JPH04318144A - 強度、焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板及びその製造方法 - Google Patents
強度、焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板及びその製造方法Info
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- JPH04318144A JPH04318144A JP3112379A JP11237991A JPH04318144A JP H04318144 A JPH04318144 A JP H04318144A JP 3112379 A JP3112379 A JP 3112379A JP 11237991 A JP11237991 A JP 11237991A JP H04318144 A JPH04318144 A JP H04318144A
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Landscapes
- Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度、焼付硬化性かつ
成形性に優れたAl合金板及びその製造方法に係り、よ
り詳しくは、T4状態での素材強度が高く、素材の薄肉
化に対して有効で、かつ自動車部品、家電部品、機械部
品で加工時の成形性に優れ、これらの製造過程にある焼
付塗装(ベーキング)などの短時間加熱処理により強度
の向上が期待できるAl合金板及びその製造方法に関す
る。
成形性に優れたAl合金板及びその製造方法に係り、よ
り詳しくは、T4状態での素材強度が高く、素材の薄肉
化に対して有効で、かつ自動車部品、家電部品、機械部
品で加工時の成形性に優れ、これらの製造過程にある焼
付塗装(ベーキング)などの短時間加熱処理により強度
の向上が期待できるAl合金板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
自動車部品、家電部品、機械部品等の軽量化を主体とし
て使用されているAl合金板は、プレスや曲げ等の成形
加工が行われ、加工後の塗装工程において、塗装膜に強
度を与えるために加熱処理(焼付塗装:ベーキング)が
行われている。その際の加熱温度を利用してAl合金板
の強度を向上させる方法が行われている。
自動車部品、家電部品、機械部品等の軽量化を主体とし
て使用されているAl合金板は、プレスや曲げ等の成形
加工が行われ、加工後の塗装工程において、塗装膜に強
度を与えるために加熱処理(焼付塗装:ベーキング)が
行われている。その際の加熱温度を利用してAl合金板
の強度を向上させる方法が行われている。
【0003】かゝるAl合金板としては、プレス等の成
形加工時には強度を低くし、成形が容易で、成形加工後
は、焼付塗装の加熱処理により強度が著しく向上する材
料であることが理想とされ、主としてAl−Mg−Si
系Al合金が使用されている。
形加工時には強度を低くし、成形が容易で、成形加工後
は、焼付塗装の加熱処理により強度が著しく向上する材
料であることが理想とされ、主としてAl−Mg−Si
系Al合金が使用されている。
【0004】しかし、従来、この種の用途に使用される
Al−Mg−Si系Al合金及びその製造方法において
は、成形性或いは形状凍結性の重視により、T4状態で
の強度が極めて低く、更には焼付硬化後に強度が向上し
たとしても十分な強度が得られず、軽度な外力を加えた
だけで変形してしまうという問題があった。
Al−Mg−Si系Al合金及びその製造方法において
は、成形性或いは形状凍結性の重視により、T4状態で
の強度が極めて低く、更には焼付硬化後に強度が向上し
たとしても十分な強度が得られず、軽度な外力を加えた
だけで変形してしまうという問題があった。
【0005】一方、自動車用部品においては、自動車の
低燃費規制により、更に軽量化が推進される傾向にある
。これにより、Al合金板の薄肉化が要求されるが、従
来のAl合金板及びその製造方法では、T4状態での素
材強度を低くして成形性を向上させているか、或いは、
薄肉化のため素材強度を高くすると成形性が著しく劣る
等の問題があった。
低燃費規制により、更に軽量化が推進される傾向にある
。これにより、Al合金板の薄肉化が要求されるが、従
来のAl合金板及びその製造方法では、T4状態での素
材強度を低くして成形性を向上させているか、或いは、
薄肉化のため素材強度を高くすると成形性が著しく劣る
等の問題があった。
【0006】更に、最近の焼付塗装の焼付条件は、省エ
ネルギー化及び生産性向上のため、加えて樹脂などの高
温で処理できない部品の多用化が進み、塗料の進歩した
こと等により、低温化してきている。例えば、自動車用
部品Al合金の焼付温度は、従来は約200℃であった
が、近年、170〜160℃の低温で処理されるように
なっている。このため、従来のAl−Mg−Si系Al
合金板及びその製造方法では、最近の傾向であるこのよ
うな低温処理で焼付硬化性を向上させることは極めて困
難であった。
ネルギー化及び生産性向上のため、加えて樹脂などの高
温で処理できない部品の多用化が進み、塗料の進歩した
こと等により、低温化してきている。例えば、自動車用
部品Al合金の焼付温度は、従来は約200℃であった
が、近年、170〜160℃の低温で処理されるように
なっている。このため、従来のAl−Mg−Si系Al
合金板及びその製造方法では、最近の傾向であるこのよ
うな低温処理で焼付硬化性を向上させることは極めて困
難であった。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたものであり、軽量化に伴う薄肉化に対
応した素材強度の高強度化、更には高強度にしても成形
性の劣化を顕著に抑制でき、かつ、焼付塗装時の焼付条
件が低い温度で、しかも、短時間の処理であっても優れ
た焼付硬化性を有するAl合金板及びその製造方法を提
供することを目的とするものである。
るためになされたものであり、軽量化に伴う薄肉化に対
応した素材強度の高強度化、更には高強度にしても成形
性の劣化を顕著に抑制でき、かつ、焼付塗装時の焼付条
件が低い温度で、しかも、短時間の処理であっても優れ
た焼付硬化性を有するAl合金板及びその製造方法を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来のAl−M
g−Si系合金の強化機構は次のような時効硬化機構に
基づくものであることが判明した。
解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来のAl−M
g−Si系合金の強化機構は次のような時効硬化機構に
基づくものであることが判明した。
【0009】
【0010】よって、素材強度を高強度化するための手
段として、次の2点が考えられた。 (1)比較的原子半径の小さく、かつAl中の拡散速度
が著しく速い元素を用い、T4状態でのG.P.ゾーン
の析出を著しく促進させる。 (2)次いで、成形性の向上のために、成形性の目安と
なる伸びに関し、板厚方向の結晶粒を微細化すると共に
、晶出物や金属間化合物の量を最適化して、成形中の加
工硬化を低減することである。
段として、次の2点が考えられた。 (1)比較的原子半径の小さく、かつAl中の拡散速度
が著しく速い元素を用い、T4状態でのG.P.ゾーン
の析出を著しく促進させる。 (2)次いで、成形性の向上のために、成形性の目安と
なる伸びに関し、板厚方向の結晶粒を微細化すると共に
、晶出物や金属間化合物の量を最適化して、成形中の加
工硬化を低減することである。
【0011】そこで、Al−Mg−Si系合金に上記2
点の効果を付与し得る主要添加元素を見い出すべく研究
を重ねたところ、(1)の条件を満足する元素としてB
e、(2)の条件を満足する元素としてMnがあること
を見い出した。本発明は、かゝる知見に基づき、更にそ
の含有成分や製造条件等について詳細に研究を重ねて完
成したものである。
点の効果を付与し得る主要添加元素を見い出すべく研究
を重ねたところ、(1)の条件を満足する元素としてB
e、(2)の条件を満足する元素としてMnがあること
を見い出した。本発明は、かゝる知見に基づき、更にそ
の含有成分や製造条件等について詳細に研究を重ねて完
成したものである。
【0012】すなわち、本発明は、Mg:0.3〜1.
0%、Si:0.5〜2.0%をMg/Si比が1以下
で含有し、更にBe:0.03〜0.2%及びMn:0
.05〜1.0%を含有し、必要に応じ更にCu:0.
8%以下、Ti:0.1%以下、Cr:0.4%以下並
びにFe:0.5%以下のうちの少なくとも1種を含有
している残部がAl及び不純物からなる組成を有し、板
厚方向の結晶粒径が30μm以下であることを特徴とす
る強度、170℃以下の低温焼付での焼付硬化性かつ成
形性に優れたAl−Mg−Si系Al合金板を要旨とす
るものである。
0%、Si:0.5〜2.0%をMg/Si比が1以下
で含有し、更にBe:0.03〜0.2%及びMn:0
.05〜1.0%を含有し、必要に応じ更にCu:0.
8%以下、Ti:0.1%以下、Cr:0.4%以下並
びにFe:0.5%以下のうちの少なくとも1種を含有
している残部がAl及び不純物からなる組成を有し、板
厚方向の結晶粒径が30μm以下であることを特徴とす
る強度、170℃以下の低温焼付での焼付硬化性かつ成
形性に優れたAl−Mg−Si系Al合金板を要旨とす
るものである。
【0013】また、その製造方法は、前記化学成分を有
するAl合金鋳塊にバーニング温度以下の温度で均質化
処理を施した後、熱間圧延を行い、次いで冷間圧延を行
って所望の板厚とした後、溶体化処理として100℃/
分以上の加熱速度で530〜590℃の温度に急速加熱
し、この温度域に10秒以上保持した後、冷却速度を3
00℃/分以上で50〜120℃の温度に焼入れし、そ
のまま50〜120℃の温度で1〜48時間の温度に保
持することを特徴とするものである。また、その製造方
法は、前記化学成分を有するAl合金鋳塊を均質化処理
を施した後、熱間圧延を行い、次いで冷間圧延をし所望
の板厚とした後、溶体化処理として100℃/分以上の
加熱速度で500〜590℃の温度に急速加熱し、この
温度域に10秒以上保持後、冷却速度を300℃/分以
上で50〜120℃の温度に焼入れし、そのまま50〜
120℃の温度で1〜48時間の温度に保持する。
するAl合金鋳塊にバーニング温度以下の温度で均質化
処理を施した後、熱間圧延を行い、次いで冷間圧延を行
って所望の板厚とした後、溶体化処理として100℃/
分以上の加熱速度で530〜590℃の温度に急速加熱
し、この温度域に10秒以上保持した後、冷却速度を3
00℃/分以上で50〜120℃の温度に焼入れし、そ
のまま50〜120℃の温度で1〜48時間の温度に保
持することを特徴とするものである。また、その製造方
法は、前記化学成分を有するAl合金鋳塊を均質化処理
を施した後、熱間圧延を行い、次いで冷間圧延をし所望
の板厚とした後、溶体化処理として100℃/分以上の
加熱速度で500〜590℃の温度に急速加熱し、この
温度域に10秒以上保持後、冷却速度を300℃/分以
上で50〜120℃の温度に焼入れし、そのまま50〜
120℃の温度で1〜48時間の温度に保持する。
【0014】以下に本発明を更に詳述する。
【0015】
【作用】まず、本発明における化学成分の限定理由につ
いて説明する。
いて説明する。
【0016】Mg:Mgはそれ自体の固溶体強化と、S
iと共同して強度を付与する元素であり、時効析出物β
′−Mg2Siを析出し、更に後述するようにCuと結
合した場合、時効析出物S′−CuMgAl2の析出に
よる析出硬化により強度を付与するものである。しかし
、0.3%未満では十分な強度(以下、強度とは素材及
び170℃以下の低温焼付塗装後の強度をいう)が得ら
れず、また、1.2%を超えて添加すると、鋳造時に平
衡相Mg2Siが晶出として成長し、伸びの低下が見ら
れることにより成形性が著しく低下する。よって、Mg
含有量は0.3〜1.0%の範囲とする。
iと共同して強度を付与する元素であり、時効析出物β
′−Mg2Siを析出し、更に後述するようにCuと結
合した場合、時効析出物S′−CuMgAl2の析出に
よる析出硬化により強度を付与するものである。しかし
、0.3%未満では十分な強度(以下、強度とは素材及
び170℃以下の低温焼付塗装後の強度をいう)が得ら
れず、また、1.2%を超えて添加すると、鋳造時に平
衡相Mg2Siが晶出として成長し、伸びの低下が見ら
れることにより成形性が著しく低下する。よって、Mg
含有量は0.3〜1.0%の範囲とする。
【0017】Si:SiはMgと共同して主として時効
析出物β′−Mg2Siの析出による析出硬化で強度を
付与する元素である。しかし、0.5%未満では十分な
強度が得られず、また、2.0%を超えると平衡相Mg
2Siが晶出し、伸びを大きく低下させ、すなわち、成
形性の劣化を生ずる。よって、Si含有量は0.5〜2
.0%の範囲とする。
析出物β′−Mg2Siの析出による析出硬化で強度を
付与する元素である。しかし、0.5%未満では十分な
強度が得られず、また、2.0%を超えると平衡相Mg
2Siが晶出し、伸びを大きく低下させ、すなわち、成
形性の劣化を生ずる。よって、Si含有量は0.5〜2
.0%の範囲とする。
【0018】但し、Mg量とSi量の比(Mg/Si)
が1以下となるように成分調整をする必要がある。これ
は、この比が1より大きいと、低温焼付塗装による加熱
処理を施しても強度が上がらず、また素材で室温放置時
間が長いと成形性が劣化するためである。
が1以下となるように成分調整をする必要がある。これ
は、この比が1より大きいと、低温焼付塗装による加熱
処理を施しても強度が上がらず、また素材で室温放置時
間が長いと成形性が劣化するためである。
【0019】Be:Beは原子半径が1.13Åと小さ
く、かつAl中の拡散係数が52cm/sとAl中の拡
散元素の中では最も大きいので、T4状態でのG.P.
ゾーンの析出や低温焼付塗装後のβ′−Mg2Siの析
出速度を促進し、強度の向上に寄与する元素である。し
かし、0.03%未満では十分な強度を得ることができ
ず、また、0.2%を超えると耐食性及び成形性が劣化
する。 よって、Be含有量は0.03〜0.2%の範囲とする
。
く、かつAl中の拡散係数が52cm/sとAl中の拡
散元素の中では最も大きいので、T4状態でのG.P.
ゾーンの析出や低温焼付塗装後のβ′−Mg2Siの析
出速度を促進し、強度の向上に寄与する元素である。し
かし、0.03%未満では十分な強度を得ることができ
ず、また、0.2%を超えると耐食性及び成形性が劣化
する。 よって、Be含有量は0.03〜0.2%の範囲とする
。
【0020】Mn:Mnは、Cuと同様に、第二層析出
物としてMnAl6が析出し、溶体化処理を十分に行っ
て強度を上げてもAl−Mg−Si系合金の集合組織に
何ら変化を与えず、しかも合金組織の再結晶を抑制して
結晶粒を微細化する効果がある。そのため、成形向上に
寄与する元素である。しかし、0.05%未満では、結
晶粒微細化効果が現われず、しかも、第二層析出物Mn
Al6の析出が顕著ではないため成形加工性の向上が認
められない。また、1.0%を超えて含有すると粗大な
晶出物を生成し、成形性を低下させる。よって、Mnの
含有量は0.05〜1.0%の範囲とする。この範囲で
Mnを添加することにより、溶体化処理を十分に行って
素材強度を上げても、板厚方向の結晶粒が30μm以下
にあり、しかも集合組織に変化を与えないため、成形性
の劣化は認められない。
物としてMnAl6が析出し、溶体化処理を十分に行っ
て強度を上げてもAl−Mg−Si系合金の集合組織に
何ら変化を与えず、しかも合金組織の再結晶を抑制して
結晶粒を微細化する効果がある。そのため、成形向上に
寄与する元素である。しかし、0.05%未満では、結
晶粒微細化効果が現われず、しかも、第二層析出物Mn
Al6の析出が顕著ではないため成形加工性の向上が認
められない。また、1.0%を超えて含有すると粗大な
晶出物を生成し、成形性を低下させる。よって、Mnの
含有量は0.05〜1.0%の範囲とする。この範囲で
Mnを添加することにより、溶体化処理を十分に行って
素材強度を上げても、板厚方向の結晶粒が30μm以下
にあり、しかも集合組織に変化を与えないため、成形性
の劣化は認められない。
【0021】上述のことから、本発明では、上記Mg、
Si量を含有したAl−Mg−Si系合金に、強度向上
添加元素としてBeを、更に成形性の低下を抑制する元
素としてMnを含有させることを必須条件とするもので
ある。なお、以下に説明する元素Cu、Ti、Cr、F
eのうちの少なくとも1種以上を必要に応じて含有させ
ることができる。
Si量を含有したAl−Mg−Si系合金に、強度向上
添加元素としてBeを、更に成形性の低下を抑制する元
素としてMnを含有させることを必須条件とするもので
ある。なお、以下に説明する元素Cu、Ti、Cr、F
eのうちの少なくとも1種以上を必要に応じて含有させ
ることができる。
【0022】Cu:Cuは強度向上に寄与する元素であ
るが、0.8%を超えると耐食性及び成形性が低下する
。 よって、Cu含有量は0.8%以下とする。
るが、0.8%を超えると耐食性及び成形性が低下する
。 よって、Cu含有量は0.8%以下とする。
【0023】Ti:Tiは鋳塊の結晶粒を微細にし、且
つ成形性を向上させる元素であるが、0.1%を超えて
含有すると、粗大な晶出物を生成し、成形性を低下させ
る。よって、Ti含有量は0.1%以下とする。
つ成形性を向上させる元素であるが、0.1%を超えて
含有すると、粗大な晶出物を生成し、成形性を低下させ
る。よって、Ti含有量は0.1%以下とする。
【0024】Cr:Crは強度を向上させる効果のある
元素であるが、含有量が増加すると粗大な晶出物を生成
して、成形性を低下させることになる。よって、Cr含
有量は0.4%以下とする。
元素であるが、含有量が増加すると粗大な晶出物を生成
して、成形性を低下させることになる。よって、Cr含
有量は0.4%以下とする。
【0025】Fe:Feは強度向上効果は小さいが、含
有量が多くなると晶出物の生成が著しく、成形性を低下
させることになる。よって、Fe含有量は0.5%以下
とする。
有量が多くなると晶出物の生成が著しく、成形性を低下
させることになる。よって、Fe含有量は0.5%以下
とする。
【0026】次に、本発明の製造条件について説明する
。
。
【0027】まず、上記化学成分を有するAl合金鋳塊
に均質化処理を施す。均質化処理は、バーニング温度以
下の温度で行うのが望ましい。続いて熱間圧延を行うが
、この条件は、低温焼付での焼付硬化性に及ぼす効果は
小さいので、特に限定する必要がない。熱間圧延後、冷
間圧延を行って所望の板厚にする。本発明ではここまで
の工程の条件を特に限定する必要はないが、冷間圧延後
の溶体化処理を制御して製造することを最も特徴として
いる。
に均質化処理を施す。均質化処理は、バーニング温度以
下の温度で行うのが望ましい。続いて熱間圧延を行うが
、この条件は、低温焼付での焼付硬化性に及ぼす効果は
小さいので、特に限定する必要がない。熱間圧延後、冷
間圧延を行って所望の板厚にする。本発明ではここまで
の工程の条件を特に限定する必要はないが、冷間圧延後
の溶体化処理を制御して製造することを最も特徴として
いる。
【0028】すなわち、溶体化処理は、急速加熱で高温
短時間の処理、続いて急速冷却を行うことにより、素材
強度の向上及び低温焼付での焼付硬化性の向上を図るの
に重要な処理である。そのため、まず、100℃/分以
上の加熱速度で530〜590℃の高温に急速加熱し、
この温度に10秒以上保持する。加熱温度が530℃未
満の温度では強度の向上が少なく、また、低温焼付での
焼付硬化性の向上も小さい。また590℃を超える温度
ではバーニングを発生するため、好ましくない。なお、
必須成分であるMnの添加により、590℃という高温
で溶体化処理を施し、素材強度を上げても、成形性の劣
化はないので、バーニング寸前までの溶体化処理が可能
となる。また、加熱速度が100℃/分未満或いは保持
時間が10秒未満では、強度の向上、低温焼付での焼付
硬化性の向上効果は得られない。
短時間の処理、続いて急速冷却を行うことにより、素材
強度の向上及び低温焼付での焼付硬化性の向上を図るの
に重要な処理である。そのため、まず、100℃/分以
上の加熱速度で530〜590℃の高温に急速加熱し、
この温度に10秒以上保持する。加熱温度が530℃未
満の温度では強度の向上が少なく、また、低温焼付での
焼付硬化性の向上も小さい。また590℃を超える温度
ではバーニングを発生するため、好ましくない。なお、
必須成分であるMnの添加により、590℃という高温
で溶体化処理を施し、素材強度を上げても、成形性の劣
化はないので、バーニング寸前までの溶体化処理が可能
となる。また、加熱速度が100℃/分未満或いは保持
時間が10秒未満では、強度の向上、低温焼付での焼付
硬化性の向上効果は得られない。
【0029】次いで、急冷するが、冷却速度が300℃
/分未満では低温焼付での焼付硬化性の向上が少ないの
で、冷却速度は300℃/分以上とする必要がある。
/分未満では低温焼付での焼付硬化性の向上が少ないの
で、冷却速度は300℃/分以上とする必要がある。
【0030】本発明では、この冷却速度により、50〜
120℃の温度に焼入れし、この温度(焼入温度)にて
1〜48時間の温度保持を行うのである。この焼入温度
並びに焼入後保持する温度は、50℃未満では低温焼付
での焼付硬化性の向上は認められず、また120℃を超
えると、強度の向上はあるものの、低温焼付での焼付硬
化性の向上は認められないので好ましくない。
120℃の温度に焼入れし、この温度(焼入温度)にて
1〜48時間の温度保持を行うのである。この焼入温度
並びに焼入後保持する温度は、50℃未満では低温焼付
での焼付硬化性の向上は認められず、また120℃を超
えると、強度の向上はあるものの、低温焼付での焼付硬
化性の向上は認められないので好ましくない。
【0031】上記製造条件で得られる素材は、溶体化処
理温度が高温の場合でも、結晶粒径が30μm以下であ
る。素材の結晶粒が30μmを超えると成形性の劣化が
著しいので好ましくない。
理温度が高温の場合でも、結晶粒径が30μm以下であ
る。素材の結晶粒が30μmを超えると成形性の劣化が
著しいので好ましくない。
【0032】次に本発明の実施例を示す。
【0033】
【実施例1】
【表1】
に示す化学成分を有するAl合金を通常の方法で溶解、
鋳造し、得られた鋳塊について、加熱速度40℃/hr
で540℃の温度に6時間保持する均質化処理を施した
後、熱間圧延及び冷間圧延(冷間圧延率30%)を行い
、1.0mm厚の板とした。この板を加熱速度400℃
/分で550℃の温度に40秒間保持し、800℃/分
の冷却速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃
の温度に24時間保持した。
鋳造し、得られた鋳塊について、加熱速度40℃/hr
で540℃の温度に6時間保持する均質化処理を施した
後、熱間圧延及び冷間圧延(冷間圧延率30%)を行い
、1.0mm厚の板とした。この板を加熱速度400℃
/分で550℃の温度に40秒間保持し、800℃/分
の冷却速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃
の温度に24時間保持した。
【0034】得られた素材の特性並びに焼付(170℃
×20分)後の焼付硬化性(耐力)を
×20分)後の焼付硬化性(耐力)を
【表2】
に示す。表2から明らかなように、本発明例No.1〜
No.7は、比較例No.8〜No.14に比べ、高強
度でかつ低温焼付での焼付硬化性に優れ、しかも成形性
の良い材料であることがわかる。なお、本発明例の結晶
粒径は30μm以下であった。
No.7は、比較例No.8〜No.14に比べ、高強
度でかつ低温焼付での焼付硬化性に優れ、しかも成形性
の良い材料であることがわかる。なお、本発明例の結晶
粒径は30μm以下であった。
【0035】
【実施例2】実施例1の表1に示したNo.2のAl合
金(本発明範囲内の化学成分)を通常の方法で溶解、鋳
造し、得られた鋳塊について、加熱速度40℃/hrで
540℃の温度に6時間保持する均質化処理を施した後
、熱間圧延及び冷間圧延(冷間圧延率30%)を行い、
1.0mm厚の板とした。
金(本発明範囲内の化学成分)を通常の方法で溶解、鋳
造し、得られた鋳塊について、加熱速度40℃/hrで
540℃の温度に6時間保持する均質化処理を施した後
、熱間圧延及び冷間圧延(冷間圧延率30%)を行い、
1.0mm厚の板とした。
【0036】次いで、この板を加熱速度400℃/分で
480〜610℃の温度に加熱して1〜60秒間保持し
、600℃/分の冷却速度で30〜150℃の温度に焼
入れし、そのまま30〜150℃の温度に2〜72時間
保持した。
480〜610℃の温度に加熱して1〜60秒間保持し
、600℃/分の冷却速度で30〜150℃の温度に焼
入れし、そのまま30〜150℃の温度に2〜72時間
保持した。
【0037】得られた素材の特性並びに焼付(170℃
×20分)後の焼付硬化性(耐力)を
×20分)後の焼付硬化性(耐力)を
【表3】
に示す。表3から明らかなように、本発明例No.2〜
No.4、No.7〜No.8、No.10〜No.1
1、No.13〜No.14は、いずれも高強度で、低
温焼付での焼付硬化性に優れ、かつ成形性の良い材料で
あることがわかる。なお、本発明例はいずれも結晶粒径
が30μm以下であった。一方、比較例は、溶体化処理
の加熱温度、加熱時間、焼入温度、保持時間のいずれか
が本発明範囲外であるため、強度、低温焼付での焼付硬
化性、成形性のすべてを同時に満足できていない。
No.4、No.7〜No.8、No.10〜No.1
1、No.13〜No.14は、いずれも高強度で、低
温焼付での焼付硬化性に優れ、かつ成形性の良い材料で
あることがわかる。なお、本発明例はいずれも結晶粒径
が30μm以下であった。一方、比較例は、溶体化処理
の加熱温度、加熱時間、焼入温度、保持時間のいずれか
が本発明範囲外であるため、強度、低温焼付での焼付硬
化性、成形性のすべてを同時に満足できていない。
【0038】
【実施例3】実施例1の表1に示したNo.1〜No.
3のAl合金(本発明範囲内の化学成分)と、No.1
0及びNo.13のAl合金(本発明範囲外の化学成分
)を通常の方法で溶解、鋳造し、得られた鋳塊について
、加熱速度40℃/hrで540℃の温度に6時間保持
する均質化処理を施した後、熱間圧延及び冷間圧延(冷
間圧延率30%)を行い、1.0mm厚の板とした。
3のAl合金(本発明範囲内の化学成分)と、No.1
0及びNo.13のAl合金(本発明範囲外の化学成分
)を通常の方法で溶解、鋳造し、得られた鋳塊について
、加熱速度40℃/hrで540℃の温度に6時間保持
する均質化処理を施した後、熱間圧延及び冷間圧延(冷
間圧延率30%)を行い、1.0mm厚の板とした。
【0039】次いで、この板を加熱速度400℃/分で
550℃の温度に40秒間保持し、800℃/分の冷却
速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃の温度
に24時間保持した。この熱処理を施した材料をエメリ
ー紙(320〜1200番)、バフ(アルミナ使用)に
より鏡面研磨し、腐食後、光学顕微鏡にて結晶粒の観察
を行った。得られた素材の特性と結晶粒径並びに焼付(
170℃×20分)後の焼付硬化性の関係を
550℃の温度に40秒間保持し、800℃/分の冷却
速度で50℃の温度に焼入れし、そのまま50℃の温度
に24時間保持した。この熱処理を施した材料をエメリ
ー紙(320〜1200番)、バフ(アルミナ使用)に
より鏡面研磨し、腐食後、光学顕微鏡にて結晶粒の観察
を行った。得られた素材の特性と結晶粒径並びに焼付(
170℃×20分)後の焼付硬化性の関係を
【4表】に
示すと共に、No.2及びNo.10の材料の結晶組織
写真を図1及び図2に示す。
示すと共に、No.2及びNo.10の材料の結晶組織
写真を図1及び図2に示す。
【0040】表4及び図より明らかなように、本発明合
金No.1〜No.3は、いずれも板厚方向の結晶粒が
30μm以下であり、比較合金No.10及びNo.1
3に比べ、結晶粒が微細化している。更に、その成形性
を見ると、本発明合金No.1〜No.3は、伸びの向
上及び優れた成形性を有している。このことから、結晶
粒の微細化が伸び、成形性の向上に付与し、Mnがその
役割を果たしていることがわかる。
金No.1〜No.3は、いずれも板厚方向の結晶粒が
30μm以下であり、比較合金No.10及びNo.1
3に比べ、結晶粒が微細化している。更に、その成形性
を見ると、本発明合金No.1〜No.3は、伸びの向
上及び優れた成形性を有している。このことから、結晶
粒の微細化が伸び、成形性の向上に付与し、Mnがその
役割を果たしていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
Al−Mg−Si系Al合金板においてMg、Si含有
量を調整すると共に、強度向上に効果のあるBe或いは
Cuを添加し、更に成形性低下抑制効果のあるMnを添
加することにより、高強度で、しかも成形性を向上でき
、かつ、溶体化処理の制御及び溶体化処理後の熱処理を
制御するので、低温短時間での焼付塗装において焼付硬
化性を向上できるアルミニウム合金板を得ることができ
る。このため、アルミニウム合金板の高強度化による薄
肉化が可能となり、自動車、家電製品、機械部品などの
軽量化に寄与し、工業的に使用頻度を向上させることが
でき、その実用上の効果は極めて大きい。
Al−Mg−Si系Al合金板においてMg、Si含有
量を調整すると共に、強度向上に効果のあるBe或いは
Cuを添加し、更に成形性低下抑制効果のあるMnを添
加することにより、高強度で、しかも成形性を向上でき
、かつ、溶体化処理の制御及び溶体化処理後の熱処理を
制御するので、低温短時間での焼付塗装において焼付硬
化性を向上できるアルミニウム合金板を得ることができ
る。このため、アルミニウム合金板の高強度化による薄
肉化が可能となり、自動車、家電製品、機械部品などの
軽量化に寄与し、工業的に使用頻度を向上させることが
でき、その実用上の効果は極めて大きい。
【図1】実施例で得られた素材(本発明合金No.2)
の金属組織(結晶粒)を示す写真である。
の金属組織(結晶粒)を示す写真である。
【図2】実施例で得られた素材(比較合金No.10)
の金属組織(結晶粒)を示す写真である。
の金属組織(結晶粒)を示す写真である。
【表4】
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、Mg:0.
3〜1.0%、Si:0.5〜2.0%をMg/Si比
が1以下で含有し、更にBe:0.03〜0.2%及び
Mn:0.05〜1.0%を含有し、残部がAl及び不
純物からなる組成を有し、板厚方向の結晶粒径が30μ
m以下であることを特徴とする強度、170℃以下の低
温焼付での焼付硬化性かつ成形性に優れたAl−Mg−
Si系Al合金板。 - 【請求項2】 更にCu:0.8%以下、Ti:0.
1%以下、Cr:0.4%以下並びにFe:0.5%以
下のうちの少なくとも1種を含有している請求項1に記
載のAl合金板。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の化学成分を有
するAl合金鋳塊にバーニング温度以下の温度で均質化
処理を施した後、熱間圧延を行い、次いで冷間圧延を行
って所望の板厚とした後、溶体化処理として100℃/
分以上の加熱速度で530〜590℃の温度に急速加熱
し、この温度域に10秒以上保持した後、冷却速度を3
00℃/分以上で50〜120℃の温度に焼入れし、そ
のまま50〜120℃の温度で1〜48時間の温度に保
持することを特徴とする強度、170℃以下の低温焼付
での焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3112379A JPH04318144A (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 強度、焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3112379A JPH04318144A (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 強度、焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04318144A true JPH04318144A (ja) | 1992-11-09 |
Family
ID=14585205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3112379A Pending JPH04318144A (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 強度、焼付硬化性かつ成形性に優れたAl合金板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04318144A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06272000A (ja) * | 1993-03-16 | 1994-09-27 | Sky Alum Co Ltd | 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法 |
US5728776A (en) * | 1993-07-29 | 1998-03-17 | Kawasaki Steel Corporation | Process for producing graft modified polyolefins |
JP2008303449A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Furukawa Sky Kk | 成形加工用アルミニウム合金板および成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
EP2177638A1 (en) * | 2008-10-15 | 2010-04-21 | "Impexmetal" S.A. | Aluminium alloy, in particular for heat exchangers manufacturing |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62177143A (ja) * | 1986-01-30 | 1987-08-04 | Kobe Steel Ltd | 成形性、焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 |
-
1991
- 1991-04-17 JP JP3112379A patent/JPH04318144A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62177143A (ja) * | 1986-01-30 | 1987-08-04 | Kobe Steel Ltd | 成形性、焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06272000A (ja) * | 1993-03-16 | 1994-09-27 | Sky Alum Co Ltd | 成形性および焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板の製造方法 |
US5728776A (en) * | 1993-07-29 | 1998-03-17 | Kawasaki Steel Corporation | Process for producing graft modified polyolefins |
JP2008303449A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Furukawa Sky Kk | 成形加工用アルミニウム合金板および成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
EP2177638A1 (en) * | 2008-10-15 | 2010-04-21 | "Impexmetal" S.A. | Aluminium alloy, in particular for heat exchangers manufacturing |
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