JP4371512B2 - 多孔質フィルムとその製造方法、及びラベル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状に特徴のある多孔質フィルムとその製造方法、及び前記多孔質フィルムを用いたラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質フィルムの形状としては、その製法や材質により様々なものが知られている。例えば、一軸延伸法などの製法上あるいはそれ以外の理由により孔の形状、寸法に方向性が付与された多孔質フィルム、二軸延伸法などの製法上その他の理由により方向性のない節コブ構造に形成された多孔質フィルム、コアセルベーションを用いた湿式製膜法などの製法上その他の理由により表面にスキン層を有し深さ方向に非対称構造とした多孔質フィルムなどがある。
しかしながら、平均孔径が数μm〜数百μmのオーダーで、孔径分布がシャープで、ピンホール等の欠陥が少なく、かつ表面平滑性の優れた多孔質フィルム及びその製法はなかった。
【0003】
一方、従来、表示用のラベルとして、任意の印刷法により認識パターンが形成された種々のラベルが知られている。しかし、従来のラベルは、擦過、洗浄等の過酷な条件に曝されると、認識パターンが消失しやすい等の問題があった。この問題を解決する有効な手段として、多孔質フィルムをインク受容層とするラベルが提案されている。しかし、これまでインク受容層として用いるのに適当な多孔質フィルムはなかった。
【0004】
インク受容層として多孔質フィルムを用いる目的は、インクが多孔質内に含浸することにより認識パターンの耐久性を向上させることである。そのためにはある程度以上の表面開孔率、空孔率、及び孔径を有することが望ましい。例えば、孔径については、平均孔径が1μm以下ではインクが含浸し難く上記の効果を十分得ることができない。一方、印刷や印字の方法にもよるが、孔径がある程度以上、一般的には数百μm以上になると認識パターンに欠け等が生じ、解像度が著しく低下する。また、開孔率、空孔率が大きすぎてもフィルムの表面平滑性が低下し、印刷や印字の際にインクとの接触面積が十分得られず、解像度が低下するのに加え、多孔質フィルム自体の強度が十分得られず、結果として認識パターンの耐久性が十分得られなくなる。
【0005】
このように、表示用ラベルとして認識パターンの高耐久性を実現するための多孔質フィルムの適正形状はかなり限定されるが、これまで、これらすべてを満足する多孔質フィルム及びその製法はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、孔径分布がシャープで、ピンホール等の欠陥が少なく、しかも表面平滑性の優れた多孔質フィルムとその製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記特性に加え、さらに平均孔径が数μm〜数百μmのオーダーにある多孔質フィルムとその製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、解像性と認識パターンの耐久性に優れるラベルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリエチレン等の固体粒子の分散液を支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成した後、加熱等により、固体粒子同士の接点を融着(焼結)させると同時に、支持体と接触している固体粒子の頂部を平坦化し、支持体を剥離すると、多数の固体粒子がその粒子形状をほぼ維持した状態で互いに連結(若しくは連接)した構造を有し且つ表面の固体粒子の頂部が平坦な形状の多孔質フィルムが得られること、及びこうして得られる多孔質フィルムは、平均孔径が数μm〜数百μm程度であり、孔径分布がシャープでピンホール等がなく、しかも表面平滑性に優れることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、固体粒子を溶媒中に分散させた分散液を支持体上に塗布して固体粒子の塗膜を形成した後、固体粒子同士の接点を融着させ且つ最外層の固体粒子の頂部を平坦に成形することを特徴とする多孔質フィルムの製造法を提供する。
この多孔質フィルムの製造法において、固体粒子は粘度平均分子量30万以上の超高分子量ポリエチレンで構成されていてもよい。また、固体粒子の平均粒子径は例えば10〜200μm程度である。さらに、例えば25〜80%程度の空孔率である多孔質フィルムを形成してもよい。
【0009】
本発明は、さらに、上記の多孔質フィルムの製造法により多孔質フィルムを形成し、該多孔質フィルムをインク受容層として用いてラベルを作製するラベルの製造法を提供する。このラベルの製造法は、ラベル裏面にホットメルト接着剤層を形成していてもよい。また、ラベルの構成成分全体(剥離ライナーを有するラベルでは剥離ライナーを除く)に占めるポリエチレン成分の割合は、例えば30重量%以上であるラベルを形成していてもよい。前記多孔質フィルムからなるインク受容層上に熱転写印字による認識パターンを形成していてもよい。クリーニングの工程管理用のラベルとして使用できるラベルを形成していてもよい。
なお、本明細書では、インク受容層上に認識パターンが形成されたもの、及び認識パターンが未形成のものを含めて「ラベル」と称する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質フィルムは、多数の固体粒子が互いに接触し、その接点において結合して層構造をなしている点、及び表面の固体粒子の頂部が平坦に形成されている点に特徴を有する。なお、平坦とは、走査型電子顕微鏡写真のレベル(例えば、倍率1000倍)でほぼ平坦であることを意味する。
【0011】
前記固体粒子の材質としては、熱や圧力により互いに連結可能であり且つ頂部を平坦化可能なものであれば特に限定されないが、その代表的な例として熱可塑性樹脂が挙げられる。この熱可塑性樹脂としては、固体粒子を互いに連結する際、接点のみが融着し、それ以外の部分は溶融流動化して無孔化することが無いように、溶融粘度が非常に大きいことが望ましい。また、厚み及び孔径の均一な多孔質フィルムを得るためには、粒子径が揃っているのが好ましい。
【0012】
このような観点から、前記熱可塑性樹脂として超高分子量の熱可塑性樹脂、例えば超高分子量のポリオレフィン、とりわけ超高分子量のポリエチレンが好ましい。超高分子量樹脂の粘度平均分子量は、一般には30万以上(例えば、30万〜600万程度)、好ましくは100万以上(例えば、100万〜600万程度)である。
【0013】
前記固体粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、例えば10〜200μm程度、好ましくは15〜150μm程度である。平均粒子径が10μm未満では、加熱時の温度コントロールが煩雑で成膜時に無孔化しやすく多孔質フィルムを得ることができないことがある。また、平均粒子径が200μmを超える場合には、多孔質フィルムに対して要求されるセパレート機能や選択透過性、印刷用基材やラベル基材のインク受容層として用いる場合に求められる解像性等の特性が十分に得られないことがある。
【0014】
多孔質フィルムの空孔率は、例えば25〜80%程度、好ましくは35〜70%程度である。空孔率が25%未満では、多孔質フィルムとしての機能が十分発揮されず、例えばラベルのインク受容層として用いた場合にインクの多孔質への浸透が少なくなり、擦過、洗浄等により認識パターンが消えやすくなる。また、空孔率が80%を超えると、十分なフィルム強度が得られにくくなるだけでなく表面平滑性が低下し、例えばラベルのインク受容層として用いた場合、印刷や印字の際にインクとの接触面積が十分でなく、その結果解像度が低下しやすくなる。また、空孔率が高すぎると、擦過、洗浄等により認識パターンが消えやすくなる。
【0015】
多孔質フィルムの平均孔径は、例えば1〜200μm程度である。平均孔径が小さすぎると、ラベルのインク受容層として用いた場合にインクが浸透しにくくなり、逆に大きすぎると認識パターンに欠け等が生じ解像度が低下しやすい。
【0016】
なお、多孔質フィルムの空孔率や平均孔径は、多孔質フィルムの製造時において、原料として用いる固体粒子の粒子径や、固体粒子を互いに連接させる際の温度、圧力等により調整することができる。
【0017】
多孔質フィルムの厚みは、用途に応じて適宜選択できるが、一般には2〜200μm程度である。多孔質フィルムをラベルのインク受容層として用いる場合、フィルムの厚みが2μm未満であると、擦過、洗浄に対する耐性が低下し、認識パターンが消失しやすくなり、逆に大きすぎると、ラベル端部より剥がれやすくなる。
【0018】
本発明の多孔質フィルムは、例えば、前記固体粒子を溶媒中に均一に分散させた分散液(ディスパージョン)を支持体上に塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、固体粒子同士の接点を融着(焼結を含む)させるとともに支持体と接触している固体粒子の頂部を平坦に成形することにより製造できる。支持体は適宜剥離され、使用に供される。この際、支持体の剥離面を多孔質フィルムの表面として利用するのが好ましい。
原料固体粒子の形状は、熱等により互いに連結させたとき各粒子間に空隙が形成可能な形状であればよいが、一般には球状又は楕球状のものが使用される。
【0019】
溶媒としては、固体粒子を分散可能な溶媒であれば特に限定されず、固体粒子の種類に応じて、水、有機溶媒又はこれらの混合溶媒から適宜選択して使用できるが、作業環境等の観点から水が好ましい。分散液の調製は慣用の混合手段を用いて行うことができる。
【0020】
支持体としては、前記固体粒子同士を融着し且つ頂部を平坦化する際の熱や圧力に耐えられる程度の耐熱性や強度を具備したシート状物であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム;金属箔;グラシン紙などの紙等の何れをも使用できる。また、支持体としては表面平滑性の高いものが好ましい。表面平滑性の高い支持体を用いると、固体粒子のうち支持体との接触部位を平坦化する際、該平坦面の平滑性をより高くできるので、多孔質フィルム表面の光沢が向上するとともに、ラベルのインク受容層として用いた場合、印刷時における印刷媒体との密着性が大きく向上する。
【0021】
支持体上の固体粒子同士の融着及び固体粒子の頂部の平坦化は、例えば、該固体粒子の融点付近の温度又は融点以上の温度まで加熱したり、或いは適度な力を支持体方向に加えることにより行うことができる。このような操作により、固体粒子が僅かに溶融、流動して固体粒子同士の接点が接着するとともに、固体粒子のうち支持体との接触部位が平坦化する。なお、固体粒子からなる塗膜上に表面の平滑なシート状物を載置して上記操作を行うことにより、固体粒子のうち該シート状物との接触部位を平坦化することもできる。こうして得られるフィルムも本発明の多孔質フィルムに含まれる。
【0022】
前記操作における温度、圧力は、固体粒子を構成する材料などにより適宜調整する。固体粒子として超高分子量のポリエチレン等を用いる場合には、前記温度は、好ましくは140〜200℃程度である。
【0023】
本発明の多孔質フィルムは、多数の固体粒子が連接して層を成し、且つ表層の固体粒子が特徴的な形状を有するため、表面平滑性に優れるとともに、光沢度が高く、しかも固体粒子の粒子径や成形条件を適宜選択することにより所望の空孔率及び平均孔径が容易に得られる。このため、この多孔質フィルムは、印刷用基材、ラベル基材、テープ基材、滑りシート、通気性膜、電池用セパレーター等様々な用途に使用することができる。特に、印刷用基材やラベル基材のインク受容層として用いると、高解像度の印刷が可能となるだけでなく、インクが多孔質内へも浸透するため、擦過や洗浄に対して強靱な耐性を発揮する。
【0024】
図1は本発明のラベルの一例を示す概略断面図である。この例において、ラベル1は前記本発明の多孔質フィルムからなるインク受容層2と、このインク受容層2のうち表面固体粒子の頂部が平坦に形成されている側の面に形成された認識パターン4と、前記インク受容層2の他方の面に設けられた接着剤層3とで構成されている。
【0025】
接着剤層3を構成する接着剤としては、感圧性接着剤(アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤など)やホットメルト系接着剤などの汎用の接着剤を使用することができる。ラベル1をクリーニング工程管理用等として用いる場合には、貼り付け作業が容易で、ほぼ永久的に高接着強度を維持できるホットメルト接着剤を用いるのが好ましい。また、ホットメルト接着剤の中でも、薬品、溶剤、酸、アルカリに対して耐性の高いポリエチレン系ホットメルト接着剤などのポリオレフィン系ホットメルト接着剤が好ましい。
【0026】
接着剤層3を設けることにより、使用時に接着剤を塗布することなく、ラベル1を被着体に簡易に貼着することができる。接着剤層3の厚みは、使用目的に応じて、例えば1〜500μm程度の範囲から適宜選択できる。
【0027】
接着剤層3は、接着剤の種類に応じて、押出しラミネーション、ホットメルトラミネーション、サーマルラミネーション、コーティングなどの慣用のフィルムラミネート法や塗工法により形成できる。また、予めセパレータ上に粘着剤層を形成し、これを移着する方法を用いることもできる。接着剤層3の多孔質フィルム(インク受容層2)への積層は、多孔質フィルムを製造する際に用いる支持体を剥離した後で行ってもよいが、多孔質フィルムに支持体が積層されている状態で行う方が作業性等の点で有利である。
【0028】
接着剤層3の表面は、被着体に貼着するまでの間、汚染等を防止するため、剥離ライナー(セパレータ)等で被覆してもよい。
なお、インク受容層2と接着剤層3との間に、必要に応じて補強層等の他の層を設けてもよい。補強層としては、ラベルの基材として通常使用されるものであればよく、例えば、金属、耐熱プラスチックシート、布、紙等が挙げられる。補強層等の他の層も、インク受容層2や接着剤層3と同様、ポリオレフィン、特に、耐薬品性等に優れるポリエチレンで構成するのが好ましい。
【0029】
本発明のラベルの好ましい態様では、ラベルの構成成分全体(剥離ライナーを有するラベルでは剥離ライナーを除く)に占めるポリエチレン成分の割合が30重量%以上(特に、50%以上)である。このようなラベルは、とりわけ耐薬品性、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性等に優れる。
【0030】
認識パターン4は熱転写印字により形成できる。熱転写印字に用いるインクは、特に限定されないが、インク受容層2をポリオレフィン、特に超高分子量ポリエチレンからなる多孔質フィルムで構成する場合には、インクの樹脂成分もポリオレフィン、特にポリエチレンとするのが好ましい。インク受容層2とインクの構成成分とを同質の樹脂で構成することにより、両者を強固に熱融着させることができる。また、インクの樹脂成分としてポリエチレン等のポリオレフィンを用いると、該オレフィンが多くの薬品や溶剤、酸、アルカリに侵されにくい性質を有するため、耐擦過性及び耐洗浄性に優れるだけでなく、耐薬品性、耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性等に優れるラベルとすることができる。
【0031】
インクの樹脂成分として用いるポリオレフィンの粘度平均分子量は、耐溶剤性や熱溶融性、ないし汎用の熱転写プリンタによるインクの転写圧着性などの点から、5千〜30万程度が好ましく、より好ましくは5千〜20万、特に6千〜1万程度である。
【0032】
インクに用いる着色剤としては、例えば有機系や無機系の顔料、カーボン、金属粉末など適宜なものを用いてよい。前記有機系顔料の例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、金属錯塩顔料、バット染料系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料などが挙げられる。
【0033】
また、無機系顔料としては、シリカ、チタニア、アルミナ、亜鉛華、ジルコニア、酸化カルシウム、マイカなどの白色物;酸化マンガン・アルミナ、酸化クロム・酸化錫、酸化鉄、硫化カドミウム・硫化セレンなどの赤色物;酸化コバルト、ジルコニア・酸化バナジウム、酸化クロム・五酸化二バナジウムなどの青色物;酸化クロム・酸化コバルト・酸化鉄・酸化マンガンやクロム酸塩、過マンガン酸塩などの黒色物;ジルコニウム・珪素・プラセオジム、バナジウム・錫、クロム・チタン・アンチモンなどの黄色物;酸化クロム、コバルト・クロム、アルミナ・クロムなどの緑色物;アルミニウム・マンガン、鉄・珪素・ジルコニウムなどの桃色物などがその代表例として挙げられる。
【0034】
インクにおける着色剤とポリオレフィン等の樹脂成分の使用割合は、インク受容層2とのコントラストや熱転写圧着性などにより適宜決定されるが、一般にはポリオレフィン等の樹脂成分100重量部あたり50〜500重量部、好ましくは100〜300重量部の着色剤が用いられる。
【0035】
インクは、例えば、1種又は2種以上の着色剤と前記樹脂成分をロールミルや三本ロールミル等の適宜な混錬機にて加熱混合するか、必要に応じ前記樹脂成分溶解性の溶媒を用いて、例えば、ロールミルやポットミル等の適宜な混錬機で混合してペースト状等の流動物として調製することができる。
【0036】
熱転写方式によりパターンを形成する場合に必要な印字リボンなどのインクシートは、例えば、塗布方式、含浸方式等によりインクをフィルムや布等からなる支持基材に保持させることにより形成することができる。支持基材としては、ポリエステル、ポリイミド、フッ素樹脂等のプラスチックフィルム、ポリアミドやポリエステル等の繊維からなる布などの通例のものを用いてよい。インク層の密着性の向上には支持基材をワックス等でアンダーコーティング処理する方法が有効である。
【0037】
インクシートにおけるインク層の厚さは、0.2〜5μmが一般的であり、0.8〜1.5μmが好ましい。その厚さが0.2μm未満では隠蔽力に乏しい場合があり、5μmを超えるとインク層をせん断して良好に熱転写できず良好なパターンが形成できない場合がある。
【0038】
熱転写プリンタ等により熱転写方式で形成する認識パターンは任意である。印字パターン、絵柄パターン、バーコードパターンなどの任意な熱転写パターンを付与してよい。なお識別ラベルを形成する場合などには、インク受容層2とインクパターンとに良好なコントラスト、ないし色調の相違が形成されるようにすることが好ましい。なお付与パターンのより強固な定着を目的に、パターンの熱転写後に必要に応じて熱ロール等を介して加熱処理することもできる。
【0039】
本発明のラベルは、インクが印字の際に多孔質内に浸透するので、擦過や洗浄など過酷な使用環境下でも認識パターンが消失しない。そのため、クリーニング、リネン、レンタルユニホーム業界など、過酷な使用条件下で、衣服等の流通、在庫管理をスピーディーに行う必要のある業界において利用価値が高い。特に、水洗やドライクリーニングの繰り返しにも耐えることができるので、クリーニング工程管理用のラベルとして好適である。
【0040】
ラベルの被着体への貼り付け方法としては、慣用の方法を採用できるが、接着剤層3をホットメルト接着剤で構成する場合には、プレス機やアイロンを用いて布地などの被着体に熱圧着により貼り付ける方法が好ましい。この場合、熱板とラベルとの融着を防止するため、インク受容層2を構成する多孔質フィルムの材質は超高分子量ポリエチレンであるのが望ましい。また、この熱圧着法によれば、印刷直後のラベルと比較してインクがより多孔質内部に浸透するため、認識パターンの耐久性がさらに向上するという効果も得られる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の多孔質フィルムは、特徴的な構造を有し且つ表面に特定形状の固体粒子を有しているため、平均孔径が数μm〜数百μmのオーダーにおいて、孔径分布がシャープで、ピンホール等の欠陥が少なく、しかも表面平滑性に優れる。
本発明の多孔質フィルムの製造法によれば、このような優れた特性を有する多孔質フィルムを簡易に製造できる。
本発明のラベルによれば、上記の特性を有する多孔質フィルムをインク受容層として備えているので、高解像度の認識パターンが得られるだけでなく、インクが印字の際に多孔質内にも浸透するので、擦過や洗浄など過酷な使用環境下でも印字消えが生じない強靱な耐性を発揮する。
【0042】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0043】
実施例1
粘度平均分子量200万、平均粒子径30μmの超高分子量ポリエチレン微粒子100重量部、界面活性剤(エマルゲン906)3重量部、及びイオン交換水150重量部からなる配合液をホモミキサーで分散し、超高分子量ポリエチレン粒子のディスパージョンを調製した。
このディスパージョンを50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにアプリケーターを用いて乾燥塗布量が60g/m2になるように塗布し、150℃に設定された熱風乾燥機にて3分間乾燥、融着させ、その後PETフィルムを剥離して、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍、撮影角度75°)を図2に示す。得られた多孔質フィルムの厚みは150μm、空孔率は60%であった。
【0044】
実施例2
実施例1と同様にして、PETフィルム上に形成された塗膜を乾燥、融着させた後、PETフィルムを剥離せずに、塗膜表面に粘度平均分子量20万、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルム(接着剤層)を重ね、130℃の熱ラミネーターで貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥離し、ラベル形状に打抜き加工を行い、クリーニング用のラベルを得た。
一方、粘度平均分子量が約8千のポリエチレン100重量部に平均粒径が0.5μmの黒色粉末150重量部を加えて約200℃で混合して得た均一分散物をホットメルトのグラビア塗工機にて厚さ6μmのポリエステルフィルム上に0.8μmの厚さで塗布してインクシート(ポリオレフィン系インクリボン)を得た。前記の黒色粉末は、酸化クロム・酸化鉄・酸化コバルト・酸化マンガンからなる。
次に、前記のラベルの表面に、上記インクシートと市販の熱転写プリンタを用いて熱転写印字を行い、クリーニング用の表示ラベルを得た。この表示ラベルを、アイロン(温度190℃、圧力196kPa、時間10秒)で、ポリエステル65%、綿35%の混紡衣料へ接着した。
【0045】
実施例3
固体粒子として、粘度平均分子量200万、平均粒子径60μmの超高分子量ポリエチレン微粒子を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍、撮影角度75°)を図3に示す。得られた多孔質フィルムの厚みは140μm、空孔率は55%であった。
【0046】
実施例4
実施例3と同様の操作により、PETフィルム上に形成された塗膜を乾燥、融着させた後、PETフィルムを剥離せずに、塗膜表面に粘度平均分子量20万、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを重ね、130℃の熱ラミネーターで貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥離し、ラベル形状に打抜き加工を行い、クリーニング用のラベルを得た。
このラベルの表面に、実施例2と同様にして熱転写印字を行い、クリーニング用の表示ラベルを得た。この表示ラベルを、アイロン(温度190℃、圧力196kPa、時間10秒)で、ポリエステル65%、綿35%の混紡衣料へ接着した。
【0047】
比較例1
PETフィルム上に形成された塗膜を170℃に設定された熱風乾燥機にて30分乾燥、融着させたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、フィルムを得た。このフィルムは無孔質であり、厚みは80μmであった。
【0048】
比較例2
比較例1と同様にして、PETフィルム上に形成された塗膜を乾燥、融着させた後、塗膜表面に粘度平均分子量20万、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを重ね、130℃の熱ラミネーターで貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥離し、ラベル形状に打抜き加工を行い、クリーニング用のラベルを得た。
このラベルの表面に、実施例2と同様にして熱転写印字を行い、クリーニング用の表示ラベルを得た。この表示ラベルを、アイロン(温度190℃、圧力196kPa、時間10秒)で、ポリエステル65%、綿35%の混紡衣料へ接着した。
【0049】
比較例3
粘度平均分子量200万、平均粒子径30μmの超高分子量ポリエチレン微粒子を、温度150℃の加圧環境下でシート状に成形し、厚さ200μm、平均孔径約30μm、空孔率28%の多孔質フィルムを得た。このフィルムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍、撮影角度75°)を図4に示す。
【0050】
比較例4
比較例3と同様にして得られた多孔質フィルムの片面に、粘度平均分子量20万、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを重ね、130℃の熱ラミネーターで貼り合わせた。その後、ラベル形状に打抜き加工を行い、クリーニング用のラベルを得た。
このラベルの表面に、実施例2と同様にして熱転写印字を行い、クリーニング用の表示ラベルを得た。この表示ラベルを、アイロン(温度190℃、圧力196kPa、時間10秒)で、ポリエステル65%、綿35%の混紡衣料へ接着した。
【0051】
評価試験
(印字性)
実施例2、4、比較例2、4で得られた印字前のラベルの表面に、日東電工(株)製「デュラプリンターSR」を用いて、ナローバー0.19mm及び0.38mmのバーコード印字を行い、印字の欠けの有無により印字性を評価した。
【0052】
(洗濯試験)
10Lの水に、ライオン(株)製「ハードダッシュ」250cc、ライオン(株)製「LAビルダー」200cc、及び過酸化水素水250ccを加え、これに、実施例2、4、比較例2、4で得られた表示ラベルを接着した衣料を入れて、70℃で10時間の連続洗濯試験を実施した。洗濯試験終了後、印字のかすれ状態を評価した。
【0053】
(溶剤擦過試験)
トルエンを含浸させたベンコットンに196kPaの圧力をかけながら、実施例2、4、比較例2、4で得られた表示ラベルの表面を300往復し、印字のかすれ状態を評価した。
【0054】
上記試験の結果を表1に示す。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラベルの一例を示す概略断面図である。
【図2】実施例1で得られた多孔質フィルムの表面の構造及び粒子の形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例3で得られた多孔質フィルムの表面の構造及び粒子の形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例3で得られた多孔質フィルムの表面の構造及び粒子の形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 ラベル
2 インク受容層
3 接着剤層
4 認識パターン
Claims (9)
- 固体粒子を溶媒中に分散させた分散液を支持体上に塗布して固体粒子の塗膜を形成した後、固体粒子同士の接点を融着させ且つ最外層の固体粒子の頂部を平坦に成形することを特徴とする多孔質フィルムの製造法。
- 固体粒子が粘度平均分子量30万以上の超高分子量ポリエチレンからなる請求項1記載の多孔質フィルムの製造法。
- 固体粒子の平均粒子径が10〜200μmである請求項1又は2記載の多孔質フィルムの製造法。
- 空孔率が25〜80%である多孔質フィルムを形成する請求項1〜3の何れかの項に記載の多孔質フィルムの製造法。
- 請求項1〜4の何れかの項に記載の多孔質フィルムの製造法により多孔質フィルムを形成し、該多孔質フィルムをインク受容層として用いてラベルを作製することを特徴とするラベルの製造法。
- ラベル裏面にホットメルト接着剤層を形成する請求項5記載のラベルの製造法。
- ラベルの構成成分全体(剥離ライナーを有するラベルでは剥離ライナーを除く)に占めるポリエチレン成分の割合が30重量%以上であるラベルを形成する請求項5又は6記載のラベルの製造法。
- 多孔質フィルムからなるインク受容層上に熱転写印字による認識パターンを形成する請求項5〜7の何れかの項に記載のラベルの製造法。
- クリーニングの工程管理用として用いられるラベルを形成する請求項5〜8の何れかの項に記載のラベルの製造法。
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