JP4103406B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、主として各種のスナック菓子、ナッツ類、チョコレート、ポップコーンなどのいわば洋菓子類の密封包装に使用する容器の蓋材、更にはスパゲッティ、うどん、そば、更にはラーメンなどの生麺や乾麺などの即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材で、この即席食品を柔らかくほぐすために注がれた湯を排出する湯切り口を備えた湯切り口付き蓋材に関する。
なお、この発明においては、これら菓子類と即席食品を総称して、以下単に食品類という。
【0002】
【従来の技術】
この食品類にあって、即席食品に例を取って見ると、カップ容器(発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどからなる)に密封包装された生麺、ソースやスープ、そして具などがそれぞれ個別に密封包装されて容器内に密封封入されている。この即席食品を食するに当たっては、まず蓋材を容器開口から剥離し、生麺などを容器からすべて取り出す。次いで、生麺をパウチから取り出して、容器内に戻し、湯を注ぎ込み、生麺を軽くほぐす。次いで、容器内の湯を排出し、ソースやスープ、そして具などを適宜に添加して再び湯を注ぐ。
【0003】
ところで、従来の、例えば即席ラーメン(カップ麺)などでは、蓋材の一部分を容器開口部から剥離し、ここからスープ(ソース)、そして具の入ったパウチを容器外に取り出す。しかし、乾麺はそのまま容器内に留め置き、ここへスープ(ソース)、そして具を入れ、次いで湯を注ぎ込んで、蓋を再び閉めて、2〜3分間麺を蒸らし、その後蓋材を完全に剥離するようにしている。
また、焼きそばやスパゲティーなどでは、湯を注いでから、麺の解れをまって、湯を排出し、次いで蓋材をすべて剥離するようにしている。
【0004】
そして、従来のこの種乾麺等を主体とした湯切り口付き蓋材は、基本的に麺類が容器内に据え置かれたままで湯が注ぎ込まれる形態が採用されている。つまり、容器からいったん取り出されるものは、スープ(ソース)、そして具などの比較的小容量のものであった。また、麺類などをゆがく必要上、蓋材の開口量は極力少ない方が望ましいとされている。この点は、菓子類の容器においても同様の考えが踏襲されていて、蓋材の開口量は少ない方が望ましいとされる傾向が窺える。
【0005】
また、焼きそばやスパゲティーの蓋材では、湯を注ぐための部分的な開封に続き、湯切り口を開口する手間、更には食するにあたって蓋材をすべて開封する手間も要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この発明が対象とする菓子類や即席食品などの食品類、特に即席食品では、最も容量の大きな麺類などをいったん容器から取り出す必要がある。取りあえずは、従来の乾麺用の容器蓋材をそのまま転用してみたが、蓋材を完全に剥離しない限りは麺類が大変取り出し難いことが分った。また、即席食品をほぐすにも、大変ほぐしにくい欠点があることがわかった。その理由は、乾麺用の容器蓋材が基本的に蓋材の開封面積を少なくするから、必然的に蓋材の開封面積が不十分であることに起因することがわかった。
【0007】
そこで、この発明は、このような観点から、菓子類や即席食品などの食品類の仕様に最適な蓋材を得ることを課題として開発された。
したがって、この発明は、第1に蓋材の開封面積を可及的に大きくすることを課題とする。また、第2に湯切りをするために残された蓋材部分の容器からの剥離をより確実にすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的な課題を解決するために、この発明の請求項1記載の蓋材は、表面シートと基材が接着剤層を介して積層され、簡易切断線を境にして容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位に区画され、この湯切り口形成部位は、周縁側では表面シートの裏面と基材の接着剤層面が離型剤の塗布された剥離領域と、この剥離領域内に配置された非剥離領域とに区画され、また、中央側は表面シートの裏面と基材の接着剤層が離型剤を介さないで積層された他の非剥離領域に区画され、この湯切り口形成部位の剥離領域と他の非剥離領域の境界線には他の簡易切断線が設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の剥離領域、そしてこの他の非剥離領域の周縁部にはそれぞれプルタブが設けられ、また、湯切り口形成部位の剥離領域内に配置された非剥離領域内には湯切り口形成用のハーフカットが内面側となる前記基材から接着剤層を越えて表面シート内に至る範囲で形成され、前記容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の他の非剥離領域に設けられたプルタブは、簡易切断線を挟んで互いに隣り合って設けられ、併せて両プルタブの境界には基材から表面シートに貫通し、この簡易切断線に連なるなノッチが設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位、前記湯切り口形成部位の剥離領 域、更に前記剥離領域を夫々のプルタブを引っ張り上げることによって夫々容器の開口部フランジから剥離可能に構成されたものである。
【0009】
【作用】
以上の構成による蓋材においては、まず蓋材の内、容器の開口部から剥離される部位のプルタブを摘まんで上方へ引っ張りあげる。このとき、この部位は、従来のように途中まで剥離するのとは全く違って、蓋材部分の全体を容器の開口部フランジから剥離するように引き上げられる。この剥離は、簡易切断線の存在によって、安定的で軽快に行われる。その結果、容器の開口部は大きく開放されることになる。次いで、この状態から基材が切り取られて大きく開放された開口部から容器内に収納されている菓子類を摘まんで食する。また、即席食品にあっては、即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、容器内に即席食品や具、更にはスープなどを入れ、電子レンジで加熱するかもしくは湯を注ぐことにより、カップ入り即席食品ができあがる。
【0010】
【発明の効果】
したがって、この発明の請求項1記載の蓋材は、以下の効果を奏する。
プルタブを上方に引っ張りあげて蓋材を容器の開口部のフランジから剥離すると、簡易切断線を挟んでこのプルタブが存在する側の部分が容器の開口部フランジから剥離してすべて取り除かれる。したがって、開封量を圧倒的に大きく広げることができる。その結果、容器内からの菓子類の摘み出しやパウチに収納された即席食品の取り出し、また、パウチから取り出された即席食品の容器内への収容などを、格段に楽に行える利点がある。併せて、収容された即席食品のほぐし作業も大変楽に行える利点がある。
【0011】
また、容器の開口部から剥離される部分と容器の開口部に接着されたまま残存する部分の境界線には簡易切断線が設けられているので、剥離安定性をうまく確保できる。
【0012】
この発明は、表面シートと基材が接着剤層を介して積層され、簡易切断線を境にして容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位に区画され、この湯切り口形成部位は、周縁側では表面シートの裏面と基材の接着剤層面が離型剤の塗布された剥離領域と、この剥離領域内に配置された非剥離領域とに区画され、また、中央側は表面シートの裏面と基材の接着剤層が離型剤を介さないで積層された他の非剥離領域に区画され、この湯切り口形成部位の剥離領域と他の非剥離領域の境界線には他の簡易切断線が設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の剥離領域、そしてこの他の非剥離領域の周縁部にはそれぞれプルタブが設けられ、また、湯切り口形成部位の剥離領域内に配置された非剥離領域内には湯切り口形成用のハーフカットが内面側となる前記基材から接着剤層を越えて表面シート内に至る範囲で形成されたものである。
【0013】
以上の構成による湯切り口付き蓋材においては、まず蓋材の内、容器の開口部から剥離される部位のプルタブを摘まんで上方へ引っ張りあげる。このとき、この部位は、従来のように途中まで剥離するのとは全く違って、蓋材部分全体を容器の開口部フランジから剥離するように引き上げられる。この剥離は、簡易切断線の存在によって、安定的で軽快に行われる。その結果、容器の開口部には、湯切り口形成部位のみが容器の開口部のフランジに接着された状態で残ることになる。次いで、この湯切り口形成部位の剥離領域にあるプルタブを摘まんで引っ張りあげる。この領域は剥離領域に形成されているために、簡易切断線を境にしてこの剥離領域側のみが他の非剥離領域から独立して、表面シートだけが基材から分離して剥離されていく。同時に、この剥離領域内の非剥離領域にある湯切り口形成用ハーフカットに囲まれた部分の基材が表面シートに接着した状態でこの表面シートと一緒に剥離される。その結果、容器の開口部には、湯切り口が形成された剥離領域の基材部分とこの基材に連なる他の非剥離領域のみが容器の開口部フランジに接着された状態で残ることになる。次いで、この状態から基材が切り取られた開口部から容器内に収納されている即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品のみを容器に入れて湯を注いでゆがいた後に、容器に接着されている基材の湯切り口から湯切りする。次いで、他の剥離領域のプルタブを上方に引っ張りあげ、容器の開口部に接着されている湯切り口が形成されている基材部分とこの他の非剥離領域をともに剥離してから取り除く。湯切り口が形成されている基材部分の剥離は、表面シートと基材が積層されて強度のあるこの他の非剥離領域を介しておこなわれるので、確実な剥離が可能になる。そして、容器内に具やスープを入れ、電子レンジで加熱するかもしくは湯を注ぐことにより、カップ入り即席食品ができあがる。
【0014】
したがって、この発明に係る湯切り口付き蓋材は、更に以下の効果を奏する。
プルタブを上方に引っ張りあげて蓋材を容器の開口部のフランジから剥離すると、容器の開口部には、湯切り口形成部位のみが容器の開口部のフランジに接着された状態で残る。しかし、簡易切断線を挟んでこのプルタブが存在する側の部分が容器の開口部フランジから剥離してすべて取り除かれる。したがって、開封量を圧倒的に大きく広げることができる。その結果、容器内からのパウチに収納された即席食品の取り出し、また、パウチから取り出された即席食品の容器内への収容を、格段に楽に行える利点がある。併せて、収容された即席食品のほぐし作業も大変楽に行える利点がある。
【0015】
容器の開口部から剥離される部分と容器の開口部に接着されたまま残存する部分の境界線には簡易切断線が、併せて、湯切り口形成部位の周縁側の剥離領域とこの剥離領域に隣接する他の非剥離領域の境界線にも他の簡易切断線がそれぞれ設けられている。その結果、剥離安定性をうまく確保できる。
【0016】
更に、湯切り口が形成されている基材部分の剥離は、表面シートと基材が積層されて強度のあるこの他の非剥離領域を介しておこなわれるので、この基材部分の確実な剥離を可能にする。しかも、この発明の湯切り口付き蓋材においては、容器の開口部から剥離される部位に設けられたプルタブは、簡易切断線を挟んで互いに隣り合って設けられ、併せて両プルタブの境界には基材から表面シートに貫通し、この簡易切断線に連なるノッチが設けられるので、容器の開口部から剥離される部位側のプルタブを上方に引っ張りあげて、簡易切断線を挟んでこの容器の開口部から剥離される部位を容器の開口部フランジから剥離するきっかけが簡単に得られる。その結果、隣接する湯切り口形成部位との分離が軽快に行えるようになる。このように、湯切り口が形成された基材もプルタブによって容器から剥離されるために、喫食の際には蓋材は全く存在しなくなる。
【0017】
この発明に係る湯切り口付き蓋材において、簡易切断線には、請求項2に記載されるような、ハーフカットを採用したり、請求項4に記載されるような、ハの字ミシン目が採用される。
【0018】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材において、裏面側ハーフカットは、請求項3に記載されるように、表面側ハーフカットより剥離される部位側に設けられるのが望ましい。
この裏面側ハーフカットの切断作用が、容器の開口部に接着されたまま残存する部位によって邪魔されず、スムースに行え、剥離される部位の剥離が一層軽快に行えるからである。
【0019】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材において、簡易切断線は、請求項5に記載されるように、直線にしたり、請求項7に記載されるように、中間部分を湯切り口形成部位側に凸になるようにしたりする構成が採用される。
特に、中間部分を湯切り口形成部位側に凸にする場合には、容器の開口部をより一層広くできる。併せて容器に収納されている即席食品の出し入れが大変容易になる上に即席食品のほぐしも容易になる。
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明に係る蓋材の第1の実施の形態を、図1〜6の記載に基づいて説明する。
この蓋材1は、容器2の開口部3に、容器2の開口部3とほぼ同じ外形を有し(図5参照)、表面シート4と基材5が接着剤層6を介して積層されてなる。また、図2〜3,5に示されるように、中央部分を横断する簡易切断線7を境にして、容器2の開口部3から剥離される部位Aとこの容器2の開口部3に接着されたまま残存する部位Bとに区画される。そして、前記剥離される部位Aの簡易切断線7近傍にプルタブ8が設けられている。蓋材1は表面に通常の印刷が施され、通常の打ち抜き型を用いた打ち抜き工程で、直径190mmの蓋材1として作製される。
【0022】
また、図5に示されるように、前記蓋材1に設けられたシール部9を容器2の開口部3のフランジ2Aにシールすることで菓子類や即席食品などの食品類容器が得られる。そして、この蓋材1のシール部9と容器開口部3のフランジ2Aのシール部10のシール幅は、3mmないし10mmが一般的である。
【0023】
ここで、基材5は、図3に示されるように、あらかじめ発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどの樹脂を用いて成型された容器2との剥離を容易にする、例えば低温接着性を有するEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などのオレフイン系樹脂またはヒートシールニスなどからなるシーラント剤11を、15〜60μmの厚さで、金属箔層の一例としてのアルミニウム箔12(厚さ7〜20μm)の裏面に押し出しによりラミネート或いは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0024】
このシーラント剤11は、上記の他にも、例えば以下に示すような素材が採用される。例えば、EMAAとエステル、ポリスチレンとポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレン、ポリエチレンとポリブテンの混合物などである。
【0025】
また、表面シート4は、厚さが40g/m2 〜130g/m2 の範囲内にある紙13、具体的には片アート紙あるいはコート紙を使用することができる。グラビア印刷法により表裏同一行程で、表面側にインキによる印刷層14を設ける。この表面シート4の表側の印刷層14にはプラスチックフィルムを積層して被覆層15を形成してもよい。この印刷層14並びに表面シート4を保護するためである。また、採用されるプラスチックフイルムは、PET,OPP,ONなどが挙げられる。
【0026】
更に、接着剤層6としては、印刷された前記紙13の裏面との熱接着性に優れた接着剤、具体的にはHDPE(高密度ポリエチレン)、EMAA(エチレン−メタクリル酸)、更にはLDPE(低密度ポリエチレン)になどを使用できる。10〜25μmの厚みで、前記アルミニウム箔12(厚さ7〜20μm)の表面に押し出しによりラミネートあるいは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0027】
なお、アルミニウム箔12を用いない構成も採用できる。アルミニウム箔12に代えて酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を蒸着したポリエステルフィルムを採用できる。
【0028】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと残存する部位Bとの境界線に沿って設けられる簡易切断線7は、両面ハーフカット16が採用されている。具体的には、図1〜3に示されるように、表面シート4にその表側から設けられた表面側ハーフカット16Aと、この表面側ハーフカット16Aに平面的にわずかな間隔を開けて、基材5側から表面シート4に至るように並設された裏面側ハーフカット16Bとから構成されている。また、この裏面側ハーフカット16Bは、剥離される部位A側に設けられている。この裏面側ハーフカット16Bの切断作用が、容器2の開口部3に接着されたまま残存する部位Bによって邪魔されず、スムースに行え、剥離される部位Aの剥離が一層軽快に行える。
【0029】
この簡易切断線7としての両面ハーフカット16は、図1,2に示されるように、蓋材1のほぼ中間部分で、残存する部位B側に向かって凸となるように湾曲する曲線状に形成されている。
【0030】
なお、図例では、このように曲線状に形成されているが、必要に応じて、図1中想像線で示されるように、蓋材1の中央部分を横切るような直線も採用される。この他にも即席食品の容量によっては、例えば、残存する部位Bに偏って、蓋材1の1/3あるいは1/4位置に設けられる構成も採用される。要は、即席食品を可及的に出し入れし易い開封量を得ることと、安全な湯切りが行えるに足る基材5の残存量を得ることの兼ね合いをうまく図ることである。
【0031】
容器2の開口部3から剥離される部位Aの両面ハーフカット16の近傍に設けられたプルタブ8の基部と蓋材1の周縁部17との交合点には、図5に示されるように、基材5から表面シート4に貫通し、この両面ハーフカット16に連なるノッチ18が設けられている。すなわち、このノッチ18は、表面側ハーフカット16Aと裏面側ハーフカット16Bの端部に連なって設けられる。つまり、図1の部分拡大図に示されるように、裏面側ハーフカット16Bの端部は、このノッチ18に交差するように、このノッチ18に向けて湾曲して設けられる。このように、裏面側ハーフカット16Bもノッチ18に連なることで、剥離される部位Aの剥離のきっかけが簡単に得られ、残存する部位Bとの分離が軽快に行えるようになる。また、ノッチ18は、基材5から表面シート4に貫通する構成が採用されているが、表面シート4のみ、又は紙13のみを貫通する構成も採用できる。更に、裏面側ハーフカット16Bを、その端部においてノッチ18に連ねる構成に代えて、表側ハーフカット16Aに連ねる構成も採用できる。剥離のきっかけが容易で、簡易、そして確実に得られ、残存する部位Bとの分離が軽快に行える効果は同等である。
【0032】
また、このプルタブ8は、図1〜2に示されるように、この剥離される部位Aの周縁部17の中間点よりも左右いずれかの側に偏った位置に設けられるのが望ましい。特に、開封縁となるような部位、つまり両面ハーフカット16の近傍、あるいは端縁が好ましい。その理由は、このプルタブ8を摘まんで、蓋材1の剥離される部位Aを容器2のフランジ2Aから剥離する際に、この剥離される部位Aの一端側から剥離力を作用させることができるからである。つまり、プルタブ8がこの剥離される部位Aの周縁部17の中間点に存在すると、プルタブ8からこの剥離される部位Aに働く剥離力は、左右に均等に分散される。その結果、それだけ剥離力が弱くなり、より大きな剥離力が要求されることになるからである。
【0033】
以上の構成において、蓋材1は、プルタブ8が容器2の外方に突出した状態で、容器2の開口部3を覆って、内面のシーラント剤11と容器2のフランジ2Aとがシール部9にて熱接着されている(図5)。
【0034】
次いで、この図5に示される蓋材1が取り付けられている容器2を使用するに際しては、まず容器2の開口部3から剥離される部位Aのプルタブ8を摘まんで蓋材1を容器2から引きはがす。蓋材1は内面のシーラント剤11層と容器2のフランジ2Aとのシール部9が剥離してくる。このとき、このノッチ18の存在によって、蓋材1の容器2の開口部3から剥離される部位Aが残存する位Bから容易に切断され、以降の分離が軽快に行えるきっかけが得られる。したがって、簡易切断線7、つまり両面ハーフカット16を境にして、剥離される部位Aが簡便、かつ、軽快に剥離してくる。
【0035】
この両面ハーフカット16を境にして剥離される部位Aが容器2から完全に剥離された後は、図6に示されるように、残存する部位Bのみが容器2の開口部3のフランジ2Aに接着されたまま残り、容器2の開口部3はほぼ1/2乃至1/2以下〜1/4程度を覆った状態となる。
【0036】
この状態から、剥離される部位Aが切り取られて大きく開放された開口部3から容器2内に収納されている食品類を取り出す。菓子類にあっては摘み出して、そのままま食する。また、即席食品などにあっては、即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品などをパウチから取り出し、即席食品、スープ(ソース)、そして具などを容器2内に入れ、湯を注ぎ、例えばラーメン、焼きそばなどのカップ入り即席食品を完成させる。
【0037】
以下に示すこの発明の第2〜5の各実施の形態の蓋材1は、特にスパゲッティ、うどん、そば、更にはラーメンなどの生麺や乾麺など即席食品を密封包装する容器に好適に適用される蓋材である。
基本的な構成、作用は前記第1の実施の形態と同じである。したがって、この第1の実施の形態と同様の構成については、図面に同一の符号を付し、また、同様に作用についても、その詳細な説明はそれぞれ省略する。
【0038】
(第2の実施の形態)
この発明の第2の実施の形態の蓋材1は、湯切り口が設けられている点、更に簡易切断線7がミシン目で構成されている点で異なる。
以下、この第2の実施の形態を図7〜14の記載に基づいて説明する。
【0039】
この湯切り口付きの蓋材1は、容器2の開口部3に、容器2の開口部3とほぼ同じ外形を有し(図11参照)、表面シート4と基材5が接着剤層6を介して積層されてなる。図9,10に示されるように、中央部分を横断する簡易切断線7を境にして、容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cとに区画される。この湯切り口形成部位Cは、周縁Ca側において、表面シート4の裏面と基材5の接着剤層6面が離型剤19の塗布された剥離領域Xに形成されている。そして、この剥離領域X内にはこの剥離領域Xと区画された非剥離領域Yが配置されている。また、この湯切り口形成部位C内の前記剥離領域Xの中央側、つまり簡易切断線7側に隣り合う部位は、表面シート4の裏面と基材5の接着剤層6が離型剤19を介さないで積層された他の非剥離領域Zに区画されている。蓋材1の周縁部17で、容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cの剥離領域X、そしてこの他の非剥離領域Zに対応する部位にはそれぞれプルタブ20,21,22が設けられている。また、この湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zの境界線には他の簡易切断線23が設けられている。前記剥離領域X内の非剥離領域Y内には湯切り口形成用ハーフカット24が内面側となる前記基材5から接着剤層6を越えて表面シート4内に至る範囲で形成されている。蓋材1は表面に通常の印刷が施され、通常の打ち抜き型を用いた打ち抜き工程で、直径190mmの排湯機能を備えた湯切り口付き蓋材として作製される。
【0040】
また、図11に示されるように、前記蓋材1に設けられたシール部10を容器2の開口部3のフランジ2Aにシールすることで即席食品容器が得られる。そして、この蓋材1のシール部9と容器開口部3のフランジ2Aのシール部10のシール幅は、3mmないし10mmが一般的である。
【0041】
表面シート4の裏面側にはレシチンなどの可食性界面活性剤、消化棉系の樹脂にワックス又はシリコン又はアマイドなどを混合したもの、更には剥離ニスからなる前記離型剤19が塗着される。なお、この離型剤19が塗着される前に、この表面シート4の裏面には目止めニスが施されるのが望ましい。表面シート4と基材5の剥離性能が格段に高まるからである。
【0042】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cとの境界線に沿って設けられる簡易切断線7は、ミシン目25が採用されている。このミシン目25は、内面側となる前記基材5から接着剤層6を越えて表面シート4の表側にまで貫通して形成されている(図10)。
【0043】
また、この湯切り口形成部位C内の剥離領域Xと他の非剥離領域Zとの境界線に沿って設けられる他の簡易切断線23は、ハーフカット23Aが採用されている。このハーフカット23Aは、表面シート4に、その表側から設けられている(図10)。
【0044】
そして、前記離型剤19は、表裏同一工程で印刷されるが、その接着強度は、使用する前記各樹脂の種類又は網点面積率により適宜に変えることができる。図9に示されるように、特に湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zの境界線沿って設けられるこのハーフカット23Aの両側部分Dでは、この離型剤19による基材5と表面シート4との剥離性をより一層高めるために、ベタ印刷版による印刷が望ましい。また、特にこの部位では、必要に応じて、ベタ印刷と網点印刷を併用することもできる。
【0045】
湯切り口28の形状は、図7〜9に示されるように、6ないし8mmφの円形に形成されている。しかし、必ずしも円形である必要はなく、同等の開口量を備えるものであれば、例えば楕円形、星型、三角形、四角形など種々の形状が採用される。
【0046】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cの他の非剥離領域Zに設けられたそれぞれのプルタブ20,22は、簡易切断線7を挟んで互いに隣り合って設けられている。そして、両プルタブ20,22の境界には、図14に示されるように、基材5から表面シート4に貫通し、この簡易切断線7に連なるノッチ26が設けられている。また、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zとの境界線に沿って設けられる他の簡易切断線23にも、基材5から表面シート4に貫通し、この他の簡易切断線23に連なるノッチ27が設けられている(図14参照)。このノッチ27は、剥離領域Xに設けられているプルタブ21の基部が蓋材1の周縁部17と会合する部位に設けられる。また、図7〜10に示されるように、プルタブ21の基部にそって、つまり蓋材1の周縁部17に沿って、ハーフカット21Aが設けられている。このはハーフカット21Aは、基材5から接着剤層6を超えて表面シート4の中ほどにまで達するように形成されている。各ノッチ26,27は、基材5から表面シート4に貫通する構成が採用されているが、表面シート4のみ、又は紙13のみを貫通する構成も採用できる。
【0047】
また、上記各プルタブ、つまり容器2の開口部3から剥離される部位Aのプルタブ20、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xのプルタブ21、更に湯切り口形成部位Cの他の非剥離領域Zのプルタブ22は、図7〜9に示されるように、各部位、領域の周縁部17にあって、それぞれの周縁部17の中間点よりも左右いずれかの側に偏った位置に設けられるのが望ましい。特に、図示されるような開封端縁となるような部位が好ましい。その理由は、これらのプルタブを摘まんで、蓋材1の各部位や領域を容器2のフランジ2Aから剥離する際に、これら蓋材1の各部位や領域の一端側から剥離力を作用させることができるからである。つまり、これら各プルタブが各部位や領域の周縁部17の中間点に存在すると、これら各プルタブから各部位や領域に働く剥離力は、左右に均等に分散される。その結果、それだけ剥離力が弱くなり、より大きな剥離力が要求されることになるからである。
【0048】
加えて、前記剥離領域Cのプルタブ21にあっては、湯切りされる湯の排出経路から傍らに寄った位置に存在することになる。したがって、湯切り直後であっても、このプルタブ21に熱湯の雫などが付着したり、熱くなっていたりするおそれがなく、不用意に火傷を負う危惧もなくなるからである。
【0049】
以上の構成において、蓋材1は、各プルタブ20,21,22が共に容器2の外方に突出した状態で、容器2の開口部3を覆って、内面のシーラント剤11と容器2のフランジ2Aとがシール部10にて熱接着されている。
【0050】
次いで、図11に示される蓋材1が取り付けられている容器2を使用するに際しては、まず容器2の開口部3から剥離される部位Aのプルタブ20を摘まんで蓋材1を容器2から引き剥がす。蓋材1は内面のシーラント剤11層と容器2のフランジ2Aとのシール部10が剥離してくる。このとき、このノッチ26の存在によって、蓋材1の容器2の開口部3から剥離される部位Aが湯切り口形部位Cから容易に切断され、以降の分離が軽快に行えるきっかけが得られる。したがって、ミシン目25を境にして,剥離される部位Aが簡便、かつ、軽快に剥離してくる。
【0051】
このミシン目25を境にして剥離される部位Aが容器2から完全に剥離された後は、図12に示されるように、湯切り口形成部位Cのみが容器2の開口部3のフランジ2Aに接着されたまま残り、容器2の開口部3はほぼ1/2乃至1/2以下〜1/4程度を覆った状態となる。
【0052】
次に、図13に示されるように、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xに設けられているプルタブ21を摘まんでこれを上方に引っ張りあげ、この剥離領域Xの蓋材1部分を剥離する。このとき、このノッチ27と他の簡易切断線23であるハーフカット23Aの存在によって、剥離領域Xが他の非剥離領域Zから容易に切断され、以降の分離が軽快に行えるきっかけが得られる。しかし、この剥離領域Xでは、基材5と表面シール4とが部分的に塗着された離型剤19を介して積層されていて、基材5と表面シール4との接着が強くない。したがって、基材5の接着剤層6と表面シート4の離型剤19層の境界で基材5と表面シール4が簡単に剥離してくる。そして、この剥離領域Xでの基材5と表面シート4の分離の進行にともない、この分離は湯切り口形成用ハーフカット24にまで進む。すると、この湯切り口形成用ハーフカット24に囲まれた部分の基材5が表面シート4に接着した状態で抜き取られ、湯切り口28が形成される。湯切り口28の中央部分に対する表面シート4の裏面は、離型剤19が印刷(塗着)されていない非剥離領域Yに形成されている(図10参照)。したがって、この部分における表面シート4と基材5の接着強度は高い。その結果、湯切り口形成用ハーフカット24に囲まれた部分が簡単に抜き取られ、確実に湯切り口28が形成される。
【0053】
また、この剥離領域Xに隣り合う他の非剥離領域Zとの境界線に沿っては、他の簡易切断線23としてのハーフカット23Aが設けられている。したがって、このハーフカット23Aを境にして剥離領域Xだけが剥離され、この他の非剥離領域Zはそのまま容器2の開口部3に接着されたまま残存する。
【0054】
次いで、この状態から、剥離される部位Aが切り取られて大きく開放された開口部3から容器2内に収納されている即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品をパウチから取り出し、即席食品だけを容器2内に入れ、湯を注いで即席食品を1〜2分間ゆがいたり、ほぐしたりする。その後、容器2を傾けて容器2の開口部3に接着されている湯切り口形成部位Cの湯切り口28から湯切りを行う。
【0055】
次いで、容器2の開口部3に接着されているこの他の非剥離領域Zに設けられているプルタブ22を摘まんで、これを上方に引っ張りあげ、この他の非剥離領域Zとともに剥離領域Xに残る基材部分5Aも剥離して取り除く。ところで、この他の非剥離領域Zは、基材5の接着剤層6と表面シート4の裏面は離型剤19が印刷(塗着)されていない非剥離領域に形成されている。したがって、この他の非剥離領域Zの肉厚を落とすことなく、強度も所期どおりに保つ。その結果、このプルタブ22の上方への引っ張りあげ力、つまりは剥離作用を的確で、確実に与えることかでき、この他の非剥離領域Zともども剥離領域Xに残る基材部分5Aの的確、確実な剥離が行える。その後、スープ(ソース)、そして具を容器2内に入れて湯を注ぎ、例えばラーメンなどのカップ入り即席食品を完成させる。
【0056】
(第3の実施の形態)
この発明の第3の実施の形態の蓋材1は、基本的な構成は前記第1,2の実施の形態と同じであり、前記簡易切断線7が両面ハーフカットで構成されている点で異なる。
以下、この第3の実施の形態を図15〜16の記載に基づいて説明する。
【0057】
図15,16に示されるように、簡易切断線7は、前記第1の実施の形態と同様に、両面ハーフカット16で構成されている。この両面ハーフカット16は、前記第2の実施の形態と同様に、蓋材1の剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cの境界線に沿って形成されている。言うまでもなく、この両面ハーフカット16は、第1の実施の形態と同様で、表面側ハーフカット16Aと裏面側ハーフカット16Bから構成されている。
【0058】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cの他の非剥離領域Zに設けられたそれぞれのプルタブ20,22の境界には、ノッチ26が設けられている(図14参照)。このノッチ26は、基材5から表面シート4に貫通し、この両面ハーフカット16に連なる。また、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zの境界線に沿って設けられるハーフカット23Aにも、基材5から表面シート4に貫通し、このハーフカット23Aに連なるノッチ27が設けられている(図14参照)。各ノッチ26,27は、基材5から表面シート4に貫通する構成が採用されているが、表面シート4のみ、又は紙13のみを貫通する構成も採用できる。
【0059】
この容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Cの他の非剥離領域Zに設けられたそれぞれのプルタブ20,22の境界に設けられるノッチ26は、表面側ハーフカット16Aの端部に連なって設けられる。併せて、図15中の部分拡大図に示されるように、裏面側ハーフカット16Bの端部もこのノッチ26に交差するように、このノッチ26に向けて湾曲して設けられる。このように、裏面側ハーフカット16Bもノッチ26に連なることで、剥離される部位Aの剥離のきっかけが容易で、簡易、そして確実に行えるようになる。また、裏面側ハーフカット16Bを、その端部においてノッチ26に連ねる構成に代えて、表側ハーフカット16Aに連ねる構成も採用できる。剥離のきっかけが容易で、簡易、そして確実に得られ、残存する部位Bとの分離が軽快に行える効果は同等である。
【0060】
また、剥離領域Xに設けられているプルタブ21の基部に沿って、つまり蓋材1の周縁部17に沿って、ハーフカット21Aが設けられている。このはハーフカット21Aは、基材5から接着剤層6を超えて表面シート4の中ほどにまで達するように形成されている。
【0061】
(第4の実施の形態)
この発明の第4の実施の形態の蓋材1は、基本的な構成は前記第1,2の実施の形態と同じであり、前記簡易切断線7並びに他の簡易切断線23が、所謂ハの字ミシン目で構成されている点で異なる。
以下、この第4の実施の形態を図17の記載に基づいて説明する。
【0062】
図17に示されるように、簡易切断線7を構成するこの所謂ハの字ミシン目29は、前記第2の実施の形態と同様に、蓋材1の剥離される部分Aと湯切り口形成部位Cの境界線に沿って形成される。また、他の簡易切断線23を構成するハの字ミシン目29は、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zの境界線に沿って形成されている。この所謂ハの字ミシン目29は、基材5から表面シート4に貫通して、又は、表面シート4のみ、あるいは紙13のみを貫通して設けられている。このハの字ミシン目29は、互いに外側に拡がるように傾斜した形状の剥離用切れ目30を多数設けてなる切れ目線31を複数列設けて形成される。
【0063】
更に具体的には、剥離用切れ目30は、図17の部分拡大図に示されるように、流れ方向に対して約20度外側に斜めに拡がる形状の一対からなる。そしてこの剥離用切れ目30が連続的に設けられて、1列の切れ目線31が形成される。実施される製品には、この切れ目線31が2列以上設けられた構成となっている。ここで、切れ目線31を構成する剥離用切れ目30は、前記の形状でしかも左右対称の形状に設けるのが切断し易く、また隙間ができなく、切断部分に蓋材1の切断端が残らず綺麗に剥離できる。この切れ目線31は、剥離性、安定性の点から、2列以上の複数列設けられるのが望ましいが、3列以上5列以下の範囲で設けるのが好ましい。
【0064】
また、湯切り口形成部位Cの剥離領域Xと他の非剥離領域Zの境界線に沿って形成されているハの字ミシン目23Bは、表面シート4のみ、あるいは紙13のみを貫通して設けられている。
【0065】
(第5の実施の形態)
この発明の第5の実施の形態の蓋材1は、基本的な構成は前記第1,2の実施の形態と同じであるが、前記簡易切断線7が、波形に形成されている点で異なる。
以下、この第5の実施の形態を図18の記載に基づいて説明する。
【0066】
この簡易切断線7は、図18に示するように、中間部分が湯切り口形成部位C側と容器2の開口部3から剥離される部位Aに、交互に蛇行する波形に形成されたものである。
このように蛇行させることによって、直線的な簡易切断線に比べて、外力に対して座屈しにくく、蓋材1が格段に破損され難くなる利点がある。
【0067】
なお、本実施の形態においてこの簡易節断線7は、上記第3の実施の形態と同様の両面ハーフカット16が採用されている。
【0068】
以上の各実施の形態においては、蓋材1の形状を円形で示したが、その形状はこれ以外にも適宜任意に選択され,容器2の開口部3の形状に合わせればよい。また、湯切り口28の大きさや設けられ数、更には位置も任意であり、湯切りの際に即席食品が漏れ出さず、しかも素早い湯切りができるように設定される。
【0069】
また、各実施の形態に示される構成は、この発明の所期の目的を逸脱しない範囲で適宜に組み合わせて採用される。例えば、簡易切断線7と他の簡易切断線23の内、一方をハーフカットや所謂ハの字ミシン目やミシン目のいずれかが採用されるとき、他方には他の種類のものを採用する。つまり、他方を、一方で採用した種類とは異なる種類を採用するようにし、異なるの種類を組み合わせることもできる。
【0070】
【実施例】
以下この発明の実施例を説明する。
(実施例1)
この実施例1の蓋材1は(図1〜6)、次のようにして作製される。
まず、あらかじめカップ容器2との剥離を容易にしたシーラント剤11(25μm厚)をアルミニウム箔12(9μm厚)に塗着して(ポリエチレンの接着層32を介しても良い)、基材5を作製する。シーラント剤11は、低温接着性を有するEVAなどのオレフィン系樹脂である。同時に、巻取り状の紙13(コート紙:84.9g/m2 )に、グラビア印刷法により、表裏同一工程で、インキによる印刷層14とその表面側を、ポリエチレンの接着層33を介してドライラミネートにより、ポリエステル(10μm厚)の被覆層15で覆って表面シート4を作製する。引き続き、この表面シート4の裏面との接着性に優れたLDPE(低密度ポリエチレン:15μm厚)からなる接着剤層6により、エクストルーダーを用いて表面シート4を基材5の表面にラミネートして積層材を得る。
なお、前記被覆層15は必要に応じて採用されれば良い。
【0071】
続いて、このラミネートされた巻取り状の積層材を枚葉状に大断ちした後、ハーフカット加工を行い(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0072】
そして、この蓋材1をカップ容器2に、ヒートシールなどにより、シール部10のシール幅が4mmとして、シールすることによって、食品類容器が完成する。カップ容器2は、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどを素材にして、あらかじめ成形されている。
【0073】
この実施例1に係る蓋材1が取り付けられた容器の使用手順は、前記第1の実施の形態に示された手順と同様であるので、その詳細な説明は省略し、構成の説明にとどめた。
【0074】
(実施例2)
この発明の実施例2の蓋材1(図7〜14)は、基本的な構成は実施例1の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例2の実施例1との大きな差異は、簡易切断線7が、ミシン目で構成されている点と、湯切り口28が設けられる点である。
【0075】
この湯切り口付き蓋材1は、次のようにして作製される。
まず、あらかじめカップ容器2との剥離を容易にしたシーラント剤11(25μm厚)をアルミニウム箔12(9μm厚)に塗着して(ポリエチレンの接着層32を介しても良い)、基材5を作製する。このシーラント剤11は、例えば低温接着性を有するEVAなどのオレフィン系樹脂が採用される。同時に、巻取り状の紙13(コート紙:84.9g/m2 )に、グラビア印刷法により、表裏同一工程で、インキによる印刷層14と、その表面側を、ポリエチレンの接着層33を介して、ドライラミネートにより、ポリエステル(10μm厚)の被覆層15で覆い、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる離型剤19を塗着して表面シート4を作製する。引き続きこの表面シート4の離型剤19が塗着された面との接着性に優れたLDPE(低密度ポリエチレン:15μm厚)からなる接着剤層6により、エクストルーダーを用いて、表面シート4を基材5の表面にラミネートして積層材を得る。
なお、前記被覆層33は必要に応じて採用されれば良い。
【0076】
続いて、このラミネートされた巻取り状の積層材を枚葉状に大断ちした後、ミシン目加工を行い(巻取り状にてミシン目加工をする場合もある)、ミシン目加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ミシン目加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0077】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部10のシール幅を4mmにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。
【0078】
前記ミシン目加工において、湯切り口形成用ハーフカット24は円形の直線状ハーフカットで形成される。
【0079】
この実施例2に係る蓋材1が取り付けられた容器2の使用手順は、前記第2の実施の形態に示す手順と同様であるので、その詳細な説明は省略し、構成の説明にとどめる。
【0080】
(実施例3)
この発明の実施例3の蓋材1は、基本的な構成は実施例2の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例3の実施例2との大きな差異は、簡易切断線7が、両面ハーフカットで構成されている点である。
【0081】
前記実施例2と同様の手順で得られた積層材を枚葉状に大断ちした後、ハーフカット加工を行い(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0082】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部10のシール幅を4mmにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。言うでもなく、簡易切断線7は両面ハーフカット16が採用され、他の簡易切断線23はハーフカット23Aが採用されている。
【0083】
(実施例4)
この発明の実施例4の蓋材1は、基本的な構成は実施例2の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例4の実施例1〜3との大きな差異は、簡易切断線7並びに他の簡易切断線23が、所謂ハの字ミシン目で構成されている点である。
【0084】
前記実施例2と同様の手順で得られた積層材を枚葉状に大断ちした後、ハの字ミシン目加工を行い(巻取り状にてハの字ミシン目加工をする場合もある)、ハの字ミシン目加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハの字ミシン目加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0085】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部10のシール幅を4mmにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。この実施例では、簡易切断線7は基材5から表面シート4に貫通して、また、他の簡易切断線23は表面シート4のみ貫通して設けられている。
【0086】
(実施例5)
この発明の実施例5の蓋材1は、基本的な構成は実施例2の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例5の実施例1〜4との大きな差異は、簡易切断線7が、波形に形成されている点である。
【0087】
前記実施例2と同様の手順で得られた積層材を枚葉状に大断ちした後、波形にしたハーフカット加工を行い(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0088】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部10のシール幅を4mmにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。言うでもなく、波形の簡易切断線7は両面ハーフカット16が採用され、他の簡易切断線23は直線状のハーフカット23Aが採用されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む平面図である。
【図2】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の裏面図である。
【図3】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の層構造の説明図である。
【図4】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材のノッチの構造を示す図1中のイ矢視図である。
【図5】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を容器に開口部に接着した状態を示し、図1中A−A線に沿った説明断面図である。
【図6】 容器に開口部に接着したこの発明の実施例1におけ蓋材の剥離される部位Aを剥離した状態を示す断面図である。
【図7】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む平面図である。
【図8】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の裏面図である。
【図9】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の層間剥離領域を示す説明図である。
【図10】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の積層構成を示し、図6中A−A線に沿った説明断面図である。
【図11】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材を容器に開口部に接着した状態を示し、図6中A−A線に沿った説明断面図である。
【図12】 容器に開口部に接着したこの発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の剥離される部位Aを剥離した状態を示す断面図である。
【図13】 容器に開口部に接着したこの発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の剥離領域Xから表面シートを剥離した状態を示す断面図である。
【図14】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材のノッチの構造を示す図6中のイ矢視図並びにロ矢視図である。
【図15】 この発明の実施例3における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む裏面図である。
【図16】 この発明の実施例3における湯切り口付き蓋材の積層構成を示す説明断面図である。
【図17】 この発明の実施例4における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む裏面図である。
【図18】 この発明の実施例5における湯切り口付き蓋材の裏面図である。
【符号の説明】
1…蓋材,2…容器,3…開口部,4…表面シート,5…基材,5A…基材部分,6…接着剤層,7…簡易切断線,8…プルタブ,9…シール部,10…シール部,11…シーラント剤,12…アルミニウム箔,13…紙,14…印刷層,16…両面ハーフカット,16A…表面側ハーフカット,16B…裏面側ハーフカット,17…周縁部,18,26,27…ノッチ,19…離型剤,20,21,22…プルタブ,23…他の簡易切断線,24…湯切り口形成用ハーフカット,25…ミシン目,28…湯切り口,29…ハの字ミシン目,30…剥離用切れ目,31…切れ目線。
Claims (6)
- 表面シートと基材が接着剤層を介して積層され、簡易切断線を境にして容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位に区画され、この湯切り口形成部位は、周縁側では表面シートの裏面と基材の接着剤層面が離型剤の塗布された剥離領域と、この剥離領域内に配置された非剥離領域とに区画され、また、中央側は表面シートの裏面と基材の接着剤層が離型剤を介さないで積層された他の非剥離領域に区画され、この湯切り口形成部位の剥離領域と他の非剥離領域の境界線には他の簡易切断線が設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の剥離領域、そしてこの他の非剥離領域の周縁部にはそれぞれプルタブが設けられ、また、湯切り口形成部位の剥離領域内に配置された非剥離領域内には湯切り口形成用のハーフカットが内面側となる前記基材から接着剤層を越えて表面シート内に至る範囲で形成され、前記容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の他の非剥離領域に設けられたプルタブは、簡易切断線を挟んで互いに隣り合って設けられ、併せて両プルタブの境界には基材から表面シートに貫通し、この簡易切断線に連なるなノッチが設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位、前記湯切り口形成部位の剥離領域、更に前記剥離領域を夫々のプルタブを引っ張り上げることによって夫々容器の開口部フランジから剥離可能に構成されていることを特徴とする湯切り口付き蓋材。
- 簡易切断線は、表面シートにその表側から設けられた表面側ハーフカットと、このハーフカットに平面的にわずかな間隔を開けて、基材側から表面シートに至るように並設された裏面側ハーフカットとから構成されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
- 裏面側ハーフカットが表面側ハーフカットより剥離される部位側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
- 簡易切断線は、基材から表面シートに貫通する、互いに外側に拡がるように傾斜した形状の剥離用切れ目を多数設けてなる切れ目線を複数列設されて構成されている請求項1又は3のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
- 簡易切断線は、直線で形成されている請求項1又は3〜4のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
- 容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の境界線に沿って設けられる簡易切断線は、中間部分が湯切り口形成部位側に凸になるように形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
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