロー
ラ412が内接するように組み込まれたリングローラ4
13とを備えている。
【0144】図6に示されるように、この場合も、リン
グローラ413が、単純遊星ローラ機構402の固定要
素として、継ケーシング353に貫通ボルト452で固
定されている。又、太陽ローラ411が入力要素、遊星
ローラ412を保持するキャリア415が出力要素とな
っている。
【0145】遊星ローラ412の公転を取り出すキャリ
ア415は、リング状のフランジ部415aから減速機
ユニット302側に突出した中空円筒状の出力軸部41
6と、フランジ部415aに基部が嵌合固定されると共
に、モータユニット303側に先端側が突出した4本の
ピン417とを有しており、出力軸部416の内周には
内スプライン418が形成されている。
【0146】そして、各遊星ローラ412がニードルベ
アリング419を介してピン417の外周に自転可能に
嵌合されると共に、各遊星ローラ412の相互位置が一
定に保持され、その状態で、各遊星ローラ412の外周
がリングローラ413の内周面に接し、又、内周面が太
陽ローラ411の外周面に接している。そして、このピ
ン417を備えたキャリア415が、遊星ローラ412
の間隔を保持する役目と、遊星ローラ412の公転成分
を取り出す役目とを果たす。
【0147】又、遊星ローラ412の両端面にはリング
状のスペーサ421a、421bが配され、太陽ローラ
411の奥部には、太陽ローラ411を収容した空間部
分と出力軸部416の内部空間を仕切る仕切板422が
配されている。
【0148】この単純遊星ローラ機構402の組み立て
は例えば次のように行われている。
【0149】まず、キャリア415のピン417の外周
にニードルベアリング419を介して遊星ローラ412
を装着した状態で、遊星ローラ412を、太陽ローラ4
11の外周に外接させる。その状態で、リングローラ4
13を加熱して膨張させ、キャリア415で保持した遊
星ローラ412を、リングローラ413の内周に入れ
る。そして、これが冷めることで、所定の接圧でリング
ローラ413と遊星ローラ412が接すると共に、遊星
ローラ412と太陽ローラ411が接した状態の単純遊
星ローラ機構402が出来上がる。
【0150】後の組み込みについては、先の実施形態と
全く同様である。
【0151】〔騒音測定試験〕次に、本発明の有効性を
客観的に示すデータとして、上述した本発明の2つの実
施形態のギヤドモータ101、301の騒音測定試験を
実施した結果について説明する。ここでは、比較のため
に、他の複数のギヤドモータについても同じ測定試験を
行った。
【0152】測定試験に用いたギヤドモータは6種類あ
り、全てモータと2段の減速部を有する。即ち、外部ユ
ニットとして全てモータが連結され、1段目の減速部と
して比較例を含めて6種類が用意され、2段目の減速部
として全て揺動内接噛合遊星歯車構造が連結されている
ということになる。
【0153】各サンプル(a)〜(f)として用意した
ギヤドモータは次の通りの構成であり、各タイプのギヤ
ドモータの機構部分の組み合わせを、簡略のために記号
を用いて図9に示す。
【0154】ここで使用している記号の意味は、 M … モータ C … 揺動内接噛合遊星歯車タイプ F … 振り分け軸タイプ P … 単純遊星タイプ G … 歯車タイプ T/D … ローラによる摩擦伝動タイプ であり、個別的には、 C1 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段
(後段側=2段目) C2 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段
(前段側=1段目) F(G) … 振り分け軸タイプで歯車式の減速段 F(T/D)… 振り分け軸タイプで摩擦伝動ローラ式
の減速段 P(G) … 遊星タイプで歯車式の減速段 P(T/D)… 遊星タイプで摩擦伝動ローラ式の減速
段 A … ローラをリテーナで保持するタイプ B … ローラをピンで保持するタイプ である。
【0155】〔試験に用いたギヤドモータのタイプ〕各
タイプのサンプル(a)〜(f)のギヤドモータについ
て、記号で表すと次のようになる。
【0156】(a)サンプル…「C1+C2+M」 (b)サンプル…「C1+F(G)+M」 (c)サンプル…「C1+F(T/D)+M」 (d)サンプル…「C1+P(G)+M」 (e)サンプル…「C1+P(T/D)A+M」 (f)サンプル…「C1+P(T/D)B+M」
【0157】これらのサンプルのうち、(a)〜(d)
は比較例として用意したギヤドモータ、(e)、(f)
は本発明の実施形態のギヤドモータである。
【0158】(a)のサンプル「C1+C2+M」のギ
ヤドモータは、図20に示すタイプのギヤドモータ60
0である。このギヤドモータ600は、第1段目の減速
部に揺動内接噛合遊星歯車機構601(C2)を有し、
第2段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構602
(C1)を有する。そして、第1段目の揺動内接噛合遊
星歯車機構601の入力軸に、モータ(M)603の軸
がスプライン605により浮動結合され、第1段目の揺
動内接噛合遊星歯車機構601の出力軸が、第2段目の
揺動内接噛合遊星歯車機構602の入力軸にスプライン
604により浮動結合されている。
【0159】(b)のサンプル「C1+F(G)+M」
のギヤドモータは、図21に示すタイプのギヤドモータ
700である。このギヤドモータ700は、図18の
「摩擦ローラ(太陽ローラ511と振り分けローラ51
2)」を、「歯車(太陽歯車711と振り分け歯車71
2)」に置き換えたものである。即ち、このギヤドモー
タ700は、振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車
機構(C1)751の振り分け軸703に、太陽歯車7
11と振り分け歯車712からなる歯車伝動機構752
〔F(G)〕で入力回転を与えるように構成したもので
ある。太陽歯車711を先端に設けた入力軸702は、
モータ753(M)の軸701にスプライン結合されて
いる。
【0160】(c)のサンプル「C1+F(T/D)+
M」のギヤドモータは、図18に示した従来のタイプの
ギヤドモータ500である。このギヤドモータ500で
は、振り分け軸に摩擦ローラタイプの伝動機構〔F(T
/D)〕によって入力回転を与えるようになっている。
【0161】(d)のサンプル「C1+P(G)+M」
のギヤドモータは、図22に示すタイプのギヤドモータ
800である。このギヤドモータ800は、1段目減速
部に遊星歯車機構801〔P(G)〕を有し、2段目減
速部に揺動内接噛合遊星歯車構造802(C1)を有す
るものであり、遊星歯車機構801の入力軸とモータM
の出力軸の連結部805、及び、遊星歯車機構801の
出力軸と揺動内接噛合遊星歯車構造802の入力軸の連
結部804が、共に浮動結合構造となっているものであ
る。
【0162】(e)のサンプル「C1+P(T/D)A
+M」のギヤドモータは、図1の本発明の第1実施形態
のタイプのギヤドモータ101である。このギヤドモー
タ101は、単純遊星ローラ機構202を摩擦伝動ユニ
ット201として備え、且つ遊星ローラ212を、キャ
リア215に設けたリテーナで保持するタイプのもので
ある。
【0163】(f)のサンプル「C1+P(T/D)B
+M」のギヤドモータは、図6の本発明の第2実施形態
のタイプのギヤドモータ301である。このギヤドモー
タ301は、単純遊星ローラ機構402を摩擦伝動ユニ
ット401として備え、且つ遊星ローラ412を、キャ
リア415に設けたピンで保持するタイプのものであ
る。
【0164】〔試験の条件及び方法〕測定試験の条件及
び方法は以下の通りである。
【0165】(1)測定は、無負荷の場合と100%負
荷の場合で行った。 (2)ならし運転は、潤滑方式によらず、右2分、左2
分だけ、測定前に無負荷で行った。 (3)測定時の回転方向は、左右両方向で行った。 (4)測定は、ギヤドモータの上方、左横、右横、低速
軸の前、及びモータの後の各表面から1m(突起物を除
く1m)の距離の5カ所にマイクロホンを設置して行っ
た。 (5)測定は、マイクロホンセレクタを切り替えて、精
密騒音測定計で1カ所ずつデータを読みとることで行っ
た。 (6)測定場所は防音室とした。 (7)据え付けは、設置条件として厳しい低剛性の軽量
架台への据付を想定した。なお、一部についてはFC定
盤(鋳鉄)の上への据付についても測定を実施した。両
者とも架台や定盤の上面とサンプル機械との間に空間が
あかないようにしてある。 (8)負荷はブロニーブレーキで与えた。 (9)聴感補正はA特性とした。 (10)騒音計の出力をFFT分析して、騒音スペクトル
を測定した。そのときのサンプリングモードは、32回
SUM(平均化処理)とした。
【0166】〔騒音測定結果〕騒音測定結果を図10の
表に数値で示し、100%負荷時の騒音量の違いを図1
1のグラフに示す。また、騒音スペクトルを分析した結
果を、図12〜図15に示す。
【0167】〔騒音測定結果からの考察1〕この測定試
験結果から、次のことが考察できる。
【0168】(1)まず、(a)のギヤドモータの場合
を基準に見てみると、(b)の振り分けタイプの歯車式
のギヤドモータは、(a)よりも高騒音となっている。
これは、振り分けタイプであるが故に、振り分け軸を通
して振動が相互伝達することにより、全体が共振化して
いるため、と考えることができる。
【0169】(2)次に振り分けタイプにおいて、振り
分け伝動方式を摩擦ローラ式にした(c)のタイプを見
てみると、(b)よりも低騒音化していることが分か
る。これは、摩擦ローラの接触面での振動吸収作用が功
を奏しているため、と考えることができる。しかし、摩
擦ローラを使用した場合でも、(a)のタイプと大差は
ない。このことは、単に摩擦ローラを使用したというだ
けでは、騒音低減の効果は必ずしも得られないことを意
味している。
【0170】(3)次に(d)の遊星歯車機構を前段に
使用したギヤドモータについて見てみると、(a)〜
(c)のタイプに比べて相当に騒音が大きいことが分か
る。これは、遊星歯車機構自体が歯車の噛み合い箇所を
多数持つものであり、多数の噛み合い箇所で発生する振
動が、全体の騒音レベルを押し上げているため、と考え
ることができる。このことは、単に単純遊星タイプの減
速部を介在させたというだけでは、騒音低減の効果は得
られず、むしろ、騒音は増大してしまう場合があること
を意味している。
【0171】(4)それに対し、本発明の実施形態で示
した(e)タイプと(f)タイプのギヤドモータについ
て見てみると、他のタイプのものに比べて、大幅な低騒
音化が達成できていることが分かる。これは、主には単
純遊星タイプにおいて、歯車の代わりに、摩擦ローラを
使用したことによる、と考えることができる。つまり、
(d)の遊星歯車タイプのギヤドモータでは、遊星タイ
プであるが故に、逆に歯車の噛み合い箇所が多くなるこ
とで、極めて高騒音化しているが、(e)、(f)のタ
イプのギヤドモータでは、その歯車を摩擦ローラに代え
ることで、却って摩擦接触面が多数箇所確保されること
になり、騒音吸収効果が増して、全体の低騒音化が達成
できたものと考えることができる。
【0172】(5)次に(c)のタイプと(e)、
(f)のタイプの違いを見てみると、(c)の振り分け
ローラタイプは、摩擦接触面の数は(e)、(f)のタ
イプと同じ程度確保することができるが、むしろ振り分
け軸の振動を拾ってしまう(前述)ことで、騒音低下の
効果があまり出てこなかったと考えることができる。反
対に、(e)、(f)のタイプは、単純遊星タイプであ
るが故に、無用な振動を拾わずに済むため、低騒音化に
寄与できたと見なせる。
【0173】(6)また、据え付け方式を軽量架台から
定盤にした場合、(a)のタイプは大きな変化があった
が、(e)、(f)のタイプでは、あまり大きな変化は
見られなかった。この事実から(a)のタイプでは、相
当大きなレベルの振動がギヤドモータ自体にあり、従っ
てこれを軽量架台に取り付けた場合には、該軽量架台が
ギヤドモータによって加振され(共振することによっ
て)大きな騒音を発生する;一方、これを定盤のような
剛性上極めて強固な相手に据え付けた場合には、当該振
動が据付によって抑制されるようになるため、騒音も減
少する;それに対し、(e)、(f)のタイプでは、既
にギヤドモータ自体の振動のレベルが相当程度押さえ込
まれているため、据え付け方式の違い、あるいは据え付
け相手も違いによる差が出てこない、という推察が可能
となる。
【0174】この推察の当否はともかく、いずれにして
も(e)、(f)の本発明の場合は、据え付け方式の違
いによる差が出て来ないレベルまで、振動低減効果が行
き届いていることだけは明白である。この種のギヤドモ
ータは、実際上必ず何らかの相手部材に据付なければな
らないことを考えると、「相手部材の如何によらず騒音
レベルが低い」というのは、非常に大きなメリットであ
ると言える。
【0175】(7)騒音スペクトルを見てみても分かる
ように、(e)、(f)の場合は、他の(a)〜(d)
に比べて、ほとんど全ての周波数領域において、騒音レ
ベルが低減している。従って、周波数が大きい範囲で知
覚され易い騒音も、周波数が低い範囲で知覚され易い振
動も大幅に低減されていると見なせる。
【0176】なお、上記実施形態では、ギヤドモータと
しての一体性を確保するために、減速機ユニット10
2、302のケーシング151、351と、モータユニ
ット103、303のケーシング155、355の各一
部を、継ケーシング153、353として兼用させ、該
継ケーシング153、353内に、摩擦伝動ユニット2
01、401としての単純遊星ローラ機構202、40
2を組み込んでいた。
【0177】しかしながら、一層の「低騒音化」を意図
する場合は、ケーシングを伝って各ユニット間で振動が
伝達するのを遮断するために、敢えて、減速機ユニット
と摩擦伝動ユニットとモータユニットの各ケーシングを
分離させるようにしてもよい。
【0178】この場合、各ケーシングの連結部分にゴム
等の振動吸収手段を挟み込むことで、一層の振動伝達阻
止を図ることができる。
【0179】又、ケーシングを介しての外部への振動伝
達を回避する目的で、単純遊星ローラ機構202、40
2のリングローラ213、413を継ケーシング15
3、353に直接固定するのを止めて、両者の間に振動
吸収部材や空間を介在させることも考えられる。
【0180】そうすれば、ギヤドモータとしての一体性
は若干低下するが、減速機ユニットと摩擦伝動ユニット
とモータユニットの3者を、動力伝達経路においても、
又、ケーシングにおいても、完全に遮断することができ
る。この結果、特にケーシングの振動を抑えることがで
きることから、各ユニット間のみならず、相手部材との
間の共振回避効果をも更に高めることができる。なお、
このように3者のケーシングを分断した場合には、ギヤ
ドモータの外部への取付脚部を、単純遊星ローラ機構の
採用により振動吸収性能を発揮し得るようにした摩擦伝
動ユニット部分のケーシングに設けることで、据え付け
状態での相手部材への振動の伝達を更に抑制することが
でき、より一層騒音レベルを低減させることができる。
【0181】なお、上記実施形態では、単純遊星ローラ
機構202、402の太陽ローラ211、411を入力
要素、遊星ローラ212、412を保持するキャリア2
15、415を出力要素、リングローラ213、413
を固定要素とした場合を示したが、入力・出力・固定の
組み合わせは、図16に示すように6通りあり、必要に
応じて選択することができる。この入力・出力・固定の
組み合わせに各摩擦ローラの径のバリエーションを組み
合わせることにより、非常に多種多様な減速比や機能を
備えた駆動装置、或いは変速装置のシリーズを容易に展
開できる。
【0182】即ち、揺動内接噛合遊星歯車ユニットは、
その構造上、ひとつひとつの部品が特殊で、多くの種類
の部品を常時保有するのは、在庫コストが非常に嵩むた
め、メーカーサイドでの大きな問題のひとつとなってい
る。摩擦伝動ユニットは、各摩擦ローラの径を変えるだ
けで容易に変速比を変更でき、また入力・出力・固定の
組み合わせを変えることにより増速を含めて極めて大き
な範囲での変速比バリエーションを確保することができ
る。また各摩擦ローラの径は無段階に変えることができ
るため、より微妙な変速比の調整についても適用範囲が
広い。従って、この摩擦伝動ユニットの部分で多種多様
の機能を持たせるようにすれば、(たとえ揺動内接噛合
遊星歯車ユニット、或いはモータに同一のものを用いた
としても)駆動装置、あるいは変速装置全体の多種多様
性を確保することができるようになるため、こうした駆
動装置、あるいは変速装置をシリーズとして展開する場
合に非常に有益と言えるものである。
【0183】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の駆動装置
によれば、揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニッ
トとの間に摩擦伝動ユニットを介在させ、該摩擦伝動ユ
ニットを単純遊星ローラ機構で構成したので、摩擦伝動
ユニットの両側のユニット間で伝わろうとする振動を効
果的に吸収することができ、両ユニット間で起こる複雑
な共振現象を回避することができ、振動や騒音のレベル
を大幅に低減することができる。又、各ユニットの連結
部を浮動結合構造とした場合は、揺動内接噛合遊星歯車
ユニットで発生する径方向の振動成分を有効の吸収でき
るため、一層の騒音低減効果を奏することができる。
【0184】同様に、本発明の変速装置によれば、揺動
内接噛合遊星歯車機構と外部機械に連結される回転軸と
の間に摩擦伝動機構を介在させ、該摩擦伝動機構を単純
遊星ローラ機構で構成したため、変速装置と外部機械間
で伝わろうとする振動を吸収することができ、変速装置
と外部機械との間で起こる複雑な共振現象を回避するこ
とができ、振動や騒音のレベルを大幅に低減することが
できる。この場合も摩擦伝動機構と揺動内接噛合遊星歯
車機構の連結部を浮動結合構造とした場合は、揺動内接
噛合遊星歯車機構で発生する径方向の振動成分を有効の
吸収できるため、一層の騒音低減効果を奏することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態として示すギヤドモータの断
面図
【図2】同ギヤドモータ内の摩擦伝動ユニット(単純遊
星ローラ機構)の断面図
【図3】図2のIII−III矢視図
【図4】図1のIV−IV矢視断面図
【図5】別の減速比を得るための構成を示す図4と同様
の図
【図6】本発明の他の実施形態として示すギヤドモータ
の断面図
【図7】同ギヤドモータ内の摩擦伝動ユニット(単純遊
星ローラ機構)の断面図
【図8】図7のVIII−VIII矢視図
【図9】騒音測定試験を行うサンプルとして用意したギ
ヤドモータのタイプを示す図
【図10】騒音測定試験結果を表として示す図
【図11】騒音測定試験結果をグラフとして示す図
【図12】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図13】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図14】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図15】タイプ別の騒音スペクトルを示す図
【図16】単純遊星ローラ機で選択できる入力・出力・
固定に組み合わせを示す図
【図17】従来のギヤドモータの断面図
【図18】従来の振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星
歯車構造の断面図
【図19】図18のXIX−XIX矢視部の概略断面図
【図20】騒音測定試験で比較例として用いたギヤドモ
ータの断面図
【図21】騒音測定試験で比較例として用いた他のギヤ
ドモータの断面図
【図22】騒音測定試験で比較例として用いた更に他の
ギヤドモータの断面図
【符号の説明】
101…ギヤドモータ 102…減速機ユニット(揺動内接噛合遊星歯車ユニッ
ト) 103…モータユニット(外部ユニット) 111…第1軸 111a…スプライン軸部 112…第2軸 113a,113b…偏心体 114a,114b…ベアリング 115a,115b…外歯歯車 116a,116b…内ピン孔 117…内ピン 120…内歯歯車 123,124…キャリア 151…減速機ユニットのケーシング 153…継ケーシング 155…モータユニットのケーシング 161…モータ軸(駆動軸、回転軸) 161a…スプライン軸部 170…カップリング 170a…内スプライン 201…摩擦伝動ユニット 202…単純遊星ローラ機構 211…太陽ローラ 212…遊星ローラ 213…リングローラ 214…スプライン軸部 215…キャリア 216…出力軸部 217…リテーナ部 218…内スプライン 301…ギヤドモータ 302…減速機ユニット(揺動内接噛合遊星歯車ユニッ
ト) 303…モータユニット(外部ユニット) 311…第1軸 311a…スプライン軸部 312…第2軸 313a,313b…偏心体 314a,314b…ベアリング 315a,315b…外歯歯車 316a,316b…内ピン孔 317…内ピン 320…内歯歯車 323,324…キャリア 351…減速機ユニットのケーシング 353…継ケーシング 355…モータユニットのケーシング 361…モータ軸(駆動軸、回転軸) 361a…スプライン軸部 370…カップリング 370a…内スプライン 401…摩擦伝動ユニット 402…単純遊星ローラ機構 411…太陽ローラ 412…遊星ローラ 413…リングローラ 414…スプライン軸部 415…キャリア 416…出力軸部 417…ピン 418…内スプライン 419…ニードルベアリング
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月15日(1999.11.
15)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正内容】
【0137】ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達
は、確保し得るトルク伝達量が小さいのであるが、もと
もと前段の減速において伝達すべき伝達トルクはあまり
大きくなく、且つ振動の遮断された状態で安定回転でき
るため、問題とはならない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正内容】
【図22】
フロントページの続き (72)発明者 為永 淳 愛知県大府市朝日町六丁目1番地 住友重 機械工業株式会社名古屋製造所内 Fターム(参考) 3J027 FA11 FC12 GB03 GC03 GC13 GC25 GC26 GC29 GD03 GD08 GD12 GE01 GE14 GE15 3J051 AA02 BA03 BB08 BC03 BD02 BE03 CA03 EC02 ED15 FA08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内歯歯車、及び該内歯歯車に内接する外歯
    歯車を有し、且つ、前記内歯歯車の中心が外歯歯車の周
    囲の内側にある揺動内接噛合遊星歯車ユニットと、 該揺動内接噛合遊星歯車ユニットに対して動力を入力、
    又は取り出し可能に連結された外部ユニットとを、備え
    た駆動装置において、 前記揺動内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニットとの
    間に、互いに接する複数の摩擦ローラの摩擦により揺動
    内接噛合遊星歯車ユニットと外部ユニットとの間で回転
    動力を伝達する摩擦伝動ユニットを介在させ、 且つ、該摩擦伝動ユニットを、 前記摩擦ローラとして、太陽ローラと、キャリアに保持
    されると共に前記太陽ローラの外周に転接する複数の遊
    星ローラと、該複数の遊星ローラが内接するリングロー
    ラと、を備える単純遊星ローラ機構によって構成したこ
    とを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記単純遊星ローラ機構のキャリアが、前記複数の遊星
    ローラの周囲の空間に位置して各遊星ローラの相互位置
    を一定に保持するリテーナを備えていることを特徴とす
    る揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、 前記単純遊星ローラ機構のキャリアが、前記各遊星ロー
    ラの中心を貫通して該各遊星ローラの相互位置を一定に
    保持するピンを備えていることを特徴とする揺動内接噛
    合遊星歯車構造を備えた駆動装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記単純遊星ローラ機構のリングローラが固定され、前
    記複数の遊星ローラを保持するキャリア及び前記太陽ロ
    ーラの一方が入力側、他方が出力側とされていることを
    特徴とする揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記外部ユニットが、揺動内接噛合遊星歯車ユニットに
    回転入力を与えるモータユニットであり、 該モータユニットの駆動軸と前記揺動内接噛合遊星歯車
    ユニットとの間に前記摩擦伝動ユニットが介在され、 前記揺動内接噛合遊星歯車ユニットとモータユニットと
    が、これら各ユニットのケーシングの一部をなす継ケー
    シングで一体に結合されており、該継ケーシング内に前
    記摩擦伝動ユニットが組み込まれていることを特徴とす
    る揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記摩擦伝動ユニットと前記揺動内接噛合遊星歯車ユニ
    ット、及び、摩擦伝動ユニットと外部ユニットの連結部
    のうち、少なくとも一方側の連結部を浮動結合構造とし
    たことを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた
    駆動装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、 前記単純遊星ローラ機構よりなる摩擦伝動ユニットの前
    記キャリアと前記揺動内接噛合歯車ユニットの連結部、
    及び、前記太陽ローラと前記外部ユニットの連結部のう
    ち、少なくともキャリアと揺動内接噛合歯車ユニットの
    連結部の側が前記浮動結合構造とされていることを特徴
    とする揺動内接噛合遊星歯車構造を備えた駆動装置。
  8. 【請求項8】請求項6又は7において、 前記浮動結合構造として、スプライン結合構造が用いら
    れていることを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車構造を
    備えた駆動装置。
  9. 【請求項9】外部機械に連結される回転軸と、 内歯歯車及び該内歯歯車に内接する外歯歯車を有し、且
    つ、前記内歯歯車の中心が外歯歯車の周囲の内側にある
    揺動内接噛合遊星歯車機構と、 摩擦ローラとして、太陽ローラと、キャリアに保持され
    ると共に前記太陽ローラの外周に転接する複数の遊星ロ
    ーラと、該遊星ローラが内接するように組み込まれたリ
    ングローラと、を有する単純遊星ローラ機構と、を備
    え、 前記太陽ローラ、キャリア、リングローラのうちの一つ
    が固定され、他の二つのうちの一つが前記揺動内接噛合
    遊星歯車機構と連結され、残る一つが前記回転軸と連結
    されていることを特徴とする変速装置。
  10. 【請求項10】請求項9において、 前記リングローラが固され、前記キャリアと前記揺動内
    接噛合遊星歯車機構が連結され、前記太陽ローラが前記
    回転軸に連結されており、 前記キャリアと前記揺動内接噛合遊星歯車機構との連結
    部、及び、前記太陽ローラと前記回転軸の連結部のう
    ち、少なくとも一方側の連結部が浮動結合構造とされて
    いることを特徴とする揺動内接噛合遊星歯車構造を備え
    た変速装置。
  11. 【請求項11】請求項9又は10において、 前記揺動内接噛合遊星歯車機構が、変速装置の中心軸線
    上に位置する第1軸及び第2軸を有し、前記第1軸の外
    周に偏心体を介して該第1軸に対して揺動回転可能に外
    歯歯車が嵌合され、前記第1軸と同心に前記外歯歯車が
    内接噛合する内歯歯車が設けられ、前記第2軸が前記外
    歯歯車の自転成分のみを取り出す手段を介して該外歯歯
    車に連結されてなる揺動内接噛合遊星歯車機構である揺
    動内接噛合遊星歯車構造を備えた変速装置。
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