JP3855976B2 - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)駆動、薄膜ダイオード(以下適宜、TFD(Thin Film Diode)と称す)駆動等によるアクティブマトリクス駆動方式やパッシブマトリクス駆動方式の電気光学装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気光学装置の一例として液晶装置においては一般に、一対の基板間で画素電極及び対向電極上に各々所定方向にラビング処理が施された一対の配向膜が設けられており、これらの配向膜間に液晶等の電気光学物質が所定の配向状態で挟持されている。そして、動作時には、この電気光学物質に両電極から電界が印加され、電気光学物質の配向状態は変化され、電気光学装置の画像表示領域内で表示が行われる。
【0003】
従って、この種の電気光学装置においては、データ線、走査線、容量線等の配線やTFT、TFD等の画素駆動用の駆動素子などを形成した領域と、これらの配線や駆動素子などが形成されていない領域(特に画像表示用の入射光が通過する各画素の開口領域等)における基板上の合計層厚の差による凹凸を、仮にそのまま電気光学物質に接する面(配向膜)にまで残したとすると、その凹凸の程度に応じて電気光学物質に配向不良(ディスクリネーション)が発生して、各画素の画像の劣化につながる。より具体的には、各開口領域が窪んだ凹凸面上に形成された配向膜に対してラビング処理を施したのでは、この凹凸に応じて配向膜表面に配向規制力のばらつきが生じ、この凹凸で電気光学物質の配向不良が発生してコントラストが変化してしまう。即ち、電気光学物質の配向不良が起こると、例えば、電気光学物質電圧非印加時において白表示となるノーマリーホワイトモードであれば、配向不良の箇所で白抜け現象が起こり、コントラストが低下すると共に精細度も低下してしまう。このような事態を避けるべく、配向膜間の距離(電気光学物質の層厚)を均等且つ所定値に保ち、配向膜に対するラビング処理を基板の全面に渡って均等且つ適切に施すためには、画像表示領域内に位置する画素部を平坦化することは非常に重要である。
【0004】
他方、この種の電気光学装置においては一般に、上述の配線や駆動素子などが形成された両基板間には、シール材により囲まれた空間に電気光学物質が封入され、電気光学物質層が形成される。シール材は、両基板をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤である。特に小型の電気光学装置であれば、数μm程度の外径を持つビーズ状やファイバ状のギャップ材を混入したシール材により基板間ギャップを制御しているが、シール領域(シール材により接着されている領域)においては、電気光学物質に対向する画像表示領域から周辺領域に至る走査線及びデータ線の引き出し配線が配線されているため、引き出し配線の有無により段差が発生する。このように段差があると、ギャップ材によるギャップ制御が困難になると共にギャップ材による応力集中が引き出し配線の断線やショートの原因となるため、このようなシール領域を平坦化することも非常に重要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如き画素部における平坦化のためには、例えば、薄膜トランジスタを構成する各薄膜間や各種配線を構成する各薄膜間を絶縁するために設けられた複数の層間絶縁膜のうちの一つ又は複数を、配線や駆動素子などが形成された各画素の非開口領域における厚みが各開口領域における厚みよりも薄くなるように形成する必要が生じる。或いは、電気光学物質に最も近い側にある層間絶縁膜の上面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を施すことにより又はスピンコート等によりSOG(Spin On Glass)を形成することにより、平坦化する必要が生じる。
【0006】
他方、前述の如きシール領域における平坦化のためにも、複数の層間絶縁膜のうちの一つ又は複数を、引き出し配線が形成された箇所における厚みが引き出し配線が形成されていない箇所における厚みよりも薄くなるように形成する必要が生じる。或いは、シール材に最も近い側にある層間絶縁膜の上面を、CMP処理を施すことにより又はスピンコート等によりSOGを形成することにより、平坦化する必要が生じる。
【0007】
従って、いずれの場合にも、製造工程が複雑化し、歩留まりの低下及びコスト上昇を招くという問題点がある。
【0008】
特に、各層間絶縁膜は、あまり厚く(例えば、10000オングストローム程度に)したのでは、クラックが発生し易くなってしまう。他方で、あまり薄く(例えば、数百オングストローム程度に)したのでは、当該絶縁膜を介して絶縁された二つの導電膜間で電界が作用し易くなってしまう。例えば、TFTのゲート絶縁膜と反対側にある薄い層間絶縁膜がゲート絶縁膜として作用してバックチャネルが形成されたり、 容量が付加されてしまったりする。また、欠陥のない薄い絶縁膜を形成することは基本的に困難であり、良品率の低下を招いてしまう。従って、層間絶縁膜の厚みを一部で厚くし他部で薄くすることは、実際には設計自由度に乏しく、困難な作業が必要となると共にコスト上昇を招くという問題点がある。
【0009】
更に、この種の電気光学装置において、各画素電極に画像信号を供給する際のデューティー比が小さくてもフリッカやクロストークが発生しないようにするために、各画素電極に所定容量を付与するための蓄積容量を設ける場合があるが、この場合には特に、これを構成する蓄積容量電極や容量線の分だけ非開口領域における合計膜厚が厚くなり、上述の画素部における段差も増加してしまう。特に、このような蓄積容量をデータ線下の領域や走査線に沿った領域に作り込むと、この部分の層厚が増加して画素部にかなり大きな段差が発生してしまう。例えば、データ線下の領域に蓄積容量を作り込むと、蓄積容量の厚み(第1蓄積容量電極、絶縁膜及び第2蓄積容量電極の合計の厚み)とデータ線の厚みだけ、これらが存在しない画素部よりも高くなることになり、その段差は約10000オングストロームにもなる。従って、この場合には特に、画像表示領域内における段差を相殺するための平坦化処理は困難且つ高価なものになるという問題点がある。
【0010】
更にまた、薄膜トランジスタを各画素に備えた型の電気光学装置においては、特にプロジェクタ用途等で電気光学装置を透過した投射光の裏面からの戻り光が薄膜トランジスタのチャネル領域へ入射して光リークを起こすことを防止すべく、薄膜トランジスタの下側(TFTアレイ基板側)に遮光膜を設ける場合があるが、この場合には特に、遮光膜の分だけTFTを形成した非開口領域における合計膜厚が厚くなり、上述の段差も増加してしまう。従って、この場合にも特に、画像表示領域内における段差を相殺するための平坦化処理は困難且つ高価なものになるという問題点がある。
【0011】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであり、比較的簡単な構成を用いて、画像表示領域やシール領域における各種配線や素子の存在に起因する段差を低減可能な電気光学装置及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の一実施例に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の基板間と、前記一対の基板に狭持された電気光学物質と、前記電気光学物質を囲む領域に形成され、前記一対の基板を貼り合わせるシール材と、前記一対の基板の一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、走査線駆動回路と、複数のスイッチング素子に対応して設けられた複数の走査線と、データ線駆動回路と、前記複数のスイッチング素子に対応して設けられた複数のデータ線と、前記走査線駆動回路と前記走査線との間を電気的に接続した複数の走査線引き出し配線と、前記データ線駆動回路と前記データ線との間を電気的に接続した複数のデータ線引き出し配線と、前記一方の基板上であって、前記複数の走査線引き出し配線および前記複数のデータ線引き出し配線と前記電気光学物質との間に設けられた層間絶縁層と、を備え、前記一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、前記シール材の形成領域において前記層間絶縁膜の表面が平坦となるように、前記複数の走査線引き出し配線と前記複数のデータ線引き出し配線とに対応して形成された凹状の窪みを有することを特徴とする。
この構成により、引き出し配線に起因する段差を低減することができる。
また本発明の一実施例に係る電気光学装置は、平面視において前記複数の走査線引き出し配線および前記複数のデータ線引き出し配線と重なり合う位置に各々設けられた複数のダミー配線をさらに備えることを特徴とする。
この構成により、シール材形成領域において、層間絶縁膜の表面の高さを一致することができる。
また本発明の一実施例に係る電気光学装置は、前記複数のダミー配線は、各々重なり合う前記複数の走査線引き出し配線または前記複数のデータ線引き出し配線とそれぞれ電気 的に接続されていることを特徴とする。
この構成により、引き出し配線の冗長が可能となる。
また本発明の一実施例に係る電気光学装置は、前記凹状の窪みの側壁はテーパ状であることを特徴とする。
この構成により、配線不良を低減することが出来る。
また本発明の一実施例に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
この構成により、引き出し配線に起因する段差を低減した電子機器を提供することができる。
【0013】
また、本発明の参考例は、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路で制御され、前記複数のサンプリング回路に対応して設けられたサンプリング回路と、前記データ線駆動回路と前記サンプリング回路との間に配置され、少なくとも一つの配線は前記データ線駆動回路と前記サンプリング回路との間を電気的に接続され、少なくとも一つの他の配線は前記サンプリング回路と画像信号線との間を電気的に接続する複数の配線と、基板上に、前記複数の各配線に対応して形成された凹状の窪みを有することを特徴とする。この構成により、配線に起因する段差を低減することができる。
【0014】
また、本発明の参考例は、一対の基板間に電気光学物質が挟持されてなり、該一対の基板の一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、複数の画素電極と、該複数の画素電極を夫々選択的に駆動するための複数の駆動素子と、該複数の駆動素子に接続された複数の配線とを備えており、前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における前記複数の駆動素子及び前記複数の配線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪みを有する。
【0015】
本発明の参考例に係る電気光学装置によれば、一方の基板は、電気光学物質に面する側における複数の配線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪みを有するので、例えばデータ線、走査線、容量線等の各種の配線の上方に位置する最上層(配向膜)の表面は、この凹状の凸窪みの形成された領域においてその深さに応じて、画素の開口領域(画素電極の形成領域)の表面に対して平坦化される。例えば、各種の配線が相重なるため当該配線を構成する積層体が最も厚くなる領域を、その合計層厚に等しい深さだけ凹状に窪めれば、この領域は、ほぼ完全に平坦化される。或いは、画素電極を除く電気光学物質に対向する(各種の配線が形成されている)全非開口領域を凹状に窪めれば、画素の開口領域と非開口領域とは、平坦化される。同様にして、シール領域における引き出し配線に対向する基板領域を凹状に窪めれば、シール領域における引き出し配線の有無に起因した段差も低減され、シール領域における平坦化を図ることも可能となる。
【0016】
特に上記参考例に係る電気光学装置によれば、製造初期の段階で基板に対して凹状の窪みを形成すれば、その後のCVD工程、スパッタリング工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等の各種工程を、従来とほぼ又は全く同様に実行するだけで当該電気光学装置を製造できるので、大変有利である。加えて、前述のように層間絶縁膜の厚みを一部で厚くし他部で薄くする必要が無く、従って層間絶縁膜が厚い箇所でクラックが生じたり薄い箇所でバックチャネルが発生したりする危惧も無いため、設計自由度が格段に増し、困難な製造工程や付加工程が不要となり、コスト上昇を招かないという利点も得られる。
【0017】
以上のように本発明の参考例に係る電気光学装置によれば、アクティブマトリクス駆動方式、パッシブマトリクス駆動方式、セグメント駆動方式等の各種の電気光学装置において、比較的簡単な構成を用いて画素部における段差を低減できるので、従来、段差によりラビング処理が適切に施せなかったことに起因して或いは段差による基板間距離の狂いに直接起因して発生していた電気光学物質の配向不良を効率的に低減できる。更に、比較的簡単な構成を用いてシール領域における段差を低減できるので、基板間のギャップ制御や引き出し配線の不良化防止を効率的に行うことも可能となる。
【0018】
本発明の参考例に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、一対の基板間に電気光学物質が挟持されてなり、該一対の基板の一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、複数の画素電極と、該複数の画素電極を夫々選択的に駆動するための複数の駆動素子と、該複数の駆動素子に接続された複数の配線とを備えており、
前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における前記複数の駆動素子及び前記複数の配線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪みを有する。
【0019】
本発明の参考例に係る電気光学装置によれば、一方の基板は、電気光学物質に面する側における複数の配線及び複数の駆動素子に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪みを有するので、例えばデータ線、走査線、容量線等の各種の配線やTFT、TFD等の各種の駆動素子の上方に位置する最上層(配向膜)の表面は、この凹状の凸窪みの形成された領域においてその深さに応じて、画素の開口領域の表面に対して平坦化される。例えば、各種の配線や駆動素子が相重なるため当該配線や駆動素子を構成する積層体が最も厚くなる領域を、その合計層厚に等しい深さだけ凹状に窪めれば、この領域は、ほぼ完全に平坦化される。或いは、画素電極を除く電気光学物質に対向する(各種の配線や駆動素子が形成されている)全非開口領域を凹状に窪めれば、画素の開口領域と非開口領域とは、平坦化される。同様にして、シール領域における引き出し配線に対向する基板領域を凹状に窪めれば、シール領域における引き出し配線の有無に起因した段差も低減され、シール領域における平坦化が図られる。
【0020】
また、本発明の参考例に係る電気光学装置によれば、上述の第1の電気光学装置の場合と同様に、製造初期の段階で基板に対して凹状の窪みを形成すれば、その後の各種工程を、従来とほぼ又は全く同様に実行するだけで当該電気光学装置を製造できるので、大変有利であり、設計自由度も格段に増し、困難な製造工程や付加工程が不要となり、コスト上昇を招かないという利点も得られる。そして、TFT、TFD等の駆動素子を用いた各種のアクティブマトリクス駆動方式の電気光学装置において、比較的簡単な構成を用いて画素部における段差を低減できるので、電気光学物質の配向不良を効率的に低減できる。更に、比較的簡単な構成を用いてシール領域における段差を低減できるので、ギャップ制御が容易となり、高精細な表示が可能となる。更に、基板間のギャップ制御や引き出し配線の不良化防止を効率的に行うことも可能となる。
【0021】
本発明の参考例に係る電気光学装置の一の態様では、前記駆動素子は、薄膜トランジスタからなる。
【0022】
この態様によれば、薄膜トランジスタにより画素電極毎に電気光学物質駆動が行われるTFTアクティブ駆動方式の電気光学装置が実現される。
【0023】
この態様では、前記一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、前記薄膜トランジスタの少なくともチャネル領域を前記一方の基板の側から見て覆う位置に設けられた遮光膜を更に備えてもよい。
【0024】
このように構成すれば、遮光膜がTFTの少なくともチャネル領域を一方の基板の側から見て各々覆う位置において一方の基板に設けられているので、一方の基板の側からの戻り光等が当該チャネル領域に入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生によりTFTの特性が劣化することはない。
【0025】
本発明の参考例に係る電気光学装置の一の態様では、前記複数の画素電極は、マトリクス状に配置されており、前記複数の配線は、相交差する複数の走査線及び複数のデータ線を含み、前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における前記複数の走査線及び前記複数のデータ線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪んで形成されている。
【0026】
この態様によれば、画素電極毎に電気光学物質駆動が行われるアクティブ又はパッシブマトリクス駆動方式の電気光学装置が実現される。そして、一方の基板は、電気光学物質に面する側における走査線及びデータ線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪んで形成されているので、データ線及び走査線の配線の上方に位置する最上層の表面は、この凹状の凸窪みの形成された領域においてその深さに応じて、画素の開口領域の表面に対して平坦化される。例えば、TFTアクティブマトリクス駆動方式の電気光学装置において、画素の開口領域に対して一般に最も段差が大きいデータ線と走査線とが交差する領域を平坦化することも可能となる。
【0027】
本発明の参考例に係る電気光学装置の他の態様では、前記複数の配線は、前記複数の画素電極に対し蓄積容量を夫々付与するために形成された容量線を含み、前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における前記容量線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪んで形成されている。
【0028】
この態様によれば、画素電極には容量線による蓄積容量が付与されており、各画素電極に画像信号を供給する際のデューティー比が小さくてもフリッカやクロストークが発生しないようにできる。そして、一方の基板は、電気光学物質に面する側における容量線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪んで形成されているので、容量線の上方に位置する最上層の表面は、この凹状の凸窪みの形成された領域においてその深さに応じて平坦化される。従って、容量線の存在に起因した段差の発生を未然に防ぎつつ、蓄積容量により画質を向上できるので有利である。
【0029】
本発明の参考例に係る電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における画素開口領域を除く前記電気光学物質に対向する全領域が凹状に窪んで形成されている。
【0030】
この態様によれば、画素開口領域を除く電気光学物質に対向する全領域(即ち、各種の配線や各種の駆動素子が形成されている全非開口領域)が凹状に窪んで形成されているので、画像表示領域全体の平坦化が図られる。
【0031】
本発明の参考例に係る電気光学装置の他の態様では、前記電気光学物質の周囲において前記一対の基板を相互に接着するギャップ材混入のシール材を更に備えており、前記複数の配線は、前記電気光学物質に対向する領域に配置された主配線から前記シール材に対向する領域に延設された引き出し配線を含み、前記一方の基板は、前記電気光学物質に面する側における前記引き出し配線に対向する領域が少なくとも部分的に凹状に窪んで形成されている。
【0032】
この態様によれば、一方の基板は、シール領域における引き出し配線に対向する基板領域が凹状に窪んで形成されているので、シール領域における引き出し配線の有無に起因した段差も低減され、シール領域における平坦化が図られる。このように比較的簡単な構成を用いてシール領域における段差を低減できるので、シール材に混入されたギャップ材による基板間ギャップの制御が容易となり、電気光学物質の配向状態の制御をより精度良く行うことにより高精細な表示が可能となる。同時に、引き出し配線の形成された領域が相対的に凸状の表面となってギャップ材による応力が当該凸状の表面領域に集中して引き出し配線が断線やショートする事態を未然に防ぐことが可能となる。
【0033】
本発明の参考例に係る電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板の凹状に窪んだ側壁部分はテーパ状に形成されている。
【0034】
この態様によれば、凹状に窪んだ部分の側壁がテーパ状に形成されているので、凹状に窪んだ部分内に後工程で形成される、例えば、ポリシリコン膜、レジスト等が残ることがない。このため、確実に平坦化できる。また特に、シール領域において凹状に窪んだ部分の側壁をテーパ状に形成すれば、シール領域下を通る引き出し配線から凹状に窪んでいない面上に形成された周辺回路へ向けて側壁を横切って引き回す配線部分を、薄膜形成技術により確実且つ比較的容易に形成することも可能となる。
【0035】
本発明の参考例に係る他の態様では、前記複数の駆動素子は、凹状に窪んだ部分に絶縁層を介して形成されていることが好ましい。
【0036】
この態様によれば、凹状に窪んだ部分に直接駆動素子が形成されないため、凹状に窪んだ部分による駆動素子の能動層への影響を防ぐことができる。例えば凹状に窪んだ部分は一般にエッチングにより窪ませるため、その表面は荒れている。このあれた表面に直接能動層を形成すると、駆動素子の特性、例えばVthのずれ、能動層の移動度の低下、オフリークの上昇等の特性の劣化が起こる。従って、凹状に窪んだ部分にシリコン酸化膜のような絶縁層を形成し、その上に能動素子を形成すれば、上記の問題を防ぐことができる。
【0037】
本発明の参考例に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1の電気光学装置を製造する方法であって、前記一方の基板となる平らな基板上に前記凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンをフォトリソグラフィで形成する工程と、該レジストパターンを介して所定時間のエッチングを行い前記凹状に窪んだ部分を形成するエッチング工程と、前記凹状に窪んだ部分を含む前記一方の基板上に前記複数の画素電極及び前記複数の配線を所定順序で形成する素子形成工程とを備える。
【0038】
本発明の参考例に係る電気光学装置の製造方法によれば、先ず、一方の基板となる平らな基板上に、凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンが、フォトリソグラフィで形成される。その後、エッチングが、このレジストパターンを介して所定時間だけ行われて、凹状に窪んだ部分が形成される。従って、エッチングの時間管理により、凹状に窪んだ部分の深さや膜厚を制御できる。このエッチング工程において、例えばドライエッチングを用いる場合には、ほぼ露光寸法通りに開孔できる。次に、凹状に窪んだ部分を含む一方の基板上に、複数の画素電極及び複数の配線が所定順序で形成される。従って、上述した本発明の第1の電気光学装置を比較的容易に製造することが出来る。特に、製造初期の段階で基板に対して凹状の窪みを形成すれば、その後の各種工程を、従来とほぼ又は全く同様に実行するだけで当該第1の電気光学装置を製造できるので、大変有利である。
【0039】
本発明の参考例に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の第2の電気光学装置を製造する方法であって、前記一方の基板となる平らな基板上に前記凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンをフォトリソグラフィで形成する工程と、該レジストパターンを介して所定時間のエッチングを行い前記凹状に窪んだ部分を形成するエッチング工程と、前記凹状に窪んだ部分を含む前記一方の基板上に前記複数の画素電極、前記複数の駆動素子及び前記複数の配線を所定順序で形成する素子形成工程とを備える。
【0040】
本発明の参考例に係る電気光学装置の製造方法によれば、先ず、一方の基板となる平らな基板上に、凹状に窪んだ部分に対応するレジストパターンが、フォトリソグラフィで形成される。その後、エッチングが、このレジストパターンを介して所定時間だけ行われて、凹状に窪んだ部分が形成される。従って、エッチングの時間管理により、凹状に窪んだ部分の深さや膜厚を制御できる。このエッチング工程において、例えば異方性ドライエッチングを用いる場合には、ほぼ露光寸法通りに開孔できる。次に、凹状に窪んだ部分を含む一方の基板上に、複数の画素電極、複数の駆動素子及び複数の配線が所定順序で形成される。
【0041】
従って、上述した本発明の参考例に係る電気光学装置を比較的容易に製造することが出来る。特に、製造初期の段階で基板に対して凹状の窪みを形成すれば、その後の各種工程を、従来とほぼ又は全く同様に実行するだけで当該電気光学装置を製造できるので、大変有利である。
【0042】
本発明の参考例に係る電気光学装置の製造方法の一の態様では、前記エッチング工程は、前記凹状に窪んだ部分の側壁をテーパ状に形成するウエットエッチング工程を含む。
【0043】
この態様によれば、ウエットエッチング工程により、凹状に窪んだ部分の側壁は、テーパ状に形成される。このように凹状に窪んだ部分の側壁をテーパ状に形成しておけば、凹状に窪んだ部分内に後工程で形成される、例えば、ポリシリコン膜等が残ることがない。このため、この部分を確実に平坦化できる。特に、シール領域において凹状に窪んだ部分の側壁がテーパ状であるので、シール領域下を通る引き出し配線から凹状に窪んでいない面上に形成された周辺回路へ向けて側壁を横切って引き回す配線部分を、薄膜形成技術により確実且つ比較的容易に形成することも可能となる。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
(電気光学装置の画像表示領域における構成)
本発明による電気光学装置の画像表示領域における構成についてその動作と共に、図1から図4を参照して説明する。図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図2は、データ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のA−A’断面図である。また、図4は、比較例における図2のA−A’断面に対応する断面図である。尚、図3及び図4においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0047】
図1において、本実施の形態による電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素は、画素電極9aと当該画素電極9aを制御するためのTFT30とからなり、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。画素電極9aを介して電気光学物質に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板(後述する)に形成された対向電極(後述する)との間で一定期間保持される。電気光学物質は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ノーマリーホワイトモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの電気光学物質部分を通過不可能とされ、ノーマリーブラックモードであれば、印加された電圧に応じて入射光がこの電気光学物質部分を通過可能とされ、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される電気光学物質容量と並列に蓄積容量70を付加する。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量70により保持される。これにより、保持特性は更に改善され、コントラスト比の高い電気光学装置が実現できる。
【0048】
図2において、電気光学装置のTFTアレイ基板上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜等からなる半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的接続されており、画素電極9aは、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的接続されている。また、半導体層1aのうちチャネル領域(図中右下りの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。
【0049】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中、上向き)に突出した突出部とを有する。
【0050】
また、図中太線で示した矩形の島状領域には夫々、第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、島状の第1遮光膜11aは夫々、各TFTの少なくともチャネル領域をTFTアレイ基板側から見て、一画素毎に夫々覆う位置に設けられている。
【0051】
本実施の形態では特に、図2中右上がりの斜線で示した領域では、TFTアレイ基板が凹状に窪んで形成されている。この凹状に窪んだ構成については、後に図2及び図3を参照して詳述する。
【0052】
次に図3の断面図に示すように、電気光学装置は、透明な一方の基板の一例を構成するTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な他方の基板の一例を構成する対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは例えば、ITO膜(Indium Tin Oxide膜)などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜16は例えば、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0053】
他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極(共通電極)21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電性薄膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド薄膜などの有機薄膜からなる。
【0054】
TFTアレイ基板10には、図3に示すように、各画素電極9aに隣接する位置に、各画素電極9aをスイッチング制御する画素スイッチング用TFT30が設けられている。
【0055】
対向基板20には、更に図3に示すように、各画素の開口領域(即ち、画像表示領域内において実際に入射光が透過して表示に有効に寄与する領域)以外の領域に、ブラックマスク或いはブラックマトリクスと称される第2遮光膜23が設けられている。このため、対向基板20の側から入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’やLDD(Lightly Doped Drain)領域1b及び1cに侵入することはない。更に、第2遮光膜23は、コントラストの向上、色材の混色防止などの機能を有する。
【0056】
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、後述のシール材(図12及び図13参照)により囲まれた空間に電気光学物質が封入され、電気光学物質層50が形成される。電気光学物質層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。電気光学物質層50は、例えば一種又は数種類のネマティック電気光学物質を混合した電気光学物質からなる。シール材は、二つの基板10及び20をそれらの周辺で貼り合わせるための、例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のスペーサが混入されている。
【0057】
図2及び図3において本実施の形態では特に、データ線6a、走査線3a及び容量線3b並びにTFT30を含む図2中右上がりの斜線が引かれた網目状の領域においては、TFTアレイ基板10が凹状に窪んで形成されており、それ以外の画素電極9aにほぼ対応する開口領域(即ち、図2中斜線が引かれていない領域)においては、TFTアレイ基板10が相対的に凸状に(平面状に)形成されている。
【0058】
TFTアレイ基板10がこのように凹状に窪んで形成されているため、データ線6a、走査線3a及び容量線3b並びにTFT30の上方に位置する配向膜16の表面は、この凹状の凸窪みの形成された領域においてその深さに応じて、画素の開口領域における配向膜16の表面に対して平坦化される。
【0059】
本実施の形態では特に、データ線6a、走査線3a及び容量線3b並びにTFT30が相重なるためこれらの各種配線やTFT30を構成する積層体が最も厚くなる領域を、その合計層厚に等しい深さだけ凹状に窪めているので、この最も厚くなる領域は、ほぼ完全に平坦化される。また、画素電極9aを除く電気光学物質層50に対向する全非開口領域を凹状に窪めれているので、画素の開口領域と非開口領域とは、平坦化される。
【0060】
但し、どの領域における配向膜16の高さを開口領域における配向膜16の高さに合わせるかは任意であり、例えば図3中左側の蓄積容量70の上方における配向膜16の高さを合わせるようにしてもよし、TFT30から外れた走査線3aや容量線3bの上方における配向膜16の高さを合わせるようにしてもよい。更に、TFTアレイ基板10のどの領域を凹状に窪めるかも任意であり、例えばデータ線6aに対向する領域においてのみ窪みを形成してもよいし、TFT30に対向する領域においてのみ窪みを形成してもよい。どの場合にも、開口領域から外れた領域に対して若干なりとも窪みを形成すれば、該窪みの形成領域及び深さに応じた平坦化の効果が得られる。従って、このようにどの領域にどのような深さの窪み形成するかは、実際には要求される画素開口率(画素の開口領域の非開口領域に対する比率)、精細度、歩度まり等を勘案しての設計事項として定められる。
【0061】
そして、本実施の形態の電気光学装置は、このように構成されているため、製造初期の段階でTFTアレイ基板10に対して凹状の窪みを形成すれば、その後の第1遮光膜、半導体層、ポリシリコン膜、金属膜、層間絶縁膜等を形成するためのCVD工程、スパッタリング工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等の各種工程を、従来とほぼ又は全く同様に実行するだけで当該電気光学装置を製造できるので、大変有利である。加えて、前述のように層間絶縁膜の厚みを一部で厚くし他部で薄くする必要が無く、従って層間絶縁膜が厚い箇所でクラックが生じたり薄い箇所でバックチャネルが発生したりする危惧も無いため、設計自由度が格段に増し、困難な製造工程や付加工程が不要となり、コスト上昇を招かないという利点も得られる。
【0062】
これに対して図4に示した比較例では、TFTアレイ基板10’には、凹状の窪みが全く形成されていない。従って、図4から明らかなように、電気光学物質層50の層厚は、開口領域と非開口領域とで大幅に変化しており、この両領域間にある段差において電気光学物質のディスクリネーションが大きく発生し、ディスクリネーションによる悪影響が電気光学物質が開口領域にも及んで画質を劣化させてしまう。或いは、この悪影響が開口領域に及ばないようにするために、対向基板20上の第2遮光膜23を広げて当該開口領域を狭める必要が生じ、結果として表示画像が暗くなってしまう。
【0063】
以上のように本実施の形態によれば、段差に起因した電気光学物質層50のディスクリネーションの発生を効率的に抑制できるので、最終的には、電気光学物質層50のディスクリネーションが表示画像に及ぼす悪影響を低減でき、画素部の開口領域を広げると共に高品質の画像表示が可能となる。
【0064】
図3に示すように、画素スイッチング用TFT30に各々対向する位置においてTFTアレイ基板10と各画素スイッチング用TFT30との間には、一画素毎に島状に第1遮光膜11aが設けられている。第1遮光膜11aは、好ましくは不透明な高融点金属であるTi、Cr、W、Ta、Mo、Pdのうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド等あるいはSiから構成される。このような材料から構成すれば、TFTアレイ基板10上の第1遮光膜11aの形成工程の後に行われる画素スイッチング用TFT30の形成工程における高温処理により、第1遮光膜11aが破壊されたり溶融しないようにできる。また、第1遮光膜11aとして、ポリシリコン膜を用いても良い。あるいは前記高融点金属の上層にポリシリコン膜を形成して、反射防止処理を行っても良い。このように本実施形態では、第1遮光膜11aが形成されているので、TFTアレイ基板10の側からの戻り光等が画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’やLDD領域1b、1cに入射する事態を未然に防ぐことができ、光電流の発生により画素スイッチング用TFT30の特性が劣化することはない。
【0065】
更に、第1遮光膜11aと複数の画素スイッチング用TFT30との間には、第1層間絶縁膜12が設けられている。第1層間絶縁膜12は、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aを第1遮光膜11aから電気的絶縁するために設けられるものである。更に、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、画素スイッチング用TFT30のための下地膜としての機能をも有する。即ち、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。凹状に窪んだ部分に直接駆動素子が形成されないため、凹状に窪んだ部分による駆動素子の能動層への影響、つまりVthのずれ、能動層の移動度の低下、オフリークの上昇といった特性の劣化を防ぐことができる。第1層間絶縁膜12は、例えば、NSG(ノンドープトシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)などの高絶縁性ガラス又は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる。第1層間絶縁膜12により、第1遮光膜11aが画素スイッチング用TFT30等を汚染する事態を未然に防ぐこともできる。
【0066】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜2を走査線3aに対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、更にこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量70が構成されている。より詳細には、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eが、データ線6a及び走査線3aの下に延設されて、同じくデータ線6a及び走査線3aに沿って伸びる容量線3b部分に絶縁膜2を介して対向配置されて、第1蓄積容量電極(半導体層)1fとされている。特に蓄積容量70の誘電体としての絶縁膜2は、高温酸化によりポリシリコン膜上に形成されるTFT30のゲート絶縁膜2に他ならないので、薄く且つ高耐圧の絶縁膜とすることができ、蓄積容量70は比較的小面積で大容量の蓄積容量として構成できる。
【0067】
この結果、データ線6a下の領域及び走査線3aに沿って電気光学物質のディスクリネーションが発生する領域(即ち、容量線3bが形成された領域)という開口領域を外れたスペースを有効に利用して、画素電極9aの蓄積容量を増やすことが出来るため、小型で高精細な液晶装置でも、明るくコントラスト比の高い電気光学装置を実現できる。
【0068】
図3において、画素スイッチング用TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)1b及び低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。高濃度ドレイン領域1eには、複数の画素電極9aのうちの対応する一つが接続されている。ソース領域1b及び1d並びにドレイン領域1c及び1eは後述のように、半導体層1aに対し、n型又はp型のチャネルを形成するかに応じて所定濃度のn型用又はp型用のドーパントをドープすることにより形成されている。n型チャネルのTFTは、動作速度が速いという利点があり、画素のスイッチング素子である画素スイッチング用TFT30として用いられることが多い。本実施の形態では特にデータ線6aは、Al等の低抵抗な金属膜や金属シリサイド等の合金膜などの遮光性の薄膜から構成されている。また、走査線3a、ゲート絶縁膜2及び第1層間絶縁膜12の上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。このソース領域1bへのコンタクトホール5を介して、データ線6aは高濃度ソース領域1dに電気的接続されている。更に、データ線6a及び第2層間絶縁膜4の上には、高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。この高濃度ドレイン領域1eへのコンタクトホール8を介して、画素電極9aは高濃度ドレイン領域1eに電気的接続されている。前述の画素電極9aは、このように構成された第3層間絶縁膜7の上面に設けられている。尚、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとは、データ線6aと同一のAl膜や走査線3bと同一のポリシリコン膜を中継しての電気的接続するようにしてもよい。
【0069】
画素スイッチング用TFT30は、好ましくは上述のようにLDD構造を持つが、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物イオンの打ち込みを行わないオフセット構造を持ってよいし、ゲート電極3aをマスクとして高濃度で不純物イオンを打ち込み、自己整合的に高濃度ソース及びドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。
【0070】
また本実施の形態では、画素スイッチング用TFT30のゲート電極3aをソース−ドレイン領域1d及び1e間に1個のみ配置したシングルゲート構造としたが、これらの間に2個以上のゲート電極を配置してもよい。この際、各々のゲート電極には同一の信号が印加されるようにする。このようにデュアルゲート或いはトリプルゲート以上でTFTを構成すれば、チャネルとソース−ドレイン領域接合部のリーク電流を防止でき、オフ時の電流を低減することができる。これらのゲート電極の少なくとも1個をLDD構造やオフセット構造にすれば、更にオフ電流を低減でき、安定したスイッチング素子を得ることができる。
【0071】
ここで、一般には、半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c等のポリシリコン層は、光が入射するとポリシリコンが有する光電変換効果により光電流が発生してしまい画素スイッチング用TFT30のトランジスタ特性が劣化するが、本実施の形態では、走査線3aを上側から覆うようにデータ線6aがAl等の遮光性の金属薄膜から形成されているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの入射光の入射を効果的に防ぐことが出来る。また、前述のように、画素スイッチング用TFT30の下側には、第1遮光膜11aが設けられているので、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cへの戻り光の入射を効果的に防ぐことが出来る。
【0072】
本実施の形態では特に、第1遮光膜11aは、複数の島状部分に分断されている。従って、例えば、格子状やストライプ状に設けられた遮光膜の場合と比較して、一体として形成される部分の面積が遥かに小さいため、遮光膜とその隣接膜との間の物性の相違により遮光膜に発生するストレスを大幅に緩和できる。このため、第1遮光膜11aにおける膜剥がれや膜変形或いはクラックの発生防止が図られる。同時に、第1遮光膜11a自身のストレスにより画素スイッチング用TFT30の特性が劣化する事態を未然に防ぐことが出来る。尚、第1遮光膜11aは島状に形成せずに、ストライプ状、あるいはマトリクス状に形成しても良い。
【0073】
更に、第1遮光膜11aの複数の島状部分は、定電位源又は容量部分に電気的接続されてもよい。例えば、第1遮光膜11aは、定電位とされた容量線3bに夫々電気的接続されてもよい。このように構成すれば、第1遮光膜11aに対向配置される画素スイッチング用TFT30に対し第1遮光膜11aの電位変動が悪影響を及ぼすことはない。また、容量線3bを定電位とすることで、蓄積容量70の第2蓄積容量電極として良好に機能し得る。この場合、定電位源としては、当該電気光学装置を駆動するための周辺回路(例えば、走査線駆動回路、データ線駆動回路等)に供給される負電源、正電源等の定電位源、接地電源、対向電極21に供給される定電位源等が挙げられる。
【0074】
本実施の形態では、第1遮光膜11aの各島状部分は、画素スイッチング用TFT30のチャネル領域1a’に対する遮光を行うのに必要な領域に最低限設けられているので、限られた画素部の非開口領域において、データ線6aや走査線3aと各島状部分(遮光膜)が重なる領域も最低限に抑えられており、製造プロセス中に、第1遮光膜11aに意図しない突起等が形成された場合などに第1遮光膜11aとデータ線6aや走査線3aとがショートして、当該電気光学装置が不良品化する可能性を低く出来るので有利である。
【0075】
また、容量線3bと走査線3aとは、同一のポリシリコン膜からなり、蓄積容量70の誘電体膜と画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜2とは、同一の高温酸化膜からなり、第1蓄積容量電極1fと、画素スイッチング用TFT30のチャネル形成領域1a’、ソース領域1d、ドレイン領域1e等とは、同一の半導体層1aからなる。このため、TFTアレイ基板10上に形成される積層構造を単純化でき、更に、後述の電気光学装置の製造方法において、同一の薄膜形成工程で容量線3b及び走査線3aを同時に形成でき、蓄積容量70の誘電体膜及びゲート絶縁膜2を同時に形成できる。
【0076】
以上詳細に説明したように本実施形態によれば、画像表示領域における平坦化が図られているため、第1遮光膜11aや容量線3bを採用することにより表示画像の品質を高めつつ、データ線6a、走査線3a、TFT30等に加えて、これらの容量線3b及び第1遮光膜11a並びにそれらに付随して必要となる層間絶縁膜等の存在に起因する画素開口領域の周辺における段差を極力抑えることにより、電気光学物質のディスクリネーションが低減されていると同時に、画素開口率が高く明るい画像表示が可能となる。
【0077】
(電気光学装置の周辺領域及びシール領域における構成)
本発明による電気光学装置の周辺領域及びシール領域における構成についてその動作と共に、図5から図7を参照して説明する。図5は、シール領域及びその付近における各種配線や周辺回路の構成を示す平面図であり、図6は図7のシール領域における引き出し配線を拡大して示す平面図であり、図7(1)及図7(2)は夫々、図6のC−C’断面図及び図5のD−D’断面図である。
【0078】
図5において、TFT基板アレイ基板10の周辺部に設けられた実装端子102からは、走査線駆動回路104に走査線駆動回路信号線105aが配線されており、データ線駆動回路101とシール領域との間の領域に、X方向(横方向)に複数の画像信号線115が配線されている。そして、データ線6aの延長線上におけるシール領域下には、データ線駆動回路101からのサンプリング回路駆動信号線114の一部である引き出し配線301a及び画像信号線115からの中継配線301bからなる引き出し配線(以下、“データ線の引き出し線”と称する)301が設けられている。他方、走査線3aの延長線上におけるシール領域下には、走査線駆動回路104からの走査線の引き出し配線402が設けられている。引き出し配線402は、その端部に対向電極(共通電極)電位配線112を含んでいる。この対向電極電位配線112は、上下導通端子106a及び上下導通材106を介して対向基板20に形成された対向電極21(図3参照)に接続されている。また、データ線駆動回路101に所定検査用の信号を入力するための検査端子111が、データ線駆動回路101に隣接して設けられている。
【0079】
図5において、TFTアレイ基板10上には、データ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路103が設けられている。サンプリング回路103は、データ線6a毎に設けられた複数のスイッチング素子(例えば、TFT)を備えており、複数(例えば、6本)のシリアル−パラレル変換された画像信号が複数の画像信号線115から引き出し配線301bを介して各々入力されると、これを、走査線駆動回路101からサンプリング回路駆動信号線114及び引き出し配線301aを介して供給されるサンプリング回路駆動信号のタイミングで各スイッチング素子によりサンプリングし、各データ線6aに印加するように構成されている。尚、サンプリング回路103に加えて、TFTアレイ基板10上に、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0080】
図6に示すように、データ線の引き出し配線301は各々、Y方向(縦方向)に延びており、幅Lを有し、相隣接する配線同士は間隔Sをおいて配列されている。そして、引き出し配線301は、データ線6aと同じAl膜から構成されており、図7(1)に示すように、各引き出し配線301の下には、走査線3aと同じポリシリコン膜から構成されたダミー配線302が設けられている。
【0081】
尚、図5及び図6において、対向基板に設けられており周辺見切りと称される画像表示領域の周辺を規定する第3遮光膜53下には画面表示領域を構成する画素と同一構成を持つダミー画素が形成されている。電気光学物質の配向不良領域等を隠すように設けられた第3遮光膜53下に表示用の画素を構成する必要は無いが、画像表示領域の縁付近の画素の特性安定化のために、このように画像表示領域の縁よりも外に所定幅だけダミー画素を設けても良い。
【0082】
他方、図5に示した走査線の引き出し配線402は各々、X方向に延びており、相隣接する配線同士は間隔をおいて配列されている。そして、引き出し配線402は、走査線6aと同じポリシリコン膜から構成されており、図7(2)に示すように、各引き出し配線402の上には、データ線6aと同じAl膜から構成されたダミー配線401が設けられている。
【0083】
図7(1)及び図7(2)に示すように、本実施の形態では特に、TFTアレイ基板10は、シール領域において引き出し配線301及び402に対向する部分が凹状に窪んで形成されている。従って、TFTアレイ基板10側のシール領域においてシール材52に接する第3層間絶縁膜7の表面において引き出し配線301及び402上に形成される凸状の突出の高さは、当該凹状に窪んだ部分の深さに応じて低められており、同図に各々示したように、第3層間絶縁膜7の表面は、ほぼ平坦にされている。この結果、シール領域において、シール材52に混入されたグラスファイバやガラスビーズ等のギャップ材300を介してかかる応力は第3層間絶縁膜7の面上に一様に分散される。従って、引き出し配線の有無に応じて表面に凹凸があるシール領域においてギャップ材300によりかかる応力が集中して、引き出し配線が断線したりショートしたりする可能性は大きく低減される。
【0084】
更に、電気光学物質層50に面する画素領域の表面とシール材52に面するシール領域の表面の高さの差も小さくなる。このため、従来のように、基板間ギャップよりも1μm程度小さい径を持つギャップ材を使用する必要が無くなり、基板間ギャップと同程度の径を持つギャップ材300を使用することが可能となる。このことは、画素の微細化による電気光学物質層50の配向不良を防ぐべく基板間ギャップを狭める場合に、大きな効果が期待できる。
【0085】
そして、本実施の形態では特に、シール領域において、データ線の引き出し配線301に対しては、ポリシリコン膜からなるダミー配線302が、第2層間絶縁膜4を介して積層形成されている(図7(1)参照)。他方、走査線の引き出し配線402に対しては、Al膜からなるダミー配線401が第2層間絶縁膜4を介して積層形成されている(図7(2)参照)。従って、画像表示領域の上下の辺におけるシール領域における第3層間絶縁膜7の表面の高さと、画像表示領域の左右の辺における第3層間絶縁膜7の表面の高さとは一致するので、シール材52の全体に混入されるギャップ材300による基板間ギャップの制御が安定なものとなる。
【0086】
ここで、シール領域における合計膜厚の調整用のダミー配線302及び401は、引き出し配線301及び402と夫々電気的に接続してもよい。このような構成を採れば、引き出し配線の冗長が可能となる。また、電気的に浮遊していても問題はないし、他の容量線3bや第1遮光膜11a用の引き出し配線等として利用してもよい。
【0087】
本実施の形態では、図6に示すように、第2層間絶縁膜4(図7(1)及び図7(2)参照)に開孔されたコンタクトホール305を介して更に、ダミー配線302は、引き出し配線301に電気的接続されている。同様に、ダミー配線401は、引き出し配線402に電気的接続されている。この結果、各引き出し配線301及び402は各々2つの導電層(Al膜及びポリシリコン膜)からなる冗長構造を有する。従って、例えば、シール領域下においてギャップ材300による応力を受けて引き出し配線301又は402が断線しても、或いは、TFTアレイ基板10に垂直な方向にAl膜が導電層が第2層間絶縁膜4を破ってポリシリコン膜にショートしても配線不良とならないで済むので有利である。更に冗長するために第1遮光幕1aを引き出しは緯線302、402下に設けても良い。
【0088】
以上詳細に説明したように本実施形態によれば、シール領域における平坦化が図られているため、引き出し配線の配線不良を低減しつつシール材に混入したギャップ材を用いて基板間ギャップの制御を良好に行うことが出来る。
【0089】
尚、本実施の形態では、図3及び図7に示したようにTFTアレイ基板の凹状の窪んだ側壁部分は、テーパ状に形成されている。従って、次に説明するように、凹状に窪んだ部分内に後工程で形成される、例えば、ポリシリコン膜、レジスト等が残ることがない。このため、確実に平坦化できる。また特に、シール領域において凹状に窪んだ部分の側壁をテーパ状に形成しているので、シール領域下を通る引き出し配線から凹状に窪んでいない面上に形成されたデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104へ向けて側壁を横切って引き回す配線部分を、薄膜形成技術により確実且つ比較的容易に形成することも可能となる。例えば、テーパのない或いは逆テーパの形成された側壁を横切って引き出し配線を引き回すのは容易ではなく、配線不良の原因となる。
【0090】
(電気光学装置の製造プロセス)
次に、以上のような構成を持つ電気光学装置の製造プロセスについて、図8から図11を参照して説明する。尚、図8から図11は各工程におけるTFTアレイ基板側の各層を、図3と同様に図2のA−A’断面に対応させて示す工程図である。
【0091】
先ず、図8の工程(1)に示すように、TFTアレイ基板10となる石英基板に対して反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングを施し、画像表示領域内の各種配線及びTFTが形成される予定の非開口領域(図2及び図3参照)における基板上面に、一旦テーパのない凹状の窪みを形成する。石英基板は、例えば1mm程度の厚みを持っており、後述のように平坦化のために数ミクロン程度の窪みを付けたとしても何等問題は生じない。この際、本発明者の実験によれば、例えば、SF6/CHF3ガスを用いたドライエッチングを行う場合には、混合比が14/112であればエッチングレートは5290オングストローム/min(オングストローム/分)となり、混合比が17/90であればエッチングレートは5169オングストローム/minとなり、混合比が23/67であればエッチングレートは4297オングストローム/minとなる。即ち、SF6/CHF3ガスの混合比を調節することにより所望のエッチングレートが得られ、よって所望の深さの凹状の窪みを形成できる。特に、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチングのような異方性エッチングにより、凹状の窪みを開孔した方が、開孔形状をレジストによるマスク形状とほぼ同じにできる。このようにドライエッチング処理によってテーパのない凹状の窪みが形成された石英基板に対して、続いて、例えば780オングストローム/min程度の低いエッチングレートのウエットエッチングにより、窪みの側壁をテーパ状にする。このように凹状に窪んだ部分の側壁をテーパ状に形成すれば、凹状に窪んだ部分内に後工程で形成される、例えば、ポリシリコン膜やレジストが、開孔部の側壁周囲にエッチングや剥離されずに残ってしまうことがなく、歩留まりの低下を招かない。このため、確実に平坦化できる。更に第1層間絶縁膜12の開孔部の即壁面をテーパー状に形成する方法としては、ドライエッチングで一度エッチングしてから、レジストパターンを後退させて、再度ドライエッチングを行ってもよい。
【0092】
ここで好ましくは、N2(窒素)等の不活性ガス雰囲気且つ約900〜1300℃の高温でアニール処理し、後に実施される高温プロセスにおけるTFTアレイ基板10に生じる歪みが少なくなるように前処理しておく。即ち、製造プロセスにおける最高温で高温処理される温度に合わせて、事前にTFTアレイ基板10を同じ温度かそれ以上の温度で熱処理しておく。
【0093】
尚、石英基板に換えて、シリコン基板、ハードガラス等に対して上述のエッチング処理やアニール処理を施して、TFTアレイ基板10を構成してもよい。また、以後の工程でのマスキング等における、TFTアレイ基板10に形成された窪みに対する位置合わせ(アラインメント)は、例えば、この工程(1)で位置合わせようの窪みをTFTアレイ基板の所定箇所に付加しておき、これを光の干渉等で認識することにより行われる。
【0094】
次に、工程(2)に示すように、凹状の窪みが形成されたTFTアレイ基板10の全面に、Ti、Cr、W、Ta、Mo及びPd等の金属や金属シリサイド等の金属合金膜を、スパッタにより、1000〜5000オングストローム程度の層厚、好ましくは約2000オングストロームの層厚の遮光膜11を形成する。尚、遮光膜11としてポリシリコン膜を用いれば、応力による層間絶縁膜の破壊を招くことがない。
【0095】
続いて、工程(3)に示すように、該形成された遮光膜11上にフォトリソグラフィにより第1遮光膜11aのパターン(図2参照)に対応するレジストマスクを形成し、該レジストマスクを介して遮光膜11に対しエッチングを行うことにより、第1遮光膜11aを形成する。
【0096】
次に工程(4)に示すように、第1遮光膜11aの上に、例えば、常圧又は減圧CVD法等によりTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガス、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)ガス、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)ガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜12を形成する。この第1層間絶縁膜12の層厚は、例えば、約5000〜20000オングストロームとする。
【0097】
次に工程(5)に示すように、第1層間絶縁膜12の上に、約450〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400〜600cc/minのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20〜40PaのCVD)により、アモルファスシリコン膜を形成する。その後、窒素雰囲気中で、約600〜700℃にて約1〜10時間、好ましくは、4〜6時間のアニール処理を施すことにより、ポリシリコン膜1を約500〜2000オングストロームの厚さ、好ましくは約1000オングストロームの厚さとなるまで固相成長させる。
【0098】
この際、図3に示した画素スイッチング用TFT30として、nチャネル型の画素スイッチング用TFT30を作成する場合には、当該チャネル領域にSb(アンチモン)、As(砒素)、P(リン)などのV族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。また、画素スイッチング用TFT30をpチャネル型とする場合には、B(ボロン)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)などのIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしても良い。尚、アモルファスシリコン膜を経ないで、減圧CVD法等によりポリシリコン膜1を直接形成しても良い。或いは、減圧CVD法等により堆積したポリシリコン膜にシリコンイオンを打ち込んで一旦非晶質化(アモルファス化)し、その後アニール処理等により再結晶化させてポリシリコン膜1を形成しても良い。固相成長させる方法としては、RTA(Rapid Thermal Anneal)を使用したアニール処理、エキシマレーザー等のレーザーアニールを用いても良い。
【0099】
次に工程(6)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの半導体層1aを形成する。即ち、特にデータ線6a下で容量線3bが形成される領域及び走査線3aに沿って容量線3bが形成される領域には、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aから延設された第1蓄積容量電極1fを形成する。
【0100】
次に工程(7)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する半導体層1aと共に第1蓄積容量電極1fを約900〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化することにより、約300オングストロームの比較的薄い厚さの熱酸化シリコン膜を形成し、更に減圧CVD法等により高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜を約500オングストロームの比較的薄い厚さに堆積し、多層構造を持つ画素スイッチング用TFT30のゲート絶縁膜2と共に容量形成用のゲート絶縁膜2を形成する(図3参照)。この結果、第1蓄積容量電極1fの厚さは、約300〜1500オングストロームの厚さ、好ましくは約350〜500オングストロームの厚さとなり、ゲート絶縁膜2の厚さは、約200〜1500オングストロームの厚さ、好ましくは約300〜1000オングストロームの厚さとなる。このように高温熱酸化時間を短くすることにより、特に8インチ程度の大型基板を使用する場合に熱によるそりを防止することができる。但し、ポリシリコン層1を熱酸化することのみにより、単一層構造を持つゲート絶縁膜2を形成してもよい。
【0101】
尚、工程(7)において特に限定されないが、第1蓄積容量電極1fとなる半導体層部分に、例えば、Pイオンをドーズ量約3×1012/cm2でドープして、低抵抗化させてもよい。
【0102】
次に工程(8)に示すように、減圧CVD法等によりポリシリコン層3を堆積した後、リン(P)を熱拡散し、ポリシリコン膜3を導電化する。又は、Pイオンをポリシリコン膜3の成膜と同時に導入したドープトシリコン膜を用いてもよい。
【0103】
次に、図9の工程(9)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの走査線3aと共に容量線3bを形成する。これらの容量線3b(走査線3a)の層厚は、例えば、約3500オングストロームとされる。
【0104】
次に工程(10)に示すように、図3に示した画素スイッチング用TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合、半導体層1aに、先ず低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3a(ゲート電極)を拡散マスクとして、PなどのV族元素のドーパント60を低濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープする。これにより走査線3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’となる。この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも低抵抗化される。
【0105】
続いて、工程(11)に示すように、画素スイッチング用TFT30を構成する高濃度ソース領域1b及び高濃度ドレイン領域1cを形成するために、走査線3aよりも幅の広いマスクでレジスト層62を走査線3a上に形成した後、同じくPなどのV族元素のドーパント61を高濃度で(例えば、Pイオンを1〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。また、画素スイッチング用TFT30をpチャネル型とする場合、半導体層1aに、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを形成するために、BなどのIII族元素のドーパントを用いてドープする。尚、例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、走査線3aをマスクとして、Pイオン、Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。
【0106】
この不純物のドープにより容量線3b及び走査線3aも更に低抵抗化される。
【0107】
これらの工程と並行して、nチャネル型TFT及びpチャネル型TFTから構成される相補型構造を持つデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104等の回路をTFTアレイ基板10上の周辺部に形成する。このように、本実施の形態において画素スイッチング用TFT30は半導体層をポリシリコンで形成するので、画素スイッチング用TFT30の形成時にほぼ同一工程で、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104を形成することができ、製造上有利である。
【0108】
次に工程(12)に示すように、画素スイッチング用TFT30における走査線3aと共に容量線3bを覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第2層間絶縁膜4を形成する。第2層間絶縁膜4の層厚は、約5000〜15000オングストロームが好ましい。
【0109】
次に工程(13)の段階で、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを活性化するために約1000℃のアニール処理を20分程度行った後、データ線31に対するコンタクトホール5を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより或いはウエットエッチングにより形成する。また、走査線3aや容量線3bを図示しない配線と接続するためのコンタクトホールも、コンタクトホール5と同一の工程により第2層間絶縁膜4に開孔する。
【0110】
次に図10の工程(14)に示すように、第2層間絶縁膜4の上に、スパッタ処理等により、遮光性のAl等の低抵抗金属や金属シリサイド等を金属膜6として、約1000〜5000オングストロームの厚さ、好ましくは約3000オングストロームに堆積し、更に工程(15)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
【0111】
次に工程(16)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の層厚は、約5000〜15000オングストロームが好ましい。
【0112】
次に図11の工程(17)の段階において、画素スイッチング用TFT30において、画素電極9aと高濃度ドレイン領域1eとを電気的接続するためのコンタクトホール8を、反応性エッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより形成する。
【0113】
次に工程(18)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性薄膜9を、約500〜2000オングストロームの厚さに堆積し、更に工程(19)に示すように、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程等により、画素電極9aを形成する。尚、当該電気光学装置を反射型の電気光学装置に用いる場合には、Al等の反射率の高い不透明な材料から画素電極9aを形成してもよい。
【0114】
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜16(図3参照)が形成される。
【0115】
以上、図8から図11を参照して、画素部を中心に製造工程について説明したが、これらと同一工程により、図7に示したシール領域における積層構造も形成される。即ち、主に、上述の工程(1)と同一のエッチング工程によりシール領域における凹状の窪みが形成され、工程(8)及び(9)と同一工程により走査線の引き出し配線402(図7(2)参照)及びダミー配線302(図7(1)参照)が形成され、工程(14)及び(15)と同一工程によりデータ線の引き出し配線301(図7(1)参照)及びダミー配線401(図7(2)参照)が形成され、その他の工程により第1から第3層間絶縁膜12、4及び7が形成される。従って、シール領域においては、TFTアレイ基板10に形成された凹状の窪みに応じて第3層間絶縁膜7の上面は平坦化されている。このように本実施形態の製造プロセスによれば、シール領域における平坦化が図られており、特に、シール領域における凹状に窪んだ部分の側壁はテーパ状に形成されるので、シール領域下を通る引き出し配線301及び402から凹状に窪んでいない基板面上に形成されたデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104へ向けて側壁を横切って引き回す配線部分(図5及び図6参照)を、薄膜形成技術により確実且つ比較的容易に形成することも可能となる。
【0116】
他方、図3に示した対向基板20については、ガラス基板等が先ず用意され、第2遮光膜23及び周辺見切りとしての第3遮光膜53(図5、図6、図12及び図13参照)が、例えば金属クロムをスパッタした後、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程を経て形成される。尚、これらの第2遮光膜及び第3遮光膜は、Cr、Ni、Al、などの金属材料の他、Si、カーボンやTiをフォトレジストに分散した樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
【0117】
その後、対向基板20の全面にスパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜を、約500〜2000オングストロームの厚さに堆積することにより、対向電極21を形成する。更に、対向電極21の全面にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように且つ所定方向でラビング処理を施すこと等により、配向膜22(図3参照)が形成される。
【0118】
最後に、上述のように各層が形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とは、配向膜16及び22が対面するようにシール材52により貼り合わされ、真空吸引等により、両基板間の空間に、例えば複数種類のネマティック電気光学物質を混合してなる電気光学物質が吸引されて、所定層厚の電気光学物質層50が形成される。
【0119】
尚、以上の製造プロセスにおいて、CMP処理を施したり、スピンコート等によりSOGを形成して、第3層間絶縁膜7の上面を、より完全に平坦化してもよい。このように平坦化すれば、当該平坦化の度合いに応じて、第3層間絶縁膜7の表面の凹凸により引き起こされる電気光学物質のディスクリネーション(配向不良)を低減できる。特に、TFTアレイ基板10に形成された凹状の窪みに応じて、第3層間絶縁膜7の上面の段差は低減されているため、このようなより完全なグローバル平坦化を図る工程にかかる負担は非常に小さくて済む。
【0120】
(電気光学装置の全体構成)
以上のように構成された電気光学装置の各実施の形態の全体構成を図12及び図13を参照して説明する。尚、図12は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素と共に対向基板20の側から見た平面図であり、図13は、対向基板20を含めて示す図12のH−H’断面図である。
【0121】
図12において、TFTアレイ基板10の上には、シール材52がその縁に沿って設けられており、その内側に並行して、例えば第2遮光膜23と同じ或いは異なる材料から成る周辺見切りとしての第3遮光膜53が設けられている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域の辺に沿って両側に配列してもよい。例えば奇数列のデータ線6aは画像表示領域の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、偶数列のデータ線は前記画像表示領域の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしてもよい。この様にデータ線6aを櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路の占有面積を拡張することができるため、複雑な回路を構成することが可能となる。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が設けられている。そして、図13に示すように、図12に示したシール材52とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が当該シール材52によりTFTアレイ基板10に固着されている。
【0122】
以上図1から図13を参照して説明した各実施の形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10の上に設ける代わりに、例えばTAB(テープオートメイテッドボンディング基板)上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えば、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0123】
以上説明した各実施の形態における電気光学装置は、カラー電気光学物質プロジェクタに適用されるため、3枚の電気光学装置がRGB用のライトバルブとして各々用いられ、各パネルには各々RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、各実施の形態では、対向基板20に、カラーフィルタは設けられていない。しかしながら、第2遮光膜23の形成されていない画素電極9aに対向する所定領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜と共に、対向基板20上に形成してもよい。このようにすれば、電気光学物質プロジェクタ以外の直視型や反射型のカラー電気光学物質テレビなどのカラー電気光学装置に各実施の形態における電気光学装置を適用できる。更に、対向基板20上に1画素1個対応するようにマイクロレンズを形成してもよい。このようにすれば、入射光の集光効率を向上することで、明るい電気光学装置が実現できる。更にまた、対向基板20上に、何層もの屈折率の相違する干渉層を堆積することで、光の干渉を利用して、RGB色を作り出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付き対向基板によれば、より明るいカラー電気光学装置が実現できる。
【0124】
以上説明した各実施の形態における電気光学装置では、従来と同様に入射光を対向基板20の側から入射することとしたが、第1遮光膜11aを設けているので、TFTアレイ基板10の側から入射光を入射し、対向基板20の側から出射するようにしても良い。即ち、このように電気光学装置をプロジェクタに取り付けても、半導体層1aのチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cに光が入射することを防ぐことが出来、高画質の画像を表示することが可能である。ここで、従来は、TFTアレイ基板10の裏面側での反射を防止するために、反射防止用のAR被膜された偏光板を別途配置したり、ARフィルムを貼り付ける必要があった。しかし、各実施の形態では、TFTアレイ基板10の表面と半導体層1aの少なくともチャネル領域1a’及びLDD領域1b、1cとの間に第1遮光膜11aが形成されているため、このようなAR被膜された偏光板やARフィルムを用いたり、TFTアレイ基板10そのものをAR処理した基板を使用する必要が無くなる。従って、各実施の形態によれば、材料コストを削減でき、また偏光板貼り付け時に、ごみ、傷等により、歩留まりを落とすことがなく大変有利である。また、耐光性が優れているため、明るい光源を使用したり、偏光ビームスプリッタにより偏光変換して、光利用効率を向上させても、光によるクロストーク等の画質劣化を生じない。
【0125】
また、各画素に設けられるスイッチング素子としては、正スタガ型又はコプラナー型のポリシリコンTFTであるとして説明したが、逆スタガ型のTFTやアモルファスシリコンTFT等の他の形式のTFTに対しても、各実施の形態は有効である。
【0126】
更に、電気光学装置の各画素のスイッチング素子として、TFTに変えて、TFD等の2端子型非線形素子を用いてもよい。この場合には、走査線及びデータ線のうちの一方を対向基板に設けてストライプ状の対向電極とし、他方を素子アレイ基板に設けて、各TFD素子等を介して各画素電極に接続するように構成すればよい。或いは、電気光学装置の各画素にスイッチング素子を設けることなく、パッシブマトリクス型の電気光学装置として構成してもよい。いずれの場合にも、画像表示領域内及びシール領域内における平坦化により、上述した本発明独自の効果が得られる。
【0127】
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した液晶装置100を備えた電子機器の実施の形態について図14から図16を参照して説明する。
【0128】
先ず図14に、このように液晶装置100を備えた電子機器の概略構成を示す。
【0129】
図14において、電子機器は、表示情報出力源1000、表示情報処理回路1002、駆動回路1004、液晶装置100、クロック発生回路1008並びに電源回路1010を備えて構成されている。表示情報出力源1000は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、光ディスク装置などのメモリ、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路1008からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの表示情報を表示情報処理回路1002に出力する。表示情報処理回路1002は、増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種処理回路を含んで構成されており、クロック信号に基づいて入力された表示情報からデジタル信号を順次生成し、クロック信号CLKと共に駆動回路1004に出力する。駆動回路1004は、液晶装置100を駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に所定電源を供給する。尚、液晶装置100を構成するTFTアレイ基板の上に、駆動回路1004を搭載してもよく、これに加えて表示情報処理回路1002を搭載してもよい。
【0130】
次に図15から図16に、このように構成された電子機器の具体例を各々示す。
【0131】
図15において、電子機器の一例たる液晶プロジェクタ1100は、上述した駆動回路1004がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置100を含む液晶表示モジュールを3個用意し、各々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに各々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0132】
図16において、電子機器の他の例たるマルチメディア対応のラップトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)1200は、上述した液晶装置100がトップカバーケース内に設けられており、更にCPU、メモリ、モデム等を収容すると共にキーボード1202が組み込まれた本体1204を備えている。
【0133】
以上図15から図16を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、携帯電話、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが図14に示した電子機器の例として挙げられる。
【0134】
以上説明したように、本実施の形態によれば、製造効率が高く高品位の画像表示が可能な液晶装置を備えた各種の電子機器を実現できる。
【0135】
【発明の効果】
本発明の電気光学装置によれば、比較的簡単な構成を用いての画像表示領域内における平坦化により、電気光学物質のディスクリネーションの発生を低減しつつ画素開口領域を大きくとることができ、明るく高品質の画像表示が可能な電気光学装置を実現できる。また、比較的簡単な構成を用いてのシール領域における平坦化により、基板間ギャップが精度高く制御され且つ配線不良が低減された高信頼性の電気光学装置を実現できる。
【0136】
また、本発明の電気光学装置の製造方法によれば、比較的簡単な工程制御により或いは信頼性の高い工程により、本発明の電気光学装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気光学装置の実施形態における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路である。
【図2】電気光学装置の実施形態におけるデータ線、走査線、画素電極、遮光膜等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図3】図2のA−A’断面図である。
【図4】比較例における図2のA−A’断面に対応する断面図である。
【図5】シール領域及び周辺領域に形成された引き出し配線及び周辺回路を示す平面図である。
【図6】図5のシール領域に形成されたデータ線の引き出し配線部分を拡大して示す拡大平面図である。
【図7】シール領域下に形成された引き出し配線部における電気光学装置のTFTアレイ基板側の断面図である。
【図8】電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その1)である。
【図9】電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その2)である。
【図10】電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その3)である。
【図11】電気光学装置の製造プロセスを順を追って示す工程図(その4)である。
【図12】電気光学装置の実施形態におけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図13】図12のH−H’断面図である。
【図14】本発明による電子機器の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図15】電子機器の一例として液晶プロジェクタを示す断面図である。
【図16】電子機器の他の例としてパーソナルコンピュータを示す正面図である。
【符号の説明】
1a…半導体層
1a’…チャネル領域
1b…低濃度ソース領域(ソース側LDD領域)
1c…低濃度ドレイン領域(ドレイン側LDD領域)
1d…高濃度ソース領域
1e…高濃度ドレイン領域
1f…第1蓄積容量電極
2…ゲート絶縁膜
3a…走査線
3b…容量線(第2蓄積容量電極)
4…第2層間絶縁膜
5…コンタクトホール
6a…データ線
7…第3層間絶縁膜
8…コンタクトホール
9a…画素電極
10…TFTアレイ基板
11a…第1遮光膜
12…第1層間絶縁膜
16…配向膜
20…対向基板
21…対向電極
22…配向膜
23…第2遮光膜
30…画素スイッチング用TFT
50…電気光学物質層
52…シール材
53…第3遮光膜
70…蓄積容量
101…データ線駆動回路
103…サンプリング回路
104…走査線駆動回路

Claims (5)

  1. 一対の基板間と、
    前記一対の基板に狭持された電気光学物質と、
    前記電気光学物質を囲む領域に形成され、前記一対の基板を貼り合わせるシール材と、前記一対の基板の一方の基板の前記電気光学物質に面する側に、走査線駆動回路と、複数のスイッチング素子に対応して設けられた複数の走査線と、データ線駆動回路と、前記複数のスイッチング素子に対応して設けられた複数のデータ線と、前記走査線駆動回路と前記走査線との間を電気的に接続した複数の走査線引き出し配線と、前記データ線駆動回路と前記データ線との間を電気的に接続した複数のデータ線引き出し配線と、
    前記一方の基板上であって、前記複数の走査線引き出し配線および前記複数のデータ線引き出し配線と前記電気光学物質との間に設けられた層間絶縁層と、
    を備え、
    前記一方の基板の前記電気光学物質に面する側に前記シール材の形成領域において前記層間絶縁膜の表面が平坦となるように、前記複数の走査線引き出し配線と前記複数のデータ線引き出し配線とに対応して形成された凹状の窪みを有することを特徴とする電気光学装置。
  2. 平面視において前記複数の走査線引き出し配線および前記複数のデータ線引き出し配線と重なり合う位置に各々設けられた複数のダミー配線をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記複数のダミー配線は、各々重なり合う前記複数の走査線引き出し配線または前記複数のデータ線引き出し配線とそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
  4. 前記凹状の窪みの側壁はテーパ状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか 1 項に記載の電気光学装置
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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