JP4366096B2 - 情報処理装置及びそのシミュレーション方法並びに記憶媒体 - Google Patents

情報処理装置及びそのシミュレーション方法並びに記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送経路を搬送される記録用紙やフィルム等のシート状の柔軟媒体の挙動解析を情報処理装置を用いてシミュレーションすることにより、ユーザによる設計業務を支援する技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種装置の設計業務においては、情報処理装置(コンピュータと称する場合がある)を用いた各種シミュレーションによって、実際に物を作る前からさまざまな条件で設計対象物の機能を検討することにより、試作品の製造、試験に要する工数の低減、開発期間及び費用の低減が図られている。
【0003】
このような設計支援システムの一例として、複写機、LBP(レーザビームプリンタ)等の事務機器及びコンピュータ周辺機器の分野においては、その機器に含まれる搬送経路の設計業務において、設計対象の搬送経路を搬送される記録用紙やフィルム等のシート状の柔軟媒体が、搬送ガイドや搬送ローラ等の機構部品群によって構成される搬送経路内を搬送されていく際の挙動をシミュレーションする技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
例えば、特許文献1及び2では、コンピュータ上において、柔軟媒体を所謂、有限要素法による有限要素で表現すると共に、その柔軟媒体と、搬送経路を構成するガイドやローラとの接触判断や運動方程式を数値的に解くことにより、係る柔軟媒体の搬送経路における搬送抵抗や当接角等を評価する設計支援システムが提案されている。
【0005】
また、柔軟媒体をより簡易的に質量と線形バネとにより表現することによって、コンピュータの計算速度を向上する手法が日本機械学会の論文において提案されており、同論文では、柔軟媒体の引張り剛性を線形特性の並進バネで、曲げ剛性を線形特性の回転バネで質点間を結ぶことにより弾性体表現を達成している(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
柔軟媒体の運動(挙動)を情報処理装置による数値計算(数値解析)は、上記の如く有限要素あるいは質量−バネ系で離散的に表現された柔軟媒体の運動方程式を立てると共に、有限幅を持つ単位時間ステップに分割した解析対象時間(期間)において、時間0から単位時間ステップ毎に、未知数である加速度、速度、変位を順次求める数値時間積分を実行することによって解くことができ、係る手順としては、ニューマークのβ法、ウイルソンのθ法、オイラー法、Kutta-merson法等が広く知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11-195052号公報
【特許文献2】
特開平11-116133号公報
【非特許文献1】
吉田和司著、機論、96-1530、C(1997)、P230‐236
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の解析手法を基にした、柔軟媒体の搬送経路の設計・解析支援システムにおいては、設計対象の搬送経路内を、種別が異なる複数種類の柔軟媒体が搬送され、片面のみにコート層があるコート紙、或いは片面にトナー層が形成された普通紙等のように、表側と裏側とで曲げ変形に対する剛性が異なる柔軟媒体が搬送される場合について解析する場合には、そのような柔軟媒体では曲げ変形に対する剛性(曲げ剛性)が曲げ方向に対して異なるため、線形特性の回転バネに単純に置き換えるだけでは挙動を忠実に表現できないという課題がある。
【0009】
また、柔軟媒体のモデル作成や計算結果を表示する際に、その柔軟媒体のどちらの側がコート層あるいはトナー層であるかの区別が困難であるという課題がある。
【0010】
そこで本発明は、曲げ剛性が曲げ方向に対して異なる柔軟媒体であっても、その柔軟媒体の搬送経路における挙動を正確にシミュレーションする設計支援システムの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、以下の構成を特徴とする。
【0012】
即ち、機構部品によって構成される搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動をシミュレーションする情報処理装置であって、
入力手段の入力に応じて、柔軟媒体モデルに裏表を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された柔軟媒体モデルの裏表に関する情報に基づいて、前記柔軟媒体モデルの裏表を区別して前記柔軟媒体モデルをディスプレイに表示させる表示制御手段と、を有し、
前記柔軟媒体モデルは、質量を有する複数の剛体要素と、隣接する個々の剛体要素間を連結するための回転バネと、並進バネとによって表現され、前記設定手段は、前記入力手段の入力に応じて、コーティング層およびトナー層のうちの1つを前記柔軟媒体の表裏のうちのいずれかに設定し、さらに、前記柔軟媒体モデルの曲げ方向および前記入力手段によって入力されたコーティング層およびトナー層のうちの1つが柔軟媒体モデルの裏表いずれに形成されているかに基づいて前記回転バネの係数を設定することを特徴とする。
【0013】
尚、同目的は、上記の各構成の情報処理装置において実行されるシミュレーション方法によっても達成される。
【0014】
また、同目的は、コンピュータを、上記情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によっても達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る設計支援システムを、一例として、複写機、LBP、プリンタ(印刷装置)等の事務機器及びコンピュータ周辺機器に含まれる搬送経路の設計業務において、設計対象の搬送経路を搬送される記録用紙やフィルム等のシート状の柔軟媒体が、搬送ガイドや搬送ローラ等の機構部品群によって構成される搬送経路内を搬送されていく際の挙動をシミュレーションする場合に適用した実施形態として、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
はじめに、本発明を適用した設計支援システム(設計支援装置)としての情報処理装置の構成を図23を参照して説明する。
【0017】
図23は、本発明を適用可能な情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
【0018】
図中、122は、CRT、液晶表示器等のディスプレイ、123は入力手段であるキーボード(マウス等のポインティングデバイスを含む)である。124は、ブートプログラム等を記憶しているROMである。125は、各種処理結果を一時記憶するRAMである。126は、後述する設計支援処理(図1)を実現するプログラム等を記憶するハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置である。127は、外部の装置と通信回線30を介して通信するための通信インタフェースである。そして128は、搬送経路内での柔軟媒体の運動を計算するために必要な計算パラメータとして、柔軟媒体のヤング率、密度、厚さ等の属性情報が媒体種別(紙種別)に予め格納されると共に、搬送経路を構成する各種機構部品を表示するための情報及びその属性情報等が予め格納されているデータベースである。これらの各構成は、内部バス129を介して接続されており、CPU(中央演算処理装置)21は記憶装置126に記憶したプログラムに従って本設計支援システム(設計支援装置)の全体を制御する。
【0019】
尚、データベース128は、通信回線30を介して外部に設けられていても良い。
【0020】
図1は、第1の実施形態における設計支援システムの処理の流れを説明するフローチャートであり、本実施形態に係る設計支援システムは、同図に示すように5つのモジュール101乃至105により構成される。
【0021】
即ち、本設計支援システムは、ユーザによる搬送経路の設計解析業務を支援すべく予め用意されたソフトウエア・プログラムの動作指示をCPU121において実行することにより、以下に説明する各モジュールの機能を実現する。ここで、モジュールとは、ソフトウエア・プログラム及び上述した図23に示すハードウエア構成によって実現される所定の機能単位である。
【0022】
はじめに、ユーザの所定の操作に応じて本システムの実行が開始されると、ディスプレイ122には、図2に示す表示画面内の上部に示されているメニューバー1が表示され、そのメニューバー1内に表示されたソフトウエア・ボタン(以下、単にボタンと称する)の選択操作を行なうことにより、ユーザ所望のモジュールを起動することができる。
【0023】
図2は、第1の実施形態における設計支援システムにおいて搬送経路定義モジュール101が実行されている場合の画面構成を例示する図であり、同画面は、大別して、起動するモジュールの切り替えをユーザが行なうためのメニューバー1、起動されたモジュールのサブメニューが表示されるサブ構成メニュー2(尚、同図では搬送経路定義モジュール101が選択されている場合を示している)、ユーザによって定義された搬送経路やその解析結果が表示されるグラフィカル画面3、システムメッセージの出力および必要に応じてユーザが数値入力を行なうためのコマンド欄4で構成される。
【0024】
以下、それぞれのモジュールについて処理の流れに沿って説明する。
【0025】
<搬送経路定義モジュール101>
まず、搬送経路定義モジュール101について説明する。ユーザ所望の搬送経路の定義を本システム上に行なうべく、ユーザがメニューバー1中の「搬送経路」ボタンを押すのに応じて搬送経路定義モジュール101が起動され、ディスプレイ122には、同モジュールのサブ構成メニュー2が図2に示す如く表示される。
【0026】
サブ構成メニュー2には、
・対向する2つのローラによって構成される1対の搬送ローラを定義するためのローラ対定義ボタン2A、
・1つのローラを単独で定義するためのローラ定義ボタン2B、
・直線の搬送ガイドを定義するための直線ガイド定義ボタン2C、
・円弧の搬送ガイドを定義するための円弧ガイド定義ボタン2D、
・スプライン曲線で搬送ガイドを定義するためのスプラインガイド定義ボタン2E、
・柔軟媒体が搬送される経路の分岐を行なうフラッパー(ポイント)をための定義するフラッパー定義ボタン2F、
・柔軟媒体が搬送経路内の所定の位置にあるか否かを検出するセンサを定義するためのセンサ定義ボタン2G、
が含まれる。
【0027】
上記ボタン2A〜2Gのシンボルは、図2に示す如くユーザが個々のボタンの機能を直感的に理解し易いグラフィックとなっており、実際の複写機やプリンタの搬送経路を構成するために必要な部品が揃っている。設計対象の搬送経路を表現すべくユーザがサブ構成メニューの所定の操作によって各構成部品の定義を実施すると、ユーザ所望の定義対象の部品の形状(シンボル)が、グラフィック画面3上の共通の座標系において、ユーザが指示した位置に表示される。
【0028】
本実施形態において、上記各ボタン2A〜2Gに対応する機構部品は、データベース内において、ディスプレイ122上にシンボルを単に表示するための情報だけではなく、個別に属性情報が関連付けられている。即ち、本実施形態において上記各ボタン2A〜2Gが操作されると、搬送経路を構成する部品を詳細に定義することが可能なサブメニュー(不図示)が更に展開され、展開されたサブメニューにおける定義に必要な操作、並びにデータベース内に予め記憶されている属性情報は部品毎に異なる。
【0029】
より具体的に、上記各ボタン2A〜2Gに対応する機構部品に関してデータベース内に予め記憶されている情報には、部品毎に、位置及び形状を表わす情報と、その他物理計算に必要なパラメータ情報とが属性情報として関連付けされており、ユーザが、ディスプレイ122上に所望の部品のシンボルを配置すると共に大きさを調整する操作を行ない、更にサブメニュー(不図示)において必要なパラメータ情報を入力するのに応じて、記憶装置126には、設計対象(解析対象)の搬送経路を表わす情報(ファイル)が定義されていく。個々の部品と、定義される属性情報の具体例を、「ボタン名称」:「位置及び形状を表わす情報」:「その他物理計算に必要なパラメータ情報」の順に下記に示す。
【0030】
・ボタン2A(ローラ対):対向する2つのローラとしての2円の半径及びその中心座標:ローラ押し付け力、柔軟媒体との摩擦係数、回転数,
・ボタン2B(ローラ):ローラとしての円の半径及びその中心座標:柔軟媒体との摩擦係数、回転数,
・ボタン2C(直線ガイド):始点及び終点座標:柔軟媒体との摩擦係数,
・ボタン2D(円弧ガイド):円弧中心座標、その円弧の始点及び終点座標:柔軟媒体との摩擦係数,
・ボタン2E(スプライン):スプラインを構成する特徴点の座標:柔軟媒体との摩擦係数,
・ボタン2F(フラッパ):フラッパの回転中心座標及び長さ:柔軟媒体との摩擦係数、時間と回転角との関係を表わす駆動タイミングチャート,
・ボタン2G(センサ):センサの始点及び終点座標。
【0031】
そして、上記各ボタンの適当な操作及び属性情報の定義がユーザによって適宜繰り返されることにより、図2のグラフィック画面3に例示されるような搬送経路に対応する属性情報群からなるファイルが記憶装置126に用意される。
【0032】
<柔軟媒体モデル作成モジュール102>
搬送経路定義モジュール101による搬送経路の定義が終了した後、ユーザがメニューバー1中の「媒体定義」ボタンを押すのに応じて柔軟媒体モデル作成モジュール102が起動され、ディスプレイ122には、同モジュールのサブ構成メニュー2が図3に示す如く表示される。
【0033】
図3は、第1の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール102が実行されている場合の画面構成を例示する図であり、同画面の画面構成は上述した図2の場合と同様であるが、この場合に、サブ構成メニュー2には、媒体種選択画面2Hと、分割法選択画面2Iとが表示され、このサブ構成メニューの操作に応じて、媒体種の選択と、解析に際しての分割方法とを選択することができると共に、グラフィカル画面3には、図3に示す如く搬送経路内における柔軟媒体の位置を決定することができる。
【0034】
即ち、柔軟媒体モデル作成モジュール102が起動されると、搬送経路(搬送経路定義モジュール101を利用して先に定義した搬送経路)内での柔内媒体の位置をユーザに決定させるべく、コマンド欄4には、柔軟媒体の両端部の座標値の入力を促すメッセージが、例えば図3のコマンド欄4に例示する如く表示される。このとき、座標値は、コマンド欄4に数値入力するか、マウス等のポインティングデバイスの操作に応じて、グラフィック画面3に直接指示する構成としても良い。
【0035】
柔軟媒体の両端部の座標値の入力がユーザによって行われるのに応じて、グラフィック画面3上には、入力された両端部の座標値に対応する位置に、図3に例示する如く始点31と終点36とが自動的に表示されると共に、それら2点間を結ぶ直線(破線)32が自動的に描画される。これにより、ユーザは、自らが定義した柔軟媒体が搬送経路内においてどのように設置されているかを確認できる。
【0036】
次に、直線(破線)32で表現されている柔軟媒体を複数の剛体要素(バネ−質量系)に離散化する際の分割数nの入力を促すメッセージがコマンド欄4に表示され、ユーザは、コマンド欄4に分割数nを入力する。図3では、一例として分割数10が入力されている。
【0037】
分割数nの入力が完了すると、次に、直線(破線)32で表現されている柔軟媒体の種別を選択させるための入力を促すメッセージがコマンド欄4に表示され、ユーザは、媒体種選択画面2H内に表示されている何れかの媒体種別(紙種名)を選択することができる。図3では、一例として「片面コート紙」が選択された状態が例示されており、ユーザが媒体種別の選択操作を行なうのに応じて、データベース128からは、その選択操作に対応する柔軟媒体の属性情報(ヤング率、密度、厚さ等)が読み出される(尚、分割数nの入力操作と媒体種別の選択操作の順番は上記の順番と逆でも良い)。
【0038】
ここで、ユーザが搬送経路内で挙動を解析しようとしている柔軟媒体が、曲げ変形に対する剛性が曲げ方向に対して異なる場合、即ち、片面のみにコーティングが施してある片面コート紙や、片面のみにトナー層が形成されている普通紙等のように、表側と裏側とで曲げ変形に対する剛性(以下、曲げ剛性)が異なる柔軟媒体である場合がある。
【0039】
上記の場合、図4に示す如く、柔軟媒体61の厚さ方向(上下方向)で異なる材質を持つコート層62の存在に起因して、コート層62側に凸となる曲げ変形63と凹となる曲げ変形64とでは、曲げ剛性が異なる。一方、厚さ方向に材質が均一である普通紙の曲げ剛性は、引張り試験で得られるヤング率及び断面二次モーメントにより算出可能であるのは、材料力学の観点から明白である。
【0040】
そこで、本実施形態では、コート紙のような積層材の曲げ応力を計算するためのヤング率を、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.40−83であるガーレーこわさ試験を行ない、測定されたガーレーこわさを基に、曲げヤング率を下記の「数1」より求めた。
【0041】
【数1】
Figure 0004366096
【0042】
ここで、「右(左)倒れ相当」とは、J.TAPPI紙パルプ試験方法であるNo.40−83であるガーレーこわさ試験に基づいており、同試験方法の内容は、短冊状の紙片の一端を保持し直立させ、他端に左右から荷重をかけてその倒れ角を測定することで、紙のこわさを評価するものである。片面のみがコートされた紙は、曲げこわさが表裏によって異なり、ガーレー試験においては左右の倒れ角が異なる。
【0043】
本実施形態では、媒体種選択画面2Hにおいてユーザが選択可能な柔軟媒体種の中に、代表的な片面コート紙(密度7.6×10-7kg/mm3、紙厚0.129mm)を選択し、この片面コート紙の試験片サイズ:幅w12.7mm×長さL37.5mmの試験片における曲げのヤング率は、Er=5204Mpa、EL=6321Mpaである。ここで、Erはコート層側が凹、ELはコート層側が凸となる曲げ変形に相当するヤング率である。図3のサブ構成メニュー2に表示された媒体種選択画面2Hにおいてユーザが「片面コート紙」ボタンを選択することで、前記ヤング率、密度、厚さの物性値(属性情報)がデータベース128より呼び出される。
【0044】
図5は、第1の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール102が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される柔軟媒体モデルを例示する図である。
【0045】
即ち、分割法選択画面2I内の「等分割」ボタンが選択された場合には、グラフィック画面3に図3の直線(破線)32を等間隔で10に区分する個々の位置に質点33が配置され、個々の質点33間は、回転バネ34および並進バネ35により連結したモデルが図5に例示する如く表示される(尚、「不等分割」ボタンが操作された場合、「自動」ボタンが操作された場合については説明の都合上から第2の実施形態において説明する)。
【0046】
質点33間を結ぶ回転バネ34は、柔軟媒体を弾性体と見なした際の曲げ剛性を表現しており、また並進バネ35は引張り剛性を表現する。回転バネ34および並進バネ35のバネ定数は、弾性理論から導くことが可能である。より具体的に、回転バネ定数kr、kLおよび並進バネ定数ksは、ヤング率E、幅w、紙厚tおよび質点間の距離ΔLとして、下記の「数2」によって与えられる。
【0047】
【数2】
Figure 0004366096
【0048】
また、質点33の質量mは、柔軟媒体の長さL、幅w、紙厚t、密度ρ、分割数nとして、m=Lwtρ/(n−1)なる式によって計算される。
【0049】
また、本実施形態において、図5に示す如くグラフィカル画面3に柔軟媒体モデルが表示された際には、ユーザによる柔軟媒体の裏表の区別を容易にすべく、同図に示すように、始点31と終点36とを結ぶベクトルの中間点に対し垂直な方向に矢印37が表示される。本システムへの柔軟媒体の裏表の定義は、例えば、上述した搬送経路内での柔内媒体の位置を決定すべくユーザが当該柔軟媒体の両端部(図3の場合は支点31と終点36)の座標値の入力を行なうに際して、更に、ユーザが表(おもて)として希望する側を画面上においてポインティングデバイス等によって選択するのに応じて、その選択された座標値を記憶しておき、図5のグラフィック画面3を表示するに際しては、記憶した当該座標値、支点31、終点36の3点の座標値に基づいて、始点31と終点36とを結ぶベクトルの中間点から垂直な方向であり、且つ始点31−終点36間を結ぶ直線によって区切られる2つの領域のうち、係る選択された座標値が含まれる側の領域側に延びる矢印37を表示すれば良い。
【0050】
以上の手順によれば、搬送経路上を搬送される柔軟媒体を、バネ−質量要素への離散化することができ、「曲げ」と「引張り」の力に反応する弾性体のモデル(柔軟媒体モデル)として本システム上に定義することができる。
【0051】
<搬送条件設定モジュール103>
柔軟媒体モデル作成モジュール102によるバネ−質量要素への離散化の後に搬送条件設定モジュールに移る。搬送条件設定モジュール103では、搬送経路定義モジュール101を利用して先に定義した搬送経路に関して、その搬送経路を構成する搬送ローラの駆動条件、搬送経路の分岐を行なうフラッパの制御、および搬送ガイド、ローラと柔軟媒体との接触時の摩擦係数を定義する。
【0052】
図6は、第1の実施形態における設計支援システムにおいて搬送条件設定モジュール103が実行されている場合の画面構成を例示する図であり、メニューバー1中の「搬送条件」ボタンをユーザが押すことで実施され、同時にサブ構成メニュー2に駆動条件(駆動制御定義)および摩擦係数を定義するための選択肢が表示される。
【0053】
同図は、ローラの駆動制御の入力例を示しており、ユーザは、サブ構成メニュー2の駆動条件「ローラ」を選択した後、グラフィック画面3に表示されている搬送経路を構成する搬送ローラの中から、駆動条件を定義することを希望するローラをポインティングデバイス等を用いて選択する。
【0054】
そして、ローラの選択(図6の例では矢印が指しているローラ)が終了した時点で、図7に示す如く、グラフィック画面3に時間に対するローラの回転数を示すグラフが表示される。
【0055】
図7は、第1の実施形態において搬送条件設定モジュール103が実行された際に、ローラの駆動制御を定義する場合に表示される表示画面を例示する図である。
【0056】
ローラの駆動制御を定義する場合は、コマンド欄4に(時間、回転数)の組から成る特徴点をユーザが入力すると、入力された個々の特徴点(時間、回転数)の値に基づいて、グラフィック画面3に図7に例示するようなグラフが自動的に作成される。
【0057】
同図に示す例では、ユーザが個々の特徴点として、(0,0)、(1,120)、(3,120)、(4,0)と入力したのに応じて、、0→1秒までに直線的にローラの回転数を0→120rpmまで上昇させ、1→3秒までは120rpm維持、3→4秒の間に120→0秒に減速する例を示している。
【0058】
上記の入力手順及び表示態様はローラの制御定義に対するものであるが、分岐経路に使用するフラッパの制御定義も、縦軸が回転数から角度になるだけで、それ以外はローラの場合と同様である。
【0059】
また、摩擦係数の定義を行なう場合、ユーザは、サブ構成メニュー2の駆動条件「摩擦係数」を選択した後、グラフィック画面3に表示してあるローラまたはガイドを個々に選択し、紙との摩擦係数μをコマンド欄4より入力する。ここで入力されたμにより、柔軟媒体の質点とローラまたはガイドとの接触計算により得られる垂直抗力をNとすると、図8に示すように紙の搬送方向とは逆向きに摩擦力μNが働くように設定される。
【0060】
<運動計算モジュール104>
搬送条件設定モジュール103の次に運動計算モジュール104に移る。運動計算モジュール104では、柔軟媒体モデル作成モジュール102にて先に作成した柔軟媒体モデルに働く種々の力を考慮し、運動方程式を解くことで搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動を求める。
【0061】
図9は、運動計算モジュール104の詳細を示すフローチャートである。
【0062】
運動計算モジュール104では、まずステップS41で柔軟媒体の運動を計算する実時間T、および運動方程式の解を数値的に求める際に使用する数値時間積分の時間刻みΔtを設定する。
【0063】
以降ステップS42〜ステップS47が数値時間積分のループであり、柔軟媒体の運動は、初期時間からΔt毎に計算され、記憶装置126に結果が保存される。
【0064】
ステップS42では、Δt秒後の計算を行なう際に必要な初期加速度、初期速度、初期変位がユーザによって設定される。
【0065】
ステップS43では、柔軟媒体を形成する各質点に働く力を定義する。各質点に働く力の種類には、回転モーメント、引張り力、接触力、摩擦力、重力、空気抵抗力、クーロン力があり、これら複数種類の力を個々の質点に関して計算した後、その合力を算出し、算出した合力を、最終的に柔軟媒体にかかる力として定義する。
【0066】
ここで、上述の柔軟媒体に働く回転モーメントの扱い方について、図10を用いて説明する。
【0067】
図10は、柔軟媒体に働く回転モーメントの扱い方を説明する図である。前述のように、柔軟媒体モデル作成モジュール102によって柔軟媒体は質点51と、質点間を回転バネ52および並進バネ53で連結することにより、弾性体としてモデル化されて表現されている。質点iに働く回転モーメントは、回転バネ定数と回転角の積で表現される。ここで、図10に示す柔軟媒体モデルの紙面上部側にコーティング層あるいはトナー層が形成されている場合、質点(i-1)と質点iとを結ぶベクトルと、質点iと質点(i+1)とを結ぶベクトルとの角度が0より大きければ、回転バネの定数をkLを採用し、0より小さければ、回転バネ定数にkrを採用する。
【0068】
ここで、2つのバネ定数kLとkrの大きさの関係に関して、柔軟媒体の回転モーメントは、コート層、トナー層が形成されている場合には表裏で異なるため、曲げの方向に応じて使い分けを行なえば良い。例えば、コート層、トナー層について考えると、図10の上面側がコート層、トナー層とした場合には、一般的にはkL<krとなる。
【0069】
ステップS44は、ステップS43で求めた質点に働く力を質点の質量で除し、さらに初期加速度を加算することで、Δt秒後の加速度を計算する。同様にして、ステップS45では速度を、ステップS46では変位を計算する。
【0070】
本実施形態では、ステップS43〜ステップS45の一連のΔt秒後の物理量計算にEulerの時間積分手法を採用しているが、Kutta-merson、Newmark-β法、Willson-θ法等、他の時間積分手法を採用しても良い。
【0071】
ステップS46では、計算時刻がステップS41で設定した実時間Tに到達したか否かを判断し、到達していれば運動計算モジュール104を終了する。到達していない場合は、再度ステップS42に戻り上述した時間積分を繰り返す。
【0072】
<結果表示モジュール105>
結果表示モジュール105は、メニューバー1中の「結果表示」ボタンをユーザが押すことで起動される。
【0073】
図11は、第1の実施形態において結果表示モジュール105が実行された際に、ユーザによって「動画表示」が選択された場合の画面構成を例示する図であり、サブ構成メニュー2には、大別して「動画表示」メニューと「プロット表示」メニューとが表示され、この場合は、「動画表示」が選択された場合をグラフィック画面3に例示している。
【0074】
「動画表示」メニューは、再生ボタン、停止ボタン、ポーズ、早送り、巻き戻しボタンで構成され、同ボタンをユーザが操作するのに応じて、グラフィック画面3には、柔軟媒体の挙動が自動的に可視化される。この場合も、柔軟媒体の表裏を判別可能とすべく、図5に示した矢印37と同じ側に図11に示す如く矢印を表示する(或いは、表裏で色分けしても良い)と良い。
【0075】
図12は、第1の実施形態において結果表示モジュール105が実行された際に、ユーザによって「プロット表示」が選択された場合の画面構成を例示する図であり、サブ構成メニュー2には、大別して「動画表示」メニューと「プロット表示」メニューとが表示され、この場合は、「プロット表示」が選択された場合をグラフィック画面3に例示している。
【0076】
「プロット表示」では、柔軟媒体の挙動をより定量的に行なうため、ユーザが選択した注目対象(解析対象)のガイドやローラの搬送負荷、柔軟媒体の加速度、速度、変位等が時間に対しグラフ表示される。このように結果表示モジュール105により、種々の搬送経路内の評価が可能となる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、機構部品によって構成される搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動をシミュレーションすることで、ユーザによる搬送経路の設計を支援する設計支援システムにおいて、
設計対象の搬送経路における機構部品の配置を、ユーザが定義可能な搬送経路定義モジュール101と、
前記搬送経路定義モジュール101を用いて定義された搬送経路内に、その搬送経路を搬送されるべき柔軟媒体が定義されるのに応じて、その柔軟媒体を、質量を有する複数の剛体要素に分割すると共に、隣接する個々の剛体要素間を、該柔軟媒体の曲げ変形の方向に依存してバネ定数が変化する回転バネと、並進バネとの2つのバネで連結することにより、該柔軟媒体を表わす弾性体モデルを作成する柔軟媒体モデル作成モジュール102と、
前記搬送経路における搬送条件と、その搬送経路に配置された機構部品と前記柔軟媒体との摩擦係数とを、ユーザが設定可能な搬送条件設定モジュール103と、
前記柔軟媒体モデル作成モジュール102によって作成された柔軟媒体モデルと、前記搬送条件設定モジュール103にて設定された搬送条件及び摩擦係数とに基づいて、前記搬送経路内における前記柔軟媒体の挙動状態を、数値シミュレーションによって時系列に算出する運動計算モジュール104と、
前記運動計算モジュール104による算出された前記柔軟媒体の挙動状態を表示する結果表示モジュール105と、
を備える。
【0078】
これにより、片面のみにコート層があるコート紙や片面にトナー層が形成された普通紙等の柔軟媒体の曲げ変形に対する剛性が、曲げ方向に対して異なる現象を正確にシミュレーションすることができるので、利便性に優れる。
【0079】
また、本実施形態によれば、柔軟媒体モデル作成モジュール102によって生成された柔軟媒体モデルが表示される際には、図5に矢印37にて例示する如く、柔軟媒体モデルの裏表をユーザが容易に区別可能なマーカ(シンボル)が表示されるので、柔軟媒体のモデル作成及びその計算結果の表示の際に、どちらの側がコート層あるいはトナー層であるかの区別をユーザが明確に判別することができるようになり、モデル作成時のミスの防止や計算結果の評価が容易になる効果がある。
【0080】
また、本実施形態において、前記柔軟媒体モデル作成モジュール102は、前記柔軟媒体の端部2点の座標値と、それら2点間の分割数とが入力されるのに応じて、前記柔軟媒体を、それら2点間において等間隔に配置された複数の剛体要素に分割する。これにより、柔軟媒体を複数の剛体要素(バネ−質量系)へ離散化する操作を手軽に達成できるため、モデル作成に要する工数が大幅に削減される効果がある。
【0081】
[第2の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る設計支援システムを基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0082】
従来の技術で説明した離散化を利用する設計支援システムにおける課題は、柔軟媒体の離散化規模を上げる(即ち、要素を細かくする)ほど計算精度は向上するが、その反面、計算時間が増大するというトレードオフの関係にある点である。
【0083】
柔軟媒体が搬送される搬送経路設計の評価では、柔軟媒体の端部とガイド、ローラ等の当接角、搬送抵抗を正確に見積もることが要求される。ガイド、ローラ等に柔軟媒体の端部が当接した場合、粗い離散化では十分な曲げ変形状態が表現できず、計算される当接角は実際の現象より小さくなり、ひいては搬送抵抗を過小に判断してしまうという欠点がある。そして、数値シミュレーションの結果にこのような欠点があることは、設計支援システムの内部構成を設計した設計者自体は認知しているのが一般的であるが、その設計支援システムの単なるユーザである場合には、内在する欠点を適切に評価することは容易でないため、柔軟媒体の適切な離散化レベルを決定することができないという課題がある。
【0084】
そこで、本実施形態では、係る課題を解決すべく、第1の実施形態において説明した設計支援システムを基に、適切な離散化レベルを決定することを主な目的とする。
【0085】
図13は、第2の実施形態における設計支援システムの処理の流れを説明するフローチャートであり、本実施形態に係る設計支援システムでは、同図に示すように6つのモジュール201乃至206により構成される。
【0086】
以下、それぞれのモジュールについて処理の流れに沿って説明する。
【0087】
<搬送経路定義モジュール201>
第1の実施形態に係る搬送経路定義モジュール101と略同様な処理構成であり、ユーザは、図2に例示するサブ構成メニュー2内のボタン操作等によって、グラフィカル画面3の如く搬送経路を定義することができる。
【0088】
<柔軟媒体モデル作成モジュール202>
搬送経路定義モジュール201による搬送経路の定義が終了した後、ユーザがメニューバー1中の「媒体定義」ボタンを押すのに応じて柔軟媒体モデル作成モジュール202が起動され、図3に例示するサブ構成メニュー2内のボタン操作等によって、グラフィカル画面3の如く柔軟媒体を定義することができ、更に定義した柔軟媒体の柔軟媒体モデルを作成することができる。
【0089】
ここで、図3のサブ構成メニュー2に表示された媒体種選択画面2Hにおいてユーザが「EN100DK」ボタンを選択した場合、柔軟媒体種として、代表的な再生紙であるEN100DKが選択され、本システム内部では、EN100DKのヤング率5409Mpa、密度6.8×10-7kg/mm3、紙厚0.0951mmという値がデータベース128から選択されるものとする。
【0090】
(等分割)
サブ構成メニュー2において、分割法選択画面2I内の「等分割」ボタンが操作された場合には、第1の実施形態と同様に、図5に例示した如くグラフィック画面3に、柔軟媒体を表わす直線(破線)32が質点33によって等間隔に区分され、その質点間が回転バネ34および並進バネ35により連結したモデルが表示される。
【0091】
質点間を結ぶ回転バネ34は、柔軟媒体を弾性体と見なした際の曲げ剛性を表現し、また並進バネ35は引張り剛性を表現する。両バネ定数は弾性理論から導くことが可能である。
【0092】
本実施形態において、回転バネ定数kr、並進バネ定数ksはヤング率E、幅w、紙厚tおよび質点間の距離ΔLを用いて「数3」によって与えられる。
【0093】
【数3】
Figure 0004366096
【0094】
また、質点33の質量mは、柔軟媒体の長さL、幅w、紙厚t、密度ρ、分割数nとして、m=Lwtρ/(n−1)なる式によって計算され、搬送経路上を搬送される柔軟媒体を、バネ−質量要素への等分割で離散化することができ、「曲げ」と「引張り」の力に反応する弾性体のモデル(柔軟媒体モデル)として本システム上に定義することができる。
【0095】
(不等分割)
次に、サブ構成メニュー2において、分割法選択画面2I内の「不等分割」ボタンが操作された場合について説明する。本実施形態では、「不等分割」ボタンが操作された場合、等比分割を行なうことができる。等比分割による分割は、柔軟媒体の端部の質点間隔を一方の端部質点間隔に対し所定の比率となるよう定義し、かつその間の質点間隔は、等比で変化させる方式を採用する。
【0096】
図14は、第2の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール202が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力されると共に、「不等分割」ボタンが操作された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される柔軟媒体モデルを例示する図である。
【0097】
図14に示す例では、分割数6、端部A側の質点間隔L6が端部B側の質点間隔L1に対し2倍となるように定義された場合を示しており、この場合、ユーザは、分割数n=6、および端部間隔比率α=2.0をコマンド欄4より入力する必要がある。
【0098】
また、グラフィック画面3上でユーザが端部Aを指定すると、図14に例示する如く質点間隔が等比になる態様で柔軟媒体がモデル化される。
【0099】
本実施形態においても、質点間は第1の実施形態と同様に、回転バネ34と並列バネ35により連結されるが、各バネ定数は一律同じ値にはならない。より具体的に、等比分割における回転バネ定数krおよび並進バネ定数ksは「数4」によって計算される。
【0100】
【数4】
Figure 0004366096
【0101】
また、各質点間隔ΔLiは、柔軟媒体の全長をLとすると、分割数nが偶数の場合は「数5」によって計算され、奇数の場合は「数6」によって計算される。
【0102】
【数5】
Figure 0004366096
【0103】
【数6】
Figure 0004366096
【0104】
このような手順に従って不等分割(等比分割)が行われることにより、柔軟媒体を複数のバネ−質量系へ離散化する操作が手軽に達成でき、モデル作成に要する工数が大幅に削減される効果に加え、柔軟媒体の一方の端部に対し、等間隔に比べ同数の質量−バネ要素であっても、細かな離散化が可能となるため、特に、端部がガイドやローラと当接した場合の接触抵抗、搬送速度等の計算結果がより正確かつ計算負荷をかけず得られる効果がある。
【0105】
(自動分割)
次に、サブ構成メニュー2において、分割法選択画面2I内の「自動」ボタンが操作された場合について説明する。この「自動」ボタンが操作されると、柔軟媒体モデル作成モジュール202では、問題内容選択モジュールと、自動分割モジュールという2つのモジュールの実行が開始される。
【0106】
まず分割法選択画面2Iより「自動」ボタンを選択することで、問題内容選択モジュールが実行され、グラフィック画面3に複写機、プリンタ等の代表的な問題内容を表わす模式図ボタンとして、図15のグラフィック画面3に示す如く、反転機構問題ボタン3A、画像形成問題ボタン3B、搬送ガイド問題ボタン3Cなる3つのボタンが表示される。
【0107】
図15は、第2の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール202が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力されると共に、「自動」ボタンが操作された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される問題内容の模式図ボタンを例示する図である。
【0108】
反転機構問題ボタン3Aに対応する1つ目の反転機構問題は、図16に示すように、柔軟媒体が所定の位置で搬送方向が反転して別の経路へと搬送される、スイッチバック機構であり、搬送ガイド72側から搬送されてきた柔軟媒体の後ろ端がフラッパー74を通過した時点で反転ローラ71による急激な搬送方向の転換を行ない、搬送ガイド73側へ搬送される際の柔軟媒体両端と搬送ガイドとの接触抵抗を評価する問題である。
【0109】
画像形成問題ボタン3Bに対応する2つ目の画像形成問題は、図17に示すように、柔軟媒体(紙)の位置決めローラ81、トナー等を柔軟媒体に転写する転写ローラ82、および柔軟媒体上に載ったトナーを加熱、圧着させる定着ローラ83によって構成される画像形成機構であり、特に転写ローラ82の手前位置における柔軟媒体(紙)の速度変動が安定化した画像形成上非常に重要であるため、同位置における速度変動が位置決めローラ81や定着ローラ83での搬送状態によってどのように変化するかを評価する問題である。
【0110】
搬送ガイド問題ボタン3Cに対応する3つ目の搬送ガイド問題は、図18に示すように、搬送ローラ91と搬送ガイド92とからなる単純機構で、柔軟媒体の先端が搬送ガイド92に接触した際の搬送ローラ91にかかる負荷を評価する問題である。
【0111】
これら3つの問題に対しての解決方法及びその解決方法に基づく剛体要素への分割数等の分割態様は、本実施形態において、上述した問題内容の種別毎に、予めデータベース128に格納されており、その具体的な内容について以下に説明する。
【0112】
上述した各問題に共通する事項として、モデル化時の分割に際しては、剛体要素(バネ−質量)の要素数をなるべく少なくし、かつ大きな曲げモーメントが発生する部位の要素間隔を短くすることが、計算負荷、計算精度の面から有益である。
【0113】
即ち、反転機構問題において、反転機構における柔軟媒体両端と搬送ガイドとの接触抵抗の評価においては、両端部付近では細かく、中央部では粗い離散化状態が好ましい。
【0114】
また、画像形成問題において、画像形成機構における転写ローラ手前の柔軟媒体の速度変動の評価においては、端部より中央部の方がより細かい離散化状態となることが好ましい。
【0115】
そして、搬送ガイド問題において、柔軟媒体の先端のみが搬送ガイドと接触する搬送ガイド機構の評価においては、先端近傍ほど細かい離散化状態となることが好ましい。
【0116】
このように解くべき3つの問題に応じて柔軟媒体のバネ−質量要素への離散レベルに疎密をつけてモデル化する方法は、上述した「等比分割」の場合におけるモデル化の応用により達成できる。
【0117】
即ち、反転機構に対しては、「数5」及び「数6」における全長Lを0.5Lとし、端部間隔比率αの定義を、その反転機構の中央部と端部との間隔比率に置換えれば良い。
【0118】
また、画像形成機構に対しては、反転機構の反対を考えれば良いし、柔軟媒体先端とガイドとの接触機構に対しては、「数5」及び「数6」をそのまま使用すれば良い。
【0119】
更に、柔軟媒体のバネ−質量要素への離散レベルを決定するパラメータである分割数nおよび間隔比率αの適切値をも事前のケーススタディにより予め決定し、データベース128として登録することで、分割に関するユーザによる一切の判断を介入させない。例えば、各問題内容における代表的な再生紙であるEN100および厚紙であるスプリングヒルにおける適切な分割数nおよび間隔比率αは、図19に示すようになる。
【0120】
<搬送条件設定モジュール203>
柔軟媒体モデル作成モジュール202によるバネ−質量要素への離散化の後に搬送条件設定モジュール203に移る。
【0121】
搬送条件設定モジュール203では、第1の実施形態に係る搬送条件設定モジュール103と略同様な処理構成であり、ユーザは、図6に例示するサブ構成メニュー2内のボタン操作等によって、グラフィック画面3に表示されている搬送経路を構成する搬送ローラの中から、駆動条件を定義することを希望するローラをポインティングデバイス等を用いて選択し、選択したローラの駆動制御の定義、並びに摩擦係数の定義を、図7及び図8を参照して説明した如く定義することができる。
【0122】
前述までの搬送経路定義モジュール201、柔軟媒体モデル作成モジュール202および搬送条件設定モジュール203は、個々のモジュールが独立で機能したが、運動計算モジュール204と要素再分割モジュール205は交互に機能する。
【0123】
図20は、運動計算モジュール204及び要素再分割モジュール205の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0124】
運動計算モジュール4A(204)は、ステップS51〜ステップS57において、第1の実施形態において図9に示すフローチャートを参照して説明した手順と同様に、柔軟媒体モデルに働く種々の力を考慮し、運動方程式を解くことで、搬送経路内を搬送される柔軟媒体の、実時間Tに至るまで挙動を求める。
【0125】
次に、要素再分割モジュール4B(205)について説明する。
【0126】
まず、ステップS61では、運動計算モジュール4A(204)のステップS53にて計算された各質点の回転モーメントを参照し、柔軟媒体の一部分で局所的に大きな回転モーメントが発生しているか否かをチェックする。このときのチェックの方法は、柔軟媒体の全長をL、柔軟媒体にかかる全回転モーメントをM、ある質点iの質点間隔をΔLi、回転モーメントをMiとすると、「数7」の条件を満たした時に局所的に大きなモーメントが発生していると判断してステップS62に進み、この条件を満たさない場合は要素再分割モジュール4B(205)を終了する。
【0127】
【数7】
Figure 0004366096
【0128】
「数7」において、右辺は、連続するn個の質点の距離を柔軟媒体の全長Lで除した項と、同部の回転モーメントの総和を、全回転モーメントMで除した項の積の形となっている。この値が0.5を超えると局所的に大きなモーメントが発生していると判断する。nの値は通常5〜10の間をとるが、本実施形態ではn=5とする。
【0129】
ステップS62では、ステップS61にて「数7」の条件を満たした局所的に大きなモーメントが発生していると判断されたので、図21に示す質点i−質点(i+5)間の両端の回転角θを計算して記憶する。
【0130】
ステップS63では、質点の情報であるところの、加速度、速度、変位を、一旦Δt前の状態に戻す。
【0131】
ステップS64では、図22の図中白抜きの質点で表わすように、質点i〜質点(i+5)の中間に新たな質点を設け、ステップS61で抽出された範囲を再分割する。同時に質点間隔が変るために、質点の質量、回転バネ定数、並進バネ定数を2分の1にする。また、運動方程式を計算するために必要な新たな質点に関する物理量jには、当該両端の質点の平均値を採用する。
【0132】
ステップS65では、時間積分によりΔt秒後の運動計算を、ステップS64にて再分割された柔軟媒体のモデルで行なう。
【0133】
ステップS66では、ステップS62と同様に質点i−質点(i+5)間の両端の回転角θを計算して記憶する。
【0134】
ステップS67では、ステップS62およびステップS66でそれぞれ計算された回転角の差θdを求め、この差θdが所定の許容値(例えば10度)以内であれば、本要素再分割モジュールを終了しθdが許容値(例えば10度)より大きい場合には再びステップS64に戻って再分割を行なう。
【0135】
<結果表示モジュール206>
結果表示モジュール206は、第1の実施形態に係る結果表示モジュール105と同様な処理構成であり、サブ構成メニュー2内の「動画表示」メニューをユーザが選択した場合には上述した図11に例示される柔軟媒体の挙動を示す動画がグラフィック画面3に表示され、同メニュー内の再生ボタン、停止ボタン、ポーズ、早送り、巻き戻しボタンによって表示を調整することができ、一方、「プロット表示」メニューをユーザが選択した場合には、ユーザが選択した注目対象(解析対象)のガイドやローラに関して、同メニュー内から選択されたパラメータ(加速度、速度、変位等)に関する時間的な変化を表わすグラフが、上述した図12に例示する如くグラフィック画面3に表示される。
【0136】
以上説明したように、本実施形態によれば、機構部品によって構成される搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動をシミュレーションすることで、ユーザによる搬送経路の設計を支援する設計支援システムにおいて、
設計対象の搬送経路における機構部品の配置を、ユーザが定義可能な搬送経路定義モジュール201と、
前記搬送経路定義モジュール201を用いて定義された搬送経路内に、その搬送経路を搬送されるべき柔軟媒体が定義されるのに応じて、その柔軟媒体を、質量を有する複数の剛体要素に分割すると共に、隣接する個々の剛体要素間を、該柔軟媒体の曲げ変形の方向に依存してバネ定数が変化する回転バネと、並進バネとの2つのバネで連結することにより、該柔軟媒体を表わす弾性体モデルを作成する柔軟媒体モデル作成モジュール202と、
前記搬送経路における搬送条件と、その搬送経路に配置された機構部品と前記柔軟媒体との摩擦係数とを、ユーザが設定可能な搬送条件設定モジュール203と、
前記柔軟媒体モデル作成モジュール202によって作成された柔軟媒体モデルと、前記搬送条件設定モジュール203にて設定された搬送条件及び摩擦係数とに基づいて、前記搬送経路内における前記柔軟媒体の挙動状態を、数値シミュレーションによって時系列に算出する運動計算モジュール204と、
前記運動計算モジュール204による数値シミュレーションに際して算出される前記個々の剛体要素の曲げモーメントを評価し、その評価結果、前記柔軟媒体に局所的に大きな回転モーメントが発生している場合には、前記柔軟媒体を複数の剛体要素に分割する際の分割数を、それまでの分割数より細かくする要素再分割モジュール205と、
前記運動計算モジュール204による算出された前記柔軟媒体の挙動状態を表示する結果表示モジュール206とを備える。
【0137】
これにより、片面のみにコート層があるコート紙や片面にトナー層が形成された普通紙等の柔軟媒体の曲げ変形に対する剛性が、曲げ方向に対して異なる現象を正確にシミュレーションすることができるので、利便性に優れる、という上述した第1の実施形態と同様な効果に加えて、要素再分割モジュール205の機能によって、柔軟媒体のモデル化方針に関してシミュレーション上の詳細な知識を有さない設計者であっても、比較的精度の良い計算結果を導くことができる。
【0138】
また、本実施形態において、分割法選択画面2I内の「等分割」ボタンが選択された場合には、前記柔軟媒体モデル作成モジュール202は、前記柔軟媒体の端部2点の座標値と、それら2点間の分割数とが入力されるのに応じて、前記柔軟媒体を、それら2点間において等間隔に配置された複数の剛体要素に分割することができる。これにより、柔軟媒体を複数の剛体要素(バネ−質量系)へ離散化する操作を手軽に達成できるため、モデル作成に要する工数が大幅に削減される効果がある。
【0139】
また、本実施形態において、分割法選択画面2I内の「不等分割」ボタンが選択された場合には、前記柔軟媒体モデル作成モジュール202は、前記柔軟媒体の端部2点の座標値と、それら2点間の分割数とが入力されるのに応じて、前記柔軟媒体を、それら2点間において等比間隔に配置された複数の剛体要素に分割することができる。これにより、柔軟媒体を複数の剛体要素(バネ−質量系)へ離散化する操作が手軽に達成でき、モデル作成に要する工数が大幅に削減される効果に加え、等間隔に分割する場合と同数の剛体要素であっても、柔軟媒体の一方の端部に対しての細かな離散化が可能となる。従って、要素再分割モジュール205における再分割の工程を省力化することができ、特に、当該一方の端部がガイドやローラと当接した場合の接触抵抗、搬送速度等の計算結果を、コンピュータへの計算負荷を増大すること無く、より正確に得られる効果がある。
【0140】
また、本実施形態では、搬送経路を搬送される柔軟媒体についてユーザが設計すべき問題内容の種別毎に、柔軟媒体を複数の剛体要素に分割する際の分割態様に関する情報がデータベース128に予め記憶されており、分割法選択画面2I内の「自動」ボタンが選択された場合には、前記柔軟媒体モデル作成モジュール202が、ユーザが選択した問題内容の種別に対応する分割態様に関する情報を同データベースから求め、その情報に基づいて、前記柔軟媒体を前記複数の剛体要素に自動的に分割する。これにより、種々の搬送経路の評価に際して、ユーザは、柔軟媒体を剛体要素(質量−バネ要素)に離散化するときの最適な疎密度合いの決定を容易に行なうことができ、迅速な設計業務の達成できると共に、計算結果を、コンピュータへの計算負荷を増大すること無く、より正確に得られる効果がある。
【0141】
【他の実施形態】
上述した各実施形態を例に説明した本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0142】
また、本発明は、前述した各実施形態において説明した各モジュールの機能を実現するソフトウェア・プログラムを、上述した設計支援システムとして動作するシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0143】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0144】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0145】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0146】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0147】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0148】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0149】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0150】
【発明の効果】
上記の本発明によれば、曲げ剛性が曲げ方向に対して異なる柔軟媒体であっても、その柔軟媒体の搬送経路における挙動を正確にシミュレーションする情報処理装置の提供が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における設計支援システムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図2】第1の実施形態における設計支援システムにおいて搬送経路定義モジュール101が実行されている場合の画面構成を例示する図である。
【図3】第1の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール102が実行されている場合の画面構成を例示する図である。
【図4】表側と裏側とで状態が異なる柔軟媒体における曲げ剛性の違いを説明する図である。
【図5】第1の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール102が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される柔軟媒体モデルを例示する図である。
【図6】第1の実施形態における設計支援システムにおいて搬送条件設定モジュール103が実行されている場合の画面構成を例示する図である。
【図7】第1の実施形態において搬送条件設定モジュール103が実行された際に、ローラの駆動制御を定義する場合に表示される表示画面を例示する図である。
【図8】柔軟媒体の質点とローラまたはガイドとの接触計算により得られる垂直抗力N、紙の搬送方向とは逆向きに摩擦力μNを説明する図である。
【図9】運動計算モジュール104の詳細を示すフローチャートである。
【図10】柔軟媒体に働く回転モーメントの扱い方を説明する図である。
【図11】第1の実施形態において結果表示モジュール105が実行された際に、ユーザによって「動画表示」が選択された場合の画面構成を例示する図である。
【図12】第1の実施形態において結果表示モジュール105が実行された際に、ユーザによって「プロット表示」が選択された場合の画面構成を例示する図である。
【図13】第2の実施形態における設計支援システムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図14】第2の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール202が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力されると共に、「不等分割」ボタンが操作された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される柔軟媒体モデルを例示する図である。
【図15】第2の実施形態における設計支援システムにおいて柔軟媒体モデル作成モジュール202が実行され、柔軟媒体の位置、分割数、並びに媒体種別が入力されると共に、「自動」ボタンが操作された結果として、グラフィカル画面3に自動的に表示される問題内容の模式図ボタンを例示する図である。
【図16】反転機構問題ボタン3Aに対応する反転機構問題を説明する図である。
【図17】画像形成問題ボタン3Bに対応する画像形成問題を説明する図である。
【図18】搬送ガイド問題ボタン3Cに対応する搬送ガイド問題を説明する図である。
【図19】 EN100およびスプリングヒルにおける問題内容別の適切な分割数nおよび間隔比率αの一覧表を例示する図である。
【図20】運動計算モジュール204及び要素再分割モジュール205の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図21】要素再分割モジュール4B(205)におけるステップS62の説明図である。
【図22】要素再分割モジュール4B(205)におけるステップS64の説明図である。
【図23】本発明を適用可能な情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
【符号の説明】
1:メニューバー,
2:サブ構成メニュー,
2A:ローラ対定義ボタン,
2B:ローラ定義ボタン,
2C:直線ガイド定義ボタン,
2D:円弧ガイド定義ボタン,
2E:スプラインガイド定義ボタン,
2F:フラッパー定義ボタン,
2G:センサ定義ボタン,
2H:媒体種選択画面,
2I:分割法選択画面,
3:グラフィック画面,
3A:反転機構選択ボタン,
3B:画像形成機構選択ボタン,
3C:ガイド抵抗機構選択ボタン,
4:コマンド欄,
31:柔軟媒体の端部座標,
32:柔軟媒体の表現線,
33,51:質点,
34,52:回転バネ,
35,53:並進バネ,
36:終点,
37:面の向きを示すベクトル,
61:柔軟媒体,
62:コート層,
63:コート層62側に凸となる柔軟媒体61の曲げ変形の状態,
64:コート層62側に凹となる柔軟媒体61の曲げ変形の状態,
71:反転ローラ,
72:上流搬送経路,
73:下流搬送経路,
74:フラッパー,
81:柔軟媒体の位置決めローラ,
82:転写ローラ,
83:定着ローラ,
91:搬送ローラ,
92:搬送ガイド,
121:CPU,
122:ディスプレイ,
123:キーボード,
124:ROM,
125:RAM,
126:記憶装置,
127:通信インタフェース,
128:データベース,
129:内部バス,
130:通信回線

Claims (5)

  1. 機構部品によって構成される搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動をシミュレーションする情報処理装置であって、
    入力手段の入力に応じて、柔軟媒体モデルに裏表を設定する設定手段と、
    前記設定手段によって設定された柔軟媒体モデルの裏表に関する情報に基づいて、前記柔軟媒体モデルの裏表を区別して前記柔軟媒体モデルをディスプレイに表示させる表示制御手段と、を有し、
    前記柔軟媒体モデルは、質量を有する複数の剛体要素と、隣接する個々の剛体要素間を連結するための回転バネと、並進バネとによって表現され、前記設定手段は、前記入力手段の入力に応じて、コーティング層およびトナー層のうちの1つを前記柔軟媒体の表裏のうちのいずれかに設定し、さらに、前記柔軟媒体モデルの曲げ方向および前記入力手段によって入力されたコーティング層およびトナー層のうちの1つが柔軟媒体モデルの裏表いずれに形成されているかに基づいて前記回転バネの係数を設定することを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記設定手段は、コーティング層あるいはトナー層を有する柔軟媒体モデルの面が山側に折り曲げられている場合より谷側に折り曲げられているときの前記回転バネの係数を小さく設定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
  3. 機構部品によって構成される搬送経路内を搬送される柔軟媒体の挙動をシミュレーションする情報処理装置において実行されるシミュレーション方法であって、
    入力手段の入力に応じて、設定手段が、柔軟媒体のモデルに裏表設定する設定ステップと、
    前記設定ステップにおいて設定された柔軟媒体のモデルの裏表に関する情報に基づいて、表示制御手段が、前記柔軟媒体モデルの裏表を区別して前記柔軟媒体モデルディスプレイに表示させる表示制御ステップと、を有し、
    前記柔軟媒体モデルは、質量を有する複数の剛体要素と、隣接する個々の剛体要素間を連結するための回転バネと、並進バネとによって表現され、前記設定ステップでは、前記入力手段の入力に応じて、コーティング層およびトナー層のうちの1つを前記柔軟媒体の表裏のうちのいずれかに設定し、さらに、前記柔軟媒体モデルの曲げ方向および前記入力手段によって入力されたコーティング層およびトナー層のうちの1つが柔軟媒体モデルの裏表いずれに形成されているかに基づいて前記回転バネの係数を設定することを特徴とするシミュレーション方法
  4. 前記設定ステップでは、コーティング層あるいはトナー層を有する柔軟媒体モデルの面が山側に折り曲げられている場合より谷側に折り曲げられているときの前記回転バネの係数を小さく設定することを特徴とする請求項に記載のシミュレーション方法
  5. コンピュータを、請求項1または2に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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