JP4368712B2 - 通信設定補正方法及び通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は通信設定補正方法及び通信装置に関し、特に通信エラーの発生を抑制するための技術に関する。
従来、通信エラーの発生を抑制することを目的として、特許文献1に示されるような通信装置がある。この通信装置は、相手側通信装置の設置地域毎に伝送路の伝送特性を補正する補正情報を記憶しておき、この補正情報を参照して相手側通信装置との通信毎に補正を行う。そして、補正内容が変更されたときは補正情報を変更する。また、伝送路にテスト信号を送出したときの応答結果により最適なイコライザを選択し、相手側通信装置の設置地域毎に最適な伝送補正を設定するようになっている。
特開平5−37760号公報
しかしながら、上記の通信装置は、補正情報を相手側通信装置の設置地域毎に保有しておく必要があるので、当該補正情報を記憶するために大きなメモリ容量を要する。また、相手側通信装置との通信毎の応答結果によりイコライザを選択して設定しなければならないので、このイコライザの設定に時間を要することになり、そのための制御も複雑になる。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、相手側通信装置の設置地域毎に補正情報を保有したり、相手側通信装置との通信毎にイコライザを設定したりしなくても、通信状態を向上させることができる通信設定補正方法及び通信装置を提供することを目的とするものである。
本願請求項1に記載の発明は、本通信装置の設置地域に設けられた交換機に本通信装置と共に接続されることになる同一場所に設置され、通信時に損失が生じ得る回線によって前記交換機を介して本通信装置と接続される相手側通信装置から発信される基準信号に基づいて、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信品質を検出する第1ステップと、
予め定められた各通信品質に対応する各エラーコードと、当該各エラーコードに対応して予め定められた複数の通信特性とを記憶した演算参照テーブルを参照して、前記第1ステップで検出された通信品質に対応する通信特性を、前記予め定められた複数の通信特性から何れか一つ又はそれ以上を選択し、当該選択した通信特性に対する補正値を演算し、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値とする第2ステップと、
前記第2ステップで選択された通信特性を、前記第2ステップで演算された補正値に変更することで、前記通信設定を補正する第3ステップとからなり、
前記第2ステップにおいて、前記選択すべき通信特性が少なくとも2つとなる場合には、補正値を変更する通信特性の優先順位を予め定めている通信装置の通信設定補正方法である。
また、請求項2に記載の発明は、本通信装置の設置地域に設けられた交換機に本通信装置と共に接続されることになる同一場所に設置され、通信時に損失が生じ得る回線によって前記交換機を介して本通信装置と接続される相手側通信装置から発信される基準信号に基づいて、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信品質を検出する通信品質検出手段と、
予め定められた各通信品質に対応する各エラーコードと、当該各エラーコードに対応して予め定められた複数の通信特性とを記憶した演算参照テーブルを参照して、前記第1ステップで検出された通信品質に対応する通信特性を、前記予め定められた複数の通信特性から何れか一つ又はそれ以上を選択し、当該選択した通信特性に対する補正値を演算し、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値とする補正値演算手段と、
前記補正値演算手段で選択された通信特性を、前記補正値演算手段で演算された補正値に変更することで、前記通信設定を補正する通信設定変更手段とを備え、
前記補正値演算手段は、前記選択すべき通信特性が少なくとも2つとなる場合には、補正値を変更する通信特性の優先順位を予め定めている通信装置である。
今日の電話回線網は、ユーザの通信装置端末が接続されるユニットセンターを包含して中心局の役割を果たすグループセンターと、複数のグループセンターを集約する総括局として機能するゾーンセンターの2階位網となっている。そして、通信装置端末とユニットセンター、及び通信装置端末とグループセンターは、信号送信時に伝送損失等を生じ得るメタル回線等で接続され、グループセンターとゾーンセンター、及びゾーンセンター同士は、信号送信時に損失を生じない光ファイバー等で接続された構造を有する。そのため、通信装置が相手側通信端末装置と通信した場合における信号の伝送損失等は、信号送信時に損失等を生じ得るメタル回線等で接続された通信装置端末(本通信装置又は送信相手側通信装置)とユニットセンター、及び通信装置端末とグループセンターの間でのみ生じる。
この場合、送信相手側通信装置からユニットセンター又はグループセンターまでと、ユニットセンター又はグループセンターから本通信装置までとは、ほぼ同一距離のメタル回線を通過することになるので、最寄りの交換機が設けられているユニットセンター又はグループセンターを介して接続され、本通信装置と同一場所に設置された送信相手側通信装置から発信される基準信号に基づいて当該相手側通信装置との通信品質を検出すれば、この検出された通信品質が、当該ユニットセンター又はグループセンターの地域で本通信装置が使用する回線の通信品質を示すことになる。
従って、上記検出された通信品質に基づいて、本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値を演算し、この補正値に基づいて本通信装置の通信設定を補正すれば、少なくとも、上記ユニットセンター又はグループセンターの地域で本通信装置が使用する回線での伝送損失等を補填することができ、この補填分については、不特定多数の相手側通信装置との間での通信においても、通信状態を向上させることができることになる。
これにより、本願請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、(1)補正情報を相手側通信装置の設置地域毎に保有したり、(2)各設置値地域毎に補正情報を記憶するために大きな容量のメモリを用意したり、(3)相手側通信装置との通信毎の応答結果によりイコライザを選択して設定する、ということを行わずに、極めて簡単な制御でもって、本通信装置が使用する回線で生じる伝送損失等を補填し、この補填分については、不特定多数の相手側通信装置との間での通信においても、通信状態を向上させることができる。
さらに、本願請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、予め定められた複数の通信特性から何れかを選択し、この選択した通信特性に対する補正値を演算すると共に、対応する通信特性を当該補正値に設定するので、簡単な制御でもって、通信状態を向上させることができる。
また、本願請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、補正値が変更される各通信特性の優先順位を記憶しているので、選択すべき通信特性が2つの通信特性に該当する場合であっても、この優先順位に基づいて、何れかの通信特性を選択することができる。
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、(1)補正情報を相手側通信装置の設置地域毎に保有したり、(2)各設置値地域毎に補正情報を記憶するために大きな容量のメモリを用意したり、(3)相手側通信装置との通信毎の応答結果によりイコライザを選択して設定する、ということを行わずに、極めて簡単な制御でもって、本通信装置が使用する回線で生じる伝送損失等を補填し、この補填分については、不特定多数の相手側通信装置との間での通信においても、通信状態を向上させることができる。
さらに、請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、簡単な制御でもって、通信状態を向上させることができる。
また、請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、通信設定の補正時に、選択すべき通信特性が2つの通信特性に該当する場合であっても、予め定められた優先順位に基づいて、何れかの通信特性を選択することができる。
図1は、本発明に係る通信装置の一実施形態である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。この複合機は、ファクシミリ機能を備え、更にコピー機能、プリンタ機能、及びスキャナ機能等を兼ね備えている。複合機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。
また、複合機1のフロント部には、操作部47が設けられている。この操作部47には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー471と、印刷部数等を入力するためのテンキー472と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部473と、表示部473で設定された設定内容等をリセットするリセットキー474と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー475と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー477が備えられている。
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部100(図2)へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部100へ出力する。
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構63とを備える。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能にしている。
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
本体部2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する記録部40とを備える。
記録部40は、スキャナ部51で取得された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム43を露光する光学ユニット42と、感光体ドラム43上にトナー像を形成する現像部44と、感光体ドラム43上のトナー像を記録紙に転写する転写部41と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着部45と、記録部40内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等とを備える。
また、記録紙の両面に画像を形成する場合は、記録部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ462にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って記録部40の上流域に再度搬送し、記録部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48に排出する。
図2は複合機1の概略構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、装置全体の動作制御を司る制御部100を備えている。制御部100には、露光ランプ511及びCCD512等からなる原稿画像の読み取りが可能なスキャナ部51と、用紙搬送装置131,画像形成部132,転写部41及び定着部45等からなる記録部40とが接続されている。また、制御部100には、スキャナ部51で読み取られた文書データ等が一時的に保存される画像メモリ140と、大量の文書データを保存可能な記憶容量を有する大容量のHDD(記憶装置)150とが接続されている。
画像処理部160は、スキャナ部51による原稿読み取り時には、スキャナ部51から出力されるアナログ画像をデジタル画像に変換し、画質を向上させる画像処理を施した後、圧縮画像に変換する。なお、本明細書では説明を簡潔なものとするために、画像データを適宜、画像と表現する。変換された圧縮画像は画像メモリ140に書き込まれる。制御部100は、画像メモリ140に書き込まれた圧縮画像を、文書管理の対象となるファイルデータとしてHDD150に格納する。また、登録文書のプリントアウト時には、HDD150又はネットワーク上の各コンピュータから、プリントアウト対象のファイルデータ(圧縮画像)が画像メモリ140に書き込まれ、画像処理部160は、当該圧縮されたファイルデータを伸張処理し、出力状態に応じた画像処理を施し、例えばレーザ露光の場合には、アナログの変調信号であるレーザ信号に変換する。記録部40(画像形成部132)は、例えばアナログ変調されたレーザ信号に基づいてプリントアウトを実行する。
制御部100は、不図示のCPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、このCPUの動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部を有している。それにより、制御部100は、スキャナコントローラ101,ファクシミリコントローラ102,プリンタコントローラ103,コピーコントローラ104及びネットワークコントローラ105として機能する。
これらの機能を実現するために、制御部100の動作を規定する上記プログラムは、HDD(ハードディスクドライブ)150等の不揮発性かつ大容量の外部記憶装置に格納しておき、上記RAM等の主記憶装置に適宜転送することにより、CPUによる実行に供することも可能である。上記プログラムは、上述したROM、或いはCD−ROM等の記録媒体を通じて供給することも、後述するネットワークインタフェース210に接続されるネットワーク等の伝送媒体を通じて供給することも可能である。プログラムがROMを通じて供給される場合には、当該プログラムが記録されたROMを制御部100に搭載することにより、CPUによる実行に供することができる。プログラムがCD−ROMを通じて供給される場合には、CD−ROM読み取り装置を、例えば後述するパラレルインタフェース部181へ接続し、当該プログラムをRAM或いはHDD150へ転送することにより、CPUによる実行に供することができる。また、プログラムが伝送媒体を通じて供給される場合には、ネットワークインタフェース210等を通じて受信したプログラムをRAM或いはHDD150へ転送することにより、CPUによる実行に供することができる。
スキャナ部コントローラ101は、スキャナ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。
ファクシミリコントローラ102は、ファクシミリ動作に必要な各部の動作制御を行うものであり、ファクシミリ通信に必要なデータの調整を行うファクシミリ通信部170を制御する。ファクシミリ通信部170は、符号・復号化部(CODEC;コーデック)171、モデム172及びNCU(Network Control Unit)173を備えている。NCU173は、データを送受信する相手、すなわち通信先であるファクシミリ装置との電話回線を通じた接続を制御するものである。モデム172は、ファクシミリコントローラ102から符号・復号化部171を通じて送られるデジタルの送信信号をアナログの変調信号へ変換する(すなわち、変調する)とともに、NCU173を通じて入力されるアナログの変調信号である受信信号を復調し、デジタル信号へ変換するものである。
符号・復号化部171は、ファクシミリコントローラ102から送られる送信信号を符号化してモデム172を介してNCU173へ送るとともに、NCU173からモデム172を介して送られてくる受信信号を復号化してファクシミリコントローラ102へ伝える。符号・復号化部171は、例えば、画像データを一次元符号化方式(MH)で復号化するものと、二次元符号化方式(MR)で復号化するものとが選択的に使用可能なように構成されている。なお、MR方式に代えて、あるいはMR方式とともに、先頭ラインがMH方式で符号化されたデータをその頁分だけMR方式で符号化するMMR方式によるデータを復号化する方式を採用することもできる。
複合機1を用いることにより、スキャナ部51で読み取られた画像データを、ファクシミリ通信部170を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することができ、通信先からファクシミリ通信部170を通じて受信した画像データを記録部40によって記録紙にプリントアウトすることができる。すなわち、複合機1は通常のファクシミリ装置が有する通信機能を実現する。複合機1は、それに加えて、ネットワーク上のコンピュータからネットワークインタフェース210を通じて受信した画像データを、ファクシミリ通信部170を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することも、逆に通信先からファクシミリ通信部170を通じて受信した画像データを、ネットワークインタフェース210を通じてネットワーク上のコンピュータへ配信することも可能にする。複合機1は更に、HDD150等に蓄積される画像データを、ファクシミリ通信部170を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することも、逆に通信先からファクシミリ通信部170を通じて受信した画像データを、HDD150等に蓄積することも可能にする。
コピーコントローラ104は、コピー動作に必要な各部の動作制御を行うものである。プリンタコントローラ103は、プリンタ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。このプリンタコントローラ103には、複数の信号線を用いて同時に数ビットまとめてデータを送るパラレル伝送で外部機器と接続するパラレルI/F(インタフェース)部181と、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で外部機器と接続するシリアルI/F(インタフェース)部182とが接続されている。
ネットワークコントローラ105は、本複合機1とネットワーク上のコンピュータ、更には、インターネット上のサイトとの間で行われるデータ送受信を制御するものである。ネットワークコントローラ105は、ネットワークI/F部210に、外部とデータを送受信させる。
操作部47は、複合機1の操作に必要な各種の指示を操作者(ユーザ)が入力するためのものである。操作部47は、LCD(liquid crystal display)等からなり、複合機1の操作に必要な各種操作メッセージや登録文書の各種情報が表示される表示部473と、プリントアウト実行指示や文書のプリントアウト部数等が入力されるテンキー等からなる操作キー部470とを有している。なお、表示部473は、タッチパネル機能を備え、操作者が当該タッチパネルに接触することによって必要な指示を入力できる構成を有することが好ましい。ファクシミリ機能を用いて画像データを送信する場合には、ユーザは、操作部47を操作することにより、通信先をファクシミリ番号で指定したり、ユーザが予め登録している短縮ファクシミリ番号で指定したりすることができる。
管理用メモリ200は、HDD150に格納された登録文書の管理情報及び文書コード等が格納されるものである。
図3は、ファクシミリコントローラ102の機能に基づく内部構成を示すブロック図である。ファクシミリコントローラ102は、補正値演算部(補正値演算手段)300、通信品質検出部(通信品質検出手段)310、演算参照テーブル320、補正値記憶部330及び補正値設定部(通信設定変更手段)340を備えている。
通信品質検出部310は、通信時に損失が生じ得るメタル回線等の回線によって最寄りの交換機を介して接続されている、複合機1と同一場所に設置された送信相手側ファクシミリ装置(詳細は後述)との間における通信品質を検出する。例えば、通信品質検出部310は、送信相手側ファクシミリ装置からテスト信号として発信されてくる基準信号が、通信エラーを生じ得る状態となっているか否かを判断し、通信エラーを生じ得る状態となっている場合は、当該通信エラーの形態を示すエラーモードを検出することによって、上記送信相手側ファクシミリ装置との間における通信品質を検出する。
通信品質検出部310によって検出される当該エラーモードには、ファクシミリコントローラ102の機能として検出されるものと、モデム172によって検出されるものとがある。通信品質検出部310は、これら双方のエラーモードを検出するものであり、ファクシミリコントローラ102とモデム172の双方に属する。ファクシミリコントローラ102及びモデム172は、上記エラーモード毎に予め対応づけられた識別符号であるエラーコードの形態で、検出したエラーモードを出力する。ファクシミリコントローラ102及びモデム172がエラーモードを検出し、対応するエラーコードを出力する技術自体は、ファクシミリ装置の分野において従来周知であるので、その詳細な説明を略する。
補正値演算部300は、通信品質検出部310が検出したエラーモードでの通信エラーを抑制するために、予め定められた複数の通信特性から何れか一つ又はそれ以上を選択し、選択した通信特性に対する補正値を演算する。複数の通信特性として、本実施の形態では、通信速度、最低着信レベル、信号入力時間、5種類のタイムアウト、及びゲイン対周波数(すなわち、ゲインの周波数特性)の9種類の通信特性が、予め定められている。補正値演算部300は、エラーモードに対応して各通信特性に対する補正値を演算するための通信速度演算部301、最低着信レベル演算部302、信号入力時間演算部303、タイムアウト演算部304、及びゲイン対周波数演算部305を備えている。補正値演算部300は、演算参照テーブル320を参照することにより、通信品質検出部310が検出したエラーモードに応じて、補正値を演算すべき通信特性を選択する。演算参照テーブル320は、補正値演算部300が通信特性の選択を容易に行うことを可能にするためのものである。
図4は、演算参照テーブル320の内容を例示する説明図である。演算参照テーブル320は、複数のエラーモードに対応する複数のエラーコードと、各エラーコードに対応する通信エラーの原因(以下、エラー原因)と、エラー原因に対応する通信特性とを記憶している。すなわち、演算参照テーブル320は、コードとエラー原因とを対応づけて記憶するエラー原因テーブル321(図3)と、エラー原因と補正値を演算すべき通信特性とを対応づけて記憶する補正値演算テーブル322(図3)とを有している。補正値演算部300は、双方のテーブル321及び322を参照することにより、通信品質検出部310が検出したエラーモードに対応する、演算すべき通信特性を特定することができる。
演算参照テーブル320は、例えば複合機1の製造過程でマニュアルにより作成され、制御部100が備えるROM等に書き込まれる。図4の例では、演算参照テーブル320は、7種類のエラー原因に対応するエラーコードA〜Gを記憶している。また、演算参照テーブル320は、エラー原因として、通信信号に現れるジッタ、エコー、瞬断、遅延、ノイズ、周波数特性の劣化、及び信号レベルの低下を記憶している。更に、演算参照テーブル320は、補正値を演算すべき通信特性として、既に述べた5つの通信特性を記憶している。なお、ジッタとは、受信信号の到着時間の揺らぎを意味する。エコーとは、送信信号が反射して受信信号に重畳する現象をいう。瞬断とは通信先との接続が一時的に断たれる現象をいう。遅延とは、受信信号の到着の遅れをいう。ノイズとは、受信信号に重畳する雑音信号をいう。周波数特性とは、受信信号のレベルの周波数特性を意味する。更に、信号レベルとは、受信信号のレベルを意味する。
例えば、図4において、エラーコードAは、エラー原因としてのジッタとエコーとの双方に対応している。また、ジッタは通信速度に対応し、エコーは最低着信レベルと信号入力時間との双方に対応している。従って、エラーコードAは、通信速度、最低着信レベル及び信号入力時間の3つの通信特性に対応している。このように演算参照テーブル320が、1対複数の対応関係を含む場合には、補正値演算部300が優先順位を記憶しておくとよい。エラーコードAは、ジッタとエコーとに対応するので、図4に数値1,2で示すように、例えばジッタに第1位、エコーに第2位の優先順位が付される。また、エコーは、最低着信レベルと信号入力時間とに対応するので、図4に数値1,2で示すように、例えば最低着信レベルに第1位、信号入力時間に第2位の優先順位が付される。その結果、演算参照テーブル320は、エラーコードAが対応する通信速度と最低着信レベルと信号入力時間との3つの通信特性に対応づけて、図4に数値(1)〜(3)で示すように優先順位を記憶していることと同等となる。すなわち、通信速度に第1位、最低着信レベルに第2位、信号入力時間に第3位の優先順位が付されていることと同等となる。
通信品質検出部310がエラーコードAを検出したときには、補正値演算部300は、直接にはエラー原因テーブル321に付された優先順位1,2と補正値演算テーブル322に付された優先順位1,2とを参照することにより、結果として、3つの通信特性に対応する優先順位(1)〜(3)を把握することができる。補正値演算部300は、把握した優先順位(1)〜(3)に基づいて、補正値を演算すべき通信特性として、通信速度を最優先に選択し、次に最低着信レベルを選択し、最後に信号入力時間を選択する。各補正値が取り得る範囲には限界がある。このため、補正値演算部300は、例えば通信速度の補正値が既に限界に達しておれば、優先順位第2位の最低着信レベルを選択し、最低着信レベルの補正値も限界に達しておれば、優先順位第3位の信号入力時間を選択する。
図3及び図4には、演算参照テーブル320がエラー原因テーブル321と補正値演算テーブル322とを備え、エラーコードがエラー原因を介して通信特性に対応づけられている例を示した。これに対して、演算参照テーブル320がエラー原因テーブル321と補正値演算テーブル322とを備えることなく、エラーコードが通信特性に直接に対応づけられていてもよい。この場合には、エラーコードAに対応する3つの通信特性に、優先順位(1)〜(3)が付される。
しかしながら、演算参照テーブル320がエラー原因テーブル321と補正値演算テーブル322とを備える図3及び図4の形態は、各々が作成容易なエラー原因テーブル321と補正値演算テーブル322とを組み込むことにより、演算参照テーブル320を容易に構築することができるという利点を有している。更に、一方のテーブルのみを置き換えることによって、考慮すべきエラーモード、及び補正すべき通信特性を容易に変更することができる。すなわち、図3及び図4の形態は、演算参照テーブル320の容易な変更を可能にするという利点をも有している。
演算参照テーブル320は、同一のエラーコードに対応する複数の通信特性に、優先順位を付さない形態をも採ることができる。この場合には、補正値演算部300は、例えば通信品質検出部310がエラーコードAで表されるエラーモードを検出した場合には、エラーコードAに対応する3つの通信特性の何れについても、補正値を演算してもよい。このように、補正値演算部300は、検出されたエラーモードに対応する通信特性を、2以上選択しても良い。
補正値演算部300は、演算参照テーブル320を参照することにより、例えば、通信速度を選択する場合には、通信速度を低下させるように、通信速度に対する補正値を演算する。この場合、補正値演算部300は、規定する通信速度領域の高い規格から低い規格へ、通信を許可すべき通信規格を変更することを前提として、補正値の演算を行っても良い。例えば、ITU−T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)のVシリーズ勧告のうち、高い通信速度領域を規定するV34規格から、それよりも低い通信速度領域を規定するV29規格、或いはV17規格へ変更することを前提として、通信速度を低下させるように補正値を演算してもよい。補正値演算部300は、最低着信レベルを選択した場合には、受信信号のレベルを引き上げるべく増幅器のゲインの補正値を演算する。
補正値演算部300は、信号入力時間を選択した場合には、信号入力時間を長くするように、エコー検出タイマーの設定時間に対する補正値を演算する。例えば、補正値演算部300は、5種類のタイムアウト(設定時間)T1〜T5を用意し、その何れかを選択した場合には、設定時間T1〜T5のうち、何れか対応するものを長くするように、設定時間T1〜T5に対する補正値を演算する。設定時間T1〜T5は、ITU−TのTシリーズ勧告T.30に基づくタイマー設定時間である。すなわち、設定時間T1は、発呼/着呼から、いわゆるフェーズBまでの期間である。設定時間T2は、受信側応答から送信側返信までの期間である。設定時間T3は、会話予約に関する期間であり、画像データの送信/受信の後に、会話予約要求信号が出力されてから通信先の応答があるまでの期間である。設定時間T4は、送信側の信号送信から受信側の応答までの期間である。設定時間T5は、ECMのフロー制御において設定される最大遅延時間である。すなわち、設定時間T5は、ECM送信時に、データ送信が終了してから受信側でデータが展開されるまでの待ち時間である。待ち時間の間は、受信側はダミー信号を応答として返す。演算参照テーブル320は、送信側として機能する複合機1が、検出されたエラーモードに基づいてこれらの設定時間T1〜T5の何れを補正すべきかを予め記憶している。
また、補正値演算部300は、ゲイン対周波数を選択した場合には、受信信号のレベルの周波数特性を改善するように、イコライザに指示する補正値を演算する。このように、補正値演算部300は、通信エラーの再発生を抑制するように、通信特性の補正値を演算する。
図3に戻って、補正値記憶部330は、補正値演算部300が演算した補正値を記憶する。すなわち、補正値記憶部330は、図3に例示するように、上記通信特性の補正値を記憶する。補正値設定部340は、この補正値記憶部330を参照することにより、通信時における補正値を特定し、当該補正値を通信特性に設定する。
自機機能送信部350は、モデム172を介して、送信相手側ファクシミリ装置に対して、自機機能(例えば、通信速度等)の情報を送信するものである。
図5は電話回線網を模式的に示す図、図6は複合機1の通信設定の補正処理を行う場合における、送信相手側ファクシミリ装置と複合機1とのデータ通信及び処理を示す図、図7は複合機1による通信設定の補正処理を示すフローチャートである。
今日の電話回線網は、図5に示すように、ユーザ所有の通信装置端末である複合機1が接続されるユニットセンターを包含して中心局の役割を果たすグループセンターと、複数のグループセンターを集約する総括局として機能するゾーンセンターの2階位網となっており、ユーザの通信装置端末とユニットセンター、及び、ユーザの通信装置端末とグループセンターは、信号送信時に伝送損失等を生じ得るメタル回線等で接続され、グループセンターとゾーンセンター、及びゾーンセンター同士は、信号送信時に伝送損失等を生じない光ファイバー等で接続された構造を有する。そのため、複合機1等のファクシミリ装置(ユーザ間の通信装置端末)が、不特定の相手側ファクシミリ装置と通信した場合における信号の伝送損失等は、信号送信時に伝送損失等を生じ得る上記メタル回線等で接続されたユニットセンター又はグループセンターとの間でのみ生じる。
この場合、上記複合機1と同一場所に設置された送信相手側ファクシミリ装置からユニットセンター又はグループセンターまでと、ユニットセンター又はグループセンターから当該複合機1までとは、ほぼ同一距離のメタル回線を通過することになるので、当該複合機1と、当該複合機1と同一場所に設置された送信相手側ファクシミリ装置から発信される基準信号に基づいて当該相手側ファクシミリ装置との通信品質を検出すれば、この検出された通信品質が、当該ユニットセンター又はグループセンターの地域で複合機1が使用する回線の通信品質を示すことになる。
従って、上記検出された通信品質に基づいて、当該複合機1と、この複合機1と同一場所に設置された送信相手側ファクシミリ装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値を演算し、この補正値に基づいて本通信装置の通信設定を補正すれば、少なくとも、当該複合機1が設置されているユニットセンター又はグループセンターの地域の回線を通過することによって生じる伝送損失等は補填することができ、この補填分については、不特定多数の相手側通信装置との間での通信においても、通信状態を向上させることができることになる。
図6を用いて説明すると、当該複合機1と同一場所に設置された送信相手側ファクシミリ装置から、この複合機1に対して発呼を行わせ(S1)、受信側である複合機1のファクシミリ通信部170が当該発呼に対して着呼すると(J1)、複合機1の自機機能送信部350は、当該送信相手側ファクシミリ装置に対して、自機機能(例えば、通信速度等)の情報を送信する(J2)。送信相手側ファクシミリ装置が、複合機1から上記自機機能情報を受信すると(S2)、当該受信した自機機能情報に基づいて、この自機機能に対応する基準信号を複合機1に対して発信する(S3)。複合機1のモデム172が当該基準信号を受信すると、この基準信号に基づいて、通信品質検出部310が、当該送信相手側ファクシミリ装置とのデータ通信における通信品質を検出する(J3)。この通信品質の検出は上述した通りである。
続いて、図7を用いて、複合機1における通信設定変更処理を説明する。複合機1は、ファクシミリ通信部170が上記基準信号を受信すると(S11)、通信品質検出部310が、送信相手側ファクシミリ装置との通信時における通信品質を検出する(S12)。そして、当該検出された通信品質に基づいて、上述した補正値の演算により、補正値演算部300が通信時の補正値を演算する(S13)。この補正値は、補正値記憶部330に記憶される(S14)。そして、補正値設定部340が、当該補正値記憶部330に記憶されている補正値に基づいて、複合機1の通信設定を変更する(S15)。以後、複合機1は、この補正記憶部330に記憶された通信設定に基づいて、不特定多数のファクシミリ装置との通信を行う。
また、例えば、上記複合機1と同一のユニットセンター又はゾーンセンターに接続される管理用コンピュータ(複合機1を提供するメーカの営業所等に設置されるコンピュータ等)に、管理対象となる複数の複合機1から、それぞれの複合機1の上記補正値記憶部330に記憶されている補正値のデータを受信させて記憶させておき、この地域内に新たに複合機1を設置した場合等に、当該補正値が必要となった場合は、この管理用コンピュータから、新たに設置した複合機1に当該補正値のデータを送信し、この複合機1が当該補正値に基づいて通信設定を変更するようにしてもよい。この場合、複合機1のネットワークI/F部210を介して当該補正値を管理用コンピュータから受信し、制御部100(又はファクシミリコントローラ102)が補正値億部330に、受信した補正値を記憶させ、補正値設定部340による通信設定の変更が可能となるようにする。
上記実施の形態では、本発明に係る通信装置を複合機1として説明しているが、複合機1に限定されない。また、上記実施形態では、通信装置の例として、ファクシミリ機能を有する複合機1を例示したが、本発明の通信装置は、複合機やファクシミリ専用機に限られない。
本発明に係る通信装置の一実施形態である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。 図1の複合機の概略構成を示す機能ブロック図である。 複合機に備えられるファクシミリコントローラの機能に基づく内部構成を示すブロック図である。 演算参照テーブルの内容を例示する説明図である。 電話回線網を模式的に示す図である。 複合機の通信設定の補正処理を行う場合における、送信相手側ファクシミリ装置と複合機とのデータ通信及び処理を示す図である。 複合機による通信設定の補正処理を示すフローチャートである。
1 複合機
102 ファクシミリコントローラ
170 ファクシミリ通信部
171 符号・復号化部
172 モデム
300 補正値演算部
301 通信速度演算部
302 最低着信レベル演算部
303 信号入力時間演算部
304 タイムアウト演算部
305 ゲイン対周波数演算部
310 通信品質検出部
320 演算参照テーブル
321 エラー原因テーブル
322 補正値演算テーブル
330 補正値記憶部
340 補正値設定部
350 機機能送信部

Claims (2)

  1. 本通信装置の設置地域に設けられた交換機に本通信装置と共に接続されることになる同一場所に設置され、通信時に損失が生じ得る回線によって前記交換機を介して本通信装置と接続される相手側通信装置から発信される基準信号に基づいて、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信品質を検出する第1ステップと、
    予め定められた各通信品質に対応する各エラーコードと、当該各エラーコードに対応して予め定められた複数の通信特性とを記憶した演算参照テーブルを参照して、前記第1ステップで検出された通信品質に対応する通信特性を、前記予め定められた複数の通信特性から何れか一つ又はそれ以上を選択し、当該選択した通信特性に対する補正値を演算し、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値とする第2ステップと、
    前記第2ステップで選択された通信特性を、前記第2ステップで演算された補正値に変更することで、前記通信設定を補正する第3ステップとからなり、
    前記第2ステップにおいて、前記選択すべき通信特性が少なくとも2つとなる場合には、補正値を変更する通信特性の優先順位を予め定めている通信装置の通信設定補正方法。
  2. 本通信装置の設置地域に設けられた交換機に本通信装置と共に接続されることになる同一場所に設置され、通信時に損失が生じ得る回線によって前記交換機を介して本通信装置と接続される相手側通信装置から発信される基準信号に基づいて、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信品質を検出する通信品質検出手段と、
    予め定められた各通信品質に対応する各エラーコードと、当該各エラーコードに対応して予め定められた複数の通信特性とを記憶した演算参照テーブルを参照して、前記第1ステップで検出された通信品質に対応する通信特性を、前記予め定められた複数の通信特性から何れか一つ又はそれ以上を選択し、当該選択した通信特性に対する補正値を演算し、前記交換機を介した本通信装置と前記送信相手側通信装置との間における通信を適正にするための通信設定の補正値とする補正値演算手段と、
    前記補正値演算手段で選択された通信特性を、前記補正値演算手段で演算された補正値に変更することで、前記通信設定を補正する通信設定変更手段とを備え、
    前記補正値演算手段は、前記選択すべき通信特性が少なくとも2つとなる場合には、補正値を変更する通信特性の優先順位を予め定めている通信装置。
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