JP4366983B2 - 複合半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SOI構造を備えた複合半導体基板の製造方法、この方法で製造された複合半導体基板、この複合半導体基板を用いた電気光学装置並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁体層上に設けられたシリコン層を半導体装置の形成に利用するSOI(Silicon On Insulator)技術は、α線耐性、ラッチアップ特性、あるいはショートチャネルの抑制効果など、通常の単結晶シリコン基板では達成し得ない優れた特性を示すため、半導体装置の高集積化等を目的としてその開発が進められている。
【0003】
このようなSOI構造(絶縁体層上にシリコン層を形成した構造)を形成する方法としては、例えば単結晶シリコン基板の貼り合わせによる方法がある。一般に貼り合わせ法と呼ばれるこの方法は、シリコン層としての単結晶シリコン基板と絶縁体層としての支持基板とを酸化膜を介して重ね合わせ、基板表面のOH基を利用して室温程度で貼り合わせた後、単結晶シリコン基板を研削や研磨、またはエッチングによって薄膜化し、続いて600℃〜1200℃程度の熱処理によってシロキサン結合(Si−O−Si)させ、貼り合わせ強度を上げて単結晶シリコン層を支持基板上に形成するものである。この手法によれば、単結晶シリコン基板を直接薄膜化するので、シリコン薄膜が結晶性に優れたものとなり、したがって高性能のデバイスを作製することが可能となる。
【0004】
また、この貼り合わせ法を応用したものとして、単結晶シリコン基板に水素イオンを注入し、これを支持基板と貼り合わせた後、400〜700℃程度の熱処理によって薄膜シリコン層を単結晶シリコン基板の水素注入領域から分離し、次に1100℃程度までの熱処理で貼り合わせ強度を上げる手法が知られている。ここで、透過型の液晶装置などの電気光学装置に上記SOI構造を具備した基板を用いる場合、支持基板として石英基板などの透光性基板を用いるため、該透光性基板とシリコン層との熱膨張係数が異なり、前述の貼り合わせ強度を上げるための熱処理工程や熱酸化処理工程などにおいて、熱膨張係数の違いによる熱応力が発生し、その結果、単結晶半導体層(SOI層)にスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成され、デバイス特性に支障をきたすおそれがある。
【0005】
このような熱膨張係数の違いによる熱応力に対応する技術として、従来、半導体単結晶領域とガラス物質との間に応力緩和層を設け、基板の反り等を低減した技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、貼り合わせ時の熱応力が単結晶半導体層(単結晶シリコン層)に残存してしまうのを防止するため、単結晶シリコン薄膜をパターニングして島状シリコン層を形成し、この島状シリコン層に対して熱酸化処理を行う技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、陽極酸化によって単結晶半導体基板の一部を多孔質層に変化させ、この多孔質層を応力緩和層として用いる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−142570号公報
【特許文献2】
特開2000−12864号公報
【特許文献3】
特開2000−106424号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の半導体単結晶領域とガラス物質との間に応力緩和層を設ける技術(特許文献1)では、形成した応力緩和層を除去することができず、また、この応力緩和層は有色であり非透明であることから、例えば得られた複合半導体基板から透過型の液晶装置を製造することができないといった課題がある。
【0008】
また、島状シリコン層に対して熱酸化処理を行う技術(特許文献2)では、特にシリコン層を薄膜化するため犠牲酸化を行い、その後犠牲酸化層をウエットエッチングで除去する場合に、ウエットエッチング液が島状シリコン層の間を通ってシリコン層の下地の絶縁層を溶解し、支持基板との間の貼り合わせ界面にまで到達してしまうおそれがある。このようにウエットエッチング液が貼り合わせ界面にまで到達してしまうと、貼り合わせ界面に剥離を生じさせてしまうなどの不都合を生じさせ、例えば得られた複合半導体基板から透過型の液晶装置(ライトバルブ)を製造した場合に、貼り合わせ界面の剥離に起因して表示不良を起こしてしまう。
【0009】
また、多孔質層を応力緩和層として用いる技術(特許文献3)では、前述したように貼り合わせ後に単結晶シリコン層を薄膜化するため予め水素イオンを注入しておき、熱処理によって薄膜シリコン層を単結晶シリコン基板の水素注入領域から分離する際、単結晶シリコン層と多孔質層との間で水素イオン注入のプロファイルが異なってしまっていることにより、分離が良好になされないおそれがある。また、このようにして分離した後の単結晶シリコン基板については、通常はそのまま別のSOI基板作製に用いるものの、この技術では、多孔質層が分離した後の単結晶シリコン基板にも残存しているため、これを直接用いることができない。また、貼り合わせのための酸化シリコン層を形成した際、単結晶シリコン層から形成される酸化シリコン層と多孔質層から形成される酸化シリコン層との間に膜質の差が生じ、これによって貼り合わせにむらが生じるおそれもある。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、半導体基板の製造方法において、貼り合わせ強度を上げるための熱処理工程などで生じる熱応力を緩和して、単結晶半導体層にスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのを防止することができる簡便な方法を提供することを目的とし、さらに透過型の液晶装置の製造にも適用でき、その場合に表示不良を起こすことも防止することができるとともに、貼り合わせむらも生じ難い複合半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、このような製造方法により得られる複合半導体基板、及び電気光学装置並びに電子機器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の複合半導体基板の製造方法は、単結晶半導体層を備えた半導体基板を支持基板上に貼り合わせてなる複合半導体基板の製造方法であって、前記支持基板と前記半導体基板とを貼り合わせて貼合せ基板を形成する貼合せ工程と、前記貼合せ基板における前記単結晶半導体層の所定領域に水素イオン注入を行う水素イオン注入工程と、前記水素イオン注入後の前記貼合せ基板を熱処理する熱処理工程と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この複合半導体基板の製造方法によれば、単結晶半導体層の所定領域に水素イオン注入を行い、その後、貼合せ基板を熱処理するので、熱処理によって貼り合わせ強度を上げることができ、またその際、水素イオンが注入された領域が例えば脆弱層となってこの部分が応力緩和層として機能し、単結晶半導体層にスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのが防止される。具体的には、注入された水素イオンにより単結晶半導体層の所定領域には微小空乏(マイクロキャビティ)が形成され、この空乏が熱処理により拡大されることで、該所定領域が脆弱化する。そして、この脆弱層が、貼合せ強度向上のための熱処理時に発生する支持基板と半導体基板との間の熱応力を緩和するのである。
【0013】
ここで、前記水素イオン注入工程においては、前記貼合せ基板における前記単結晶半導体層のうち素子が形成される領域以外の領域に前記水素イオンを注入するものとすることができる。この場合、素子が形成される領域の膜質が水素イオン注入によって損なわれる等の不具合発生が防止され、信頼性の高い複合半導体基板を提供することが可能となる。なお、前記水素イオン注入工程は、前記単結晶半導体層のうちの前記素子の形成を予定する領域上にレジストを形成する工程と、該レジストをマスクとして水素イオンを注入する工程とを含むものとすることができる。
【0014】
また、前記支持基板と半導体基板とを貼り合わせて貼合せ基板とする工程と、この貼合せ基板の前記所定領域にイオン注入を行う工程との間に、前記貼合せ基板の前記半導体基板をその厚さ方向で分離して前記単結晶半導体層を薄膜化する工程を更に備えたものとすることができる。この場合に、貼合せ基板中の前記半導体基板をその厚さ方向で分離して前記単結晶半導体層を薄膜化した際、この薄膜化前の単結晶半導体層には多孔質層等が設けられていないことから、分離後の単結晶半導体基板については、そのまま別の複合半導体基板(SOI基板)作製に用いることができる。
【0015】
また、前記熱処理を行った後に、熱酸化を行う工程と、この熱酸化によって形成した熱酸化膜をエッチング除去して単結晶半導体層を所望厚さにする工程と、前記所定領域の単結晶半導体層をエッチング除去する工程と、を更に備えたものとすることができる。このようにすれば、熱酸化膜のエッチング除去にウエットエッチングを採用しても、薄膜化した単結晶半導体層が島状に分離させられることなくそのまま残っているので、これを覆って形成された熱酸化膜をエッチングした際にエッチング液が貼り合わせ界面にまで浸透してしまうことがなく、したがって貼り合わせ界面に剥離が生じるといった不都合発生が防止される。
【0016】
また、前記水素イオン注入後の前記貼合せ基板を熱処理する工程では、相対的に低温で熱処理する一次熱処理工程と、相対的に高温で熱処理する二次熱処理工程とを行うものとすることができる。このようにすれば、水素イオン注入によって生じた空乏が低温の一次熱処理工程において拡大した後、高温の二次熱処理工程において貼合せ強度を向上させることが可能となり、当該熱処理工程により得られる応力緩和効果が一層顕著なものとなる。したがって、該二次熱処理工程の際に素子形成領域における単結晶半導体層に、スリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのがより確実に防止されることとなる。なお、前記一次熱処理を400〜700℃程度で、前記二次熱処理を700℃〜1200℃程度で行うのが好ましい。
【0017】
また、前記複合半導体基板の製造方法においては、前記一次熱処理と二次熱処理とを連続的に行うのが好ましい。このようにすれば、常温からいきなり高温での二次熱処理を行うことによる過度な熱応力が発生するのを防止することができる。
【0018】
また、前記複合半導体基板の製造方法においては、前記単結晶半導体層が、単結晶シリコンからなるのが好ましい。このようにすれば、単結晶半導体層が一般的な単結晶シリコンからなることにより、他の単結晶半導体層を用いた場合に比べ複合半導体基板を安価に製造することが可能になる。
【0019】
また、前記複合半導体基板の製造方法においては、前記支持基板は、透光性基板であるのが好ましい。このようにすれば、得られた複合半導体基板から例えば透過型の液晶装置(ライトバルブ)を製造することが可能になる。
【0020】
次に、本発明の複合半導体基板は、前記のいずれかの製造方法によって得られたこを特徴としている。この複合半導体基板によれば、単結晶半導体層にスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのが防止されていることから、例えばこの単結晶半導体層を薄膜トランジスタなどの半導体素子に形成した場合に良好で信頼性の高いものとなる。
【0021】
また、本発明の電気光学装置は、前記複合半導体基板を備えたことを特徴としている。この電気光学装置によれば、例えば前記の良好で信頼性の高い半導体素子を有することにより、この電気光学装置自体も良好で信頼性の高いものとなる。
【0022】
さらに、本発明の電子機器は、前記電気光学装置を備えたことを特徴としている。この電子機器によれば、前記の良好で信頼性の高い電気光学装置を備えることにより、この電子機器自体も良好で信頼性の高いものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態1に係るSOI構造の複合半導体基板(貼り合せ基板)の製造方法を示す工程断面図である。なお、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を適宜異ならせてある。
【0024】
本実施の形態では、まず図1(A)に示すように、厚さが例えば750μmの単結晶シリコン基板(半導体基板)200を用意し、その後、その第1の面201および第2の面202のうちの少なくとも第1の面201の全面に、シリコン酸化膜(絶縁層)210を形成する。このシリコン酸化膜210は、後述する貼り合わせ工程において第1の面201が親水性となる厚さ以上であればよいが、本例では200nm程度に形成する。
【0025】
次に、図1(B)に示すように第1の面201側から水素イオンをシリコン酸化膜210が形成された単結晶シリコン基板200に注入する。その結果、単結晶シリコン基板200の内部には、図1(B)中破線で示すような進入深さ分布を備えるイオン注入層が形成される。このときのイオン注入条件としては、例えば加速エネルギーを60〜150keV、ドーズ量を5×1016cm−2〜10×1016cm−2とする。
【0026】
次に、図1(C)に示すように支持基板500を準備し、続いて、支持基板500の表面全体にスパッタリング法、CVD法などにより、シリコン酸化膜、NSG(ノンドープトシリケートガラス)などの酸化膜(絶縁層)510を形成する。次いで、この酸化膜510の表面をCMP法などによって研磨し、平坦化する。ここで、酸化膜510の膜厚は、例えば、約400〜1000nm、より好ましくは800nm程度とする。なお、支持基板500として石英などのSiOを主成分とする基板を用いた場合には、この酸化膜510の形成工程を省くこともできる。
【0027】
ここで、前記酸化膜(絶縁層)210、510は、単結晶シリコン基板(半導体基板)200と支持基板500との密着性を確保するために形成されたものである。支持基板500としては、ガラスや石英などの透光性材料からなる基板(透光性基板)を用いることができる。その場合、得られた複合半導体基板を透過型の電気光学装置、例えば透過型の液晶装置(ライトバルブ)などに応用することができる。
【0028】
次に、図1(D)に示すように、単結晶シリコン基板200の酸化膜510側の面501と、支持基板500のシリコン酸化膜210側の面とを接合させ、酸化膜210、510を介して単結晶基板200を支持基板500上に室温〜200℃程度で貼り合わせる。すると、基板表面のOH基の作用により、図1(E)に示すように単結晶シリコン層220と支持基板500とが絶縁層550(酸化膜210、510)を介して貼り合わされ、これにより複合半導体基板(貼合せ基板)600が形成される。
【0029】
ここで、貼り合わせ後の複合半導体基板600における単結晶シリコン基板200については、その単結晶シリコン層を例えば200nm程度に薄膜化して図1(E)に示した単結晶シリコン層220とする(なお、図面上で認識可能にするため、ここでは単結晶シリコン層220を厚く図示してある)。この単結晶シリコン層220は、例えば400℃〜700℃の低温で熱処理することにより、前記イオン注入層の位置で単結晶シリコン基板200が分離切断されて形成されたものである。この分離切断現象は、単結晶シリコン基板200内に導入されたイオンによって半導体結晶の結合が分断されるために生じるものであり、イオン注入層におけるイオン濃度のピーク位置でより顕著なものとなる。したがって、熱処理によって分離切断される位置は、前記イオン濃度のピーク位置と略一致する。なお、上記の分離切断によって露出した単結晶シリコン層220の表面は、数nm程度の凹凸を有するため、CMP法により平滑化を行うか、もしくは水素雰囲気中で熱処理を行う水素アニール法によって表面を平滑化しておくのが好ましい。また、このようにして分離した後の単結晶シリコン基板200については、そのまま別のSOI基板作製に用いることができる。
【0030】
また、支持基板500の表面において、酸化膜510の下層側に、モリブデン、タングステンなどの膜を形成しておいてもよい。このような膜は、例えば、熱伝導性膜として機能するので、支持基板500の温度分布を改善することができる。したがって、例えば、支持基板500と単結晶シリコン基板200とを貼り合わせる工程においては、この熱伝導性膜によって貼り合わせ界面の温度分布を均一化することができ、これによりこの界面での貼り合わせを均一にし、貼り合わせ強度を向上させることができる。さらに、透過型の液晶装置などに用いる場合には、モリブデン、タングステンなどの膜は、遮光層として機能させることができる。なお、このような膜に用いることができる材料は上記に挙げたもの以外にも、タンタル、コバルト、チタン等の高融点金属またはそれらを含む合金、もしくは多結晶シリコン、タングステンシリサイド、モリブデンシリサイド等に代表されるシリサイド膜などを用いることができる。
【0031】
続いて、前記単結晶シリコン層220上にレジスト層を形成し、さらに露光・現像処理を行うことにより、図2(A)に示すように単結晶シリコン層220の素子非形成領域230を露出させるレジストパターン610を形成する。ここで、素子非形成領域とは、単結晶シリコン層220において、能動素子、例えばスイッチング素子や論理回路、MEMS(MicroElectroMechanicalSystems)による素子等を形成しない領域であり、後工程において少なくともエッチング除去する領域である。
【0032】
ただし、本工程では、図2(A)中に示すように素子非形成領域230の全体を露出させることなく、素子形成領域240に接する部分、例えば素子形成領域240との境界から幅1μm程度の部分については、これを露出させることなくレジストパターン610で覆うようにする。これは、素子非形成領域230に注入した水素イオンが素子形成領域240にまで拡散するのを防止するためである。
【0033】
このようにしてレジストパターン610を形成したら、図2(B)に示すようにこのレジストパターン610をマスクにして、露出した素子非形成領域230に水素イオン注入を行う。この水素イオン注入は、単結晶シリコン層220の素子非形成領域230に水素イオンに基づく微小な空乏(マイクロキャビティ)231を形成するためのものであり、イオン注入条件としては、この微小空乏231を生じさせる条件であれば特に限定されることはない。なお、イオン注入条件の一例を示すと、加速エネルギーを60〜150keV、ドーズ量を1×1015cm−2〜5×1015cm−2程度とする。
【0034】
このようにして単結晶シリコン層220の素子非形成領域230に水素イオン注入を行い、素子非形成領域230に微小空乏231を形成したら、レジストパターン610を除去した後、この水素イオン注入後の複合半導体基板(貼合せ基板)600を一次熱処理する。この一次熱処理は、後に行う二次熱処理の前処理を兼ねて行うもので、二次熱処理を行う加熱装置内をこの二次熱処理温度より十分に低い温度に調節しておき、その状態で複合半導体基板600を加熱装置内に入れ、加熱処理を行う。この加熱処理温度(一次熱処理温度)としては、最終的に700℃以上となるようにして行う。すなわち、例えば加熱装置内を200℃〜400℃程度の低温状態にしておいてここに複合半導体基板600を入れ、その後600℃以上で700℃未満の温度に上げ、その状態で所定時間熱処理を行う。すると、先の水素イオン注入によって形成された微小空乏の体積が膨張し、拡張空乏232が形成され、該拡張空乏232を含む領域が脆弱層234となって、素子形成領域240よりも脆弱な層が形成され、後の二次熱処理における熱応力を緩和する機能を発現することとなる。
【0035】
次いで、加熱装置内の温度を700℃以上、1200℃以下に上げ、図2(C)に示すように一次熱処理温度より高い温度による二次熱処理を行う。この二次熱処理は貼り合わせ強度を上げるための工程である。すなわち、複合半導体基板600の絶縁層550に含まれる酸化膜210、510(図1参照)の貼り合わせ界面に存在する水素(H)をこの熱処理で揮散させ、Si−O−Si結合を起こさせることにより、貼り合わせ界面の密着性を上げている。
なお、このような二次熱処理や前記の一次熱処理において、先に注入した水素イオン(不純物)の拡散が起こるものの、前述したようにマージンをとってレジストパターン610を形成し、素子非形成領域230の全体をイオン注入していないことから、イオン(不純物)が素子形成領域240にまで拡散するのが防止されている。
【0036】
このようにして二次熱処理を行うと、単結晶シリコン基板200(単結晶シリコン層220)と支持基板500とが異なる材質からなり、したがって通常はこれらの間で熱膨張係数に差があることから、熱応力が生じる。しかしながら、本実施の形態では、先に示したように水素イオンの注入を行うことで単結晶シリコン層220に脆弱層234を形成し、この脆弱層234を応力緩和層として機能させたため、単結晶シリコン層220の素子形成領域240にスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのを防止することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、このようにして二次熱処理を行った後、単結晶シリコン層220を犠牲酸化法によって所望の厚さにするべく、該単結晶シリコン層220を熱酸化(犠牲酸化)して図3(A)に示すように単結晶シリコン層220a上に熱酸化膜225を形成する。
次いで、図3(B)に示すように、この熱酸化によって形成した熱酸化膜225をエッチングで除去し、単結晶シリコン層220aを所望厚さにする。
【0038】
この熱酸化膜225のエッチングにあたっては、その前期ではエッチングの速度を速めて処理時間を短縮するため反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングを採用し、後期では熱酸化膜225の下地層である単結晶シリコン層220にダメージを与えないよう、ウエットエッチングを採用するのが好ましい。ここで、このように熱酸化膜225のエッチング除去にウエットエッチングを採用しても、薄膜化した単結晶シリコン層220aが島状に分離させられることなく連続した状態(素子形成領域240と脆弱層234とが連続して形成された状態)でそのまま残っているので、これを覆って形成された熱酸化膜225をエッチングした際に、エッチング液が支持基板500と単結晶シリコン基板200との間の貼り合わせ界面、すなわち絶縁層550に含まれる酸化膜510とシリコン酸化膜210との貼り合わせ界面(図1参照)にまで浸透してしまうことがなく、したがって貼り合わせ界面に剥離が生じるといった不都合が防止される。
【0039】
次いで、図3(C)に示すように、素子形成領域240の単結晶シリコン層220aを覆うレジストパターン620を形成する。続いて、これをマスクにして単結晶シリコン層220aの素子非形成領域230たる脆弱層234をエッチング除去し、さらに図3(D)に示すようにレジストパターン620を除去して、素子形成領域240(図1参照)に単結晶シリコンパターン220bを形成する。単結晶シリコン層220aのエッチングについては、形成する単結晶シリコンパターン220bにダメージが与えられないよう、ウエットエッチングを採用するのが好ましい。
【0040】
このように本実施の形態によれば、薄膜化した単結晶シリコン層220aの、素子非形成領域230に水素イオン注入を行って該素子非形成領域230に脆弱層234を形成し、その後、複合半導体基板600(貼合せ基板)を二次熱処理するようにしたので、二次熱処理によって貼り合わせ強度を上げることができ、またその際、水素イオン注入を行った素子非形成領域230の脆弱層234を応力緩和層として機能させることができ、したがって素子形成領域240における単結晶シリコン層220aにスリップや転位、格子欠陥、HF欠陥等が形成されるのを防止することができる。また、前記二次熱処理に先立って一次熱処理を400℃〜700℃で行っているので、二次熱処理時の大きな熱応力が生じる前に、確実に微小空乏231の体積を拡張させ、拡張空乏232とすることができるようになる。
【0041】
また、前記二次熱処理を行った後に熱酸化を行い、この熱酸化によって形成した熱酸化膜225をエッチング除去して単結晶シリコン層220aを所望厚さにしているので、熱酸化膜225のエッチング除去にウエットエッチングを採用しても、薄膜化した単結晶シリコン層220aが島状に分離させられることなくそのまま残っていることにより、これを覆って形成された熱酸化膜225をエッチングした際にエッチング液が貼り合わせ界面にまで浸透してしまうことがなく、したがって貼り合わせ界面に剥離が生じるといった不都合を防止することができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、絶縁層550の少なくとも一部に、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの少なくとも1200℃以下の熱処理時に流動性もしくは弾性をもつ層を形成しておくようにしてもよい。半導体プロセスで一般的に使われるBPSGであれば850℃以上で流動性を持つ。B、Pの濃度によっては700℃から流動性を持たせることができる。この流動性の層によって熱応力がより緩和されるため、熱膨張係数の異なる複合半導体基板(SOI基板)に好適である。なお、PSG、BSG、BPSGを流動性の層に適用する場合には、単結晶シリコンパターン220bに形成される半導体素子に悪影響を及ぼさないように、窒化シリコン膜などの保護層を流動性の層の上部に設けるのが好ましい。
【0043】
[実施の形態2]
上記の実施の形態1で説明した方法を各種半導体装置の製造に適用することができる。そこで、本実施形態では、実施の形態1で説明した複合半導体基板(貼り合せ基板)600を用いて、液晶装置(電気光学装置)のアクティブマトリクス基板(半導体装置)を構成した例を説明する。
【0044】
(液晶装置の全体構成)
図4は、液晶装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図であり、図5は、対向基板を含めて示す図4のH−H′断面図である。
図4において、液晶装置100のアクティブマトリクス基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側領域には、遮光性材料からなる額縁53が形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101および外部入力端子102がアクティブマトリクス基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って形成されている。
【0045】
走査線に供給される走査信号の遅延が問題にならない場合には、走査線駆動回路104は片側だけでもよいことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。例えば、奇数列のデータ線は画像表示領域10aの一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列のデータ線は画像表示領域10aの反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。このようにデータ線を櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路101の形成面積を拡張することが出来るため、複雑な回路を構成することが可能となる。さらにアクティブマトリクス基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられており、さらに、額縁53の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、アクティブマトリクス基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が形成されている。
【0046】
そして、図5に示すように、図4に示したシール材52とほぼ同じ輪郭をもつ対向基板20がこのシール材52によりアクティブマトリクス基板10に固着されている。なお、シール材52は、アクティブマトリクス基板10と対向基板20とをそれらの周辺で貼り合わせるための光硬化樹脂や熱硬化性樹脂などからなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。
【0047】
詳しくは後述するが、アクティブマトリクス基板10には、画素電極9aがマトリクス状に形成されている。これに対して、対向基板20には、アクティブマトリクス基板10に形成されている画素電極(後述する)の縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクス、あるいはブラックストライプなどと称せられる遮光膜23が形成され、その上層側には、ITO膜からなる対向電極21が形成されている。
【0048】
このように形成した液晶装置は、たとえば、後述する投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)において使用される。この場合、3枚の液晶装置100がRGB用のライトバルブとして各々使用され、各液晶装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、前記した各形態の液晶装置100にはカラーフィルタが形成されていない。
【0049】
ただし、対向基板20において各画素電極9aに対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成することにより、投射型液晶表示装置以外にも、後述するモバイルコンピュータ、携帯電話機、液晶テレビなどといった電子機器のカラー液晶表示装置として用いることができる。
【0050】
さらに、対向基板20に対して、各画素に対応するようにマイクロレンズを形成することにより、入射光の画素電極9aに対する集光効率を高めることができるので、明るい表示を行うことができる。さらにまた、対向基板20に何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付きの対向基板によれば、より明るいカラー表示を行うことができる。
【0051】
(液晶装置100の構成および動作)
次に、アクティブマトリクス型の液晶装置(電気光学装置)の電気的構成および動作について、図6ないし図8を参照して説明する。
【0052】
図6は、液晶装置100の画像表示領域10aを構成するためにマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、および配線などの等価回路図である。図7は、データ線、走査線、画素電極などが形成されたアクティブマトリクス基板において相隣接する画素の平面図である。図8は、図7のA−A′線に相当する位置での断面、およびアクティブマトリクス基板と対向基板との間に電気光学物質としての液晶を封入した状態の断面を示す説明図である。なお、これらの図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0053】
図6において、液晶装置100の画像表示領域10aにおいて、マトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a、および画素電極9aを制御するための画素スイッチング用のMIS形トランジスタ30が形成されており、画素信号を供給するデータ線6aが該MIS形トランジスタ30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2・・・Snは、この順に線順次に供給する。また、MIS形トランジスタ30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2・・・Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、MIS形トランジスタ30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるMIS形トランジスタ30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2・・・Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、・・・Snは、後述する対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0054】
ここで、保持された画素信号がリークするのを防ぐことを目的に、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70(キャパシタ)を付加することがある。この蓄積容量70によって、画素電極9aの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる液晶装置が実現できる。なお、蓄積容量70を形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線3bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線3aとの間に形成する場合もいずれであってもよい。
【0055】
図7において、液晶装置100のアクティブマトリクス基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線で囲まれた領域)が各画素毎に形成され、画素電極9aの縦横の境界領域に沿ってデータ線6a(一点鎖線で示す)、走査線3a(実線で示す)、および容量線3b(実線で示す)が形成されている。
図8に示すように、液晶装置100は、アクティブマトリクス基板10と、これに対向配置される対向基板20とを備えている。
【0056】
本形態において、アクティブマトリクス基板10の基体は、後述する貼り合せ基板(複合半導体基板)600からなり、対向基板20の基体は、石英基板や耐熱性ガラス板などの透明基板20bからなる。アクティブマトリクス基板10には画素電極9aが形成されており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が形成されている。画素電極9aは、たとえばITO(IndiumTinOxide)膜等の透明な導電性薄膜からなる。また、配向膜16は、たとえばポリイミド薄膜などの有機薄膜に対してラビング処理を行うことにより形成される。なお、対向基板20において、対向電極21の上層側にも、ポリイミド膜からなる配向膜22が形成され、この配向膜22も、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
【0057】
アクティブマトリクス基板10の画像表示領域10aにおいて、各画素電極9aに隣接する位置には、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用のMIS形トランジスタ30が形成されている。また、貼り合せ基板600の内部には、MIS形トランジスタ30と平面的に重なる領域に、クロム膜などからなる遮光膜11aが形成されている。この遮光膜11aの表面側には層間絶縁膜12が形成され、この層間絶縁膜12の表面側にMIS形トランジスタ30が形成されている。すなわち、層間絶縁膜12は、MIS形トランジスタ30を構成する半導体層1aを遮光膜11aから電気的に絶縁するために設けられるものである。
【0058】
図7および図8に示すように、画素スイッチング用のMIS形トランジスタ30は、LDD(LightlyDopedDrain)構造を有しており、半導体層1aには、走査線3aからの電界によりチャネルが形成されるチャネル領域1a′、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1d、並びに高濃度ドレイン領域1eが形成されている。また、半導体層1aの上層側には、この半導体層1aと走査線3aとを絶縁するゲート絶縁膜2が形成されている。
ここで、半導体層1aは、前述した方法で形成された単結晶シリコン層220bからなっている。
【0059】
このように構成したMIS形トランジスタ30の表面側には、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜4、7が形成されている。層間絶縁膜4の表面には、データ線6aが形成され、このデータ線6aは、層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。層間絶縁膜7の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜4、7およびゲート絶縁膜2に形成されたコンタクトホールを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。この画素電極9aの表面側にはポリイミド膜からなる配向膜16が形成されている。この配向膜16は、ポリイミド膜に対してラビング処理が施された膜である。
【0060】
また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁膜2aと同時形成された絶縁膜(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、蓄積容量70が構成されている。
【0061】
このように構成したアクティブマトリクス基板10と対向基板20とは、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置され、かつ、これらの基板間には、前記のシール材53(図4および図5を参照)により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶50が封入され、挟持される。液晶50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜により所定の配向状態をとる。液晶50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したものなどからなる。
【0062】
なお、対向基板20およびアクティブマトリクス基板10の光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置される。
【0063】
[電子機器への適用]
次に、電気光学装置を備えた電子機器の一例として投射型液晶表示装置を、図9、図10を参照して説明する。
まず、図9には、上記の各形態に係る電気光学装置と同様に構成された液晶装置100を備えた電子機器の構成をブロック図で示してある。
【0064】
図9において、電子機器が、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶装置100、クロック発生回路1008、および電源回路1010を含んで構成される。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)、光ディスクなどのメモリ、テレビ信号の画信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて、所定フォーマットの画像信号を処理して表示情報処理回路1002に出力する。この表示情報出力回路1002は、たとえば増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、あるいはクランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成され、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKとともに駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶装置100を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定の電源を供給する。なお、液晶装置100を構成するアクティブマトリクス基板の上に駆動回路1004を形成してもよく、それに加えて、表示情報処理回路1002もアクティブマトリクス基板の上に形成してもよい。
【0065】
このような構成の電子機器としては、図10を参照して説明する投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)を挙げることができる。図10に示す投射型液晶表示装置1100は、前記の駆動回路1004がアクティブマトリクス基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶モジュールを3個準備し、各々RGB用のライトバルブ100R、100G、100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。この液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプなどの白色光源のランプユニット1102から光が出射されると、3枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの3原色に対応する光成分R、G、Bに分離され(光分離手段)、対応するライトバルブ100R、100G、100B(液晶装置100/液晶ライトバルブ)に各々導かれる。この際に、光成分Bは、光路が長いので、光損失を防ぐために入射レンズ1122、リレーレンズ1123、および出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G、100Bによって各々変調された3原色に対応する光成分R、G、Bは、ダイクロイックプリズム1112(光合成手段)に3方向から入射され、再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120などにカラー画像として投射される。
【0066】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば実施の形態として説明した液晶装置の具体的な構成は、ほんの一例に過ぎず、その他、種々の構成を有する液晶装置に本発明を適用することができる。また、例えば、本発明は、エレクトロルミネッセンス(EL)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、あるいはプラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた様々な電気光学素子を用いた電気光学装置および該電気光学装置を備えた電子機器に対しても適用可能であるということは言うまでもない。
また、本発明における単結晶半導体層としては、単結晶シリコンに限定されることなく、例えば単結晶ゲルマニウム等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造方法の一実施形態を示す工程断面図。
【図2】 図1に続く製造方法の工程断面図。
【図3】 図2に続く製造方法の工程断面図。
【図4】 本発明に係る液晶装置を対向基板側から見た平面図。
【図5】 図4のH−H′断面図。
【図6】 複数の画素に形成された各種素子、配線等の等価回路図。
【図7】 各画素の構成を示す平面図。
【図8】 図7のA−A′線に相当する位置で切断した断面図。
【図9】 電子機器の回路構成を示すブロック図。
【図10】 電子機器の一例としての投射型電気光学装置の断面図。
【符号の説明】
100…液晶装置(電気光学装置)、200…単結晶シリコン基板(半導体基板)、210…シリコン酸化膜(絶縁層)、220,220a…単結晶シリコン層(単結晶半導体層)、220b…単結晶シリコンパターン、230…素子非形成領域、231…微小空乏(マイクロキャビティ)、232…拡張空乏、240…素子形成領域、500…支持基板、510…酸化膜(絶縁層)、550…絶縁層、600…複合半導体基板(貼合せ基板)

Claims (9)

  1. 単結晶半導体層を備えた半導体基板を支持基板上に貼り合わせてなる複合半導体基板の製造方法であって、
    前記支持基板と前記半導体基板とを貼り合わせて貼合せ基板を形成する貼合せ工程と、
    前記貼合せ基板における前記単結晶半導体層の所定領域に水素イオン注入を行う水素イオン注入工程と、
    前記水素イオン注入後の前記貼合せ基板を熱処理する熱処理工程と、を備え
    前記水素イオン注入工程においては、前記貼合せ基板における前記単結晶半導体層のうち素子が形成される領域以外の領域に前記水素イオンを注入し、
    前記水素イオン注入工程は、前記単結晶半導体層のうちの前記素子の形成を予定する領域上にレジストを形成する工程と、該レジストをマスクとして水素イオンを注入する工程とを含むことを特徴とする複合半導体基板の製造方法。
  2. 前記貼合せ工程と前記水素イオン注入工程との間に、前記貼合せ基板の前記半導体基板をその厚さ方向で分離して前記単結晶半導体層を薄膜化する工程を更に備えたことを特徴とする請求項記載の複合半導体基板の製造方法。
  3. 前記熱処理を行った後に、熱酸化を行う工程と、
    この熱酸化によって形成した熱酸化膜をエッチング除去して単結晶半導体層を所望厚さにする工程と、
    前記所定領域の単結晶半導体層をエッチング除去する工程と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載の複合半導体基板の製造方法。
  4. 前記熱処理工程により、前記注入した水素イオンによって形成された微小空乏が大きくなるとともに、前記貼合せ基板の貼合せ強度が向上することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の複合半導体基板の製造方法。
  5. 前記熱処理工程は、相対的に低温で熱処理する一次熱処理工程と、相対的に高温で熱処理する二次熱処理工程とを含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の複合半導体基板の製造方法。
  6. 前記一次熱処理を400℃〜700℃にて行い、且つ前記二次熱処理を700℃〜1200℃にて行うことを特徴とする請求項に記載の複合半導体基板の製造方法。
  7. 前記一次熱処理工程と二次熱処理工程とを連続的に行うことを特徴とする請求項又はに記載の複合半導体基板の製造方法。
  8. 前記単結晶半導体層は、単結晶シリコンからなることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の複合半導体基板の製造方法。
  9. 前記支持基板は、透光性基板であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の複合半導体基板の製造方法。
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