JP4368082B2 - テラヘルツ波分光器 - Google Patents

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Description

本発明は、周波数1THz(テラヘルツ)周辺の電磁波であるテラヘルツ波を分光測定に利用したテラヘルツ波分光器に関する。
周波数1THz(テラヘルツ)周辺の電磁波領域(テラヘルツ波領域、例えばおよそ100GHz〜10THz、あるいはさらにその周辺領域を含んだ広い周波数領域を指す)は、光波と電波の境界に位置する周波数領域であり、テラヘルツ波は、例えば赤外波長域における分光やイメージングへの応用等に有効である。
このような周波数領域はその発生器や検出器などの装置開発が比較的遅れており、技術面でも応用面でも未開拓の部分が多い。特に、テラヘルツ波を用いてサンプルの特性・定量等について測定を行う分光器などによる産業上の応用という点から言えば、小型かつ簡便な光源であるテラヘルツ波発生装置、及びその検出装置が不可欠である。
近年、光スイッチ素子や電気光学結晶(EO結晶、Electro-Optic Crystal)などを用いたそのような光源・発生器や検出器の開発が進められつつある。電気回路の発振器による方法ではテラヘルツ波領域の電磁波発生は難しいが、パルス状の光を用いて電流などを変調することによって、この領域の電磁波の発生及び検出を行うことができる
テラヘルツ波による分光測定については、検出されたテラヘルツ波の時間波形強度を直接測定する方法がある。しかしながら、このような方法ではテラヘルツ波の各周波数成分について制限・選択等を行っていないため、例えばサンプルに特有な周波数領域のみについて測定することができないなど、分光によって得られる情報が限られてしまう。
一方、周波数選択を行う測定として、例えば、文献「テラヘルツ電磁波の発生とその応用」(阪井他、「レーザー研究26巻7号 pp.515−521 (1998)」)に記載された方法がある。当該周波数選択を行う測定では、検出器によるサンプリング計測から、まず、テラヘルツ波の時間波形を求め、次に、得られた時間波形を高速フーリエ変換(FFT、fast Fourier transform)して、振幅についてのスペクトルを評価する。ここで、当該文献の装置では、テラヘルツ波を往路のみの1回の掃引による可変光遅延器にて走査することで、テラヘルツ波をサンプリングしている。
また、特開平8−320254号公報や特開平10−153547号公報には、A/D変換器及びデジタル信号プロセッサ(DSP)を用いてテラヘルツ波による分光情報を得るイメージ化システムが記載されている。これらの方法では、DSPがテラヘルツ波の特徴的な形状を認識することによって、周波数に関連する情報を時間領域データから抽出する。
上記のように、これら従来の方法は、時間波形を計測によって得た後にコンピュータによって振幅スペクトル等の周波数に関連する情報を求めているため、計測のリアルタイム性に欠け、全体としての装置構成が複雑化するという問題がある。特に、上記特開平8−320254号公報や特開平10−153547号公報の方法では、A/D変換器やDSP等を用いているため、イメージングの2次元アレイなどの装置が複雑化・高価格化するという問題もある。
特開平8−320254号公報 特開平10−153547号公報 「テラヘルツ電磁波の発生とその応用」(阪井他、「レーザー研究26巻7号 pp.515−521 (1998)」)
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、リアルタイムで分光測定が行えるとともに、その装置構成が簡単化されたテラヘルツ波分光器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のテラヘルツ波分光器は、励起光を導くための所定の励起光学系と、該所定の励起光学系で導かれた励起光によってテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、該テラヘルツ波発生器で発生されたテラヘルツ波を分光測定を行う試料へ導き、該試料で影響を受けた該テラヘルツ波を更に導くための所定のテラヘルツ波光学系と、該励起光に対して同期されたプローブ光を導くための所定のプローブ光学系と、該試料で影響を受け該テラヘルツ波光学系により導かれた該テラヘルツ波を、該所定のプローブ光学系で導かれたプローブ光によって検出し、検出信号を出力するテラヘルツ波検出器と、該励起光学系に備えられ、所定の駆動周波数で前記励起光のON/OFFを制御するための光チョッパと、該励起光学系及び該プローブ光学系のうちのいずれか一つに備えられ、対応する該励起光または該プローブ光の光路長を所定の振動周波数及び所定の振動振幅で振動させることによって、該テラヘルツ波発生器及び該テラヘルツ波検出器のうちの該いずれか一つへの該対応する励起光またはプローブ光の照射タイミングを周期的に振動させる光遅延振動手段と、該テラヘルツ波検出器によって得られる検出信号に基づき該試料の分光測定を行う分光処理手段とを備え、該分光処理手段が、該振動周波数によって周期的に変化する該検出信号を周波数分析する周波数分析手段を備え、該検出信号は、該光チョッパの該所定の駆動周波数の両側に一対のサイドバンドを有する周波数スペクトルを有しており、該周波数分析手段が、該検出信号のうち該光チョッパの該所定の駆動周波数に対して定まる所望の周波数成分を周波数ドメイン計測により検出することによって該検出信号の周波数分析を行い、該周波数分析手段による周波数分析結果が、該試料の影響を受けた該テラヘルツ波の周波数分析情報を示し、もって、該試料の分光情報を示すことを特徴とする。
このようなテラヘルツ波分光器においては、プローブ光のテラヘルツ波検出器への照射タイミングが、励起光のテラヘルツ波発生器への照射タイミングに対して、振動変化するタイミング差で同期されている。すなわち、テラヘルツ波発生器から出射されたテラヘルツ波が所定のテラヘルツ波光学系を通過して試料を透過や反射するなど試料にて影響を受けた後に、テラヘルツ波検出器へと入射されるタイミングと、プローブ光によってテラヘルツ波検出器がテラヘルツ波の検出を行う検出タイミングとが、振動変化するよう調整・設定されている。
ここで、光遅延振動手段をプローブ光学系に設けた場合には、光遅延振動手段は、プローブ光の光路長を変化させるための構成部分を有し、当該構成部分を所定の周波数によって駆動させて、テラヘルツ波の検出タイミングを周期的に振動変化させることが好ましい。検出タイミングを変化させることによってテラヘルツ波の時間波形を走査することができるが、その変化を振動変化とすることによって、テラヘルツ波検出器からの検出信号の時間波形・周波数スペクトルを、テラヘルツ波の時間波形・周波数スペクトルと同形、準同形、または所定の規則で対応する形であって時間スケール・周波数スケールが変換されたものとすることを実現している。これによって、例えばTHzオーダーの周波数スケールをkHzオーダーなど所望の周波数スケールに変換することができる。
また、このような光遅延振動手段を、プローブ光学系の代わりに、励起光学系に設け、テラヘルツ波の発生タイミングを振動変化させてもよい。上述と同様に時間波形・周波数スペクトルのスケール変換を実現することが可能である。
さらに、前記励起光学系に備えられた光チョッパが、所定の駆動周波数で励起光のON/OFFを制御している。このため、光遅延振動手段の振動周波数によって周期的に変化する検出信号は、光チョッパの所定の駆動周波数の両側に一対のサイドバンドを有する周波数スペクトルを有している。周波数分析手段が、この検出信号のうち光チョッパの所定の駆動周波数に対して定まる所望の周波数成分を周波数ドメイン測定により検出することによって、検出信号の所望の周波数を直接測定する。このようにして得られた検出信号の周波数情報は、周波数スケールが変換されたテラヘルツ波の周波数情報であり、したがって、試料の分光情報を示している。このように、検出信号の周波数を直接測定することにより、試料の分光測定を行うことができる。また、励起光やプローブ光の光源からの1/fノイズの影響を低減することができ、測定のS/N比を向上させることができる。
以上のように、本発明では、検出信号の周波数を直接測定するため、従来のような時間ドメイン測定を行う場合と異なり、FFT演算等を行う必要がなく、リアルタイム計測を行うことが可能となる。また、FFT演算等を行う必要がないため、簡単化されたデータ処理方法及び簡単化された装置構成によって、テラヘルツ波の周波数分析を行うことができる。したがって、リアルタイムでの分光測定が可能で、かつ、その装置構成が簡単化され低価格化された分光器を実現することができる。特に、装置の簡単化によってその集積回路化が可能となる。
なお、光路長・検出タイミングの振動変化については、リニアな同形変換については三角波や鋸形波など、また、リニアからのずれがある準同形な変換については正弦波などの振動波形を適用することができる。これ以外にも、テラヘルツ波と検出信号とが装置構成や測定条件に対して好適な変換規則によって対応するようになるような振動波形を適宜選択して用いることができる。
周波数分析手段については、検出信号から周波数分析によって所望の周波数成分に対する周波数スペクトルを示すデータを生成するスペクトラムアナライザを有して構成されているのが好ましい。この場合、生成された周波数スペクトルを示すデータが、試料の分光情報を示している。また、この場合、分光処理手段は、光遅延振動手段の振動周波数を、スペクトラムアナライザが分析可能な周波数領域に基づいて設定する振動周波数設定手段をさらに備えていることが好ましい。また、スペクトラムアナライザの測定周波数帯域を狭くするか、特定の周波数に限定するなどの条件で測定を行うことも可能である。例えば、スペクトラムアナライザは、ゼロスパンモードに設定されているのでもよい。
また、周波数分析手段は、検出信号から所望の周波数成分を選択するバンドパスフィルタを有して構成されているのが好ましい。この場合、選択された周波数成分の検出信号が、試料の分光情報を示している。バンドパスフィルタを用いた場合、さらに構成を簡単化することができる。
ここで、バンドパスフィルタは、複数のそれぞれ異なる所望の周波数成分を選択するための複数のバンドパスフィルタより構成されており、分光処理手段が、複数のバンドパスフィルタによって選択された複数の周波数成分の相関を求める相関解析手段を、更に備えているようにしてもよい。複数の周波数成分の差分などの相関を用いることによって、さらに多くの分光情報を得られるとともに、その分光測定効率が向上する。
また、分光処理手段は、光遅延振動手段を制御して、対応する励起光またはプローブ光の光路長変化の振動周波数及び振動振幅を設定または変更する周波数振幅設定/変更手段を更に有し、周波数分析手段が、その設定または変更された振動周波数及び振動振幅に基づいて周波数分析を行うのでもよい。これによって、上記したテラヘルツ波から検出信号への時間・周波数スケールの変換条件を任意に制御して、計測する周波数領域等を任意に設定・変更することが可能となる。
テラヘルツ波発生器またはテラヘルツ波検出器の具体的構成については、テラヘルツ波の発生または検出に好適なものとして、例えば、テラヘルツ波発生器及びテラヘルツ波検出器の少なくとも一方を、光スイッチ素子を用いて構成することができる。また、テラヘルツ波発生器及びテラヘルツ波検出器の少なくとも一方を、電気光学結晶を用いて構成することができる。
また、試料を2次元方向に移動させるための試料移動手段をさらに備え、分光処理手段に試料についての2次元の分光測定を行わせるのでもよい。
あるいは、テラヘルツ波検出器は、分光測定の対象となる試料についての2次元の分光測定を行うための2次元検出器であることが好ましい。すなわち、テラヘルツ波検出器は、複数のテラヘルツ波検出部が2次元状に配列されて構成された2次元検出器からなり、分光処理手段が複数の周波数分析手段を有しており、複数のテラヘルツ波検出部が複数の周波数分析手段にそれぞれ接続され、各周波数分析手段が、対応するテラヘルツ波検出部によって得られた検出信号に対する周波数分析を行うことによって、前記試料についての2次元の分光測定を行うことが好ましい。このような構成によって、試料についてのリアルタイムでの2次元イメージング等の測定が可能となる。これは、試料内での成分分布等の分光測定に有用である。
また、周波数分析手段は、光チョッパの所定の駆動周波数に対して定まる所望の周波数成分として、一対のサイドバンドが有する所望の周波数成分を検出することが好ましい。励起光やプローブ光の光源からの1/fノイズの影響を低減することができるなど、測定のS/N比を向上させることができる。また、分光処理手段は、光チョッパの駆動周波数を制御するチョッパ周波数制御手段をさらに備えていることが好ましい。
さらに、分光処理手段は、周波数分析手段による検出信号の周波数分析結果に基づいて、試料の分光情報を示す当該試料の影響を受けたテラヘルツ波の周波数分析情報を求める解析手段を更に備えていることが好ましい。この解析手段が、検出信号の周波数分析結果の周波数スケールを元のテラヘルツ波の周波数スケールに戻す、等の処理を行うことにより、試料の分光情報であるテラヘルツ波の周波数分析情報を得ることができる。
以上のように、本発明のテラヘルツ波分光器では、光遅延振動手段によってプローブ光または励起光の照射タイミングを所定の周波数で振動させることによって、テラヘルツ波検出器から得られる検出信号がテラヘルツ波の時間波形に対して時間スケールが変換された信号波形となる。一方、励起光学系に備えられた光チョッパが、所定の駆動周波数で励起光のON/OFFを制御している。このため、光遅延振動手段の振動周波数によって周期的に変化する検出信号は、光チョッパの所定の駆動周波数の両側に一対のサイドバンドを有する周波数スペクトルを有することになる。さらに、このような信号波形の検出信号に対してスペクトラムアナライザやバンドパスフィルタなどを用いた周波数分析手段を適用し、テラヘルツ波の周波数スペクトルに対して周波数スケールが変換された検出信号のうち光チョッパの所定の駆動周波数に対して定まる所望の周波数成分を周波数ドメイン計測により検出することによって周波数分析を行い、その分析結果出力から分光測定を行う。したがって、2次元イメージングを含めたリアルタイムでのテラヘルツ波分光測定が可能であるとともに、その装置構成が簡単化・低価格化されたテラヘルツ波分光器が実現され、また集積回路化も可能になる。また、分光測定のS/N比についても向上させることができるので、測定をより高精度とし、または測定に必要な時間を短縮することができる。これによって、さらに広い実用範囲へのテラヘルツ波分光の応用・適用が可能となる。
前記周波数分析手段前記所望の周波数成分を選択するバンドパスフィルタからなる場合には、前記分光処理手段が、前記光遅延振動手段を制御して、前記対応する励起光またはプローブ光の光路長変化の前記振動周波数の値を、該バンドパスフィルタが選択する該所望の周波数成分の周波数値に対応した値に、設定または変更する周波数設定/変更手段を更に有するのでも良い。
また、前記テラヘルツ波検出器は、複数のテラヘルツ波検出部が2次元状に配列されて構成された2次元検出器からなり、前記分光処理手段が複数のバンドパスフィルタを有しており、該複数のテラヘルツ波検出部が、該複数のバンドパスフィルタにそれぞれ接続され、各バンドパスフィルタが、対応するテラヘルツ波検出部によって得られた検出信号に対する周波数ドメイン計測を行い、前記所望の周波数成分を選択することによって、前記試料についての2次元の分光測定を行うのでも良い。
本発明の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第1図〜第23(B)図に基づき説明する。なお、以下に示す各実施形態は、いずれも試料(サンプル)の透過特性を分光測定するように構成されている。
なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第1図〜第7図に基づき説明する。
第1図に、本発明の第1の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図を示す。
本実施形態のテラヘルツ波分光器1は、所定のパルス光源100と、当該パルス光源100からの光パルスを励起光とプローブ光とに分岐するためのビームスプリッタ31と、この励起光を導くための励起光学系30と、励起光学系30によって導かれた励起光に基づきテラヘルツ波を発生するためのテラヘルツ波発生器10と、テラヘルツ波を所定のサンプルAに導くと共に、所定のサンプルAを透過したテラヘルツ波をさらに導くためのテラヘルツ波光路38と、プローブ光を導くためのプローブ光学系35と、所定のサンプルAを透過しテラヘルツ波光路38によって導かれたテラヘルツ波を、プローブ光学系35によって導かれたプローブ光により検出し、テラヘルツ波検出信号を出力するためのテラヘルツ波検出器20と、テラヘルツ波検出器20からの検出信号を処理するための分光処理部50とからなる。
ここで、パルス光源100としては、例えば、フェムト秒パルスレーザなどのパルスレーザ装置を用いることができる。励起光学系30は、励起光の進行方向を変更するための反射鏡32と、励起光をテラヘルツ波発生器10に入射させるための対物レンズ11とからなる。
本実施形態においては、テラヘルツ波発生器10として、第2(A)図に示す光スイッチ素子10aが用いられている。当該光スイッチ素子10aは、GaAsなど高速応答する半導体の基板95と、当該半導体の基板95上に形成された低温成長GaAsなどの光伝導薄膜96とから形成されている。光伝導薄膜96上には、伝送線路92a及び92bからなる平行伝送線路92が形成されており、その中央部分に、微小ダイポールアンテナからなる単一の光スイッチ部90が設けられている。光スイッチ10aの中央には、例えば数μm程度の微小なギャップ91があり、ギャップ91には、直流バイアス電源97によって、適当なバイアス電圧が印加されている。
かかる構成の光スイッチ10aにおいて、半導体のバンドギャップよりも高いエネルギーを有するレーザパルス光がギャップ91間に光パルスとして入射すると、半導体中に自由キャリアが生成されて、パルス状の電流が流れ、このパルス状の電流によってテラヘルツ波がパルス状に発生する。
テラヘルツ波光路38には、光スイッチ10aのテラヘルツ波が発生する側に、出射レンズ12が設けられている。テラヘルツ波光路38には、さらに、テラヘルツ波発生器10で発生し出射レンズ12を透過したテラヘルツ波を略平行なコリメート光に変換するための軸外し放物面鏡13が配置されている。テラヘルツ波光路38にはさらに、分光測定の試料として、ガスや液体が封入されたセルや物体などの所定のサンプルAが配置されており、軸外し放物面鏡13からのテラヘルツ波が透過するようになっている。テラヘルツ波光路38にはまた、所定のサンプルAを透過したテラヘルツ波を集束しつつテラヘルツ波検出器20を構成する光スイッチ素子20aに入射させるための軸外し放物面鏡23及び入射レンズ22とが配置されている。ここで、出射レンズ12や入射レンズ22は、例えば、シリコンレンズなどから構成されている。
プローブ光学系35は、可変光遅延器40を備えている。可変光遅延器40は、プローブ光の励起光に対するタイミング差を調整・設定するためのものである。可変光遅延器40は、固定反射鏡41、42、可動反射部43、及び、光遅延制御装置44とを備えている。光遅延制御装置44は、可動反射部43の位置を駆動制御するためのものである。可動反射部43の位置を駆動制御することによって、プローブ光の光路長の設定・変更を制御し、もって、励起光とプローブ光の照射タイミング差(テラヘルツ波の発生・検出タイミング差)の設定・変更を制御する。
プローブ光学系35には、さらに、可変光遅延器40からのプローブ光を、テラヘルツ波検出器20に入射させるための対物レンズ21が設けられている。
テラヘルツ波検出器20としては、本実施形態では、第2(B)図に示す光スイッチ素子20aが用いられている。光スイッチ20aは、光スイッチ10aと同一の構成をしている。但し、光スイッチ20aのギャップ91には、直流バイアス電源97の代わりに、分光処理部50が接続されている。
かかる構成のもと、光スイッチ20aのダイポールアンテナ部90に入射レンズ22を介してテラヘルツ電磁波が集束されるのと同時に、プローブ光パルスが対物レンズ21を介してギャップ91を励起しキャリアを生成すると、その瞬間に光スイッチ20aに到達したテラヘルツ電磁波の振幅に比例した電流が流れ、分光処理部50に供給される。
本実施形態においては、分光処理部50は、電流−電圧変換アンプ51、スペクトラムアナライザ52、及び、解析装置53を備えている。
ここで、電流−電圧変換アンプ51は、スイッチ素子20aから供給された電流信号を電圧信号に変換するためのものである。
スペクトラムアナライザ52は、電流−電圧変換アンプ51で変換された電圧信号の周波数毎のパワー分布を求めることで、電圧信号の周波数分析を行うためのものである。スペクトラムアナライザ52は、例えば、スーパーヘテロダイン方式の掃引同調受信器であり、対象とする周波数域を掃引することにより、その周波数域における信号の全ての周波数成分の振幅を表示することができる。
スペクトラムアナライザ52は、例えば、第2(C)図に示す構成を有しており、電流−電圧変換アンプ51からの検出信号(電圧)は、入力回路52aを経て入力してくる。この検出信号の周波数は、周波数変換回路52bと局部発振器52cとで、一定の周波数(中間周波数(Intermediate Frequency):IF信号)に変換される。IF信号は、IF回路52d、検波・ビデオ回路52eを通って、垂直偏向回路52fを介してCRT52jの垂直偏向電極に加えられる。ここで、入力回路52aは、信号レベル調整用の減衰器などから構成されている。IF回路52dは、周波数を分解するBPF(Band Pass Filter)回路、増幅器、及び、対数増幅器などから構成されている。局部発振器52cは、電圧で発振周波数を制御するVTO(Voltage Tuned Oscillator)から構成されている。
一方、掃引時間を決定する掃引信号発生器(のこぎり波発生回路)52hの出力信号は、水平偏向回路52iを通して、CRT52jの水平偏向電極に加えられるとともに、局部発振器52cの制御回路52gを経て局部発振器52cに加えられる。局部発振器52cの制御回路52gは、掃引幅を変えるための減衰器や周波数安定回路などから構成されている。
かかる構成により、スペクトラムアナライザ52は、単一のフィルタの中心周波数を時間とともに掃引していく機能を有し、入力電圧信号を複数の正弦波成分に分離し、それぞれの正弦波成分を検波してその振幅を求め、各正弦波成分の周波数と振幅をグラフ化して、CRT52j上に定量的に表示する。すなわち、単一のフィルタの中心周波数を時間的にずらしてくことで、当該単一のフィルタに複数の通過帯域の狭いフィルタの代わりをさせ、観測しようとする周波数帯域を当該複数の仮想フィルタにより分割することで、周波数ごとの振幅を表示させる。したがって、スペクトラムアナライザ52は、入力電圧信号の周波数成分を直接分析し、横軸を周波数、縦軸をレベルとし、入力電圧信号の各周波数成分の相対的な大きさ、すなわち、入力電圧信号の振幅スペクトルをグラフとして表示する。
また、スペクトラムアナライザ52としては、上記構成のものを使用する代わりに、例えば、米国特許第4,257,104号に記載された構成の信号スペクトラム分析装置を使用してもよい。
解析装置53は、スペクトムアナライザ52にて得られた振幅スペクトルに基づき、テラヘルツ波光路38に配置されている所定サンプルAの分光特性を求めるためのものである。解析装置53は、パーソナルコンピュータ等からなり、スペクトラムアナライザ52で得られた振幅スペクトラムのデータに基づき、サンプルAのテラヘルツ波分光特性を得るために必要な演算処理を行う。解析装置53はさらに、光遅延制御装置44を制御するための制御部53aを備えている。
スペクトムアナライザ52の垂直偏向回路52f及び水平偏向回路52iの出力端子は、CRT52jの他、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換器を介して、データバス(例えば、GPIB(General Purpose Interface Bus))に接続されており、このデータバスが解析装置53に接続されている。解析装置53は、スペクトラムアナライザ52から、このデータバスを介して、振幅スペクトラムのデジタルデータを取得し、当該データに対して後述の周波数軸換算演算処理を施し、サンプルAのテラヘルツ波分光特性を得る。ここで、第1図のようにサンプルAのうちの所定の部分がテラヘルツ波光路38中に位置している場合には、当該サンプルAの当該所定部分におけるテラヘルツ波透過分光特性が得られる。また、サンプルA全体がテラヘルツ波光路38中に位置している場合には、当該サンプルA全体のテラヘルツ波透過分光特性が得られる。
以上の構成を有するテラヘルツ波分光器1による分光測定の原理について、以下、具体的に説明する。
可変光遅延器40によってプローブ光の光路長を変化させると、光スイッチ素子20aに検出対象として入射するテラヘルツ波の入射タイミングに対するプローブ光の検出タイミングが変化する。例えば、周波数1THzのテラヘルツ波の周期は1psであるが、これは光路長に換算すると0.3mmに相当する。したがって、例えば可動反射部43を反射鏡41、42から1.5mm離れる方向に移動させた場合を考えると、プローブ光の光路長は往復分で3mm増加し、プローブ光の照射タイミングには10psの遅延時間が加えられる。ここで、この遅延時間は、周波数に換算すると、ステップ周波数fstep(THz)=(光速)/往復光路長=3mm)=1/10ps=0.1(THz)と与えられる。
そこで、比較例として、この0〜3mmの移動範囲で可動反射部43を往路分のみ1回だけ移動させ、各移動位置(各遅延時間)において順次テラヘルツ波成分の計測を行う時間ドメイン計測を行うことを考える。この場合には、第3(A)図のグラフに示すような、測定時間のフルスケール(横軸)が10psのテラヘルツ波の時間波形が得られる。この時間波形に対し0.1ps/stepごとにデータが得られている(すなわち、総計100個のデータ点がある)とし、かかるデータに対し高速フーリエ変換(FFT)計算を行うと、フルスケールがデータ間隔0.1ps/stepに対応する10THzである周波数スペクトルが求められる。第3(B)図に、当該10THzのフルスケールのうちの0〜2THzの範囲の周波数スペクトル(横軸:周波数、縦軸:各周波数成分の振幅)を示す。ここで、第3(B)図のスペクトルにおける各FFT計算点のステップ間隔(=ステップ周波数fstep)は、上記した第3(A)図の時間波形のフルスケール10psに対応する0.1THzである。
かかる比較例に対して、本実施形態によるテラヘルツ波分光器1においては、可変光遅延器40において、プローブ光の光路長を一定の周波数・周期によって往復振動させて計測を行う。すなわち、可変光遅延器40のうち位置が固定されている反射鏡41、42に対し、可動反射部43を光遅延制御装置44によって往復振動するように駆動制御する。
この光路長の振動・周期的変化を達成させるため、可動反射部43は、例えば、第4図に示すように、リトロリフレクタ43aをオーディオ用などのスピーカ43bの振動面に対して接着・固定して構成されている。ここで、スピーカ43bは、光遅延制御装置44からの駆動信号に基づいて振動するようになっている。かかる構成により、リトロリフレクタ43aのプローブ光の入射・出射軸方向の位置を振動させて、プローブ光路長を周期的に変化させる。
このような可動反射部43の振動については、上述したように、その位置振動の振幅(最大位置変化)を、測定されるテラヘルツ波の時間波形のフルスケールに対応させればよい。例えば、振動の位置振幅を、テラヘルツ波パルスの時間波形を充分に含む測定時間軸のフルスケールに対応するように設定する。
第5(A)図〜第5(D)図は、このような可動反射部43を駆動させる駆動信号の時間波形の具体例を示すグラフであり、横軸は時間、縦軸は信号波形出力を示している。ここで、縦軸の信号波形出力はリトロリフレクタ43aの光路軸方向の位置変化に対応している。第5(A)図〜第5(D)図に示した駆動波形はいずれも一定の周期によるものであり、第5(A)図は三角波、第5(B)図は台形波、第5(C)図は正弦波、及び、第5(D)図は鋸形波の例を示している。具体的な波形については、所望の周波数によって駆動できるのであれば、可動反射部43の構成によって駆動可能な波形、または個々の分光測定において好適な波形を、第5(A)図〜第5(D)図に示した各波形またはこれ以外の任意の波形から適宜選択して用いれば良い。特に、第5(A)図に示す三角波を用いる場合には、時間と位置変化とがリニアに対応するため、検出信号に対する時間軸補正等を行う必要がなく好ましい。以下においては、可動反射部43をこのような三角波で駆動する場合について説明する。
第3(A)図に示した時間波形を有するテラヘルツ波を検出・測定するにあたり、本実施形態のテラヘルツ波分光器1においては、周波数0.5kHzの三角波を用い、位置振幅(最大位置移動)1.5mm(最大の光路長変化は3mm)に設定して可動反射部43を往復駆動する。このとき、走査されるテラヘルツ波時間波形のフルスケールは10psであり、一方、テラヘルツ波時間波形は、1周期2msの三角波によって、時間正逆方向に2回走査されるので、1回の走査時間は、実効走査周波数feff=1kHz(=2x0.5kHz)に対応する1msとなる。
このとき得られる光スイッチ素子20aからの検出信号の時間波形(すなわち、当該検出信号を時間ドメイン計測した場合に得られるグラフ)を第6図に示す。第6図のグラフに示した時間波形は三角波の一周期に相当する部分であり、そのフルスケールは周波数0.5kHzに対応して2msである。ここで、時間0〜1msの波形部分は、第3(A)図に示したフルスケールを10psとするテラヘルツ波の時間波形と同形であって、それをフルスケール1msに拡大したものに対応している。また、時間1〜2msの部分は、走査の時間方向(光路長の変化方向)が逆転するため、第3(A)図の時間波形を拡大及び時間反転した形となっている。実際には、可変光遅延器40の可動反射部43は第5(A)図に示したような一定周期の連続した三角波によって駆動されているので、検出信号波形は第6図に示した時間波形の周期的な繰り返しとなる。
すなわち、第1図に示した構成によるテラヘルツ波分光器1においては、可変光遅延器40による光路長変化はテラヘルツ波の検出タイミングの変化に対応しているが、その光路長変化を一定の周波数・周期による振動変化とすることによって、第3(A)図に示した10psスケールの時間波形が第6図に示した1msスケールの時間波形に変換されて検出される。
この時間スケールが変換された時間波形を有する検出信号に対して、本実施形態では、分光処理部50において周波数分析装置であるスペクトラムアナライザ52を適用し、このスペクトラムアナライザ52に上記した検出信号を入力している。スペクトラムアナライザ52は、入力された信号の時間波形を周波数分析して周波数スペクトルを生成する。したがって、スペクトラムアナライザ52によれば、第6図に示すような時間波形を有する検出信号から、第7図に示す周波数スペクトルが直接得られる。この周波数スペクトルは、例えば、第7図に示すように20kHzをフルスケールとすると、そのスペクトル形状は、第3(B)図に示した2THzをフルスケールとするFFT計算で得られる周波数スペクトルと同形であって、スケールのみを変換したものに対応している。
すなわち、上記した0.5kHzでの光路長変化振動によって、テラヘルツ波の周波数スペクトルにおける1THzの成分が10kHzの周波数成分に変換された検出信号の周波数スペクトルが得られる。
ここで、このスペクトラムアナライザ52によって得られる周波数軸上の周波数値fspec(kHz)と、テラヘルツ波の周波数f(THz)との関係は、以下の数式(1)によって表される。
f(THz)
=fspec(kHz)xfstep(THz)/feff(THz)
ここで、ステップ周波数fstep(THz)=(光速)/(光路振幅x2)、実効走査周波数feff(kHz)=(光路振動周波数)x2
…(1)
例えば、上記のように、光路振幅が1.5mmで、光路振動周波数が0.5kHzの場合、ステップ周波数fstep(THz)=(光速)/(1.5mmx2)=0.1(THz)、実効走査周波数feff(kHz)=0.5kHzx2=1(kHz)と求められる。
したがって、例えば、スペクトラムアナライザ52によって得られる周波数値fspec(kHz)=10kHzは、10(kHz)x0.1(THz)/1(kHz)=1(THz)より、テラヘルツ波の周波数値f(THz)=1THzに対応していることがわかる。それ以外の周波数についても、時間と光路長変化がリニアに対応する三角波を用いているため、すべて同様にリニアに周波数が変換されて対応している。
このように、プローブ光の可変光遅延器40による光路長・照射タイミング変化を一定周波数・周期による振動変化とすることによって、テラヘルツ波と同形であって、その時間スケール及び周波数スケールが変換された時間波形を有する検出信号を得ることができる。さらに、そのような検出信号に対して分光処理部50において周波数分析装置であるスペクトラムアナライザ52を適用することによって、検出されたテラヘルツ波と同形でスケールが変換されただけの周波数スペクトルを、FFT計算を行うことなく直接得ることが可能となっている。
なお、解析装置53の制御部53aが、可変光遅延器40内の光遅延制御装置44に接続されており、プローブ光路長の振動周波数fs及び振幅を所望の値(例えば、振動周波数fsを0.5kHz、振幅を1.5mm)に設定することができるようになっている。光遅延制御装置44は、制御部53aにて設定された値の振動周波数及び振幅にて可動反射部43を振動させ、プローブ光路長を振動させる。その結果、スペクトラムアナライザ52は、第7図に示すような振幅スペクトラムを生成する。
スペクトラムアナライザ52は、かかる振幅スペクトラムを生成すると、そのデータを解析装置53に出力する。解析装置53は、受け取った振幅スペクトラムの周波数軸を変換する演算処理を行う。すなわち、スペクトラムアナライザ52で得られた振幅スペクトラムの周波数軸はkHzオーダーとなっている。そのため、解析装置53は、この周波数軸を元のテラヘルツ波の周波数であるTHzオーダーに換算する演算処理を行う。具体的には、解析装置53は、その制御部53aが設定した可動反射部43の振動周波数と振幅(最大移動幅)の値に基づき、上記数式(1)を用いて、かかる換算を行う。解析装置53は、さらに、周波数軸を、数式c=f・λ(ここで、cは光速、fは周波数、λは波長である)により、波長軸に換算することもできる。これらの演算により得られた振幅スペクトラムは、サンプルAの分光透過特性を示しており、サンプルAの物理的及び化学的情報を示している。
上記構成を有する本実施形態のテラヘルツ波分光器1は、以下のように動作する。
すなわち、パルス光源100からの光パルスが、ビームスプリッタ31によって、テラヘルツ波発生器10に照射される励起光と、テラヘルツ波検出器20に照射されるプローブ光とに分岐される。励起光は、励起光学系30内において、反射鏡32によって進行方向を所定の方向に変更された後、対物レンズ11を介してテラヘルツ波発生器10を構成する光スイッチ素子10aに入射する。励起光が光スイッチ素子10aのギャップ91間に光パルスとして入射すると、テラヘルツ波がパルス状に発生する。
発生したテラヘルツ波は、テラヘルツ波光路38内で、出射レンズ12を経て、軸外し放物面鏡13によってほぼ平行なコリメート光とされて、所定のサンプルAを透過し、軸外し放物面鏡23と入射レンズ22によって集束されつつ、テラヘルツ波検出器20を構成する光スイッチ素子20aに入射する。
プローブ光学系35では、ビームスプリッタ31によって励起光と分岐されたプローブ光が、励起光に対するタイミング差を可変光遅延器40により振動変化させられながら、対物レンズ21を介して光スイッチ素子20aに入射する。こうして、光スイッチ素子20aには、励起光に対してタイミング差が振動変化しながら同期したプローブ光が照射され、テラヘルツ波の検出が行われる。この結果、光スイッチ素子20aから出力された検出信号(電流)は、第6図に示すような時間波形を有し、第3(A)図に示すテラヘルツ波の時間波形と同形で、時間スケールが変換された波形となる。かかる検出信号(電流)は、電流−電圧変換アンプ51によって電圧信号とされた後、スペクトラムアナライザ52に入力され、第7図に示すような振幅スペクトルが生成される。この振幅スペクトルは、第3(B)図のテラヘルツ波の振幅スペクトルと同形で周波数スケールが変換された形状となる。解析装置53が、この検出信号のスペクトルのデータに対して周波数軸変換を行う等の所定のデータ処理を行うことにより、所定サンプルAについての透過分光特性データであるスペクトルデータを得る。
以上のように、本実施形態のテラヘルツ波分光器1によれば、テラヘルツ波を用いた分光測定のリアルタイム性が確保されるとともに、その装置構成・回路構成が簡単化され、また、その製造コストが低減されて装置を安価にすることができる。また、回路構成等の簡略化によってそれらの集積回路化が可能となるので、装置の小型化や様々な測定への応用において有効である。
なお、電流−電圧変換アンプ51からの出力信号には、第6図に点線で示すように一般にノイズ信号が重畳されており、これによるS/N比の低下が分光測定の精度上問題となる場合がある。このような場合には、上記したスペクトラムアナライザ52による測定のバンド幅・周波数領域(すなわち、掃引する周波数領域)を狭く設定することによってS/N比を向上させることができる。
また、測定対象であるサンプルAに特徴的な透過特性などによって、テラヘルツ波の周波数スペクトルから、特定の周波数領域の成分または特定の周波数の成分のみに着目し、その周波数での検出強度について測定を行うことによって分光測定を行いたい場合がある。このような場合においても、スペクトラムアナライザ52の測定の周波数領域を着目する周波数領域のみに狭く限定し、または、スペクトラムアナライザ52を特定の周波数のみについて測定を行う測定モード(ゼロスパンモード)に設定して測定を行うことによって、上記のような分光測定が可能となる。ゼロスパンモードでは、スペクトラムアナライザ52の周波数掃引スパンがゼロ(0)Hzに設定されるため、スペクトラムアナライザ52は着目する周波数に固定された受信機として機能する。したがって、スペクトラムアナライザ52は、着目する周波数の正弦波成分の振幅の時間変化を測定し表示することになる。
例えば、第3(B)図に示したテラヘルツ波の周波数スペクトルにおいて1THzの周波数成分に着目したい場合には、第7図に示した検出信号の周波数スペクトルでの10kHzの周波数成分を計測するようにスペクトラムアナライザ52をゼロスパンモードに設定することによって、1THzのテラヘルツ波成分についての連続的な測定を行うことができる。このような測定条件において、例えばサンプルAを2次元的に移動させつつ分光測定を行うことによって、サンプルの2次元イメージングが可能となる。また、例えば着目するテラヘルツ波の周波数成分を2THzに変更しようとする場合には、スペクトラムアナライザ52のゼロスパンモードによる測定周波数を20kHzに設定変更するのみで、そのような測定条件の変更を行うことができる。なお、テラヘルツ波分光器による2次元イメージングについては、さらに後述する。
以上のように、本実施形態のテラヘルツ波分光器1によれば、テラヘルツ波発生器10から出射されサンプルAを透過したテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器20の光スイッチ素子20aへのプローブ光の照射タイミングを、可変光遅延器40の可動反射部43を所定の振動周波数で駆動することによって振動変化させる。この結果、光スイッチ素子20aからは、周期的に振動変化する検出信号が得られ、この検出信号を分光処理部50のスペクトラムアナライザ52で周波数分析する。ここで、検出信号は、試料Aを透過し試料Aにて影響を受けたテラヘルツ波と同形・スケール変換された時間波形を有しているので、その周波数分析を行うことにより、テラヘルツ波自体の周波数分析をリアルタイムで行うことができる。
このように、本実施形態によるテラヘルツ波分光器1は、第一に、可変光遅延器40によるプローブ光の照射タイミングの変化を、所定の周波数によって周期的かつ連続的に変化・走査する振動とし、テラヘルツ波の時間波形及び周波数スペクトルを、直接的に処理しやすい時間スケール及び周波数スケールに変換することを可能にしている。
第二に、スケールが変換されたのみでテラヘルツ波と同形または準同形な時間波形及び周波数スペクトルを有する検出信号に対して、スペクトラムアナライザ52という周波数分析装置を適用して測定を行うことによって、テラヘルツ波についての周波数スペクトル測定を実現している。したがって、FFT演算や、A/D変換器・DSPなどの装置構成を用いることなく、簡単化された装置構成によるリアルタイム計測が可能となる。また、スペクトラムアナライザ52においては、狭帯域検出を行うなど様々な検出条件が設定可能であるので、分光測定のS/N比を向上させた高精度の計測を行うこともできる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第8(A)図〜第9(B)図に基づき説明する。
第8(A)図は、本発明の第2の実施形態に係るテラヘルツ分光器1の構成図である。なお、第1の実施形態のテラヘルツ分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、テラヘルツ波発生器10、テラヘルツ波検出器20、及び各光学系30,35,38等については第1の実施形態と同様である。しかしながら、分光処理部50においては、検出信号の周波数分析を行う周波数分析装置として、スペクトラムアナライザ52ではなく、狭帯域のバンドパスフィルタ54が用いられている。
スペクトラムアナライザ52を適用した第1の実施形態では、上述のように、テラヘルツ波の特定の周波数に着目して分光測定を行いたい場合、スペクトラムアナライザ52の測定モードをその周波数に対応した検出信号の周波数成分のみを選択的に測定するようにゼロスパンモードに設定することによって、そのような測定を実現することができる。さらに、着目する周波数f1があらかじめわかっている場合には、スペクトラムアナライザ52ではなく、本実施形態のように、その周波数f1の成分を選択する狭帯域などのバンドパスフィルタ54を適用することが可能となる。
バンドパスフィルタ54を用いることによれば、スペクトラムアナライザ52の場合と比較して、装置をさらに簡単化・低価格化することが可能であり、その集積回路化もさらに容易となる。
バンドパスフィルタ54としては、オペアンプ(演算増幅器:OPアンプ)を用いたアクティブフィルタとすることによって、高い共振特性を容易に得ることができる。例えば、バンドパスフィルタ54は、第8(B)図に示すように、OPアンプOPと、受動素子である抵抗R1,R2,R3、及び、容量C1,C2とから構成することができる。電流―電圧変換アンプ51からの検出信号(電圧)がバンドパスフィルタ54の入力端子VINに入力すると、この入力検出信号のうち、抵抗R1,R2,R3の抵抗値と容量C1,C2の容量値とで決まる周波数の信号のみが、出力端子VOUTから出力される。
本実施形態においては、このバンドパスフィルタ54の出力端子VOUTが、図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換器を介して解析装置53に接続されている。したがって、解析装置53は、当該出力端子VOUTからの出力信号をA/D変換して得られたデジタル数値データを受け取る。このデジタル数値データは、バンドパスフィルタ54にて選択された検出信号周波数に対応する周波数成分のテラヘルツ波の強度を示している。つまり、所定サンプルAの当該テラヘルツ波周波数成分についての分光特性を示している。解析装置53は、バンドパスフィルタ54にて選択されている周波数値を、対応するテラヘルツ波の周波数値に換算する演算処理をしたり、その換算周波数値をさらに波長値へ換算する、等の所定のデータ処理を行う。この結果、サンプルAについてのテラヘルツ波の所定周波数における透過分光特性データが得られる。こうして得られた透過分光特性データは、サンプルAの物理的及び化学的情報を示している。
なお、バンドパスフィルタ54は、受動素子である抵抗R、容量C、及びインダクタLのみで構成しても良い。
さらに、可変光遅延器40の駆動条件を制御することによって、テラヘルツ波の各成分のうち測定の対象として着目する成分の周波数値を、設定または変更することが可能である。この目的のため、本実施形態においても、解析装置53の制御部53aが、可変光遅延器40でのプローブ光路長の振動周波数fsを変更・設定することができるようになっている。
ここで、第9(A)図〜第9(B)図に、プローブ光路長の振動周波数fsの変更により、テラヘルツ波検出器20より得られる検出信号の周波数スペクトルがどのように変化するかを示す。第9(A)図は、可変光遅延器40の振動周波数fs=0.5kHzに設定した場合の検出信号の周波数スペクトル(第7図に示したものと同じ)であり、このとき、検出信号の周波数10kHzはテラヘルツ波の1THzの周波数成分に対応している。ここで、振動周波数fsを、振動の位置振幅(最大位置移動)をそのままにして0.5kHzから0.75kHzに設定変更する。すると、検出信号の周波数スペクトルは、第9(B)図のようになる。このとき、検出信号の周波数10kHzはテラヘルツ波の0.67THzの周波数成分に対応している。
すなわち、本実施形態のように、バンドパスフィルタ54として装置構成が固定したものを用いる場合には、バンドパスフィルタ54によって測定(選択)できる検出信号の周波数は、例えば、10kHz等、所定の値に固定されてしまう。そこで、制御部53aが、可変光遅延器40によるプローブ光の光路長・照射タイミングの振動周波数を制御できるようにしている。例えば、振動周波数fsを、上述のように、0.5kHzから0.75kHzに変更すると、バンドパスフィルタ54を置き換えることなく、周波数スペクトルの周波数スケールとテラヘルツ波の周波数スペクトルとの対応関係を変換し、テラヘルツ波の着目周波数を1THzから0.67THzに変更することができるのである。
なお、解析装置53は、制御部53aが変更・設定した振動周波数値fsに基づいて、バンドパスフィルタ54が選択した検出信号の周波数値を、テラヘルツ波の着目周波数値に換算する。当該テラヘルツ波着目周波数成分に対する検出信号強度は、サンプルBの当該着目周波数についての分光特性を示している。
また、このような測定周波数の変更は、第1の実施形態のスペクトラムアナライザ52を用いた装置構成においても同様に可能となっている。すなわち、制御部53aが可変光遅延器40での光路長の振動周波数fsを変更することによって、テラヘルツ波の各成分のうち測定の対象として着目する周波数成分を自由に変更することが可能となっている。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第10図に基づき説明する。
第10図は、本発明の第3の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第1の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、励起光学系30については第1の実施形態と同様であり、また、テラヘルツ波発生器10及びテラヘルツ波検出器20としても、第1の実施形態と同様に、光スイッチ素子10a及び20aが用いられている。しかしながら、プローブ光学系35においては、対物レンズ21の後段に、プローブ光の進行方向を変更させるための反射鏡33が設けられている。また、テラヘルツ波の光学系38においては、軸外し放物面鏡13,23を用いず、また、光スイッチ素子10a及び20aは互いに対向するように配置されている。
テラヘルツ波発生器用の光スイッチ素子10aから出射されたテラヘルツ波は、テラヘルツ波光路38において、出射レンズ12を経て、集束レンズ14によってサンプルBのある一つの位置に集束されつつ照射・透過された後、集束レンズ24によって集束されつつ、入射レンズ22を経て、テラヘルツ波検出器用の光スイッチ素子20aに入射されるようになっている。このようにテラヘルツ波光学系38を構成することによって、サンプルBの特定の部位についての分光測定を行うことができる。
さらに本実施形態においては、サンプル移動装置56が設けられており、サンプルBを、テラヘルツ波の光軸に対して略垂直なX−Y平面内において2次元方向に移動できるように構成されている。このサンプル移動装置56は分光処理部50の解析装置53によって制御されており、サンプルBの2次元の各部位が順次測定部位とされるようにサンプルBを移動させることによって、サンプルBを走査・測定してサンプルBについての2次元の分光イメージングを行うことができる。すなわち、本実施形態では、ディスプレイなどの表示装置55が、解析装置53に接続されており、2次元分光イメージングの測定画像を表示するようになっている。こうして得られる2次元分光イメージング画像は、サンプルBにおける物理的・化学的特性の2次元分布情報を示している。
このとき、分光処理部50における周波数分析装置としては、上述したスペクトラムアナライザ52またはバンドパスフィルタ54などを適用することが可能である。第10図に示した例においては、それぞれ異なる周波数f1及びf2の成分を選択可能な2つのバンドパスフィルタ54a及び54bが周波数分析装置として用いられている。
例えば、サンプルBにおいてその分布を分光によって測定したい物質が、検出信号の周波数f1に対応する周波数のテラヘルツ波成分を特徴的に吸収し、かつ、別の周波数f2に対応する周波数のテラヘルツ波成分の吸収が小さい特性を有する場合、周波数f1における透過特性と周波数f2における透過特性とをともに計測し、その差分や積などを計算してそれらの相関を求めることによってその物質の分布等をより詳細かつ効率的に得ることができる。得られたサンプルBでの物質分布についての2次元分光イメージB’は、解析装置53に接続されたディスプレイなどの表示装置55によって表示される。
具体的には、サンプルBの各位置に対し、周波数f1における透過特性をバンドパスフィルタ54aにより、また、周波数f2における透過特性をバンドパスフィルタ54bにより計測する。解析装置53が、図示しないA/D変換器を介して、これらバンドパスフィルタ54a及び54bに接続されており、バンドパスフィルタ54a及び54bからの出力信号のA/D変換値を取得する。解析装置53は、こうして得られた2つのデジタル数値の相関値(例えば、差分または積)を計算する。解析装置53は、さらに、サンプルBの位置情報に基づいて、この相関値をイメージ表示するのに必要な処理を行って、処理結果を表示装置55に出力する。表示装置55は、解析装置53の処理結果に基づいて、サンプルB内の物質分布についての2次元分光イメージB’を表示する。
このように複数の周波数成分について測定・比較等を行うことにより、サンプルについてのより詳しい情報を得ることが可能となる。この場合、用いるバンドパスフィルタは2個に限られず、必要に応じて、3個以上の異なる周波数に対応するバンドパスフィルタを設置し、それらからの測定データの相関によって分光解析を行うように構成しても良い。また、周波数分析装置としてスペクトラムアナライザ52を用い、スペクトラムアナライザ52により周波数スペクトルを求めた後に、解析装置53において、その周波数スペクトルから複数の周波数領域を選択して、それら選択された複数の周波数領域における透過特性の相関を求めるといったような同様の処理・解析を行う構成とすることも可能である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第11図〜第12(B)図に基づき説明する。
第11図は、本発明の第4の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第1の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、励起光学系30については第1の実施形態と同様であり、また、テラヘルツ波発生器10としても第1の実施形態と同様、光スイッチ素子10aを用いている。
一方、テラヘルツ波検出器20としては、単一の光スイッチ素子20aではなく、複数の光スイッチ素子20aが2次元に配列されて構成される2次元検出器である光スイッチ2次元配置型CCD装置20cが用いられている。
本実施形態では、テラヘルツ波光路38では、軸外し放物面鏡13を介してコリメート光としてサンプルBに照射・透過されたテラヘルツ波は、集光されずにほぼコリメート光の状態で光スイッチ2次元配置型CCD装置20cに入射する。一方、プローブ光はプローブ光学系35において、可変光遅延器40によってタイミングが調整された後、反射鏡33によって反射され、レンズ25によって拡大された後、レンズ26を介してほぼ平行なコリメート光として光スイッチ2次元配置型CCD装置20cへ入射する。このような構成により、光スイッチ2次元配置型CCD装置20cの各光スイッチ素子20aによって、各位置に入射したテラヘルツ波が検出される。
光スイッチ2次元配置型CCD装置20cは、例えば、第12(A)図に示すように、2次元状に集合・配列された複数のユニット200からなるテラヘルツ波検出部210と、テラヘルツ波検出部210の複数のユニット200からの信号を蓄積するための電荷蓄積部204,電荷蓄積部204からの電荷を読み出すためのCCDシフトレジスタ205,及び、電荷の転送及び読みだしを制御するための読みだし・転送制御部206とから構成されている。
ここで、テラヘルツ波検出部210を構成する各ユニット200は、テラヘルツ波を検出するための光スイッチ201と、電流−電圧変換回路202、及び、バンドパスフィルタ203とから構成されている。ここで、光スイッチ201は、第2(B)図の光スイッチ素子20aと同一の構成をしている。また、電流−電圧変換回路202及びバンドパスフィルタ203は、第8(A)図に示した第2の実施形態における電流−電圧変換アンプ51及びバンドパスフィルタ54と同一の構成を有している。すなわち、ユニット200自体が、周波数分析を行う分光処理部50の機能の一部を有している。
テラヘルツ波検出部210では、複数個のユニット200が、第12(B)図に示されるように、2次元状に配列されており、各ユニット200が一画素に対応し、全ユニット210により1画面を構成している。これら複数のユニット200は、電荷蓄積部204に接続されている。電荷蓄積部204は、例えば、ユニット200と同数の容量(コンデンサー)から構成されており、全ユニット200から送られてくる1画面分の信号電荷を蓄積する。電荷蓄積部204は、CCDシフトレジスタ205に接続されている。CCDシフトレジスタ205は、電荷蓄積部204に蓄積された1画面分の信号電荷を転送するためのものである。読みだし・転送制御部206は、転送クロックパルスと読みだしクロックパルスとを出力することで、電荷の転送/読みだしを制御するためのものである。ここで、転送クロックパルスは、各ユニット200から電荷蓄積部204への電荷の転送、及び、電荷蓄積部204での電荷の転送を制御するための信号であり、読みだしクロックパルスは、CCDシフトレジスタ205による電荷蓄積部204からの電荷の読みだしを制御するための信号である。
かかる構成のもと、光スイッチ2次元配置型CCD装置20cに入射したテラヘルツ波の2次元イメージは、各ユニット200において、光スイッチ201で画素信号として検出された後、電流−電圧変換回路202及びバンドパスフィルタ203によって電流−電圧変換・周波数選択され、電荷蓄積部204を介してCCDシフトレジスタ210で転送され、2次元電荷イメージとして分光処理部50の解析装置53へ出力される。こうして得られた2次元電荷イメージは、テラヘルツ波が透過したサンプルBの2次元イメージ情報に対応している。
このように、本実施形態によれば、サンプルBを移動装置等によって駆動することなく、一度に、テラヘルツ波による2次元イメージングを行うことが可能となっている。また、上述のような第12(A)〜12(B)図の構成要素は比較的簡単化されているので、集積回路化が容易であり、低価格でテラヘルツ波分光イメージングシステムを構築することが可能となる。
なお、テラヘルツ波検出器として光スイッチ2次元配置型CCD装置20cを1次元検出器に置き換えれば、同様に1次元イメージの計測を行うことができる。
上述の第1〜第4実施形態においては、テラヘルツ波発生器10及びテラヘルツ波検出器20としていずれも光スイッチ素子10a及び20aを用いていたが、それ以外にも例えば電気光学結晶(EO結晶、Electro-Optic Crystal)を用いるなど、様々な構成によるテラヘルツ波の発生器・検出器を用いることができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第13図に基づき説明する。
第13図は、本発明の第5の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第1の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態においては、テラヘルツ波発生器10としてはEO結晶10bを、また、テラヘルツ波検出器20としてはEO結晶20bを用いている。
このように、EO結晶10bをテラヘルツ波発生器10として用いる場合には、パルス光源100よりフェムト秒光パルスなどの励起光をEO結晶10bに入射させて、逆ポッケルス効果による光整流作用によってテラヘルツ波を発生させることができる。
また、EO結晶20bをテラヘルツ波検出器20として用いる場合には、テラヘルツ波の電界によってEO結晶20b内にポッケルス効果が生じる。その結果、EO結晶20b内に複屈折率変化が起きる。そこで、所定の偏光状態とされたプローブ光をEO結晶20b中に通過させ、通過後のプローブ光の強度変化を測定することによって、EO結晶20bに入射したテラヘルツ波を検出する。
このようにEO結晶を用いた場合には、光スイッチ素子を用いた場合に比べて、より高い周波数(短い波長)のテラヘルツ波を発生・検出することが可能である。
本実施形態では、パルス光源100からの励起光は、対物レンズ11を介して、テラヘルツ波発生器10を構成するEO結晶10bに入射する。このとき、EO結晶10bには逆ポッケルス効果によって光整流作用が生じて、分光に用いるテラヘルツ波が発生する。発生したテラヘルツ波は、出射レンズ12及び軸外し放物面鏡13を介してコリメート光としてサンプルAに照射・透過し、軸外し放物面鏡23及び入射レンズ22を介してテラヘルツ波検出器20を構成するEO結晶20bに入射する。
EO結晶20bの入射レンズ22側(テラヘルツ波入射側)の面には、プローブ光を反射可能な誘電体多層膜鏡27が蒸着によって形成されている。プローブ光は、可変光遅延器40によって、その照射タイミングが周期的に変化・振動するようになっており、さらに、偏光ビームスプリッタ61によって直線偏光にされて、対物レンズ21を介してEO結晶20bに入射する。このとき、EO結晶20bにテラヘルツ波が入射していると、その電界によりEO結晶20b内にポッケルス効果が生じ、複屈折率変化が生じる。
プローブ光は、このEO結晶20b内を通過して誘電体多層膜鏡27で反射し、再びEO結晶20b内を通過して出射するが、複屈折率変化が生じているEO結晶20b内を通過することによって、その偏光状態が変化する。偏光状態が変化したプローブ光は、偏光ビームスプリッタ61に入射して、そのうちの元の偏光状態に対して直交している直線偏光成分が所定の方向に反射・出力する。この偏光ビームスプリッタ61から出力したプローブ光成分の光量を、ホトダイオード等、光量を電圧あるいは電流に変換するための光検出器60で検出・測定することによって、EO結晶20bに入射したテラヘルツ波を検出することができる。
光検出器60は分光処理部50のスペクトラムアナライザ52及び解析装置53に接続されており、テラヘルツ波検出器20として光スイッチ素子20aを用いた場合と同様にして、周波数分析及び分光解析等が行われる。また、周波数分析装置としては、スペクトラムアナライザ52の代わりに、第2または第3の実施形態のように単一または複数のバンドパスフィルタ54を用いてもよい。また、例えばテラヘルツ波発生器10を光スイッチ素子10a、検出器20をEO結晶20bとする構成なども可能である。また、その逆に、テラヘルツ波発生器10をEO結晶10b、検出器20を光スイッチ素子20aとするのでもよい。
なお、EO結晶をテラヘルツ波の発生・検出に用いる場合にはEO結晶の結晶方位と、励起光、プローブ光、及びテラヘルツ波の偏光方向とが一定の関係を満たすように配置することが好ましい。このため、励起光学系30やプローブ光学系35、及び、光源100からビームスプリッタ31によって励起光及びプローブ光が分岐されるまでの光路上に、光パルスの偏光状態を調整するための波長板、偏光子、ソレイユバビネ補償板などの光学要素などを適宜設置しても良い。
また、用いるEO結晶としては、ZnTe、GaPやDASTなど、様々なものを適用可能である。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第14図に基づき説明する。
第14図は、本発明の第6の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第5の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、テラヘルツ波発生器10、テラヘルツ波検出器20、各光学系30,35,38、及び分光処理部50については第5の実施形態と同様であるが、テラヘルツ波検出器20を構成するEO結晶20bを通過した後のプローブ光の検出方法が異なっている。
本実施形態においては、EO結晶20bを通過し誘電体多層膜鏡27によって反射されたプローブ光は、反射鏡62によって所定の方向に光路変更される。なお、反射鏡62の代わりにビームスプリッタ等を用いても良い。このプローブ光は所定の波長板63を通過して所定の偏光状態とされた後、偏光ビームスプリッタ64によって分岐されて、分岐された2つのプローブ光成分の光量がそれぞれ光検出器60a及び60bによって検出・測定される。
このとき、EO結晶20bへのテラヘルツ波の入射によってプローブ光の偏光状態が変化すると、プローブ光の偏光ビームスプリッタ64による分岐成分の光量比等の相関が変化する。したがって、2つの光検出器60a及び60bからの検出信号出力の相関とその変化を測定することによってテラヘルツ波及びその強度を測定することができる。
本実施形態においては、光検出器60a及び60bは差動アンプ65に接続されており、これによって上記のような測定を実現している。このように、EO結晶を用いるとともに偏光ビームスプリッタ64によって分岐されたプローブ光成分の差分及びその変化によってテラヘルツ波を検出する構成とすることにより、プローブ光の光源であるレーザ100の強度雑音の影響などを、測定データの差分をとることによってキャンセルして、測定の精度・S/N比を向上させることが可能である。差動アンプ65は分光処理部50のスペクトラムアナライザ52及び解析装置53に接続されて、他の実施形態と同様に周波数分析及び分光解析が行われる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第15(A)図及び第15(B)図に基づき説明する。
第15(A)図は、本発明の第7の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第5の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、励起光学系30については第5の実施形態と同様であり、また、テラヘルツ波発生器10としてはEO結晶10bが用いられている。しかしながら、テラヘルツ波検出器20としては、サンプルBに対応した所定の大きさを有することで2次元イメージングが可能となっている2次元検出用のEO結晶20dが用いられている。
テラヘルツ波発生器10を構成するEO結晶10bから発生・出射されたテラヘルツ波は、テラヘルツ波光路38において、軸外し放物面鏡13a及び13bによって拡大された後、軸外し放物面鏡13cによってほぼ平行なコリメート光とされてサンプルBに照射・透過される。サンプルBを通過したテラヘルツ波は、集光されずにコリメート光の状態でテラヘルツ波検出器20を構成する2次元検出可能なEO結晶20dに入射する。一方、プローブ光は、プローブ光学系35において、反射鏡33で反射され、レンズ25によって拡大された後、レンズ26を介してほぼ平行なコリメート光とされ、偏光ビームスプリッタ61及び波長板66によって所定の偏光状態とされてEO結晶20dへと入射する。
EO結晶20dに形成された誘電体多層膜鏡27によって反射されたプローブ光は、再び波長板66を通過し、第13図に示した第5の実施形態の場合と同様に、偏光ビームスプリッタ61によって、一部のプローブ光成分が反射・出力される。偏光ビームスプリッタ61から出力されたプローブ光成分は、光検出器2次元配置型CCD装置67によって2次元イメージとしてその光量が検出・測定され、テラヘルツ波による2次元イメージングが実現される。
ここで、光検出器2次元配置型CCD装置67は、第15(B)図に示すように、第4の実施形態において採用した光スイッチ2次元配置型CCD装置20cと略同一の構成を有している。但し、光検出器2次元配置型CCD装置67は、光スイッチ2次元配置型CCD装置20cとは異なり、光スイッチ201の代わりに、第5の実施形態(第13図)で採用した光検出器60と同一構成の光検出器260を備えている。すなわち、光検出器2次元配置型CCD装置67では、各画素に対応したユニット200が、光検出器260と、光検出器260からの検出電流を電流−電圧変換する電流−電圧変換回路202と、電流−電圧変換回路202からの電圧信号のうち所定の周波数の信号を選択するバンドパスフィルタ203とから構成されている。かかる構成を有する複数のユニット200は、第12(B)図に示した光スイッチ2次元配置型CCD装置20cと同様に、2次元状に配列され、電荷蓄積部204及びCCDシフトレジスタ部205を介して、解析装置53に接続されている。
なお、波長板66としては、例えばプローブ光に対して往復で1/4波長の位相差を与えるために1/8波長板を用いることが好ましい。これらの波長板等の設定については、プローブ光の偏光状態やEO結晶の結晶方位等に応じて適宜変更して良い。
また、本実施形態においては、サンプルBの大きさに対応した大面積を有するEO結晶を用いて、2次元イメージを1度に取得するテラヘルツ波イメージングについて記載した。しかしながら、光スイッチ素子を用いた場合について第10図を参照して説明した場合のように、テラヘルツ波を集光してサンプルの一つの位置に照射するとともにサンプルを2次元方向に移動させることによってサンプル上の位置を走査しながら行う2次元イメージングに対しても、EO結晶を同様に適用することが可能である。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を第16図〜第17図に基づき説明する。
第16図は、本発明の第8の実施形態に係るテラヘルツ波分光器1の構成図である。なお、第5の実施形態のテラヘルツ波分光器1と同一又は同等な構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態は、テラヘルツ波発生器10、テラヘルツ波検出器20、プローブ光学系35、テラヘルツ波光学系38、光検出器60、及び分光処理部50については第5の実施形態と同様である。しかしながら、励起光学系30においては、その励起光の光路に対して所定の位置に光チョッパ71が挿入・配置されている。
テラヘルツ波を用いた分光測定において、励起光及びプローブ光の光源100となるフェムト秒パルスレーザなどが持つ雑音・ノイズ光が問題となる場合がある。特に、1/fノイズといわれる低周波数領域での大きなノイズが存在するが、このようなノイズは特に可変光遅延器40による測定の振動周波数が1kHz以下である場合に、その測定のS/N比を悪化させる原因となる。
このような問題に対して、励起光学系30において第16図に示すように光チョッパ71を設置して、励起光のON/OFFをさらに変調・制御する。この光チョッパ71によるON/OFFは光チョッパ駆動装置72によって、例えば、一定の周波数で駆動制御される。ここで、光チョッパ駆動装置72による光チョッパ71の駆動周波数をf0=5kHz、可変光遅延器40の振動周波数をfs=100Hzとして分光測定を行った場合を考えると、検出信号の周波数分析によって得られる周波数スペクトルは第17図のようになる。
この周波数スペクトルにおいては、光チョッパ71の駆動周波数f0=5kHzを中心とし、その両側に対称に、サイドバンドとして第7図の周波数スペクトルに相当するテラヘルツ波の周波数スペクトルがそれぞれ現れる。これは、FMラジオの周波数変調と類似の方法である。この場合、例えばスペクトラムアナライザ52によって5kHz〜7kHzの周波数範囲を測定してテラヘルツ波の周波数スペクトルを得ることによって、第17図のグラフにも示されている低周波数領域に生じる1/fノイズの影響を受けずに分光測定を行うことが可能となり、S/N比を向上させることができる。なお、第16図に破線にて示したように、光チョッパ駆動装置72を解析装置53に接続して、その駆動周波数等を解析装置53により制御させる構成としても良い。
本発明によるテラヘルツ波分光器は、上記した各実施形態に限られるものではなく、様々な変形・構成の変更が可能である。
例えば、テラヘルツ波の発生及び検出については光スイッチ素子またはEO結晶を用いるものに限らず、量子井戸、電気光学的チェレンコフ放射、コヒーレントフォノン等を利用した発生・検出方法を用いても良い。
また、分光測定についての構成に関しては、上記した実施形態はすべてサンプルAやBの透過特性を測定する構成としたが、例えばサンプルの反射特性を測定するものなど、テラヘルツ波に対しサンプルによる影響を与えることができるような様々な構成とすることができる。
また、可変光遅延器40については、上記した実施形態ではいずれもプローブ光学系35に設置する構成とされていたが、これを、例えば、第18図に示すように、励起光学系30に設置して、励起光のテラヘルツ波発生器10への照射によるテラヘルツ波の発生タイミングを検出タイミングに対して振動変化させても良い。この場合でも、同様のスケール変換と周波数分析装置による測定が可能である。
また、可変光遅延器40の駆動についても、三角波以外にも、第5(B)、(C)、(D)図に示した台形波、正弦波や鋸形波など様々な波形によって振動させることができる。この場合、例えば正弦波など時間と位置振動とがリニアにならず、テラヘルツ波と検出信号との対応が準同形など同形からずれる場合には、検出信号の時間波形を正弦波によって補正してリニアなものに変換するか、または、測定したい時間のフルスケールに比べて充分に大きい振幅で振動させ、その振動中心に近く変化がほぼリニアと見なせる領域のみを用いても良い。
また、振動の周波数についても、可変光遅延器の具体的構成や、スペクトラムアナライザまたはバンドパスフィルタで計測可能な周波数領域に応じて、適宜設定すれば良く、その範囲としては、例えば10Hz〜100kHz程度が好ましい。
プローブ光の照射タイミングを所定の周波数によって振動させるための可変光遅延器40の可動反射部43としては、上述の実施形態では、第4図に示したスピーカ43bを有する構成としている。スピーカは例えば人間の可聴周波数領域である20Hz〜20kHz程度の振動周波数を発生させることができ、光反射部43aを例えばリトロリフレクタなど重量の軽いもので構成すれば、数kHz程度の周波数によって駆動することが可能である。但し、光反射部43aとしてはリトロリフレクタ以外のものを用いても良い。
また、スピーカを用いた構成以外にも、様々な可動反射部43の構成が考えられる。第19図〜第22図に、可動反射部43として、スピーカ以外の構成を用いた例を示す。
第19図は、磁石を用いた可動反射部43の構成を示す。本実施例においては、光反射部45aが、支持台45eに対してバネ45bを介して取り付けられた磁石45cに固定されている。支持台45eの磁石45cに対向する部位には、電磁石45dが固定されている。この電磁石45dを光遅延制御装置44からの駆動信号によって駆動して、光反射部45aの振動を実現する。この構成は、スピーカによる構成と類似の方法によるものであり、例えばコンパクトディスク用の光ピックアップ部に使用されているように、簡単な構造で早い応答時間を得ることができる。
ここで、光反射部45aとしてはリトロリフレクタではなく、より軽い通常のミラーを用いることが好ましい。リトロリフレクタは、入射光がどの方向から入射されても反射光は入射光と反対の方向に出射されるという可動反射部に用いる上での利点を持つ。これに対して、通常のミラーを用いた場合には入射光及び反射光の光路が一般に異なるので、入射光路を光反射部45aに対してできるだけ垂直にするなど注意が必要である。
第20図は、ピエゾ素子を用いた可動反射部43の構成を示す。本実施例においては、ミラーなどの光反射部46aがピエゾ素子46bの一端に固定されている。このピエゾ素子46bの他端は固定部46cに固定されている。ピエゾ素子は電圧が印加されると伸縮するので、光反射部46aは、印加される電圧にしたがって振動する。
第21図は、ピストンを用いた可動反射部43の構成を示す。本実施例においては、ミラーなどの光反射部47aが、筒状部47cの内部に可動に設置されたピストン47bに固定されている。さらに、ピストン47bがクランク機構47dを介してモータ47eに接続されている。したがって、光反射部47aが、モータ47eの回転にしたがって振動する。この可動反射部43の構成は、モータの回転軸にクランク機構を設けて回転をピストンの平行移動に変換する方法であり、レシプロエンジンの逆操作に相当する。特に、ピストン47bの筒状部47cへの接触抵抗を小さくすることによって、高速での振動が可能となる。
第22図は、ミラーの組み合わせにより構成された可動反射部43を示す。本実施例においては、可動ミラー49a及び固定ミラー49bを用いた多重反射方式によって可動反射部43が構成されている。この場合、プローブ光は可動ミラー49aと固定ミラー49bとの間を複数回往復するので、上記したような構成による反射型の可動反射部において充分な遅延時間差を得られない場合にも、本実施例のようなミラー及び光路の構成とすれば、充分に大きな遅延時間差を得ることができる。この例においては、プローブ光は固定ミラー49bで2回反射されて3往復しているので、可動ミラー49aの移動量が0.3mmであればその6倍の1.8mmの光路長変化を得ることができる。
さらに、可変光遅延器40は、反射鏡41,42と可動反射部43と光遅延制御装置44とから構成するのでなくてもよい。例えば、可変光遅延器40は、第23(A)図に示すように、可動透過部48と光遅延制御装置44とから構成するようにしてもよい。これは、反射部41,42、43をプローブ光学系35上に設置できない場合などに有効である。
可動透過部48としては、例えば、第23(B)図に示すようなガラス回転板で構成することができる。ここで、ガラス回転板である可動透過部48は、それぞれガラス板の厚さが異なる16個のガラス領域48a〜48pを有して形成されている。例えば、領域48aのガラス厚さを1.0mmとし、領域48bの厚さを1.3mm、領域48cを1.6mmと0.3mmピッチでガラス厚さを厚くし、領域48aに対向する領域48iで最大厚さの3.4mmとして、領域48j以降は逆に0.3mmピッチでガラス厚さを薄くしていき、領域48aの厚さ1mmに戻る構成とする。ただし、各領域48a〜48p内においては、そのガラス厚さは均一とする。
このようなガラス回転板の可動透過部48を回転させてやることによって、光路長を振動変化させることができる。すなわち、ガラスの屈折率は例えば1.5であるから、その厚さが0.3mm変わると光路長は0.15mm変化して、0.5psの時間遅延を生じる。第23(B)図に示したガラス回転板では、領域48aと領域48iでの遅延時間差は4psとなり、この範囲でのタイミング振動を実現することができる。
なお、各領域の境界は不連続になるが、各領域の面積を充分に小さくすれば実用上問題とはならない。また、遅延時間差をさらに大きくしたい場合には、ガラス厚さの変化ピッチを大きくすれば良い。また、上記の設定において領域48jの厚さを3.7mm、領域48kを4.0mmとし、領域48pで最大厚さの5.5mmとなるように領域48aから領域48pへと光路長が増加していく構成にすることも可能である。この場合、タイミング振動の波形は一方の変化方向のみが緩やかな変化となる鋸形の波形となる。
また、ガラス厚さを、例えば連続的に変化していくように形成しても良い。
上記した可動反射部43,可動透過部48の構成例以外にも、例えばオートコリメータに使用されているような回転する平行ミラー対による光遅延装置(Optics Commun., vol.36, p.406 (1981)参照)や、グレーティング及びガルバノミラーで構成される光遅延装置(Optics Letters, vol.22, pp.1811-1813 (1997) 参照)など、様々な構成により、光路長を可変とする可変光遅延器40を構成することが可能である。
本発明に係るテラヘルツ波分光器は、テラヘルツ波を試料に透過させたり試料で反射させたりする等してテラヘルツ波に試料による影響を与え、その試料による影響を受けたテラヘルツ波を周波数分析することによって、試料内に存在する物質の種類や量、分布等を測定するのに幅広く用いられる。測定対象たる試料としては、気体、液体、及び、固体のいずれをも採用でき、大気汚染や排ガスの測定、水の測定、半導体、誘電体の測定等、多くの試料の測定に幅広く用いられる。
第1図は、本発明の第1の実施形態に係るテラヘルツ波分光器を模式的に示す構成図である。 第2(A)図は、第1図のテラヘルツ波分光器に設けられたテラヘルツ波発生器を構成する光スイッチ素子のテラヘルツ波発生方法を説明するための模式図である。 第2(B)図は、第1図のテラヘルツ波分光器に設けられたテラヘルツ波検出器を構成する光スイッチ素子のテラヘルツ波検出方法を説明するための模式図である。 第2(C)図は、第1図のテラヘルツ波分光器に設けられたスペクトラムアナライザの回路構成を示すブロック図である。 第3(A)図は、テラヘルツ波の時間波形の一例を示すグラフである。 第3(B)図は、テラヘルツ波の周波数振幅スペクトルの一例を示すグラフである。 第4図は、可変光遅延器の可動反射部の一実施例を示す構成図である。 第5(A)図〜第5(D)図は、可動反射部の駆動波形の例を示すグラフであり、第5(A)図は三角波、第5(B)図は台形波、第5(C)図は正弦波、及び、第5(D)図は鋸形波の例を示す。 第6図は、三角波による駆動で得られる検出信号の時間波形を示すグラフである。 第7図は、第6図の時間波形の検出信号から得られる周波数スペクトルを示すグラフである。 第8(A)図は、テラヘルツ波分光器の第2の実施形態を模式的に示す構成図である。 第8(B)図は、第8(A)図に示すテラヘルツ波分光器に設けられているバンドパスフィルタ54の具体例を示す回路図である。 第9(A)図及び第9(B)図は、振動周波数を変更したとき検出信号の周波数スペクトルが変化する状態を示すグラフであり、第9(A)図は、振動周波数=0.5kHzに設定した場合の検出信号の周波数スペクトルであり、 第9(B)図は、振動周波数を、振動の位置振幅をそのままにして0.5kHzから0.75kHzに設定変更した場合の検出信号の周波数スペクトルを示す。 第10図は、テラヘルツ波分光器の第3の実施形態を模式的に示す構成図である。 第11図は、テラヘルツ波分光器の第4の実施形態を模式的に示す構成図である。 第12(A)図は、第11図に示すテラヘルツ波分光器に設けられたテラヘルツ波検出用の光スイッチ2次元配置型CCD装置の構成を示すブロック図である。 第12(B)図は、第12(A)図の光スイッチ2次元配置型CCD装置の一例の回路構成図である。 第13図は、テラヘルツ波分光器の第5の実施形態を模式的に示す構成図である。 第14図は、テラヘルツ波分光器の第6の実施形態を模式的に示す構成図である。 第15(A)図は、テラヘルツ波分光器の第7の実施形態を模式的に示す構成図である。 第15(B)図は、第15(A)図に示すテラヘルツ波分光器に設けられた光検出器2次元配置型CCD装置の構成を示すブロック図である。 第16図は、テラヘルツ波分光器の第8の実施形態を模式的に示す構成図である。 第17図は、第16図に示したテラヘルツ波分光器によって得られる周波数振幅スペクトルを示すグラフである。 第18図は、第1図に示したテラヘルツ波分光器の変更例を模式的に示す構成図である。 第19図は、可変光遅延器の可動反射部の他の実施例を示す構成図である。 第20図は、可変光遅延器の可動反射部の他の実施例を示す構成図である。 第21図は、可変光遅延器の可動反射部の他の実施例を示す構成図である。 第22図は、可変光遅延器の可動反射部の他の実施例を示す構成図である。 第23(A)図は、第1図に示したテラヘルツ波分光器に、可動透過部を備えた可変光遅延器を設けた場合の構成を模式的に示す構成図である。 第23(B)図は、第23(A)図の可動透過部の一実施例を示す構成図である。

Claims (16)

  1. 励起光を導くための所定の励起光学系と、
    該所定の励起光学系で導かれた励起光によってテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、
    該テラヘルツ波発生器で発生されたテラヘルツ波を分光測定を行う試料へ導き、該試料で影響を受けた該テラヘルツ波を更に導くための所定のテラヘルツ波光学系と、
    該励起光に対して同期されたプローブ光を導くための所定のプローブ光学系と、
    該試料で影響を受け該テラヘルツ波光学系により導かれた該テラヘルツ波を、該所定のプローブ光学系で導かれたプローブ光によって検出し、検出信号を出力するテラヘルツ波検出器と、
    該励起光学系に備えられ、所定の駆動周波数で前記励起光のON/OFFを制御するための光チョッパと、
    該励起光学系及び該プローブ光学系のうちのいずれか一つに備えられ、対応する該励起光または該プローブ光の光路長を所定の振動周波数及び所定の振動振幅で振動させることによって、該テラヘルツ波発生器及び該テラヘルツ波検出器のうちの該いずれか一つへの該対応する励起光またはプローブ光の照射タイミングを周期的に振動させる光遅延振動手段と、
    該テラヘルツ波検出器によって得られる検出信号に基づき該試料の分光測定を行う分光処理手段とを備え、
    該分光処理手段が、該振動周波数によって周期的に変化する該検出信号を周波数分析する周波数分析手段を備え、
    該検出信号は、該光チョッパの該所定の駆動周波数の両側に一対のサイドバンドを有する周波数スペクトルを有しており、
    該周波数分析手段が、該検出信号のうち該光チョッパの該所定の駆動周波数に対して定まる所望の周波数成分を周波数ドメイン計測により検出することによって該検出信号の周波数分析を行い、
    該周波数分析手段による周波数分析結果が、該試料の影響を受けた該テラヘルツ波の周波数分析情報を示し、もって、該試料の分光情報を示すことを特徴とする、テラヘルツ波を用いて分光測定を行うテラヘルツ波分光器。
  2. 前記周波数分析手段は、前記検出信号から周波数分析によって前記所望の周波数成分に対する周波数スペクトルを示すデータを生成するためのスペクトラムアナライザからなることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  3. 前記周波数分析手段は、前記検出信号から前記所望の周波数成分を選択するためのバンドパスフィルタからなることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  4. 前記バンドパスフィルタは、複数のそれぞれ異なる所望の周波数成分を選択するための複数のバンドパスフィルタより構成されており、前記分光処理手段が、該複数のバンドパスフィルタによって選択された複数の周波数成分の相関を求める相関解析手段を、更に備えていることを特徴とする請求項3記載のテラヘルツ波分光器。
  5. 前記分光処理手段は、前記光遅延振動手段を制御して前記対応する励起光またはプローブ光の光路長変化の前記振動周波数及び前記振動振幅を設定または変更する周波数振幅設定/変更手段を更に有し、前記周波数分析手段が、その設定または変更された前記振動周波数及び前記振動振幅に基づいて周波数分析を行うことを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  6. 前記テラヘルツ波発生器及び前記テラヘルツ波検出器の少なくとも一方は、光スイッチ素子からなることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  7. 前記テラヘルツ波発生器及び前記テラヘルツ波検出器の少なくとも一方は、電気光学結晶からなることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  8. 前記試料を2次元方向に移動させるための試料移動手段をさらに備え、前記分光処理手段に該試料についての2次元の分光測定を行わせることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  9. 前記テラヘルツ波検出器は、複数のテラヘルツ波検出部が2次元状に配列されて構成された2次元検出器からなり、前記分光処理手段が複数の周波数分析手段を有しており、該複数のテラヘルツ波検出部が、該複数の周波数分析手段にそれぞれ接続され、各周波数分析手段が、対応するテラヘルツ波検出部によって得られた検出信号に対する周波数分析を行うことによって、前記試料についての2次元の分光測定を行うことを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  10. 前記周波数分析手段は、前記光チョッパの前記所定の駆動周波数に対して定まる前記所望の周波数成分として、前記一対のサイドバンドが有する所望の周波数成分を検出することを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  11. 前記分光処理手段が、前記周波数分析手段による前記検出信号の周波数分析結果に基づいて、前記試料の分光情報を示す該試料の影響を受けたテラヘルツ波の周波数分析情報を求める解析手段を更に備えていることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  12. 前記分光処理手段は、前記光チョッパの駆動周波数を制御するチョッパ周波数制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  13. 前記分光処理手段は、前記光遅延振動手段の前記振動周波数を、前記スペクトラムアナライザが分析可能な周波数領域に基づいて設定する振動周波数設定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項記載のテラヘルツ波分光器。
  14. 前記スペクトラムアナライザは、ゼロスパンモードに設定されていることを特徴とする請求項記載のテラヘルツ波分光器。
  15. 前記周波数分析手段は、前記所望の周波数成分を選択するバンドパスフィルタからなり、
    前記分光処理手段が、前記光遅延振動手段を制御して、前記対応する励起光またはプローブ光の光路長変化の前記振動周波数の値を、該バンドパスフィルタが選択する該所望の周波数成分の周波数値に対応した値に、設定または変更する周波数設定/変更手段を更に有することを特徴とする請求項記載のテラヘルツ波分光器。
  16. 前記テラヘルツ波検出器は、複数のテラヘルツ波検出部が2次元状に配列されて構成された2次元検出器からなり、前記分光処理手段が複数のバンドパスフィルタを有しており、該複数のテラヘルツ波検出部が、該複数のバンドパスフィルタにそれぞれ接続され、各バンドパスフィルタが、対応するテラヘルツ波検出部によって得られた検出信号に対する周波数ドメイン計測を行い、前記所望の周波数成分を選択することによって、前記試料についての2次元の分光測定を行うことを特徴とする請求項記載のテラヘルツ波分光器。
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