JP4214702B2 - 電気光学装置の製造方法、及び電気光学装置、並びに投写型表示装置、電子機器 - Google Patents

電気光学装置の製造方法、及び電気光学装置、並びに投写型表示装置、電子機器 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Silicon On Insulator(以下、「SOI」)と略記する。)技術を適用した電気光学装置の製造方法、及び電気光学装置、並びに投射型表示装置、電子機器に関し、特に、高い信頼性が得られる電気光学装置を歩留まりよく製造することができる電気光学装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁基体上にシリコンなどからなる半導体薄膜を形成し、その半導体薄膜を半導体デバイスに形成するSOI技術は、素子の高速化や低消費電力化、高集積化を図ることができる等の利点を有することから、例えば電気光学装置に好ましく適用されている技術である。
【0003】
SOI技術を適用した電気光学装置を製造するには、支持基板に、単結晶シリコンなどからなる単結晶半導体層と絶縁体層もしくは単結晶半導体層のみによって構成されたデバイス形成層を貼り合わせ、研磨する方法等により薄膜単結晶半導体層を形成し、その薄膜単結晶半導体層を例えば液晶駆動用の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、「TFT」と略記する。)等のトランジスタ素子に形成している。
【0004】
そして、薄膜単結晶半導体層を液晶駆動用のTFT等のトランジスタ素子に形成する場合には、薄膜単結晶半導体層をウエットエッチングする方法や、薄膜単結晶半導体層を酸化して酸化膜とした後、その酸化膜をウエットエッチングする方法などにより、トランジスタ素子を構成する薄膜単結晶半導体層の膜厚の制御が行われている。このようにトランジスタ素子を構成する薄膜単結晶半導体層の膜厚を制御することによって、完全空乏型トランジスタや、完全空乏型トランジスタと部分空乏型トランジスタが混載されている電気光学装置を製造することが可能となる。
【0005】
SOI技術を用いた電気光学装置は、プロジェクタ等の投射型表示装置に適用することが考えられる。このような投射型表示装置では、支持基板が光透過性を有する場合に、表示面側から入射した光が支持基板の裏面側の界面で反射して、TFT等のトランジスタ素子のチャネル領域に戻り光として入射することが考えられる。そこで、支持基板の表面側におけるトランジスタ素子領域に対応する位置に、戻り光を遮光するための遮光層を形成することを考えるに至った。
このような支持基板の表面に遮光層を有する電気光学装置を製造する場合には、支持基板の表面に遮光層をパターニングし、その上を絶縁体層で覆って研磨により平坦化した後、得られた平坦面にデバイス形成層を貼り合わせる。そして、デバイス形成層を構成する単結晶半導体層を研磨する方法等により薄膜単結晶半導体層を形成し、その薄膜単結晶半導体層を例えば液晶駆動用のTFT等のトランジスタ素子として形成するのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者の研究によれば、TFTの下側の高融点金属膜からなる遮光層は、製造中に経時的に酸化が進行する傾向がある。そして、係る遮光層において、このような酸化が進行すると、酸化の度合いに応じて遮光層の光透過率が上昇することが判明しており、遮光層本来の機能を十分に発揮し得ないという問題がある。例えば、このような高融点金属膜からなる遮光層がTFTの下側に形成されたTFTアレイ基板に対して、酸素15%、水分85%の環境で常圧酸化を行うと、膜厚800nm程度の酸化シリコン膜からなる絶縁体層で遮光層を覆った場合でも膜厚200nm程度の遮光層が完全に酸化されてしまうことがある。
【0007】
さらに、本願発明者の研究によれば、このようにTFTを構成する半導体層のチャネル領域の下側に、高融点金属膜等からなる遮光層を配置すると、この半導体層におけるコンタミネーション(不純物の拡散による汚染等)も問題となる。すなわち、このような遮光層を設けない場合と比して、半導体層に浸入する不純物が増加する事例も確認されており、これによりTFTのトランジスタ特性が劣化するという問題もある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、SOI技術が適用され、支持基板の表面に遮光層が形成された電気光学装置において、高い信頼性が得られる電気光学装置を歩留まり良く製造することができる製造方法を提供することを目的としており、より詳細には、遮光層を用いることで耐光性に優れるとともに、この遮光層の酸化による遮光性能の低下を防止でき、また遮光層による半導体層へのコンタミネーションを低減することができる電気光学装置を歩留まり良く製造できる製造方法を提供することを目的としている。
また、上記製造方法により製造し得る、信頼性に優れた電気光学装置、およびこの電気光学装置を備えた信頼性の高い投射型表示装置および電子機器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明者が遮光層の酸化の原因を調査し、以下のような検討を行った。
図13(a)は、上記パターニングされた遮光層を備えた電気光学装置の断面構成図であり、この図に示す電気光学装置は、支持基板310と、この支持基板300上に形成され、所定の平面形状にパターニングされた高融点金属膜からなる遮光層311と、遮光層311を覆うように形成された絶縁体層312と、この絶縁体層312上に形成された半導体層306とから構成されている。この種の電気光学装置では、遮光層311に下側から覆われる位置の半導体層306を利用して各種スイッチング素子が形成される。
【0010】
上記構成の電気光学装置においては、絶縁体層312上に形成される半導体層306は、単結晶半導体基板を、前記支持基板に貼り合わせ、その後前記単結晶半導体基板を薄膜化する方法等により形成されるが、この半導体層306自体が例えば200nm程度と極めて薄いことから、図13(a)に示すように、半導体層306を貫通して絶縁体層312に至るピンホール306aが形成されることが避けられず、このピンホール306aが遮光層311の直上に位置する場合があることは十分に考えられる。
ところで、電気光学装置の半導体層306を、スイッチング素子等の形成のために薄くする場合には、図13(b)に示すように、半導体層316の表面を酸化させて酸化層307を形成した後、エッチングにより酸化層307を除去する手法を用いるのが一般的である。しかし、上記ピンホール306aを有する半導体層306の表面を酸化させると、同時にピンホール306aの内壁も酸化されるため、酸化層307を除去するためのエッチングを行うと、図13(c)に示すようにピンホール306の下側の絶縁層312の一部までエッチングが進行してしまい、絶縁層312内に、ピンホール306と連通された凹部312aが形成される。そして、ピンホール306が遮光層311上に位置している場合には、上記凹部312aが形成されることで、遮光層311上の絶縁膜312が極めて薄い状態となり、また、凹部312aはピンホール306aを介して外部と連通されているために、凹部312a内に外気が浸入しやすい状態となっている。このようにして、電気光学装置の絶縁体層312が、遮光層311上で部分的に薄くなることで、外気に含まれる酸化性のガス成分が絶縁体層312中を拡散し遮光層に到達しやすくなり、遮光層の酸化が進行する原因となっていると本願発明者は考えた。また、このような遮光層の酸化が生じると、遮光層の体積が増加するために、上記凹部312a近傍の絶縁体層312が部分的に破壊され、遮光層の成分が半導体層306側へ拡散してコンタミネーションを起こすと考えた。
【0011】
従って、上記遮光層の酸化に伴う特性劣化の問題を解決するためには、半導体層306に生じるピンホール306aを介しての絶縁体層312のエッチングを防止すればよいと本発明者は考え、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の電気光学装置の製造方法は、上記目的を達成するために、支持基板上に半導体層を備えた半導体基板を貼り合わせてなる複合基板を用いた電気光学装置の製造方法であって、支持基板の一側の面に遮光層を形成する工程と、前記遮光層をパターニングする工程と、前記パターニングされた遮光層上に、絶縁体層を形成する工程と、前記絶縁体層を平坦化する工程と、前記絶縁体層に前記半導体層を備えた半導体基板を貼り合わせ、前記半導体基板を薄膜化することによって、前記絶縁体層上に前記半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に耐酸化性被膜を成膜する工程と、前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去して前記半導体層を露出させることにより、前記半導体層のピンホールを、前記耐酸化性被膜により封止する工程と、を含むことを特徴としている。
【0013】
本発明の電気光学装置の製造方法は、半導体層上に耐酸化性被膜を形成しすることで、半導体層の表面及び半導体層のピンホール内部を前記耐酸化性被膜で被覆し、その後、半導体層上の耐酸化性被膜を除去することで、半導体層の表面を露出させるとともに、半導体層のピンホールが前記耐酸化性被膜により封止された状態とするものである。このような製造方法により作製された電気光学装置は、半導体層の表面を酸化させることで酸化層を形成しても、ピンホールの内面が酸化されることがないため、この酸化層を除去するためのエッチング工程において、半導体層表面に形成された酸化層のみが除去される。従って、半導体層下側の絶縁体層がエッチングされることがなく、遮光層が極めて酸化されにくい電気光学装置を製造することができる。従って、本発明に係る製造方法によれば、製造中の遮光層の酸化による遮光性能の低下を回避することができ、半導体層に形成されるトランジスタ素子の性能を維持可能となる。
【0014】
また、上記本発明の製造方法においては、前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去する工程が、前記半導体層の表面を平滑化する工程を兼ねることができる。
このような製造工程を備えた製造方法とすることで、工程の煩雑化及び工数の増加を抑えることができ、製造の効率化を図ることができる。
【0015】
上記本発明の製造方法においては、前記耐酸化性被膜として、窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜を成膜することができる。
これら窒化シリコン膜や窒化酸化シリコン膜は、支持基板上の積層構造内に作り込まれる絶縁体層の典型例である酸化シリコン膜や、支持基板上の積層構造を構成する他の各種絶縁膜、各種導電膜、各種半導体膜等と比べて緻密に形成可能であり、酸素や水分などの酸化種の透過率を顕著に低くできる。すなわち、酸素や水分などの酸化種は、上記耐酸化性被膜を透過しにくいので、この耐酸化性被膜が埋め込まれた半導体層のピンホール部分は、他の半導体層よりもむしろ上記酸化種を透過させ難くなり、より効果的に遮光層の酸化を防止できるようになる。
【0016】
上記本発明の電気光学装置の製造方法においては、前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去する工程において、前記耐酸化性被膜を化学的機械研磨法により除去して前記半導体層を露出させ、その後、連続的に、化学的機械研磨法により前記露出された半導体層の表面を平滑化することもできる。
このような製造方法とすることで、より効率よく高い信頼性を備えた電気光学装置を製造することができる。つまり、前記耐酸化性被膜を化学的機械研磨法により除去する工程と、この工程により露出された半導体層表面を平滑化するための化学的機械研磨法とは、研磨条件を異ならせるのみで、同一の研磨装置により連続的に行うことができるので、工程への負担が極めて少なく、従来に比しても製造効率を落とすことなく電気光学装置の信頼性を高めることができる。
【0017】
上記本発明の電気光学装置の製造方法においては、前記半導体層の膜厚を10nm以上とし、前記半導体層上に形成される耐酸化性被膜の膜厚を、10nm以上とすることが好ましい。
前記耐酸化性被膜の膜厚下限値は、この被膜の酸化種阻止能から決定される値であり、窒化珪素などの典型的な耐酸化性被膜では膜厚を10nm以上とすることにより本発明の目的とする効果を十二分に発揮することができる。
なお前記耐酸化性被膜の膜厚上限値は、下地に設けた遮光層の酸化を防止するという点においては存在しないが、前記半導体層の膜厚より厚くすることは成膜時および研磨処理のタクト増加の点において好ましくない。すなわち前記耐酸化性被膜の膜厚は、前記半導体層の膜厚以下にするとよい。
なお本発明における電気光学装置に用いる前記半導体層は、良好な動作速度を有し、特性ばらつきの少ない優れたトランジスタ素子を形成するために10nm以上とするのが好ましく、この点においても前記耐酸化性被膜の膜厚を上記範囲とすることに何ら矛盾はなく、なおかつ半導体層に含まれるピンホールを確実に封止することができるとともに、容易に除去することができる耐酸化性被膜とすることができる。
【0018】
上記本発明の電気光学装置の製造方法においては、前記支持基板として石英基板を用い、前記遮光層を高融点金属又は高融点金属の珪素化合物により形成することが好ましい。
支持基板及び遮光層を優れた耐熱性を有する材料で構成することで、1000℃を越える高温プロセスが可能となり、より高性能の素子を容易に形成できるようになる。
【0019】
上記本発明の電気光学装置においては、前記半導体層を形成する工程が、当該半導体層を含む単結晶半導体基板と、前記平坦化された絶縁体層を備える支持基板とを貼り合わせる工程と、前記支持基板と貼り合わされた単結晶半導体基板を薄膜化して前記半導体層を形成する工程と、を含む構成とすることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、単結晶半導体基板上に半導体層を別途形成し、この単結晶半導体基板と、遮光層及び絶縁体層がすでに形成された支持基板とを貼り合わせ、その後、単結晶半導体基板側を薄膜化して半導体層を絶縁体層に残すようになっているので、単結晶半導体膜を半導体層とする極めて高性能なトランジスタ素子が形成可能な電気光学装置を比較的容易に製造可能である。
【0021】
次に、本発明の電気光学装置は、上記目的を達成するために、支持基板上にパターニング形成された遮光層と、該遮光層を覆って形成された絶縁体層と、該絶縁体層に貼り合わされた半導体層とを備える電気光学装置であって、前記半導体層のピンホールが、耐酸化性材料により封止されていることを特徴としている。本発明の電気光学装置は、上述したように、遮光層の酸化や、これに伴う半導体層へのコンタミネーションの原因となっていた半導体層のピンホールを、耐酸化性被膜により封止したことで、遮光層の酸化を防止し、その結果遮光層を構成する成分の半導体層へのコンタミネーションを防止することができる。
【0022】
上記本発明の電気光学装置においては、前記耐酸化性材料が、窒化シリコン又は窒化酸化シリコンとされることが好ましい。
上記窒化シリコンや窒化酸化シリコンや、緻密に形成可能で、酸素や水分などの酸化種を透過させ難いため、より効果的に遮光層の酸化を防止することができ、優れた信頼性を備えた電気光学装置とすることができる。
【0023】
次に、上記目的を達成するために、本発明の投写型表示装置は、先に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、光源と、該光源から出射された光を変調する前記電気光学装置と、該電気光学装置により変調された光を投射面に拡大投影する拡大投影光学系とを有することを特徴とする。
このような投射型表示装置は、上記の電気光学装置を備えたものであるので、信頼性の高い投射型表示装置とすることができる。
【0024】
次に、上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、先に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
このような電子機器とすることで、信頼性の高い表示部を備えた電子機器とすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置及びその製造方法と、本発明の電気光学装置としての液晶装置である。
【0026】
(電気光学装置)
まず、本発明に係る電気光学装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る電気光学装置の断面構成図である。この図に示す電気光学装置200は、支持基板201と、この支持基板上に形成され、所定の形状にパターニングされた遮光層211と、この遮光層211を覆うように形成された酸化シリコン膜からなる絶縁体層212と、この絶縁体層212上に形成された単結晶シリコン層(半導体層)206とを備えて構成されており、単結晶シリコン層206に含まれるピンホール206aは、窒化シリコン材(耐酸化性材料)208により封止されている。
そして、遮光層211に下側から覆われる位置の半導体層206に、トランジスタ素子等の各種スイッチング素子が形成されるようになっている。
【0027】
次に、図1に示す電気光学装置の製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、図1に示す電気光学装置の製造工程を示す断面工程図であり、図2(a)〜(d)、図3(a)〜(d)はそれぞれ各工程における断面図を示している。また、以下に示す製造方法は、一例であって、本発明は以下に記載のものに限定されない。
【0028】
まず、図2(a)に示すように、支持基板210上の全面に遮光層211を形成する。支持基板210としては、例えば厚さ1.2mmの石英基板を用いることができる。遮光層211は、例えばモリブデンをスパッタ法により100〜250nm程度の厚さ、より好ましくは200nmの厚さに堆積することにより得る。なお、この遮光層211の材料は本実施形態に限定されるものではなく、製造するデバイスの熱プロセス最高温度に対して安定な材料であればどのような材料を用いても問題はない。例えば他にもタングステン、タンタルなどの高融点金属や多結晶シリコン、さらにはタングステンシリサイド、モリブデンシリサイド等のシリサイドが好ましい材料として用いられ、形成法もスパッタ法の他、CVD法、電子ビーム加熱蒸着法などを用いることができる。
【0029】
次に、図2(a)に示す遮光層211上に、所定の平面形状にフォトレジストを塗布し、このフォトレジストをマスクとして遮光層211のエッチングを行い、その後フォトレジストを剥離して図2(b)に示すように所定のパターンの遮光層211が形成された支持基板を得る。上記フォトレジストは、トランジスタ素子形成領域に対応する位置のほか、トランジスタ素子の非形成領域(トランジスタ素子の周辺領域)にも同様に形成する。ここで、トランジスタ素子の非形成領域とは、具体的には、トランジスタ素子形成領域の周辺領域に存在する、対向基板貼り合わせのためのシール材を塗布するシール領域や、データ線、走査線を駆動するための駆動回路の周辺部、入出力信号線を接続するための接続端子を形成する端子パッド領域等を指す。
【0030】
次に、図2(c)に示すように、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁体層212を堆積する。この酸化シリコン膜は、例えばスパッタ法、あるいはTEOS(テトラエチルオルソシリケート)を用いたプラズマCVD法により、例えば1000nm程度堆積させる。なお、絶縁体層212の材料としては、上記の酸化シリコン膜の他に、例えばNSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0031】
次に、図2(d)に示すように、絶縁体層212の表面を、遮光層211上に所定の膜厚を残す条件でグローバルに研磨して平坦化する。研磨による平坦化の手法としては、例えばCMP(化学的機械研磨)法を用いることができる。
【0032】
次に、図3(a)に示すように、光透過性基板202と単結晶シリコン基板(単結晶半導体基板)216との貼り合わせを行う。貼り合わせに用いる単結晶シリコン基板216は、厚さ300μm程度とされ、その表面をあらかじめ0.05〜0.8μm程度酸化して酸化膜層を形成しておくのがよい。酸化膜層を形成しておくことで、貼り合わせ後に形成される単結晶シリコン層206と酸化膜層界面を熱酸化で形成し、電気特性の良い界面を確保することができる。
また、上記単結晶シリコン基板216には、貼り合わせ側の表面から水素イオンを注入して基板内に高水素濃度層216aを形成しておく、水素イオンの注入条件は、例えば加速電圧100keV、ドーズ量10×1016/cm2である。
【0033】
上記貼り合わせ工程は、例えば300℃で2時間の熱処理によって2枚の基板を直接貼り合わせる方法が採用できる。貼り合わせ強度をさらに高めるためには、さらに熱処理温度を上げて450℃程度にする必要があるが、石英基板と単結晶シリコン基板の熱膨張係数には大きな違いがあるため、このまま加熱すると単結晶シリコン層にクラックなどの欠陥が発生し、基板品質が劣化してしまう。このようなクラックなどの欠陥の発生を抑制するためには、一度300℃にて貼り合わせのための熱処理を行った単結晶シリコン基板をウエットエッチングまたはCMPによって100〜150μm程度まで薄くした後に、さらに高温の熱処理を行うことが望ましい。例えば80℃のKOH水溶液を用い、単結晶シリコン基板の厚さが150μmなるようエッチングを行い、この後貼り合わせた基板を450℃にて再び熱処理し、貼り合わせ強度を高めるのが好適である。
【0034】
そして、図3(b)に示すように、貼り合わせた2枚の基板を熱処理することにより、支持基板210上に薄膜の単結晶シリコン層(半導体層)206を残して大部分の単結晶シリコン基板216を剥離する。この単結晶シリコン基板216の剥離現象は、単結晶シリコン基板216に注入された水素イオンによって、シリコンの結合が分断されるために生じるものである。すなわち、単結晶シリコン基板216において、高水素濃度層216aと水素イオンが注入されていない部分との境界近傍部分で単結晶シリコン基板216を分断することができる。
また、図3(b)に示すように、薄膜化された単結晶シリコン層206には、この単結晶シリコン層206を貫通する程度のピンホール206aが生じている。このピンホール206aは、このような薄い単結晶シリコン層においては、不可避のものであり、通常の形成法により形成された単結晶シリコン層には、その発生頻度の大小はあるものの、皆無であることは極めて稀である。
【0035】
単結晶シリコン基板216を剥離するための熱処理は、例えば貼り合わせた基板を毎分20℃の昇温速度にて600℃まで加熱することにより行うことができる。この熱処理によって、貼り合わされた単結晶シリコン基板216の大部分が支持基板210から分離され、支持基板210上には、例えば約200nm±5nm程度の膜厚を有する単結晶シリコン層206が形成される。
尚、単結晶シリコン層206の膜厚は、先の単結晶シリコン基板216への水素イオン注入の加速電圧を変えることによって10nm〜3000nmまでの任意の膜厚で形成することができる。
【0036】
尚、単結晶シリコン基板216と支持基板210とを貼り合わせた後、単結晶シリコン基板216を薄膜化して単結晶シリコン層206を形成する方法は、上述した水素イオンを注入する方法に限定されるものではなく、例えば単結晶のシリコン基板を支持基板210と貼り合わせた後、このシリコン基板の表面を研磨してその膜厚を3〜5μmとした後、さらに最後にPACE(PlasmaAssisted Chemical Etching)法によってシリコン層206の膜厚を0.05〜0.8μm程度までエッチングして仕上げる方法も適用することができる。このPACE処理によって得られる単結晶シリコン層は、例えば膜厚100nmに対しその均一性は10%以内のものが得られる。
また、多孔質シリコン上に形成したエピタキシャルシリコン層を多孔質シリコン層の選択エッチングによって貼り合わせ基板上に転写するELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)法も用いることができる。
【0037】
次に、図3(c)に示すように、単結晶シリコン層206上に窒化シリコン膜からなる耐酸化性被膜207を形成する。この窒化シリコン膜207は、窒化酸化シリコン膜であっても良い。この窒化シリコン膜207は、より緻密な結晶組織を有して形成され、単結晶シリコン層206のピンホール206a内部にまで成膜される。従って、部分的には、窒化シリコン膜207の一部は絶縁体層212と当接している。
窒化シリコン(又は窒化酸化シリコン)膜207の膜厚は、10nm以上で、なおかつ単結晶層206の膜厚以下の範囲とすることが好ましい。このような範囲の膜厚に形成することで、単結晶シリコン層206のピンホール206a内部に隙間無く充填され、また後述する除去工程において除去しやすい窒化シリコン膜とすることができる。
【0038】
これら窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜は、例えば、酸化シリコン膜を単結晶シリコン層206上に形成し、その後表面を一酸化二窒素若しくは一酸化窒素にて窒化又は窒化酸化する方法や、CVD法により形成することができる。本発明における窒化シリコン膜207は、単結晶シリコン層206に生じるピンホール206aを封止する目的で形成されるため、窒化シリコン膜207全体が窒化シリコンで構成されるように成膜条件、窒化(窒化酸化)条件を設定することが好ましい。
【0039】
次に、窒化シリコン膜207を上面側から研磨することにより、単結晶シリコン層206上の窒化シリコン膜207を除去し、単結晶シリコン層206の表面を露出させる。この研磨方法としては、化学的機械研磨法を用いるのがよい。この研磨法を用いるならば、まず所定の研磨条件にて窒化シリコン膜207を開始し、窒化シリコン膜207の除去が終了した時点で、研磨装置に投入される研磨剤及び研磨条件を変更することで、研磨装置を停止することなく、連続的に単結晶シリコン層206の平滑化を行うことができる。
尚、単結晶シリコン層206上の窒化シリコン膜207を除去する工程と、単結晶シリコン層206の表面を平滑化する工程とは別々の工程で行っても良い。また、本実施形態では、上記単結晶シリコン層206を形成する工程において一度単結晶シリコン層206の平滑化を行い、窒化シリコン膜207の除去後に再度単結晶シリコン層206の平滑化を行っているが、単結晶シリコン層206形成直後の平滑化を行わず、窒化シリコン膜207除去後の平滑化のみを行うようにしても良い。このような製造工程とすることで、製造をより効率化することができるとともに、単結晶シリコン層206の形成後すぐに、窒化シリコン膜207が成膜されるため、製造中に単結晶シリコン層206のピンホール206aを介しての絶縁層212への酸化種(酸素や水分)の浸入をより効果的に防止し、遮光層の酸化を防止することができる。
【0040】
以上の工程により、図3(d)に示す電気光学装置が得られる。この図に示す電気光学装置においては、最上面に形成された単結晶シリコン層206のピンホール206aが、窒化シリコン膜207の一部が取り残された窒化シリコン材207により封止された状態となっているので、単結晶シリコン層206が犠牲酸化などにより酸化された場合にも、ピンホール206aの内面は酸化されることがない。従って、上記犠牲酸化による酸化層をエッチングしてもピンホール206aを貫通して絶縁体層212がエッチングされることはないので、遮光層211上の絶縁体層212を所定の層厚に保持することができる。その結果、本実施形態の製造方法により製造された電気光学装置は、従来の電気光学装置で問題となっていた遮光層の酸化の問題が生じることが無く、また、遮光層211の酸化がないことから、絶縁体層212が破損して遮光層211の成分が単結晶シリコン層206へ拡散することが無い、信頼性に優れた電気光学装置とされている。
【0041】
(液晶装置)
図4は電気光学装置としての液晶装置の画像形成領域(画素部)を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。また、図5は、データ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群を拡大して示す平面図である。
また、図7は、図6のA−A’断面図である。尚、図7においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0042】
図4において、本実施形態による液晶装置の画像表示領域(画素部)を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、マトリクス状に複数形成された画素電極9aと画素電極9aを制御するためのTFT(トランジスタ素子)30とからなり、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0043】
画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20(図6参照)に形成された対向電極21(図6参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの液晶部分を通過可能とされ、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、画素電極9aの電圧は、データ線に電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い液晶装置が実現できる。本実施形態では特に、このような蓄積容量70を形成するために、後述の如く走査線と同層、もしくは導電性の遮光膜を利用して低抵抗化された容量線3bを設けている。
【0044】
次に、図5に基づいて、TFTアレイ基板の画素部(画像表示領域)内の平面構造について詳細に説明する。図5に示すように、液晶装置のTFTアレイ基板上の画素部内には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介して単結晶シリコン層の半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域1eに電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域1a’(図中右上りの斜線の領域;図6参照)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。
【0045】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部(即ち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部(即ち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有する。
【0046】
そして、図中右上がりの斜線で示した領域には、図1に示した遮光層211に対応する複数の第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aは夫々、画素部において半導体層1aのチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板の側から見て覆う位置に設けられており、更に、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する段側(即ち、図中下向き)に突出した突出部とを有する。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重ねられている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的接続するコンタクトホール13が設けられている。即ち、本実施形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続されている。
【0047】
本実施形態において、画素電極9a及びTFTは画素部内にのみ設けられているが、第1遮光膜11aは、画素部内のみならず、遮光を必要としない画素部の外側の領域(画素部の周辺領域)、すなわち対向電極基板を貼り合わせるためのシール材を塗布するシール領域や、入出力信号線を接続するための外部回路接続端子が形成された端子パッド領域等にも同様のパターンを2次元的に展開する形で形成することができる。これによって、第1遮光膜11aの上に形成する絶縁体層を研磨して平坦化する際に、画素部内と画素部の周辺領域の凹凸状態がほぼ同じとなるため、均一に平坦化することができ、単結晶シリコン層を良好な状態で貼り合わせることができる。
【0048】
次に、図6に基づいて、液晶装置の画素部内の断面構造について説明する。図6に示すように、液晶装置は、光透過性基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、石英基板10Aを備えてなり、対向基板20は、ガラス基板(石英基板でも良い)20Aを備えている。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜40が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜(インジウム・ティン・オキサイド膜)などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0049】
他方、対向基板20には、TFTアレイ基板10上のデータ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23上を含む対向基板20上には、その全面にわたって対向電極(共通電極)21が設けられている。対向電極21もTFTアレイ基板10の画素電極9aと同様、ITO膜等の透明導電性膜から形成されている。第2遮光膜23の存在により、対向基板20の側からの入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層11aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することはない。さらに、第2遮光膜23は、カラーフィルターを備えた構成の表示装置においては、コントラスト比の向上、色材の混色防止などの機能、いわゆるブラックマトリクスとしての機能を発現することが可能である。また、前記対向電極21の上側全面に配向膜60が形成されている。この配向膜60は、ポリイミドなどの有機配向膜の他、酸化シリコンなどを射方蒸着して形成した無機配向膜を適用することができる。
【0050】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、シール材(図示を省略)により囲まれた空間に液晶が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜40及び60により所定の配向状態を採る。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなる。シール材は、二つの基板10及び20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0051】
図6に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10表面の各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には第1遮光膜11aが各々設けられている。ここで、第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo及びPbのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等から構成される。
【0052】
このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。本実施形態においては、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生によりトランジスタ素子としての画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0053】
また、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜(絶縁体層)12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されており、第1遮光膜11aパターンの段差を解消するために表面を研磨し、平坦化処理を施してある。すなわち、図1に示す本発明の電気光学装置においては、第1層間絶縁膜12が絶縁体層212に対応し、TFT30を構成している半導体層が、半導体層206に対応している。
【0054】
第1層間絶縁膜12は、上述の電気光学装置の製造方法で挙げたものの他に、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、窒化シリコン膜等により構成することができる。また、この第1層間絶縁膜12は、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐようになっているが、本実施形態の液晶装置では、液晶装置の製造プロセス中に、この第1層間絶縁膜12が、エッチングされて薄くなるのを防止できるため、より効果的に第1遮光膜11aからの拡散を防止することができるようになっている。
【0055】
本実施形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eが、データ線6a及び走査線3aの下に延設されて、同じくデータ線6a及び走査線3aに沿って伸びる容量線3b部分に絶縁膜2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。特に蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温酸化により単結晶シリコン層上に形成されるTFT30のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄く且つ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積で大容量の蓄積容量として構成できる。
【0056】
更に、蓄積容量70においては、図5及び図6から分かるように、第1遮光膜11aは、第2蓄積容量電極としての容量線3bの反対側において第1蓄積容量電極1fに第1層間絶縁膜12を介して第3蓄積容量電極として対向配置されることにより(図6の右側の蓄積容量70参照)、蓄積容量が更に付与されるように構成されている。即ち、本実施形態では、第1蓄積容量電極1fを挟んで両側に蓄積容量が付与される積層蓄積容量構造が構築されており、蓄積容量がより増加する。よって、当該液晶装置が持つ、表示画像におけるフリッカや焼き付きを防止する機能が向上する。
【0057】
これらの結果、データ線6a下の領域及び走査線3aに沿って液晶のディスクリネーションが発生する領域(即ち、容量線3bが形成された領域)という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来る。
【0058】
本実施形態では特に、第1遮光膜11a(及びこれに電気的接続された容量線3b)は定電位源に電気的接続されており、第1遮光膜11a及び容量線3bは、定電位とされる。従って、第1遮光膜11aに対向配置される画素スイッチング用TFT30に対し第1遮光膜11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。また、容量線3bは、蓄積容量70の第2蓄積容量電極として良好に機能し得る。この場合、定電位源としては、当該液晶装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。このように周辺回路等の電源を利用すれば、専用の電位配線や外部入力端子を設ける必要なく、第1遮光膜11a及び容量線3bを定電位にできる。
【0059】
また、図5及び図6に示したように、本実施形態では、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けるのに加えて、コンタクトホール13を介して第1遮光膜11aは、前段あるいは後段の容量線3bに電気的接続するように構成されている。従って、各第1遮光膜11aが、自段の容量線に電気的接続される場合と比較して、画素部の開口領域の縁に沿って、データ線6aに重ねて容量線3b及び第1遮光膜11aが形成される領域の他の領域に対する段差が少なくて済む。このように画素部の開口領域の縁に沿った段差が少ないと、当該段差に応じて引き起こされる液晶のディスクリネーション(配向不良)を低減できるので、画素部の開口領域を広げることが可能となる。
【0060】
また、第1遮光膜11aは、前述のように直線状に伸びる本線部から突出した突出部にコンタクトホール13が開孔されている。ここで、コンタクトホール13の開孔箇所としては、縁に近い程、ストレスが縁から発散される等の理由により、クラックが生じ難いことが判明されている。従ってこの場合、どれだけ突出部の先端に近づけてコンタクトホール13を開孔するかに応じて(好ましくは、マージンぎりぎりまで先端に近づけるかに応じて)、製造プロセス中に第1遮光膜11aにかかる応力が緩和されて、より効果的にクラックを防止することができ、歩留まりを向上させることが可能となる。
【0061】
また、容量線3bと走査線3aとは、同一のポリシリコン膜からなり、蓄積容量70の誘電体膜とTFT30のゲート絶縁膜2とは、同一の高温酸化膜からなり、第1蓄積容量電極1fと、TFT30のチャネル形成領域1aおよびソース領域1d、ドレイン領域1e等とは、同一の半導体層1aからなる。このため、TFTアレイ基板10上に形成される積層構造を単純化でき、更に、後述の液晶装置の製造方法において、同一の薄膜形成工程で容量線3b及び走査線3aを同時に形成でき、蓄積容量70の誘電体膜及びゲート絶縁膜2を同時に形成できる。
【0062】
更に、図5に示したように、第1遮光膜11aは、走査線3aに沿って夫々伸延しており、しかも、データ線6aに沿った方向に対し複数の縞状に分断されている。このため、例えば各画素部の開口領域の周りに一体的に形成された格子状の遮光膜を配設した場合と比較して、第1遮光膜11a、走査線3a及び容量線3bを形成するポリシリコン膜、データ線6aを形成する金属膜、層間絶縁膜等からなる当該液晶装置の積層構造において、各膜の物性の違いに起因した製造プロセス中の加熱冷却に伴い発生するストレスが格段に緩和される。このため、第1遮光膜11a等におけるクラックの発生防止や歩留まりの向上が図られる。
【0063】
尚、図5では、第1遮光膜11aにおける直線状の本線部分は、容量線3bの直線状の本線部分にほぼ重ねられるように形成されているが、第1遮光膜11aが、TFT30のチャネル領域を覆う位置に設けられており且つコンタクトホール13を形成可能なように容量線3bと何れかの箇所で重ねられていれば、TFTに対する遮光機能及び容量線に対する低抵抗化機能を発揮可能である。従って、例えば相隣接した走査線3aと容量線3bとの間にある走査線に沿った長手状の間隙領域や、走査線3aと若干重なる位置にまでも、当該第1遮光膜11aを設けてもよい。
【0064】
容量線3bと第1遮光膜11aとは、第1層間絶縁膜12に開孔されたコンタクトホール13を介して確実に且つ高い信頼性を持って、両者は電気的接続されているが、このようなコンタクトホール13は、画素毎に開孔されても良く、複数の画素からなる画素グループ毎に開孔されても良い。
【0065】
コンタクトホール13を画素毎に開孔した場合には、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化を促進でき、更に、両者間における冗長構造の度合いを高められる。他方、コンタクトホール13を複数の画素からなる画素グループ毎に(例えば2画素毎に或いは3画素毎に)開孔した場合には、容量線3bや第1遮光膜11aのシート抵抗、駆動周波数、要求される仕様等を勘案しつつ、第1遮光膜11aによる容量線3bの低抵抗化及び冗長構造による利益と、多数のコンタクトホール13を開孔することによる製造工程の複雑化或いは当該液晶装置の不良化等の弊害とを適度にバランスできるので、実践上大変有利である。
【0066】
また、このような画素毎或いは画素グループ毎に設けられるコンタクトホール13は、対向基板20の側から見てデータ線6aの下に開孔されている。このため、コンタクトホール13は、画素部の開口領域から外れており、しかもTFT30や第1蓄積容量電極1fが形成されていない第1層間絶縁膜12の部分に設けられているので、画素部の有効利用を図りつつ、コンタクトホール13の形成によるTFT30や他の配線等の不良化を防ぐことができる。
【0067】
再び、図6において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b及び低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。ソース領域1b及び1d並びにドレイン領域1c及び1eは後述のように、半導体層1aに対し、n型又はp型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のn型用又はp型用のドーパントをドープすることにより形成されている。n型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子である画素スイッチング用TFT30として用いられることが多い。データ線6aは、Al等の金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。このソース領域1bへのコンタクトホール5を介して、データ線6aは高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。尚、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとは、データ線6aと同一のAl膜や走査線3bと同一のポリシリコン膜を中継して電気的接続するようにしてもよい。
【0068】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0069】
また、画素スイッチング用TFT30のゲート電極(走査線3a)をソース−ドレイン領域1b及び1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにダブルゲート或いはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造或いはオフセット構造にすれば、更にオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
【0070】
ここで、一般には、半導体層1aのチャネル領域1a’低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c等の単結晶シリコン層は、光が入射するとシリコンが有する光電変換効果により光電流が発生してしまい画素スイッチング用TFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施形態では、走査線3aを上側から覆うようにデータ線6aがAl等の遮光性の金属薄膜から形成されているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの入射光の入射を効果的に防ぐことが出来る。また、前述のように、画素スイッチング用TFT30の下側には、第1遮光膜11aが設けられているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの戻り光の入射を効果的に防ぐことが出来る。
【0071】
尚、この実施形態では、相隣接する前段あるいは後段の画素に設けられた容量線3bと第1遮光膜11aとを接続しているため、最上段あるいは最下段の画素に対して第1遮光膜11aに定電位を供給するための容量線3bが必要となる。そこで、容量線3bの数を垂直画素数に対して1本余分に設けておくようにすると良い。
【0072】
(液晶装置の全体構成)
以上のように構成された本実施形態の液晶装置の全体構成を図7及び図8を参照して説明する。尚、図7は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図8は、対向基板20を含めて示す図7のH−H’断面図である。
【0073】
図7において、TFTアレイ基板10の上には、シール材51がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る周辺見切りとしての第2遮光膜53が設けられている。シール材51の外側の領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならない場合には、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画面表示領域の辺に沿って両側に配列してもよい。例えば奇数列のデータ線6aは画面表示領域の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列のデータ線は前記画面表示領域の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。この様にデータ線6aを櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路の占有面積を拡張することができるため、複雑な回路を構成することが可能となる。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画面表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間を接続するための複数の配線105が設けられており、更に、周辺見切りとしての第2遮光膜53の下に隠れてプリチャージ回路を設けてもよい。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。そして、図8に示すように、図7に示したシール材51とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材51によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0074】
以上の液晶装置のTFTアレイ基板10上には更に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺領域に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(デュアルスキャン−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
【0075】
以上説明した液晶装置は、例えばカラー液晶プロジェクタ(投射型表示装置)に適用される場合には、3枚の液晶装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各パネルには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、その場合には上記実施形態で示したように、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、液晶プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー液晶テレビなどのカラー液晶装置に、上記実施形態の液晶装置を適用することができる。更に、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい液晶装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー液晶装置が実現できる。
【0076】
以上説明した実施形態における液晶装置では、従来と同様に入射光を対向基板20の側から入射することとしたが、TFTアレイ基板10に第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板10の側から入射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしても良い。即ち、このように液晶装置を液晶プロジェクタに取り付けても、半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR(Anti−reflection)被膜された偏光手段を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、上記の実施形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1aの少なくともチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cとの間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光手段やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、上記実施形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光手段の貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
【0077】
[投写型表示装置]
上記実施形態の液晶パネルを備えた投写型表示装置の例について説明する。
図9は、本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。図9において、投射型表示装置1100は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いた投射型表示装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0078】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。したがって、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0079】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944から色合成プリズム910の側に出射される。
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0080】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶パネル962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0081】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ946から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0082】
このような投射型表示装置は、本発明の実施形態の液晶パネル962R、962G、962Bが備えられているものであるので、経時的な光リーク電流の増加や、トランジスタ素子の劣化がない、優れた信頼性を有する投射型表示装置とすることができる。
【0083】
[電子機器]
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0084】
図11は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0085】
図12は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図12において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0086】
図10〜図12に示す電子機器は、上記実施の形態の液晶パネルを用いた液晶表示部を備えているので、優れた信頼性を有する表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、支持基板上に半導体層を備えた半導体基板を貼り合わせてなる複合基板を用いた電気光学装置の製造方法であって、支持基板の一側の面に遮光層を形成する工程と、前記遮光層をパターニングする工程と、前記パターニングされた遮光層上に、絶縁体層を形成する工程と、前記絶縁体層を平坦化する工程と、前記絶縁体層上に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に耐酸化性被膜を成膜する工程と、前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去して前記半導体層を露出させる工程と、を含む構成としたことで、前記半導体層に生じるピンホールを前記耐酸化性被膜を構成する材料により封止することができるので、前記半導体層の表面を酸化して酸化層を形成した際にピンホール内部が酸化されないようにすることができる。これにより、上記酸化層をエッチングした場合にも、ピンホールを貫通して絶縁体層がエッチングされないので、外部からの酸化種が絶縁体層を貫通し難くなり、酸化種が遮光層に達して遮光層が酸化されるのを効果的に防止することができる。従って、本発明に係る製造方法によれば、高い信頼性を備えた電気光学装置を比較的容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の電気光学装置の断面構成図である。
【図2】 図2は、図1に示す電気光学装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図3】 図3は、図1に示す電気光学装置の製造工程を示す断面工程図である。
【図4】 図4は、本発明の電気光学装置の実施形態である液晶装置の等価回路図である。
【図5】 図5は、図4に示す液晶装置のTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群を示す平面図である。
【図6】 図6は、図5のA−A’線に沿う断面図である。
【図7】 図7は、本実施形態の液晶装置のTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに示す平面図である。
【図8】 図8は、図7のH−H’線に沿う断面図である
【図9】 図9は、本発明に係る投射型表示装置の例を示す図である。
【図10】 図10は、本発明に係る電子機器の一例を示す図である。
【図11】 図11は、本発明に係る電子機器の一例を示す図である。
【図12】 図12は、本発明に係る電子機器の一例を示す図である。
【図13】 図13は、従来の電気光学装置の製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)
1c…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
10…TFTアレイ基板
20…対向基板
11a…第1遮光膜(遮光層)
12…第1層間絶縁膜(絶縁体層)
30…TFT
210…支持基板
211…遮光層
212…絶縁体層
216…単結晶シリコン基板(単結晶半導体基板)
206…単結晶シリコン層(半導体層)
207…窒化シリコン膜(耐酸化性被膜)
208…耐酸化性材料

Claims (11)

  1. 支持基板上に半導体層を備えた半導体基板を貼り合わせてなる複合基板を用いた電気光学装置の製造方法であって、
    支持基板の一側の面に遮光層を形成する工程と、
    前記遮光層をパターニングする工程と、
    前記パターニングされた遮光層上に、絶縁体層を形成する工程と、
    前記絶縁体層を平坦化する工程と、
    前記絶縁体層に前記半導体層を備えた半導体基板を貼り合わせ、前記半導体基板を薄膜化することによって、前記絶縁体層上に前記半導体層を形成する工程と、
    前記半導体層上に耐酸化性被膜を成膜する工程と、
    前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去して前記半導体層を露出させることにより、前記半導体層のピンホールを、前記耐酸化性被膜により封止する工程と、
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  2. 前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去する工程が、前記半導体層の表面を平滑化する工程を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
  3. 前記耐酸化性被膜として、窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜を成膜することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の製造方法。
  4. 前記半導体層上の耐酸化性被膜を除去する工程において、前記耐酸化性被膜を化学的機械研磨法により除去して前記半導体層を露出させ、その後、連続的に、化学的機械研磨法により前記露出された半導体層の表面を平滑化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  5. 前記半導体層の膜厚が10nm以上であり、前記半導体層上に形成される耐酸化性被膜の膜厚が、10nm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  6. 前記支持基板として石英基板を用い、前記遮光層を高融点金属又は高融点金属の珪素化合物により形成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 前記半導体層を形成する工程が、
    前記半導体層を備えた単結晶半導体基板と、
    前記平坦化された絶縁体層を備える支持基板とを貼り合わせる工程と、
    前記支持基板と貼り合わされた単結晶半導体基板を薄膜化して前記半導体層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気光学装置の製造方法。
  8. 支持基板上にパターニング形成された遮光層と、前記遮光層を覆い、平坦化された絶縁体層と、前記絶縁体層に貼り合わされた半導体層とを備える電気光学装置であって、
    前記半導体層のピンホールが、耐酸化性材料により封止されていることを特徴とする電気光学装置。
  9. 前記耐酸化性材料が、窒化シリコン又は窒化酸化シリコンとされたことを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
  10. 請求項8又は9に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
    光源と、前記光源から出射された光を変調する前記電気光学装置と、前記電気光学装置により変調された光を投射面に拡大投影する拡大投影光学系とを有することを特徴とする投射型表示装置。
  11. 請求項8又は9に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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