JPH06207254A - 高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法 - Google Patents
高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法Info
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- JPH06207254A JPH06207254A JP130593A JP130593A JPH06207254A JP H06207254 A JPH06207254 A JP H06207254A JP 130593 A JP130593 A JP 130593A JP 130593 A JP130593 A JP 130593A JP H06207254 A JPH06207254 A JP H06207254A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高比強度及び高比弾性を有する高強度Al−
Li系合金鋳物の製造方法を提供する。 【構成】 重量%で、Li:0.5〜3.5%及びCu:0.5
〜6.0%を含有し、更にMg:0.05〜1%、Zr:0.05〜
0.3%、Zn:0.05〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、M
n:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3%及びTi:0.005〜
0.1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有する。そして、この合金にはT1相(Al2CuL
i)が析出している。また、この合金は、In:0.05〜
0.3%を含有してもよい。本発明方法は、上記組成のA
l−Li系合金の鋳物を、540〜570℃で均質化処理し、
その後540〜570℃で溶体化焼入した後、110〜250℃で焼
きもどしを行うことによりT1相(Al2CuLi)を
析出させる。
Li系合金鋳物の製造方法を提供する。 【構成】 重量%で、Li:0.5〜3.5%及びCu:0.5
〜6.0%を含有し、更にMg:0.05〜1%、Zr:0.05〜
0.3%、Zn:0.05〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、M
n:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3%及びTi:0.005〜
0.1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有する。そして、この合金にはT1相(Al2CuL
i)が析出している。また、この合金は、In:0.05〜
0.3%を含有してもよい。本発明方法は、上記組成のA
l−Li系合金の鋳物を、540〜570℃で均質化処理し、
その後540〜570℃で溶体化焼入した後、110〜250℃で焼
きもどしを行うことによりT1相(Al2CuLi)を
析出させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は展伸材と同等か又はそれ
より高強度で実用性が高い高強度Al−Li系合金鋳物
の製造方法に関する。
より高強度で実用性が高い高強度Al−Li系合金鋳物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al−Li系合金は低密度、高比強度及
び高比弾性を有するため、軽量化が必要な構造材料とし
て、航空機、宇宙用ロケット又はリニアモーターカー等
の次世代材料として実用化が検討されている。これらの
Al−Li系合金はシート及びプレート材等の圧延材、
押出材又は鍛造材等の所謂展伸材としての使用が検討さ
れてきた。
び高比弾性を有するため、軽量化が必要な構造材料とし
て、航空機、宇宙用ロケット又はリニアモーターカー等
の次世代材料として実用化が検討されている。これらの
Al−Li系合金はシート及びプレート材等の圧延材、
押出材又は鍛造材等の所謂展伸材としての使用が検討さ
れてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳物に
ついては、強度及び伸びが低く、信頼性が劣るなどの理
由で、Al−Li系合金の実用化が遅れている。特に、
スポーツ等の分野においては、高比強度というAl−L
i合金の特長を生かしたAl−Li合金鋳物の開発が望
まれていた。即ち、少なくともAl−Li合金展伸材と
同程度以上の強度を有するAl−Li系合金鋳物の開発
が要望されている。
ついては、強度及び伸びが低く、信頼性が劣るなどの理
由で、Al−Li系合金の実用化が遅れている。特に、
スポーツ等の分野においては、高比強度というAl−L
i合金の特長を生かしたAl−Li合金鋳物の開発が望
まれていた。即ち、少なくともAl−Li合金展伸材と
同程度以上の強度を有するAl−Li系合金鋳物の開発
が要望されている。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、高比強度及び高比弾性を有し、信頼性が優
れた高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法を提供する
ことを目的とする。
のであって、高比強度及び高比弾性を有し、信頼性が優
れた高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高強度Al
−Li系合金鋳物の製造方法は、Li:0.5〜3.5%及び
Cu:0.5〜6.0%を含有し、更にMg:0.05〜1%、Z
r:0.05〜0.3%、Zn:0.05〜1.5%、Cr:0.05〜0.
3%、Mn:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3%及びTi:
0.005〜0.1%からなる群から選択された少なくとも1種
の元素を含有し、更に必要に応じてIn:0.05〜0.3%
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有するAl−Li系合金の鋳物を540〜570℃で溶体化
し、その後焼入れ焼戻し処理することにより、T1相
(Al2CuLi)を微細に析出させて強度を高めるこ
とを特徴とする。
−Li系合金鋳物の製造方法は、Li:0.5〜3.5%及び
Cu:0.5〜6.0%を含有し、更にMg:0.05〜1%、Z
r:0.05〜0.3%、Zn:0.05〜1.5%、Cr:0.05〜0.
3%、Mn:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3%及びTi:
0.005〜0.1%からなる群から選択された少なくとも1種
の元素を含有し、更に必要に応じてIn:0.05〜0.3%
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有するAl−Li系合金の鋳物を540〜570℃で溶体化
し、その後焼入れ焼戻し処理することにより、T1相
(Al2CuLi)を微細に析出させて強度を高めるこ
とを特徴とする。
【0006】なお、本明細書において、組成を表す%と
は重量%のことである。
は重量%のことである。
【0007】
【作用】本願発明者はAl−Li系合金鋳物の強度を改
善すべく種々実験を行った結果、以下に示す成分をもつ
鋳物に下記に示す熱処理を行うことにより所期の目的を
達成できることを見い出した。
善すべく種々実験を行った結果、以下に示す成分をもつ
鋳物に下記に示す熱処理を行うことにより所期の目的を
達成できることを見い出した。
【0008】以下、先ず、本発明に係るAl−Li系合
金の成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
このAl−Li系合金は、基本的には、Al−Li規格
合金の中で、7075−T6代替の高強度型のAA20
90合金及びこれに更にInを所定量添加した合金であ
る。前者はT1相(Al2CuLi)の析出により強化さ
れたものであり、後者はInの微量添加によりT1相を
析出し易くして強化されたものである。InはT1相の
核生成に寄与する元素である。Li Liは合金の低密度化及び高弾性化のため不可欠の元素
であると共に、強度の向上に寄与する元素である。Li
は製造の最終熱処理の時効処理過程において、Al及び
Cuと結合してδ′相又はT1相等として析出し、時効
硬化に寄与するものである。Liの含有量が0.5%未満
の場合は、低密度及び高弾性の効果が小さく、3.5%を
超えると、延性及び靱性が著しく低下する。従って、L
i含有量は0.5〜3.5%とする。Cu Cuは合金の強度の向上に寄与する元素である。このC
uは鋳物製造の最終熱処理の時効処理過程において、A
l、Li又はMgと結合してT1相θ′相等として析出
し、時効硬化に寄与するものである。しかし、Cuの含
有量が0.5%未満の場合は、所望の高強度は得られず、
逆にCu含有量が6.0%を超えると、延性及び靱性が著
しく低下し、且つ低密度化の効果も小さくなる。従っ
て、Cuの含有量は0.5〜6.0%とする。Mg Mgは延性及び靱性を低下させることなく強度を向上さ
せる元素であり、製造工程における最終熱処理の時効処
理過程にS′相等として析出し、強度の向上に寄与す
る。また、Mgは密度が小さいため、低密度化にも寄与
する。
金の成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
このAl−Li系合金は、基本的には、Al−Li規格
合金の中で、7075−T6代替の高強度型のAA20
90合金及びこれに更にInを所定量添加した合金であ
る。前者はT1相(Al2CuLi)の析出により強化さ
れたものであり、後者はInの微量添加によりT1相を
析出し易くして強化されたものである。InはT1相の
核生成に寄与する元素である。Li Liは合金の低密度化及び高弾性化のため不可欠の元素
であると共に、強度の向上に寄与する元素である。Li
は製造の最終熱処理の時効処理過程において、Al及び
Cuと結合してδ′相又はT1相等として析出し、時効
硬化に寄与するものである。Liの含有量が0.5%未満
の場合は、低密度及び高弾性の効果が小さく、3.5%を
超えると、延性及び靱性が著しく低下する。従って、L
i含有量は0.5〜3.5%とする。Cu Cuは合金の強度の向上に寄与する元素である。このC
uは鋳物製造の最終熱処理の時効処理過程において、A
l、Li又はMgと結合してT1相θ′相等として析出
し、時効硬化に寄与するものである。しかし、Cuの含
有量が0.5%未満の場合は、所望の高強度は得られず、
逆にCu含有量が6.0%を超えると、延性及び靱性が著
しく低下し、且つ低密度化の効果も小さくなる。従っ
て、Cuの含有量は0.5〜6.0%とする。Mg Mgは延性及び靱性を低下させることなく強度を向上さ
せる元素であり、製造工程における最終熱処理の時効処
理過程にS′相等として析出し、強度の向上に寄与す
る。また、Mgは密度が小さいため、低密度化にも寄与
する。
【0009】しかし、強度向上の効果はS′相よりT1
相の方が大きいので、本発明においては、T1相を微細
に析出させるため、Mgは積極的には添加しない。
相の方が大きいので、本発明においては、T1相を微細
に析出させるため、Mgは積極的には添加しない。
【0010】Mg含有量が0.05%未満では強度向上の効
果が小さく、また1%を超えても強度向上の効果が飽和
し、無駄である。よって、Mgを添加する場合には、そ
の含有量を0.05〜1%とする。Zn Znは耐SCC(応力腐食割れ)性を向上させる元素で
ある。Zn含有量が0.05%未満では、耐SCC性向上の
効果が小さく、1.5%を超えると延性及び靱性が著しく
低下する。Zr Zrは鋳造組織を微細化すると共に、最終熱処理後のミ
クロ組織においてその組織形態を制御することにより、
鋳物の強度及び延性の向上に寄与する元素である。Zr
含有量が0.05%未満では、再結晶化がおきてミクロ組織
が大きくなる。これにより、強度の低下はそれほど認め
られないものの、延性が著しく低下してしまう。Zr含
有量が0.30%を超えると、その鋳造組織の微細化効果が
飽和すると共に、Zrを含む巨大晶出物が発生し、強度
及び靱性等の低下をもたらす。従って、Zr含有量は0.
05〜0.30%とする。Cr,Mn,V Cr,Mn,VはZrと同様に最終熱処理後のミクロ組
織においてその組織形態を制御することにより、鋳物の
強度及び延性の向上に寄与する元素である。これらの元
素はいずれも含有量が0.05%未満の場合は再結晶化がお
こり、ミクロ組織が大きくなるため、延性が低下する。
逆に、Crを0.3%、Mnを1.5%、Vを0.3%を超えて
含有してもその効果が飽和するため、それ以上の添加は
無駄である。従って、これらの各元素を添加する場合に
は、Crの含有量は0.05〜0.3%、Mnの含有量は0.05
〜1.5%、Vの含有量は0.05〜0.3%とする。Ti Tiは鋳塊のマクロ組織の微細化に寄与する元素であ
る。しかし、Ti含有量が0.005%未満の場合は良好な
微細化効果が得られず、逆に0.1%を超えると晶出物が
増加して延性又は靱性が低下する。従って、Tiの含有
量は0.005〜0.1%とする。In InはT1相の核生成に寄与する元素である。In含有
量が0.05%未満の場合及びIn含有量が0.3%を超える
場合はその効果が少ない。従って、Inの含有量は0.05
〜0.3%とする。不純物:Fe,Si 鋳塊中に不純物として含有されるFe,Siはいずれも
その含有量が0.25%を超えるとAl−FeSi系晶出物
が増加し、最終製品での延性及び靱性が著しく低下す
る。従って、Fe又はSi不純物の含有量は0.25%以下
に規制する必要がある。
果が小さく、また1%を超えても強度向上の効果が飽和
し、無駄である。よって、Mgを添加する場合には、そ
の含有量を0.05〜1%とする。Zn Znは耐SCC(応力腐食割れ)性を向上させる元素で
ある。Zn含有量が0.05%未満では、耐SCC性向上の
効果が小さく、1.5%を超えると延性及び靱性が著しく
低下する。Zr Zrは鋳造組織を微細化すると共に、最終熱処理後のミ
クロ組織においてその組織形態を制御することにより、
鋳物の強度及び延性の向上に寄与する元素である。Zr
含有量が0.05%未満では、再結晶化がおきてミクロ組織
が大きくなる。これにより、強度の低下はそれほど認め
られないものの、延性が著しく低下してしまう。Zr含
有量が0.30%を超えると、その鋳造組織の微細化効果が
飽和すると共に、Zrを含む巨大晶出物が発生し、強度
及び靱性等の低下をもたらす。従って、Zr含有量は0.
05〜0.30%とする。Cr,Mn,V Cr,Mn,VはZrと同様に最終熱処理後のミクロ組
織においてその組織形態を制御することにより、鋳物の
強度及び延性の向上に寄与する元素である。これらの元
素はいずれも含有量が0.05%未満の場合は再結晶化がお
こり、ミクロ組織が大きくなるため、延性が低下する。
逆に、Crを0.3%、Mnを1.5%、Vを0.3%を超えて
含有してもその効果が飽和するため、それ以上の添加は
無駄である。従って、これらの各元素を添加する場合に
は、Crの含有量は0.05〜0.3%、Mnの含有量は0.05
〜1.5%、Vの含有量は0.05〜0.3%とする。Ti Tiは鋳塊のマクロ組織の微細化に寄与する元素であ
る。しかし、Ti含有量が0.005%未満の場合は良好な
微細化効果が得られず、逆に0.1%を超えると晶出物が
増加して延性又は靱性が低下する。従って、Tiの含有
量は0.005〜0.1%とする。In InはT1相の核生成に寄与する元素である。In含有
量が0.05%未満の場合及びIn含有量が0.3%を超える
場合はその効果が少ない。従って、Inの含有量は0.05
〜0.3%とする。不純物:Fe,Si 鋳塊中に不純物として含有されるFe,Siはいずれも
その含有量が0.25%を超えるとAl−FeSi系晶出物
が増加し、最終製品での延性及び靱性が著しく低下す
る。従って、Fe又はSi不純物の含有量は0.25%以下
に規制する必要がある。
【0011】次に、本発明方法における各処理条件の限
定理由について説明する。本発明においては、以下の工
程で所望の特性を有する鋳物を製造する。 先ず、上記組成のAl−Li系合金鋳物を結晶粒径
がなるべく微細になるように、例えば結晶粒径が3mm
以下になるように鋳込む。この鋳物の結晶粒径が3mm
を超えると、粒界に存在する晶出物のサイズ及び分布が
粗大且つ不均一になりやすい。そうすると、延性及び靱
性が低下する。このため、結晶粒径はなるべく微細な方
が好ましく、好ましくは3mm以下とする。 次いで、鋳物を540〜570℃の温度で均質化処理す
る。この均質化処理の目的は、第1にLi、Cu等の元
素を十分に固溶させること、第2に晶出物を部分的に固
溶させて小さくすることである。この均質化処理の前
に、鋳物を450〜500℃に加熱することにより、ZrAl
3の析出物を形成する処理を行うこともある。 その後、この鋳物に所定の強度を付与するために、
540〜570℃の高温で溶体化処理した後、水中に焼入れ処
理し、その後、110〜250℃の温度に焼戻して時効処理す
る。 これにより、鋳物の組織中に、T1相(Al2Cu
Li)が微細に且つ均一に析出する。熱処理 本合金の鋳造組織中に粒内に均一なT1相を微細に且つ
均一に析出させて強度を向上させるため、前記の工程
で均質化熱処理を行う。この均質化処理は540〜570℃で
行う。熱処理温度が540℃未満ではその均質化効果が少
なく、逆に、熱処理温度が570℃を超えると、バーニン
グを起こす。このため、均質化熱処理は、570℃以下の
なるべく高い温度で行う。また、熱処理時間もなるべく
長時間とすることが好ましい。
定理由について説明する。本発明においては、以下の工
程で所望の特性を有する鋳物を製造する。 先ず、上記組成のAl−Li系合金鋳物を結晶粒径
がなるべく微細になるように、例えば結晶粒径が3mm
以下になるように鋳込む。この鋳物の結晶粒径が3mm
を超えると、粒界に存在する晶出物のサイズ及び分布が
粗大且つ不均一になりやすい。そうすると、延性及び靱
性が低下する。このため、結晶粒径はなるべく微細な方
が好ましく、好ましくは3mm以下とする。 次いで、鋳物を540〜570℃の温度で均質化処理す
る。この均質化処理の目的は、第1にLi、Cu等の元
素を十分に固溶させること、第2に晶出物を部分的に固
溶させて小さくすることである。この均質化処理の前
に、鋳物を450〜500℃に加熱することにより、ZrAl
3の析出物を形成する処理を行うこともある。 その後、この鋳物に所定の強度を付与するために、
540〜570℃の高温で溶体化処理した後、水中に焼入れ処
理し、その後、110〜250℃の温度に焼戻して時効処理す
る。 これにより、鋳物の組織中に、T1相(Al2Cu
Li)が微細に且つ均一に析出する。熱処理 本合金の鋳造組織中に粒内に均一なT1相を微細に且つ
均一に析出させて強度を向上させるため、前記の工程
で均質化熱処理を行う。この均質化処理は540〜570℃で
行う。熱処理温度が540℃未満ではその均質化効果が少
なく、逆に、熱処理温度が570℃を超えると、バーニン
グを起こす。このため、均質化熱処理は、570℃以下の
なるべく高い温度で行う。また、熱処理時間もなるべく
長時間とすることが好ましい。
【0012】次に、工程の溶体化焼入れ処理について
説明する。溶体化温度が540℃未満の場合は、所望の強
度が得られず、逆に溶体化温度が570℃を超えると、バ
ーニングを起こし、かえって強度が低下する。従って、
この溶体化温度は500〜570℃の範囲内でできるだけ高温
で行う。溶体化の時間についてもできるだけ長時間が好
ましい。
説明する。溶体化温度が540℃未満の場合は、所望の強
度が得られず、逆に溶体化温度が570℃を超えると、バ
ーニングを起こし、かえって強度が低下する。従って、
この溶体化温度は500〜570℃の範囲内でできるだけ高温
で行う。溶体化の時間についてもできるだけ長時間が好
ましい。
【0013】この溶体化処理は、前述の均質化処理と焼
入れ前の所謂溶体化処理とに分けて行うこともできる
が、これを540〜570℃に加熱する1工程で同時に実施す
ることもできる。
入れ前の所謂溶体化処理とに分けて行うこともできる
が、これを540〜570℃に加熱する1工程で同時に実施す
ることもできる。
【0014】また、工程の焼きもどし処理は、110〜2
50℃の温度に加熱することにより行う。焼きもどし温度
が110℃未満ではT1相の析出が少ない。逆に、焼きも
どし温度が250℃を超えると最高強度が低くなる。従っ
て、焼きもどし温度は、110℃〜250℃とする。焼戻し時
間はピーク強度が得られる時間を選定することが好まし
い。
50℃の温度に加熱することにより行う。焼きもどし温度
が110℃未満ではT1相の析出が少ない。逆に、焼きも
どし温度が250℃を超えると最高強度が低くなる。従っ
て、焼きもどし温度は、110℃〜250℃とする。焼戻し時
間はピーク強度が得られる時間を選定することが好まし
い。
【0015】上述の熱処理により、展伸材で最も高い強
度が得られる組織、即ちT1相が粒内に微細均一に析出
したものと同一の組織が得られ、しかもT1相が更に一
層微細になるため、展伸材より高い強度が得られる。
度が得られる組織、即ちT1相が粒内に微細均一に析出
したものと同一の組織が得られ、しかもT1相が更に一
層微細になるため、展伸材より高い強度が得られる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例に係るAl−Li系合
金について、その特性を比較例と比較して説明する。下
記表1に示す含有成分のAl−Li系合金を溶製し、鋳
造して厚さが50mmの鋳物を作製した。次いで、下記表2
の熱処理条件にて熱処理を行ない、硬さと密度を測定し
た。比較例の展伸材は前記鋳物を面削した後、均質化処
理して450℃で熱間圧延を開始し、厚さが3mmの熱延板に
仕上げ、次いで冷間圧延にて厚さが1.6mmの冷延板に仕
上げた後、溶体化処理し、その後水焼入れ及び焼戻し処
理した所謂T6材である。
金について、その特性を比較例と比較して説明する。下
記表1に示す含有成分のAl−Li系合金を溶製し、鋳
造して厚さが50mmの鋳物を作製した。次いで、下記表2
の熱処理条件にて熱処理を行ない、硬さと密度を測定し
た。比較例の展伸材は前記鋳物を面削した後、均質化処
理して450℃で熱間圧延を開始し、厚さが3mmの熱延板に
仕上げ、次いで冷間圧延にて厚さが1.6mmの冷延板に仕
上げた後、溶体化処理し、その後水焼入れ及び焼戻し処
理した所謂T6材である。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】この表2から明かなように、本実施例によ
る合金は、比較例合金に比して高い硬度のものが得られ
ていることがわかる。TEM(透過型電子顕微鏡)によ
る組織観察の結果、硬度が高い硬質のものはT1相が粒
内に微細に且つ均一に析出していることが判明した。
る合金は、比較例合金に比して高い硬度のものが得られ
ていることがわかる。TEM(透過型電子顕微鏡)によ
る組織観察の結果、硬度が高い硬質のものはT1相が粒
内に微細に且つ均一に析出していることが判明した。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るAl
−Li系合金鋳物は、高い硬度を有すると共に、密度が
小さいことから高い比強度を有する。
−Li系合金鋳物は、高い硬度を有すると共に、密度が
小さいことから高い比強度を有する。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Li:0.5〜3.5%及びCu:
0.5〜6.0%を含有し、更にMg:0.05〜1%、Zr:0.0
5〜0.3%、Zn:0.05〜1.5%、Cr:0.05〜0.3%、M
n:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3%及びTi:0.005〜
0.1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有するAl−Li系合金の鋳物を540〜570℃で溶体化
し、その後焼入れ焼戻し処理することにより、T1相
(Al2CuLi)を析出させることを特徴とする高強
度Al−Li系合金鋳物の製造方法。 - 【請求項2】 重量%で、Li:0.5〜3.5%、Cu:0.
5〜6.0%、In:0.05〜0.3%を含有し、更にMg:0.0
5〜1%、Zr:0.05〜0.3%、Zn:0.05〜1.5%、C
r:0.05〜0.3%、Mn:0.05〜1.5%、V:0.05〜0.3
%及びTi:0.005〜0.1%からなる群から選択された少
なくとも1種の元素を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物からなる組成を有するAl−Li系合金の鋳物を
540〜570℃で溶体化し、その後焼入れ焼戻し処理するこ
とにより、T1相(Al2CuLi)を析出させること
を特徴とする高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP130593A JPH06207254A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP130593A JPH06207254A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06207254A true JPH06207254A (ja) | 1994-07-26 |
Family
ID=11497780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP130593A Pending JPH06207254A (ja) | 1993-01-07 | 1993-01-07 | 高強度Al−Li系合金鋳物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06207254A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005035810A1 (en) * | 2003-10-03 | 2005-04-21 | Alcoa Inc. | Aluminum-copper-magnesium alloys having ancillary additions of lithium |
CN107858614A (zh) * | 2017-11-22 | 2018-03-30 | 重庆理工大学 | 一种基于Al‑Cu‑Li合金的微米尺度T1相的原位制备方法 |
CN109182807A (zh) * | 2018-09-20 | 2019-01-11 | 北京新立机械有限责任公司 | 一种高强度铝锂合金及其制备方法 |
CN114058912A (zh) * | 2022-01-17 | 2022-02-18 | 北京理工大学 | 一种高比强度、比刚度铝锂合金厚壁环形件及其制备方法 |
CN115821132A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-03-21 | 江苏徐工工程机械研究院有限公司 | 一种铝合金及其制备方法 |
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1993
- 1993-01-07 JP JP130593A patent/JPH06207254A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005035810A1 (en) * | 2003-10-03 | 2005-04-21 | Alcoa Inc. | Aluminum-copper-magnesium alloys having ancillary additions of lithium |
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CN114058912B (zh) * | 2022-01-17 | 2022-04-08 | 北京理工大学 | 一种高比强度、比刚度铝锂合金厚壁环形件及其制备方法 |
CN115821132A (zh) * | 2022-11-25 | 2023-03-21 | 江苏徐工工程机械研究院有限公司 | 一种铝合金及其制备方法 |
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