JP4089241B2 - 湯切り口付き蓋材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、主として生麺などの即席食品(この発明においては、以下単に即席食品という)の密封包装に使用する容器の蓋材、特に即席食品を柔らかくほぐすために注がれた湯を排出する湯切り口を備えた湯切り口付き蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
即席食品は、カップ容器(発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどからなる)に密封包装された生麺、ソースやスープ、そして具などがそれぞれ個別に密封包装されて容器内に密封封入されている。
この即席食品を食するに当たっては、まず蓋材を容器開口から剥離し、生麺などを容器からすべて取り出す。次いで、生麺をパウチから取り出して、容器内に戻し、湯を注ぎ込み、生麺を軽くほぐす。次いで、容器内の湯を排出し、ソースやスープ、そして具などを適宜に添加して再び湯を注ぐ。
【0003】
ところで、従来の、例えば即席ラーメン(カップ麺)などでは、蓋材の一部分を容器開口部から剥離し、ここからスープ(ソース)、そして具の入ったパウチを容器外に取り出す。しかし、乾麺はそのまま容器内に留め置き、ここへスープ(ソース)、そして具を入れ、次いで湯を注ぎ込んで、蓋を再び閉めて、2〜3分間麺を蒸らし、その後蓋材を完全に剥離するようにしている。
また、焼きそばやスパゲティーなどでは、湯を注いでから、麺の解れをまって、湯を排出し、次いで蓋材をすべて剥離するようにしている。
【0004】
そして、従来のこの種乾麺等を主体とした湯切り口付き蓋材は、基本的に麺類が容器内に据え置かれたままで湯が注ぎ込まれる形態が採用されている。つまり、容器からいったん取り出されるものは、スープ(ソース)、そして具などの比較的小容量のものであった。また、麺類などをゆがく必要上、蓋材の開口量は極力小さい方が望ましいとされている。
【0005】
また、焼きそばやスパゲティーの蓋材では、湯を注ぐための部分的な開封に続き、湯切り口を開口する手間、更には食するにあたって蓋材をすべて開封する手間も要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この発明が対象とする即席食品は、最も容量の大きな麺類などをいったん容器から取り出す必要がある。取り敢えずは、従来の乾麺用の容器蓋材をそのまま転用してみたが、蓋材を完全に剥離しない限りは麺類が大変取り出し難いことが分った。また、即席食品をほぐすにも、大変ほぐしにくい欠点があることがわかった。その理由は、乾麺用の容器蓋材が、基本的には蓋材の開封面積を少なくするものであり、必然的に蓋材の開封面積が不十分であることに起因することがわかった。
【0007】
そこでこの発明は、このような観点から、即席食品の仕様に最適な蓋材を得ることを課題として開発された。
したがって、この発明は、第1に蓋材の開封面積を可及的に大きくすることを課題とする。併せて第2に湯切り口の開封面積を可及的に大きくして素早い湯切りができるようにすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的な課題を解決するために、この発明の請求項1記載の湯切り口付き蓋材は、表面シートと基材が接着剤層を介して積層され、簡易切断線を境にして容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位とに区画され、この湯切り口形成部位は、所定の幅をもって当該部位を横断する一対の簡易切断線に挟まれた領域の分離領域と、この分離領域の周縁側と中央側に前記一対の簡易切断線を境にしてそれぞれ残存する領域とに区画され、前記容器の開口部から剥離される部位、湯切り口形成部位内のこの分離領域、この分離領域を挟んで周縁部側と中央側の夫々の残存する部位のそれぞれの周縁部の中間よりも開封端部側に片寄った位置にはそれぞれプルタブが設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位、前記湯切り口形成部位の分離領域、更にはこの湯切り口形成部位の他の部分をそれぞれ前記プルタブを上方に引っ張りあげることによって容器の開口部を完全に開放するように構成されたものである。
【0009】
【作用】
以上の構成による湯切り口付き蓋材においては、まず蓋材の内、容器の開口部から剥離される部位のプルタブを摘まんで上方へ引っ張りあげる。このとき、この部位は、従来のように途中まで剥離するのとは全く違って、この部位の蓋材部分全体を容器の開口部フランジから剥離するように引きあげる。この剥離は、簡易切断線の存在によって、安定的で軽快に行われる。その結果、容器の開口部には、湯切り口形成部位のみが容器の開口部のフランジに接着された状態で残ることになる。次いで、この湯切り口形成部位の分離領域にあるプルタブを摘まんで引っ張りあげる。この剥離は、所定間隔を隔てて並設されている一対の簡易切断線の存在によって、安定的で軽快に行われる。その結果、所定の幅を持った湯切り口が、この湯切り口形成部位を横断して形成される。併せて、この湯切り口形成部位の他の部分のみが容器の開口部フランジに接着された状態で残ることになる。次いで、この状態から容器の開口部から剥離される部位が切り取られた開口部から容器内に収納されている即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品のみを容器に入れて湯を注いでゆがいた後に、容器に接着されている湯切り口形成部位に形成された湯切り口から湯切りする。そして、容器内に具やスープを入れ、電子レンジで加熱するかもしくは湯を注ぐことにより、カップ入り即席食品ができあがる。次いで、湯切り口形成部位の他の二つのプルタブをそれぞれ上方に引っ張りあげ、容器の開口部に接着されている湯切り口形成部位の残余の蓋材部分を剥離してから取り除き、容器の開口部を完全に開放する。
【0010】
【発明の効果】
従って、この発明の請求項1記載の湯切り口付き蓋材は、は以下の効果を奏する。
剥離される部位のプルタブを上方に引っ張りあげて蓋材を容器の開口部のフランジから剥離すると、簡易切断線を挟んでこのプルタブが存在する側の部分が容器の開口部フランジから剥離してすべて取り除かれる。湯切り口形成部位のみが容器の開口部のフランジに接着された状態で残る。したがって、開封量を圧倒的に大きく広げることができる。その結果、容器内からのパウチに収納された即席食品の取り出し、また、パウチから取り出された即席食品の容器内への収容を、格段に楽に行える利点がある。併せて、収容された即席食品のほぐし作業も大変楽に行える利点がある。
【0011】
また、容器の開口部から剥離される部分と容器の開口部に接着されたまま残存する湯切り口形成部位の境界線に簡易切断線が、湯切り口形成部位と湯切り口を開口するための分離領域は一対の簡易切断線がそれぞれ設けられているので、剥離安定性をうまく確保できる。
【0012】
更に、湯切り口は、湯切り口形成部位を所定の幅をもって横断するようにして開口されるために、その開口量が可及的に大きくなるので、素早い湯切りを可能にする。
しかも、各プルタブは各部位のそれぞれの周縁部の中間よりも開封端部側に片寄った位置に設けられているので、これら各プルタブを摘まんで、これら各部位や領域を容器のフランジから剥離する際に、これら蓋材の各部位や領域の一端側から剥離力を作用させることができる。つまり、これら各プルタブが各部位や領域の周縁の中間点に存在すると、これら各プルタブから各部位や領域に働く剥離力は、左右に均等に分散され、それだけ剥離力が弱くなり、より大きな剥離力が要求される傾向があるからである。また、このようにすることで、前記周縁部側の残存する部位に設けられるプルタブは、湯切りされる湯の排出経路から傍らに片寄った位置に存在する。したがって、湯切り直後であっても、このプルタブに熱湯の雫などが付着したり、熱くなっていたりするおそれがなく、不用意に火傷を負う危惧もなくなる。
【0013】
この発明に係る湯切り口付き蓋材は、簡易切断線並びに一対の簡易切断線として、請求項2に記載されるように、両面ハーフカットを採用したり、請求項3に記載されるように、ハの字ミシン目が採用される。
【0014】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材にあって、容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の境界線に沿って設けられる簡易切断線は、直線状であったり、請求項4に記載されるように、中間部分を湯切り口形成部位側に凸になるように形成されるのが望ましい。
特に、中間部分を湯切り口形成部位側に凸にする場合には、容器の開口部をより一層広くでき、容器に収納されている即席食品の出し入れが大変容易になる上に即席食品のほぐしも容易になる。
【0015】
更に、この発明に係る湯切り口付き蓋材は、請求項5に記載されるように、容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位内の中央側の残存する部位に設けられたプルタブは、この容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の境界線に沿って設けられる簡易切断線を挟んで互いに隣り合って設けられ、併せて両プルタブの境界には、この簡易切断線に連なるノッチが設けられるのが望ましい。
容器の開口部から剥離される部位側のプルタブを上方に引っ張りあげて、簡易切断線を挟んでこの容器の開口部から剥離される部位を容器の開口部フランジから剥離する際に、その剥離のきっかけが簡単に得られ、隣接する湯切り口形成部位との分離が軽快に行えるようになるからである。
【0016】
更に、この発明に係る湯切り口付き蓋材は、請求項6に記載されるように、湯切り口形成部位内の分離領域に設けられたプルタブの基部と蓋材の周縁部との交合点には、それぞれ一対の簡易切断線に連なるノッチが設けられるのが望ましい。
この分離領域のプルタブを上方に引っ張りあげて、簡易切断線に挟まれたこの分離領域を両側に隣接する残存する部位から剥離する際に、その剥離のきっかけが簡単に得られ、隣接する残存する部位との分離が軽快に行えるようになるからである。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明に係る湯切り口付き蓋材の第1の実施の形態を図1〜8の記載に基づいて説明する。
この湯切り口付きの蓋材1は、容器2の開口部3に、容器2の開口部3とほぼ同じ外形を有し(図5参照)、表面シート4と基材5が接着剤層6を介して積層されてなる。また、図3,4に示されるように、中央部分を横断する、簡易切断線7を境にして容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Bとに区画される。この湯切り口形成部位B内には、所定の幅をもって当該部位Bを横断する、一対の簡易切断線8によって、湯切り口形成のために分離される領域Cが区画される。また、この分離領域Cを挟んで、周縁部9側で残存する部位Dと中央側で残存する部位Eに区画される。蓋材1の周縁部9で、容器2の開口部3から剥離される部位A、湯切り口形成部位Bの剥離領域C、そして二つの残存する部位D、Eに対応する部位には、それぞれプルタブ10,11,12,13が設けられている。そして上記中央部分を横断する簡易切断線7並びに湯切り口形成部位B内の前記一対の簡易切断線8は、それぞれ所謂両面ハーフカット71,81が採用されている。蓋材1は表面に通常の印刷が施され、通常の打ち抜き型を用いた打ち抜き工程で、直径190mmの排湯機能を備えた湯切り口付き蓋材として作製される。
【0018】
また、図5に示されるように、前記蓋材1に設けられたシール部14を容器2の開口部3のフランジ2Aにシールすることで即席食品容器が得られる。そして、このシール部14のシール幅は、3mmないし10mmが一般的である。
【0019】
ここで、基材5は、図4に示されるように、あらかじめ発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどの樹脂を用いて成型された容器2との剥離を容易にする、低温接着性を有するEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などのオレフイン系樹脂またはヒートシールニスなどからなるシーラント剤16を、15〜60μmの厚さでアルミニウム箔17(厚さ7〜20μm)の裏面に押し出しによりラミネートあるいは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0020】
このシーラント剤16は、上記の他にも、例えば以下に示すような素材が採用される。例えば、EMAA(エチレン−メタクリル酸)とエステル、ポリスチレンとポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレン、ポリエチレンとポリブテンの混合物などである。
【0021】
この発明において、前記アルミニウム箔17は、必ずしも必要としない。また、アルミニウム箔17の代わりに、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を蒸着したポリエステルフィルムを採用できる。
【0022】
表面シート4は、厚さが40g/m2 〜130g/m2 の範囲内にある紙18、具体的には片アート紙あるいはコート紙を使用することができる。グラビア印刷法により表裏同一行程で、表面側にインキによる印刷層19を設ける。この表面シート4の印刷層19にはプラスチックフイルムを積層して被覆層31を形成さても良い。この印刷層19並びに表面シート4を保護するためである。また、採用されるプラスチックフイルムは、例えば、PET,OPP,ONなどが挙げられる。
【0023】
更に、接着剤層6としては、印刷された前記紙18の裏面との熱接着性に優れた接着剤、具体的にはHDPE(高密度ポリエチレン)、EMAA(エチレン−メタクリル酸)、更にはLDPE(低密度ポリエチレン)になどを使用できる。10〜25μmの厚みで、前記アルミニウム箔17(厚さ7〜20μm)の表面に押し出しによりラミネートあるいは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0024】
湯切り口20の形状は、図2に示されるように、蓋材1の前記湯切り口形成部位Bを左右に横断する細長い矩形形状に形成される。なお、図示しないが、矩形形状に代えて円弧状も採用できる。具体的な構成としては、例えば、中央の簡易切断線7と同じ曲率を備えた円弧にすることである。
【0025】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Bの境界線に沿って設けられる前記両面ハーフカット71、この湯切り口形成部位B内の分離部位Cと周縁側に残存する部位D、そして中央側に残存する部位Eとの境界線に沿ってそれぞれ設けられる前記両面ハーフカット81は、具体的には以下の構成を備える。
【0026】
この両面ハーフカット71,81は、表面側ハーフカット71A,81Aと裏面側ハーフカット71B,81Bで構成されている。表面側ハーフカット71A,81Aは、表面シートにその表側から設けられている。また、裏面側ハーフカット71B,81Bは、この表面側ハーフカット71A,81Aに平面的に、僅かな間隔を開けて、しかも基材5側から表面シート4に至るように並設されて設けられている。表面シート4にその表面側から設けられた表面側ハーフカット71A,81Aは、表面シート4の表側から紙18に、その厚みのほぼ1/4〜3/4に至る範囲で形成されている。また、裏面側ハーフカット71B,81Bは、内面側となる基材5から接着剤層6を超えて表面シート4の紙18に、その厚みのほぼ1/4〜3/4に至る範囲で形成されている。
【0027】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Bとに設けられたプルタブ10,11は、両面ハーフカット71を挟んで互いに隣り合って設けられている。そして、両プルタブ10,11の境界には、図1〜2並びに図8に示されるように、基材5から表面シート4に貫通し、この両面ハーフカット71に連なるなノッチ21が設けられている。また、湯切り口形成部位B内の分離領域Cに設けられたプルタブ12の基部と蓋材1の周縁部9との交合点には、ノッチ22がそれぞれ設けられている。このノッチ22は、それぞれ基材5から表面シート4に貫通し、一対の両面ハーフカット81に連なるように形成されている。各プルタブ10,11,12を上方に引っ張りあげて、剥離される部位A、分離領域C、周縁側の残存する部位D並びに中央側の残存する部位Eを容器2の開口部フランジ2Aから剥離するきっかけが簡単に得られ、各部位の分離が軽快に行えるようにするためである。これらのにノッチ21,22は、図2の部分拡大図に示されるように、表面側ハーフカット71A,81Aだけでなく、裏面側ハーフカット71B,81Bにも連なるように形成されている。つまり、この裏面側ハーフカット71B,81Bの端部をノッチ21,22側に向けてカーブさせることによって、その端部をこのノッチ21,22に連ねてある。なお、図2中の部分拡大図においては、中央の簡易切断線7とノッチ21との関係を示すにとどめるが、一対の簡易切断線8とノッチ22の関係においても同様の構成が採用されている。また、このノッチ21,22は、基材5から表面シート4に貫通する構成が採用されているが、表面シート4のみ、又は紙18のみを貫通するだけの構成も採用できる。更に、裏面側ハーフカット71B,81Bを、その端部においてノッチ21,22に連ねる構成に代えて、表面側ハーフカット71A,81Aに連ねる構成も採用できる。剥離のきっかけが容易で、簡易、そして確実に得られ、各部位の分離が軽快に行える効果は同等である。
【0028】
前記各プルタブ10〜13は、図1〜3に示されるように、各部位や領域の周縁部の中間よりも開封端部側に片寄った位置に設けられる望ましい。特に、開封縁となるような部位が好ましい。その理由は、これら各プルタブ10〜13を摘まんで、これら各部位や領域を容器2のフランジ2Aから剥離する際に、これら蓋材1の各部位や領域の一端側から剥離力を作用させることができるからである。つまり、これら各プルタブ10〜13が各部位や領域の周縁の中間点に存在すると、これら各プルタブ10〜13から各部位や領域に働く剥離力は、左右に均等に分散され、それだけ剥離力が弱くなり、より大きな剥離力が要求される傾向があるからである。また、このようにすることで、前記周縁部側の残存する部位Dに設けられるプルタブ13は、湯切りされる湯の排出経路から傍らに片寄った位置に存在する。したがって、湯切り直後であっても、このプルタブ13に熱湯の雫などが付着したり、熱くなっていたりするおそれがなく、不用意に火傷を負う危惧もなくなるからである。
【0029】
容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Bとの境界線に沿って設けられる簡易切断線7としてのハーフカット71Aは、図1〜3に示されるように、ほぼ中間部分が、湯切り口形成部位B側に向かって凸となるように湾曲する曲線状に形成されている。
【0030】
なお、図例では、このように曲線状に形成されているが、必要に応じて、図1中想像線で示されるように、蓋材1の中央部分を横切るような直線も採用される。この他にも即席食品の容量によっては、例えば、湯切り口形成部位Bに偏って、蓋材1の1/3あるいは1/4位置に設けられる構成も採用される。要は、即席食品を可及的に出し入れし易い開封量を得ることと、安全な湯切りが行えるに足る基材7の残存量を得ることの兼ね合いをうまく図ることである。
【0031】
以上の構成において、蓋材1は、各プルタブ10〜13が共に容器2の外方に突出した状態で、容器2の開口部3を覆って、内面のシーラント剤16と容器2のフランジ2Aとがシール部15にて熱接着されている(図5参照)。
【0032】
次いで、図5に示される蓋材1が取り付けられている容器2を使用するに際しては、まず容器2の開口部3から剥離される部位Aのプルタブ10を摘まんで蓋材1を容器2から引き剥がす。蓋材1は内面のシーラント剤16層と容器2のフランジ2Aとのシール部15が剥離してくる。このとき、このノッチ21の存在によって、蓋材1の容器2の開口部3から剥離される部位Aが湯切り口形部位Bから容易に切断され、以降の分離を軽快に行うきっかけが得られる。したがって、両面ハーフカット71を境にして,剥離される部位Aが簡便、かつ、軽快に剥離してくる。
【0033】
この両面ハーフカット71を境にして剥離される部位Aが容器2から完全に剥離された後は、図6に示されるように、湯切り口形成部位Bのみが容器2の開口部3のフランジ2Aに接着されたまま残り、容器2の開口部3をほぼ1/2乃至1/2以下〜1/4程度を覆った状態となる。
【0034】
次に、湯切り口形成部位Bの分離領域Cに設けられているプルタブ11を摘まんでこれを上方に引っ張りあげ、この分離領域Cの蓋材1部分を剥離する。このとき、このノッチ22と両面ハーフカット81の存在によって、分離領域Cがこの分離領域Cの周縁側と中央側とに隣接する残存する部位D,Eから容易に切断され、以降の分離を軽快に行うきっかけが得られる。そして、この分離領域Cが剥離されると、その後に、図2,7に示されるように、細長い矩形(あるいは円弧)の湯切り口20が開口形成される。また、この剥離領域Cに隣り合う残存する部位D,Eは、いまだそのまま容器2の開口部3に接着されたまま残存する。
【0035】
次いで、この状態から、剥離される部位Aが切り取られて大きく開放された開口部3から容器2内に収納されている即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品をパウチから取り出し、即席食品だけを容器2内に入れ、湯を注いで即席食品を1〜2分間ゆがいたり、ほぐしたりする。その後、容器2を傾けて湯切り口20から湯切りを行う。
【0036】
その後、スープ(ソース)、そして具を容器2内に入れて湯を注ぎ、例えばラーメンなどのカップ入り即席食品を完成させる。次いで、容器2の開口部3に接着されている前記剥離領域Cに隣り合う残存する部位D、Eにそれぞれ設けられているプルタブ12、13を摘まんで、順次これらを上方に引っ張り上げて、この前記剥離領域Cに隣り合う残存する部位D,Eを剥離して取り除き、容器2の開口部3を完全に開放し、即席食品を食する。前記両プルタブ12,13は、これら残存する部位D,Eの端の方に設けられているので、これらの残存する部位D,Eに対する引っ張り上げ力をこれら残存する部位D,Eの一端に集中的に作用させ得る。従って、可及的に簡便で、軽快な剥離を可能にする。
【0037】
(第2の実施の形態)
この発明の第2の実施の形態の蓋材1は、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同じであり、前記簡易切断線7,8が共に、所謂ハの字ミシン目で構成されている点で異なる。したがって、その他の構成、作用などの詳細な説明は省略する。
【0038】
図9に示されるように、簡易切断線7,8を構成するこの所謂ハの字ミシン目は、前記第1の実施の形態と同様に、容器2の開口部3から剥離される部位Aと湯切り口形成部位Bとの境界線、またこの湯切り口形成部位B内の分離部位Cと周縁側に残存する部位D、そして中央側に残存する部位Eとの境界線に沿ってそれぞれ設けられている。
【0039】
このハの字ミシン目25,26は、基材5から表面シート4に貫通して設けられ、互いに外側に拡がるように傾斜した形状の剥離用の切れ目27を多数設けてなる切れ目線28を複数列設けて形成される。更に具体的には、剥離用の切れ目27は、図9の部分拡大図に示されるように、流れ方向に対して約20度外側に斜めに拡がる形状の一対の構成で連続的に設けられて1列の切れ目線28が形成されている。実施される蓋材1には、この切れ目線28が2列以上設けられた構成となっている。ここで、切れ目線28を構成する切れ目27は、前記の形状でしかも左右対称の形状に設けるのが、切断し易く、また、隙間ができなく、切断部分に蓋材1の切断端が残らず綺麗に剥離できる。この切れ目線28は、2列以上の複数列設けられるのが望ましいが、3列以上5列以下の範囲で設けるのが、剥離性、安定性の点から好ましい。なお、この切れ目線28は、表面シート4のみ、あるいは紙18のみを貫通して設けられる構成も採用できる。
【0040】
以上の各実施の形態においては、蓋材1の形状を円形で紹介したが、その形状は適宜任意に選択され、容器2の開口部3の形状に合わせた形状が適宜に選択される。また、湯切り口21の大きさや設けられ位置も任意であり、湯切りの際に即席食品が漏れ出さず、しかも素早い湯切りができるように設定される。
【0041】
また、各実施の形態に示される構成は、この発明の所期の目的を逸脱しない範囲で適宜に組み合わせて採用される。例えば、簡易切断線と一対の簡易切断線のいずれかをハーフカットや所謂ハの字ミシン目のいずれかで、他方を一方で採用した種類とは異なる種類を採用して、異なるの種類を組み合わせることもできる。
【0042】
【実施例】
以下この発明の実施例を説明する。
(実施例1)
この湯切り口付き蓋材1は、次のようにして作製される。
まず、あらかじめカップ容器2との剥離を容易にした低温接着性を有するEVAなどのオレフィン系樹脂からなるシーラント剤16(25μm厚)をアルミニウム箔17(9μm厚)に塗着する(ポリエチレンの接着層29を介しても良い)ことによって基材5を作製する。同時に、巻取り状の紙18(コート紙:84.9g/m2 )に、グラビア印刷法により、表裏同一工程で、インキによる印刷層19とその表面側を、ポリエチレンの接着層30を介してドライラミネートにより、ポリエステル(10μm厚)の被覆層31で覆って表面シート4を作製する。引き続きこの表面シート4との接着性に優れたLDPE(低密度ポリエチレン:15μm厚)からなる接着剤層6により、エクストルーダーを用いて、表面シート4を基材5の表面にラミネートすることにより積層材を得る。
なお、前記被覆層31は必要に応じて採用されれば良い。
【0043】
続いて、このラミネートされた巻取り状の積層材を枚葉状に大断ちした後、ミシン目並びにハーフカット加工を行い(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0044】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどによりシール部15のシール幅が4mmとしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。
【0045】
前記ハーフカット加工において、湯切り口を形成するための一対の両面ハーフカット81は直線状ハーフカットで形成される。
【0046】
この実施例1における蓋材1が取り付けられた容器の使用手順は、前記第1の実施の形態に示される手順と同様であるので、その詳細な説明は省略し、構成の説明に留める。
【0047】
(実施例2)
この発明の実施例2の蓋材1は、基本的な構成は実施例1の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例2の実施例1との大きな差異は、簡易切断線7,8が共に所謂ハの字ミシン目で構成されている点である。
【0048】
前記実施例2と同様の手順で得られた積層材を枚葉状に大断ちした後、ハの字ミシン目加工を行い(巻取り状にてハの字ミシン目加工をする場合もある)、ハの字ミシン目加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハの字ミシン目加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0049】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシール等により、シール部10のシール幅を4mmにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。この実施例では、ハの字ミシン目は基材5から表面シート4に貫通して設けられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の平面図である。
【図2】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む裏面図である。
【図3】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の層間剥離領域を示す説明裏面図である。
【図4】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の積層構成を示し、図1中A−A線に沿った説明断面図である。
【図5】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を容器に開口部に接着した状態を示し、図1中A−A線に沿った説明断面図である。
【図6】 容器に開口部に接着したこの発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の剥離される部位Aを剥離した状態を示す断面図である。
【図7】 容器に開口部に接着したこの発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の剥離領域Cを剥離した状態を示す断面図である。
【図8】 この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材のノッチの構造を示す図1中のイ〜ハ矢視図である。
【図9】 この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材を示し、一部を取り出して拡大した要部の拡大図を含む裏面図である。
【符号の説明】
1…蓋材,2…容器,3…開口部,4…表面シート,5…基材,6…接着剤層,7,8…簡易切断線,71,81…ハーフカット,71A,81A…表面側ハーフカット,71B,81B…裏面側ハーフカット,9…周縁部,10,11,12,13…プルタブ,14…シール部,15…シール部,16…シーラント剤,17…アルミニウム箔,18…紙,19…印刷層、20…湯切り口,21,22…ノッチ,25,26…ハの字ミシン目,27…切れ目,28…切れ目線,A…剥離される部位,B…湯切り口形成部位,C…分離領域,D,E…残存する部位。
Claims (6)
- 表面シートと基材が接着剤層を介して積層され、簡易切断線を境にして容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位とに区画され、この湯切り口形成部位は、所定の幅をもって当該部位を横断する一対の簡易切断線に挟まれた領域の分離領域と、この分離領域の周縁側と中央側に前記一対の簡易切断線を境にしてそれぞれ残存する領域とに区画され、前記容器の開口部から剥離される部位、湯切り口形成部位内のこの分離領域、この分離領域を挟んで周縁部側と中央側の夫々の残存する部位のそれぞれの周縁部の中間よりも開封端部側に片寄った位置にはそれぞれプルタブが設けられ、前記容器の開口部から剥離される部位、前記湯切り口形成部位の分離領域、更にはこの湯切り口形成部位の他の部分をそれぞれ前記プルタブを上方に引っ張りあげることによって容器の開口部を完全に開放するように構成されていることを特徴とする湯切り口付き蓋材。
- 簡易切断線並びに一対の簡易切断線は、表面シートにその表側から設けられた表面側ハーフカットと、この表面側ハーフカットに平面的に僅かな間隔を開けて、基材側から表面シートに至るように並設された裏面側ハーフカットとから構成されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
- 簡易切断線並びに一対の簡易切断線は、基材から表面シートに貫通する、互いに外側に拡がるように傾斜した形状の剥離用切れ目を多数設けてなる切れ目線を複数列設されて構成されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
- 容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の境界線に沿って設けられる簡易切断線は、中間部分が湯切り口形成部位側に凸になるように形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
- 容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位内の中央側の残存する部位に設けられたプルタブは、この容器の開口部から剥離される部位と湯切り口形成部位の境界線に沿って設けられる簡易切断線を挟んで互いに隣り合って設けられているとともに、両プルタブの境界には、この簡易切断線に連なるノッチが設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の湯切り口付き蓋材。
- 湯切り口形成部位内の分離領域に設けられたプルタブの基部と蓋材の周縁部との交合点には、一対の簡易切断線に連なるノッチがそれぞれ設けられている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
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