JPH0569898B2 - - Google Patents

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JPH0569898B2
JPH0569898B2 JP61018860A JP1886086A JPH0569898B2 JP H0569898 B2 JPH0569898 B2 JP H0569898B2 JP 61018860 A JP61018860 A JP 61018860A JP 1886086 A JP1886086 A JP 1886086A JP H0569898 B2 JPH0569898 B2 JP H0569898B2
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Yasunori Sasaki
Tomohiro Nishimura
Noboru Tanaka
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は成形性、焼付硬化性に優れたアルミニ
ウム合金板の製造法に関し、さらに詳しくは、強
度、成形性に優れ、成形加工後の塗装焼付け時の
加熱よる焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板
の製造法に関する。 [従来技術] 従来、自動車用部品等および他の用途に使用さ
れるアルミニウム合金材料に塗装した塗膜に強度
を保持させるために、塗装後加熱(ベーキング)
することが行なわれ、併せて、この加熱を利用し
てアルミニウム合金材料の強度を向上させること
が行なわれている。 このアルミニウム合金材料としては、6009、
6010が使用されており、そして、塗膜の焼付け条
件は200℃の高い温度で60〜90分保持するという
高温長時間処理のため、6009、6010は強度が向上
する効果があつた。 しかし、最近になつて、省エネルギーおよびベ
ーキング後のコストダウンのために、ベーキング
温度を下げ、かつ、加熱時間を短縮する傾向にあ
る。 例えば、特公昭59−039499号公報および特公昭
50−001910号公報には、Al−Mg−Si−Cu基合金
において、溶体化処理後室温に放置した後、200
℃の温度で60分保持する高温長時間のベーキング
を行なつて強度を向上させているが、175℃の温
度で30分保持する低温短時間のベーキングでは強
度向上は殆んど期待できず、あつたとしても僅か
に2Kg/mm2程度の上昇で効果はない。 また、本発明者も先に出願を完了している特願
昭60−113808号の“成形性、焼付硬化性に優れた
アルミニウム合金板およびその製造法において
も、200℃の温度において30分保持するという短
かい時間に下げることができちが、溶体化処理後
3日以上室温に放置した後、175℃の温度で30分
保持する低温短時間のベーキングにおける強度向
上は僅かであつて硬化が少ない。 これの対策として、本発明者は175℃の温度で
30分保持する低温短時間のベーキングでも強度向
上に効果のある製造法である“焼付硬化性に優れ
たアルミニウム合金の製造法”について出願を完
了している(特願昭60−210768号(特公平5−
7460号公報参照。))。 しかして、近年、製品の形状が複雑になり、さ
らに、成形性に優れ、かつ、焼付硬化性を備えた
アルミニウム合金板が強く要望され、いままでに
提案されているアルミニウム合金板およびその製
造法ではその対応が困難になつてきている。 [発明が解決しようとする問題点] 本発明は上記に説明したような従来におけるア
ルミニウム合金の製造法における種々の問題点に
鑑み、本発明者が鋭意研究を行なつた結果、従来
において使用されているAl−Mg−Si−Cu基合金
板の成形性を向上させ、かつ、従来における200
℃の温度で30分または60分のような高温長時間の
ベーキングによると同等の強度向上効果を有して
おり、さらに、175℃の温度で30分間のベーキン
グの低温短時間の加熱により強度を向上させるこ
とができる強度、成形性、焼付硬化性に優れたア
ルミニウム合金板の製造法を開発したのである。 [問題点を解決するための手段] 本発明に係る焼付硬化性に優れたアルミニウム
合金の製造法の特徴とするところは、 Mg 0.4〜1.5wt%、Si 0.3〜2.3wt%、 Cu 0.2〜0.8wt% を含有し、さらに、 Ti 0.1wt%以下、B 0.06wt%以下、 Be 0.2wt%以下、Mn 0.8wt%以下、 Cr 0.4wt%以下、Fe 0.5wt%以下、 Zr 0.2wt%以下、V 0.2wt%以下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、
かつ、 不可避不純物0.2wt%以下 を含有し、残部が実質的にAlからなるAl−Mg−
Si−Cu基合金鋳塊を、加熱速度300℃/時以下の
速度で450〜580℃の温度に加熱して均質化し、熱
間圧延を行ない、次いで、300〜580℃の温度で荒
焼鈍または中間焼鈍を行ない、最終冷間圧延率5
%以上の冷間圧延を行なつて所定の板厚とした
後、溶体化処理として加熱速度100℃/分以上の
加熱速度で480〜580℃の温度に急速加熱し、この
温度域に3秒〜30分保持した後、100℃までの冷
却速度を200℃/分以上で急速冷却を行ない、さ
らに、72時間以内に40〜120℃の温度で8〜36時
間の低温加熱処理を行なうことにある。 本発明に係る成形性、焼付硬化性に優れアルミ
ニウム合金板の製造法につて以下詳細に説明す
る。 先ず、本発明に係る成形性、焼付硬化性に優れ
たアルミニウム合金板の製造法に使用するアルミ
ニウム合金の含有成分および成分割合について説
明する。 MgはSiと共同して強化を付与する元素であり、
含有量が0.4wt%未満では強度が低く、また、
1.5wt%を越えて含有されると成形性が悪くなる。
よつて、成形性、強度およびベーキングによる強
度向上のバランスを図るために、Mg含有量は0.4
〜1.5wt%とする。 SiはMgと共同して強化を付与する元素であり、
含有量が0.3wt%未満では強度が低く、また、
2.3wt%を越えて含有されると成形性が悪くなり、
さらに、2.5wt%になると熱間圧延性が低下し、
熱間圧延中にワニロ等の割れが発生する。よつ
て、成形性、強度およびベーキングによる高度向
上のバランスを図るために、Si含有量は0.3〜
2.3wt%とする。 Cuはその含有量に比例して強度およびベーキ
ングによる強度向上を大きくするという効果を付
与する元素であるが、耐蝕性を低下させる元素で
もあり、含有量が0.2wt%未満では耐蝕性は良好
であるが、高度およびベーキングによる強度向上
効果は小さく、また、0.8wt%を越えて含有され
ると強度およびベーキングによる強度向上効果は
大きいが、耐蝕性を低下させる。よつて、Cu含
有量は0.2〜0.8wt%とする。 Tiは鋳塊の結晶粒を微細にし、かつ、成形性
を向上させる元素であり、含有量が0.1wt%を越
えて含有されると粗大な晶出物を形成し、成形性
を低下させる。よつて、Ti含有量は0.1wt%以下
とする。 BはTiと同様に鋳塊の結晶粒を微細化し、さ
らに、晶出物の微細化を行い、成形性を向上させ
る元素であり、含有量が0.06wt%を越えて含有さ
れると粗大な晶出物を形成し、成形性を低下させ
る。よつて、B含有量は0.06wt%以下とする。 なお、TiおよびBはAl−Ti−Bの中間合金ま
たはAl−Ti中間合金およびAl−B中間合金によ
つて含有させることが望ましい。 Beは熱間圧延性の向上および製品の成形性向
上に効果があり、この効果は含有量が増加するに
従つて向上するが、0.2wt%を越えて含有される
と効果が飽和する。よつて、Be含有量は0.2wt%
以下とする。なお、Beは成形性を重視する時に
用いるが、それ程重視されない時は用いないこと
もある。 Mn、Cr、Zr、Vは強度を向上させる効果があ
るが、含有量が増加すると粗大晶出物を生成し成
形性を低下させ、Feは強度向上効果は小さく、
粗大な晶出物を生成し成形性を低下させる。よつ
て、強度向上と成形性のバランスからMn含有量
は0.8wt%以下、Cr含有量は0.4wt%以下、Fe含
有量は0.5wt%以下、Zr含有量は0.2wt%以下、V
含有量は0.1wt%以下とし、このうちから選んだ
1種または2種以上を含有させるのがよい。 特に、成形性と焼付硬化性を保持させるために
は、Mn、Cr、Zr、V、Feは単独で含有量を
0.1wt%以下とするか、または、Mn+Cr+Zr+
Vの合計量を0.2wt%以下に制御するのがよい。 不可避不純物は、焼付硬化性および成形性を害
さない程度で単独で0.2wt%までの含有は許容さ
れる。 なお、本発明に係る成形性、焼付硬化性に優れ
たアルミニウム合金板の製造法においては、晶出
物の大きさが成形性に影響し、晶出物の最長辺長
さが13μmを越えると成形性が低下し、従つて、
焼付硬化性および成形性を併せ備える場合には、
最終熱処理後の晶出物の最長辺長さは13μm以下
に制御する必要がある。 次に、本発明に係る成形性、焼付硬化性に優れ
たアルミニウム合金板の製造法における熱処理に
ついて説明する。 上記に説明した含有成分おび成分割合のアルミ
ニウム合金鋳塊の均質化処理は、低温短時間加熱
のベーキングにおいての強度向上に対する効果が
小さいが、成形性向上に対しては効果がある。特
に成形性焼付硬化性を有する組成(Mn、Cr、
Zr、VおよびFeは単独で0.1wt%以下またはMn
+Cr+Zr+Vの合計量を0.2wt%以下にい制御す
る。)の均質化処理は、均質化処理温度までの加
熱速度が早過ぎると素材の成形性の低下が大きく
なるので、加熱速度は300℃/時以下としなけれ
ばならず、そして、均質化処理温度は450℃未満
の温度では素材の成形性の低下を招来し、また、
580℃を越える温度ではバーニングが生じるよう
になる。よつて、均質化処理温度は450〜580℃と
する。 なお、450〜580℃の温度における均質化処理時
間は1〜10時間程度が望ましい。続く熱間圧延は
200〜580℃の温度で行ない、終了板厚は2.0mm以
上、好ましくは、2.5〜7mmの板厚に仕上げるの
が生産性に良い。 熱間圧延後、焼鈍(荒焼鈍という。)を行なう
と素材の成形性が向上する。或いは、冷間圧延工
程の途中において中間焼鈍を行なつても同様であ
る。この荒焼鈍または中間焼鈍の温度は高い程成
形性向上効果があるが、300℃未満ではこの効果
は少なく、また、580℃を越える温度ではバーニ
ングを起し成形性が低下する。 加熱時間は300℃程度の温度では1時間未満で
は効果が小さく、長時間保持すれば効果は向上す
るが、生産性の面から6時間以内とするのがよ
く、また、580℃程度の温度では数分程度で充分
に効果が期待できる。よつて、荒焼鈍または中間
焼鈍は300℃のように低い温度では2〜3時間、
580℃を越える温度では数分行なうのがよい。 冷間圧延は素材の成形性向上に効果があり、冷
間圧延率が大きくなるに従つて成形性の向上が大
きくなるが、5%未満ではその効果が小さい。よ
つて、熱処理前の最終冷間圧延率は5%以上とす
る。 溶体化処理は、急速加熱で高温短時間の加熱、
続いて、急速冷却を行なうことによつて素材強
度、高い成形性およびベーキング後の強度を向上
させる処理であり、即ち、加熱速度100℃/分以
上で480〜580℃の高温に急速加熱して、この温度
に3秒以上保持するのであり、加熱温度が480℃
未満の温度では素材強度およびベーキング後の強
度が低く、また、580℃を越える温度ではバーニ
ングを発生して成形性が低下する。なお、480℃
未満の加熱温度では加熱時間が3秒以下の保持で
はベーキング後の強度向上が少なく、30分の保持
を行なえばベーキング後の強度が向上する。従つ
て、ベーキング後の強度向上を目的とするには長
時間保持するとよく、成形性とベーキングを併せ
備えさせるには、3〜30秒程度とするのがよい。 次いで、100℃までの冷却速度を200℃/分以上
で急冷するのであるが、100℃までの冷却速度が
200℃/分未満では成形性が低下し、および、ベ
ーキング後の強度構造が少なく、そして、100℃
までの冷却速度を200℃/分以上とすることによ
り成形性およびベーキング後の強度向上が大きく
なる。 よつて、溶体化処理は、加熱速度100℃/分以
上で480〜580℃の温度に急速加熱し、保持時間を
3秒以上とし、100℃までの冷却速度を200℃/分
以上で行なうのである。 この溶体化処理に続いて最終熱処理を行なうこ
とによつて、従来の高温長時間のベーキング条件
の200℃の温度に60分の保持による強度向上効果
を有し、さらに、低温短時間のベーキング条件
(例えば、175℃×30分)でも強度向上効果を有す
ることができるのである。 即ち、溶体化処理後、72時間以内に加熱速度お
よび冷却速度に関係なく、40〜120℃の温度に加
熱し、この温度に8〜36時間保持するのである
が、40℃未満の温度では成形性は良く、従来の高
温長時間の200℃の温度で60分保持するベーキン
グによる強度向上効果はあるものの従来より低い
低温短時間加熱のベーキングによる強度向上効果
は小さく、また、120℃の温度を越えると従来の
高温長時間と従来よりも低い低温短時間での強度
向上効果は持ち合せているが、成形性を低下させ
る。 この保持時間であるが、8時間未満では高温長
時間のベーキングによる強度向上効果はあるもの
の、低温短時間のベーキングでの強度向上効果は
小さく、36時間を越えると成形性の低下および低
温短時間のベーキングによる強度向上効果が小さ
い。 従つて、溶体化処理後の温加熱処理は、溶体化
処理後72時間以内に40〜120℃の温度で8〜36時
間行なうのである。 以上の処理工程を終了したアルミニウム合金は
形成性が良好で、かつ、200℃の温度で30分およ
び60分保持するという従来条件におけるベークハ
ード性を保持し、さらに、175℃の温度で30分保
持するという低温短時間の焼付硬化性を備え、強
度、成形性および焼付硬化性の優れた性質を有す
るようになる。さらに、高い成形性を有する場合
には素材の晶出化合物の大きさは最長辺長さを
13μm以下とすればよい。 尚、低温加熱処理後、必要に応じてレベラーま
たはスキンパス等により歪矯正を行なうのがよ
く、この時の加工率は15%以下とするのが成形性
の低下防止という点で望ましいものである。 [実施例] 本発明に係る焼付硬化性に優れたアルミニウム
合金板およびその製造法の実施例を説明する。 実施例 1 第1表に示す含有成分および成分割合のアルミ
ニウム合金を通常の方法により溶解、鋳造および
面削を行ない、加熱速度40℃/時の速度で530℃
の温度に加熱し、4時間その温度に保持する均質
化処理を行ない、300〜530℃の温度で板厚5mmま
で熱間圧延を行ない、室温まで下げ、2mm厚さま
で冷間圧延を行ない、350℃の温度において2時
間の中間焼鈍を行なつた後、圧延率50%の最終冷
間圧延を行なつて1mm厚のアルミニウム合金板と
し、その板を加熱速度200℃/分で550℃の温度に
加熱し、この温度に10秒保持し、800℃/分の冷
却速度で100℃まで冷却する溶体化処理を行ない、
次いで、室温に1日放置し、70℃の温度に24時間
保持する低温加熱処理を行ない、室温に30日放置
した後の本発明に係る焼付硬化性に優れたアルミ
ニウム合金板の製造法により製造された合金およ
び比較合金の諸特性と従来のベーキング条件の
200℃の温度に60分保持および従来の低温短時間
のベーキング条件の175℃の温度に30分保持の耐
力を第2表に示す。 この第2表から有らかなように、本発明に係る
焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造法
により製造された合金のNo.1〜No.11は、比較合金
のNo.1〜No.9に比べて強度、成形性に優れ、さら
に、従来の高温長時間(200℃の温度に60分保持)
における焼付硬化性に加えて175℃の温度に30分
保持する低温短時間の焼付硬化性を兼ね備えたバ
ランスのよい材料であることがわかる。 Mg、Si、Cu含有量の少ない比較合金No.1で
は、強度およびベーキングによる強度向上が小さ
く、また、Mg、Si、Cuの含有量が多すぎる比較
合金No.2は伸び、エリクセン値が低く、成形性の
劣化が大きすぎる。 なお、Mn含有量0.9wt%、Cr含有量0.6wt%、
Zr含有量0.3wt%、V含有量0.3wt%、Fe含有量
0.7wt%を含有すると強度向上の効果はあるが、
伸びおよびエリクセン値の低下が大きく、成形性
の劣化が大きくなることがわかる。 また、Ti含有量が0.2wt%、B含有量が0.05wt
%では、粗大な晶出物が生成し、伸びやエリクセ
ン値が低下しており、成形性の劣化が大きくな
る。さらに、Beは含有量が増加するに従つて成
形性は向上するが、0.1wt%を越えるとその効果
が飽和している。 本発明に係る焼付硬化性に優れたアルミニウム
合金板の製造法により製造されたNo.2、3、10、
11は、晶出物の最長辺長さが13μm以下であり、
高成形性と175℃の温度で30分保持するベーキン
グによる強度向上とを併せ有している。
【表】
【表】
【表】 実施例 2 第3表に、実施例1の第1表に示した含有成分
および成分割合のアルミニウム合金No.3およびNo.
4の均質化処理条件および材料の特性を示す。 即ち、上記合金No.3およびNo.4の鋳塊を50〜
400℃/時の加熱速度で400〜590℃に加熱し、こ
の温度に4時間保持する均質化処理と、250〜590
℃の温度の間で板厚3.0mmに熱間圧延し、続いて
圧延率66.7%の冷間圧延を行なつて1mm厚さのア
ルミニウム合金板とした。溶体化処理として、1
mm厚さのアルミニウム合金板を実体で加熱速度
200℃/分で530℃の温度に20秒保持し、150℃の
温度まで冷却速度700℃/分で冷却する溶体化処
理を行なつた。 この溶体化処理を終了したアルミニウム合金板
を室温に30日放置した後の特性値を第3表に示
す。 この第3表から明らかなように、試料No.3の成
形性、焼付硬化性を有する組成では、加熱速度が
大きくなるに従つて形成性が低下しており、400
℃/時では成形性の低下が大きいことから、加熱
速度は200℃/時以下とすることがよい。また、
均質化処理温度が高くなるに従つて成形性は向上
するが、試料No.3およびNo.4も590℃の温度では
バーニングにより成形性が低下するようになる。 従つて、鋳塊の均質化処理の条件は、加熱速度
300℃/時以下の速度で450〜580℃の温度で行う。
【表】 実施例 3 第4表に、実施例1の第1表に示す含有成分お
よび成分割合のアルミニウム合金No.9の荒焼鈍ま
たは中間焼鈍の処理条件と材料特性を示す。 即ち、上記アルミニウム合金の鋳塊を加熱速度
100℃/時で500℃の温度に加熱し、この温度に6
時間保持する均質化処理を行ない、275〜500℃の
温度で板厚3.5mmまで熱間圧延を行ない、続いて、
40℃/時の加熱速度で275〜590℃に2時間加熱
し、20℃/時の冷却速度で室温まで冷却する焼鈍
を行ない、圧延率71.4%の冷汗圧延を行ない、板
厚1.0mmのアルミニウム合金とした。溶体処理と
して、アルミニウム合金板を実体で加熱速度300
℃/分で550℃の温度に加熱し、この温度に5秒
保持し、100℃の温度まで冷却速度500℃/分で冷
却する熱処理を行なつた。 このような溶体化処理を終了したアルミニウム
合金板を室温に30日放置した後の素材の特性を第
4表に示す。 この第4表から明らかなように、加熱温度が
300℃未満では成形性向上効果は小さく、590℃の
温度ではバーニングにより成形性が低下する。 従つて、荒焼鈍または中間焼鈍温度は、300〜
580℃の温度において行う。
【表】 実施例 4 第5表に実施例1の第1表に示した含有成分お
よび成分割合のアルミニウム合金No.2、No.6につ
いて最終冷間圧延率および材料特性を示す。 即ち、上記アルミニウム合金の鋳塊を加熱速度
50℃/時で550℃の温度に加熱し、4時間その温
度に保持して均質化処理を行ない、350〜550℃の
温度で板厚5mmまで熱間圧延を行ない、一つは熱
間圧延のままの板厚のものを、他はそれぞれ
1.025mm、1.052mm、1.111mm、1.250mm、2.500mmま
で冷間圧延したものを、40℃/時の加熱速度で
350℃の温度まで加熱し、この温度に2時間保持
した後、40℃/時の冷却速度で室温まで冷却し、
2.4〜80%の最終冷間圧延を行つて、板厚1.0mmに
仕上げ(1.025mmは圧延率2.5%、1.052mmは圧延率
は5%、1.111mmは圧延率10%、1.250mmは圧延率
20%、2.500mmは圧延率60%、熱間圧延のままの
板厚のものは圧延率80%)、溶体化処理として、
500℃/分の加熱速度で530℃の温度に加熱し、こ
の温度に30秒保持し、1000℃/分の冷却速度で
100℃まで冷却する熱処理を行ない、室温に30日
放置した後の特性を第5表に示す。 この第5表から明らかなように、最終冷間圧延
率が5%未満では成形性向上効果は小さく、5
%、10%、20%と冷間圧延率が大きくなるに従つ
て成形性が向上していることがわかる。
【表】 実施例 5 第6表に実施例1の第1表に示した含有成分お
よび成分割合のアルミニウム合金No.3およびNo.4
を、加熱速度40℃/時で加熱温度500℃とし、こ
の温度に6時間保持する均質化処理を行なつた
後、250〜500℃の温度で板厚4.0mmまで熱間圧延
を行ない、次いで、40℃/時の加熱速度で400℃
の温度の温度において、2時間保持する荒焼鈍を
行ない、その後、冷間圧延を行なつて1.0mm厚さ
の板とし、この板を加熱速度300℃/分で450℃か
ら590℃の温度に加熱し、この温度に5〜90秒保
持する骨温短時間加熱後、冷却速度100℃/分〜
急冷(水中に焼入れ)により100℃まで(急冷の
場合は水温まで)例の溶体化処理を行ない、室温
に1日放置後100℃の温度に8時間の低温加熱処
理後、室温に30日放置した後の特性を、比較例と
して従来の低温加熱処理を行なわない場合の特性
と比較して第6表に示す。 この第6表から明らかなように、溶体化処理温
度が450℃では従来の200℃×60分のベーキングに
よる耐力の向上があるが、175℃×30分ではその
効果が小さい。また、590℃ではバーニングによ
り成形性(伸び、エリクセン値)が低く、保持時
間が0秒ではベーキングによる強度向上効果は小
さいが、5秒では効果が認められ、さらに、冷却
速度が100℃/分では200℃×60分の最高長時間の
ベーキングによる耐力の向上はあるが、175℃×
30分という低温短時間のベーキングでは耐力の向
上は小さいことがわかる。 従つて、溶体化処理は加熱温度が480〜580℃で
保持時間は3秒以上とし、冷却速度を200℃/分
以上とする必要がある。 なお、成形性を重視する場合には、保持時間を
3〜120秒、強度を重視する場合には30分までの
長時間加熱が許容される。
【表】
【表】 実施例 6 実施例1の第1表のNo.3、No.4の合金を通常の
方法により溶解した、鋳造した鋳塊を面削し、加
熱速度40℃/時で530℃に加熱し、この温度に6
時間保持する均質化処理後、250〜530℃の温度で
3.5mmの板厚まで熱間圧延を行ない、この板を450
℃の温度で3時間の焼鈍を行ない、冷間圧延によ
り1.0mmの板厚とし、次いで、加熱速度200℃/分
で520℃の温度とし、この温度により15秒保持す
る高温短時間の溶体化処理を行ない、600℃/分
で冷却速度で室温まで冷却し、室温に0〜96時間
放置し、30〜150℃の温度で4〜48時間の低温加
熱処理を行ない、室温に30日放置後の特性および
ベーキング特性を第7表に示す。 この第7表から明らかなように、溶体化処理後
低温加熱処理までの室温放置時間は短かい程ベー
キング性は良好で、96時間では200℃×60分の高
温長時間のベーキング性は耐力の向上はあるが、
175℃×30分の低温短時間のベーキングでは耐力
の向上は少なく、低温加熱処理温度は30℃では高
温長時間のベーキングで耐力の向上はあるが、低
温短時間のベーキングで耐力の向上が小さく、
150℃では伸びが低下するが高温長時間および低
温短時間のベーキングによる向上が認められ、加
熱時間が4時間では高温長時間ベーキングで耐力
の向上はあるが、低温短時間のベーキングで耐力
の向上は少なく、48時間になると伸びが低く、低
温短時間ベーキングで耐力の向上がない。また、
低温加熱処理を行なわないと高温長時間のベーキ
ングによる耐力の向上はあるが、低温短時間のベ
ーキングによる耐力の向上はない。 従つて、溶体化処理後の低温加熱処理は、溶体
化処理後72時間以内に40〜120℃の温度で8〜36
時間の加熱を行なうのである。
【表】 [発明の効果] 以上説明したように、本発明に係る焼付硬化性
に優れたアルミニウム合金板およびそのの製造法
は上記の構成であるから、製造されたアルミニウ
ム合金板は成形性に優れ、かつ、高温長時間
(200℃×60分)および低温短時間(175℃×30分)
の何れのベーキングにおいても強度向上性を有す
る焼付硬化性に優れた効果を奏するものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 Mg 0.4〜1.5wt%、Si 0.3〜2.3wt%、 Cu 0.2〜0.8wt% を含有し、さらに、 Ti 0.1wt%以下、B 0.06wt%以下、 Be 0.2wt%以下、Mn 0.8wt%以下、 Cr 0.4wt%以下、Fe 0.5wt%以下、 Zr 0.2wt%以下、V 0.2wt%以下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、
    かつ、 不可避不純物0.2wt%以下 を含有し、残部が実質的にAlからなるAl−Mg−
    Si−Cu基合金鋳塊を、加熱速度300℃/時以下の
    速度で450〜580℃の温度に加熱して均質化し、熱
    間圧延を行ない、次いで、300〜580℃の温度で荒
    焼鈍または中間焼鈍を行ない、最終冷間圧延率5
    %以上の冷間圧延を行なつて所定の板厚とした
    後、溶体化処理として加熱速度100℃/分以上の
    加熱速度で480〜580℃の温度に急速加熱し、この
    温度域に3秒〜30分保持した後、100℃までの冷
    却速度を200℃/分以上で急速冷却を行ない、さ
    らに、72時間以内に40〜120℃の温度で8〜36時
    間の低温加熱処理を行なうことを特徴とする強
    度、成形性、焼付硬化性に優れたアルミニウム合
    金板の製造法。
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