JP4369712B2 - 湯切り蓋材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば即席焼きそばやスパゲッティなどのように、注湯後に湯切りして調理される即席食品のパッケージなどとして使用される湯切り蓋材の製造方法に関する。
従来、湯切り蓋材としては、積層フィルムで基材を構成すると共に、この基材上を覆う表面材を、カオリン、炭酸カルシウム、ラテックス、カゼインを主成分とする表面コート層を有する紙層で構成し、基材と表面材を、上記表面コート層を離型層として介在させて、ポリエチレンなどの接着樹脂で剥離可能に積層し、表面材を基材から剥離することにより、基材側から形成した湯切り孔形成用ハーフカットの内側部分が表面材に随伴して除去されて湯切り孔が現出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−96879号公報
しかしながら、上記従来の湯切り蓋材は、表面コート層を離型層として用いていることから、表面コート層の付設状態によって剥離性が不安定になりやすいばかりか、基材から表面材を剥離するときに表面コート層が剥がれ、脱落して内容物に混入したり、奇麗な剥離面が得にくい問題もある。また、表面材を構成する紙層として、表面コート層を有する紙、即ちコート紙を用いなければならないので、コストがかかる問題もある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、基材に対する表面材の安定した剥離性が得やすく、しかも剥離時に異物の脱落がなく、奇麗な剥離面が得られる廉価な湯切り蓋材を容易に製造できるようにすることを目的とする。
本発明は、紙とポリオレフィン系樹脂は、紙が表面コート層を有しないノーコート紙であっても、接着力を向上させるアンカーコート処理を施していなければ適度な剥離性が得られることを見出したことによってなされたものである。
即ち、本発明の第1は、基材上を覆う表面材を基材から剥離することにより、基材側から形成された湯切り孔形成用ハーフカットの内側部分が表面材に随伴して除去され又は予め湯切り孔形成用ハーフカットの内側部分を除去することで形成された湯切り孔が現出される湯切り蓋材の製造方法において、アンカーコート処理の施されていない表面にポリオレフィン系樹脂の接着樹脂が押し出しラミネートされたノーコート紙と、ポリオレフィン系樹脂の接着樹脂層を有する表面材とを、接着樹脂層同志を重ねて熱ラミネートにより積層する工程を有することを特徴とする湯切り蓋材の製造方法を提供するものである。
上記本発明の第1は、ノーコート紙へ押し出しラミネートされた接着樹脂層がポリエチレン、ポリプロピレン又はEMAAであること、
ノーコート紙への接着樹脂層の押し出しラミネートが、ノーコート紙の接着樹脂層との接触面にコロナ放電処理を施した後に行われていること、
をその好ましい態様として含むものである。
本発明によれば、基材と表面材との積層に、離型層として表面コート層を介在させる必要がないことから、剥離性が表面コート層の付設状態によって左右されることがなく、安定した剥離性が得やすいと同時に、剥離時に表面コート層が剥がれて脱落したり剥離面が荒れることがなく、衛生管理がしやすいと共に奇麗な剥離面が得やすい。また、表面コート層を有しないノーコート紙を用いていることから、コストダウンを図ることができる。更に、熱ラミネート時に、熱ラミネートの条件を調整することにより、ノーコート紙と接着樹脂間に形成される易剥離面の接着強度(剥離強度)を調整することができるので、この接着強度の調整が容易で製造がしやすい。
まず、図1〜図7に基づいて本発明によって製造することができる湯切り蓋材の第1の例を説明する。
図1は本発明によって製造することができる湯切り蓋材の第1の例を使用した即席食品パッケージの一例を平面図、図2は図1に示される即席食品パッケージの側面図、図3は図1におけるA−A拡大断面図、図4は図1におけるB−B拡大断面図、図5は図1に示される湯切り蓋材の表面材の一部を剥離して湯切り孔を現出させる途中段階の平面図、図6は表面材を剥離した状態の図1におけるA−A拡大断面図、図7は表面材を剥離した状態の図1におけるB−B拡大断面図である。
図1及び図2に示されるように、湯切り蓋材1は、容器2の開口部周縁にヒートシールされて、即席食品(図示されていない)が入った容器2内を密封している。湯切り蓋材1の一縁部は容器2よりも外方に延出しており、湯切り蓋材1を容器2から引き剥がすための開封用タブ3を構成している。この開封用タブ3とは反対側の縁部に片寄った領域には、湯切り孔形成用ハーフカット4が形成されており、この湯切り孔形成用ハーフカット4が形成された縁部とその他の部分との間には、例えばミシン目、断続的なスリット、連続したスリットなどの切り離し用ハーフカット5が形成されていると共に、切り離し用ハーフカット5の一端に隣接して剥離用タブ6が形成されている。
図3及び図4に示されるように、湯切り蓋材1は、基材7と表面材8が接着樹脂層9a,9bを介して積層されたものとなっている。
接着樹脂層9aは、後述する基材7のノーコート紙10との間に易剥離面を構成するもので、アンカーコート処理の施されていないノーコート紙10との間で適度な剥離性を得る上で、ポリオレフィン系樹脂で構成されている。この接着樹脂層9aの厚さは、熱ラミネートのしやすさの点から、5〜50μmであることが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらを50重量%以上含む共重合体を挙げることができるが、これらの中でもポリエチレン、ポリプロピレン又はEMAAが好ましい。特にポリプロピレン系樹脂を用いる場合、溶融粘度が低く、熱ラミネートしやすいランダムタイプ又はブロックタイプが好ましい。
接着樹脂層9bは、表面材8と接着樹脂層9a間の接着を良好なものとするために介在されるもので、表面材8と接着樹脂層9aの両者に対して接着性の良好なポリオレフィン系樹脂を用いることができる。例えば表面材8としてポリエチレンテレフタレートを用い、接着樹脂層9aとしてポリプロピレンを用いる場合、ポリプロピレンと他のαオレフィンの共重合体を用いることができる。接着樹脂層9bの厚さは、熱ラミネートのしやすさの点から、20〜70μmであることが好ましい。
本例における基材7は、外面側(容器2の外方側)よりノーコート紙10、接着樹脂層11、金属層12及びシーラント層13を順次積層したものとなっている。
ノーコート紙10は、表面コート層(例えば、炭酸カルシウムなどの無機粉体を含む、紙の外層として塗布される層)を有しない紙で、特にこのノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触面は、アンカーコート処理が施されておらず、上記接着樹脂層9aとの間に易剥離面を構成するものとなっている。また、ノーコート紙10は、接着樹脂層9aとの間で適度な剥離性を得る上で、秤量が40〜350g/m2であることが好ましい。このノーコート紙10と接着樹脂層9a間の接着力は、接着樹脂層9aによる接着に先立って、ノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触面にコロナ放電処理を施すことにより緩やかに上昇させることができるので、これによってノーコート紙10と接着樹脂層9a間の剥離性を容易に微調整することができる。また、必要に応じて接着樹脂層9aのノーコート紙10との接触面にオゾン処理を施すこともでき、これにより更なる剥離性の微調整が可能となる。
ノーコート紙10と金属層12の間に介在される接着樹脂層11は、上記基材7と表面材8間の接着樹脂層9aのように易剥離面を構成するものではないので、隣接する層と強固に接着できるものであれば特に制限はなく、ノーコート紙10の接着樹脂層11との接触面に、アンカーコート処理を施しておくことにより、接着樹脂層9aと同様のポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。
金属層12は、ガスバリア性及び遮光性などを付与するためのもので、例えばアルミニウムなどの金属箔や金属蒸着膜で構成することができる。
シーラント層13は、湯切り蓋材1を図1及び図2に示される容器2の開口部周縁にヒートシールするためのもので、例えばポリエチレン、エチレンビニルアルコール、ポバールなど、ヒートシール性の良好な樹脂が用いられる。
本例の表面材8は、接着樹脂層9との接着性の良好な材料又は接着樹脂層9との接触面に接着樹脂層9との接着性を向上させる処理(例えば、アンカーコート処理、コロナ放電処理など)を施した材料で構成されている。本例の表面材8は、ポリエチレンテレフタレートの単層で構成されているが、他の樹脂や紙の単層としたり、積層体で構成することもできる。
図1及び図2に示される開封用タブ3は、容器1内に注湯するために、湯切り蓋材1を部分的に容器1から剥離するためのもので、上記接着樹脂層9a,9bを介して積層された基材7と表面材8の外縁の一部を容器1の外縁より外方に突出させることで形成されている。
図1に示される湯切り孔形成用ハーフカット4は、図3及び図4に示されるように、接着樹脂層9a,9bを介して積層された基材7と表面材8に対し、基材7側から基材7を貫通して形成されている。この湯切り孔形成用ハーフカット4は、図5に示される湯切り孔14の形状に沿って形成されている。図示される湯切り孔形成用ハーフカット4(湯切り孔14)は長円形であるが、円形、四角形、その他の形状とすることもできる。また、湯切り孔形成用ハーフカット4は、基材7を貫通して形成されていれば足るが、表面材8の剥離時に確実に湯切り孔14を現出させやすくする上で、接着樹脂層9a又は接着樹脂層9a,9bに食い込んでいるか、表面材8に深く食い込まない範囲で接着樹脂層9a,9bを貫通していることが好ましい。
上記のように、湯切り孔形成用ハーフカット4は、基材7側から形成されており、その上を覆っている表面材8を剥離することにより、図5〜図7に示されるように、基材7の湯切り孔形成用ハーフカット4の内側部分が、接着樹脂層9a,9bによって表面材8に付着したまま表面材8に随伴して除去され、湯切り孔14が現出する。表面材8の剥離は、接着樹脂層9aとノーコート紙10との間で行われるが、接着樹脂層9aとノーコート紙10間の剥離が湯切り孔形成用ハーフカット4の内側部分にまで伝播し、基材7の湯切り孔形成用ハーフカット4の内側部分が表面材8に随伴せずに残留してしまうのを防止しやすくする上で、前記のように、湯切り孔形成用ハーフカット4は接着樹脂層9a又は接着樹脂層9a,9bに食い込んでいるか、表面材8に深く食い込まない範囲で接着樹脂層9a,9bを貫通していることが好ましい。
上記表面材8の剥離による湯切り孔14の現出は、図1に示される切り離し用ハーフカット5より湯切り孔形成用ハーフカット4側の表面材8を剥離することで行われるもので、切り離し用ハーフカット5は、図4に示されるように、表面材8側から少なくとも表面材8を貫通して形成されている。本例における表面材8の剥離は、剥離される表面材8の全面に接着樹脂層9a,9bが付着した状態で行われることから、剥離した湯切り孔形成用ハーフカット4上の表面材8を切り離し用ハーフカット5を介して切り離すときに、接着樹脂層9a,9bを切り離すことが必要となる。接着樹脂層9a,9bは、引き裂くことができるので、この切り離し用ハーフカット5は、少なくとも表面材8を貫通していれば足るが、より切り離しやすくする上で、切り離し用ハーフカット5を接着樹脂層9a,9bをも貫通して形成しておくことが好ましい。
図1及び図2に示される剥離用タブ6は、上記表面材8を剥離するときの手掛かりとして設けられているもので、切り欠き部15を形成することで設けられている。この剥離用タブ6を切り欠き部15側から引き起こして、切り離し用ハーフカット5と平行方向へ引っ張ることで、湯切り孔形成用ハーフカット4上を覆う表面材8の一縁部を、表面材8のその他の部分から切り離し用ハーフカット5に沿って切り離しながら基材7から剥離し、湯切り孔14を現出させることができる。
尚、剥離用タブ6は、上記のようにして設ける他、前記開封用タブ3と同様に、接着樹脂層9a,9bを介して積層された基材7と表面材8を部分的に容器1の外縁より外方に突出させる一方、この突出部分の基部に、基材7側から、基材7を貫通するハーフカット(図示されていない)を形成しておくことで設けることもできる。
本例の即席食品パッケージは、まず開封用タブ3を引っ張って、部分的に湯切り蓋材1を容器2から剥離して口を開け、容器2内に湯を注ぎ込んで所要時間おいた後、剥離用タブ6を引っ張って、湯切り孔形成用ハーフカット4上の表面材8を剥離して湯切り孔14を現出させ、容器2を湯切り孔14側に傾けて容器2内の湯を排出してから、湯切り蓋材1を総て除去して喫食に供されるものである。また、湯を注ぎ込む前に湯切り孔14を現出させておいてもよい。これは、後述する他の例においても同様である。
本例の湯切り蓋材1は、基材1にノーコート紙10が含まれているので、一部の表面材8を剥離して行われる湯切り時にも変形しにくい利点がある。
本例に係る湯切り蓋材1は次のようにして製造することができる。
(工程1)
ノーコート紙10の原反シートを用意し、その片面に、ポリオレフィン系樹脂9aを押し出しラミネートし、ノーコート紙10に接着樹脂層9aを積層する。この押し出しラミネートに際し、ノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触面にアンカーコート処理を施しておかないことによって、ノーコート紙10と接着樹脂層9a間に易剥離面を形成することができる。
上記押し出しラミネートに際しては、ノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触側表面にコロナ放電処理を施しておき、剥離性の調整を行うことができる。コロナ放電処理は、必要な剥離強度に応じて適宜行うことができるが、剥離性を維持する上で、3.0kw/1450mm幅以下で行うことが好ましく、より好ましくは1.0kw/1450mm幅以下である。
また、表面材8の原反シートの片面に、表面材8と接着樹脂層9aの両者に対して接着性が良好なポリオレフィン系樹脂を、押し出しラミネート又はドライラミネートで積層し、表面材に接着樹脂層9bを積層する。表面材8の接着樹脂層9bとの接触面には、両者間の良好な接着性を得るために、予めアンカーコート処理、コロナ放電処理、オゾン処理などの接着性向上処理を施すこともできる。
(工程2)
上記接着樹脂層9aを有するノーコート紙10と、接着樹脂層9bを有する表面材8とを、接着樹脂層9a,9b同志を向き合わせて重ね合わせ、両者を熱ラミネートする。熱ラミネートの条件は、使用する接着樹脂層9a,9bの種類に応じて適宜選択されるが、一般的に100〜200℃の温度と0.1〜2MPaの圧力で行うことが好ましく、より好ましくは130〜180℃の温度と0.1〜1MPaの圧力である。
特に本発明は、ノーコート紙10と接着樹脂層9aが適正な易剥離面を形成しているか否かが、表面材8が基材7から平滑で奇麗な剥離面を得るための重要なポイントである。そこで、本発明のように表面材8と基材7を熱ラミネートして積層する製造方法をとることで、製品として完成させる前に、ノーコート紙10と接着樹脂層9aが湯切り蓋材に適した剥離強度を有するか否かを測定することが可能となり、表面材や基材7に用いる材料を無駄にすることがなくなる。
(工程3)
上記工程2によって積層した表面材8とノーコート紙10の積層体のノーコート紙10側に、アルミニウムなどの金属箔または金属蒸着フィルムなどの金属層を12を、接着樹脂層11を構成する溶融樹脂を押し出して、押し出しサンドラミネートにより積層する。接着樹脂層11としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いる場合、ノーコート紙10の接着樹脂層11との接触面に予めアンカーコート処理を施し、良好な接着状態が得られるようにすることで、ノーコート紙10と接着樹脂層11との間での剥離を防止することができる。また、金属層12の接着樹脂層11との接触面にもアンカーコート処理を施しておくのが通常である。
(工程4)
上記工程3で積層した金属層12上に押し出しラミネート又はドライラミネートによってシーラント層13を積層し、ノーコート紙10、接着樹脂層11、金属層12及びシーラント層13とからなる基材7と、表面材8とが接着樹脂層9a,9bで熱ラミネートされた蓋材原反シートを得る。
(工程5)
上記工程4で得た蓋材原反シートの基材7側から湯切り孔形成用ハーフカット4を形成する。この湯切り孔形成用ハーフカット4の形成は、トムソン刃を上下に運動させながら押し切る方法で行うこともできるが、切り込み深さの精度が高いダイカットロールを用いたハーフカット加工によって行うことが好ましい。湯切り孔形成用ハーフカット4の深さは前述したとおりであり、この加工をダイカットロールを用いて行うことで、切り込みの深さ調節が容易であり、切り込みの形成精度が向上するだけでなく、蓋材原反シートを移送しながら加工することができるため、加工速度も向上させることができる。
また、この工程5において少なくとも湯切り孔形成用ハーフカット4の形成を行うが、その他に必要な加工、即ち表面材8の剥離する部分とその他の部分との境界の切り離し用ハーフカット5の形成、及び湯切り蓋材1全体の外形抜き(全抜き加工)なども合わせて行うことが好ましく、その組み合わせを考慮してできるだけ少ない工程数で行うようにすることが好ましい。
次に、図8〜図11に基づいて本発明によって製造することができる湯切り蓋材の他の例を説明する。
図8は図1のA−A位置に対応する拡大断面図、図9は図1のB−B位置に対応する拡大断面図、図10は表面材を剥離した状態の図1のA−A位置に対応する拡大断面図、図11は表面材を剥離した状態の図1のB−B位置に対応する拡大断面図である。
本例の湯切り蓋材1は、基材7が、外面側よりノーコート紙10、接着樹脂層17及びシーラント層13を順次積層したもので、表面材8が、外面側より外層16、接着樹脂層11及び金属層12とを順次積層したものとなっており、この基材7のノーコート紙10と表面材8の金属層12間が接着樹脂層9a,9bで接着され、ノーコート紙10と接着樹脂層9a間に易剥離面が形成されたものとなっている。つまり、前述した例における接着樹脂層11及び金属層12を表面材8側へ移動させたものとなっている。
上記外層16としては、前述の第1の例における単層の表面材8と同様に、例えばポリエチレンテレフタレートや紙を用いることができる。
本例における湯切り孔形成用ハーフカット4、切り離し用ハーフカット5及び開封用タブ3(図1参照)は、前述した例と同様にして設けることができる。
本例の湯切り蓋材1は、図8及び図9に示されるように、金属層12を含む表面材8を、接着樹脂層9とノーコート紙10との間で基材7から剥離し、基材7の湯切り孔形成用ハーフカット4の内側部分を表面材8に随伴させて除去して湯切り孔14を現出させるものである。本例の場合、金属層12に湯切り孔形成用ハーフカット4を形成する必要がないので、金属層12による高いガスバリア性及び遮光性などを得ることができる。
上記の例に係る湯切り蓋材1は次のようにして製造することができる。
(工程1)
ノーコート紙10の原反シートを用意し、その片面に、ポリオレフィン系樹脂の接着樹脂層9aを押し出しラミネートし、ノーコート紙10に接着樹脂層9aを積層する。この押し出しラミネートに際し、ノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触面にアンカーコート処理を施しておかないことによって、ノーコート紙10と接着樹脂層9a間に易剥離面を形成することができる。
上記押し出しラミネートに際しては、ノーコート紙10の接着樹脂層9aとの接触側表面にコロナ放電処理を施しておき、剥離性の調整を行うことができる。コロナ放電処理は、必要な剥離強度に応じて適宜行うことができるが、剥離性を維持する上で、3.0kw/1450mm幅以下で行うことが好ましく、より好ましくは1.0kw/1450mm幅以下である。
一方、外層16の原反シートと金属層12間に接着樹脂層11を構成する溶融樹脂を押し出し、両者を押し出しサンドラミネートして、表面材8を形成する。外層16の接着樹脂層11との接触面には、両者間の良好な接着性を得るために、予めアンカーコート処理、コロナ放電処理、オゾン処理などの接着性向上処理を施すこともできる。金属層12の接着樹脂層11との接触面には、通常、アンカーコート処理を施す。
また、上記のようにして得た表面材8の金属層12面(通常、アンカーコート処理を施す)に、接着樹脂層9bを構成するポリオレフィン系樹脂を押し出しコーティング又はドライラミネートで積層し、接着樹脂層9b付の表面材8を用意する。
(工程2)
上記工程1で得た接着樹脂層9aを有するノーコート紙10と、接着樹脂層9bを有する表面材8とを、接着樹脂層9a,9b同志を向き合わせて重ね合わせ、両者を熱ラミネートする。熱ラミネートの条件は、使用する接着樹脂層9a,9bの種類に応じて適宜選択されるが、一般的に100〜200℃の温度と0.1〜2MPaの圧力で行うことが好ましく、より好ましくは130〜180℃の温度と0.1〜1MPaの圧力である。
(工程3)
上記工程2で得た積層体のノーコート紙10の表面に、押し出しラミネートによって接着樹脂層17とシーラント層13を積層し、ノーコート紙10及びシーラント層13からなる基材7と、外層16、接着樹脂層11及び金属層12からなる表面材8とが接着樹脂層9a,9bで熱ラミネートされた蓋材原反シートを得る。
(工程4)
前記第1の例における工程5と同じである。
実施例1
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に厚さ40μmのポリプロピレン共重合体(CPP)フィルムをドライラミネートで積層した表面材と、アンカーコート処理を施すことなく厚さ18μmのポリプロピレン(PP)を押し出しラミネートしたノーコート紙(坪量=110g/m2)とを、CPPとPPを向き合わせて、温度160℃、圧力0.3MPaで熱ラミネートした。PPの押し出しラミネートは、ノーコート紙のPPとの対向面に1.0kw/1450mm幅でコロナ放電処理を施して行った。また、押し出すPPは温度310℃、厚さ18μmとした。
得られた積層体のPPとノーコート紙間の接着強度をストログラフで測定(クロスヘッドスピード300mm/min)したところ、積層直後で155g/15mm幅、積層して14日経過後で160g/15mm幅であり、不用意に剥離せず、しかも大きな力を要せずに剥離できる接着強度であった。また、剥離面を肉眼で調べたところ、ノーコート紙の表面が露出しており、毛羽立ちなどの荒れもなく、平滑で奇麗な剥離面であることが観察された。
実施例2
熱ラミネートの温度を180℃、圧力を0.5MPaとした他は、実施例1と同様にして積層体を作成し、実施例1と同様の測定と観察を行った。
接着強度は、積層直後で162g/15mm幅、積層して14日経過後で165g/15mm幅であり、不用意に剥離せず、しかも大きな力を要せずに剥離できる接着強度であった。また、剥離面は実施例1と同様にノーコート紙の表面が露出しており、平滑で奇麗であった。
本発明により製造することができる湯切り蓋材の第1の例を使用した即席食品パッケージの平面図である。 図1に示される即席食品パッケージの側面図である。 図1におけるA−A拡大断面図である。 図1におけるB−B拡大断面図である。 図1に示される湯切り蓋材の表面材の一部を剥離して湯切り孔を現出させる途中段階の平面図である。 表面材を剥離した状態の図1におけるA−A拡大断面図である。 表面材を剥離した状態の図1におけるB−B拡大断面図である。 本発明により製造することができる湯切り蓋材の第2の例についての図1のA−A位置に対応する拡大断面図である。 本発明により製造することができる湯切り蓋材の第2の例についての図1のB−B位置に対応する拡大断面図である。 本発明により製造することができる湯切り蓋材の第2の例についての表面材を剥離した状態の図1のA−A位置に対応する拡大断面図である。 本発明により製造することができる湯切り蓋材の第2の例についての表面材を剥離した状態の図1のB−B位置に対応する拡大断面図である。
符号の説明
1 湯切り蓋材
2 容器
3 開封用タブ
4 湯切り孔形成用ハーフカット
5 切り離し用ハーフカット
6 剥離用タブ
7 基材
8 表面材
9a 接着樹脂層
9b 接着樹脂層
10 ノーコート紙
11 接着樹脂層
12 金属層
13 シーラント層
14 湯切り孔
15 切り欠き部
16 外層
17 接着樹脂層

Claims (3)

  1. 基材上を覆う表面材を基材から剥離することにより、基材側から形成された湯切り孔形成用ハーフカットの内側部分が表面材に随伴して除去され又は予め湯切り孔形成用ハーフカットの内側部分を除去することで形成された湯切り孔が現出される湯切り蓋材の製造方法において、
    アンカーコート処理の施されていない表面にポリオレフィン系樹脂の接着樹脂が押し出しラミネートされたノーコート紙と、ポリオレフィン系樹脂の接着樹脂層を有する表面材とを、接着樹脂層同志を重ねて熱ラミネートにより積層する工程を有することを特徴とする湯切り蓋材の製造方法。
  2. ノーコート紙へ押し出しラミネートされた接着樹脂層がポリエチレン、ポリプロピレン又はEMAAであることを特徴とする請求項1に記載の湯切り蓋材の製造方法。
  3. ノーコート紙への接着樹脂層の押し出しラミネートが、ノーコート紙の接着樹脂層との接触面にコロナ放電処理を施した後に行われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の湯切り蓋材の製造方法。
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