JP5801992B2 - 野菜の洗浄方法 - Google Patents

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本発明は、葉物野菜を洗浄する野菜の洗浄方法に関する。
スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの小売店では、サラダなどの状態で、生野菜が商品として販売されている。このような生野菜については、流通、陳列にかかる時間および購入してから消費するまでの時間を考慮して、コンビニエンスストアなどでは、洗浄後72時間が経過したときの菌数について、基準が設定されている。
従来技術に係る野菜の洗浄方法では、処理湯を47.5℃にし攪拌流を付加して生野菜類を少なくとも10分間にわたり処理して、さらに内部の酸素を除去する制御低温湯流による生野菜類の洗浄殺菌、褐変防止化低温処理法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
特許第3680111号公報
従来技術に係る野菜の洗浄方法で葉物野菜を洗浄すると、洗浄直後の細菌数を抑えることはできるけれども、数日後には部分的な萎れ、褐変などが発生し、商品価値がなくなってしまうという問題点がある。また温度を47.5℃よりも低い温度に設定し、温度以外の条件を従来技術における条件と同様に設定して野菜を洗浄すると、充分な殺菌効果を得ることができないという問題点がある。
本発明の目的は、洗浄後数日経過しても、商品価値を下げることなく、かつ高効率で菌数を減少させることのできる野菜の洗浄方法を提供することである。
本発明に従えば、野菜の洗浄方法は、原体洗浄工程と、切断工程と、切断後洗浄工程と、すすぎ工程とを含んで構成される。原体洗浄工程は、収穫された葉物野菜の原体を切ることなく、温度が摂氏40度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する工程であって、洗浄時間を2分間以上7分間以下とし、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で前記原体を上下に往復変位させる往復変位段階と、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で前記原体の往復変位を停止させて前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と原体との相対変位がない状態となる次亜塩素酸ナトリウム水溶液の状態を保持する変位停止段階とを繰り返す。切断工程では、原体洗浄工程で洗浄された葉物野菜を切断する。切断後洗浄工程では、切断工程で切断された葉物野菜を温度が摂氏42度以上44度以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する。すすぎ工程では、切断後洗浄工程で洗浄された葉物野菜を水ですすぐ。
また本発明に従えば、葉物野菜が水菜であるときは、原体洗浄工程では、温度が摂氏43度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、水菜を4分間以上7分間以下の洗浄時間に洗浄する。
また本発明に従えば、葉物野菜がレタスであるときは、原体洗浄工程では、温度が摂氏40度以上44度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、レタスを2分間以上6分間以下の洗浄時間に洗浄する。
本発明によれば、原体洗浄工程では、収穫された葉物野菜を切ることなく洗浄する。また原体洗浄工程では、温度が摂氏40度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、2分間以上7分間以下の洗浄時間に葉物野菜を洗浄する。切断後洗浄工程では、切断工程で切断された葉物野菜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する。これによって、洗浄の対象物である葉物野菜に付着する細菌の菌数を効率よく減少させることができる。原体洗浄工程を切断工程よりも先に行うことによって、葉物野菜の表面に付着している細菌を洗い流し、また細菌に損傷を与え、菌数を減少させるので、切断された葉物野菜の切断面から葉物野菜の細胞内または細胞間に侵入する細菌数を減少させることができる。
原体洗浄工程の温度条件を摂氏40度以上46度未満とすることによって、他の温度範囲における洗浄を行う場合に比べて、洗浄後数日が経過した後でも葉物野菜の商品価値が下がることを抑制することができる。また常温の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で洗浄する場合に比べて、葉物野菜の食感を向上させることができる。洗浄時間を2分間以上7分間以下とすることによって、洗浄時間を他の時間に設定する場合に比べて、葉物野菜に傷みが生じることを防止することができる。これによっても、洗浄から数日後の葉物野菜の商品価値が低下することを抑制することができる。
原体洗浄工程は、往復変位段階を含む。往復変位段階では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、葉物野菜を上下方向に往復変位させる。これによって、浸漬して動かさない状態で洗浄する場合に比べて、葉物野菜の葉と葉との間に次亜塩素酸ナトリウムを入させることができ、効率よく洗浄することができる。したがって、洗浄による細菌の減少を確実にすることができ、洗浄後の品質を一定とすることができ、洗浄から数日が経過した後においても、葉物野菜の商品価値が低下することを防止することができる。
切断後洗浄工程では、温度が摂氏42度以上44度以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において葉物野菜を洗浄する。これによって、葉物野菜の食感を向上させることができる。また切断工程によって形成された葉物野菜の切断面を効率よく洗浄することができる。したがって、切断後、常温での洗浄工程を行った場合に比べて、洗浄終了後、数日経過した後の、葉物野菜に付着する細菌の菌数を減少させることができる。
また本発明によれば、葉物野菜は、水菜として定められる。原体洗浄工程では、温度が摂氏43度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、水菜を4分間以上7分間以下の洗浄時間に洗浄する。これによって、原体洗浄工程における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度と洗浄時間とを、特に水菜に適したものとすることができる。したがって、温度および時間に関する条件を他の条件内容に設定する場合に比べて、洗浄後数日が経過した後の水菜の商品価値を向上させることができる。
また本発明によれば、葉物野菜は、レタスとして定められる。原体洗浄工程では、温度が摂氏40度以上44度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、レタスを2分間以上6分間以下の洗浄時間に洗浄する。これによって、原体洗浄工程における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度と洗浄時間とを、特にレタスの洗浄に適したものとすることができる。したがって、温度および時間に関する条件を他の条件内容に設定する場合に比べて、洗浄後数日が経過した後のレタスの商品価値を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る野菜の洗浄方法の各工程を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る原体洗浄工程の各段階を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態および比較例における、洗浄直後の細菌の数を表す図である。 本発明の第1実施形態および比較例における、72時間後の細菌の数を表す図である。 本発明の第1実施形態および比較例における、72時間後の商品価値の判断結果を表す図である。 商品価値のある典型的な水菜と、商品価値のない典型的な水菜とを表す図である。 本発明の第2実施形態に係る野菜の洗浄方法の各工程を表すフローチャートである。 本発明の第2実施形態および比較例における、洗浄直後の細菌の数を表す図である。 本発明の第2実施形態および比較例における72時間後の細菌の数を表す図である。 本発明の第2実施形態および比較例における72時間後の商品価値の判断結果を表す図である。 商品価値のある典型的なレタスの葉と、商品価値を下げる典型的なレタスの葉とを表す図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。第2実施形態以降の説明においては、先行する実施形態ですでに説明している事項に対応している部分については、重複する説明を略す場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。各実施の形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る野菜の洗浄方法の各工程を表すフローチャートである。第1実施形態に係る野菜の洗浄方法は、特に葉物野菜を洗浄する方法である。スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの小売店に対して、カットされた状態の葉物野菜を、たとえばサラダなどの原材料として出荷するときに、野菜を洗浄する必要がある。コンビニエンスストアなどでは、流通、陳列にかかる時間および購入してから消費するまでの時間を考慮して、洗浄後72時間が経過したときの菌数について、基準が設定されている。
また、弁当及びそうざいの衛生規範について、厚生省環境衛生局食品衛生課長通知として、そうざいは、摂氏10度以下又は65度以上の温度条件下で保存することが推奨されており、サラダ、生野菜など未加熱処理のものは、検体1グラム(grams, 略号「g」)につき生きている細菌数が100万以下であることが推奨されている。コンビニエンスストアなどで採用されている基準も、これに則って設定されており、生野菜については、洗浄後、摂氏10度以下の条件下で72時間経過した後の細菌数が100万以下であることが求められている。さらに同条件下で細菌数が10万以下であるものについては、商品価値の水準として高いランクに位置づけられることが多い。以下、摂氏の温度の単位として、「℃」を用いる。
野菜の洗浄方法は、原体洗浄工程と、切断工程と、切断後洗浄工程と、すすぎ工程とを含んで構成される。原体洗浄工程では、収穫された葉物野菜を切ることなく洗浄する。また原体洗浄工程では、温度が40℃以上46℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、2分間以上7分間以下の洗浄時間に葉物野菜を洗浄する。切断工程では、原体洗浄工程で洗浄された葉物野菜を切断する。切断後洗浄工程では、切断工程で切断された葉物野菜を温度が摂氏42度以上44度以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する。すすぎ工程では、切断後洗浄工程で洗浄された葉物野菜を水ですすぐ。
第1実施形態においては、葉物野菜は、水菜10として定められる。原体洗浄工程では、温度が43℃以上46℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、水菜10を4分間以上7分間以下の洗浄時間に洗浄する。原体洗浄工程は、往復変位段階と、変位停止段階とを含む。往復変位段階では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、葉物野菜を往復変位させる。変位停止段階では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、葉物野菜を、変位停止状態とする。変位停止状態は、変位が停止した状態である。
第1実施形態においては、収穫された葉物野菜で、葉、茎および花の部分に関して刃物または手指によって切る操作が施されていない葉物野菜を、「原体」と称する。根については、刃物または手指によって切る操作が行われていても構わない。第1実施形態に係る野菜の洗浄方法では、スーパーマーケットで購入した葉物野菜を、洗浄の対象とした。スーパーマーケットにおいて、葉物野菜の原体は、収穫から2日以内のものが並べられる。本実施形態においても、スーパーマーケットで購入した、収穫から2日以内の葉物野菜を、洗浄の対象とした。
図1に示すように、本処理開始後、ステップa1の水洗い工程に移行し、水菜10を水洗いする。水洗い工程において、本実施形態では、150gの水菜10を、直径30センチメートル(centimeters, 略号「cm」)のたらいを用いて行う。水菜10をたらい内の水中で、上下に揺り動かす。水の温度は、12℃〜15℃程度とした。水洗い工程において、褐変が生じることはないけれども、すでに褐変している部分が発見された場合には、水洗い工程において取り除く。比較例において、細菌数の測定において、洗浄時間を零分間とする場合の細菌数は、水洗い洗浄後の葉物野菜を対象として測定する。
次に、ステップa2の原体洗浄工程に移行し、水洗い洗浄工程によって水洗いされた原体の洗浄を行う。洗浄に用いる溶液は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液とし、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、200ミリグラム/リットル(mg/L)とする。以下、物理量の単位リットル(litters)は略号「L」と表記する。第1実施形態における原体洗浄工程では、150gの水菜10を12Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で洗浄する。以下、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、単に「水溶液」と称することがある。
図2は、本発明の第1実施形態に係る原体洗浄工程の各段階を表すフローチャートである。原体洗浄工程は、温度調整のためのゆるやかな流れのある恒温槽内で行う。原体洗浄工程では、まずステップb1の往復変位段階に移行し、30秒間、水菜10を水溶液中において上下に変位させる。変位は、2秒間に1往復とする。水溶液の流れは、野菜の原体に損傷を与えるほど速いものではなく、温度調整のためのゆるやかな流れである。変位させることによって、水溶液と原体との相対変位が生じ、水溶液が原体の葉と葉との間に進入する。これによって次亜塩素酸ナトリウムが原体に付着している細菌に接触し、菌数を減少させることができる。
次に、ステップb2の変位停止段階に移行し、30秒間、原体の変位を停止した状態とする。変位停止段階では、溶液と原体との相対変位がなく、原体は、変位が停止し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は原体との相対変位のない状態に保持されている変位停止状態となる。変位停止状態においても往復変位段階と同様に、原体に付着した細菌は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に接触しているので、次亜塩素酸ナトリウムによって殺菌される。次にステップb3の繰返し段階に移行し、ステップb1の往復変位段階とステップb2の変位停止段階とを繰返す。その後、原体洗浄工程における洗浄時間に応じて、ステップb3の繰返し段階を終了することによって、原体洗浄工程は、終了する。
次に、図1に示すステップa3の切断工程に移行し、原体の切断を行う。原体の切断は、刃物を用いて行い、原体を、およそ5cm程度の大きさに切断する。次に、ステップa4の切断後洗浄工程に移行し、切断された葉物野菜、つまり水菜10を洗浄する。切断後洗浄工程では、温度が42℃以上44℃以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において葉物野菜を洗浄する。具体的には、設定温度を43℃とし、2分間攪拌棒で攪拌しながら洗浄する。切断後洗浄工程は、3Lの恒温槽の中で行う。
次に、ステップa5のすすぎ工程に移行し、水ですすぎを行う。すすぎ工程において使用する水は、10℃以上15℃以下の温度とし、5Lの水で行う。すすぎ工程においては、攪拌棒によって攪拌を行う。水洗い工程およびすすぎ工程における水温は、季節によって変動があっても構わない。また水洗い工程およびすすぎ工程における水温は、10℃以下が好ましいけれども、温度調整を行わず、バケツの中で行ってもよい。
次に、ステップa6の脱水工程に移行し、すすぎ工程ですすぎの処理が行われた葉物野菜の脱水を30秒間行う。これは、直径25cmの回転ざるの中に入れて、回転ざるを回転させることによって行う。動力は手動とし、最高の回転速度を毎分600回転となる程度とする。その後、野菜の洗浄方法に係る処理は、終了する。
図3は、本発明の第1実施形態および比較例における、洗浄直後の細菌の数を表す図である。図3において、横軸は、原体洗浄工程における洗浄時間を表し、縦軸は、菌数を対数表示したものである。図3に示される折れ線のうち、40℃において原体洗浄工程を行った結果を第1折れ線11として表す。同様に、42℃における結果を第2折れ線12として表し、43℃における結果を第3折れ線13として表し、45℃における結果を第4折れ線14として表し、47℃における結果を第5折れ線15として表す。水菜10の洗浄に関して、洗浄直後の菌数を比較すると、40℃における結果はもっとも菌数が多い結果となり、42℃以上47℃以下の範囲においては、大差ない結果となった。
図4Aは、本発明の第1実施形態および比較例における、72時間後の細菌の数を表す図である。図4Bは、本発明の第1実施形態および比較例における、72時間後の商品価値の判断結果を表す図である。洗浄後の野菜は、10℃の温度条件下で保存する。図4Aにおいて折れ線は細菌数を表し、左の対数目盛りに対応する。図4Bとして示す棒グラフは、商品価値の判断結果を表し、右の目盛りに対応する。図4Aおよび図4Bにおいて横軸は、原体洗浄工程における洗浄時間を表す。72時間の保存は、10℃の温度条件下で行った。図4Aに示される折れ線のうち、40℃において原体洗浄工程を行った結果を第6折れ線16として表す。同様に、42℃における結果を第7折れ線17として表し、43℃における結果を第8折れ線18として表し、45℃における結果を第9折れ線19として表し、47℃における結果を第10折れ線20として表す。
水菜10の洗浄に関して、72時間後の菌数を比較すると、43℃における結果と45℃における結果とが最もよく、洗浄時間を4分間以上としたときの結果と7分間以下としたときの結果とが、100万よりも少ない菌数であることを表す結果となった。47℃かつ10分間の原体洗浄を行った結果も、菌数に関しては少ないことが示された。次に、商品価値の判断に関して、菌数についての条件を除く条件について説明する。
図5は、商品価値のある典型的な水菜10と、商品価値を下げる典型的な水菜10とを表す図である。図5には、切断工程において切断された後の、水菜10を表している。図5(a)は、葉が丸くなることもなく、また褐変および黒変が見られない緑色の水菜10を表す。これは、商品価値のある典型的な水菜10である。本来緑色の葉物野菜のうち、洗浄によって損傷を受け、褐色に変化することを「褐変」と称し、黒色に変化することを「黒変」と称する。図5(b)は、葉が丸くなることはないけれども、葉脈を中心に黒変した部分が見られる水菜10を表す。図5(c)は、黒変は見られないけれども、葉が丸くなった水菜10を表す。図5(d)は、葉が丸くなり、全体的に黒変が見られる水菜10を表す。黒変する場合に、全体が真っ黒ではなく、灰色に変化する部分が見られることもある。図5(b)〜(d)で表される水菜10は、商品価値を下げる典型的な水菜10である。
図4Bに示す商品価値の判断結果は、野菜の洗浄方法に係る実験を10回行った後、何回の実験における葉物野菜が、商品価値を有していたかによって判断した結果である。各回の実験における洗浄後、得られた水菜10において、図5(b)および(d)のように、黒変が見られる水菜10が1つでもあれば、その回の実験で得られた水菜10は、商品価値の判断結果として「商品価値なし」との判断を行う。さらに、黒変した部分が、1枚の葉のうち5%の面積を超える面積で見られる葉が、1枚でも見られれば、「商品価値なし」と判断する。
図5(b)および(d)のいずれかに示す水菜10は見られず、図5(c)のような丸まった水菜10が見られる場合には、水菜10全体のうち丸まった水菜10が30%以内である場合には、「商品価値あり」と判断し、30%を超える場合には、「商品価値なし」と判断する。このような判断基準によって「商品価値なし」と判断されなかったときの実験結果については、「商品価値あり」と判断する。図4Bにおいて、10回の実験で得られた各回の水菜10のうち、「商品価値あり」と判断された回数は、横軸よりも上方に示し、「商品価値なし」と判断された回数は、横軸よりも下方に示す。
図4Bには、洗浄時間を3分としたときの結果と、5分としたときの結果と、10分としたときの結果とを表している。洗浄時間をそれぞれの時間としたときの結果は、図4Bにおいて、便宜上、横に並べて示している。それぞれの洗浄時間としたときの、横に並べられた結果は、原体洗浄工程における水溶液の温度の差異を示すもので、時間の差異を示すものではない。図4Bの各洗浄時間において示している棒グラフのうち、最も左の第1領域21は、原体洗浄工程における水溶液の温度を40℃としたときの結果を表し、左から2番目の第2領域22は、42℃、中央の第3領域23は43℃、右から2番目の第4領域24は45℃、最も右の第5領域25は47℃としたときの結果を表している。
図4Bに示すように、原体洗浄工程における水溶液の温度を46℃未満に設定すれば、ほとんど商品価値を失うことなく、洗浄を行うことができる。さらに詳細には、45℃以下において商品価値が維持されることが、明確に示された。これに対し、47℃に設定すれば、洗浄後72時間後の商品価値は、失われることが多くなる。47℃に設定した場合の72時間後の商品価値は、原体洗浄工程における洗浄時間によっても異なるけれども、洗浄時間を3分〜5分としたときに、およそ20%の回数の実験において、商品価値を落とす水菜10が観測され、洗浄時間を10分としたときには、すべての実験において、商品価値を失わせる水菜10が観測された。
水菜10の洗浄を行うときの温度に関する結果を、図4Aから判断すると、原体洗浄工程における水溶液の温度は、43℃以上であることが好ましい。また洗浄のときの温度に関する結果を図4Bから判断すると、46℃未満であることが好ましい。すなわち、水菜10の洗浄工程における温度設定を43℃以上とすることによって、洗浄後72時間における菌数の増大を効率よく抑制し、かつ46℃未満に設定することによって、洗浄後72時間後で外観によって商品価値が失われることを防止することができる。
図3および図4Aにおいて菌数は、同じ条件で複数回の実験を行ったときの複数の実験結果の平均を表している。水菜10を含むすべての野菜において、菌数には個体差があり、必ずしも一定の範囲内であるとは言えない。実験では、スーパーマーケットで購入した水菜10を用い、水洗い工程を行い、さらに水洗い工程において前述した基準と同様の基準によって商品価値を下げると判断される水菜10を除去することによって、個体差を小さくしている。
原体洗浄工程における洗浄時間について、好適と定める範囲の下限は、洗浄時間を3分として行った実験結果と、洗浄時間を5分として行った実験結果とから判断した。また洗浄時間の好適と定める範囲の上限は、洗浄時間を5分として行った実験結果と、10分として行った実験結果とから判断した。少なくとも43℃以上46℃未満とした温度範囲において、洗浄時間を4分間以上7分間以下と定めることによって、洗浄後72時間後における菌数は、野菜1gにつき100万個以下という基準を満たすことができる。
菌数測定については、培養して発生させた菌群を数える培地法によって行った。「BACcT(バクット)」と称される菌数測定用の材料を用いて測定した。具体的には、ペトリフィルム(3Mの商品名)という培地を用いた。手順としては、無作為に取り出した野菜5gに、45ミリリットル(milliliters, 略号「mL」)の滅菌水を加えて1分間すり潰す。これは、10倍希釈であると解釈できる。これをそのままか、10倍、100倍または1000倍に滅菌水で希釈して用いる。この10倍またはそれ以上に希釈された液体を1mL採取し、培地によって培養する。
一般生菌については、35℃、48時間保管後、生成した菌群(コロニー)を数える。大腸菌群については、大腸菌群用の培地を用い、35℃、24時間培養して測定を行ったが、すべての実験において大腸菌群が検出されることはなかった。培養後の菌群は、視認可能であり、希釈の倍率を選択すれば、各菌群は独立して培地上に分散するので、計数可能である。培養後の菌群の個数は、培養前の菌数と同じと解釈できる。
一般生菌は、5℃以下の条件下で保存する場合には、5℃以上の温度条件で保存する場合に比べて、増加速度は格段に遅くなる。しかし、野菜を含む商品の、産地から消費地までの流通において、5℃以下に調整して搬送すれば、温度条件は1℃単位で確実に制御することは困難であるので、一部、零℃以下となり、凍る部分が生じることがある。したがって、流通の中では10℃の温度設定で搬送されることが多い。本実施形態による効果を確認するための実験においても、洗浄後の野菜の保存は、10℃の温度条件下で行った。
野菜を、10℃〜30℃の範囲内の水によって水洗いするだけでは、10℃では、菌数が増大し、72時間後の菌数は、1gの野菜あたり100万個以下という基準を達成することはできない。また次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いても、この基準を達成することはできない。これに対し、本実施形態に係る野菜の洗浄方法では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、洗浄における温度および時間を制御し、原体洗浄と切断後の洗浄との両方を行うことによって、10℃の温度条件下で保存しても、72時間後の菌数について、前記の基準を満足することができる。
また原体洗浄においては、水溶液中において野菜を往復変位運動させるものとした。これによって、水流攪拌およびバブリングによる攪拌などに比べて、野菜に損傷を与えることが少なく、またその往復変位運動によって野菜に効率よく水溶液を接触させ、表面に付着する生菌を洗い流し、または殺菌し、菌数を減少させることができる。たとえば、原体洗浄工程において、仮に水流攪拌または攪拌棒による攪拌を行えば、特に水菜10のように長手形状を成す葉物野菜は、互いにもつれ、損傷を受ける。これに対し、原体の洗浄については往復変位運動によって野菜表面と水溶液との接触を図るので、損傷の効率的な抑制と、効率的な殺菌とを両立させることができる。
第1実施形態によれば、原体洗浄工程では、収穫された葉物野菜を切ることなく洗浄する。また原体洗浄工程では、温度が40℃以上46℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、2分間以上7分間以下の洗浄時間に葉物野菜を洗浄する。切断後洗浄工程では、切断工程で切断された葉物野菜を温度が42℃以上44℃以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する。これによって、洗浄の対象物である葉物野菜に付着する細菌の菌数を効率よく減少させることができる。原体洗浄工程を切断工程よりも先に行うことによって、葉物野菜の表面に付着している細菌を洗い流し、また細菌に損傷を与え、菌数を減少させるので、切断された葉物野菜の切断面から葉物野菜の細胞内または細胞間に侵入する細菌数を減少させることができる。
温度条件を40℃以上46℃未満とすることによって、他の温度範囲における洗浄を行う場合に比べて、洗浄後数日が経過した後でも葉物野菜の商品価値が下がることを抑制することができる。また常温の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で洗浄する場合に比べて、葉物野菜の食感を向上させることができる。洗浄時間を2分間以上7分間以下とすることによって、洗浄時間を他の時間に設定する場合に比べて、葉物野菜に傷みが生じることを防止することができる。これによっても、洗浄から数日後の葉物野菜の商品価値が低下することを抑制することができる。
また第1実施形態によれば、葉物野菜は、水菜10として定められる。原体洗浄工程では、温度が43℃以上46℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、水菜10を4分間以上7分間以下の洗浄時間に洗浄する。これによって、原体洗浄工程における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度と洗浄時間とを、特に水菜10に適したものとすることができる。詳細には、前述の構成によって、10℃の温度条件下で72時間保存したときの菌数を、1gあたり100万個以下とすることができ、かつ商品価値を維持することができる。したがって、温度および時間に関する条件を他の条件内容に設定する場合に比べて、洗浄後数日が経過した後の水菜10の商品価値を向上させることができる。
また第1実施形態によれば、原体洗浄工程は、往復変位段階を含む。往復変位段階では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、葉物野菜を往復変位させる。これによって、浸漬して動かさない状態で洗浄する場合に比べて、葉物野菜の葉と葉との間に次亜塩素酸ナトリウムを入させることができ、効率よく洗浄することができる。したがって、洗浄による細菌の減少を確実にすることができ、洗浄後の品質を一定とすることができ、洗浄から数日が経過した後においても、葉物野菜の商品価値が低下することを防止することができる。
特に洗浄の対象を水菜10とするときには、12℃〜15℃の範囲、またはさらに広く10℃〜30℃の範囲において洗浄を行っても、洗浄後72時間経過後の菌数を効率的に低減することが難しく、水菜10は、他の野菜に比べて菌数低減を図ることが難しい洗浄対象であった。これに対し本実施形態では、原体のまま洗浄し、切断してから再度洗うという2度洗いするという段階的な洗浄を含む構成としており、さらに温度および時間条件を定めることによって、水菜10に対しても効率的な細菌数の低減を図ることができる。
また温度条件を43℃以上に設定することによって、43℃よりも低い温度で洗浄を行う場合に比べて菌数を減少させ、さらに洗浄後の食感を上昇させることができる。食感とは、たとえばサラダなどで、シャキシャキとした歯ざわりを意味し、この意味でも、商品価値を向上させることができる。
たとえば従来技術において、47℃の液体中で洗剤を用いて野菜を洗浄する場合があるけれども、このような従来技術では、水菜の洗浄において長時間の菌数制御と商品価値の維持はできない。特に水菜は、他の一般的な葉物野菜の中では菌数を減少させにくい野菜である。これに対し、本発明では、43℃以上46℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、原体洗浄工程と、切断後洗浄工程とを含む野菜の洗浄方法によって洗浄することによって、効率よく菌数を減少させ、かつ商品価値を長時間維持することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る野菜の洗浄方法の各工程を表すフローチャートである。第2実施形態に係る野菜の洗浄方法は、第1実施形態に係る野菜の洗浄方法に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。第2実施形態において葉物野菜は、レタスとして定められる。原体洗浄工程では、温度が40℃以上44℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、レタスを2分間以上6分間以下の洗浄時間に洗浄する。
本実施形態においてレタスとは、分類、区別される複数の種類を含む。第2実施形態においてレタスは、少なくとも結球レタスおよび非結球レタスとを含む。結球レタスは、球状に形を成し、非結球レタスは、結球レタスに比べて広がった葉の形状を成す。非結球レタスは、リーフレタスと呼ばれることもある。
図6に示すように、レタスを対象とする野菜の洗浄方法では、図1のステップa1のような水洗い工程を省略することができる。ステップc1の原体洗浄工程に移行し、原体を洗浄する。このとき、レタスは1球を単位として洗浄を行う。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度は第1実施形態と同様に200mg/Lとし、12Lの恒温槽を用いる。往復変位段階では、2秒に1往復の速度で原体を変位させ、30秒間の往復変位段階の次に30秒間の変位停止段階を行う。往復変位段階では、原体を変位させる方向は、上下方向とする。往復変位段階を含む原体洗浄工程では、レタスを液面より上に露出させることなく、液面下において洗浄することが好ましい。
次に、ステップc2の切断工程に移行し、5cm程度の大きさに切断する。これは、1枚ずつ葉を剥がすことなく、球状を成した状態のレタスを刃物で切断し、およそ5cm程度の大きさとする。次に、ステップc3の切断後洗浄工程に移行し、切断されたレタスを洗浄する。この工程では、温度は42℃以上44℃以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中においてレタスを洗浄する。具体的には目標温度を43℃とし、2分間攪拌棒で攪拌しながら洗浄を行う。切断後洗浄工程は、3Lの恒温槽の中で行う。
次にステップc4のすすぎ工程に移行し、水ですすぎを行う。すすぎ工程において使用する水の温度は10℃以上15℃以下の温度とし、5Lの水で行う。すすぎ工程では、攪拌棒による攪拌を行う。この工程において水の温度は、季節によって変動があっても構わない。すすぎ工程における水温は、10℃以下が好ましいけれども、温度調整を行わず、バケツの中で行うこともできる。次にステップc5の脱水工程に移行し、すすぎ工程ですすぎの処理が行われた葉物野菜の脱水を30秒間行う。これは、第1実施形態と同様の、回転ざるを用いて、最高の回転速度を毎分600回転となる程度とする。その後、本実施形態の野菜の洗浄方法に係る処理は終了する。
図7は、本発明の第2実施形態および比較例における、洗浄直後の細菌の数を表す図である。図7において、横軸は、原体洗浄工程における洗浄時間を表し、縦軸は、菌数を対数表示したものである。図7に示される折れ線のうち、36℃において原体洗浄工程を行った結果を第11折れ線31として表す。同様に、38℃における結果を第12折れ線32として表し、40℃における結果を第13折れ線33として表し、42℃における結果を第14折れ線34として表し、43℃における結果を第15折れ線35として表し、45℃における結果を第16折れ線36として表し、47℃における結果を第17折れ線37として表す。レタスの洗浄に関して洗浄直後の菌数を比較すると、40℃以上の範囲において、良好な結果となり、36℃および38℃における結果は、菌数が多い結果となった。
図8Aは、本発明の第2実施形態および比較例における72時間後の細菌の数を表す図である。図8Bは、本発明の第2実施形態および比較例における72時間後の商品価値の判断結果を表す図である。図7、図8Aおよび図8Bに示した結果は、レタスとして結球レタスを用いて行った実験の結果である。洗浄後の野菜は、10℃の温度条件で保存する。図8Aにおいて折れ線38は、細菌数を表し、左の対数目盛りに対応する。図8Bとして示す棒グラフは、商品価値の判断結果を表し、右の目盛りに対応する。図8Aおよび図8Bにおいて横軸は、原体洗浄工程における洗浄時間を表す。72時間の保存は、10℃の温度条件下で行った。図8Bに示される折れ線のうち、36℃において原体洗浄工程を行った結果を第18折れ線38として表す。同様に、38℃における結果を第19折れ線39として表し、40℃における結果を第20折れ線40として表し、42℃における結果を第21折れ線41として表し、43℃における結果を第22折れ線42として表し、45℃における結果を第23折れ線43として表し、46℃における結果を第24折れ線44として表す。
レタスの洗浄に関して72時間後の菌数を比較すると、42℃における結果と43℃における結果とが最もよく、洗浄時間を2分間以上としたときの結果と6分間以下としたときの結果とが、100万よりも少ない菌数であることを表す結果となった。47℃かつ10分間の原体洗浄を行った結果も、菌数に関しては少ないことが示された。次に、商品価値の判断に関して、菌数についての条件を除く条件について説明する。
図9は、商品価値のある典型的なレタスの葉と、商品価値を下げる典型的なレタスの葉とを表す図である。図9には、切断工程において切断された後の、レタスの葉を表している。図9(a)には、褐変した部分が見られない、健全な葉を表す。これは、商品価値のある典型的なレタスの葉である。図9(b)は、1〜2%程度褐変した部分が見られるレタスの葉を示す。図9(c)は、5%程度褐変した部分が見られるレタスの葉を示す。図9(d)は、葉の50%程度の面積割合で褐変が見られるレタスの葉を表す。図9(c)および(d)で表されるレタスの葉は、商品価値を下げるレタスである。
図8Bに示す商品価値の判断結果は、野菜の洗浄方法に係る実験を10回行った後、何回の実験における葉物野菜が、商品価値を有していたかによって判断した結果である。各回の実験における洗浄後、得られたレタスの葉において、面積割合で5%以上褐変した部分が1枚でもあれば、その回の実験で使用したレタスは、商品価値なしと判断する。このような判断基準によって「商品価値なし」と判断されなかったときの実験結果については、「商品価値あり」と判断する。図8Bにおいて、10回の実験で得られた各回のレタスのうち、「商品価値あり」と判断された回数は、横軸よりも上方に示し、「商品価値なし」と判断された回数は、横軸よりも下方に示す。
図8Bには、洗浄時間を1分としたときの結果と、3分としたときの結果と、5分としたときの結果と、10分としたときの結果とを表している。洗浄時間をそれぞれの時間としたときの結果は、図8Bにおいて、便宜上、横に並べて示している。それぞれの洗浄時間としたときの、横に並べられた結果は、原体洗浄工程における水溶液の温度の差異を示すもので、時間の差異を示すものではない。図8Bの各洗浄時間において示している棒グラフのうち、最も左の第6領域46は、原体洗浄工程における水溶液の温度を36℃としたときの結果を表している。同様に、左から2番目の第7領域47は、38℃、左から3番目の第8領域48は40℃、中央の第9領域49は42℃、右から3番目の第10領域50は43℃、右から2番目の第11領域51は45℃、最も右の第12領域52は47℃としたときの結果を表している。
図8Bに示すように、原体洗浄工程における水溶液の温度を44℃未満に設定すれば、ほとんど商品価値を失うことなく、洗浄を行うことができる。さらに詳細には、43℃以下において商品価値が維持されることが、明確に示された。これに対し、45℃に設定した場合の72時間後の商品価値は、原体洗浄工程における洗浄時間によっても異なるけれども、洗浄時間を5分としたときにおよそ20%の回数の実験において、商品価値を落とすレタスが観測される。原体洗浄工程における水溶液の温度を47℃に設定すると、洗浄時間を5分としたときには、およそ半数の回数の実験において商品価値の失われるレタスが観測され、洗浄時間を10分としたときには、すべての実験において、商品価値のないレタスとなった。
レタスの洗浄を行うときの温度に関する結果を図8Aから判断すると、原体洗浄工程における水溶液の温度は、40℃以上であることが好ましい。また洗浄のときの温度に関する結果を図8Bから判断すると、44℃未満であることが好ましい。すなわち、レタスの洗浄工程における温度設定を40℃以上とすることによって、洗浄後72時間における菌数の増大を効率よく抑制し、かつ44℃未満に設定することによって、洗浄後72時間後で外観によって商品価値が失われることを防止することができる。
原体洗浄工程における洗浄時間について、好適と定める範囲の下限は、洗浄時間を1分として行った実験結果と、洗浄時間を3分として行った実験結果とから判断した。また洗浄時間の好適と定める範囲の上限は、洗浄時間を5分として行った実験結果と、10分として行った実験結果とから判断した。少なくとも40℃以上44℃未満とした温度範囲において、洗浄時間を2分間以上6分間以下と定めることによって、洗浄後72時間後における菌数は、野菜1gにつき100万個以下という基準を満たすことができる。
菌数の測定については、第1実施形態と同様の実験によって測定した。またレタスにおいても、一般生菌と大腸菌群とについて、それぞれに適した培地と培養条件で菌数の測定を行った。大腸菌群については、いずれの実験についても陰性であり、大腸菌群が検出されることはなかった。
第2実施形態によれば、葉物野菜は、レタスとして定められる。原体洗浄工程では、温度が摂氏40℃以上44℃未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、レタスを2分間以上6分間以下の洗浄時間に洗浄する。これによって、原体洗浄工程における次亜塩素酸ナトリウム水溶液の温度と洗浄時間とを、特にレタスの洗浄に適したものとすることができる。詳細には、前述の構成によって、10℃の温度条件下で72時間保存したときの菌数を、1gあたり100万個以下とすることができ、かつ商品価値を維持することができる。したがって、温度および時間に関する条件を他の条件内容に設定する場合に比べて、洗浄後数日が経過した後のレタスの商品価値を向上させることができる。
また第2実施形態で洗浄の対象としたレタスにおいても、本実施形態における野菜の洗浄方法を適用することによって、水菜10と同様に食感をも向上させることができる。
図4Aおよび図8Aに示したように、第1および第2実施形態を含む実験結果において、洗浄時間を5分としたときと10分としたときとを比較すると、72時間後における菌数が洗浄時間を10分間としたときの方が増大する場合も、温度条件によっては観測された。この理由については、たとえば、葉物野菜の細胞壁および細胞膜が壊れることによる化学的な変化が要因の1つとして寄与している可能性も考えられる。ただし全体的には前述したような結果および図4Aおよび図8Aに示した平均的な結果が得られているので、温度条件の違いと洗浄時間の違いとによる菌数の差異は、誤差と言えるものではない。
第1および第2実施形態に係る野菜の洗浄方法の各工程において使用した水溶液の液量、装置、水溶液における次亜塩素酸ナトリウムの濃度などは、前述の構成に限定するものではない。たとえば、前述の構成よりも大きな規模または小さな規模で実施することも可能であり、第1および第2実施形態において説明した装置とは異なる装置を利用することも可能である。
第1および第2実施形態における原体洗浄工程では、葉物野菜の原体を往復変位段階において往復変位させるものとしたけれども、原体洗浄工程において葉物野菜が浸漬される水溶液の攪拌の手段は、往復変位運動に限定するものではない。葉物野菜に損傷を与えることなく水溶液を攪拌できるならば、他の実施形態においてたとえば、ゆるやかな水流による攪拌であってもよく、バブリングによる攪拌であってもよく、または往復変位運動、水流による攪拌、バブリングのうちのいずれか2つ以上を組合わせた手段による攪拌であってもよい。
第1および第2実施形態に係る野菜の洗浄方法は、水菜およびレタスを洗浄の対象としているけれども、他の実施形態に係る野菜の洗浄方法においては、ほうれん草および青ねぎを洗浄の対象とすることができる。これらの葉物野菜においても、40℃以上46℃未満の温度範囲の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用い、洗浄時間を2分間以上7分間以下とすることによって、菌数の低減と商品価値の維持とを両立させることができることができる。このことは、第1および第2実施形態と同様の実験によって、確認されている。
10 水菜
30 レタス

Claims (3)

  1. 切断されていない葉物野菜の原体を、温度が摂氏40度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する原体洗浄工程であって、
    洗浄時間が2分間以上7分間以下であり、
    前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で前記原体を上下に往復変位させる往復変位段階と、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液中で前記原体の往復変位を停止させて前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と原体との変位がない状態となる次亜塩素酸ナトリウム水溶液の状態を保持する変位停止段階とを繰り返す原体洗浄工程と、
    原体洗浄工程で洗浄された葉物野菜を切断する切断工程と、
    切断工程で切断された葉物野菜を温度が摂氏42度以上44度以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において洗浄する切断後洗浄工程と、
    切断後洗浄工程で洗浄された葉物野菜を水ですすぐすすぎ工程とを含むことを特徴とする野菜の洗浄方法。
  2. 前記葉物野菜が水菜であるときは、
    前記原体洗浄工程では、温度が摂氏43度以上46度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、前記水菜を4分間以上7分間以下の洗浄時間に洗浄することを特徴とする請求項1に記載の野菜の洗浄方法。
  3. 前記葉物野菜がレタスであるときは、
    前記原体洗浄工程では、温度が摂氏40度以上44度未満の次亜塩素酸ナトリウム水溶液中において、前記レタスを2分間以上6分間以下の洗浄時間に洗浄することを特徴とする請求項1に記載の野菜の洗浄方法。
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