JP3966011B2 - 湯切り口付き蓋材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、主として生麺などの即席食品(この発明においては、以下単に即席食品という)の密封包装に使用する容器の蓋材、特に即席食品を柔らかくほぐすために注がれた湯を排出する湯切り口を備えた湯切り口付き蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
即席食品は、カップ容器(発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどからなる)に密封包装された生麺、ソースやスープ、そして具などがそれぞれ個別に密封包装されて容器内に密封封入されている。
この即席食品を食するに当たっては、先ず蓋材を容器開口から剥離し、生麺などを容器からすべて取り出す。次いで、生麺をパウチから取り出して、容器内に戻し、湯を注ぎ込み、生麺を軽くほぐす。次いで、容器内の湯を排出し、ソースやスープ、そして具などを適宜に添加して再び湯を注ぐ。
【0003】
ところで、従来の、たとえば即席ラーメン(カップ麺)などでは、蓋材の一部分を容器開口部から剥離し、ここからスープ(ソース)、そして具の入ったパウチを容器外に取り出す。しかし、乾麺はそのまま容器内に留め置き、ここへスープ(ソース)、そして具を入れ、次いで湯を注ぎ込んで、蓋を再び閉めて、2〜3分間麺を蒸らし、その後蓋材を完全に剥離するようにしている。
また、焼きそばやスパゲティーなどでは、湯を注いでから、麺の解れをまって、湯を排出し、次いで蓋材をすべて剥離するようにしている。
【0004】
そして、従来のこの種乾麺等を主体とした湯切り口付き蓋材は、基本的に麺類が容器内に据え置かれたままで湯が注ぎ込まれる形態が採用されている。つまり、容器からいったん取り出されるものは、スープ(ソース)、そして具などの比較的小容量のものであった。また、麺類などをゆがく必要上、蓋材の開口量は極力小さい方が望ましいとされている。
【0005】
また、焼きそばやスパゲティーの蓋材では、湯を注ぐための部分的な開封に続き、湯切り口を開口する手間、更には食するにあたって蓋材をすべて開封する手間も要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この発明が対象とする即席食品は、最も容量の大きな麺類などをいったん容器から取り出す必要がある。取り敢えずは、従来の乾麺用の容器蓋材をそのまま転用してみたが、蓋材を完全に剥離しない限りは麺類が大変取り出し難いことが分った。また、即席食品をほぐすにも、大変ほぐしにくい欠点があることがわかった。その理由は、乾麺用の容器蓋材が基本的に蓋材の開封面積を少なくするから、必然的に蓋材の開封面積が不充分であることに起因することがわかった。
【0007】
そこでこの発明は、このような観点から、即席食品の仕様に最適な蓋材を得ることを課題として開発された。
したがって、この発明は、第1に蓋材の開封面積を可及的に大きくすること併せて素早い開封を可能にすることを課題とする。また、第2に蓋材の開封手数を可及的に少なくすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的な課題を解決するために、この発明の請求項1記載の湯切り口付き蓋材は、周縁部の異なる二箇所にプルタブが備わり、表面シートと基材が、接着性樹脂層を介して積層されてなり、接着性樹脂層が、離型剤の塗布された剥離領域と、この剥離領域内に配置された非剥離領域と、前記剥離領域に隣接して配置された他の非剥離領域とに区画され、前記剥離領域側に一方のプルタブが、また、他の非剥離領域側に他方のプルタブがそれぞれ設けられ、前記剥離領域内にある非剥離領域内には湯切り口形成用のハーフカットが、また、前記剥離領域とこれに隣接する他の非剥離領域との境界線には剥離用ハーフカットとが、ともに内面側となる前記基材から接着性樹脂層を越えて表面シート内に至る範囲で形成され、更にこの剥離用ハーフカットの容器開口部のシール部分に対応する部位が前記他の非剥離領域側の他方のプルタブと対向する直前部位においてこの他方のプルタブ側に張出した凸の部分を備え、引き続き周縁部に至るほぼV字型に形成されたものである。
【0009】
【作用】
以上の構成による湯切り口付き蓋材においては、まず他の非剥離領域側の他方のプルタブを摘まんで引っ張りあげる。これによって、蓋材を容器の開口部フランジから剥離する。このとき、蓋材は、従来のように途中まで剥離するのとは全く違って、全体を剥離するように引きあげる。ところで、剥離用ハーフカットの容器開口部のシール部分に対応する直前部位が前記他の非剥離領域側の他方のプルタブ側に張り出した凸の部分を備え、引き続き周縁部に至るほぼV字型に形成されている。したがって、この他方のプルタブを上方へ引っ張りあげる力は、この他方のプルタブを引っ張りあげるのとほとんど機を一にして、この凸の部分の先端(点)に集中して働く。その結果、表面シートを基材と分離できるきっかけがこの凸の部分において的確に与えられ、それ以降の表面シートと基材の分離がスムースで軽快に行なえる。その後、蓋材は、他の非剥離領域においては表面シート共々基材も引き上げられて、容器の開口部フランジから剥がされる。また、剥離用ハーフカットを挟んで剥離領域側では、表面シートだけが基材から分離して剥離されていく。引き続き蓋材の剥離が続き、剥離領域内の非剥離領域にある湯切り口形成用ハーフカットに囲まれた部分の基材が表面シートに接着した状態でこの表面シートと一緒に剥離される。その結果、容器の開口部には、湯切り口が形成された剥離領域の基材部分のみが容器の開口部フランジに接着された状態で残ることになる。次いで、この状態から基材が切り取られた開口部から容器内に収納されている即席食品、スープ(ソース)、そして具などを取り出す。次に、即席食品のみを容器に入れて湯を注いでゆがいた後に、容器に接着されている基材の湯切り口から湯切りする。次いで、前記他方のプルタブを摘まんで上方に引っ張りあげ、容器の開口部に接着されている湯切り口が形成されている、基材部分を剥離してから取り除く。そして、容器内に具やスープを入れ、電子レンジで加熱するかもしくは湯を注げば、カップ入り即席食品ができあがる。
【0010】
【発明の効果】
したがって、この発明の請求項1記載の湯切り口付き蓋材は、以下の効果を奏する。
他の非剥離領域側の他方のプルタブを上方に引っ張りあげて蓋材を容器の開口部のフランジから剥離する。その結果、湯切り口形成用ハーフカットに囲まれた部分がこの他の非剥離領域に接着した状態で共に除去される。したがって、確実に湯切り口を形成でき、容器の開封と湯切り口の形成を一挙動で簡単に行える利点がある。
【0011】
また、他方のプルタブを上方へ引っ張り上げる力は、この他方のプルタブを引っ張り上げるのとほとんど機を一にして、この凸の部分の先端(点)に集中して働く。したがって、表面シートを基材と分離できるきっかけがこの凸の部分において的確に与えられ、それ以降の両者の分離が迅速で、かつ、スムース、軽快に行なえる。しかも、この他方のプルタブを介して蓋材に与えられる剥離力は、この他方のプルタブを引っ張り上げるのとほとんど機を一にして、この凸の部分の先端(点)に集中して働く。したがって、表面シートを基材と分離できるきっかけが逸早く蓋材に与えられ、素早い開封を可能にする。
【0012】
また、蓋材は湯切り口が形成された基材を部分的に残すのみで、すべて取り除かれるので、開封量を圧倒的に大きく広げることができる。その結果、容器内からのパウチに収納された即席食品の取り出し、また、パウチから取り出された即席食品の容器内への収容を、格段に楽に行える利点がある。併せて、収容された即席食品のほぐし作業も大変楽に行なえる利点がある。
【0013】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材は、請求項2に記載されるように、剥離領域側に設けられた一方のプルタブの基部に沿って、表面シートにハーフカットが形成されるのが望ましい。
一方のプルタブを、その肉厚を落とすことなく、強度も所期どおりに保たせることができる。その結果、湯切り口が形成されている基材部分の剥離にあたり、上方への引っ張り上げ力がこの基材部分にしっかりと加わり、この基材部分の剥離が格段に容易になるからである。
【0014】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材は、請求項3に記載されるように、表面シートと基材の間で、少なくとも前記他の非剥離領域と剥離領域の境界線に沿って設けられる剥離用ハーフカットの両側には剥離ニスが塗着されるのが望ましい。
剥離領域に対する他の非剥離領域の分離が確実で、かつ、簡便に行えるからである。
【0015】
また、この発明に係る湯切り口付き蓋材にあって、剥離用ハーフカットは、直線状であったり、請求項4に記載されるように、剥離領域側に凸になるように形成されのが望ましい。
特に、剥離領域側に凸ににする場合には、容器の開口部をより一層広くでき、容器に収納されている即席食品の出し入れが大変容易になる上に、即席食品のほぐしも容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る湯切り口付き蓋材の第1の実施の形態を図1〜6の記載に基づいて説明する。
この湯切り口付きの蓋材1は、容器2の開口部3に、容器2の開口部3とほぼ同じ外形を有し(図5参照)、周縁部4の異なる二箇所にプルタブ5,6を備えて構成されている。蓋材1は、図4に示されるように、基材7とこれを被覆する表面シート8が接着性樹脂層9を介して一部剥離可能に積層される。具体的には、この基材7と表面シート8の層間には、図3に示されるように、離型剤10の塗布された剥離領域Aと、この剥離領域A内に形成された非剥離領域Bと、前記剥離領域Aに隣接して形成される他の非剥離領域Cとに区画される。また、図4に示されるように、前記剥離領域A内にある非剥離領域B内には湯切り口形成用のハーフカット11が、内面側となる前記基材7から接着性樹脂層9を越えて表面シート8に至る範囲で形成されている。前記プルタブ5,6の内一方のプルタブ5は前記剥離領域A側に、また、他方のプルタブ6は他の非剥離領域C側にそれぞれ設けられる。更に前記剥離領域Aとこれに隣接する前記他の非剥離領域Cとの境界線には剥離用ハーフカット12が、内面側となる前記基材7から接着性樹脂層9を越えて表面シート8に至る範囲で形成されている。蓋材1は表面に通常の印刷が施され、通常の打ち抜き型を用いた打ち抜き工程で、直径190mmの排湯機能を備えた湯切り口付き蓋材として作製される。
【0017】
また、図1〜3に示されるように、この剥離用ハーフカット12の容器1の開口部3のシール部分13に対応する部位が、前記他の非剥離領域Cの他方のプルタブ6対向する直前部位において、この他方のプルタブ6側に張出した凸の部分14を備え、引き続き周縁部4に至るほぼV字型に形成される。周縁4との交点12Aは、凸の部分14からほぼ直線状に剥離領域A側に至り、周縁部4と交わる。したがて、他方のプルタブ6をやや剥離領域A側に向って上方へ引っ張り上げると、まず真っ先にこの凸の部分14にその引っ張り上げ力が働く位置関係が設定されている。
【0018】
更に、図5に示されるように、前記蓋材1に設けられたシール部15を容器2の開口部3のフランジ2Aにシールすることで即席食品容器が得られる。そして、前記シール部15のシール幅は、3mm乃至10mmが一般的である。
【0019】
ここで、基材7は、図4に示されるように、あらかじめ発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどの樹脂を用いて成型された容器2との剥離を容易にする、低温接着性を有するEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などのオレフイン系樹脂またはヒートシールニスなどからなるシーラント剤16を、15〜60μmの厚さでアルミニウム箔17(厚さ7〜20μm)の裏面に押し出しによりラミネート或いは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0020】
このシーラント剤16は、上記の他にも、例えば以下に示すような素材が採用される。例えば、EMAAとエステル、ポリスチレンとポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレン、ポリエチレンとポリブテンの混合物等である。
【0021】
この発明において、前記金属箔層としてのアルミニウム箔17は、必ずしも必要としない。また、金属箔層を設けるに当たっては、アルミニウム箔の代わりに、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を蒸着したポリエステルフィルムを採用できる。
【0022】
また、表面シート8は、厚さが79.1g/m2 〜130g/m2 の範囲内にある紙18、具体的には片アート紙あるいはコート紙を使用することができる。グラビア印刷法により表裏同一行程で、表面側にインキによる印刷層19を設ける。この表面シート8の印刷層19にはプラスチックフィルムを積層して被覆層24を形成してもよい。この印刷層19並びに表面シート8を保護するためである。また、採用されるプラスチックフィルムは、例えば、PET,OPP,ONなどが挙げられる。
【0023】
また、裏面側にはレシチンなどの可食性界面活性剤、消化綿系の樹脂にワックス又はシリコン又はアマイドなどを混合したもの、更には剥離ニスからなる離型剤10が、同様にグラビア印刷法などにより印刷されて形成される。更に、この離型剤10が塗着される。なお、この離型剤10が塗着される前に、この表面シート8の裏面には目止めニスが施されるのが望ましい。基材7と表面シート8との剥離性能が格段に高まるからである。
【0024】
更に、接着性樹脂層9としては、印刷された前記紙18の前記離型剤10を塗布した面との熱接着性に優れた接着剤、具体的にはHDPE(高密度ポリエチレン)、EMAA(エチレン−メタクリル酸)、更にはLDPE(低密度ポリエチレン)になどを使用できる。10〜25μmの厚みで、前記アルミニウム箔17(厚さ7〜20μm)の表面に押し出しによりラミネート或いは塗着することにより作製されたものを使用することができる。
【0025】
湯切り口形成用のハーフカット11と剥離用ハーフカット12は、共に内面側となる前記基材7から接着性樹脂層9を越えて表面シート8に、その厚みのほぼ1/4〜3/4に至る範囲で形成されている。
【0026】
剥離用ハーフカット12は、図1〜3に示されるように、蓋材1のほぼ中央部分で、剥離領域A側に向かって凸となるように湾曲する曲線状に形成されている。
【0027】
なお、図例では、このように曲線状に形成されているが、必要に応じて、図2中想像線で示されるように、蓋材1の中央部分を横切るような直線も採用される。この他にも即席食品の容量によっては、例えば、剥離領域A側に片寄って、蓋材1の1/3あるいは1/4位置に設けられる構成も採用される。要は、即席食品を可及的に出し入れし易い開封量を得ることと、安全な湯切りが行なえるに足る基材7の残存量を得ることの兼ね合いをうまく図ることである。
【0028】
また、この剥離用ハーフカット12の容器1の開口部3のシール部分13に対応する部位が、前記他方のプルタブ6側に山形に張り出した凸の部分14を備えて形成されている。この凸の形状は、図1〜3に示される山形に限らず、例えば台形、三角形など適宜の形状が採用される。要するに、蓋材1を容器2の開口部3から剥離する際に、上方への引っ張り力が、先ずこの凸の部分14の先端(点)で集中的に働き、その結果、表面シート8を基材7と分離できるきっかけがこの凸の部分14において的確に与えられ、それ以降の両者の分離がスムースで軽快に行なえる形状であることが肝要である。
【0029】
そして、前記離型剤10は、表裏同一工程で印刷され、その接着強度は、使用する前記各樹脂の種類又は網点面積率により適宜に変えることができる。また、図3に示されるように、特に剥離用ハーフカット12の両側部分Dでは、この離型剤10による基材7と表面シート8との剥離性をより一層高めるために、ベタ印刷版による印刷が望ましい。また、特にこの部位では、要に応じて、ベタ印刷と網点印刷を併用することもできる。
【0030】
湯切り口20の形状は、図2に示されるように、6ないし8mmφの円形に形成されている。しかし、必ずしも円形である必要はなく、同等の開口量を備えるものであれば、例えば楕円形、星型、三角形、四角形など種々の形状が採用される。
【0031】
一方のプルタブ5、つまり剥離領域A側に設けられているプルタブ5は、図1〜5に示されるように、その基部に沿って、すなわち蓋材1の周縁上に沿って表面シート8側からハーフカット21が形成されている。その深さはこの表面シート8を表側からその厚みの2/3〜全長に至る長さに設定されている。この一方のプルタブ5部分に基材7とともに表面シート8を残すのは、湯切り口20を備えた基材部分7Aの剥離のきっかけをつかみ易くするためである。
【0032】
また、この一方のプルタブ5は、図2に示されるように、蓋材1の周縁4の内、この剥離領域Aの周縁Aaの中間点よりも左右いずれかの側に片寄った位置に設けられるのが望ましい(図例では左側)。特に、剥離領域Aの右あるいは左側端、つまりは開封縁となるような部位が好ましい。その理由は、この一方のプルタブ5を摘まんで、基材部分7Aを容器2のフランジ2Aから剥離する際に、この基材部分7Aの一端側から剥離力を作用させることができるからである。つまり、このプルタブ5が剥離領域Aの周縁Aaの中間点に存在すると、このプルタブ5から基材部分7Aに働く剥離力は、左右に均等に分散される。その結果、それだけ剥離力が弱くなり、より大きな剥離力が要求されることになるからである。また、このようにすることで、この一方のプルタブ5は、湯切りされる湯の排出経路から傍らに片寄った位置に存在する。したがって、湯切り直後であっても、このプルタブ5に熱湯の雫などが付着したり、熱くなっていたりするおそれがなく、不用意に火傷を負う危惧もなくなるからである。
【0033】
以上の構成において、蓋材1は、図5に示されるように、各プルタブ5,6が共に容器2の外方に突出した状態で、容器2の開口部3を覆って、内面のシーラント剤16層と容器2のフランジ2Aがシール部13にて熱接着されている。
【0034】
次いで、図5に示される蓋材1が取り付けられている容器2を使用するに際しては、先ず他方のプルタブ6を摘まんで蓋材1を容器2から引き剥がす。蓋材1は内面のシーラント剤16層と容器2のフランジ2Aとのシール部13が剥離してくる。そして、この剥離が剥離用ハーフカット12に達する。しかし、一方のプルタブ5側の領域、つまり剥離領域Aでは、基材7と表面シール8とが部分的に塗着された離型剤10を介して積層されていて、基材7と表面シール8との接着が強くない。したがって、基材7の接着性樹脂層9と表面シート8の離型剤10層の境界で基材7と表面シール8が簡単に剥離してくる。
【0035】
このとき、基材7と表面シール8の剥離のきっかけが、前記凸の部分14で行なわれる。すなわち、他方のプルタブ6を摘まんで蓋材1を上方に引っ張りあげて容器2から引き剥がす作用力は、真っ先にまず、この凸の部分14に作用する。この凸の部分14は、蓋材1がはがされる方向に逆らう方向に凸であり、併せてこの他方のプルタブ6の直前部位に存在させることによって、上方への引っ張り力が、まずこの凸の部分14の先端(点)に集中して働き、この部位を他に先行して引きはがす。その結果、基材7と表面シート8を分離できるきっかけがこの凸の部分14において的確に与えられ、それ以降の両者の分離がスムースで軽快に行なえる。この剥離用ハーフカット12部分での基材7と表面シート8の分離に引き続き、湯切り口形成用ハーフカット11にまで剥離が進むと、この湯切り口形成用のハーフカット11に囲まれた部分の基材7が表面シール8に接着した状態で抜き取られて湯切り口20が形成される。湯切り口20の中央部分に対する表面シート8の裏面は離型剤10が印刷(塗着)されていない非剥離領域Bに形成されているので(図3参照)。したがって、この部分における表面シート8と基材7の接着強度は高く、湯切り口形成用ハーフカット11に囲まれた部分が簡単に抜き取られて確実に湯切り口20が形成される。
【0036】
他方のプルタブ6を摘まんで蓋材1を容器2から完全に剥離した後には、図6に示されるよう、蓋材1の剥離用ハーフカット12より一方のプルタブ5側の基材部分7Aが、湯切り口20が形成された状態で、容器2に接着されたまま残り、容器2の開口部3はほぼ1/2乃至1/2〜1/4程度を覆った状態となる。この状態で、即席食品、スープ(ソース)、そして具などの内容物を取り出す。次いで、即席食品をパウチから取り出し、即席食品だけを容器2内に入れ、湯を注いで即席食品を1〜2分間ゆがいたり、ほぐしたりする。その後、容器2を傾けて容器2の開口部3に接着されている基材部分7A(湯切り口20が形成された剥離領域Aの基材7)の湯切り口20から湯切りを行なう。次いで、容器2の開口部3に接着されているこの基材部分7Aを一方のプルタブ5を摘まんで剥離して取り除く。このとき、この一方のプルタブ5がこの剥離領域Aの端の方に設けられていると、この基材部分7Aに対する引っ張り上げ力をこの基材部分7Aの一端に集中的に作用させ得る。したがって、可及的に簡便で、軽快な剥離を可能にする。その後、スープ(ソース)、そして具を容器2内に入れて湯を注ぎ、例えばラーメンなどのカップ入り即席食品を完成させる。
【0037】
【実施例】
以下この発明の実施例を説明する。
(実施例1)
この湯切り口付き蓋材1は、次のようにして作製される。
まず、あらかじめカップ容器2との剥離を容易にしたシーラント剤16(25μm厚)をアルミニウム箔17(9μm厚)に塗着して(ポリエチレンの接着層22を介しても良い)、基材7を作製する。シーラント剤16は、低温接着性を有するEVAなどのオレフィン系樹脂である。同時に、巻取り状の紙18(コート紙:84.9g/m2 )に、グラビア印刷法により、表裏同一工程で、インキによる印刷層19とその表面側を、ポリエチレンの接着層23を介してドライラミネートにより、ポリエステル(12μm厚)の被覆層24で覆い、裏面側に可食性界面活性剤にシリコンを混合してなる離型剤10を塗着して表面シート8を作製する。引き続きこの表面シート8の離型剤10が塗着された面との接着性に優れたLDPE(低密度ポリエチレン:15μm厚)からなる接着性樹脂層9により、エクストルーダーを用いて、表面シート8を基材7の表面にラミネートすることにより積層材を得る。
なお、前記被覆層24は必要に応じて採用されれば良い。
【0038】
続いて、このラミネートされた巻取り状の積層材を枚葉状に大断ちした後、ハーフカット加工を行ない(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、この発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行なう場合もある)。
【0039】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部13のシール幅が4mmとし、併せて剥離用ハーフカット12の凸の部分14がこのシール部13の幅内に重なるようにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどから、あらかじめ成形されている。
【0040】
前記ハーフカット加工において、湯切り口形成用ハーフカット11は円形の直線状ハーフカットで、また、剥離用ハーフカット12並びに一方のプルタブ5基部に沿ったハーフカット21は、共に直線状のハーフカットで形成されている。なお、これら各ハーフカットは、必要に応じて、ミシン目状のハーフカットで形成されても良い。
【0041】
この実施例1における蓋材1が取り付けられた容器の使用手順は、前記第1の実施の形態に示される手順と同様であるので、その詳細な説明は省略し、構成の説明にとどめる。
【0042】
(実施例2)
この発明の実施例2の蓋材1は、基本的な構成は実施例1の蓋材1と同様であるので、同じ構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この実施例2の実施例1との大きな差異は、形状が四角形状となっている点である。
【0043】
前記実施例1と同様の手順で得られた積層材を枚葉状に大断ちした後、ハーフカット加工を行い(巻取り状にてハーフカット加工をする場合もある)、ハーフカット加工完了後、小断ち・抜き加工を経て、所望の四角形状を呈したこの発明の蓋材1を作製する(ハーフカット加工と同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある)。
【0044】
そして、この蓋材1をカップ容器2にヒートシールなどにより、シール部13のシール幅が4mmとし、併せて剥離用ハーフカット12の凸の部分14がこのシール部13の幅内に重なるようにしてシールすることによって、排湯機能を備えた即席食品容器が完成する。このカップ容器2は、例えば発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレンなどからあらかじめ成形されている。
【0045】
前記ハーフカット加工において、湯切り口形成用ハーフカット11は円形の直線状ハーフカットで、また、剥離用ハーフカット12並びに一方のプルタブ5基部に沿ったハーフカット21は、共に直線状のハーフカットで形成されている。なお、これら各ハーフカットは、必要に応じて、ミシン目状のハーフカットで形成されても良い。
【0046】
この実施例2における蓋材1が取り付けられた容器の使用手順は、前記第2の実施の形態に示される手順と同様であるので、その詳細な説明は省略し、構成の説明にとどめる。
【0047】
なお、蓋材の形状を円形と四角形の二つのタイプを紹介したが、その形状はそれら以外にも適宜任意に選択され、容器の開口部の形状に合わせれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の平面図である。
【図2】この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の裏面図である。
【図3】この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の層間剥離領域を示す説明図である。
【図4】この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材の積層構成を示し、図1中A−A線に沿った断面図である。
【図5】この発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を容器に開口部に接着した状態を示し、図1中B−B線に沿った断面図である。
【図6】容器に開口部に接着したこの発明の実施例1における湯切り口付き蓋材を剥離した状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施例2における湯切り口付き蓋材の裏面図である。
【符号の説明】
1…蓋材,2…容器,3…開口部,5…一方のプルタブ,6…他方のプルタブ,7…基材,7A…基材部分,8…表面シート,9…接着性樹脂層,10…離型剤,11…湯切り口形成用ハーフカット,12…剥離用ハーフカット,13…シール部,14…凸の部分,16…シーラント剤,17…アルミニウム箔,18…紙,19…印刷層、20…湯切り口,21…他方のプルタブのハーフカット,A…剥離領域,B…非剥離領域,C…他の非剥離領域。
Claims (4)
- 周縁部の異なる二箇所にプルタブが備わり、表面シートと基材が、接着性樹脂層を介して積層されてなり、接着性樹脂層が、離型剤の塗布された剥離領域と、この剥離領域内に配置された非剥離領域と、前記剥離領域に隣接して配置された他の非剥離領域とに区画され、前記剥離領域側に一方のプルタブが、また、他の非剥離領域側に他方のプルタブがそれぞれ設けられ、前記剥離領域内にある非剥離領域内には湯切り口形成用のハーフカットが、また、前記剥離領域とこれに隣接する他の非剥離領域との境界線には剥離用ハーフカットとが、ともに内面側となる前記基材から接着性樹脂層を越えて表面シート内に至る範囲で形成され、更にこの剥離用ハーフカットの容器開口部のシール部分に対応する部位が前記他の非剥離領域側の他方のプルタブと対向する直前部位においてこの他方のプルタブ側に張出した凸の部分を備え、引き続き周縁部に至るほぼV字型に形成されるていることを特徴とする湯切り口付き蓋材。
- 剥離領域側に設けられた一方のプルタブの基部に沿って、表面シートにハーフカットが形成されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
- 表面シートと基材との間で、少なくとも前記他の非剥離領域と剥離領域の境界線に沿って設けられる剥離用ハーフカットの両側には剥離ニスが塗着されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
- 剥離用ハーフカットは、中央部分が剥離領域側に凸になるように形成されている請求項1記載の湯切り口付き蓋材。
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