JP5335521B2 - 設計支援装置、設計支援方法及びプログラム - Google Patents
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また、上述した接触部品を指定する設定方法でも、柔軟媒体と接触している間は、搬送経路の構成部品は弾性体として扱われる。従って、搬送中の柔軟媒体と搬送経路の構成部品との接触状態が安定していて、搬送経路の構成部品の変形計算を行わなくてもよい時間帯でも変形計算が行うことから、計算負荷を要してしまうという問題がある。
図1は、本実施形態に係る設計支援装置(シミュレーション装置)の構成を示すブロック図である。設計支援装置10は、いわゆるコンピュータであり、VRAM11、ディスプレイ装置12、キーボード13、ポインティングデバイス(PD)14、CPU15、ROM17、RAM(メモリ)18、ハードディスク(HDD)19を含んで構成されている。また、これら各デバイスは、アドレスバス、データバス及び制御バスからなるI/Oバス16を介して接続されている。
まず、柔軟媒体の搬送径路を決定する搬送ガイド、搬送ローラといった搬送部品を設定する手順について説明する。
図2は、搬送部品を設定するときに表示される表示画面の一例を示す図である。図2に示す表示画面は、CPU15がディスプレイ装置12に表示する。
表示画面は、主な処理の切り替えを行うメニューバー1、各手順のサブ構成メニュー2、設定した搬送経路や結果を表示するグラフィック画面3、プログラムメッセージの出力や必要に応じて数値入力を行うコマンド欄4で構成される。
ユーザが各搬送部品をサブ構成メニュー2から選択することにより、CPU15は、選択された搬送部品を検出し、検出した搬送部品をグラフィック画面3上に表示する。また、CPU15は、搬送部品の形状及び位置をRAM18に記憶することで、搬送部品を定義すなわち、設定する。なお、搬送部品の設定は、上述したような方法のみに限られない。例えば、ユーザがCADシステムや解析用プリポストからの出力を指示することで、CPU15は、搬送部品の断面形状を読み込み、図2に示すようにグラフィック画面3に表示する。そして、ユーザが各ボタン2A〜2Hを選択した後に、画面に表示されている円、線分、円弧等の搬送部品を選択し、必要に応じて各搬送部品の設定に必要な値を入力することで、CPU15が各搬送部品を設定してもよい。
次に、柔軟媒体を設定する手順について説明する。ここでは、搬送経路内に質量を有した複数の剛体要素と各剛体要素間を繋ぐバネとを用いて柔軟媒体を設定する。
搬送部品の設定後、ユーザがポインティングデバイス14等を介して、図3(A)に示すように表示画面のメニューバー1の「媒体定義」ボタン1Bを選択する。すると、CPU15は、柔軟媒体のモデル定義に移行すると共に、図3(A)に示すような表示画面を表示する。
CPU15は、柔軟媒体を、入力された分割数に応じた質点とバネとに置換して定義する。この処理は、被搬送物置換手段による処理の一例に対応する。
具体的には、図3(B)に示すようにCPU15は、柔軟媒体40を質点41と回転バネ42と並進バネ43とに置換する。回転バネ42は、質点41間を結ぶバネであって、柔軟媒体40を弾性体と見なしたときの曲げ剛性を表現している。また、並進バネ43は、柔軟媒体40を弾性体と見なしたときの引張り剛性を表現している。ここで、並進バネ43及び回転バネ42のバネ定数は、弾性理論から導くことが可能である。すなわち、回転バネ定数kr、並進バネ定数ksは、ヤング率E、幅w、紙厚t及び質点間の距離ΔLを用いて、次式によって与えられる。
m=Lwtρ/(n−1)・・式(2)
このように、柔軟媒体を曲げと引張りの力に反応する弾性体として定義することができる。なお、柔軟媒体をバネ−質量系に置換する場合に限られず、有限要素モデルに置換してもよい。
図3(B)では、ユーザが柔軟媒体の種類として再生紙Aを選択している。この場合、CPU15は、再生紙Aのパラメータとして、例えばヤング率5409Mpa、密度6.8×10-7kg/mm3、紙厚0.0951mmをデータベースから取得する。
CPU15は、柔軟媒体を離散化したデータや取得した柔軟媒体のパラメータをRAM18に記憶することで柔軟媒体を設定する。
次に、搬送部品の搬送条件を設定する。ここでは、搬送条件として搬送ローラの駆動条件、並びに搬送ローラ、搬送ガイド及び弾性シートと柔軟媒体との接触時の摩擦係数等を設定する。
上述した柔軟媒体の設定後、ユーザが図4(A)に示すように表示画面のメニューバー1の「搬送条件」ボタン1Cを選択することで、CPU15は、図4(A)に示すような表示画面を表示する。
なお、フラッパの駆動条件を設定したい場合も搬送ローラの駆動条件の設定と同様な処理を行うことにより、CPU15は、フラッパの駆動条件を設定する。
次に、弾性部品を設定する手順について説明する。ここでは、柔軟媒体の搬送径路を決定する搬送ガイド、搬送ローラ等の搬送部品のうち柔軟媒体との接触により弾性変形し、搬送径路を変化させる可能性のある搬送部品を選択することで弾性部品を設定する。
搬送条件の設定後、ユーザが図6(A)に示すように表示画面のメニューバー1の「弾性部品定義」ボタン1Dを選択することで、CPU15は、搬送部品における弾性部品の設定に移行すると共に、図6(A)に示すような表示画面を表示する。
ユーザが、サブ構成メニュー2の搬送ローラ材質選択画面2Nから搬送ローラの材質を選択したり、コマンド欄4に直接、ヤング率、ポアソン比等の材質を入力したりすることで、CPU15は、選択された搬送ローラのヤング率、ポアソン比を取得できる。なお、搬送ローラ材質選択画面2Nに列挙されている材質のヤング率、ポアソン比は、予めデータベースとしてハードディスク19等に記録されている。
なお、図6(A)では、ユーザが弾性部品として選択した搬送ローラ81の材質として搬送ローラ材質選択画面2Nの「シリコンゴム」が選択されている。
図7(A)のグラフィック画面3には、ユーザが選択した搬送ローラに対し、更にシリコンゴムを選択すると共に、厚み5.0mmを入力した場合に、CPU15が回転方向と厚さ方向にそれぞれ複数層に分割した有限要素101を作成し、表示している。
例えば、ユーザが選択した弾性シートに対して、更に、材質(ヤング率3000MPa、ポアソン比0.3)をコマンド欄4から直接入力する。すると、図7(B)のグラフィック画面3のように、CPU15が弾性シートの長さ方向に対してのみ分割した有限要素111を作成し表示する。
次に、搬送経路内での柔軟媒体の挙動を計算する運動計算処理について図9を参照して説明する。ここでは、離散化されたバネ−マス系に置換された柔軟媒体の運動を、時々刻々柔軟媒体に働く接触力、復元力、減衰力、慣性力を基にして時間積分により求める。図9は、本実施形態に係る搬送計算処理を示すフローチャートである。この処理は、例えばユーザがキーボード13を介して、コマンド欄4に計算処理の実行の指示を入力することで、CPU15が実行を開始する。
まず、ステップS10では、ユーザがコマンド欄4に対して搬送計算の実時間Tと、柔軟媒体及び弾性部品の運動方程式の解を数値的に求める際に使用する数値時間積分上での離散単位時間Δtとを入力する。CPU15は、入力された搬送計算の実時間Tと離散時間ΔtとをRAM18に記憶して設定する。
まず、ステップS11では、CPU15は、Δt秒後の計算を行う際に必要な初期加速度、初期速度、初期変位を設定する。これらの値は1サイクル終わる毎にその計算結果(すなわち前回のサイクルの計算値を初期値とする)を投入する。
柔軟媒体と、変形しないと仮定した弾性部品との接触が生じたときの、接触計算について、図10(C)を参照して説明する。柔軟媒体とCPU15とが接触した後、CPU15が、更に離散単位時間Δt進めると、図10(C)に示すように、柔軟媒体の先端の質点161が、有限要素162にめり込む。CPU15は、めり込み量を、x、y座標ごとに分解し、x軸方向のめり込み量Dx163、y軸方向のめり込み量Dy164を算出する。次に、CPU15は、x軸、y軸それぞれについて、剛性を持ったバネkx165、ky166を張る。ここで、CPU15は、バネの剛性を、柔軟媒体の剛性と弾性部品が変形しないと仮定したときの剛性とから算出する。そして、CPU15は、めり込み量Dと剛性kとを持ったバネを用いて、x軸、y軸各々について、めり込んだ柔軟媒体先端の質点に対して、変形しないと仮定した弾性部品の表面に押し戻すための力FをF=k×Dの式から算出する。CPU15は、この押し戻すための力Fが柔軟部材の質点に負荷されていると判断する。なお、CPU15は、その他の作用する力も踏まえ、柔軟部材の質点に働く力を算出する。
ここで、柔軟媒体と弾性部品との接触部において、柔軟媒体の質点に作用している接触力の、弾性部品を構成する節点への振り分け方法について、図10(D)を参照して説明する。図10(D)に示すように、柔軟媒体先端の質点161に、x軸方向の接触力Fx172、y軸方向の接触力Fy173が作用している。そして、柔軟媒体先端の質点161の位置は、有限要素174の幅L175に対して、幅La177:幅Lb176の割合の位置にある。
続いて、ステップS16では、CPU15は、柔軟媒体の質点の速度を計算する。すなわち、ステップS16では、CPU15は、加速度にΔtを乗算し、更に初期速度を加算することで速度を計算する。
更に、ステップS17では、CPU15は、柔軟媒体の質点の変位を計算する。すなわち、ステップS17では、速度にΔtを乗算し、更に初期変位を加算することでΔt秒後の変位を計算する。そして、CPU15は、これらのステップの処理によって算出された加速度、速度、変位の情報をRAM18、ハードディスク19に記憶する。
次に、ステップS19では、CPU15は、ステップS18で算出した簡易接触力の差の最大値ΔPと、弾性部品の選択の際に入力された規定値ε、もしくは予めハードディスク19のデータベースに格納されている規定値ε、との値の比較を行う。この処理は、変化判定手段による処理の一例に対応する。
ΔP>εの関係を満たさなかった場合には、CPU15は、弾性部品として設定し有限要素で表現されている弾性部品の変形計算を省略して、ステップS21に処理を進める。一方、ΔP>εを満たした場合には、ステップS20に処理を進める。
ステップS21では、CPU15は、計算時刻がステップS10で設定した実時間Tに到達したか否かを判断し、到達していれば当該搬送計算処理を終了する。到達していない場合、CPU15は、再度ステップS11に処理を戻し、時間積分を繰り返す。
次に、上述した搬送計算処理の結果表示について説明する。ここでは、柔軟媒体の挙動を数値シミュレーションによって時系列的に求め、得られた柔軟媒体の挙動をディスプレイ装置12に表示する。
上述した運動計算処理後、ユーザが図12に示すように表示画面のメニューバー1の「結果表示」ボタン1Eを選択することで、CPU15は、結果表示用のサブ構成メニュー2を表示する。また、結果表示用のサブ構成メニュー2を表示すると共に、CPU15は、ハードディスク19に記憶している柔軟媒体の質点変位と、弾性部品を形成する有限要素を構成する節点変位の情報を読み込む。
まず、図13(A)は、柔軟媒体が搬送され始めた時点の状態である。この時点では、CPU15は、搬送ローラの変形計算を省略している。
次に、図13(B)では、図13(A)に示す状態から柔軟媒体が搬送されて、柔軟媒体の先端が搬送ローラによって形成されたニップに突入された時点の状態である。この時点では、柔軟媒体の復元力によって搬送ローラに作用する接触力が時々刻々変化していて、CPU15は、搬送ローラの変形計算を行いながら、搬送ローラの変形及び柔軟媒体の搬送を表示している。
次に、図13(C)では、図13(B)に示す状態から柔軟媒体が搬送されて、柔軟媒体の先端がローラ対によって形成されたニップを抜けた時点の状態である。この時点では、柔軟媒体の姿勢は安定し、搬送ローラに作用する接触力の変化がなくっており、CPU15は、搬送ローラの変形計算を省略している。
ここで、図14は、グラフ表示処理が行われたときに表示される画面の一例を示す図である。図14は、抵抗(ガイド抵抗)が選択された場合のグラフを示している。
15:CPU 17:ROM 18:RAM 19:ハードディスク
Claims (8)
- 被搬送物が搬送経路内を移動するときの挙動を演算する設計支援装置であって、
前記被搬送物が搬送経路内を移動するときに前記被搬送物が搬送経路を構成する搬送部品に接触するか否かを判定する接触判定手段と、
前記接触判定手段により前記被搬送物が搬送部品に接触したと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との間の接触力の変化を算出する接触力変化算出手段と、
前記接触力変化算出手段により算出された接触力の変化が所定の値よりも大きいか否かを判定する変化判定手段と、
前記変化判定手段により接触力の変化が所定の値よりも大きいと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との接触による前記搬送部品の変形を算出する弾性変形算出手段とを有することを特徴とする設計支援装置。 - 前記接触判定手段により被搬送物が搬送部品に接触したと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との間の接触力を算出する接触力算出手段を更に有し、
前記接触力算出手段は、前記搬送部品が前記被搬送物による接触により変形しないと仮定して、前記被搬送物の変形による復元力のみから接触力を算出することを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。 - 前記搬送経路を構成する搬送部品のうち前記被搬送物による接触により変形する搬送部品のユーザによる選択を検出する選択検出手段を更に有し、
前記接触判定手段は、前記被搬送物が前記選択検出手段により検出された搬送部品と接触するか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援装置。 - 前記被搬送物を離散化したバネ−質量系又は有限要素モデルに置換する被搬送物置換手段と、
前記搬送部品を有限要素モデルに置換する搬送部品置換手段とを更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の設計支援装置。 - 前記接触力算出手段は、前記被搬送物と前記搬送部品との間の接触力を数値時間積分上での離散単位時間毎に計算し、
前記接触力変化算出手段は、前記接触力算出手段により算出された、前後の離散単位時間における接触力の差を算出することを特徴とする請求項2に記載の設計支援装置。 - 前記被搬送物が搬送経路内を移動するときの加速度、速度及び変位を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された加速度、速度及び変位に基づいて、前記被搬送物の移動を動画で表示すると共に、前記弾性変形算出手段により算出された搬送部品の変形に基づいて、前記搬送部品の変形を動画で表示する表示処理手段とを更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の設計支援装置。 - 被搬送物が搬送経路内を移動するときの挙動を演算する設計支援装置による設計支援方法であって、
前記被搬送物が搬送経路内を移動するときに前記被搬送物が搬送経路を構成する搬送部品に接触するか否かを判定する接触判定ステップと、
前記接触判定ステップにより前記被搬送物が搬送部品に接触したと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との間の接触力の変化を算出する接触力変化算出ステップと、
前記接触力変化算出ステップにより算出された接触力の変化が所定の値よりも大きいか否かを判定する変化判定ステップと、
前記変化判定ステップにより接触力の変化が所定の値よりも大きいと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との接触による前記搬送部品の変形を算出する弾性変形算出ステップとを有することを特徴とする設計支援方法。 - 被搬送物が搬送経路内を移動するときの挙動を演算するコンピュータに、
前記被搬送物が搬送経路内を移動するときに前記被搬送物が搬送経路を構成する搬送部品に接触するか否かを判定する接触判定ステップと、
前記接触判定ステップにより前記被搬送物が搬送部品に接触したと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との間の接触力の変化を算出する接触力変化算出ステップと、
前記接触力変化算出ステップにより算出された接触力の変化が所定の値よりも大きいか否かを判定する変化判定ステップと、
前記変化判定ステップにより接触力の変化が所定の値よりも大きいと判定された場合、前記被搬送物と前記搬送部品との接触による前記搬送部品の変形を算出する弾性変形算出ステップとを実行させるためのプログラム。
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