JP4067738B2 - データ処理装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデータ処理装置及びその方法に関し、特にシート物を解析モデルとし、シート物の搬送経路に対するシミュレーションを実行して当該シミュレーション結果から有効なデータを結合することで搬送経路全体のシート物の挙動を把握するデータ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のコンピュータ性能の向上と共に、機械設計のための一手法として計算機シミュレーションが広く行われるようになり、その重要性は年々増大している。設計段階、すなわち実際に物を作る前からさまざまな条件にて設計物の機能を検討することは、製品の開発段階における試作数を減少させることなどにより開発コストや期間を削減でき、企業活動に有益であるばかりでなく、資源の節約など地球環境に対する配慮も可能となる。
【0003】
また、複写機・プリンタ・原稿送り装置や印刷機などでも、計算機シミュレーションプログラムでシートの搬送挙動を解析し、予め搬送路を最適化しておくことが重要である。特に、シートの中でも紙等は、温湿度などによりその特性が変化したり、最初から平面でなく塑性変形している場合や両面印刷などで大きく変形している場合、そして電子写真方式などではトナー画像の形成により力学的特性(剛性,表面性)が動作中に変化する場合などがある。このような多くの条件に対し、製品の信頼性を確認するためには、多くの試験が必要であり開発期間の長期化やコスト増大につながる。しかし、計算機シミュレーションでは多くの条件を盛込み実施できるため、期間と開発コストの低減が可能となる。
【0004】
このようなシート搬送を解析する計算機シミュレーションプログラムのフローチャートの一例を図13に、このシミュレーションプログラムを実行するデータ処理装置の構成図の一例を図14に示す。図14において、データ処理装置は、情報を入力するためのデータやコマンドキー入力するためのキーボード、タブレット、マウスなどの入力部1401と、各種処理のための演算、論理判定などを行い、バス7に接続された各構成要素を制御するCPU1402−1〜nと、ディスプレイなど計算結果を表示する表示部1403と、処理手順を含むプログラムを格納するプログラムメモリ1404と、各種処理で生じたデータを格納するデータメモリ1405と、計算機シミュレータにより得られたデータが保存されている外部記憶装置1406とを含んで構成されている。なお、プログラムメモリ1404は、ROMであってもよいし、外部記憶装置1406などからプログラムがロードされるRAMであってもよい。また、CPU1402−1〜nは複数のCPUを一つの装置にて保有するものも少なくない。FortranやCによる開発環境では、並列処理専用コマンドを備えたもの、自動的に並列処理を最適化して行えるような実行ファイル作成機能を有するものもある。この計算機シミュレーションによって各時刻毎のデータが保存されているため、データファイルのサイズは、計算した時刻の数に比例するように大きくなる。そこで、データ処理装置では、ある時刻におけるシート物の変位図などを描画する際には、その都度、この外部記憶装置1406に保存されているデータファイルとアクセスし、データを読み込む必要がある。この外部記憶装置1406には、前述されたように処理手順を含むプログラムをここより読み出すようにしてもよい。1407はCPU1402−1〜nの制御の対象とする構成要素を指示するアドレス信号、各構成要素を制御するためのコントロール信号、各構成機器相互間でやり取りされるデータの転送を行うためのバスである。図14は装置の最小単位であるが、近年では、(図示しない)通信インターフェース部を持ち、別の装置と協動して並列処理を行えるようなUnix系の分散処理マシンや、Linuxを用いた複数のパーソナルコンピュータ(PC)からなるPCクラスタを構成することも可能となっており実用化されている。プログラム実行開始後、機器にて構成されるシート物搬送に寄与する搬送ガイドの形状や座標値などからなる搬送ガイドデータ、シート物のヤング率やシート物の厚さ・幅などから決まる剛性や密度など各種特性データ、計算に必要なパラメータなどをファイルなどから入力する。これらは、直接キーボードやポインティングデバイスなどでプログラムの中から指定するようなプログラム構造にしても良い。
【0005】
図13において、計算条件の入力後、所定の変数などに値を代入するなど搬送ガイドとシートのモデリングを行う(ステップS501)。シートや弾性体ガイド(搬送路を構成するガイドは静止剛体として扱う場合や弾性体として扱う場合とがある。また必要に応じて回転や移動する剛体の場合もある)の運動を記述する運動方程式を解く必要があり、この方程式は、空間と時間それぞれを有限の量として代数式に近似しなければならない。空間に関しては、代表的な手法として、差分法や有限要素法があり、時間に関しては、ルンゲックッタ法、線形加速度法(ニューマークのベータ法を含む)やウィルソンのシータ法やフーボルト法など直接時間積分法が数多くある。図13に示す計算機シミュレーションプログラムはこれら手法には依らず、結果として任意時刻でのシートや弾性ガイドの代表点における(この代表点は初期形状に関して固定された位置にある必要はなく、その任意時刻それぞれにおいて再設定されるものでも良い)変位(すなわち任意空間における変形後の新座標値でも良い)とシートと搬送路(その他の構造物)とが接触する時に作用し合う力(接触力:抗力と摩擦力)が求められる機能を有していれば良い。上述したように、このプログラムでは初期状態から任意時間後のシートの状態を順次、又は逐次計算していく(ステップS503)。例えば、時刻に相当するn+1ステップの計算はnステップ後の結果を元に行われる。任意の時刻で、シート物と搬送ガイドとの接触を判定し、これを基に全体の連立方程式が作成される(ステップS504,S505)。計算機の中ではマトリックス演算となり、結果が収束するまで反復計算が行われる(ステップS506,S509)。これは、シートの変形が幾何学的あるいは材料的な非線形問題を含んでいるためと、接触点の数と座標、接触力の大きさが未定であることによる境界条件の非線形性の両方を含んでいるためである。ステップS506で計算が収束し、任意時刻での解(シートあるいは搬送ガイドの任意位置の変位もしくは新規座標値と両者が接触していればそこで作用し合う接触力)が求まり、これをファイルに書き出す(ステップS507)。もし終了時刻に達していれば終了し(ステップS508)、達していなければ次の時間ステップΔtを設定し次の時刻での計算を行う(ステップS508,S510)。また、反復計算でも収束しないと判断した場合はこのステップで使用した時間ステップをより小さく再設定し、収束するまで繰り返す必要がある(ステップS509,S510)。
【0006】
この計算機シミュレーションを効率的に行って設計に反映させるためには、計算に入力すべきデータを作成する機能を実現するプリ処理と、計算結果をユーザに分かり易く表示したり、設計した物が良好か否かを判断するための情報を計算結果から選択抽出あるいは必要に応じて加工する機能を実現するポスト処理が不可欠である。最近のOSはXウィンドウやマイクロソフト社のウィンドウズなどのマルチウィンドウシステムによりGUI開発環境が整備されており、ユーザにとって簡易的でかつ分かり易く間違えの無い操作が可能なプリポスト処理方法やそれを具現化する装置の開発が容易となっている。
【0007】
そこで、シートの搬送挙動を解析するための上記計算機シミュレーションプログラムによる計算結果をマルチウィンドウシステム上にて処理できる実用性の高い、ポスト処理方法とポスト処理装置が特開平11−120220号公報に開示されている。また、シミュレーション結果を設計支援に適用するため、シミュレーションデータからシート物と搬送ガイドとの接触する力のグラフィック表示を行う方法と装置を示している。更に、特開平11−116133号公報では、設計支援機能として、シート詰まりなどの不具合現象の初期挙動の目安となる、シート物と搬送ガイドとが接触する角度の表示や警告機能が開示されている。また、特開平11−195052号公報では、シート物に搬送力を与える搬送部が感じる搬送抵抗力を表示する方法やその値の評価方法を提供し、より高い設計支援機能を有することを実現している。このような装置と方法により、図1に示したフローチャートによる計算機シミュレーションプログラムの結果は有効に設計支援へと適用できるようになった。
【0008】
しかし、計算機シミュレーションプログラムではさまざまな条件にてコンピュータにより演算が実行される。より現実の条件を考慮可能なモデルを使用すればより詳細な結果が得られるが、多くの計算時間と計算資源(メモリなど)が必要となる。設計では多くのパラメータを考慮しつつ最適な状態を決定していくため、特に多くの計算時間が必要となるのは設計効率が悪くなる。そこで、なるべく簡易モデルを用い短時間にて結果を得ることが設計では有効となる。
【0009】
シート物搬送では、ある搬送部から次の搬送部へシート物先端が受け継がれることが重要である。すなわち、シート物先端が搬送ガイドと接触しつつ移動する時に、接触の角度が小さく、搬送部が受ける抵抗力も小さく、滞ることなくスムーズは搬送挙動が望まれる。この状態を簡易モデルにて計算機シミュレーションした結果の表示例を図15に示す。シート物12は搬送ローラ8と平面分離部材(図示せず)に挟まれ搬送力が付与され、搬送ガイド9に案内されて次の搬送部(搬送ローラ10、11)へとシート物先端が向っている。搬送ローラ8は反時計回りに回転しているものとする。図15に示すように、シート物が搬送される方向に平行でシート物に垂直となる平面で示されて2次元断面でのシート物の挙動が支配的であり、3次元的な詳細な変形挙動を知るよりも、効率的に有用な情報が得られる。また、シート物は、はりとしてモデル化されており伸びと曲げの力学特性が考慮されている。計算手法は有限要素法を用いた。シート物は約0.1〜5mm程度の有限要素として分割されている。前述した有限要素のサイズから外れても計算可能であるが、ガイドとの接触を細かく把握するためにはあまりに大きいサイズでは不具合が生じ易い。また、小さいサイズでも可能であるが、はり要素を用いることのメリット(少ない分割で短時間に計算)がなくなる。力学モデルには平面歪要素など3角形以上の要素で近似することも可能であるが、計算時間は増大する。後述する本発明にはシート物をいかなるモデルにて近似するかはあまり関係がない。それよりも、本発明はシート物を搬送する時の条件に関係している。現実に近い計算を行うには、搬送ローラも弾性体と近似してシート物との接触を計算し、さらに搬送ローラを回転する事で搬送力が負荷され移動するようなモデルを用いることとなる。しかし、このような条件を考慮するとやはり計算時間がより多く必要となる。そこで、シート物の変形計算は上流側の搬送部(図15では搬送ローラ8と図示しない平面分離部材)から次の搬送部(図15では搬送ローラ10と11)までの領域(搬送経路の最小単位とする)のみで行い、それ以外の所では搬送部での搬送条件として入力した移動量と支持角度となる変位境界条件を与えるのが簡易的な方法である。
【0010】
この方法を図16を用いて説明する。ローラ13,14にてシート物が搬送されるとする(ローラ13が反時計方向に回転とする)。この場合、両ローラ13,14は幾何学的に交点を持つ場合であるので図16の右側交点から搬送方向矢印15の方向で示され、両ローラ13,14から外の領域(ハッチング部)が計算領域16であり、シート物の変形挙動のシミュレーションが行われる。搬送方向矢印15は例えば水平線17とで挟まれる角18(θ)を搬送支持角度として定義され、ユーザが条件として入力する、あるいはローラ13,14の位置関係により決定される。例えば、ローラ13,14を示す円弧の中心を結ぶ線分に対して垂直な場合やこれに補正角度を加減した値で設定される。変位境界条件は計算領域16に到達していない計算点(例えば有限要素法であれば節点自由度)が搬送方向矢印15上をユーザが入力した搬送速度Vで移動するように与えられる。例えば、今シート物モデルの計算点のうちの一つ計算点19が(その他は省略)ある時刻Tにて搬送方向矢印15上の座標値X1、Y1に位置しているとする。時間ステップΔt後の座標をX2,Y2(図16の計算点20)とすれば、
X2=X1+V×Δt×cosθ … (1)
Y2=Y1+V×Δt×sinθ … (2)
特に示さないが、はり要素の場合はたわみ角(回転変位)が自由度となる。このたわみ角は搬送支持角度θに当然一致する。すなわち、図16の計算点19と20が搬送方向矢印15上に位置し距離がV×Δtとなる。逆にシート先端が図15の搬送ローラ10、11で同様に定義される計算領域(図示せず)に突入した場合でも、同様な変位境界条件を与えシミュレーションすることで、シート物の搬送を計算条件として考慮することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この条件にてシミュレーションを行うと、前述したように搬送経路の最小単位ごとにシート物の搬送性を容易に把握することができる。その反面、全経路内での挙動を把握することができない。例えば、シート物後端がある搬送部を抜けた時には、これより下流側で関与する搬送部の数が変化し、シート物を通して負荷変動が伝播して画像に悪影響を及ぼす。この時のタイミングなどが分かりづらくなる。
【0012】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、搬送経路の最小単位ごとのシミュレーション結果から、それぞれ有効なデータを結合することで全経路内で搬送されるシート物の変形挙動を把握することのできるデータ処理装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記問題点を解決するために、本発明に係るデータ処理装置は、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割したシート状物の各要素であるシート状物分割要素の搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶する記憶手段と、互いに連続する2つの最小搬送単位の分割シミュレーション結果データを記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、初期値である位置データのシート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力手段と、上流分割シミュレーションデータ及び下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおけるシート状物分割要素ごとの前記分割シミュレーション結果データが、最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断手段と、該判断手段にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、時間ステップ差に基づいて記憶手段から取得される下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する判断手段にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成手段とを備え、データ生成手段は、新規データを生成する際に、シート状物のシート状物分割要素のうち計算領域下流分割シミュレーションデータ及び計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、結合時間ステップに対応する変位境界条件領域の位置データと判断された、下流分割シミュレーションデータ又は上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得する。よって、計算領域下流分割シミュレーションデータと計算領域上流分割シミュレーションデータとを結合することで近似的に全体の搬送経路におけるシート状物の挙動を把握することができる。
【0017】
また、データ生成手段にて生成した新規データを用いて、シート状物が搬送される過程を示す幾何学形状として描画表示する表示手段を備えることにより、データ結合後のデータをグラフィック表示でき、設計支援システムが構築できる。
【0018】
更に、別の発明としてのデータ処理方法は、記憶手段を備えるデータ処理装置におけるデータ処理方法であって、記憶手段には、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割したシート状物の各要素であるシート状物分割要素の搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶してある。その上で、本発明のデータ処理方法は、互いに連続する2つの最小搬送単位の分割シミュレーション結果データを記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、初期値である位置データのシート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力工程と、上流分割シミュレーションデータ及び下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおけるシート状物分割要素ごとの分割シミュレーション結果データが、最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断工程と、該判断工程にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、時間ステップ差に基づいて記憶手段から取得される下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する判断工程にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成工程とを有している。そして、データ生成工程において新規データを生成する際に、シート状物のシート状物分割要素のうち計算領域下流分割シミュレーションデータ及び計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、結合時間ステップに対応する変位境界条件領域の位置データと判断された、下流分割シミュレーションデータ又は上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得する。よって、計算領域下流分割シミュレーションデータと計算領域上流分割シミュレーションデータとを結合することで近似的に全体の搬送経路におけるシート状物の挙動を把握することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係るデータ処理装置は、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割したシート状物の各要素であるシート状物分割要素の搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶する記憶手段と、互いに連続する2つの最小搬送単位の分割シミュレーション結果データを記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、初期値である位置データのシート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力手段と、上流分割シミュレーションデータ及び下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおけるシート状物分割要素ごとの前記分割シミュレーション結果データが、最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断手段と、該判断手段にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、時間ステップ差に基づいて記憶手段から取得される下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する判断手段にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成手段とを備え、データ生成手段は、新規データを生成する際に、シート状物のシート状物分割要素のうち計算領域下流分割シミュレーションデータ及び計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、結合時間ステップに対応する変位境界条件領域の位置データと判断された、下流分割シミュレーションデータ又は上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得する。
【0021】
【実施例】
図1は本発明の一実施例に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。同図において、本実施例のデータ処理装置は、バス111を介して、キーボード等の入力部101、各種処理のための演算、論理判定などを行い、各構成要素を制御するCPU102、ディスプレイ等の表示部103、処理手順を含むプログラムを格納するプログラムメモリ104、各種処理で生じたデータを格納するデータメモリ105、計算機シミュレータにより得られたデータが保存されているCD−ROM等の外部記憶装置106、対象とする搬送経路をいくつかの搬送経路に分割する搬送経路分割手段107、各時間ステップでのデータのうち変位境界条件を付与したデータか、付与せずに演算処理したデータ部分かを判断する判断手段108、演算した距離が最小となる上流側搬送経路に対するシミュレーションでの時間ステップを探索する探索部109及び演算部110を含んで構成されている。演算部110は距離演算手段110−1、距離差分算出手段110−2、総和算出手段110−3及び疑似データ演算手段110−4を含んで構成されている。なお、本発明に係るデータ処理方法を実行するプログラムを外部記憶装置106に記憶しておけば、既存のシステムを変えることなく、かつデータ処理システムを構築する装置を汎用的に使用することができる。
【0022】
図2〜図5は本実施例によって処理されるシート物搬送経路シミュレーション結果の表示を示す図である。図2には搬送ローラ8から下流の搬送ローラ10と11に挟まれ搬送ガイド9にて構成された搬送経路の最小単位、図3には搬送ローラ10と11から下流の搬送ローラ24と25に挟まれ搬送ガイド23にて構成された搬送経路の最小単位におけるシミュレーション結果をそれぞれグラフィック表示した例である。そして、図2で示した搬送経路の次に図3の搬送経路へとつながっていく。図2には、図中四角で囲った領域21が搬送の変位境界条件領域である。変位境界条件を与える計算点は、計算領域22に最も近く領域21に属する計算点を少なくとも含み、複数でも良い。そこで、搬送経路を上流側から順に、搬送経路No.1、搬送経路No.2と番号付けるとし、図2は搬送経路a、図3は搬送経路a+1とした。各シミュレーションともに、計算点はシート物の初期形状で同じ位置となるようにする。計算手法としてはり要素を用いた有限要素法を例にとると、シート物をn個のはり要素に分割し、シート先端より1からe+1まで節点番号をつけた。図2ではシート物12の先端および後端の一部が変位境界条件領域21に、図3ではシート物12の先端が計算領域22にあり、後端部は変位境界条件領域21に属している。なお、図2、3では領域21にあるシート物の一部を省略表示している。従って、有効に計算した領域はこの変位境界条件領域以外の部分のデータで、それぞれの有効データをつなぎ合わせることにより本発明での目的が達成される。つなぎ合わせのために必要な情報は、
A1:隣り合う搬送経路シミュレーションデータが同時刻となる時間ステップ差
A2:各時間ステップにおけるシミュレーションデータのうち、変位境界条件を付与した節点番号、あるいは付与していない節点番号
の二つである。各搬送経路jシミュレーションデータは初期状態を第0時間ステップとし、最大で第Max(j)時間ステップのデータを有するとする。搬送経路j+1の初期状態におけるシート先端に位置する節点1(あるいはその付近であっても良い)の座標に、搬送経路jの各時間ステップデータのうち、第dS(j)ステップでの節点1座標が最も近接したとする。この時の時間ステップdS(j)がA1で示した時間ステップ差である。このdS(j)は単純に二つの節点1距離を時間ステップループで演算し、最小となる時間ステップを探せば良い。さらに効率的には、搬送経路jの節点1が下流側搬送部での変位境界条件が付与された時間ステップにおいて実行すれば良い。
【0023】
図4は搬送経路jの第Nj時間ステップ、搬送経路j+1の第Nj−dS(j)時間ステップの搬送ローラ10と11で挟持する搬送部付近を拡大し、節点位置を模式的に示した図である。すなわち、それぞれの節点位置は一致しないが、完全に重なっているとしている。領域26は搬送経路jの計算可能領域、領域27は搬送経路j+1の計算可能領域である。図中、参照符号31から34は節点であり、節点番号も31から34とする。搬送経路jでのシミュレーション(図2)では節点1から節点33に変位境界条件が与えられ、節点34から後端までの節点34+k(≦e+1)までが有効な計算データである。搬送経路j+1でのシミュレーション(図3)では節点31から先端の節点1までが有効なデータであり、節点32から最終節点e+1は変位境界条件が与えられている。結合したデータを格納する変数配列をZとする。ただし配列の次元に制限はなく、ブロック構造の変数配列でも良い。ここでは例として、はり要素を用い一節点に関して三自由度で、Z.x、Z.y、Z.r(前から並進変位二つと回転変位一つ)のブロック構造を有し、Z(i)とした(i=1〜e+1節点番号)。Z(1)からZ(31)は搬送経路j+1のデータを、Z(34)からZ(34+k)は搬送経路jのデータが代入される。Z(32)とZ(33)は両シミュレーションデータ共に、変位境界条件が付与されているため、どちらか一方のデータを代入すれば良い。搬送経路jがj≧2であれば、同様に搬送経路j−1から有効データを取出しZに代入する。搬送経路j=1であれば、節点34+k+1から節点e+1に変位境界条件を与えたとしても、そのデータを代入し、結合データが作成される。図2と図3の結合データの例を図5に示す。搬送経路jと搬送経路j+1の時間ステップ差を前記したようにdS(j)とし、結合データにおける時間ステップTeと搬送経路jのシミュレーション個別の時間ステップTS(j)との関係は、
TS(j)=Te−ΣdS(k)(ただし、k=1〜j−1) …(3)
で表される。ただし、
0≦TS(j)≦Max(j) …(4)
である。従って、結合データにおける任意の時間ステップTeでは、式4を満足する搬送経路jのシミュレーションデータのうち、式3の時間ステップTS(j)におけるデータから、前記したA2情報を取得する。
【0024】
以上のような処理工程を踏めば図6のように、時間ステップTeにおける節点1から節点e+1の結合データをどの搬送経路シミュレーションデータから取得すれば良いかが判明する。これに従い、前記した変数配列Zに値を代入して使用すれば良い。図6では、節点1から節点Aまでが搬送経路C+2での有効データ、節点A+2から節点Bまでが搬送経路C+1での有効データ、節点B+3から最終節点n+1までが搬送経路Cでの有効データに該当している。節点A+1や節点B+1、節点B+2は変位境界条件が与えられているので、図4で既に説明したように処理すれば良い。
【0025】
図7は任意時間ステップTeにおけるデータ結合処理工程を示すフローチャートである。このフローでは、時間ステップ、搬送経路、節点の三つのループが存在し、その組み合わせでループの回し方がそれぞれ容易に考えられる。そのため、ループを排除した形の処理工程で示している。各時間ステップ差はユーザが直接入力する処理フローである。また、各シミュレーションは既に実施終了し、データとして個別に外部記憶装置6に保存されていることを前提とした。処理開始後、図1の入力部101によって各時間ステップ差を入力し(ステップS101)、設定されたTe(Te=1から、最終搬送経路Jの最大時間ステップMax(J)と式3から得られる最終時間ステップまでのループを回すのが一般的)に対して有効なデータを含む搬送経路jを式4から判断手段108によって判断する。また、該当した搬送経路jのデータを読込み有効データ情報A2を判断手段108によって判断する(ステップS102,S103)。これは、読込んだデータから計算領域にあるか演算により判定するか、保存データ内にこれを示すフラグなどの情報を同時に記憶させておき、これを読み出すことで判定しても良い。全節点に関して有効データを順次変数配列Zへ代入すれば、結合データが作成される(ステップS104,S105)。これを順次保存ファイルへ追加保存すれば、次回からは余分なディスクアクセスや演算することなく、読み出し利用できる。当然であるが、各搬送経路のシミュレーションデータの保存形式と同じにすれば、データ処理装置にて表示や設計支援機能を使用できる。次に必要であれば表示部103にグラフィック表示し、次のTe設定を行い繰り返す(ステップS106,S107)。
【0026】
各時間ステップ差は前記した処理工程により演算可能である。図8はユーザの入力作業の代わりの処理工程のうち、dS(j)に限定してのフローチャートを示した。異なるシミュレーションデータの先端座標の距離を格納する変数Uminに必要十分な大きな値としてシート物長を代入する(ステップS201)。搬送経路j+1のデータファイルを読込みシート物先端の初期座標を読込み変数X,Yに代入する(ステップS202)。次に、搬送経路jの時間ステップTS(j)を1あるいは最大のMax(j)から開始する。その時間ステップにおけるシート物先端座標を読込み変数XjとYjに代入する(ステップS203,S204)。この時、シート物先端に変位境界条件が設定されているかを判定し、該当する時にのみ次の処理を行うのが効率的である(ステップS205)。図1の距離演算手段110−1によってこの二点間の距離を求め、Uminとの大小関係を判定し、Uminが大きければUminにUを代入しTS(j)を一つ増し、あるいは減じて繰り返す。Uは必ず極小値を持ち、一度UがUminより大きくなれば処理を止める(ステップS206,S207,S208)。この前の時間ステップTS(j)が時間ステップ差として求まる。また、Uminとの比較ではなく、搬送速度Vと時間刻みdtとの積の半値とUを比較し、
U≦(V×dt/2) …(5)
の関係を代替で判断処理しても良く、同じ結果が得られる。搬送経路jと搬送経路j+1のシート物先端は、つなぎ合わせ時に一致しないため、誤差が正負いずれかに偏っていった場合、著しくシート物長が実長さと異なってしまう。この不具合を解消するには、つなぎ合わせ時にシート物長の長さを演算して初期長さと比較する演算工程を設ければ良い。
【0027】
しかし、シート物長が3つ以上の搬送経路にまたがっている場合、データの読込とつなぎ合わせ処理を先行して実施しなければならず、処理は複雑で時間浪費となる。そこで、図9にこの不具合を解消する処理フローを示した。搬送経路jのシミュレーションデータを読込む前までは図8と同一処理で良く、図9ではシート先端節点座標(X1、Y1)に加え、これに隣接した節点座標(X2、Y2)も読込む(ステップS301〜S304)。先端が変位境界条件であれば、次の工程として、隣接節点から先端節点までの距離dLjを距離演算手段110−1によって演算する(ステップS305,S306)。この演算は一度のみ行えば良くまた、この位置以前に処理しても良い。隣接節点からつなぎ合わせる搬送経路j+1でのシート物先端の初期座標(X、Y)との距離dLを演算してその差Ujを距離差分算出手段110−2によって算出する。ここで、Uk(k=1,j-1)を前つなぎ合わせ時に、ここで示している方法によって時間ステップ差を定義した時のdL−dLkを意味している。総和算出手段110−3によって求めたUkの総和とUjの和の絶対値とLminとの大小関係を比較する(ステップS307)。ここで、Lminとは前時間ステップでのUkの総和とUjの和の絶対値である。ただし、初めてこの処理工程を行う場合は、事前に比較するのに充分大きな値を入れておく必要がある。例えばdLjなどである。Lminが大きければ現時間ステップでの値に更新して次時間ステップに進む(ステップS307,S308)。小さければこの時間ステップが時間ステップ差と決定され終了する(ステップS307)。
【0028】
近年は分散処理系ワークステーションやPCクラスタなどで、並列処理が可能である。ここまで説明した内容は、各搬送経路のシミュレーションは既に完了しており外部記憶装置にその結果が保存されている時に有効な処理方法であった。次からは並列処理機能を活用することで、各搬送経路jのシミュレーションからデータの結合までをより速く処理する方法を提供する。その処理工程のフローチャートを図10に示す。各搬送経路のシミュレーションは各CPU(あるいは各PC)で、このフローチャートで示す処理工程を含んだプログラムによって実行されたジョブとは独立なジョブにて実施される。また、その順序は問わない。CPUの数がNPであるとする。シミュレーションは各CPUで同時に二つ以上は実行しないものとする。これは、CPU負荷が上昇し計算効率が低下するためである。開始後、CPUの数だけシミュレーションが実行される(ステップS401)。搬送経路の総数J≦NPであれば、全てのシミュレーションジョブが終了したことを確認して、データ結合を前記方法にて行う(ステップS402〜S406)。J>NPの場合は、各CPUごとにシミュレーションジョブの終了を確認する。もし、第iのCPUでジョブが終了していれば残りのいずれかの搬送経路に対するシミュレーションを第iのCPUにて実施する(ステップS407〜S409)。一つのOSにて管理されたCPU群である場合は、例えばマイクロソフト社のWindowsNTオペレーティングシステムのように、自動的に負荷の少ないCPUでジョブを実行させるものもある。この処理手順にて全ての搬送経路に関してシミュレーションが終了した事を確認したら前記したデータ結合方法にて処理を行う。ジョブの終了を頻繁に行うと、それだけでCPU負荷となってしまい時間が浪費される。そこで、シミュレーションジョブの終了を判定する工程のいずれかで、タイマー処理などにより、この処理工程の実施を定期的に遅らせるようにする。図10ではCPUのインデックスi=1と初期値に戻す時とした。
【0029】
本発明で対象とするシミュレーション方法では、例えば、ベルト同士でシート物を挟持して搬送する場合、静電力などでベルトにシート物を吸着して搬送する場合、ローラに任意角度ベルトを巻きつけて搬送する場合、などは有効なシミュレーションが行えない。もし一箇所でもこれに該当する搬送経路があると、つなぎ合わせ不可能となる。そこで、各シミュレーションデータの代わりに疑似データを作成し用いる。図11では例として、シート物37が複写機やプリンタなどの用紙トレイ中の最上紙と仮定する。図示しないが用紙先端は下部より押上げられ搬送ローラに押圧されている。搬送ローラ8は静止状態から機器動作開始とともに回転し最上紙を送出す。この時複数の用紙が送出されても分離部材36にて最上紙のみが分離され聞き内部に供給されていく。この用紙先端から分離部材36までの領域が計算領域に該当するが、非常に狭い領域であるため、通常の搬送領域に比べシート物の要素分割は細かくしないと正常な計算解が得られない。このように細かい分割で全ての搬送経路をシミュレーションすると全体の計算時間が増大する不具合がある。また、シート物の搬送挙動はほぼ搬送ローラ8に沿っていくものとして扱ったとしても、本発明でのシート物全体での搬送挙動を把握する目的からはずれない。そこで、図11で搬送ローラの二つの半径で挟まれた疑似データ作成領域38では、搬送ローラ8の幾何学的形状の上を入力した搬送速度Vで移動すると仮定して疑似データを図1の疑似データ演算手段110−4によって演算した。このデータと本実施例にて扱った二つの搬送経路とは連結した搬送経路であり、この三つのデータを本実施例にて示した装置と方法によってつなぎ合わせ、グラフィック表示した結果を図12に示した。これは図5の結果に用紙トレイ内からの用紙搬送挙動に拡張したデータとなっており、有用なデータが得られた。
【0030】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るデータ処理装置は、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割したシート状物の各要素であるシート状物分割要素の搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶する記憶手段と、互いに連続する2つの最小搬送単位の分割シミュレーション結果データを記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、初期値である位置データのシート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力手段と、上流分割シミュレーションデータ及び下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおけるシート状物分割要素ごとの前記分割シミュレーション結果データが、最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断手段と、該判断手段にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、時間ステップ差に基づいて記憶手段から取得される下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する判断手段にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成手段とを備え、データ生成手段は、新規データを生成する際に、シート状物のシート状物分割要素のうち計算領域下流分割シミュレーションデータ及び計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、結合時間ステップに対応する変位境界条件領域の位置データと判断された、下流分割シミュレーションデータ又は上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得する。よって、計算領域下流分割シミュレーションデータと計算領域上流分割シミュレーションデータとを結合することで近似的に全体の搬送経路におけるシート状物の挙動を把握することができる。
【0035】
また、データ生成手段にて生成した新規データを用いて、シート状物が搬送される過程を示す幾何学形状として描画表示する表示手段を備えることにより、データ結合後のデータをグラフィック表示でき、設計支援システムが構築できる。
【0036】
更に、別の発明としてのデータ処理方法は、記憶手段を備えるデータ処理装置におけるデータ処理方法であって、記憶手段には、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割したシート状物の各要素であるシート状物分割要素の搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶してある。その上で、本発明のデータ処理方法は、互いに連続する2つの最小搬送単位の分割シミュレーション結果データを記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、初期値である位置データのシート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力工程と、上流分割シミュレーションデータ及び下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおけるシート状物分割要素ごとの分割シミュレーション結果データが、最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断工程と、該判断工程にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、時間ステップ差に基づいて記憶手段から取得される下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する判断工程にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成工程とを有している。そして、データ生成工程において新規データを生成する際に、シート状物のシート状物分割要素のうち計算領域下流分割シミュレーションデータ及び計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、結合時間ステップに対応する変位境界条件領域の位置データと判断された、下流分割シミュレーションデータ又は上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得する。よって、計算領域下流分割シミュレーションデータと計算領域上流分割シミュレーションデータとを結合することで近似的に全体の搬送経路におけるシート状物の挙動を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例によって処理されるシート物搬送経路シミュレーション結果の表示を示す図である。
【図3】本実施例によって処理されるシート物搬送経路シミュレーション結果の表示を示す図である。
【図4】本実施例によって処理されるシート物搬送経路シミュレーション結果の表示を示す図である。
【図5】本実施例によって処理されるシート物搬送経路シミュレーション結果の表示を示す図である。
【図6】各時間ステップにおけるシミュレーションデータと変位境界条件のつながりの様子を示す図である。
【図7】本実施例における任意時間におけるデータ結合処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施例における自動演算処理を示すフローチャートである。
【図9】つなぎ合わせ時の誤差を最小限にする処理動作を示すフローチャートである。
【図10】複数のシミュレーション実行時の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】疑似データを作成してのシミュレーション実行した例を示す図である。
【図12】疑似データを作成してのシミュレーション実行した結果表示例を示す図である。
【図13】シート搬送を解析する一般的な計算機シミュレーションプログラムの動作を示すフローチャートである。
【図14】一般的な計算機シミュレーションプログラムを実行するデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】シート物搬送をモデルして計算機シミュレーション結果の表示を示す図である。
【図16】変位境界条件を加味した計算機シミュレーション結果の表示を示す図である。
【符号の説明】
101:入力部、102:CPU、103:表示部、
104:プログラムメモリ、105:データメモリ、106:外部記憶装置、
107:搬送経路分割部、108:判断部、109:探索部、
110:演算部、111:バス。
Claims (4)
- シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割した前記シート状物の各要素であるシート状物分割要素の前記搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶する記憶手段と、
互いに連続する2つの前記最小搬送単位の前記分割シミュレーション結果データを前記記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、前記初期値である位置データの前記シート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小となる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力手段と、
前記上流分割シミュレーションデータ及び前記下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおける前記シート状物分割要素ごとの前記分割シミュレーション結果データが、前記最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは前記最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断手段と、
該判断手段にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、前記時間ステップ差に基づいて前記記憶手段から取得される前記下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する前記判断手段にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成手段と
を備え、
前記データ生成手段は、前記新規データを生成する際に、前記シート状物のシート状物分割要素のうち前記計算領域下流分割シミュレーションデータ及び前記計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、前記結合時間ステップに対応する前記変位境界条件領域の位置データと判断された、前記下流分割シミュレーションデータ又は前記上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得することを特徴とするデータ処理装置。 - 前記データ生成手段にて生成した新規データを用いて、前記シート状物が搬送される過程を示す幾何学形状として描画表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
- 記憶手段を備えるデータ処理装置におけるデータ処理方法であって、
前記記憶手段には、シート状物に搬送力を付与する搬送部とシート状物の搬送をガイドする搬送ガイドとを複数用いてシート状物を搬送する搬送経路を、該搬送経路の上流側の搬送部から次の下流側の搬送部までの領域を搬送経路の最小単位である最小搬送単位とし、該最小搬送単位ごと、かつ所定の時間ステップごとに、複数個の要素に分割した前記シート状物の各要素であるシート状物分割要素の前記搬送経路における位置を示す位置データをシミュレーションした結果のデータである分割シミュレーション結果データを記憶してあり、
互いに連続する2つの前記最小搬送単位の前記分割シミュレーション結果データを前記記憶手段から読み出し、下流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである下流分割シミュレーション結果データの初期値である位置データと、前記初期値である位置データの前記シート状物分割要素と同一のシート状物分割要素の上流側の最小搬送単位の分割シミュレーション結果データである上流分割シミュレーションデータの時間ステップごとの位置データとに基づいて両位置データ間の距離を算出し、算出した距離が最小と なる時間ステップを時間ステップ差とする時間ステップ差入力工程と、
前記上流分割シミュレーションデータ及び前記下流分割シミュレーションデータの各時間ステップにおける前記シート状物分割要素ごとの前記分割シミュレーション結果データが、前記最小搬送単位内の位置データであることを示す計算領域の位置データであるか、あるいは前記最小搬送単位外の位置データであることを示す変位境界条件領域の位置データであるかを、判断する判断工程と、
該判断工程にて計算領域の位置データと判断された下流分割シミュレーションデータである計算領域下流分割シミュレーションデータと、前記時間ステップ差に基づいて前記記憶手段から取得される前記下流分割シミュレーションデータの時間ステップである結合時間ステップと対応する前記判断工程にて計算領域の位置データと判断された上流分割シミュレーションデータである計算領域上流分割シミュレーションデータと、を結合して新規データを生成するデータ生成工程と
を有し、
前記データ生成工程において前記新規データを生成する際に、前記シート状物のシート状物分割要素のうち前記計算領域下流分割シミュレーションデータ及び前記計算領域上流分割シミュレーションデータに含まれないシート状物分割要素の位置データを、前記結合時間ステップに対応する前記変位境界条件領域の位置データと判断された、前記下流分割シミュレーションデータ又は前記上流分割シミュレーションデータを代入して、シート状物の全シート状物分割要素の位置データを取得することを特徴とするデータ処理方法。 - 前記データ生成工程において生成した新規データを用いて、前記シート状物が搬送される過程を示す幾何学形状として描画表示することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理方法。
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