JP3963587B2 - 内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外歯歯車を出力部材とし、該外歯歯車と噛合する内歯揺動体を偏心体によって揺動回転させることにより、外歯歯車に減速回転出力を取り出す内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内接噛合遊星歯車装置は、大トルクの伝達が可能であり且つ大減速比が得られるという利点があるので、種々の減速機分野で数多く使用されている。
【0003】
その中で、外歯歯車を出力部材とし、該外歯歯車と噛合する内歯揺動体を偏心体によって揺動回転させることにより回転出力を取り出す内歯揺動型の内接噛合遊星歯車装置が特許公報第2607937号にて知られている。
【0004】
図5、図6を用いて同歯車装置の一例を説明する。
【0005】
1はケーシングであり、互いにボルトやピン等の締結部材2で結合された第1支持ブロック1Aと第2支持ブロック1Bとからなる。5は入力軸で、入力軸5の端部にはピニオン6が設けられ、ピニオン6は、入力軸5の周りに等角度に配設された複数の伝動歯車7と噛合している。
【0006】
ケーシング1には、軸方向両端を軸受8、9によって回転自在に支持され且つ軸方向中間部に偏心体10A、10Bを有する3本の偏心体軸10が、円周方向に等角度間隔(120度間隔)で設けられており、前記伝動歯車7は各偏心体軸10の端部に結合されている。そして、入力軸5の回転を受けて伝動歯車7が回転することにより、各偏心体軸10が回転するようになっている。
【0007】
各偏心体軸10は、ケーシング1内に収容された2枚の内歯揺動体12A、12Bの貫通孔をそれぞれ貫通しており、各偏心体軸10の軸方向に隣接した2段の偏心体10A、10Bの外周と、内歯揺動体12A、12Bの貫通孔の内周との間にはコロ14が設けられている。
【0008】
一方、ケーシング1内の中心部には、出力軸20の端部に一体化された外歯歯車21が配されており、外歯歯車21の外歯23に、内歯揺動体12A、12Bのピンからなる内歯13が噛合している。内歯揺動体12A、12Bは、偏心体10A、10Bを支持する部分と内歯13部分を除いて残りの部分を切り欠いて構成されており、これによって第1、第2の支持ブロック1A、1Bの特に結合部分の断面積を大きくとれるようになっている。
【0009】
この装置は次のように動作する。
【0010】
入力軸5の回転は、ピニオン6を介して伝動歯車7に与えられ、伝動歯車7によって偏心体軸10が回転させられる。偏心体軸10の回転により偏心体10A、10Bが回転させられると、内歯揺動体12A、12Bが揺動回転する。このため、内歯揺動体12A、12Bと噛合する外歯歯車21が減速回転されるものとなる。この場合、内歯揺動体12A、12Bの1回の揺動回転によって、該内歯揺動体12A、12Bと外歯歯車21はその歯数差だけ位相がずれるので、その位相差に相当する自転成分が外歯歯車21の(減速)回転となり、出力軸20から減速出力が取り出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置では、3本の偏心体軸10が円周方向に等角度(120度)間隔で配設(等配)されているが、本発明らは、偏心体軸は必ずしも等角度間隔で配置されていなくてはならないものではないと考え、偏心体軸をあえて不等間隔で配置することにより、形状設計の自由度を高めようとする案を考え出した(未公知)。
【0012】
また、従来のこの種の装置では、3本偏心体軸があれば3本全部の偏心体軸を入力軸によって駆動して内歯揺動体を揺動運動させているが、全部の偏心体軸を必ずしも駆動用に使用する必要はないと考え、少なくとも1本の偏心体軸を入力軸に対して非連結とする案を考え出した(未公知)。
【0013】
ところが、このような従来なかった案を実現しようとした場合、各偏心体軸の負荷に違いが出ることが予想され、従来のように同径の偏心体軸をそのまま採用すると、偏心体軸やそれを回転支持する軸受の耐久性に差が出てしまうという、新たな問題が生じるおそれがあった。
【0014】
本発明は、上記事情を考慮し、例えば偏心体軸ごとの負荷に差が出るような構造を採用した場合にも、偏心体軸や軸受の耐久性をできるだけ揃えることのできる内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ケーシングと、該ケーシング内に配された出力部材としての外歯歯車と、該外歯歯車の外周側に配され前記ケーシングに回転自在に支持された複数の偏心体軸と、該偏心体軸に設けられた偏心体と、前記外歯歯車と噛合し前記偏心体が貫通すると共に該偏心体の回転によって揺動回転させられることで前記外歯歯車を回転させる内歯揺動体とを備えた内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置において、前記偏心体軸を3本備え、そのうちの2本の偏心体軸を120度より小さい間隔で互いに接近させて配置し、残る1本を、それら2本の偏心体軸と反対側に配置し、該反対側に配置した偏心体軸を他の2本の偏心体軸と異径にしたことにより、上記課題を解決したものである。
【0016】
この発明によれば、各偏心体軸の負荷の違いに応じて、偏心体軸の径や軸受サイズを個別に設定することにより、偏心体軸や軸受の耐久性を全部揃えることができる。従って、無駄のない適正コストの歯車装置を提供することができる。
【0019】
3本の偏心体軸を円周方向に等間隔に配置すると、従来例のように120度間隔になるが、ここで2本の偏心体軸を120度より小さい間隔で片側に寄せて配置し、残りの1本の偏心体軸をそれらと反対側に配置する。そうすると、片側に寄せた2本の偏心体軸同士が互いに接近するので、それらを結ぶ直線方向の装置寸法が縮小できるようになる。従来は、偏心体軸を円周方向に等配する関係上、装置が円形を基本とする形状になっていたが、本発明では、偏心体軸を不等間隔で配置することにより、偏心体軸の配置の自由度が増すので、それに応じて歯車装置全体の形状の設計自由度が大きくとれるようになり、前述したように、出力軸の正面から見た場合の装置の幅寸法を小さくすることができ、全体として細長い形状のコンパクトな歯車装置を作ることが可能になる。
【0021】
本発明では、偏心体軸を不等間隔で配置しているため、装置の外観形状を優先させて、偏心体軸の配置を決めることができるようになる(=形状の設計自由度が増す)。このため、所望の幅内に装置寸法を納めることができるようになる。
【0022】
この場合、偏心体軸の不等配置により、各偏心体軸や偏心体に対する負荷のかかり方が変わって来る可能性があるので、負荷のかかり方に応じて、偏心体軸(偏心体の概念を含む)の径を異ならせ、同時に軸受のサイズ等も他と異ならせる。例えば、偏心体軸の配置により守備範囲の広くなった偏心体軸や偏心体については大径とする。但し、その場合、偏心体の偏心量は他と揃える必要がある。
【0025】
また、全部の偏心体軸を必ずしも駆動する必要はなく、3本の偏心体軸のうち異径とした1本を、偏心体軸を回転駆動する入力軸に対して非連結とし、内歯揺動体の揺動に応じて従動回転しつつ内歯揺動体を支持する従動専用のものとしてもよい(請求項2)。
【0026】
この場合、駆動用の偏心体軸には、入力トルク負荷と出力トルク負荷がかかるが、従動専用の偏心体軸には、入力トルク負荷はかからず出力トルク負荷のみがかかる。従って、従動専用の偏心体軸に関しては、負荷が小さいので、小径化するのがよい。このように、従動専用の偏心体軸を設けた場合は、そのものについては入力のための伝動機構(伝動歯車等)を設けずにすむため、部品数減少を図ることが可能になる。
【0032】
また、上記の発明を適用することにより、歯車装置の中央部に入力用のモータを配置する必要がなくなることから、請求項3の発明では、外歯歯車の中心部に貫通孔を形成し、その貫通孔を、各種の配管や配線等を行うためのスペースとして有効利用できるようにしている。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
図1は第1実施形態の内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置(以下、単に「歯車装置」ともいう)100の軸方向に直交する断面図(図2のI −I 矢視断面図)、図2は図1のII−II矢視断面図である。
【0035】
この歯車装置100は、ボルト等の締結部材102によって互いに結合された第1支持ブロック101Aと第2支持ブロック101Bからなるケーシング101を有する。ケーシング101内の外周側の位置には、歯車装置100の中心(後述する外歯歯車121及び出力軸120の中心)Oの周りに、3本の偏心体軸110、111、111が、軸受108、109、118、119を介してそれぞれ回転自在に配されている。
【0036】
図1に示すように、3本の偏心体軸110、111、111のうち、2本の偏心体軸111、111は、120度より小さい角度間隔(本例では70度)で片側に寄せて配置され、残りの1本の偏心体軸110は、それらと歯車装置100の中心Oを挟んで反対側に離れて配置されている。ここでは、離れた方の偏心体軸110は、他の2本の偏心体軸111、111から等角度(本例では145度)の位置に配置されている。
【0037】
従って、3本の偏心体軸110、111、111は、歯車装置100の中心Oを基準とした円周方向に不等間隔で配置されている。但し、3本の偏心体軸110、111、111は、歯車装置100の中心Oを中心とする同一円周上に配されている。
【0038】
図2において、105は歯車装置100の中心Oと同心に配設された入力軸であり、この入力軸105の端部にはピニオン106が設けられている。ピニオン106は、各偏心体軸110、111、111の端部に結合された伝動歯車107と噛合している。そして、入力軸105の回転を受けて伝動歯車107が回転することにより、各偏心体軸110、111、111が回転するようになっている。
【0039】
各偏心体軸110、111、111は、ケーシング101内に収容した2枚の内歯揺動体112A、112Bの貫通孔をそれぞれ貫通しており、各偏心体軸110、111、111の軸方向中間部に隣接して形成された2段の偏心体110A、110B、111A、111Bの外周と、内歯揺動体112A、112Bの貫通孔の内周との間にはコロ114が設けられている。
【0040】
一方、ケーシング101内の中心部には、出力軸120の端部に一体化された外歯歯車121が配されており、外歯歯車121のトロコイド歯形よりなる外歯123に、内歯揺動体112A、112Bのピンからなる円弧歯形状の内歯113が噛合している。内歯揺動体112A、112Bは、偏心体110A、110B、111A、111Bを支持する部分と内歯113部分を除いて、残りの余分な部分を切り欠いた形状に形成されている。
【0041】
ここで、接近した2本の偏心体軸111、111は小径に形成されているが、離れた1本の偏心体軸110は、それらよりも大径に形成されている。これは、偏心体軸110、111、111を不等間隔で配したことにより各偏心体軸110、111、111への負荷のかかり方が異なってくるので、その対策として実行したものである。これに伴って偏心体110A、110B、111A、111Bの径や、軸受108、109、118、119のサイズも異ならせている。但し、偏心体110A、110B、111A、111Bの偏心量は全部同じに設定している。このようにすることで、各偏心体軸110、111、111や軸受108、109、118、119の負担を平均化して、寿命の均等化、つまり偏心体軸110、111、111や軸受108、109、118、119等の耐久性が等しくなるようにしている。
【0042】
次に作用を説明する。
【0043】
入力軸105の回転が減速回転となって出力軸120に取り出される動作については従来例と同じである。違う点は歯車装置100全体の形状である。
【0044】
即ち、本実施形態の歯車装置100では、偏心体軸110、111、111を円周方向に不等間隔で配置しており、特に片側に寄せた2本の偏心体軸111、111同士が互いに接近するので、それらを結ぶ直線方向の装置寸法が大幅に縮小できるようになる。例えば、従来は偏心体軸を円周方向に等配する関係上、装置が円形を基本とする形状になっていたが、本実施形態では、内歯揺動体112A、112Bを始めとしてケーシング101も、円形ではなく、細長い形状にすることができ、装置の幅寸法を大幅に短縮することができて、全体として細長い形状の歯車装置100を作ることができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
図3、図4は本発明の第2実施形態の歯車装置600の構成図である。
【0060】
この歯車装置600は、ボルト等の締結部材602によって互いに結合された第1支持ブロック601Aと第2支持ブロック601Bとからなるケーシング601を有している。ケーシング601内の外周側の位置には、歯車装置600の中心、即ち外歯歯車621の中心Oの周りに、3本の偏心体軸610、611、611(図3では偏心体611Aで示してある)が、軸受608、609、618、619を介してそれぞれ回転自在に配されている。ここでは、3本の偏心体軸610、611、611のうちの1本の偏心体軸610が従動専用に設定されており、残り2本の偏心体軸611、611だけが駆動用に設定されている。
【0061】
図3に示すように、3本の偏心体軸610、611、611のうち2本の駆動用の偏心体軸611、611は、120度より小さい角度間隔(本例では極めて小さい角度)で片側に寄せて配置され、残りの従動専用の1本の偏心体軸610は、それらと歯車装置600の中心Oを挟んで反対側に離れて配置されている。なお、離れた方の偏心体軸610は、他の2本の偏心体軸611、611とのバランスを考慮して、両偏心体軸611、611から等角度の位置に配置されている。
【0062】
従って、3本の偏心体軸610、611、111は、歯車装置100の中心Oを基準とした円周方向に不等間隔で配置されている。しかも、従動専用の偏心体軸610は、外歯歯車の中心に対して他の2本の偏心体軸611、611とは異なる円周上に配されている。さらに、従動専用の偏心体軸610は、他の2本の偏心体軸611、611と異径(小径)に設定され、軸受608、609のサイズも、他の軸受618、619よりは小径とされている。
【0063】
また、2本の偏心体軸611、611のみを駆動すればよいことから、駆動用の2本の偏心体軸611、611の端部に設けた伝動歯車607、607に回転を与えるためのピニオン606及び入力軸605は、偏心体軸611、611を結ぶ直線よりも歯車装置600の中心Oから見て外側に配置している。そして、このような配置により歯車装置600の中心部付近の空間を広く利用できるため、外歯歯車621の中心部に貫通孔621Pを形成して出力軸ホローシャフトタイプとし、この貫通孔621Pを、各種の配線や配管のスペースとして有効に利用できるようにしている。
【0064】
前記外歯歯車621は、図4に示すように、ケーシング601の内周に軸受665、666を介して回転自在に支持されており、該軸受665、666は両端のボルト680で固定されたフランジ661、662によって軸方向に移動しないよう保持されている。そして、一方のフランジ662に形成したボルト孔682に、図示しない出力側部材(相手機械)を結合することにより、外歯歯車621の出力を外部に取り出せるようになっている。この場合、入力軸605が2つの偏心体軸611、611を結ぶラインから外側にシフトされているため、相手機械と入力軸605との空間的な干渉をそれだけ低減できる。
【0065】
入力軸605は、2本の偏心体軸611、611から等距離の位置に配され、ケーシング601及びその端面に固定されたモータ650の固定フランジ655に軸受652、653で回転自在に支持され、モータ650の回転軸651と結合されている。この入力軸605の端部にはピニオン606が設けられており、このピニオン606は、各偏心体軸611、611に結合された伝動歯車607と噛合している。そして、入力軸605の回転を受けて伝動歯車607が回転することにより、各偏心体軸611、611が回転するようになっている。
【0066】
各偏心体軸610、611、611は、ケーシング601内に収容した2枚の内歯揺動体612A、612Bの貫通孔をそれぞれ貫通しており、各偏心体軸610、611、611の軸方向中間部に隣接して形成された2段の偏心体610A、610B、611A、611Bの外周と、内歯揺動体612A、612Bの貫通孔の内周との間にはコロ614が設けられている。
【0067】
外歯歯車621のピンからなる円弧歯形の外歯623には、内歯揺動体612A、612Bのトロコイド歯形よりなる内歯613が噛合している。内歯揺動体612A、612Bは、偏心体610A、610B、611A、611Bを支持する部分と内歯613部分を除いて、残りの余分な部分を切り欠いた形状に形成されており、図7に示すように、軽量化のための肉落とし孔612Pも設けられている。
【0068】
次に作用を説明する。
【0069】
入力軸605の回転が減速回転となって外歯歯車621に取り出される動作については第2実施形態の歯車装置400と同じである。即ち、離れた位置にある偏心体軸610は、入力軸605と非連結であり、内歯揺動体612A、612Bの駆動は2本の偏心体軸611、611だけで行う。そして、離れた位置にある偏心体軸610は、内歯揺動体612A、612Bの揺動に応じて従動回転しつつ内歯揺動体612A、612Bを支持する従動専用の機能を果たす。
【0070】
この場合、駆動用の2本の偏心体軸611、611には、入力トルク負荷と出力トルク負荷がかかるが、従動専用の偏心体軸610には、入力トルク負荷はかからず出力トルク負荷のみがかかる。従って、従動専用の偏心体軸610に関しては、負荷が小さいので、小径化することが可能である。
【0071】
このように、従動専用の偏心体軸610を設けた場合は、そのものについては入力のための伝動機構(伝動歯車607等)を設けずにすむため、部品点数の減少を図ることができる。また、出力トルク負荷については、3本の偏心体軸610、611、611で平均して受けることができるので、動作の安定を図ることができる等の効果を奏することができる。
【0072】
また、この歯車装置600の場合は、外歯歯車621の中心の貫通孔621Pを配線等の有効スペースとして利用できるので、用途を広げることができる。
【0073】
また、この歯車装置600では、偏心体軸610、611、611を円周方向に不等間隔で配置しており、特に片側に寄せた2本の偏心体軸611、611同士を互いに極めて接近して配置しているので、それらを結ぶ直線方向の装置寸法を大幅に縮小できるようになる。即ち、本歯車装置600では、内歯揺動体612A、612Bを始めとして、ケーシング601も円形ではなく、細長い形状にすることができ、装置の幅寸法を大幅に短縮することができて、全体として細長い形状の歯車装置600を作ることができる。
【0074】
従って、本歯車装置600によれば、内歯揺動体612A、612Bを駆動するものを2本の偏心体軸611、611のみの構成としたこと、また、偏心体軸610、611、611を不等間隔で配置したことにより、ピニオン606及び入力軸605の配置を含めて、形状設計の自由度を広げることができる。
【0075】
また、上記のように3本の偏心体軸610、611、611を不等配置したことによっても、各偏心体軸610、611、611や各偏心体610A、610B、611A、611Bに対する負荷のかかり方が変わって来る可能性がある。そこで、従動専用の偏心体軸610を異径にする場合にも、負荷のかかり方を充分に考慮して上で、偏心体軸610、611、611や偏心体610A、610B、611A、611Bの径を設定し、それに応じて軸受608、609、618、619のサイズを設定するのが望ましい。例えば、3本の偏心体軸610、611、611の配置により受持ち角度(範囲)の広くなった偏心体軸610や偏心体610A、610Bについてはこの点に関しては大径とするのがよい。しかし、受持ち角度の広くなったと言っても偏心体軸610が従動専用の場合は、前述したようにトルク負荷が少ないために小径化が可能である。
【0076】
この実施形態では「従動」であることを考慮して小径としたが、特に減速比が高いときは入力トルク負荷の有無よりも、出力トルク負荷の受持ち角度が広いことの方が影響が大きいことも考えられ、その場合は偏心体軸610の方をむしろ大径とすべきである。
【0077】
即ち、大径化の必要性と小径化の許容性の高低(強弱)を計りながら、偏心体軸610、611、611の軸径を設定するのがよい。但し、偏心体軸610、611、611の軸径を異ならせる場合にも、偏心体610A、610B、611A、611Bの偏心量は他と揃える必要がある。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも1本の偏心体軸を異径にしたので、例えば径の設定の仕方により、偏心体軸ごとの負荷に差が出るような構造を採用した場合にも、偏心体軸や軸受の耐久性をできるだけ揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の歯車装置100の構成を示す要部断面図
【図2】図1のII−II矢視断面図
【図3】本発明の第2実施形態の歯車装置600の構成を示す要部断面図
【図4】図3のIV − IV矢視断面図
【図5】従来の歯車装置の構成を示す側断面図
【図6】図5のVI−VI矢視断面図
【符号の説明】
O…歯車装置の中心
100…歯車装置
101…ケーシング
110、111…偏心体軸
110A、110B、111A、111B…偏心体
112A、112B…内歯揺動体
121…外歯歯車
600…歯車装置
601…ケーシング
610、611…偏心体軸
610A、610B、611A、611B…偏心体
612A、612B…内歯揺動体
621…外歯歯車
621P…貫通孔
Claims (3)
- ケーシングと、該ケーシング内に配された出力部材としての外歯歯車と、該外歯歯車の外周側に配され前記ケーシングに回転自在に支持された複数の偏心体軸と、該偏心体軸に設けられた偏心体と、前記外歯歯車と噛合し前記偏心体が貫通すると共に該偏心体の回転によって揺動回転させられることで前記外歯歯車を回転させる内歯揺動体とを備えた内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置において、
前記偏心体軸を3本備え、そのうちの2本の偏心体軸を120度より小さい間隔で互いに接近させて配置し、残る1本を、それら2本の偏心体軸と反対側に配置し、該反対側に配置した偏心体軸を他の2本の偏心体軸と異径にしたことを特徴とする内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置。 - 請求項1において、
前記異径とした偏心体軸を、前記外歯歯車の中心に対して偏心体軸を回転駆動する入力軸に対して非連結とし、内歯揺動体の揺動に応じて従動回転しつつ内歯揺動体を支持する従動専用のものとしたことを特徴とする内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置。 - 請求項1または2において、
前記外歯歯車の中心部に貫通孔を形成したことを特徴とする内歯揺動型内接噛合遊星歯車装置。
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