JP4368006B2 - カット野菜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カット野菜の製造・管理方法による生菌数管理と鮮度維持技術に関する。更に詳細には、本発明はカット野菜の原料の収穫から配送、下処理、一次殺菌、カット、洗浄、2次殺菌、脱水、包装、箱詰めの一連の製造工程、出荷後の管理方法による生菌数管理と鮮度維持に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食生活の多様化や核家族化に伴い、便利性・簡便性を有するカット野菜の需要は急増している。外食産業においても、店舗の厨房面積や人件費の節減、産業廃棄物の削減のためのゴミ処理の減少、調理品の規格統一などを目的としてカット野菜の導入実績は着実に伸びている。このような状況下で、より安全でより衛生的なカット野菜の供給が望まれているが野菜は収穫後も生きており、加工後は特に呼吸量が増大して急速に鮮度が劣化し、細菌による汚染も急速に進む。従来、これら鮮度劣化、細菌による汚染を抑制するため、薬剤による殺菌・鮮度維持処理、低温貯蔵、MA包装等様々な技術が確立されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在市販されているカット野菜の賞味期限は製造日を含めて2〜4日と短く、従来の技術の鮮度維持要因を組み合せても4日目を超す鮮度維持と細菌数のコントロールは困難とされてきた。これは、例えばカット野菜の原料となる野菜が加工場に入る段階ですでに原料1g当りの一般生菌数で10 6 〜10 8 以上の汚染が確認されており、従来の技術を組み合わせてこれら原料を加工しても、加熱等の決定的な殺菌工程のないカット野菜については、長期に渡り所定の品質を保持することは不可能とされていた。一方、食品の細菌数については、各都道府県においてそれぞれ基準が設けられ、例えば東京都、大阪府等の大都市のほとんどがサラダ、生野菜について食品1g当りの一般生菌数を10 5 以下と定め、また大手スーパー等の惣菜売場では取扱商品の基準を独自に一般生菌数10 4 以下と厳しく設定している所が多いため、これら所定の管理基準を満たし、尚且つ消費期限をできるだけ延長することが切望されてきた。
【0004】
本発明は、原料段階での野菜の取扱を徹底的に管理し、野菜の収穫後、処理、物流、販売までの品温を、ボツリヌス菌等の食中毒原因細菌が不活性となる4℃以下の低温にて一貫して保持することにより、カット野菜を9日間以上保持する技術を確立し、商品として品質保持期限7日間以上で販売できるための体制を構築し、消費者に対してより安全でより衛生的なカット野菜を供給すること目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果成し遂げられたものであり、
カット野菜の鮮度維持のため原料収穫から製品出荷、配送に至るまで一貫した生菌数管理を行うカット野菜の製造方法において、収穫後工場搬入前の野菜を袋状のもので包装することを特徴とするカット野菜の製造方法、
カット野菜の鮮度維持のため原料収穫から製品出荷、配送に至るまで一貫した生菌数管理を行うカット野菜の製造方法において、野菜を収穫後3時間以内に4°C以下まで冷却し、24時間以内に工場へ搬入することを特徴とするカット野菜の製造方法、
カット野菜の鮮度維持のため原料収穫から製品出荷、配送に至るまで一貫した生菌数管理を行うカット野菜の製造方法において、以下の工程すなわち(1)野菜を収穫後ビニール包装し、次いで(2)3時間以内に4°C以下まで真空冷却を行い、24時間以内に4°C以下で工場へ搬入し、次いで(3)一貫した温度管理条件下でカット野菜製造の下処理、一次殺菌、カット、洗浄、2次殺菌、脱水、包装、箱詰めの各工程を行い、次いで(4)4°C以下の一貫した低温輸送で店舗まで配送し、次いで(5)店舗において4°C以下の一貫した低温温度管理下で保存する一連の工程を含むことを特徴とするカット野菜の製造方法、ならびに
上記の各製造方法によって製造されたカット野菜類をその要旨とする。
【0006】
すなわち、本発明者らは、野菜の生産、収穫、処理、物流、販売までの野菜の取扱方法、製造方法及び保存方法を一貫して管理し、とりわけ野菜の収穫後工場搬入前の取扱いを工夫することによってカット野菜の生菌数をコントロールし、なおかつ鮮度を長期間維持して、商品としての品質保持期限を著しく延長できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
原料野菜は、レタス類、キャベツ、タマネギ類、ダイコン、ニンジン、ホウレンソウ、キュウリ、ハーブ類等低温貯蔵により鮮度維持が可能な種々の野菜を含む。前記(1)工程の原料野菜の収穫に際しては、人的な細菌汚染を防ぐ目的により手袋やマスク等の着用して行ったが、その効果については通常の収穫方法の場合と明確な差異は得られない。レタス類、キャベツについては、収穫時に畑にて鬼葉を除去する。収穫した原料野菜は、人的な細菌汚染を防ぐため直ちにポリエチレン製の袋に入れ(封はしない)、次いで(2)収穫後、例えば5時間以内に、好ましくは3時間以内に真空予冷機に供し、品温を例えば10℃以下、好ましくは4℃以下(0℃以上)まで下げて再度ポリエチレン製の袋で外装する。真空予冷した野菜は直ちに氷又は保冷剤を入れた発砲スチロールに入れて出荷時まで4℃以下、0℃以上の冷蔵庫にて保管することが好ましいが、保冷ケースを使用したりカゴテナーケースに直接入れ、直ちに4℃以下、0℃以上で管理されている保冷車の冷蔵庫に保管してもよい。出荷後は保冷車の冷蔵庫内の温度を常に4℃以下、0℃以上に保った状態で好ましくは24時間以内に加工場まで搬入する。工場への搬入は、ドッグシェルターを利用し、品温が4℃以上に上昇しないよう速やかに4℃以下、0℃以上の原料用冷蔵庫に搬入、保管する。
【0008】
工場内の処理工程(3)については、工場内の冷蔵庫を除く各処理室の室温を例えば20℃以下に、好ましくは15℃以下に、最も好ましくは10℃以下に保持した状態で行う。下処理工程から2次殺菌工程については、野菜処理室として完全に包装室と隔離された処理場にて作業を行う。まず下処理工程として、レタス類、キャベツ等の外葉と芯、タマネギ、ダイコン、ニンジン等の皮、葉など各原料野菜の不過食部分を除去し、次いで一次殺菌工程として例えば50ppm〜200ppm、好ましくは100ppmに調製した次亜塩素酸ナトリウム溶液に例えば5分〜15分、好ましくは10分間浸漬し、最も細菌による汚染の可能性の高い外側を中心に一次殺菌を行う。この場合、下処理工程に使用する刃物は原料野菜の切口の褐変を防ぐため鉄製のものの使用を避け、好ましくはステンレス製のものを使用する。次いでカット工程では各野菜の商品規格に応じてスライサー又は包丁等を使用してカットする。このカット工程においても前記同様好ましくはステンレス製の刃を使用する。カットした野菜は、異物除去、不可食部分の除去を目的とした検品を人の目で行う。
【0009】
次いで洗浄工程・殺菌工程では、連続型バッチ式野菜洗浄機の6槽タイプのものを使用し、前工程にてカットした野菜の洗浄・2次殺菌を行う。洗浄・2次殺菌に使用する水は野菜の品温の上昇を防ぐため例えば10℃以下、好ましくは4℃以下のチラー水を使用し、第1槽目ではバブリングと水流により異物の除去を、第2槽目ではバブリングにより再度異物の除去を、第3槽目、第4槽目ではチラー水に次亜塩素酸ナトリウムを添加し、例えば100ppm〜200ppm、好ましくは200ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液としてバブリングを行いながら2次殺菌を、第5槽目ではバブリングにより前槽の次亜塩素酸ナトリウム溶液のすすぎを、第6槽目では前槽処理時までに上昇したpHを下げ褐変を抑制するために、例えば酢酸を主成分とするpH調製剤をチラー水に添加し、例えばpH7.0〜pH5.8に、好ましくはpH5.8〜6.0に調製した水溶液中でバブリングを行いながらpH調製処理を行う。各槽の処理時間は好ましくは2分間とし、連続して処理する。
【0010】
次いで脱水工程、包装工程については、包装室として完全に処理室、箱詰め室と隔離された場所にて作業を行う。まず脱水工程では、遠心分離機型脱水機を使用し、例えば300rpm〜800rpm、好ましくは500rpmの回転数で例えば15秒〜60秒、好ましくは30秒〜40秒の条件で脱水処理を行う。次いで計量・包装工程では人的汚染を防ぐため、好ましくは自動計量機を使用し、次いで自動包装機によって包装する。この場合、内容や野菜の呼吸を抑制し鮮度を維持するために、包装に使用する包材は例えばポリエチレンフィルム等酸素、二酸化炭素にある程度の透過性があるフィルムを使用して含気包装を行う。必要に応じて、フィルム内を例えば90%から100%の窒素で置換して包装してもよい。包装されたカット野菜は金属チェッカー、重量チェッカーに供し、ベルトコンベアーにて箱詰め室に搬入される。次いで箱詰め工程では、箱詰め室として完全に処理室、包装室と隔離された場所にて作業を行う。まず目視による異物チェックとシール不良のチェックを行い、ダンボールに詰めた後、出荷時まで4℃以下、0℃以上の製品用冷蔵庫に保管する。ダンボールの変わりに氷や保冷剤を入れた発砲スチロールを使用してもよい。
【0011】
次いで(4)店舗までの輸送工程では、まず商品の出荷時、保冷庫を予め4℃以下に冷却した保冷車にドッグシェルターを利用して速やかに積み込み、冷蔵庫内を4℃以下、0℃以上に保持した状態で物流センター、又は店舗まで搬送する。物流センターを経由する場合、同様に荷物の積み下ろし、積み込みにはドッグシェルターを利用し、保冷庫、予め4℃以下に冷却した保冷車に速やかに積み替える。
物流センターの作業室の室温は例えば20℃以下に、好ましくは15℃以下に、最も好ましくは10℃以下に設定する。積み下ろしから積み込みまで時間が空く場合には一旦4℃以下、0℃以上の冷蔵庫に保管するのが好ましい。物流センターから各店舗までについても同様に冷蔵庫内を4℃以下、0℃以上に保持した状態で配送する。次いで(5)店舗における一貫した温度管理については、商品搬入後、商品を常温に放置することなく速やかに4℃以下、0℃以上の冷蔵庫に搬入し、品出し時まで保管する。品出しの際も品温の上昇を防ぐため速やかに4℃以下、0℃以上の冷蔵ケースに陳列する。上記方法によって製造、管理されたカット野菜は、店頭での保存9日目の状態でも販売可能な生菌数を維持し、商品鮮度としても販売に絶え得るものである。従って、本発明は、品質保持期限7日間以上での販売を可能とするための商品鮮度維持(腐敗、変敗、変色等の劣化に対する鮮度維持、食味)と生菌数のコントロールを実現できる方法である。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0013】
実施例1:カットレタスの製造、管理(工程概略:表1)
表1:カットレタス収穫−製造−販売工程概略
【表1】
【0014】
原料レタスは、手袋、マスク等を使用しない通常の収穫方法にて収穫後、畑にて鬼葉を除去し、直ちにポリエチレン製の袋に入れ、収穫後3時間以内に真空予冷機に供し、15分間の処理後品温4℃まで冷却されたレタスを得た。冷却したレタスは、袋ごと再度ポリエチレン製の袋に入れ、保冷剤の入った発泡スチロールに入れ、4℃以下の冷蔵庫に保管した。冷蔵保管したレタスは、4℃以下に保冷した冷蔵車にて、収穫後24時間以内に工場まで配送された。
【0015】
工場への原料受入れはドッグシェルターを使用し、10℃以下に管理されたプラットホームを介して2℃の原料冷蔵庫に保管した。
【0016】
原料の下処理・1次殺菌工程では、室温10℃以下に管理された下処理室にて外葉を除去し、100ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸漬した。
【0017】
カット・洗浄・2次殺菌工程では、室温10℃以下に管理された洗浄・殺菌室にて1次殺菌したレタスの芯を除去し、ステンレス製の包丁を使用して4cm〜5cm角にカットし、異物と不可食部分の検品を行った後、6槽式の連続バッチ式野菜洗浄機に投じた。洗浄機にて使用する水は全て5℃以下のチラー水を使用した。1槽目はチラー水のみで残った異物を除去するために水流とバブリングで2分間洗浄した。次いで2槽目はチラー水のみで再度バブリングで2分間洗浄した。次いで3槽目、4槽目は200ppmに調製した次亜塩素酸ナトリウム溶液で各槽2分間2次殺菌を行った。次いで5槽目はチラー水のみで前槽処理までに残留した次亜塩素酸ナトリウム溶液をすすぐためにバブリングで2分間洗浄した。次いで6槽目は次亜塩素酸ナトリウム溶液処理によって上昇したpHを下げ、褐変等を抑制するために、酢酸系のpH調製剤「ホセンV」を添加してpHを5.8〜6.0に調製したものを使用し、バブリングで2分間処理した。
【0018】
脱水工程では、洗浄・2次殺菌後のカットレタスを室温10℃以下に管理された包装室に移し、遠心分離機型脱水機に供し、500rpm,30secの条件で脱水を行った。
【0019】
計量・包装工程では、自動計量器にて±2gの精度の自動計量器にて100g毎に計量し、自動包装機にてポリエチレン製の袋(厚さ40μm)に包装し、金属チェック、重量チェックを行った後にベルトコンベアーにて室温10℃以下に管理された箱詰め室に搬送した。
【0020】
箱詰め工程では、包装不良の検品を行った後、ダンボールに5パックづつ箱詰めし、2℃以下の製品冷蔵庫にて出荷時まで保管した。
【0021】
出荷は、10℃以下に管理されたプラットホームを介し、予め4℃以下に保冷された冷蔵車にドッグシェルターを使用して積み込まれ、庫内温度を4℃以下に維持した状態で物流センターまで搬送された。
【0022】
物流センター到着後、ドッグシェルター、プラットホームを介して予め4℃以下に保冷された冷蔵車に積み替え、庫内温度を4℃以下に維持した状態で店舗まで配送した。
【0023】
店舗到着後、商品は速やかに4℃以下の冷蔵庫に搬送され、品出し時まで保管された。
【0024】
品出しは品温の上昇を防ぐため速やかに行い、4℃以下に管理された冷蔵多段陳列ケースに陳列し、その状態で9日間保持した。
【0025】
(評価試験)
上記各工程ごとのレタスの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coli等の測定と官能検査(褐変、臭気)を行った結果を下記に示す。
【0026】
原料収穫後、ポリエチレン袋での包装と真空予冷処理の効果を確かめるために真空予冷処理区と非処理区、包装区と未包装区の工場入荷時の一般生菌数、大腸菌群、E.coliを測定した結果を表2に示す。
表2:真空予冷の効果確認試験結果
【表2】
この結果、真空予冷処理を施した処理区、ポリエチレン袋で包装した試験区は明らかに細菌の汚染頻度を抑制できると言えた。
【0027】
工場内の使用する機器からの2次汚染がないことを証明するために、各工程の拭き取り検査を行った結果を表3に示す。
表3:各工程の拭き取り検査結果
【表3】
この結果、工場内での各工程で使用した機器からの細菌の二次汚染がないことが証明された。
【0028】
工場内での各処理工程中のレタスの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coli、黄色ブドウ球菌(原料入荷時のみ)、低温細菌(原料入荷時のみ)の測定と官能検査を行った結果を表4に示す。
表4:各処理工程ごとのレタスの細菌検査、官能検査結果
【表4】
【0029】
出荷・店舗配送・陳列後のレタスの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coliの測定と官能検査を行った結果を表5に示す。
表5:店頭陳列保存テスト結果
【表5】
上記結果により、本工程にて処理されたカットレタスは、店頭保存9日目においても一般生菌数は10 2 以下で、大腸菌群、E.coliともに陰性であり、販売可能な商品として十分耐え得ることが証明された。
【0030】
本工程との比較例として、真空予冷を行わず冷蔵車を使用して原料を工場に配送し、工場内では本工程と同じ処理を施し、7℃のケース内で9日間の保存テストを行った結果を表6に、4℃のケース内で9日間の保存テストを行った結果を表7に示した。
表6:対象区(7℃保存)試験結果
【表6】
表7:対象区(4℃保存)試験結果
【表7】
この結果、7℃試験区では保存4日目までは一般生菌数10 4 以内を保持したが、7日目以降は10 5 以上となり、9日目には10 7 以上でしかも官能検査においても褐変が確認され、販売に耐え得る商品としては4日目保存の商品までということが確認された。
また、4℃試験区では9日目に一般生菌数10 5 以上となり、本実施例の結果の10 2 以内と比べて明らかに差異があった。
【0031】
上記実施例1の結果を総合すると、真空予冷、原料の包装、一貫した低温管理を組み合わせることによってこれまで各単独の技術だけでは為し得なかったカット野菜の9日以上の保持が可能で、商品として少なくとも品質保持期限7日間以上での販売が可能であることが確認された。
【0032】
実施例2:カットキャベツの製造、管理(工程概略:表8)
表8:カットキャベツ収穫−製造−販売工程概略
【表8】
【0033】
原料キャベツは、手袋、マスク等を使用しない通常の収穫方法にて収穫後、畑にて鬼葉を除去し、直ちにポリエチレン製の袋に入れ、収穫後3時間以内に真空予冷機に供し、15分間の処理後品温4℃まで冷却されたレタスを得た。冷却したレタスは、袋ごと再度ポリエチレン製の袋に入れ、保冷剤の入った発泡スチロールに入れ、4℃以下の冷蔵庫に保管した。冷蔵保管したレタスは、4℃以下に保冷した冷蔵車にて、収穫後24時間以内に工場まで配送された。
【0034】
工場への原料受入れはドッグシェルターを使用し、10℃以下に管理されたプラットホームを介して2℃の原料冷蔵庫に保管した。
【0035】
原料の下処理・1次殺菌工程では、室温10℃以下に管理された下処理室にて外葉を除去し、100ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸漬した。
【0036】
カット・洗浄・2次殺菌工程では、室温10℃以下に管理された洗浄・殺菌室にて1次殺菌したレタスの芯を除去し、ステンレス製のスライサーを使用して2mmの千切りにカットし、異物と不可食部分の検品を行った後、6槽式の連続バッチ式野菜洗浄機に投じた。洗浄機にて使用する水は全て5℃以下のチラー水を使用した。1槽目はチラー水のみで残った異物を除去するために水流とバブリングで2分間洗浄した。次いで2槽目はチラー水のみで再度バブリングで2分間洗浄した。
次いで3槽目、4槽目は200ppmに調製した次亜塩素酸ナトリウム溶液で各槽2分間2次殺菌を行った。次いで5槽目はチラー水のみで前槽処理までに残留した次亜塩素酸ナトリウム溶液をすすぐためにバブリングで2分間洗浄した。次いで6槽目は次亜塩素酸ナトリウム溶液処理によって上昇したpHを下げ、褐変等を抑制するために、酢酸系のpH調製剤「ホセンV」を添加してpHを5.8〜6.0に調製したものを使用し、バブリングで2分間処理した。
【0037】
脱水工程では、洗浄・2次殺菌後のカットキャベツを室温10℃以下に管理された包装室に移し、遠心分離機型脱水機に供し、800rpm,50secの条件で脱水を行った。
【0038】
計量・包装工程では、自動計量器にて±2gの精度の自動計量器にて100g毎に計量し、自動包装機にてポリエチレン製の袋(厚さ40μm)に包装し、金属チェック、重量チェックを行った後にベルトコンベアーにて室温10℃以下に管理された箱詰め室に搬送した。
【0039】
箱詰め工程では、包装不良の検品を行った後、ダンボールに5パックづつ箱詰めし、2℃以下の製品冷蔵庫にて出荷時まで保管した。
【0040】
出荷は、10℃以下に管理されたプラットホームを介し、予め4℃以下に保冷された冷蔵車にドッグシェルターを使用して積み込まれ、庫内温度を4℃以下に維持した状態で物流センターまで搬送された。
【0041】
物流センター到着後、ドッグシェルター、プラットホームを介して予め4℃以下に保冷された冷蔵車に積み替え、庫内温度を4℃以下に維持した状態で店舗まで配送した。店舗到着後、商品は速やかに4℃以下の冷蔵庫に搬送され、品出し時まで保管された。品出しは品温の上昇を防ぐため速やかに行い、4℃以下に管理された冷蔵多段陳列ケースに陳列し、その状態で9日間保持した。
【0042】
(評価試験)
上記各工程ごとのキャベツの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coli等の測定と官能検査(褐変、臭気)を行った結果を下記に示す。
【0043】
工場内の使用する機器からの2次汚染がないことを証明するために、各工程の拭き取り検査を行った結果を表9に示す。
表9:各工程の拭き取り検査結果
【表9】
この結果、工場内での各工程で使用した機器からの細菌の二次汚染がないことが証明された。
【0044】
工場内での各処理工程中のキャベツの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coli、黄色ブドウ球菌(原料入荷時のみ)、低温細菌(原料入荷時のみ)の測定と官能検査を行った結果を表10に示す。
表10:各処理工程ごとのキャベツの細菌検査、官能検査結果
【表10】
【0045】
出荷・店舗配送・陳列後のキャベツの汚染状況、鮮度劣化状況を把握するため、各工程ごとに一般生菌数、大腸菌群、E.coliの測定と官能検査を行った結果を表11に示す。
表11:店頭陳列保存テスト結果
【表11】
上記結果により、本工程にて処理されたカットキャベツは、店頭保存9日目においても一般生菌数は10 3 以下で、大腸菌群、E.coliともに陰性であり、販売可能な商品として十分耐え得ることが証明された。
【0046】
本工程との比較例として、真空予冷を行わず冷蔵車を使用してキャベツを工場に配送し、工場内では本工程と同じ処理を施し、10℃のケース内で5日間の保存テストを行った結果を表12に示した。
表12:対象区(10℃保存)試験結果
【表12】
この結果、10℃試験区では保存4日目で一般生菌数10 6 以上となり、販売に耐え得る商品としては4日目未満の商品までということが確認された。
【0047】
上記実施例2の結果より、真空予冷、原料の包装、一貫した低温管理を組み合わせることによってこれまで各単独の技術だけでは為し得なかったカット野菜の5日以上の保持が可能で、商品として少なくとも9日間以上の販売が可能であることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した実施例によれば、従来長くても4日間程度の消費期限で販売されていたカット野菜が、店頭に到着後例えば9日間程度まで鮮度を維持し、細菌数をコントロールすることができる。これにより、消費者に対してより衛生的でより安全なカット野菜の供給が可能になり、また、消費期限が延長されることにより、小売店舗や外食レストラン等でもこれまで問題とされていた高廃棄率を低減することができる。
Claims (2)
- カット野菜の鮮度維持のため原料収穫から製品出荷、配送に至るまで一貫した生菌数管理を行うカット野菜の製造方法において、以下の工程すなわち
(1)野菜を収穫後ビニール包装し、次いで
(2)3時間以内に4°C以下まで真空冷却を行い、24時間以内に4°C以下で工場へ搬入し、次いで
(3)一貫した温度管理条件下でカット野菜製造の下処理、一次殺菌、カット、洗浄、2次殺菌、脱水、包装、箱詰めの各工程を行い、次いで
(4)4°C以下の一貫した低温輸送で店舗まで配送し、次いで
(5)店舗において4°C以下の一貫した低温温度管理下で保存する
一連の工程を含み、
前記一次殺菌及び前記2次殺菌は、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬することにより行い、
前記2次殺菌の後で前記脱水の前に、バブリングにより前記次亜塩素酸ナトリウム溶液のすすぎを行った後、pH5.8〜6.0に調整した水溶液中でpH調整処理を行う、ことを特徴とするカット野菜の製造方法。 - 前記洗浄では、チラー水を使用したバブリングにより異物の除去を行う、請求項1に記載のカット野菜の製造方法。
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