JP4367136B2 - 油脂及びその製造法並びにこれを用いた製品 - Google Patents

油脂及びその製造法並びにこれを用いた製品 Download PDF

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Description

この発明は、油性感を軽減した油脂の製造法に関する。さらに詳しくは、精製油脂の油性感を減少させることにより、特定の食品用に限定されることなく幅広く使用できる油脂を製造する方法に関するものである。
一般の食用油脂は、常法により精製された場合においても、実際には各々油脂固有の油っぽさがあり、幾分でも好ましくない油味を有することがあり、しかも、かかる不快な油味は経時的に増加するという欠点を有する。
また、代表的な油性菓子であるチョコレートは、典型的にはカカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳等から製造される。これに対し、チョコレートの物性改良や原料コストの節約の目的から、ココアバターの一部または全部をハードバターやさらに他の油脂に置き換えられることも一般的に行われる。このうちカカオ成分をほとんど用いない、所謂チョコレート類も存在する(以下においてチョコレート類というときは、各国の法令や規格の規定にかかわらず、所謂準チョコレート等も含包して呼称する)。
近年のチョコレート菓子は単独で食されるだけでなく他の食品、例えば焼き菓子等と組み合わせたものや、含気泡チョコレート、冬季限定の低融点化チョコレートといった商品も多く見られる。
このような多様なチョコレート菓子を製造するためにはハードバターをはじめとする多種多様な油脂を用いてチョコレートの物性を改良する機会も増加しており、特に油分を増加させた場合には、油性感(油っぽさ・油くささ)が強くなる傾向にある。さらに同じ油分であってもビターチョコレート(スイートチョコレート、ブラックチョコレート)に比べ、乳成分の多いミルクチョコレートやカカオマスやココアを全く含まないホワイトチョコレートのほうが、油性感が強い傾向にある。また、光や空気、熱に長時間曝されるとよりこの傾向は顕著となる。
食用油脂の油性感を低減させる方法、あるいは経時的に増加する油性感を抑制する方法については、様々な試みがなされている。
実際に食用油脂の酸化を酸化防止剤にて抑制し、酸化によって発生する悪風味を低減させる方法はかなり以前よりなされている。(例えば、特許文献1参照)しかし、用いる酸化防止剤が特殊な上、酸化防止自体に対しての効果を期待したものであるため、本件にて目標とする油性感の低減には触れられていない。
油脂に乳製品粉末と還元糖を添加したものを混合・加熱処理を施すことでコク味を呈した風味油とすることにより硬化臭をマスキングすること技術が考案されている。(例えば、特許文献2参照)しかし、還元糖と乳製品粉末の組合せが必須であり、しかも強い風味が付く為に用途が限定される。
他にもアスコルビン酸等の有機酸溶液を減圧下、攪拌しながら脱溶媒することで得られる有機酸の含まれた食用油脂で油性感の改善する方法も考案されている。(例えば、特許文献3参照)しかし添加物は有機酸であり、当発明とは全く異なるものであった。
特開平9−87619号公報(第1−6頁) 特開平7−46961号公報(第1−4頁) 特開2003−235447号公報(第1−8頁)
本発明の目的は、上記する如く油脂本来が好ましくない風味を有するという欠点を解決するとともに、チョコレート等を用いた油性菓子等の油性感を改善し、それに適した食品用油脂を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本来、油脂に難溶性である高甘味度甘味料を水溶液の状態で添加し、水分だけを除去することで、油脂中に高甘味度甘味料を含有させた油脂がチョコレート等油脂製品の油性感を大きく軽減させることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)高甘味度甘味料を含有してなる油脂であり、(2)高甘味度甘味料が5−120ppm含まれる(1)記載の油脂であり、(3)高甘味度甘味料がスクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテームから選ばれた少なくとも1種を含有してなる(1記載の油脂であり、(4)(1)記載の油脂を用いた油脂組成物であり、(5)油脂組成物がチョコレート類製品である(4)記載の油脂組成物であり、(6)油脂組成物がホワイトチョコレート類あるいはミルクチョコレート製品である(4)記載の油脂組成物であり、(7)油脂組成物が乳化物製品である(4記載の油脂組成物であり、(8)水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液を油脂に添加、吸収させ、同一相として存在することを特徴とする油脂の製造法であり、(9)水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液を油脂に添加し、50〜180℃、0.5〜100Torrの減圧条件下で、脱水処理することを特徴とする油脂の製造法である。
本発明によって、特殊な添加剤を多量に使用することなく、平易な方法で調製することで、油性感の低減し、あるいは経時的に油性感が増加しにくい食用油脂またはその食用油脂を使用した食用油脂利用製品が得られる。
本発明では使用する高甘味度甘味料は、天然物、人口物を問わず食品や医薬品用として一般に用いられているものでよく、蔗糖を1とした場合の甘味度で100以上の甘味度を有するものであり、例えばスクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、ステビア、羅漢果や甘草の抽出物等が挙げられ、これら単独または2種以上を組み合わせても良い。
高甘味度甘味料の含有量は、食品用油脂中5ppm以上含有するのが良く、少なすぎると油性感を減少させる効果に乏しい。また上記高甘味度甘味料は一般に低油溶性なのであまり多量に含有させることは困難であり、通常120ppmより少ない。またこれら高甘味度甘味料は、固体・粉体の状態のものを単純に食品用油脂中に分散させた、目の詰まったろ紙で分離できるような非溶解の状態では効果の発現が十分でなく、好ましくは以下に述べるように、水性媒体の溶液にして油脂と混和した後、あるいは混和しつつ水分を乾燥させるとよい。
上記高甘味度甘味料以外に、アスコルビン酸、エリソルビン酸、リンゴ酸等の有機酸や、抽出トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、カテキン等の酸化防止剤と併用してもよく、その場合の適した使用量は通常10〜2000ppmの範囲にあると前記高甘味度甘味料の添加効果を増加させることができる。
この発明において、高甘味度甘味料を添加する対象油脂としては例えば、ナタネ油、大豆油、パーム油、綿実油、シア脂、サル脂、落花生油、ヒマワリ種子油、コーン油、サフラワー油、カポック油、月見草油、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類のそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂または合成油脂であってもよく、液油から融点の高い油脂にいたるまで幅広い油脂が適応できる。これらの油脂は一般に精製された油脂であることが好ましい。
本発明の高甘味度甘味料を含有してなる油脂の好ましい製造法としては、例えば、スクラロースを含有してなる油脂を得ようとすれば、加温ないし加熱した油脂中にスクラロース溶液、最も通常にはスクラロース水溶液を加え、温度50〜180℃、真空度0.5〜100Torrの条件で攪拌しながら乾燥ないし脱溶媒するのがよい。スクラロース溶液の濃度は0.1〜30%で行うことができ、1〜10%が好ましい。低すぎると、油脂に対する水などの溶媒の量が多くなり生産効率の悪いものになってしまう。高すぎると、スクラロースの結晶が析出して油脂への含有が難しくなる。
温度は低すぎると、乾燥ないし脱溶媒に要する時間が長くかかり、高すぎると甘味料の種類によっては甘味料が分解してその効果が乏しくなる。
真空度は高いほど短時間で乾燥することができる。熱安定性の不十分な高甘味度甘味料については乾燥ないし脱溶媒時の温度を可及的に低くするか、もしくは以下に述べる方法で製造するのが好ましい。即ち別の製造法としては減圧脱水した油脂に上記範囲内で可及的高濃度にした高甘味度甘味料溶液を加えて、油脂と同一相中に存在させてもよい。
このように作製した油脂を通常の濾紙等で濾過し、その濾液中に結晶や粒径1μmを超える水滴として高甘味度甘味料が存在しない状態で、即ち油脂と同一相に高甘味度甘味料が存在することで、所期の効果を得ることが可能となる。
以上の如く、この発明によって得られる油性感を軽減した油脂は特定の食品用に限定されること無く、チョコレート用、クリーム用、フライ用、スプレー用等各種食品の用途に適した油脂として使用しうるものである。利用食品が油性感の軽減を要求される食品であれば、この油脂を使用することにより食品の好ましい風味を強化、あるいは好ましくない風味を軽減することができる。中でも油性感を感じやすい場面での用途において特に適しており、比較的油分の高い(油分30%以上)食品や、乳固形分を含む食品、光や熱に長時間曝される油性菓子(例えば終日営業のコンビニエンスストアの棚置きされる油性食品)等に、この油脂を使用することにより油性感を軽減する効果はよく顕現する。上記比較的油分の高い食品の例としてチョコレート類があげられ、一般にコーティングチョコレートやチョコレートを用いた乳化物であるガナッシュのように油分が30〜70%のものによくこの技術を応用できる。また同じ油分のチョコレート類であっても、ブラックチョコレートやスイートチョコレートよりは、ホワイトチョコレートやミルクチョコレートの方がより効果が大きい。
高甘味度甘味料含有油脂のその利用食品への使用方法は特に限定されず、例えばチョコレート類の場合、融解した状態で他の全原料とともに混合し、あるいはコンチング後の追油として添加することができる。また前記乳化物の乳化型は特に限定はされないが油中水型、あるいは一部不安定な状態を含む乳化状態の組成物やそれを用いた製菓が例示される。
以下に実施例及び比較例を例示して、本発明効果をより一層明瞭にするが、これらは例示であって、本発明の精神がこれらの例示に限定されるものではない。なお、例示中部及び%はいずれも重量基準を意味する。
<実施例1・比較例1>
スクラロース含有ハードバターの作製
70℃のハードバター(不二製油株式会社製 商品名「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 商品名「サンスイートSU−100」、蔗糖を1とした場合の甘味度は約600)水溶液を0.2重量部加え、温度70℃、真空度40Torrの条件で、攪拌しながら20分間脱水を行い、TOYO No.5C濾紙(1μm相当)にて濾過し、濾液としてスクラロース含有ハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、本来ハードバターが有していた油性感はほとんど感じられなかった。
別に溶解したホワイトチョコレート(不二製油製 油分約34%)80部に、上記のように作製したスクラロース含有ハードバター20部を加え、品温を31℃に温調し、そこにシード剤(不二製油製/商品名「チョコシードA」)をチョコレートに対し0.2部を加えテンパリング処理し冷却後、1週間のエージングを経てホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ、油性感が弱く、すっきりした良好な乳風味が感じられた。
比較例1として甘味料非含有のハードバター(「メラノNEW SS7」)を用いる他は実施例1と同様にしてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ強い油性感が感じられた。
<実施例2>
アセスルファムカリウム・スクラロース製剤含有ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%アセスルファムカリウム・スクラロース製剤(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、商品名「サンスイート SA−5050」、アセスルファムカリウム45%含有、スクラロース15%含有、蔗糖を1とした場合の甘味度は約200)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にして、アセスルファムカリウム・スクラロース製剤含有ハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、本来ハードバターが有していた油性感はほとんど感じられなかった。
また、実施例1と同様に本ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ、油性感がなく、すっきりした良好な乳風味が感じられた。
<実施例3>
ソーマチン含有ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%ソーマチン製剤(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、商品名 「サンスイート T−147」、ソーマチン10%含有、蔗糖を1とした場合の甘味度は約300)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にしてソーマチン含有ハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、本来ハードバターが有していた油性感は殆ど感じられなかった。
また、実施例1と同様に本ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ、油性感がなく、すっきりした良好な乳風味が感じられた。
<実施例4>
アスパルテーム添加ハードバターの作製
55℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%アスパルテーム(味の素株式会社製 商品名「PAL SWEET DIET」、蔗糖を1とした場合の甘味度は150〜200)水溶液を0.2重量部加え、温度55℃、真空度40Torrの条件で攪拌しながら40分間脱水を行う他は実施例1と同様にしてハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、従来のハードバターが有していた油性感が軽減されていた。このアスパルテーム添加ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が軽減されていた。
[表1]
Figure 0004367136
5人のパネラーにより、以上のように調整した実施例1〜4と比較例1のチョコレートについてエージング直後にその風味を比較すると、比較例1は実施例1〜4に比べて油性感が強かった。
さらにそれらのホワイトチョコレートをそれぞれ1週間室温(約20℃)で蛍光灯下30cmに保持した状態を経た後にその風味を比較すると実施例1〜4に比べて比較例1の油性感はエージング前より強く、その差異は大きくなった。
<比較例2>
トレハロース添加ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%トレハロース(株式会社林原商事製、蔗糖を1とした場合の甘味度は0.45)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、従来のハードバターと同様油性感を感じるものであった。このトレハロース添加ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例3>
エリスリトール添加ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%エリスリトール(三菱化学フーズ株式会社、蔗糖を1とした場合の甘味度は0.8)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、従来のハードバターと同様油性感を感じるものであった。このエリスリトール添加ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例4>
α―サイクロデキストリン添加ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し5.0%α−サイクロデキストリン(塩水港精糖株式会社製 商品名「デキシーパールK−100」)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、従来のハードバターと同様油性感を感じるものであった。このα―サイクロデキストリン添加ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例5>
蔗糖添加ハードバターの作製
70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し蔗糖(ホクレン農業協同組合連合会製 商品名「ビートグラニュ糖」)水溶液を0.2重量部加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製した。このハードバターを食したところ、従来のハードバターと同様油性感を感じるものであった。この蔗糖添加ハードバターを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
[表2]
Figure 0004367136
比較例2〜5はエージング直後にその風味を比較すると、比較例1と同様油性感が強かった。
<比較例6>
比較例6として、製品である粉体状のスクラロースそのものを70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し100ppmになるように加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製し、これを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例7>
比較例7として、製品である粉体状のアセスルファムカリウム・スクラロース製剤そのものを70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し100ppmになるように加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製し、これを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例8>
比較例8として、製品である粉体状のソーマチン製剤そのものを70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し100ppmになるように加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製し、これを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例9>
比較例9として、製品である粉体状のアスパルテームそのものを70℃のハードバター(「メラノNEW SS7」)100重量部に対し100ppmになるように加える他は実施例1と同様にしてハードバターを作製し、これを用いてホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
[表3]
Figure 0004367136
比較例6〜9はエージング直後にその風味を比較すると、比較例1と同様油性感が強かった。
<比較例10>
比較例10として、比較例1で用いたホワイトチョコレートと同じ配合にスクラロース20ppmを加え、定法により作製したチョコレート80部に対し、甘味料無添加のハードバター(「メラノNEW SS7」)20部を加え、シード(「チョコシードA」)テンパリング処理し冷却後、1週間のエージングを経てホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例11>
比較例11として、比較例1で用いたホワイトチョコレートと同じ配合にアセスルファムカリウム・スクラロース製剤20ppmを加え、定法により作製したチョコレート80部に対し、甘味料無添加のハードバター(「メラノNEW SS7」)20部を加え、シード(「チョコシードA」)テンパリング処理し冷却後、1週間のエージングを経てホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例12>
比較例12として、比較例1で用いたホワイトチョコレートと同じ配合にソーマチン製剤20ppmを加え、定法により作製したチョコレート80部に対し、甘味料無添加のハードバター(「メラノNEW SS7」)20部を加え、シード(「チョコシードA」)テンパリング処理し冷却後、1週間のエージングを経てホワイトチョコレート(油分約48%)を得た。このチョコレートを食したところ油性感が強く感じられた。
[表4]
Figure 0004367136
比較例10〜13はエージング直後にその風味を比較すると、比較例1と同様油性感が強かった。
<実施例5>
溶解したホワイトチョコレート(不二製油株式会社製 油分約34%)50部に、実施例1で作製したスクラロース含有ハードバター20部、乳化剤1.5部を加え、品温を31℃に温調し、そこにシード剤(不二製油製/商品名「チョコシードA」)をチョコレートに対し0.2部を加えテンパリング処理し、これに生クリーム26部、洋酒(V.S.O.P)4部を混合した後、冷却後、1週間のエージングを経てホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感がなく、すっきりした良好な風味であった。
<実施例6>
スクラロース含有ハードバターに換えて実施例2で作製したアセスルファムカリウム・スクラロース製剤含有ハードバターを用いるほかは実施例5と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感がなく、すっきりした良好な風味であった。
<実施例7>
スクラロース含有ハードバターに換えて実施例3で作製したソーマチン製剤含有ハードバターを用いるほかは実施例5と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感がなく、すっきりした良好な風味であった。
<比較例14>
スクラロース含有ハードバターに換えて甘味料非含有のハードバター(「メラノNEW SS7」)を用いるほかは実施例5と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例15>
スクラロース含有ハードバターに換えて比較例6で作製したハードバターを用いるほかは実施例5と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例16>
アセスルファムカリウム・スクラロース製剤含有ハードバターに換えて比較例7で作製したハードバターを用いるほかは実施例6と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感が強く感じられた。
<比較例17>
ソーマチン含有ハードバターに換えて比較例8で作製したハードバターを用いるほかは実施例7と同様にしてホワイトガナッシュを得た。これを食したところ油性感が強く感じられた。
[表5]
Figure 0004367136
[表6]
Figure 0004367136
<実施例8・実施例9・実施例10>
スクラロース含量が120ppm、50ppmまたは10ppmのハードバターを用いる他は、実施例1と同様の配合・手順で作製したホワイトチョコレートを得た。(実施例8・実施例9・実施例10の順にスクラロース含量120ppm・50ppm・10ppmのハードバターを使用した。)
これらのものと比較例1と比較評価したところ、10ppmでも比較例1と比べて油性感が改善されていたが、スクラロース含量が多いほど効果は大きく50ppm、120ppm含有する方が油性感の軽減効果は顕著であった。
実施例8・実施例9・実施例10と比較例1の配合と評価を表7に示す。
[表7]
Figure 0004367136
※ 油性感の評価は実施例8・実施例9・実施例10共に「弱」となっているが相対的にその油性感は
油性感が弱い…実施例8<実施例9<実施例10≪比較例1…油性感が強い
となる。
<実施例11・実施例12・実施例13>
アセスルファムカリウム・スクラロース製剤含量が120ppm、50ppmまたは10ppmのハードバターを用いる他は、実施例1と同様の配合・手順で作製したホワイトチョコレートを得た。(実施例11・実施例12・実施例13の順にアセスルファムカリウム・スクラロース含量120ppm・50ppm・10ppmのハードバターを使用した。)
これらのものと比較例1と比較評価したところ、10ppmでも比較例1と比べて油性感が改善されていたが、アセスルファムカリウム・スクラロース製剤含量が多いほど効果は大きく50ppm、120ppm含有する方が油性感の軽減効果は顕著であった。
実施例11・実施例12・実施例13と比較例1の配合と評価を表8に示す。
[表8]
Figure 0004367136
※ 油性感の評価は実施例11・実施例12・実施例13共に「弱」となっているが相対的にその油性感は
油性感が弱い…実施例11<実施例12<実施例13≪比較例1…油性感が強い
となる。
<実施例14・実施例15・実施例16>
ソーマチン製剤含量が120ppm、50ppmまたは10ppmのハードバターを用いる他は、実施例1と同様の配合・手順で作製したホワイトチョコレートを得た。(実施例14・実施例15・実施例16の順にソーマチン製剤含量120ppm・50ppm・10ppmのハードバターを使用した。)
これらのものと比較例1と比較評価したところ、10ppmでも比較例1と比べて油性感が改善されていたが、ソーマチン製剤含量が多いほど効果は大きく50ppm、120ppm含有する方が油性感の軽減効果は顕著であった。
実施例14・実施例15・実施例16と比較例1の配合と評価を表9に示す。
[表9]
Figure 0004367136
※ 油性感の評価は実施例14・実施例15・実施例16共に「弱」となっているが相対的にその油性感は
油性感が弱い…実施例14<実施例15<実施例16≪比較例1…油性感が強い
となる。
本発明によって、特殊な添加剤を使用することなく、平易な方法で調製することで、油性感の低減し、あるいは経時的に油性感が増加しない食用油脂またはその食用油脂を使用した食用油脂利用製品が得られる。
これにより多様化した食用油脂利用製品、特に比較的油分の高い(油分30%以上)食品や、乳固形分を含む食品に応用したり、光や空気、熱に長時間曝される陳列環境に曝されている商品に応用することで油性感の増加が抑制できる。

Claims (11)

  1. 水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液を油脂に添加し、脱溶媒処理をすることで油脂中に溶解・分散してなる高甘味度甘味料が5−120ppmである油性感改良用油脂の製造方法。
  2. 水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液の濃度が0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の油性感改良用油脂の製造方法。
  3. 水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液の添加量が油脂に対して17ppm−12重量%であることを特徴とする請求項1記載の油性感改良用油脂の製造方法。
  4. 水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液の添加量が油脂に対して17ppm−1.2重量%であることを特徴とする請求項1記載の油性感改良用油脂の製造方法。
  5. 水性媒体を用いた高甘味度甘味料の溶液を油脂に添加し、50〜180℃、0.5〜100Torrの減圧条件下で、脱溶媒処理することを特徴する請求項1記載の油性感改良用油脂の製造方法。
  6. 高甘味度甘味料がスクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテームから選ばれた少なくとも1種を含有してなる請求項1記載の油性感改良用油脂の製造方法。
  7. 請求項1記載の製造方法にて得られた油性感改良用油脂。
  8. 請求項7記載の油性感改良用油脂を用いた油脂組成物。
  9. 油脂組成物がチョコレート類製品である請求項8記載の油脂組成物。
  10. 油脂組成物がホワイトチョコレート類あるいはミルクチョコレート製品である請求項9記載の油脂組成物。
  11. 油脂組成物が乳化物製品である請求項8記載の油脂組成物。
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