JP4364943B2 - 6xxx系アルミニウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は6xxx系アルミニウム合金、その合金の処理方法、およびその合金の設計方法に関する。
6xxx系アルミニウム合金は、マグネシウム(Mg)およびけい素(Si)を含み、MgおよびSiがそれぞれ一般に0.2〜1.5重量%の範囲で存在するアルミニウム基合金である。
6xxx系アルミニウム合金は、中間的な強度で良好な成形性、溶接性および押出し性を要求する用途に広く使用される。それらの用途には、建築分野/構造分野/電気分野での用途が広い範囲で含まれる。典型的には、6xxx系アルミニウム合金はビレットとして鋳造された後、小径の丸棒または他の形状を形成するように押し出されるか、または大きな部材に鍛造される(押出し部材またはビレットから)。
6xxx系アルミニウム合金における析出硬化の従来の理論は、次の手順、すなわち、
i) 時効前の遅延(delay)の間にSi原子クラスタが形成される、
ii) 時効温度までの加熱の間にGPIゾーンが形成される、
iii) GPIIゾーンが形成される − β”Mg2Siが析出する、
iv) β”からの変態を経てβ’析出物が形成されて成長され、β’量は温度および時間に依存する、および、
v) 過時効が生じた場合に、βMg2Si析出物が形成される、
という手順にしたがってMg2Siの析出および成長を経て硬化が起こるとされている。
MgおよびSiに関して「釣り合いのとれた」合金を製造するために、6xxx系アルミニウム合金に形成される析出物のSiに対するMgの比は約2であるとする従来理論の結果として、その合金が2:1のMg:Si比を含んで成るように6xxx系アルミニウム合金に添加すべきMgおよびSiの相対的な量を計算することが、標準的な実際例であった。
ある例においては、釣り合いのとれた合金を形成する代わりに、過剰Siを含有させて強度を増大するように6xxx系アルミニウム合金を設計することが知られている。この例では、Mg2Siとして析出しない、または金属間化合物(intermetallics)を形成しないいずれのSiも、付加されて強化効果を有する他の元素との析出物のような他の相を自由に形成できる。過剰Siのレベルは望まれる強化効果を発揮するために変化されるのであり、Si添加量の限界はしばしば押出し加工性に対するSi添加効果のような因子によって決定されている。
他の合金元素の添加および6xxx系アルミニウム合金の熱処理手順もまた、Mg2Siの析出に基づいている。例えばマンガン(Mn)は、不均一核生成の場(site)として作用し、β’Mg2Siロッドが形成されるチャンスを増大するようなMn分配を生じるために合金に添加されることができる。これは押出し加工に関して流動応力をかなり増大させるが、粒界のピンニング(pinning)のレベルを高め、したがって再結晶化を減少させ、または阻止し、粒子バンドの形成(grain band formation)を引き起こす。
最終的な押出し製品または鍛造製品を製造するために、6xxx系アルミニウム合金の鋳造ビレットを処理することに関して広い範囲で異なる選択ができる。
例として、鋳放しビレットにおける粒界に金属間化合物として存在するMgおよびSiの最大可能量を溶解させるために、6xxx系アルミニウム合金ビレットを均質化して、過飽和固溶体を形成することが知られており、この固溶体は冷却することで金属間化合物およびMg2Siの一様な析出を生じる。これはまた鋳造組織を壊し、AlFeSiの金属間化合物に変態する。これは押出しの流動応力および最終特性の著しい一様性をもたらし、完全な機械的特性の開発を可能にする。典型的には、100〜200℃/時間のような遅い冷却速度が使用される。
さらに、押出しの前にビレットを必要とされる温度にまで素早く加熱するために誘導加熱を使用することは知られている。典型的には、ビレットを約300℃の温度にするためにガス加熱が使用され、誘導加熱はビレットを押出し温度にまで完全に加熱するのに使用される。誘導加熱による素早い加熱速度は、β’Mg2Si析出物が成長する十分な時間を与えず、したがって押出し加工に関して優れた分散を与える。したがって流動応力はかなり減少される。同様に、かなり低いビレット温度を使用して同じ特性を保持することが可能になり、また急速な押出し速度を使用できるようにする。
さらに、押出し加工される合金に応じて押出し後の急冷速度の変化されることが知られている。合金の望ましい特徴は、急冷に対する感度が小さい、すなわちゆっくりした冷却で十分な特性を得ることができるということである。この利益は、歪みが最小限に抑えられ、特性がより一様となり、また急冷設備が不要なことである。
合金の選択、均質化、ビレットの加熱および急冷に関して知られた実際の範囲があり、またそれらは一般に使用される合金系の境界内における大いに経験的な最適化である。例として、段階的な冷却、徐冷、および急冷などの実施が均質化の後に推奨される。
典型的な合金の明細は幾つかの6xxx系アルミニウム合金に関して表1に与えられている。
Figure 0004364943
上述の表で範囲が述べられていなければ、記載量は最大濃度を示す。
最近になって6xxx系アルミニウム合金の時効は、工業界でこれまで認められていたMg2Siの析出によって起きるのではなく、MgSiの析出を経て生じることが発見された。
発見されたMgSi析出メカニズムはβ’MgSi析出物の核生成および成長を伴い、Mg:Siの比は1で、これまで考えられていたように2ではなく、次の手順、すなわち、
i) MgおよびSi原子の別々のクラスタの形成、
ii) 低温時効の間にMg:Si比が増大し、最終的に1に近づく状態のMgおよびSi原子の共クラスタ化(co-clustering)、
iii) Mg:Si比が1に近い未知組織の小径析出物の形成、
iv) これらの析出物の比が1であるβ”MgSiへの変態、
v) 次の時効の段階でのMgおよびSiの比が1であるβ’およびB’の形成、
を含む。
上述の発見の1つの結果は、MgおよびSiに関して釣り合いがとられ、すなわちMgおよびSiがMg2Siとして析出するということに基づく従来理論にしたがって製造された現在購入できる6xxx系アルミニウム合金は、実際は釣り合わされていないということである。
さらに、重大なことに、出願人は今理解されたようにMgおよびSiに関して釣り合いのとれた6xxx系アルミニウム合金で一層優れた特性の得られることを見出した。関心を持たれる特性には、例として押出し性、鍛造性、導電性、強度および加工性が含まれる。
本発明によれば、MgおよびSiがM原子数:Si原子数比で0.8:11〜1.2:1の範囲となるような量で存在する6xxx系アルミニウム合金を提供する。
いずれかの与えられた6xxx系アルミニウム合金に関して、Mg/Si析出物を形成するのに利用できるMgおよびSiの量は、この合金組成に添加されたそれらの元素の全量より少ないことは理解される。この理由は、常にMgおよびSiの一部(典型的には比較的少量)が溶体(solution)に残され、およびMgおよびSiの一部がこの合金に添加された鉄(Fe)および銅(Cu)のような他の元素と析出するからである。
本明細書ではMgSiの比が0.8:1〜1.2:1の範囲となるような量でMgSi析出物を形成するのに使用できるMgおよびSiを含有する6xxx系アルミニウム合金がMgおよびSiに関して「釣り合いがとれている」とみなされ、これは発見したMgSiの析出メカニズムによるものであることもまた理解される。
Mg:Siの比は0.9:1〜1.1:1の範囲であるのが好ましい。
Mg:Siの比は1:1であるのが特に好ましい。
本発明によれば、次の段階、すなわち
i) 上述のようにMgおよびSiを含有する6xxx系アルミニウム合金のビレットを鋳造し、
ii) そのビレットから最終製品形状となるように押出し加工し、
iii) 押出し加工された製品形状を熱処理してMgSiを析出させる
段階を含む6xxx系アルミニウム合金から押出し加工された製品を製造する方法も提供される。
熱処理段階はいずれかの適当な熱処理とされることができる。
本発明によれば、次の段階、すなわち
i) 上述のようにMgおよびSiを含有する6xxx系アルミニウム合金のビレットを鋳造し、
ii) そのビレットから最終製品形状となるように鍛造加工し、
iii) 合金を熱処理してMgSiを析出させる
段階を含む6xxx系アルミニウム合金から鍛造された製品を製造する方法も提供される。
熱処理段階はいずれかの適当な熱処理とされることができる。
前段で説明した方法は、ビレットから中間製品形状に押出し加工した後、最終製品形状に鍛造することも含む。
本発明を調べるために、出願人は表2および表3に記載された8つの6xxx系アルミニウム合金と、他の3つの6xxx系アルミニウム合金I、J、Kとにおいて一連の実験およびコンピュータモデリングを実施し、合金I、J、Kの基準Mg濃度は0.48重量%、Si濃度はそれぞれ0.8、1.0、1.2重量%、他の元素の濃度は表2に記載された濃度である。
Figure 0004364943
表3は合金の処理状態およびその後の熱処理の概要である。
Figure 0004364943
実験に基づく作業は、MgSi量が増大するにつれて特性が全体的に向上されることを確証した。これは、実験作業から導き出されたMgSi重量%に対する引っ張り強度のグラフである図1に示されている。降伏折りとMgSi重量%との間の関係も同様な傾向に乗っている。
実験的作業はまた、最適特性が発見したMgSi析出メカニズムにしたがって「釣り合いのとれた」合金を形成するように合金組成を選択することで得られることを確証した。これは、上述した合金A、C、E、I、J、Kに対する実験的作業から導き出されたSi濃度に対する引張り特性のグラフである図2に示されており、これらの合金の全ては0.48重量%程度のMg濃度を有している。合金試料はT4、T5、T6熱処理を受け、合金の引張り特性はSi濃度に対して測定されてプロットされた。
図2は、各熱処理に関して、試験された合金組成において発見したMgSi析出メカニズムにしたがって釣り合いのとれた合金に対応するSi濃度が0.5〜0.6重量%程度に達するまでは、Si濃度の増大につれて引張り強度がかなり増大したことを示しており、またSi濃度が更に増大すると、引張り特性の限界的な向上しか得られないことを示している。換言すれば、実験的作業は釣り合いのとれた合金の形成が引張り強度に大きな寄与をなし、過剰Siは引張り特性の向上を生じるが、大きな効果を有さないことを確証した。これはかなりの成果である。何故なら、多くの適用例において、釣り合いのとれた合金で得られる引張り特性はかなりのもので、それ故に過剰Siは必要でなく、Siが高いレベルの押出し加工困難な合金が回避されるからである。
一般的に、実験的な作業は多くの例において、発見されたMgSi析出メカニズムが合金の特性を低下させることなく、また多くの例ではその特性を向上させて、これまで行われていたレベルよりも合金元素の添加を減少可能にしたことを確証した。後の点に関しては、押出し性および導電性は合金元素の添加が増大するにつれて一般に減少するとすれば、合金元素の添加を最小限に抑えるというかなりの利点があることになる。
他の実験的作業において、出願人は発見した析出メカニズムにしたがって釣り合いのとられた合金は、濃度の過剰なSi合金よりも平均的温度および高温度に対する良好な抵抗力を与える。
本発明は広い範囲の適用性を有しており、それには限定ではなく以下の適用例が含まれる。
1) 一般用途の合金
表4は、発見したMgSi析出メカニズムに基づいた一般用途の6xxx系アルミニウム合金に関する本発明によるMgおよびSi含有量を示している。
Figure 0004364943
したがって、さらに他の概念において、本発明は次の合金組成、すなわち、
Figure 0004364943
を含む合金組成を提供する。
他の概念において、本発明は次の合金組成、すなわち、
Figure 0004364943
を含む合金組成を提供する。
他の概念において、本発明は次の合金組成、すなわち、
Figure 0004364943
を含む合金組成を提供する。
他の概念において、本発明は次の合金組成、すなわち、
Figure 0004364943
を含む合金組成を提供する。
2)導電性合金
これらの合金は、全てのMgおよびSiがβMg2Siとしてマトリックスから析出されることを保証するために、伝統的に過時効とされている。これはマトリックスにより導電性を最大限に高める。しかしながら、過時効のための特性の損失を保証するために、強度を保持するように大きな断面が必要とされる。
時効硬化処理のこれまでの理解に基づいては、半干渉性β’(非干渉性βと同様な体積部分を占める)によるピーク時効状態が過時効状態と同じ程度に低い抵抗性を有さない理由は理解されない。発見したMgSiのメカニズムを用いれば、Mg2Siの「釣り合いのとれた」合金は過剰のMgを有し、このMgはピークの時効状態ではマトリックス内に保持され、これが導電性を低下させることは明白となる。
発見したMgSi析出のメカニズムにしたがって適当に釣り合いのとれた合金によれば、全てのMgおよびSiが溶体から失われるのを保証するために過時効化する必要は全くなく、この条件はピーク時効状態が満たす。この状態により与えられる強度増大によって、小さな部分が使用でき、例えば僅かなポストまたは小さな地下ダクトを必要とする軽量ケーブルを使用できる。
このようにして、他の概念によれば、本発明は以下の合金組成を提供する。すなわち、
i) Mg/Si座標線図上で次の座標を直線で連結して境界される面積内のMgおよびSi濃度、
Figure 0004364943
ii)以下の元素、
Figure 0004364943
を含んでなる合金組成が提供される。
3)機械加工容易な合金(free machining alloy)
合金6262は機械加工性を向上させるためにPbおよびBi添加剤によってMg2Siの「釣り合いのとれた」合金として設計されている。これらの添加剤の効果はBiが硬いBi2Mg3粒子になって失われることで低下される。この合金はMg2Siで釣り合わされると考えられるので、有害なBi2Mg3の形成は免れがたいと考えられる。
しかしながら、発見したMgSi析出メカニズムに基づけば、過剰Mgがこの合金に実際に存在する。それ故に、Mg含有量を低下することで、Bi2Mg3の形成は回避でき、これにより機械加工性が向上される。さらにまた、少量のPb/Bi添加剤が同じ機械加工性のために使用でき、これは環境に一層優しく、リサイクルを容易にする。
4)Cu添加剤を含有する高強度合金
Cu添加剤は6xxx系アルミニウム合金の強度の増大を生じることで知られている。
Cuは、侵食の問題のためにMg2Siの過剰Si合金(6351、6082)に0.1重量%を越える量で添加されない。しかしながら、これらの合金は実際にMgSiの釣り合いをとられた状態に近いので、AlCuMgの強化効果は実現されない。その代わりに、Cuのは恐らく粗い析出物を形成し、この析出物は耐腐食性を低下させる。それ故に、より多くのMgを添加することで、より多くのCuが添加され、腐食性を悪化させることなく強度を高めることができる。
本発明のさらにCu添加剤を含む高強度合金に対する適用例を調べるために、出願人は一連の実験を3つの6061合金組成に対して実施した。これらの組成は表5に示されている。
Figure 0004364943
この合金は、合金Aから合金Cへ減少しているMgSiとしての析出に利用できるMgおよびSiの原子重量に基づく比率を有している。
合金AおよびBは購入できる合金である。合金Cは、発見したMgSiメカニズムに基づいて釣り合いのとられた合金として選定された。
この合金の引張り強度および硬さ特性はT6処理後に測定された。表6はその結果の要約である。
Figure 0004364943
表6の結果は、発見したMgSiメカニズムにしたがって釣り合いのとられた合金Cの引張り強度および硬さ特性が従来の合金AおよびBの特性よりも良好であることを示している。
上述したように、本発明はまた6xxx系アルミニウム合金を処理する方法も提供する。処理における変化の生じ易さは、Mg:Si比を適当に選定し、続く処理に対する感応を最低限の状態で材料を供給することにより、最小限におさえることができる。これを十分に実現するために、また発明したMgSi析出メカニズムの他の利点を得るために、以下の合金処理の概略の少なくとも1つが使用されるべきである。すなわち、
1. 均質化後の急冷速度。急冷速度は(すなわち400℃/時間より速い)MgSi析出物があまりに大きく成長するのを防止するために必要である。これは押出し加工前および押出し加工中の、ビレットの加熱時におけるMgSiの再溶解を本質的に可能にする。これが生じなければMgおよびSiの最大可能量は時効で強化析出MgSiを形成するのに使用できず、またMgSiの釣り合いが変化し、この釣り合いによる利点を十分に実現することができない。
2. ビレットの予熱技術。急速加熱(すなわち誘導加熱による)の速度は、均質化後のMg2Si析出物が押出し加工時に再溶解できないところまで粗大化するのを防止するために必要である。
3. 改良した押出し性および押出し速度の利点を得る1つの可能な技術はビレットをMg2SiおよびMgSiの溶解温度より高い温度まで(すなわち500℃まで)加熱することであり、これにより存在するMgSiを全て溶解して、要求される押出し加工温度にまでビレットを冷却することである。
これらの少なくとも1つが使用されるべきである。
上述した処理は本発明によれば全ての6xxx系アルミニウム合金に適用できる。
したがって、本発明はまた以下の方法も提供する。すなわち、
a) 均質化熱処理に続いて、均質化温度から400℃/時間以上の冷却速度を使用した急速冷却が好ましいとされる急冷を行うことを含む6xxx系アルミニウム合金の処理方法、
b) 均質化後の原料でMg2Siの析出を防止するために原料を急速加熱し、また前記原料を押出し加工することを含む6xxx系アルミニウム合金を含んで成る押出し原料の押出し方法、および
c) Mg2SiおよびMgSiの溶解温度より高い温度に前記合金を加熱し、またその原料を押出し温度にまで冷却して前記原料で押出し加工することを含むMgおよびSiを含有する6xxx系アルミニウム合金を含む押出し原料の押出し方法、
を提供する。
上述の(b)および(c)の原料はビレットであるのが好ましい。
本発明はまた、以下の段階、すなわち、
a) さまざまな量のMgおよびSiを含有する合金の複数の試験試料を準備する段階、
b) 末端使用者の熱処理プロトコールにしたがって前記試験試料を熱処理する段階、
c) 含まれるMg2SiおよびMgSiのレベルを決定するために前記試験試料を分析する段階、
d) 前記試験試料の1以上の機械的特性を決定するために前記試験試料に試験を行う段階、
e) 上述の段階(c)および(d)で得た結果を分析し、段階(c)および(d)の結果の分析およびMgSiの析出を含む析出手順に基づいて、6xxx系アルミニウム合金のMgおよびSi含有量および熱処理パラメータのモデルを展開して、熱処理方法によって処理された与えられた6xxx系アルミニウム合金に展開するマイクロ組織を予測する段階、
を含む6xxx系アルミニウム合金のMgおよびSiの最適含有量を決定する方法も提供する。
この方法はこれに代えて、モデルから合金中に要求されるMgおよびSiのレベルを決定するために、特定の適用例に要求される機械的特性を使用して、モデルを展開する段階を含むことができる。
特定の合金の最適MgおよびSiを計算するための手順は、析出強化のためにMgおよびSiの利用できるレベルを決定するために適用できる数多くの技術を含む。これらは、TEM顕微鏡法、DSCまたはDTA分析、導電性または硬さである。この情報は、その後において適当な合金組成を選択することにより、特性および押出し性を最大限に高めるために使用される。
押出し試料およびその関連する熱(処理)履歴の分析に基づいて、合金の明細を得ることも可能である。TEM作業(原子プローブ・フィールド・イオン・マイクロスコピー(APFIM)法の結果と関連する)は、Mg2SiおよびMgSiのレベルを決定するのに使用される。DSC/DTAはそれらの析出物の識別を助成する。マトリックス内のMg(またはSi)のレベルは導電性試験を経て同定される。この情報は、その合金および処理に関する析出およびマイクロ組織の「青写真(ブループリント)」を展開するのに使用される。その後、押出し性および作用に関する機械的特性を最適化するために、認識を持って合金に対する改良が行われるのであり、この認識において合金および処理の変形態様の原因となる最終組織を予想するために青写真が使用できる。
APFIM法は必然的に関連付けされる。何故なら、TEMはそれ自体がMg2SiおよびMgSiを識別することができず、すなわちTEM結果の分析はAPFIMによる結果に基づいて解釈することを要求する。
またTEM、DSC/DTA、導電性および硬さの試験の結果の解釈は簡単でない。MgSi析出メカニズムに基づき、また処理がこれにどのように影響するかに基づいて、押出し加工の分析を「変換」して合金の明細に戻すことは可能である。
これらの点から、アルミニウムの熱履歴およびマイクロ組織を鍛造処理に最適となるように調整することで、さまざまな好ましい合金を鍛造用途に開発できることが期待される。
本明細書に記載された本発明はこれらの特に説明した変形例および変更例以外に変形および変更をなし得ることは認識されよう。本発明は本質的にその精神および範囲に含まれる全ての変形例および変更例を包含することが理解されよう。

Claims (6)

  1. 6xxx系アルミニウム合金から製品を製造する方法であって、
    i)組成が、重量%で、
    Figure 0004364943
    からなり、MgSi析出物を形成するのに使用できるMgおよびSiが、Mg原子数:Si原子数比が0.8:1〜1.2:1の範囲となる量で存在している、6xxx系アルミニウム合金のビレットを鋳造する段階
    ii)前記ビレット最終製品形状となるように押出し加工または鍛造加工を行う段階と、
    iii)押出し加工または鍛造加工された最終製品形状を熱処理してMgSiを析出させる段階
    を含む製品の製造方法。
  2. 6xxx系アルミニウム合金から製品を製造する方法であって、
    i)組成が、重量%で、
    Figure 0004364943
    からなり、MgSi析出物を形成するのに使用できるMgおよびSiが、Mg原子数:Si原子数比が0.8:1〜1.2:1の範囲となる量で存在している、6xxx系アルミニウム合金のビレットを鋳造する段階と、
    ii)前記ビレットに最終製品形状となるように押出し加工または鍛造加工を行う段階と、
    iii)押出し加工または鍛造加工された最終製品形状体を熱処理してMgSiを析出させる段階と、
    を含む製品の製造方法。
  3. 6xxx系アルミニウム合金から製品を製造する方法であって、
    i)組成が、重量%で、
    ii)Mg/Si座標線図上で次の座標を直線で連結して境界される面積内のMgおよびSi濃度、
    Figure 0004364943
    iii)以下の元素、
    Figure 0004364943
    からなり、MgSi析出物を形成するのに使用できるMgおよびSiが、Mg原子数:Si原子数比が0.8:1〜1.2:1の範囲となる量で存在している、6xxx系アルミニウム合金のビレットを鋳造する段階と、
    iv)前記ビレットに最終製品形状となるように押出し加工または鍛造加工を行う段階と、
    v)押出し加工または鍛造加工された最終製品形状体を熱処理してMgSiを析出させる段階と、
    を含む製品の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された方法であって、前記ステップiiがビレットから中間製品を押出し加工する段階の後、最終製品形状となるように鍛造加工を行う段階を含む製品の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された方法であって、
    6xxx系アルミニウム合金のMg:Si比が0.9:1〜1.1:1であることを特徴とする製品の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された方法であって、鋳造されたビレットに、均質化処理を行い、続いて均質化温度から400℃/時間以上の冷却速度で急速冷却を行う段階を含むことを特徴とする製品の製造方法。
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