JP3839568B2 - シート物シミュレーションのためのデータ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ処理方法および装置に関し、とりわけ複写機、プリンター、原稿送り装置や印刷機などの中を搬送される用紙などシート物を対象にして、シートの挙動を計算機によりシミュレーション解析した結果を表示するための、データ処理方法および装置に関するものである。
【0002】
また上記機器以外でも、シート物を移動させる特徴を持つ、キャシュディスペンサー、抄紙機などで搬送されるシート物の挙動を、計算機にて解析した結果を表示するためのデータ処理方法および装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年のコンピューター性能の向上と共に、機械設計のための一手法として計算機シミュレーションが広く行われるようになり、その重要性は年々増大している。設計段階すなわち、実際に物を作る前からさまざまな条件にて設計物の機能を検討することは、製品の開発段階における試作数を減少させることなどにより開発コストや期間を削減でき、企業活動に有益であるばかりでなく、資源の節約など地球環境に対する配慮も可能となり好ましい。
こうした計算機シミュレーション用のシステムは、ソルバー部やエンジン部、さらにプリポスト処理部など機能毎の開発が多くなされてきた。
【0004】
ところで、これまでに製品化された計算機シミュレーションシステムは多々あるが、汎用的なものには必要な機能がなかったり、解析機能が不足して解析ができない上、ユーザーにとって使い難いといった欠点があった。
そこで近年、特定の現象解析専用の装置やシステムが開発されるに至った。
【0005】
たとえば、骨組構造物の応答シミュレーション表示システムとして、特開平8−129578号公報で開示されているものは、骨組構造物の地震に対する応答シミュレーションの表示システムである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の装置と方法は、特定の専門分野に限定されたものであり、シミュレーション対象とその現象が異なる別の分野に適用するには困難があった。
すなわち、このような従来の装置と方法は、本発明が対象にする、シート物のシミュレーションおよびその結果の表示に適するものではなかった。
このように、従来では、複写機、プリンター、原稿送り装置や印刷機などの中を搬送される用紙などシートの挙動を計算機シミュレーションにて解析するためのシステムは実現されていなかった。
【0007】
本発明は、前記のような従来技術における問題点を解決するためなされたもので、シミュレーション機能ばかりでなく、操作性にもすぐれた実用性の高い、シート物のシミュレーションのためのデータ処理方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記従来技術の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るデータ処理装置は、シート物を解析モデルとし、シート物が搬送されていく過程を時系列的にシミュレーションした数値に基づき、画面上に表示するデータ処理装置において、シート物の搬送経路となる構造物と、時刻毎にシミュレーションされた数値に基づいて表現される時刻毎のシート物とを幾何形状として描画するための描画領域と、前記描画された幾何形状を操作するための操作領域と、前記シミュレーションのための入力情報または前記描画領域に描画された時刻におけるシミュレーション結果の数値情報を表示する表示領域と、が前記画面上に設けられ、かつ、前記描画領域に前記幾何形状を描画する描画手段と、前記操作領域において前記描画された幾何形状に対して行う操作を指示するための操作手段と、前記操作領域内に配置された前記操作手段を選択させるポインティングデバイスと、前記シミュレーションのための入力情報または前記描画領域に描画された時刻におけるシミュレーション結果の数値情報の前記表示領域への表示手段と、を有し、前記描画手段は、前記描画領域に描画される幾何形状上の、シート物と他の構造物とが接触する位置に、新たなマーカーを描画し、シート物と他の構造物との接触時に作用し合う接触力の分力として、接触する面に対して垂直方向の抗力と、接触する面に対して接線方向の摩擦力とを、接触位置を起点とし、分力の向きと同じ向きの矢印によって描画することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項2に係るデータ処理装置は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記描画手段は、力の大きさと描画する矢印の長さの変換比率を設定し、この比率に基づき前記接触力の分力を表す矢印を描画することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な実施形態の説明に先立って、シミュレーション解析モデルにつき概説する。
複写機・プリンター・原稿送り装置や印刷機などの中を搬送される用紙などシート物の挙動を計算機シミュレーションするためには、シート物の運動を記述する運動方程式を解く必栗がある。実際にこの方程式を解くためには、空間と時間それぞれを有限の量として代数式に近似し、計算機にて連立方程式を解くことになる。
空間に関しては、代表的な手法として差分法や有限要素法がある。一方、時間に関しては、ルンゲクッタ法、線形加速度法(ニューマークのベータ法を含む)や、ウィルソンのシータ法、フーボルト法など直接時間積分法が数多くある。
【0022】
本発明は手法に限定されず、結果として任意時刻でのシート物の代表点における変位とシート物と機器(その他の構造物)とが接触する時に作用し合う力が得られるモデルであればその全てに適用できる。
尚上記で、代表点は初期形状に関して固定された位置にある必要はなく、その任意時刻それぞれにおいて再設定されるものでもよい。さらに変位は、任意空間における変形後の座標値でも差し支えない。
【0023】
また、操作技術と表示技術については、最近のコンピュータシステムの操作性は、Xウィンドウやマイクロソフト社のウィンドウズなどのマルチウィンドウシステムにより、飛躍的に向上している。例えば、ウィンドウ上に配置されたボタンをクリックすることや、任意の位置をダブルクリックすることなどにより、イベントが発生し、これを受けてある所定の処理の実行が可能になっている。本発明はこのようなリソーセズを利用する。
【0024】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明に係るデータ処理装置の一実施形態のブロック図である。
図1に示されるように、本発明に係るデータ処理装置Cは、情報を入力するための入力部1と、各種処理のための演算、論理判定などを行うCPU2と、計算結果および入力情報等を表示する表示部3と、処理手順を含むプログラムが格納されるプログラムメモリ4と、各種処理で生じたデータを格納するデータメモリ5と、シミュレーションタにより得られたデータが保存されている外部記憶装置6とが、バス7を介して接続されている。バス7を介して、CPU2の制御の対象となる構成要素の指示用アドレス信号、各構成要素の制御のためのコントロール信号、各構成機器相互間でやり取りされるデータ転送が行われる。
【0026】
入力部1は、データやコマンドキー入力するためのキーボード、タプレット、マウスなどである。CPU2は、各処理手段を実行してバス7に接続された各構成要素を制御する。さらに表示部3はディスプレイなどで構成される。
一方、プログラムメモリ4は、ROMであってもよいし、外部記憶装置6などからプログラムがロードされるRAMであってもよい。データメモリ5は、通常、RAMで構成される。外部記憶装置6は通常、HDDで構成される。
【0027】
ここで、表示部3には、幾何形状を描画するための描画領域10と、この描画された幾何形状を操作するための操作領域13と、シミュレーションのための入力情報またはシミュレーション結果の情報を表示する表示領域12とが画面上に設けられている。かつ、プログラムメモリ4には、描画領域10に幾何形状を描画する描画手段41と、描画された幾何形状を操作領域13において操作するための操作手段42と、操作手段42を選択し実行するためのインターフェース43と、シミュレーションのための入力情報またはシミュレーション結果の情報を表示領域12へ表示させる表示手段44が備えられている。
【0028】
また、シミュレーションの実行によって各時刻毎のデータが順次保存されていくため、データファイルのサイズは、計算した時刻の数に比例するように大きくなる。そこで、本発明によるデータ処理装置Cでは、ある時刻におげるシート物の変位図などを描画する際には、その都度、外部記憶装置6に保存されているデータファイルをアクセスし、データを読み込む。この外部記憶装置6には、前述されたように本発明の各種処理手順を、ここから読み出すようにしてもよい。
上記のように構成することにより、シート物の拳動をシミュレーションした結果データを、効果的に表示し可視化することができる。
【0029】
このシミュレーションのフローを図2に示す。開始後、機器にて構成されるシート物搬送に寄与する搬送ガイドの形状や座標値などからなる搬送ガイドデータ、シート物のヤング率やシート厚さ・幅などから決まる剛性や密度などの各種特性データ、計算に必要なパラメータなどがファイルなどから入力される。またこれらは、直接キーボードやポインティングデバイスなどでプログラムの中から指定するようなプログラム構造にしても良い。
【0030】
計算条件の入力後、所定の変数などに値を代入する等によって、搬送ガイドとシート物のモデリングを行う。
このプログラムでは、初期状態から任意時間後のシート物の状態を順次計算していく。例えば時刻に相当する第n十1ステップの計算は、第nステップ後の結果を元に行われる。この計算は、非線形解析であるために結果が収束するまで反復して行われる。
【0031】
さらに、シート物と搬送ガイドとの接触を判定し、これを基に全体の連立方程式が作成される。これは計算過程ではマトリックス演算となり、シート物あるいは搬送ガイドの任意位置での変位 (もしくは新規座標値)と両者が接触していればそこで作用し合う接触力(抗力と摩擦力)が計算される。
一つの時刻での計算が終了した後、結果(データ)をファイルに書き出す。もし、終了時刻に達していれば終了し、達していなければ次の時間ステップΔtを設定し次の時刻での計算を行う。
また、反復計算でも収束しないと判断した場合は、このステップで使用した時間ステップをより小さく再設定し、収束するまで繰り返す必要がある。
【0032】
このプログラムにより、得られる結果のデータはシート物あるいは搬送ガイドの任意位置での変位(もしくは変形後の座標値)と、両者が接触していればその作用位置とそこで作用し合う接触力ベクトル(抗力と摩擦力)となる。
また、この解析モデルとして3次元解析、2次元解析に区別を設ける必要はない。
【0033】
図3は、シミュレーション結果のデータの表示部3の例としてディスプレイ画面の一例である。8はディスプレイ全体であり、マルチウィンドウのOSを使用し、結果麦示するためのプログラムによりウィンドウ9が生成されている。このウィンドウ9中にはメニュー領域11、計算結果の表示に必要な描画領域10と、計算に関した情報表示領域12と描画操作領域13がある。
これらにより、計算による各時間毎のシート物の変形状態やガイド板の状態を描画領域10にて描画し、その時の各種数値情報などを情報表示領域12に表示することで計算結果を効果的に可視化することができる。
【0034】
ここでは、一つのウィンドウ内に各領域10〜13を区切ったが、それぞれの領域は分割されてウィンドウ内に分散されていても良い。
また、各領域毎に一つの子ウィンドウを生成して、ウィンドウ間にてデータをやり取りすることで前述した機能を持たせても良い。
【0035】
図4には、本発明に係る他の実施の形態として、効果的に描画を操作するための構成が示されている。これは、図3で示された描画操作領域13に、各種機能を持つボタンを配置するものである。また、入力デバイスである任意キーもしくはボタンとポインティングデバイスのカーソルの位置の組み合わせをインターフェースとする手段が備えられている。
このボタンは、マウスなどのボインティングデバイスのカーソルで指示し、例えばマウスボタンのダウンとアップイベントが同時に発生すれば、所定の処理が実行される。
処理の実行を制御するためのイベントは、ここに示したボタンでなくとも、例えば所定領域をマウスダウンすることでも良く、ダブルクリックでも良く、その操作種類にはよらない。
【0036】
ボタン18は順方向に連続して描画を行うボタンであり、このボタン18は順方向連続描画手段と連動して、各時刻でのシート物の変形状態とガイド板の状態などを順次描画する。ボタン16はポーズボタンであり、このボタン16はスチル描画手段と連動して、連続描画中でボタンが押されたときの時刻でのシート物変形図を、スチル描画し続ける。またこの状態から再度ポーズボタンを押すと、順連続描画が再開されるように構成できる。ボタン17は順方向1ステップ描画ボタンであり、このボタン17は順方向逐次描画手段と連動して、このボタンが押される毎に1ステップ(計算の時間ステップ)だけ次の時刻の、シート物変形状態などを描画する。
【0037】
ボタン14は、逆方向連続描画手段と連動する逆方向の連続描画ボタン、ボタン15は、逆方向逐次描画手段と連動する逆方向の1ステップ描画ボタンである。また、ボタン19は初期状態描画ボタンで、初期状態描画手段と連動し、押されるとどのような時でも描画を止め初期状態を描画して止まる。
これらのボタン操作のみにより、容易に時刻毎の計算結果を描画しアニメーション表示することが可能となる。また、所定の時刻、状態でのシート物の変形状憇のを観察でき、効果的に計算結果が検討できる。なお本装置は上記各ボタンの少なくとも二つの組み合わせにより構成するものとする。
【0038】
図5は、本発明に係るデータ処理方法の一実施の形態である、シミュレーション結果の情報を表示する際に、基準となる時刻から所定の時刻までにシート物が新たに搬送された量を計数して、その値を表示する方法の説明図である。
すなわち、シート物が搬送部などからどれだけの長さ搬送されているのかを、計算に関した情報表示領域12(図3参照)に表示する。
先ず、基準となる時刻を設定する。この時の搬送部20におけるシート物21の位置を確認する。例えば、図5では2次元的な描画で、シート物21は搬送ガイド22と接触して変形しているその様子が表示されている。
【0039】
基準となる時刻T0(左)で搬送部20からシート物21の先端までの長さをL0とする。任意の時刻Tnでは、搬送部20から先端までの長さはLnとなつている。従つて、基準時刻T0から新たに搬送されたシート物の距離はL=Ln−L0となる。この値を例えば図6のように画面表示することで、シート物の変形状態を検討するのにより有効となる。
【0040】
また、前記の表示手段において、特に、シート物先端が上流側である搬送部(例えば中継ローラー)に到達したときを基準とする。複写機、プリンターなどでは画像形成部の手前のローラーは用紙が到達するまで停止しており、到達後にこのローラーが回転し用紙を搬送する機構となっている場合が多い。
これは、このローラーに用紙が到達する時刻のバラツキを抑え、画像形成部とのタイミングをとるためである。
従って、このローラーに用紙先端が到達するとその先端は静止するが、さらに下流側のローラーは用紙を送り続け、余分な用紙が送り込まれる。これより、用紙はこのローラー間で押し込まれ変形することになる。この変形を許容できる搬送経路が形成されていないと、用紙の搬送ジャムが発生する確率が高くなる。
そこで、本実施の形態のように基準をとることで、上述した画像形成部手前のローラーとその下流側のローラー間での用紙の変形状態を、用紙先端静止後の下流側ローラーの送り出し量で把握することができ、有効な設計支援となる。
【0041】
シート物の変形状態を詳細に検討するためには、局所的な領域にてシート物の変形状態を描画する必要がある。本発明に係るデータ処理装置の他の実施の形態では、図7に示されるように、描画操作領域13に、シート物や搬送ガイドの状態図を拡大・縮小、移動(もしくは視点の移動)させるための操作領域がインターフェースとして設けられる。すなわち、本実施の形態では、入力デバイスの任意キーまたはボタンとポインティングデバイスのカーソルの位置の組み合わを対応させる対応手段と、幾何形状を描画する視点を移動する視点移動手段と、描画される幾何形状の大きさを表示デバイスに対して変化させる寸法調整手段とのうち少なくともひとつを有する構成とされる。
【0042】
図7に示されるように、2次元的な描画の場合、縦方向の描画を移動させるスクロールバ−23と横方向のスクロールバ−24により、視点を2次元的に移動することで描画領域に対するシート物の変形やガイドが移動し描画される。
また、自動描画ボタン25をクリックすることで、シート物全体と全搬送ガイドの座標値を計算し、全体が描画領域に描画されるよう自動的なスケールにて再描画される。
【0043】
26は固定のスケール選択領域で、どれかをクリックすることでそこに示されたスケールにて再描画される。ここでは、1ピクセルあたりの実座標スケールのミリメートル表示になっているが、単位系は問わない。
固定スケールの選択は容易であるが、さらに細かな設定をするときは、例えば任意スケール値入力ボックス27に値を代入し、任意スケール描画の実行ボタン28をクリックすることで再描画される。
このような、描画の視点の移動、描画スケールの変更を実行する操作部を設けることで、詳細なシート物の変形状態などを検討することが可能となる。
【0044】
また、描画領域内にあるポインティングデバイスのカーソル位置を検知し、幾何形状が定義される座標系において、前記カーソル位置が示す座標値を計数し、この座標位置と描画領域の任意位置が一致するように、幾何形状を再描画する処理方法で構成することもできる。
【0045】
特に、2次元描画での視点の移動に関して、ポインティングデバイスのカーソルと任意キーの組み合わせにより指定する。例えば、マウスのカーソルを視点の中心としたい描画領域に移動し、マウスボタンをダプルクリックする。マウスカーソルの現在位置を検出し、ここを描画の中心として再描画することで、シート物の変形を検討する時の描画の移動操作が簡単となり操作性が向上する。
【0046】
また、描画領域に描画される幾何形状のうち、シート物に相当する形状と、それ以外の構造物に相当する形状とを異なる色で描画する処理方法で構成することもできる。
これによればシート物と搬送ガイドをはっきり区別するために、それぞれの描画には異なる配色を行う。この結果、シート物の変形が明瞭となり、効果的な検討が可能となる。
【0047】
つぎに、シート物と搬送ガイドが接触しているのかを知ることは、搬送路などの設計変更などには非常に重要な情報となる。
図8は、これに対応するものとして、他の実施形態の構成を示す説明図である。このデー夕処理方法では、描画領域に描画される幾何形状上の、シート物と他の構造物が接触する位置に、新たにマーカーを描画する。
【0048】
例えば図8で、搬送部29であるローラーによりシート物が右方向に搬送され、搬送ガイド30に接触し変形している様子が2次元にて描画されている。
ここで、シート物31が搬送ガイドと接触している箇所には接触を示すマーカ−32として、円が配置されている。このマーカーの形状や塗りつぷしの有無、色などは特に限定されない。
このようにシート物と搬送ガイドの接触がある場合に、これらマーカーを表示することで搬送ガイドの形状変更などに非常に有用な情報が視覚化できる。
【0049】
本発明は、さらに、上記においてシート物と他の構造物との接触時に作用し合う接触力の分力として、接触する面に対して垂直方向の抗力と、接触する面に対して接線方向の摩擦力とを、接触位置を起点とし、分力の向きと同じ向きの矢印によって描画する方法にすることを特徴とするもので、さらに効果的となる。
【0050】
図9は、このようなデータ処理方法に依るもので、接触位置を単にマーカーで示すだけでなく、接触により用紙が受ける接触力を、面 (ガイド面もしくはシート物面) に対して垂直な抗力と摩擦力に分解し、作用する向きに矢印で示している (接触力の分力を示す矢印33)。
ここでは、シート物が受ける力として示したが、搬送ガイドがシート物から受ける力としても良く、これは単純に逆向きとなる。 また単純に接触位置だけを示すのではなく、シート物に作用する力の向きを示すことで、より詳細なシート物の変形状態の検討が可能となる。また、摩擦力は進行方向と逆向きに作用するので、シート物の挙動把握にも有用である。
【0051】
ところで前記図9においては、接触力の分力とそれを示す矢印の向きは一致していた。そこでつぎの実施の形態では、力の大きさと描画する矢印の長さの変換比率を設定し、この比率に基づき分力を表す矢印を描画するようにする。
これによれば、その矢印の長さが分力の大きさに相当するようになる。すなわち、力の単位あたりの矢印の描画する長さ(力スケール)を決める。
【0052】
図10は、このようなデータ処理方法に依るもので、接触力の分力を示す矢印34が、力スケール35(1N)に比例した長さに換算して示される。これより、接触力の絶対値の概算もできると共に、全接触力の中で、どれが最も優位であり考慮すべき力などかが一目で把握でき、詳細かつ有効な検討が可能となる。
なお力スケール35は、描画領域もしくは計算に関する情報表示領域のどちらに表示しても良い。
【0053】
さらにまた、シート物の変形状態をさらに詳細に検討するには、シート物の変位量などを数値としてファイル化することが有用である。
そこで、任意時刻におけるシート物の変位(もしくは変形後の全体座標に対する座標値)や、搬送ガイドとの接触の有無、接触していれば接触位置とその接触力の大きさや向きなどの計算結果を、データとしてファイル化 (ファイル形式は問わず) するために、図3のメニュー領域11にファイル化のためのメニューを配置しておき、コマンドが選択実行された時に、ファイル化がなされるようにする。また、描画操作領域13などに作成用のボタンなどを配置しておき、これを操作するようにしても良い。
またこの時、図4におけるポーズボタンにて所定の変形状態になるように操作しておくことが好ましい。
【0054】
上記の実施の形態では、任意時刻における、計算結果であるデータのファイル化であったが、ここでは、シート物の固定された位置における状態(変位もしくは変形後の座標、接触状態)、あるいは、搬送部が用紙に与える力など、ある固定された種類のデータの時刻歴(時刻に対して前記したデータ)をファイル化する。これをグラフ化することで、容易1に時間推移を把握することができる。
【0055】
上記の二つの実施の形態によれば、計算結果であるデータをファイル化し数値として読み取ることが可能であった。そこでさらに、例えば一度ファイル化したあと、別途手段によりその数値を読み取る替わりに、より容易な方法を採用することもできる。
ここでは、一部の情報にかぎられるが、容易に計算結果であるデータを把握できる方法を示す。ボインティングデバイスのカーソルを、描画領域のシート物の変形図や、接触位置を示す前記のマーカ−32や接触力の分力を示す矢印33、34に近づける。
【0056】
データ処理プログラムはカーソルの位置を検知し、最も近いシート物の計算を行った点(有限要素法などで計算していれば節点)での変位(もしくは変形後の座標)を、接触位置を示すマーカーや接触力の分力を示す矢印に近ければ、その接触力の値・向き、作用位置などの数値を、自動的に計算に関した情報表示領域に示すものである。
これにより、変形状態を確かめながら、注目する箇所の計算結果であるデータを閲覧することができ、操作性、有用性が向上する。
【0057】
上記のように本発明のデータ処理装置およびその処理方法は、複写機・プリンター・原稿送り装置や印刷機などの中を搬送される用紙などシート物の拳動を計算機でシミュレーションした結果を、マルチウィンドウシステム上にて処理するものであるから、シミュレーション機能ばかりでなく、操作性についても、専用オペレーターによるのではなく設計者の誰もが容易に操作できる構成とすることができ、実用性の高いシステムを実現することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1の構成によれば、この種装置の既知効果としてシート物を解析モデルとし、シート物が搬送されていく過程を、時刻毎にシミュレーションし、その結果得られた解(数値)を処理し、画面上に表示するデータ処理装置において、画面上に計算結果を処理し幾何形状を描画することで、シート物などの変形状態を可視化することができ、操作部により描画を簡単に操作でき、さらに、計算結果に加えて計算に入力した値などの情報をも同一画面上にて確認でき、操作性、簡易性、有用性が向上したデータ処理装置を実現できる。
また、このデータ処理装置によれば、シート物と接触する箇所が可視化され、容易にイメージできるようになる。また、設計変更など評価検討する際に有用な情報が得られる。
そして、本発明によれば、上記既知効果に加え、特に、接触する位置だけでなく、シート物が受ける力の方向も同時に可視化することができ、評価検討のためのより多くの情報が得られる。本発明の請求項2の構成によれば、更に接触力の大きさも可視化され、評価検討のためのさらに多い情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデータ処理装置の一実施の形態におけるブロック構成図である。
【図2】シート物の挙動シミュレーションのフロー図である。
【図3】本発明のデータ処理装置の一実施の形態における画面構成の説明図である。
【図4】本発明のデータ処理装置の他の実施の形態における画面上の描画操作領域の説明図である。
【図5】本発明のデータ処理方法の他の実施の形態における描画例の説明図である。
【図6】図5に示される描画に関する情報表示部の説明図である。
【図7】本発明のデータ処理装置の他の実施の形態における画面上の描画操作領域の説明図である。
【図8】本発明のデータ処理方法の他の実施の形態における描画例の説明図である。
【図9】本発明のデータ処理方法の他の実施の形態における描画例の説明図である。
【図10】本発明のデータ処理方法の他の実施の形態における描画例の説明図である。
【符号の説明】
1 入力部
2 CPU
3 表示部
4 プログラムメモリ
5 データメモリ
6 外部記憶装置
7 バス
10 描画領域
12 情報表示領域
13 操作領域
41 描画手段
42 操作手段
43 インターフェース
44 表示手段
Claims (2)
- シート物を解析モデルとし、シート物が搬送されていく過程を時系列的にシミュレーションした数値に基づき、画面上に表示するデータ処理装置において、
シート物の搬送経路となる構造物と、時刻毎にシミュレーションされた数値に基づいて表現される時刻毎のシート物とを幾何形状として描画するための描画領域と、
前記描画された幾何形状を操作するための操作領域と、
前記シミュレーションのための入力情報または前記描画領域に描画された時刻におけるシミュレーション結果の数値情報を表示する表示領域と、
が前記画面上に設けられ、かつ、
前記描画領域に前記幾何形状を描画する描画手段と、
前記操作領域において前記描画された幾何形状に対して行う操作を指示するための操作手段と、
前記操作領域内に配置された前記操作手段を選択させるポインティングデバイスと、
前記シミュレーションのための入力情報または前記描画領域に描画された時刻におけるシミュレーション結果の数値情報の前記表示領域への表示手段と、を有し、
前記描画手段は、
前記描画領域に描画される幾何形状上の、シート物と他の構造物とが接触する位置に、新たなマーカーを描画し、
シート物と他の構造物との接触時に作用し合う接触力の分力として、接触する面に対して垂直方向の抗力と、接触する面に対して接線方向の摩擦力とを、接触位置を起点とし、分力の向きと同じ向きの矢印によって描画することを特徴とするデータ処理装置。 - 前記描画手段は、力の大きさと描画する矢印の長さの変換比率を設定し、この比率に基づき前記接触力の分力を表す矢印を描画することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
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