JP4368533B2 - スパークプラグの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、スパークプラグの製造方法及び製造装置に関し、特にねじ転造を伴うスパークプラグの主体金具の製造方法及び製造装置に適用される。
【0002】
【従来の技術】
スパークプラグの主体金具には、ねじ加工により外周面にシリンダヘッドにねじ込むためのねじ部が形成されているのが通常である。
【0003】
ところで、最近の自動車用エンジン等においては、排気ガス規制が強化されるに伴い、混合気もリーン領域のものが多く使用されるようになってきている(いわゆるリーンバーンエンジン)。図13に示すように、大抵のエンジンでは、スパークプラグ200の主体金具201に形成されたガスシール部201bのガスケット座面SとシリンダヘッドSHのガスケット支持面RとでガスケットGを挟み込みながら、主体金具201に形成されたねじ部201aがシリンダヘッドSHにねじ込まれる。これにより、スパークプラグ200はシリンダヘッドSHにガスシール性を保持しつつ固定される。ここで、リーンの混合気は燃料混合比率が低いため、スパークプラグ200の燃焼室K内における接地電極204の方向によっては、燃焼室K内での圧縮行程において発生するスワール流(混合気流)に対して火花放電ギャップgが接地電極204の陰になり、点火ミスを生じることがある。そのため、このようなエンジンにおいては、接地電極204が点火に最適な位置となるように要望され、主体金具201のねじ部201aのシリンダヘッドSHに対するねじ込み終了の角度位置が指定されていることがある。このことは、ねじ部201aの加工時にねじ加工の開始位置が指定されることを意味している。
【0004】
以下、スパークプラグ200の主体金具201となるべき軸状のワークWのねじ部をねじ加工する場合について述べる。従来、スパークプラグ200の接地電極204が点火に最適な位置となるように、接地電極204となるべき接地電極材Xが溶接されたワークWへのねじ加工の開始位置(食い付き位置ともいう)を周方向において位置決めするには、例えばポジショニング転造によるねじ加工が行われていた。このポジショニング転造とは、図14に示す通り、所定位置にセットされた回転停止状態のワークWに回転停止状態の工具(丸ダイス400)を寄り付かせ(図14(a)参照)、丸ダイス400がワークWに食い付いた時点で丸ダイス400を駆動回転させて、ワークWの外周面にねじ加工を行う転造方法である(図14(b)参照)。丸ダイス400のワークWへの食い付きのタイミングは例えば丸ダイス400の押し付け圧力の変化等を検出することにより行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ポジショニング転造によるねじ加工においては、回転停止状態の丸ダイス400は、同じく回転停止状態のワークWに接触した(食い付いた)時点で駆動回転し、ワークWの外周面にねじ転造加工を開始する。しかし、丸ダイス400が回転を開始しても、ワークWはその慣性や接触面間の滑りにより同時に回転を開始することができず、追従性に遅れ(ずれ)を生じる。したがって、仮に丸ダイス400のワークWへの食い付き位置を周方向において位置決めしてあっても、このずれによって製品としてのスパークプラグ200の品質にバラツキを生じ、品質低下を来すことになる。そこで、ワークWの追従性の遅れをなくすには、丸ダイス400のワークWへの食い付き位置を補正する必要がある。しかもこの補正はワークWの品番(製品ロット)が変わったり、丸ダイス400が摩耗したり、あるいは両者の接触面間の滑り状態が変化するたびに頻繁に行う必要があり、生産効率を阻害する要因となる。なお、予め駆動回転させた丸ダイス400を回転停止状態のワークWに食い付かせて、ワークWの外周面にねじ転造加工を行う方法も考えられるが、この場合でもワークWの追従性の遅れは上記と同様に発生するので、丸ダイス400のワークWへの食い付き位置の補正が必要となる。
【0006】
また、上記ポジショニング転造においては、ねじ転造加工開始時に丸ダイス400は、一方でワークWによって回転を阻止され、他方では急激に増加する回転トルク(負荷)を受けることになるので、丸ダイス400の加工面での摩耗が激しい。したがって、丸ダイス400の取り替えサイクルが短くなり、製造コストの上昇、加工精度の早期低下等を招来するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、ワークの外周面にねじ転造加工を行う際に、ダイスのワークへの食い付き位置を一定に維持して、生産効率を向上させることができ、また、ねじ転造加工当初にダイスの加工面にかかる負荷を減少させ、ダイスの摩耗を抑えて長寿命化を図ることのできるスパークプラグの製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明に係るスパークプラグの製造方法は、
スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークであって、ねじ形成予定部の基端側の外周面にガスシール部が半径方向外向きに突出して形成されるワークを、その中心軸線回りに回転可能に保持するとともに、
前記ワークの軸線方向において、前記ガスシール部の前記ねじ形成予定部側の端面(以下、ワーク側位置決め端面という)と前記ワークの半径方向に位置して当該ワークの外周面をねじ転造加工するためのダイスにおける前記ワーク側位置決め端面に対応する端面(以下、ダイス側位置決め端面という)との間に一定量の距離(以下、位置決め端面間距離という)が生ずるように、前記ワークを前記ダイスに対して位置決めし、
前記ワーク上において、接地電極となるべき接地電極材の接合位置又は接合予定位置に対応して定められた周方向基準位置と、前記ダイス上に定められた1又は複数の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を、回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動し、前記ダイスと前記ワークとを相対接近させて、前記ワークの外周面にねじ転造加工を施すことを特徴とする。
【0009】
同様に、本発明に係るスパークプラグの製造装置は、
スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークであって、ねじ形成予定部の基端側の外周面にガスシール部が半径方向外向きに突出して形成されるワークを、その中心軸線回りに回転可能に保持するとともに、
前記ワークの軸線方向において、前記ガスシール部の前記ねじ形成予定部側の端面(以下、ワーク側位置決め端面という)と前記ワークの半径方向に位置して当該ワークの外周面をねじ転造加工するためのダイスにおける前記ワーク側位置決め端面に対応する端面(以下、ダイス側位置決め端面という)との間に一定量の距離(以下、位置決め端面間距離という)が生ずるように、前記ワークを前記ダイスに対して位置決めする支持部と、
前記ワーク上において、接地電極となるべき接地電極材の接合位置又は接合予定位置に対応して定められた周方向基準位置と、前記ダイス上に定められた1又は複数の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を、回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動する回転制御機構と、
前記ダイスと前記ワークとを相対接近させる寄り付き駆動部とを有し、
前記ワークの外周面にねじ転造加工を施すことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るスパークプラグの製造方法及び製造装置では、予めワークの軸線方向において、ワーク側位置決め端面とダイス側位置決め端面との間に位置決め端面間距離が生ずるように、ワークをダイスに対して位置決めする。そして、ワークの周方向基準位置と、ダイスの工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を、回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動し、ダイスとワークとを相対接近させて、ワークの外周面にねじ転造加工を施す。このように、回転方向が互いに逆となるように、ワークとダイスとの双方を同期回転駆動しながら、ダイスとワークとを相対接近させてダイスをワークに食い付かせることによって、ダイスの回転に対するワークの回転に従来のような追従性の遅れを生じることがなくなる。そして、ワークの周方向基準位置と、ダイスの工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、ワークとダイスとが同期回転駆動を開始することによって、ワークの品番(製品ロット)変更等にかかわらず、ダイスのワークへの食い付き位置を所定関係に維持でき、生産効率の向上に寄与することができる。
【0011】
また、本発明では、ワークとダイスとの双方を同期回転駆動しながら、ダイスとワークとを相対接近させ、ダイスをワークに食い付かせるので、ねじ転造加工当初にダイスの加工面にかかる負荷が減少し、ダイスの摩耗が抑えられる。このように、ダイスの取り替えサイクルが長くなることによってダイスの長寿命化が図れるとともに、製造コストの上昇や加工精度の早期低下等も防止することができる。
【0012】
さらに本発明では、スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークの軸線方向において、ガスシール部のワーク側位置決め端面と、このワーク側位置決め端面と対応するダイス側位置決め端面との間に一定量の位置決め端面間距離が生ずるように、ワークとダイスとが位置決めされることも重要である。これにより、ワークのねじ形成予定部が軸線方向において正確に位置決めされるようになり、ワーク側位置決め端面(すなわちシリンダヘッドとの間で直接又はガスケットを介してシールに供されることになる面)とねじ転造加工開始位置との間の寸法ばらつきを同一品番(製品ロット)内でごくわずかに抑えることができる。したがって、主体金具に形成されたねじ部によりスパークプラグをシリンダヘッドにねじ込んだ際に、ガスシール部とシリンダヘッドとの間で気密性に優れたスパークプラグを生産効率よく得ることができる。
【0013】
そして、ワークの外周面にねじ転造加工を施した後、すなわち、ワークへのねじ転造加工を開始してから所定時間又は所定回転後、ワークの周方向基準位置とダイスの工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を回転停止する。これによって、ワークの加工後もワークの周方向基準位置とダイスの工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を保っている。そこで、次に加工されるワーク(ワークの周方向基準位置)を加工済ワークの回転停止時における周方向基準位置に合わせて供給する。そうすれば、次に加工されるワークのねじ形成予定部へのねじ転造加工が、ワークの周方向基準位置とダイスの工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、連続的かつ継続的に行える(開始できる)ようになる。
【0014】
ワークにおけるガスシール部のワーク側位置決め端面を、このワーク側位置決め端面と対応するダイス側位置決め端面に対して一定量の位置決め端面間距離を保持して軸線方向に位置決めする方法として、次の2つの場合がある。すなわち、ねじ転造装置とは別位置にて行い、ねじ転造装置内の最終位置決め位置に搬送する場合と、ねじ転造装置内の最終位置決め位置にて直接行う場合とである。前者の場合には、ねじ転造装置内において、ワーク側位置決め端面とダイス側位置決め端面との間に位置決め端面間距離が形成されるワークの位置決め位置を最終位置決め位置として、ねじ転造装置とは別位置にて、ワークをその最終位置決め位置と一定の関係を満たす予備位置決め位置に予備位置決めし、その予備位置決め位置を維持した状態でワークを最終位置決め位置に搬送する。また後者の場合には、ねじ転造装置内において、ワーク側位置決め端面とダイス側位置決め端面との間に位置決め端面間距離が形成されるワークの位置決め位置を最終位置決め位置とするために、ねじ転造装置内に保持されるワークを直接軸線方向に位置決め調整する。
【0015】
さらに本発明では、ワーク及び/又はダイスを、ワークの周方向基準位置に対して所定の回転角度だけずらす形で周方向に補正し、その補正により得られた新たな所定の回転角度位置関係を維持した状態でワークとダイスとの双方を同期回転駆動させることができる。
【0016】
ワークのねじ切り開始位置についての初期設定は、例えば下記の手段により所望の位置に設定できる。すなわち、ワークとダイスとの相対角度位置関係が不明であるときには、ある相対角度位置関係にあるワークに試行的にねじ転造加工(試し切り)を行い、その試行品のねじ切り開始位置をもとに、所望の相対角度位置関係となるようにワーク及び/又はダイスを回転移動させる。この際、新たに相対角度位置関係が設定される。試行的に加工を行ったワークのねじ切り開始位置は、例えば予め用意しておいた相対角度位置設定用治具(ゲージ治具という)に螺合させて、試行的な加工の際の相対角度位置関係が所望の相対角度位置関係からどれだけずれているかを確認するという方法がある。そして、その確認したねじ切り開始位置のずれから、ワークとダイスとの相対角度位置のずれを導き出せる。
【0017】
相対角度位置を一度設定してしまえば、その後は試行的に加工を行ってゲージ治具で相対角度位置を確認する必要はない。そして、ワークに対するねじ切り開始位置を所定位置に変更する必要がある場合には、この設定した相対角度位置から所定の補正角度だけワーク及び/又はダイスを回転移動させればよい。つまりこの補正角度を、予め周方向基準位置に対して複数の位相角度をもった形で設定しておくと、周方向基準位置を基準とした複数の位相角度(補正角度)を有するねじ転造加工品(スパークプラグの主体金具)が得られる。具体的には、スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークにて、例えば接地電極となるべき接地電極材の接合位置又は接合予定位置(周方向基準位置)を基準として、周方向に90度毎隔てた位置をダイスの食い付き位置(ねじ切り開始位置)とする合計4種の加工品を得ることができる。これにより、シリンダヘッドのねじ部(めねじ)のねじ加工開始位置がエンジンの型式や個体によってばらつきがある場合にも、シリンダヘッドのねじ加工開始位置に応じたスパークプラグをこの4種の中から適切に選択できるようになり、接地電極を点火に最適な位置に設定しやすくなる。
【0018】
なお、ワークの周方向基準位置とダイスの工具側基準位置との相対角度位置の調整は、ワークとダイスとの少なくとも一方について行えば足り、その操作はいわゆるマニュアル式(すなわち直接的に角度調整する方式)であっても自動式(すなわち機械的に自動角度調整する方式)であっても差し支えない。例えば、ダイス軸とワークホルダとの転造加工後の周方向停止位置を変更する方法、ワークの接地電極材の周方向位置決め位置を変更する方法、ダイス軸に対するダイスの周方向取付位置を変更する方法等から選んで行えばよい。
【0019】
さらに本発明のダイスが転造用多条ねじダイスの場合、工具側基準位置として設定され、かつねじ転造加工を開始する食い付き候補位置が、ねじ条数に対応してダイスの周方向に所定角度間隔で複数設定される。そして、この複数の食い付き候補位置のいずれかとワーク上に定められた周方向基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、ワークとダイスとを同期回転駆動することにより、ワークとダイスとの同期回転駆動がスムーズに行え、ワークのねじ形成予定部の外周面にねじ転造加工を施すことができる。
【0020】
また、本発明のダイスが転造用多条ねじダイスの場合、複数の食い付き候補位置を、加工サイクルの反復に伴って、予め定められた順序にて使用するようにすれば、多条ねじダイスの摩耗を均一化することができ、多条ねじダイスの長寿命化を図ることができる。
【0021】
なお、上記食い付き候補位置の順次使用はダイス側において行えば足り、その操作はいわゆるマニュアル式(すなわち直接的に角度調整する方式)であっても自動式(すなわち機械的に自動角度調整する方式)であっても差し支えない。例えば、ダイス軸の転造加工後の周方向停止位置を順次(1回毎に)変更する方法、ダイス軸に対するダイスの周方向取付位置を順次(所定回数毎に)変更する方法等から選んで行えばよい。
【0022】
次に、本発明のスパークプラグの製造装置には、ダイスがワークに食い付いてねじ転造加工するのに伴って、ダイスの回転軸線がワークの回転軸線に接近し、この接近によって生ずる、ダイスとの接触部におけるワークの回転周速の増加を吸収させる増速吸収機構を設けることができる。
【0023】
本発明においては、回転方向が互いに逆となるように、ワークとダイスとの双方を同期回転駆動する一方で、ワークへのねじ転造加工の進行につれ、ダイスの外周面(ねじ山先端)がワークの外周面よりも内側に食い込み、ワークとダイスとの回転軸間距離が転造加工開始当初よりも若干短くなる。このことによって、ダイスの外周面(ねじ山先端)上でのワークの回転周速が転造加工の進行とともに次第に増加し、ワークの回転軸線回りにねじり力が発生することがある。このねじり力を除く、あるいは緩和させるために以下のような増速吸収機構を適用できる。▲1▼ダイスとの接触部におけるワークの回転周速の増加に対応して、ワークの駆動回転のみを停止する動力断続機構。▲2▼ダイスとの接触部におけるワークの回転周速と、ワークとダイスとを同期回転駆動させるための伝動連結部を介した駆動回転によるワークの回転周速との速度差を調整する回転調整機構。
【0024】
▲1▼に示す動力断続機構としては、例えばダイスとの接触部におけるワークの回転周速の増加により、ワークに対して一定値以上の負荷が作用したとき、伝動連結部における伝動回転を切断するトルクリミッタや、回転周速の差をセンサ等で検出して伝動連結部における伝動回転を切断するクラッチ等が適用できる。
【0025】
▲2▼に示す回転調整機構としては、例えばワークを摩擦保持してこれと一体的に回転するワークホルダとが、ワークの回転軸線回りにおいて相対滑り可能に接触形成された滑り保持部や、回転周速の差をセンサ等で検出して、伝動連結部における伝動回転をクラッチのすべりによって調節する機構等が適用できる。
【0026】
このようなワークの回転周速の増加を機械的に吸収する機構を設けることで、ワークへの転造加工の進行中においてワーク全体の変形・破損や加工ねじ山の歯すじのずれ等の発生を防止できる。なお、ねじり力が小さい場合、すなわちワークへのダイスの食い込みが小さく、ワークの回転周速の変化が小さい場合には、伝動連結部に使用される歯車のバックラッシにねじり力が吸収され問題とならないこともある。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明の一実施例であるねじ転造装置の基本的構成を示すブロック図である。このねじ転造装置100は、ワークWを支える支持部1、ダイス27を回転させる回転駆動部2、ダイス27をワークWの周方向に寄り付かせる寄り付き駆動部3、回転駆動部2及び寄り付き駆動部3にねじ転造のための制御指令を発する制御部4等から構成される。そして、制御部4と回転駆動部2の一部とによって後述する回転制御機構6が構成されている。また、支持部1と回転駆動部2と寄り付き駆動部3とをあわせてワーク加工部50と称する。なお、この実施例では、軸状のワークWとして筒状形態のスパークプラグ用主体金具(以下、単に主体金具ともいう)となるべき軸状のワークを用い、その先端部外周面にねじ形成予定部W0を有する場合を示している。ワークWの先端面の特定部位には接地電極となるべき接地電極材Xが溶接接合されている。なお、接地電極材Xは中心電極側へ折り曲げられた接地電極の最終形態(図9参照)ではなく、折り曲げ前の直棒状である。
【0028】
支持部1において、ワークWを内側からスプリング等の弾性体で保持するワークホルダ11をワークWの上方側(接地電極材Xが接合されている側の反対側)から挿入して、ワークWを中心軸線回りに回転可能に支持している。ワークホルダ11は、例えばコレットチャック、マンドレル型ストッパー等を採用することができる。このワークホルダ11にはポンチマーク等のワークWの位置決め位置表示が記されており、ワーク取り付け時にこのポンチマークとワーク側基準位置との周方向位置を合わせることにより、ワークホルダ11へのワークWの取り付け位置を常に一定に保つことができる。
【0029】
また、ワークWがねじ転造装置100内の所定位置にセットされたことを検出するワークセット検知センサ12(例えばリミットスイッチ等の接触式センサ、光電センサ・近接スイッチ等の非接触式センサ、又は画像解析等のソフトウェア処理用撮像手段等)が支持部1に設けられている。ワークWは、パーツフィーダ等のワーク供給装置(図示せず)、ワークホルダ11等によりガスシール部GSがダイス27に対して軸線方向における所定の位置に配置されて支持部1にセットされる(その詳細は後述する)。
【0030】
次に回転駆動部2には、回転式の第一アクチュエータ21(例えば電気式サーボモータ、油圧式サーボモータ等;サーボアクチュエータ)が設けられ、その駆動軸21aの回転は歯車列22により互いに同方向に同期回転する3本の歯車軸23A,23B,23Cに分配される。歯車軸23A,23B,23Cの回転は、それぞれスプライン等の摺動軸24A,24B,24C及びウォームとウォームホイール25A,25B,25C(ただし、25Cは図示省略)等を経て、一端側にそれぞれねじ転造用丸ダイス27A,27B,27C(ただし、27Cは図示省略)が固定された3本のダイス回転軸26A,26B,26C(ただし、26Cは図示省略)に伝達される。3個のねじ転造用丸ダイス27A,27B,27C(これらを一括してダイス27という)には、ほぼ同径の外周面に多条(実施例では5条)のねじ27aがそれぞれ形成されており、各ダイス27A,27B,27Cはほぼ同一回転数で同じ方向に回転する。また、ワークWとダイス27とは回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動し、ねじ27aの凹凸をワークWの外周面に押圧することで、ワークWのねじ形成予定部W0におねじが形成される。
【0031】
なお、第一アクチュエータ21の駆動軸21aに、第一アクチュエータ21の回転角度位置を検出するエンコーダ28(回転センサ)が設けられ、これにより第一アクチュエータ21は、所定の回転角度位置で正確に回転停止する機能(定位置回転停止機能)を有する。また、回転駆動部2には後述する伝動連結部2Aが設けられ、ダイス27Aを駆動側とし、ワークWを従動側として伝動回転することによって、ワークWとダイス27との回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動している(図2参照)。
【0032】
寄り付き駆動部3には、ダイス回転軸26A,26B,26Cが各々軸支された3個の軸ケース32A,32B,32Cが配置されている。これら軸ケース32A,32B,32Cには、往復動式(例えば流体圧シリンダ等)又は回動式(例えば電気モータ、油圧式モータ等)の第二アクチュエータ31が設けられる。第二アクチュエータ31は、各軸ケース32A,32B,32C毎に連動して、又は軸ケース32A,32B,32Cをカム等を介して一斉に、各軸心を内側方向に移動させる。これによって、ダイス27の外周面がワークWのねじ形成予定部W0の外周面に接近する(本明細書では、ねじ転造のためダイス27の外周面がワークWの外周面に接近することを「寄り付き」、ダイス27の外周面のねじ27aがワークWの外周面に接触してねじ転造加工を開始することを「食い付き」と呼ぶ)。
【0033】
制御部4は、I/Oポート41とこれに接続されたCPU42、ROM43、RAM44等からなるマイクロプロセッサ及び記憶装置等により構成されており、ROM43には制御プログラム43aが格納されている。そしてI/Oポート41の出力側には、回転駆動部2の第一アクチュエータ21がそのアクチュエータを駆動するためのサーボ駆動ユニット20を介して接続され、また寄り付き駆動部3の第二アクチュエータ31がそのアクチュエータを駆動するためのサーボ駆動ユニット30を介して接続されている。一方、I/Oポート41の入力側には、ワークセット検知センサ12と、エンコーダ28とが接続されている。
【0034】
このような制御部4と、前述した回転駆動部2のうちの第一アクチュエータ21、エンコーダ28等とによって、回転制御機構6が形成されている。この回転制御機構6は、いわゆるサーボ系と称されるフィードバック制御系の一類型であり、エンコーダ28によって第一アクチュエータ21の回転角度位置を検出し、制御部4からの指令に基づき第一アクチュエータ21が所定の回転角度位置で停止する。これによって、ワークWの周方向基準位置とダイス27の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、ワークWとダイス27とは回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動し、また同じくワークWの周方向基準位置とダイス27の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、ワークWとダイス27との同期回転を所望の位置で精密に停止させることもできる。なお、ワークWの周方向基準位置とダイス27の工具側基準位置との所定の回転角度位置関係についての詳細は後述する。
【0035】
図2は伝動連結部2Aを模式的に示し、図2(a)は平面スケルトン図、同(b)は同(a)に示す点O−P−Q−Rを結ぶ線に沿って展開した正面スケルトン図である。伝動連結部2Aは、ダイス27Aの回転軸26A(以下、ダイス回転軸ともいう)を駆動側とし、ワークWの回転軸2A21(ワークホルダ11の回転軸でもある;以下、ワーク回転軸ともいう)を従動側として、ダイス27AとワークWとの双方が同時に互いに逆方向に回転する状態で常時伝動連結している。この伝動連結部2Aは、ダイス27AがワークWに対して寄り付き移動することを許容しつつ常時回転伝動しているベルト伝動部2A1(間接伝動系)と、常時接触することにより常時回転伝動している歯車伝動部2A2(直接伝動系)とを備えている。そして、これらの伝動部は、ベルト伝動部2A1が下方に、歯車伝動部2A2が上方に振り分けて配置されている。
【0036】
ベルト伝動部2A1は、ダイス回転軸26Aに固定されたタイミングプーリ2A13と、ベース2Cに回転自在に支持される歯車軸2A11に固定されたタイミングプーリ2A14との間に、タイミングベルト2A16を掛け回してある。さらに、ベース2Cに回転自在に支持される中間軸2A12に回転可能に設けられたアイドラ2A15が、両タイミングプーリ2A13,2A14の中間に位置して、タイミングベルト2A16を三角張り状に保持するテンションとして作用している。なお、タイミングプーリ2A13及び2A14は同径とし、ダイス回転軸26Aと歯車軸2A11との回転数を等しくしている。
【0037】
歯車伝動部2A2は、歯車軸2A11に固定された大径歯車2A22と、ワーク回転軸2A21に固定された小径歯車2A23とを噛み合わせて構成されている。常時回転伝動が可能なベルト伝動部2A1と歯車伝動部2A2とを組み合わせて用いることによって、簡単な構成でありながら、ダイス27Aの寄り付き移動を妨げることなく、ダイス27AとワークWとを常に回転伝動(同期回転)可能に連結しておくことができる。
【0038】
ワークWの回転軸2A21を兼用するワークホルダ11にワークWが保持され、ワークホルダ11とワークWとは一体的に回転する。ここで、ダイス27Aは5条ねじとしているので、ダイス27Aの直径はワークWのねじ形成予定部W0の直径の5倍に設定され(ダイス27Aが1回転したときワークWは5回転)、大径歯車2A22の歯数も小径歯車2A23の歯数の5倍に設定される(大径歯車2A22が1回転したとき小径歯車2A23及びワークホルダ11は5回転)。このように、ダイス27Aを伝動連結部2Aの駆動側としているので、ワークWよりも大径のダイス27A及び大径歯車2A22を有し、回転トルクが大なる側が駆動側となり、サーボモータ等の第一アクチュエータ21に負荷をかけずにスムーズに回転できる。
【0039】
図3に示すように、ワークWとダイス27Aとが互いに逆方向に同期回転駆動する一方で、ねじ転造加工の進行につれダイス27Aの外周面(ねじ山先端)がワークWのねじ形成予定部W0の外周面よりも内側に食い込み、ワーク回転軸2A21とダイス回転軸26Aとの間の距離L’が転造加工開始当初の軸間距離Lよりも若干短くなる(図2(b)参照)。このことによって、ダイス27Aの外周面(ねじ山先端)上でのワークWの回転周速が転造加工の進行とともに次第に増加し、ワーク回転軸2A21回りにねじり力が発生する。ワークWの回転周速の増加がわずかであれば、このねじれを歯車伝動部2A2等における伝動歯車間のバックラッシ等によって緩和・吸収することもできる。しかし、そのねじり力が大きくなる、すなわち軸間距離L’が転造加工開始時の軸間距離Lよりも短くなり、ワークWの回転周速が無視できないほどに増加した場合、ワーク全体の変形・破損や加工ねじ山の歯すじのずれ等が発生してしまう。
【0040】
本発明のねじ転造装置においては、ワークWの回転周速の増加分を吸収する増速吸収機構を設け、ねじり力を緩和・吸収させつつ転造加工が行える。増速吸収機構としては、ダイス27からワークWへ動力を断続的に伝えることを可能とする動力断続機構、回転の差をすべりによって調整する回転調整機構等を適用するとよい。
【0041】
具体的に動力断続機構としては、例えばダイス27との接触部におけるワークWの回転周速の増加により、ワークWに対して一定値以上の負荷が作用したとき、伝動連結部2Aにおける伝動回転を切断するトルクリミッタや、回転周速の差をセンサ等で検出して伝動連結部2Aにおける伝動回転を切断する切断クラッチ等が例示できる。他方、回転調整機構としては、例えばワークWを摩擦保持してこれと一体的に回転するワークホルダ11とが、ワークWの回転軸線回りにおいて相対滑り可能に接触形成された滑り保持部や、回転周速の差をセンサ等で検出して、伝動連結部における伝動回転をすべりによって調節する摩擦クラッチ等が例示できる。
【0042】
図4(b)は、上記したトルクリミッタ、切断クラッチ及び摩擦クラッチ等の増速吸収機構2Bが、本発明のねじ転造装置に設けられるときの概略を示している。図2(b)と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。この増速吸収機構2Bは、ベース2Cに回転自在に支持される歯車軸2A11に設けられている。サーボアクチュエータの動力は、この増速吸収機構2Bを介して大径歯車2A22に伝わりワーク支持部1がワークWと一体となって同期回転駆動する。
【0043】
ワークWの回転周速が増加することを防ぐために、上記した方法以外にもワークWを回転駆動させるためのアクチュエータと、ダイス27を駆動させるためのアクチュエータとを別々に設け、それぞれの駆動軸に設けられるエンコーダの検出結果に基づいたフィードバック制御を行い、回転周速を調整するという方法を用いてもよい。また、ワークWの回転周速の増加に対応して作動する差動歯車機構(差動機構)を増速吸収機構として回転駆動部2に設けてもよい。
【0044】
ダイスとワークとの平面的配置関係を表した図5(a)において、ワークWを中心に3個の5条ねじ転造用丸ダイス27A,27B,27Cが周方向にほぼ等間隔で取り囲むように配置されている。例えば、このワークWの接地電極材Xの接合位置は周方向基準位置として好適である。既述の通り第二アクチュエータ31の往復動又は回動に伴って、ダイス軸26がワークWの中心に向かって同期して移動し、ダイス27はワークWから離間した状態(実線)からワークWに接触する状態(破線)に寄り付く。
【0045】
次に、ワークWの軸線方向の位置決めを図6(a)に示す。ワークWの外周面には、ねじ形成予定部W0の基端側の外周面にガスシール部GSが半径方向外向きに突出して形成される。ワークWの軸線方向において、ガスシール部GSのねじ形成予定部W0側の端面がワーク側位置決め端面Sとして形成され、一方ワーク側位置決め端面Sに対応するダイス27の端面がダイス側位置決め端面Fとして形成され、両端面の間に一定量の距離(位置決め端面間距離)hを生ずるように、ダイス27とワークWとを位置決めする。この状態でダイス27をワークWの外周面側から接近させてワークWのねじ形成予定部W0にねじ転造加工を施す。なお、多くの場合位置決め端面間距離hは、図6(b)のようにワークWのガスケットGの座面Sとダイス27の上端面Fとの間の軸線方向の距離で表される。一方、コニカルシートタイプの場合には、ガスケットGを用いずガスシール部GSのテーパ面S’でシールする構造なので、図6(c)のようにガスシール部GSのうちテーパ面S’の外径が最小となる位置Pを選び、この位置Pとダイス27の上端面Fとの間の軸線方向の距離を位置決め端面間距離hとする。
【0046】
次に、ワークWをねじ転造装置100にて所望の周方向位置に位置決めし、かつ位置決め端面間距離hがほぼ一定となるようにセットする方法について説明する。ワークWのねじ形成予定部W0を周方向及び軸線方向において位置決めする方法として、ねじ転造装置100内のワーク加工部50とは別位置にて行い、ねじ転造装置100内のワーク加工部50の最終位置決め位置に搬送する場合と、ねじ転造装置100内のワーク加工部50の最終位置決め位置にて直接行う場合とがある。
【0047】
図7に、ねじ転造装置100内のワーク加工部50とは別位置において、ワークWが周方向及び軸線方向に位置決めされ、周方向位置及び位置決め端面間距離hを維持しつつねじ転造装置100の支持部1にセットされる場合の一例を示す。ワークWは、ねじ転造装置100内のワーク加工部50とは別位置において、そのワーク側位置決め端面S(ガスケット座面)が基準位置GL(例えば地表面)から保持高さHの位置にある支持台10に対して支持される。支持台10は、ワークWのワーク側位置決め端面Sを受け止めて保持するための筒状部材10Bと、この筒状部材10Bが軸線方向にスライド可能に収納される筒状のガイド部材10Aと、基準位置GLと筒状部材10Bとの間に設けられ、筒状部材10Bを固定する固定部材10Cとから少なくとも構成される。筒状部材10Bは、ワークWのねじ形成予定部W0を軸線方向に挿入可能な筒体部10B1と、この筒体部10B1の一端側を塞ぐ形態の底部10B2とからなり、例えばボルトやねじロッドで形成される固定部材10Cは、そのねじ部が底部10B2に固定される。
【0048】
ワークWの支持台10へのセットに際して、ワークWを筒状部材10Bの筒体部10B1に挿入すると、ワーク側位置決め端面Sが筒体部10B1の開口側端面にて受け止められる。このとき、ワーク側位置決め端面Sは基準位置GLから一定の保持高さHの位置に保持される(図7(a))。この状態で、マンドレル型ストッパーを採用したワークホルダ11をワークWの上方側から挿入し、このワークホルダ11によりワークWを保持する。なお、このワークホルダ11は、ねじ転造装置100の所定位置に対して直接又は間接的に取り付けられるものであり、ねじ転造装置100への取付位置に対する周方向の回転調整と軸線方向の高さ調整とが行えるように構成されている。このワークホルダ11はワークWが換装されても、ワーク側回転軸2A21に対して軸線方向及び周方向ともに全く同一位置にセットすることで、毎加工、ワークWのワークホルダ11への取り付け位置も常に一定に保つことができ、ワークWの周方向基準位置も常にねじ転造装置100内に一定に維持した形で毎加工セットすることができる。
【0049】
図7において、まずワークホルダ11をその軸線回りに回転させ、そのワークホルダ11の外周面に形成した調節孔(または調節溝)11aに対して、ワーク加工部50とは別位置に設ける調節板11cに保持されたピン11bの先端を挿通して、ワークホルダ11における周方向の回転調整を行う。次に、保持高さH(一定値)と所定の位置決め端面間距離hとが対応するように、調節板11cを上下移動してワークホルダ11において軸線方向の高さ調整を行う。なお、ワークWとワークホルダ11との周方向の位置合わせは、ポンチマーク等の合わせマークによって行う。
【0050】
続いて、周方向の回転調整と軸線方向の高さ調整とを行ったワークホルダ11を、ワークWを保持した状態でねじ転造装置100内のワーク加工部50内に搬送し、所定位置に取り付ける。するとワークWは支持部1において、所定の周方向位置(本実施例では、ダイス27Aの回転軸26Aの中心に対向する位置(図5(a)参照))に対して位置決め・保持され、かつ支持部1の軸線方向において、位置決め端面間距離hが保持高さHを確実に反映(転写)した状態で位置決め・保持される(図7(b))。このワークホルダ11は、図7(b)においてワークWとともに中心軸線回りに駆動回転可能な状態になっている。
【0051】
なお、ワークホルダ11の軸線方向の高さ調整を行うことで保持高さHと位置決め端面間距離hとの対応調整を行う代わりに、次のような手段をとることもできる。すなわち、ワークホルダ11を常に同じ高さ位置をもってねじ転造装置100に直接又は間接的に取り付けるようにする一方、ワークWを受ける支持台10側の固定部材10Cをねじ込み調節して保持高さHを調整するか、あるいは高さHの異なる支持台10を複数準備するようにしてワークWをワークホルダ11にて保持することでも、型式の異なるワークWに対して位置決め端面間距離hをほぼ一定に保つように位置決めすることができる。
【0052】
図8には、ワークWがねじ転造装置100の支持部1(図1参照)にセットされたとき、ワークWがねじ転造装置100にて所定の周方向位置に位置決めされ、かつ位置決め端面間距離hがほぼ一定となるように位置決め・保持される場合を示している。ワークWは、ねじ転造装置100の支持部1において、周方向における回転調節と軸線方向における高さ調節とが可能なワークホルダ11にワークWの上方から摩擦保持される。ワークホルダ11は、ワークWの内側に挿入される第一筒状部11Aと、接地電極Xとの位置合わせ表示マーク11B1を有し、その下端面がワークWの上端面に接合された外径を有する第二筒状部11Bと、両筒状部11A,11Bの内部を軸線方向に貫通する軸状部11Cとからなる。第一筒状部11Aの外周面には複数の孔11A0が、周方向に所定間隔で径方向に貫通して設けられる。一方、この孔11A0とほぼ同径の蓋11C1が弾性部材(例えば圧縮スプリング)11C2を介して軸状部11Cに取り付けられている。
【0053】
これにより、ワークホルダ11はワークWの上方側から挿入され、ワークWとともに中心軸線回りに駆動回転可能に保持している。そして、ワークWは、ワークホルダ11の回転調節によって、周方向基準位置である接地電極材Xが所定の周方向位置(位置合わせ表示マーク11B1)に対して位置決めされ、またワークホルダ11の昇降調節によって、位置決め端面間距離hがほぼ一定となるように軸線方向に位置決めされる。なお、ワークホルダ11をワークWの下方側から挿入して、ワークWとともに中心軸線回りに回転可能に摩擦保持してもよい。その場合、図2に示す歯車伝動部2A2はダイス27の下部に設けられることとなる。
【0054】
ところで、図8において、既述のワークセット検知センサ12として、周方向セットセンサ12Aと軸方向セットセンサ12Bとを別々に設け、両センサ出力をAND条件で機能させる(両センサが同時にワークのセットを検知したときのみワークセット信号を出力する)こととしてもよい。このうち、周方向セットセンサ12Aを接地電極材Xと対向する位置に設けることにより検出が容易に行える。また、軸方向セットセンサ12Bをワーク側位置決め端面Sに対向させて設けると、位置決め端面間距離hの検出が容易に行える。
【0055】
再び図5において、転造用丸ダイス27A,27B,27Cの直径がいずれもワークWのねじ形成予定部W0の直径の5倍に設定されているので、ダイス27がワークWと接触状態で1回転したとき、両外周面間の滑りがなければ、ワークWは5回転する。つまりダイス27が72゜回転するときワークWが1回転する。一方、駆動軸21aに設けられたエンコーダ28が、第一アクチュエータ21の回転角度位置を常時検出しており、このことは結果的にダイス27の相対的な回転角度位置を検出することになる(図1参照)。
【0056】
ところでダイス27は5条ねじであり、その端面外周縁には図5(b)に示すようにワークWの外周面へのねじ27aの工具側ねじ切り開始位置T1〜T5を周方向に等間隔で有する。転造用丸ダイス27Aにおいて、これら工具側ねじ切り開始位置T1〜T5を工具側基準位置として設定することができ、また、ねじ転造加工の際はこれらのT1〜T5がランダムに使用される。
【0057】
例えば、図5(a)に示すように、ダイス27Aにおける工具側ねじ切り開始位置T1とワークWの接地電極材Xとを、対向させる形にて加工を開始する。ダイス27の周の長さは、ワークWの周の長さの5倍に設定しているため、ダイス27Aの工具側ねじ切り開始位置T1〜T5のそれぞれがワークWと接する際には、接地電極材Xと対向して接することになる。そして、前述したように、支持部1におけるワークホルダ11の取り付け位置はワーク回転軸2A21に対して常に一定とすることから、ワークWを換装してもねじ転造装置100内でのワークWの周方向基準位置関係である接地電極材Xは常に一定位置にセットされる。それより、一定位置にセットされるワークWの周方向基準位置である接地電極材Xを基準にして、ワークWとダイス27とにおける相対角度位置関係をずらすことにより、ワークWのねじ切り開始位置を変更することができる。例えばダイス27Aの工具側基準位置であるねじ切り開始位置T1を、接地電極材Xと対向する位置より18°だけ図5(a)において時計回りにワークWとは独立に回転させる(つまり同期回転駆動させない)。すると、ねじ切り開始位置T1に代わり、位置Aが接地電極材Xと対向することになる。そして、その状態でワークWとダイス27とが同期回転駆動されることで、ダイス27Aの工具側ねじ切り開始位置T1〜T5のそれぞれがワークWと接する際には、接地電極材Xが図5(a)において時計回りに90°ずれた位置にて接することになる。
【0058】
このようにして、ワークWの周方向基準位置である接地電極材Xとダイス27の工具側基準位置であるねじ切り開始位置T1〜T5のいずれかとの相対角度位置関係を維持ないし調整することにより、ワークWのねじ形成予定部W0において、ワークの補正角度90゜毎の位相差(転造用丸ダイス27Aではダイスの補正角度18゜の位相差)A,B,C,Dを有する4種のスパークプラグ用主体金具が得られる。したがって、これらの中から最適な点火性能を発揮する位置に接地電極材Xを有するスパークプラグ(スパークプラグ用主体金具)を選択して、エンジンのシリンダヘッドに取り付けることができる。なお、転造用丸ダイス27Aでの18゜の位相差A,B,C,Dは、T1とT2の間のみならず、T2とT3の間等にも同様に形成される。また、ワークWでの周方向の位相角度差は90゜に限らず任意の設定が可能であり、位相差A,B,C,Dが等間隔でなくてもよい。
【0059】
ここで、スパークプラグとシリンダヘッドとのねじ加工開始位置の適合性について図9により説明する。一般にシリンダヘッドのねじ部(めねじ)のねじ加工開始位置はエンジンの型式によって(場合によっては同じ型式でも個々のエンジンによって)まちまちである。したがって、スパークプラグのねじ部(おねじ)のねじ加工開始位置を一点に定めたとしても、このスパークプラグをエンジンのシリンダヘッドのねじ部(めねじ)にねじ込んで固定したとき、最適な点火性能を発揮する位置にスパークプラグの接地電極が常に位置しているとは限らない。図9において、接地電極X’の位置とねじ部W0’のねじ加工開始位置とをA位置で一致させたスパークプラグW’(スパークプラグ用主体金具となるべき軸状ワークW)が準備された場合を想定する。シリンダヘッドwのねじ部w0’のねじ切り開始位置は上記の通り周方向においてまちまちであるから、スパークプラグW’のねじ部W0’をシリンダヘッドwのねじ部w0’にねじ込んだ場合、接地電極X’の周方向における位置は一定位置に定まらない。
【0060】
そこで、本実施例では図9に示すように、ねじ部W0’のねじ加工開始位置が周方向で90゜毎の位相差A,B,C,Dを有する4種のスパークプラグW’を作成する。次に、スパークプラグW’のねじ部W0’がねじ込まれるシリンダヘッドwのねじ部w0のねじ加工開始位置の範囲(全周)を周方向のa,b,c,dに4等分し、スパークプラグW’のねじ加工開始位置A,B,C,D(なお、接地電極材X’はA位置に固定とする)と、シリンダヘッドwのねじ加工開始位置の範囲a,b,c,dとを対応させる。これによって、シリンダヘッドwのねじ部w0のねじ加工開始位置の範囲a,b,c,dに応じたねじ加工開始位置A,B,C,Dを有するスパークプラグW’を適切に選択できるようになり、接地電極X’を点火に最適な位置に設定しやすくなる。なお、スパークプラグW’のねじ部W0’のねじ加工開始位置A,B,C,Dとシリンダヘッドwのねじ部w0’のねじ加工開始位置の範囲a,b,c,dとの分割数は適宜変更できる。
【0061】
ここで、上記位相差A,B,C,Dを有する4種のスパークプラグW’を形成するには、ワークWの周方向基準位置である接地電極材Xとダイス27の工具側基準位置であるねじ切り開始位置T1〜T5のいずれかとからなる相対角度位置関係を適宜調整する必要があり、その調整はワークWとダイス27Aとの少なくとも一方について行えば足り、その調整操作はいわゆるマニュアル式(すなわち直接的に角度調整する方式)によっても、自動式(すなわち機械的に自動角度調整する方式)によってもいずれでもよい。以下に、ワークWの周方向基準位置である接地電極材Xは毎加工のワークWにつき、常に装置内にて一定位置にセットされるようにした上でダイス側を調整して、ワークWとダイス27との相対角度位置を調整する場合の方法を示す。
【0062】
なお、ねじ転造装置100の起動時やダイス27の交換時については、ワーク支持部1とダイス27との相対角度位置関係が全く調整がなされていないため、その状態から所望の相対角度位置に設定するために以下の調整を行う。まず、実際にねじ転造加工を行うべきワークWを、前述した通りの方法により本発明のねじ転造装置100内の一定位置にセットし、試行的にねじ転造加工を行う。そして、その試行品(ワークW)のねじ切り開始位置を確認するためにねじ転造装置100より取り出し、図10に示すようにゲージ治具60(めねじ)に螺合させる。
【0063】
試行品(ワークW)W1のガスシール部GSのプラグ座面GSc1と、ゲージ治具60のシール面61c1との間にガスケットGをは挟み付けつつ、ゲージ治具60に試行品(ワークW)W1を手締めにて螺合させる。あるいは、実際にエンジンのシリンダヘッドにスパークプラグをねじ込む際の規定締め付けトルクにて螺合させる。
【0064】
仮に、図10におけるA1に示す周方向位置に接地電極材XがくるようにワークWへのねじ転造加工を行いたいとする。ところが、試行的な加工においてワークWの周方向基準位置であった接地電極材Xは、A1から角度γだけ余分に進んだところで停止している。これを補正するには、ワークWとダイス27との回転比率が(ワークW):(ダイス27)=1:5に設定してあるためダイス側をγ/5だけワーク側とは独立に回転移動させるとよい。ワークWとダイス27は同期駆動回転し相対角度位置関係は常に保たれるため、一旦ダイス側の補正を行った後にねじ転造加工を行ったワークWについては、ゲージ治具60に試行品と同様に螺合させた時、いずれもA1の周方向位置に接地電極材Xがくるようにねじ転造加工が行われる。また、A1に続いて接地電極材XがB1の周方向位置にくるようにねじ転造加工を行えるようにするには、A1とB1とが90°の位相差を持っていることから、90°/5=18°だけダイス27をさらに回転移動させるとよい。
【0065】
図11(a)〜(f)は実際にねじ転造加工を行う際の流れに沿ったワークW1及びダイス27の角度位置を示す模式図である。まず(a)においては、ワークW1がセットされたときのワークW1及びダイス27Aの角度位置を示している。ワークW1の周方向基準位置である接地電極材Xは常に一定位置にセットされる。(a)に示す例において、接地電極材Xがダイス27Aと対向する位置にワークが常にセットされる。また、ワークW1の接地電極材Xに対して、本図11では工具側基準位置であるT1に対して補正角度β(=36°)がセットされている。
【0066】
次に(b)は第一アクチュエータ21が駆動を開始し、伝動連結部2Aを介してワークW1と同期回転駆動を開始したのち、寄り付き駆動部3が駆動しダイス27AがワークW1に食い付いてねじ転造加工が開始されるときのワークW1及びダイス27Aの角度位置を示している。接地電極材Xがダイス27Aと対向する角度位置にきたときにダイス27AがワークW1に食い付くように設定されている。ワークWと当接する位置から角度βだけずれている工具側ねじ切り開始位置は図中ではT1で示されるが、実際にはT1〜T5のいずれでも構わない。伝動連結部2Aを介した同期駆動回転により、ワークWはその慣性や接触面間の滑りによりダイス27Aに接しても、追従性に遅れ(ずれ)を生じることはない。続いて(c)は、工具側ねじ切り開始位置T1がワークW1に当接する角度位置にきたときのワークW1及びダイス27Aの角度位置を示している。(a)における、補正角度β(=36°)を反映してワークW1側にて接地電極材Xがもとの位置からα(=180°)ずれて工具側ねじ切り開始位置T1が食い付く。接地電極材Xはすでにダイス27A当接する位置から離れており、ねじ転造開始前の位置X1から角度αだけ回転移動している。他方ダイス側では、工具側ねじ切り開始位置T1がワークW1と当接している。T1のねじ転造開始前の位置は(T1)で示され、その回転移動角度はβで示される。ここで、ワークW1とダイス27Aとの回転比率は(ワークW):(ダイス27)=1:5としてあるため、5β=αの関係が成立する。接地電極材Xが(c)に示す位置にきたとき、必ずT1〜T5のいずれかの工具側ねじ切り開始位置がT1の角度位置、すなわちワークW1と当接する位置にくる。
【0067】
次に、(d)はねじ転造加工終了時のワークW1及びダイス27Aの角度位置を示している。ねじ転造加工が終了したら、寄り付き駆動部3が逆駆動してダイス27AはワークW1から離間し、第一アクチュエータ21が停止する。このとき、工具側基準位置T1〜T5のいずれかが開始時、すなわち(a)のT1の位置にくるように第一アクチュエータ21を停止させる。こうすることで、次のワークW2も(a)と同位相でねじ切りすることができる。なお、ワークW1、ダイス27Aともに何回転したかという情報はエンコーダ28から得ることもできる。
【0068】
(e)はダイス27AをワークW1より離間させ、ワークW1を搬送するときのワークW1及びダイス27Aの角度位置を示している。ワークW1搬送に際しても、第一アクチュエータ21停止時の位置がそのまま維持される。この第一アクチュエータ21の停止時の角度位置が、続く(f)におけるワークW2のセット位置にそのまま引き継がれる。すなわち、ワークW1の加工終了時の位置がワークW2の加工開始時の位置となる。そして、(f)に示されるようにワークW2は、工具側ねじ切り開始位置T1〜T5のそれぞれの角度間隔が等しく設定されているため、ダイス27Aとの相対角度位置関係は(c)に示したワークW1のときと全く同一の関係が維持され、ねじ転造加工が行われる。なお、第一アクチュエータ21を停止させる時期は、ダイス27AがワークWから離間した後でもよい。
【0069】
図12は、ねじ転造加工の流れを示すフローチャートである。枠内に示す初期準備の流れは人的な調整を含んでいるため、本発明のねじ転造装置100の制御部4にて実行される処理を表すものではない。初期準備としてはまず、ワークWのねじ切り開始位置を所望の位置に合わせるために試行的にねじ転造加工を行って、ゲージ治具60で確認し、必要であればダイス27の角度位置を補正する(S1〜S4)。その後、ワークW1をねじ転造装置100にセットする(S5)。
【0070】
次に、ねじ転造加工の準備段階として初期設定(ST1)が行われる。ワークWの位置決め端面間距離h(例えば、h=3mm)と、ワーク1個当たりねじ転造加工に要する時間(例えば、10sec)が読み込まれ(ST1)、検知センサ12によりワークセットが完了をしたか否か検知される(ST2)。ワークセットが完了していなければ動作を終了し(警報を出力してもよい)、ワークセットが完了していれば第一アクチュエータ21が回転駆動を開始してダイス回転軸26とワーク回転軸2A21とが一定回転数(例えば、ダイス回転軸26で180rpm)で同期回転する(ST3)。続いて第二アクチュエータ31(寄り付きシリンダ)が駆動してダイス27がワークW1へ寄り付き、ねじ転造加工が開始される(ST4)。
【0071】
続くST5においては、読み込み設定されたねじ転造時間が経過したか否か判断され、転造時間が経過したと判断された場合には寄り付きシリンダが逆駆動されて、ダイス27がワークW1から離間する(ST6)とともに第一アクチュエータ21が停止する(ST7)。その後、ワークWの搬出が行われて(ST8)ワークW1に対する1サイクルのねじ転造加工が終了する。ST9においては、ワークのねじ切り開始位置を変更するか否か判断される。本発明においては、ねじ切り開始位置の変更時期は所望の時期、すなわち任意の回数のねじ転造加工を行ったのちに、ダイス27の角度位置を所定の角度だけ自動的に補正して次の加工に移るように予め設定できる。各加工サイクルが終了する毎に、ダイス27の角度位置が自由に設定できることはもちろんである。ST10において、ねじ切り開始位置を変更した場合であっても、変更しなかった場合にも、次のワークW2をセットする工程ST11に移り、以下同じ制御が予め設定された通りに繰り返される。
【0072】
本発明におけるワークとダイスとの同期回転駆動について、ワーク及びダイスの各々をサーボモータ等のアクチュエータで駆動し、2つのアクチュエータが同期回転するように制御してもよい。この場合に、「ワークの回転周速の増加を吸収する差動機構」を、少なくとも一方のアクチュエータの増速(または減速)機構とすることもできる。さらに、ワークホルダを使用せず、ワークをアクチュエータで直接駆動することもできる。なお、ねじ転造ダイスは3個以外に2個のものでもよい。
【0073】
なお、本発明は実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲にて種々の態様で実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるねじ転造装置の基本的構成を示すブロック図。
【図2】図1における伝動連結部を模式的に示し、(a)は平面スケルトン図、(b)は(a)に表わされた点O−P−Q−Rを結ぶ線に沿って展開した正面スケルトン図。
【図3】図2において、ねじ転造加工時のダイスとワークとの平面的な位置関係を示す模式図。
【図4】図2(b)の変更例を示す正面スケルトン図。
【図5】図1におけるダイスとワークとの平面的配置関係を示す模式図及びダイスの斜視図。
【図6】図5におけるダイスとワークとの配置関係を正面から見た状態を表す模式図。
【図7】図1のねじ転造装置へワークをセットする第一の実施例を示す断面図。
【図8】図1のねじ転造装置へワークをセットする第二の実施例を示す断面図及び斜視図。
【図9】スパークプラグとシリンダヘッドとのねじ加工開始位置の適合性を示す模式図。
【図10】試行的にねじ転造加工を行ったワークをゲージ治具に螺合させた時の接地電極材Xの周方向位置を示す模式図。
【図11】ねじ転造加工中のワークとダイスとの角度位置を示す模式図。
【図12】ねじ転造加工の流れを示すフローチャート。
【図13】スパークプラグのシリンダヘッドへの取り付け状態を示す断面図。
【図14】ポジショニング転造の模式図。
【符号の説明】
100 ねじ転造装置
1 支持部
11 ワークホルダ
2 回転駆動部
21 サーボモータ(サーボアクチュエータ)
26A ダイス回転軸
27 ダイス
28 エンコーダ(回転センサ)
2A 伝動連結部
2A1 ベルト伝動部(間接伝動系)
2A2 歯車伝動部(直接伝動系)
2A21 ワーク回転軸
2B 増速吸収機構
3 寄り付き駆動部
4 制御部
6 回転制御機構
60 ゲージ治具
W ワーク(主体金具となるべき軸状ワーク)
W’ スパークプラグ
W0 ねじ形成予定部
W0’ ねじ部
GS ガスシール部
X 接地電極材(周方向基準位置)
X’ 接地電極
T1〜T5 工具側ねじ切り開始位置(工具側基準位置)
F ダイス上端面(ダイス側位置決め端面)
S ガスケット座面(ワーク側位置決め端面)
S’ テーパ面(ワーク側位置決め端面)
h 位置決め端面間距離
Claims (18)
- スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークであって、ねじ形成予定部の基端側の外周面にガスシール部が半径方向外向きに突出して形成されるワークを、その中心軸線回りに回転可能に保持するとともに、
前記ワークの軸線方向において、前記ガスシール部の前記ねじ形成予定部側の端面(以下、ワーク側位置決め端面という)と前記ワークの半径方向に位置して当該ワークの外周面をねじ転造加工するためのダイスにおける前記ワーク側位置決め端面に対応する端面(以下、ダイス側位置決め端面という)との間に一定量の距離(以下、位置決め端面間距離という)が生ずるように、前記ワークを前記ダイスに対して位置決めし、
前記ワーク上において、接地電極となるべき接地電極材の接合位置又は接合予定位置に対応して定められた周方向基準位置と、前記ダイス上に定められた1又は複数の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を、回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動し、前記ダイスと前記ワークとを相対接近させて、前記ワークの外周面にねじ転造加工を施すことを特徴とするスパークプラグの製造方法。 - 前記ワークへのねじ転造加工を開始してから所定時間又は所定回転後、前記ワークの前記周方向基準位置と前記ダイスの前記工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を回転停止する請求項1記載のスパークプラグの製造方法。
- ねじ転造装置内において、前記ワーク側位置決め端面と前記ダイス側位置決め端面との間に前記位置決め端面間距離が形成される前記ワークの位置決め位置を最終位置決め位置として、前記ねじ転造装置とは別位置にて、前記ワークをその最終位置決め位置と一定の関係を満たす予備位置決め位置に予備位置決めし、その予備位置決め位置を維持した状態で該ワークを前記最終位置決め位置に搬送する請求項1又は2記載のスパークプラグの製造方法。
- ねじ転造装置内において、前記ワーク側位置決め端面と前記ダイス側位置決め端面との間に前記位置決め端面間距離が形成される前記ワークの位置決め位置を最終位置決め位置とするために、前記ねじ転造装置内に保持される前記ワークを直接軸線方向に位置決め調整する請求項1又は2記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記ワーク及び/又は前記ダイスが、前記周方向基準位置に対して所定の回転角度(以下、補正角度という)だけ周方向に補正されることにより、回転角度位置関係が新たに設定・維持される請求項1ないし4のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記補正角度は、予め定められた複数の位相角度から選んで設定される請求項5記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記ダイスが多条ねじダイスであって、前記工具側基準位置として設定され、かつねじ転造加工を開始する食い付き候補位置が、ねじ条数に対応して該ダイスの周方向に所定角度間隔で複数設定され、この複数の食い付き候補位置のいずれかと前記ワーク上に定められた前記周方向基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、前記ワークと前記ダイスとが同期回転駆動される請求項1ないしの6いずれかに記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記ダイスが前記ワークに食い付いてねじ転造加工するに伴い、前記ダイスの回転軸線が前記ワークの回転軸線に接近して生ずる、前記ダイスとの接触部における前記ワークの回転周速の増加を吸収しつつ、前記ねじ転造加工が続行される請求項1ないし7のいずれかに記載のスパークプラグの製造方法。
- スパークプラグの主体金具となるべき軸状のワークであって、ねじ形成予定部の基端側の外周面にガスシール部が半径方向外向きに突出して形成されるワークを、その中心軸線回りに回転可能に保持するとともに、
前記ワークの軸線方向において、前記ガスシール部の前記ねじ形成予定部側の端面(以下、ワーク側位置決め端面という)と前記ワークの半径方向に位置して当該ワークの外周面をねじ転造加工するためのダイスにおける前記ワーク側位置決め端面に対応する端面(以下、ダイス側位置決め端面という)との間に一定量の距離(以下、位置決め端面間距離という)が生ずるように、前記ワークを前記ダイスに対して位置決めする支持部と、
前記ワーク上において、接地電極となるべき接地電極材の接合位置又は接合予定位置に対応して定められた周方向基準位置と、前記ダイス上に定められた1又は複数の工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を、回転方向が互いに逆となるように同期回転駆動する回転制御機構と、
前記ダイスと前記ワークとを相対接近させる寄り付き駆動部とを有し、
前記ワークの外周面にねじ転造加工を施すことを特徴とするスパークプラグの製造装置。 - 前記回転制御機構は、
前記ワークの前記周方向基準位置と前記ダイスの前記工具側基準位置とが所定の回転角度位置関係を維持した状態で、これらワークとダイスとの双方を回転停止する機能を備えたサーボアクチュエータと、
そのサーボアクチュエータの回転角度位置を検出する回転センサとを有する請求項9記載のスパークプラグの製造装置。 - 前記回転制御機構には、前記ダイスを駆動側とし、前記ワークを従動側として伝動回転する伝動連結部が接続されている請求項9又は10記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記伝動連結部は、前記ダイスの前記ワークに対する寄り付き移動を許容する形態で常時回転伝動可能な間接伝動系と、常時接触することにより常時回転伝動可能な直接伝動系とを備えている請求項11記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記間接伝動系がベルト伝動部であり、前記直接伝動系が歯車伝動部である請求項12記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記ダイスが前記ワークに食い付いてねじ転造加工するに伴い、前記ダイスの回転軸線が前記ワークの回転軸線に接近して生ずる、前記ダイスとの接触部における前記ワークの回転周速の増加を吸収する増速吸収機構を有している請求項9ないし13のいずれかに記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記増速吸収機構は、前記ダイスとの接触部における前記ワークの回転周速の増加に対応して、該ワークの駆動回転のみを停止する動力断続機構である請求項14記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記動力断続機構は、前記ダイスとの接触部における前記ワークの回転周速の増加により、当該ワークに対して一定値以上の負荷が作用したとき、前記伝動連結部における伝動回転を切断するトルクリミッタである請求項15記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記増速吸収機構は、前記ダイスとの接触部における前記ワークの回転周速と、前記伝動連結部を介した駆動回転による前記ワークの回転周速との速度差を調整する回転調整機構である請求項14記載のスパークプラグの製造装置。
- 前記回転調整機構は、前記支持部において、前記ワークと、該ワークを回転駆動する回転軸に取り付けられ、当該ワークを摩擦保持してこれと一体的に回転するワークホルダとが、前記ワークの回転軸線回りにおいて相対滑り可能に接触形成された滑り保持部である請求項17記載のスパークプラグの製造装置。
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