JP2002161326A - 強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し材 - Google Patents

強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し材

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JP2002161326A
JP2002161326A JP2000352465A JP2000352465A JP2002161326A JP 2002161326 A JP2002161326 A JP 2002161326A JP 2000352465 A JP2000352465 A JP 2000352465A JP 2000352465 A JP2000352465 A JP 2000352465A JP 2002161326 A JP2002161326 A JP 2002161326A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強度、切削性特にドリル加工性およびクリンチ
ング性に優れた各種機械部品を製造するためのアルミニ
ウム合金押出し材を提供する。 【解決手段】Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4
〜1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元
素:0.001〜1%を含有し、さらに必要に応じてZ
r:0.03〜0.30%およびCr:0.03〜0.
50%の内の1種または2種を含有し、さらに必要に応
じてCu:0.03〜0.4%を含有し、さらに必要に
応じてSr:0.01〜0.1%を含有し、残りがAl
および不可避不純物からなる組成、並びに内部組織とし
て繊維状組織を有するAl合金からなる機械部品用アル
ミニウム合金押出し材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、強度、切削性特
にドリル加工性およびクリンチング性に優れた各種機械
部品を製造するためのアルミニウム合金押出し材に関す
るものであり、特にアンチロックブレーキシステム・ハ
ウジング(以下、ABSハウジングという)、油圧配管
コネクタなどの作製時にドリル加工が多用される機械部
品の素材として最適なアルミニウム合金押出し材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ABSハウジング、油圧配管
コネクタなどドリル加工が多用される機械部品の素材
は、中程度以上の機械的強度を有し、さらに良好な切削
性を有する材料が広く用いられてきた。この素材として
JIS6061合金(Si:0.4〜0.8%、Fe:
0.7%以下、Cu:0.15〜0.4%、Mn:0.
15%以下、Mg:0.8〜1.2%、Cr:0.04
〜0.35%、Zn:0.25%以下、Ti:0.15
%以下を含有し、残部がAlおよび不可避不純物)、ま
たはJIS6262合金(Si:0.4〜0.8%、C
u:0.15〜0.4%、Mg:0.8〜1.2%、P
b:0.4〜0.7%、Bi:0.4〜0.7%を含有
し、残部がAlおよび不可避不純物)からなるアルミニ
ウム合金押出し材が広く使用されている。しかし、前記
JIS6262合金は切削性に優れているもののPb、
Biが含まれており、特に、近年、Al合金のリサイク
ル化が広く行なわれており、リサイクル製品に人体に有
害なPbやBiが混入することは好ましくない。したが
って、近年は、切削性を多少犠牲にしてもPbやBiを
含まないJIS6061合金が各種の機械部品用アルミ
ニウム合金押出し材として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、非常に狭い間
隔でドリル加工により多穴を設ける必要のあるABSハ
ウジングなどの機械部品の素材となるアルミニウム合金
押出し材は、切削性特にドリル加工性に優れた特性を必
要とし、さらに、ドリルで穴あけ加工を施した後、その
穴にバルブを挿入してバルブをかしめ加工(クリンチン
グ加工)することにより固着する操作を行なうが、かし
め部分に亀裂などの欠陥が発生するようでは好ましくな
い(以下、かしめ加工によりかしめ部分に亀裂などの欠
陥が発生することのない特性をクリンチング性とい
う)。この発明は、ABSハウジングなどのような機械
部品を製造するための素材として用いることのできる中
程度以上の機械的強度、切削性特にドリル加工性および
クリンチング性に優れたアルミニウム合金押出し材を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、中程度以
上の機械的強度を有し、さらに良好な切削性特にドリル
加工性を有するとともにクリンチング性にも優れたアル
ミニウム合金押出し材を得るべく研究を行った結果、
(イ)質量%で(以下、%は質量%を示す)、Si:
1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:
0.03〜0.50%、希土類元素:0.001〜1%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成
を有し、さらに内部組織を繊維状組織としたAl合金か
らなる押出し材は、中程度以上の機械的強度を有し、さ
らに良好な切削性を有するとともにクリンチング性にも
優れており、各種機械部品の素材に適している、(ロ)
前記(イ)のAl合金に、さらにZr:0.03〜0.
30%およびCr:0.03〜0.50%の内の少なく
とも1種を含有させることにより繊維状組織がより発達
し、切削性が向上するが、ZrはCrよりも少量で効果
を発揮するのでZrを必須成分として含有する方が好ま
しい、(ハ)前記(イ)〜(ロ)のAl合金に、さらに
Cu:0.03〜0.4%を含有させると、Cuは素地
に固溶して強度を向上させるとともに、歪硬化能を向上
させるため切削加工における切粉分断性を一層改善す
る、(ニ)前記(イ)〜(ハ)のAl合金に、さらにS
rを0.01〜0.1%含有させると、強度、切削性、
クリンチング性が一層向上する、という知見を得たので
ある。
【0005】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)質量%で(以下、%は質量%を
示す)、Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜
1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:
0.001〜1%を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成、並びに内部組織として繊維状組織を
有するAl合金からなる強度、切削性およびクリンチン
グ性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し材、
(2)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜1.
0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:0.
001〜1%、Zr:0.03〜0.30%を含有し、
残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、並びに内
部組織として繊維状組織を有するAl合金からなる強
度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品用ア
ルミニウム合金押出し材、(3)Si:1.7超〜5.
0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03〜0.
50%、希土類元素:0.001〜1%、Cr:0.0
3〜0.50%を含有し、残りがAlおよび不可避不純
物からなる組成、並びに内部組織として繊維状組織を有
するAl合金からなる強度、切削性およびクリンチング
性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し材、
(4)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜1.
0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:0.
001〜1%、Zr:0.03〜0.30%、Cr:
0.03〜0.50%を含有し、残りがAlおよび不可
避不純物からなる組成、並びに内部組織として繊維状組
織を有するAl合金からなる強度、切削性およびクリン
チング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し
材、(5)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜
1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:
0.001〜1%、Cu:0.03〜0.4%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、並び
に内部組織として繊維状組織を有するAl合金からなる
強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品用
アルミニウム合金押出し材、(6)Si:1.7超〜
5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03〜
0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Zr:
0.03〜0.30%、Cu:0.03〜0.4%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、並
びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金からな
る強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品
用アルミニウム合金押出し材、(7)Si:1.7超〜
5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03〜
0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Cr:
0.03〜0.50%、Cu:0.03〜0.4%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、並
びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金からな
る強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品
用アルミニウム合金押出し材、(8)Si:1.7超〜
5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03〜
0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Zr:
0.03〜0.30%、Cr:0.03〜0.50%、
Cu:0.03〜0.4%を含有し、残りがAlおよび
不可避不純物からなる組成、並びに内部組織として繊維
状組織を有するAl合金からなる強度、切削性およびク
リンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出
し材、(9)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4
〜1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元
素:0.001〜1%、Sr:0.01〜0.1%を含
有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、並
びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金からな
る強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部品
用アルミニウム合金押出し材、(10)Si:1.7超〜
5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03〜
0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Zr:
0.03〜0.30%、Sr:0.01〜0.1%、S
r:0.01〜0.1%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成、並びに内部組織として繊維状
組織を有するAl合金からなる強度、切削性およびクリ
ンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し
材、(11)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜
1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:
0.001〜1%、Cr:0.03〜0.50%、S
r:0.01〜0.1%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成、並びに内部組織として繊維状
組織を有するAl合金からなる強度、切削性およびクリ
ンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し
材、(12)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜
1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:
0.001〜1%、Zr:0.03〜0.30%、C
r:0.03〜0.50%、Sr:0.01〜0.1%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成、並びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金
からなる強度、切削性およびクリンチング性に優れた機
械部品用アルミニウム合金押出し材、(13)Si:1.
7超〜5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.
03〜0.50%、希土類元素:0.001〜1%、C
u:0.03〜0.4%、Sr:0.01〜0.1%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、
並びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金から
なる強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部
品用アルミニウム合金押出し材、(14)Si:1.7超
〜5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03
〜0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Zr:
0.03〜0.30%、Cu:0.03〜0.4%、S
r:0.01〜0.1%を含有し、残りがAlおよび不
可避不純物からなる組成、並びに内部組織として繊維状
組織を有するAl合金からなる強度、切削性およびクリ
ンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し
材、(15)Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜
1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:
0.001〜1%、Cr:0.03〜0.50%、C
u:0.03〜0.4%、Sr:0.01〜0.1%を
含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成、
並びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金から
なる強度、切削性およびクリンチング性に優れた機械部
品用アルミニウム合金押出し材、(16)Si:1.7超
〜5.0%、Mg:0.4〜1.0%、Mn:0.03
〜0.50%、希土類元素:0.001〜1%、Zr:
0.03〜0.30%、Cr:0.03〜0.50%、
Cu:0.03〜0.4%、Sr:0.01〜0.1%
を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組
成、並びに内部組織として繊維状組織を有するAl合金
からなる強度、切削性およびクリンチング性に優れた機
械部品用アルミニウム合金押出し材、に特徴を有するも
のである。
【0006】この発明の強度、切削性およびクリンチン
グ性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し材は、
多くのドリル穴あけ加工を施した後、その穴にバルブを
挿入してクリンチング加工するABSハウジングを作製
するための素材として最も適している。したがって、こ
の発明は、(17)前記(1)〜(16)記載の強度、切削
性およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウ
ム合金押出し材で作製したABSハウジング、に特徴を
有するものである。
【0007】この発明の強度、切削性特にドリル加工性
およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウム
合金押出し材の成分組成を上述のごとく限定した理由を
述べる。
【0008】Si:Siは、Mgと共存することにより
Mg2 Siを素地中に析出し、合金の強度向上に寄与す
る作用を有し、さらにMg2 Siの均衡組成に対し、余
剰のSiが適量存在することにより、母相中にSi晶出
相が均一に分散することで、更なる強化効果および切削
性特にドリル加工性向上効果が得られるが、Si含有量
が1.7%以下では前述の効果が十分でなく、一方、S
i含有量が5.0%を越えると成形性、耐食性が低下す
ると共に過剰なSi相のために切削工具の摩耗が激し
く、工具寿命が短くなるので好ましくない。したがっ
て、Siの含有量は、1.7超〜5.0%に定めた。S
iの含有量の一層好ましい範囲は1.7超〜3.0%で
ある。
【0009】Mg:Mgは、Siと共存することにより
Mg2 Siを素地中に析出し、合金の強度を向上させる
作用を有するが、Mg含有量が0.4%未満では前述の
効果が十分でなく、一方、Mg含有量が1.0%を越え
ると成形性、耐食性が低下するので好ましくない。した
がって、Mgの含有量は、0.4〜1.0%に定めた。
Mgの含有量の一層好ましい範囲は0.5〜0.8%で
ある。
【0010】Mn:Mnは、Alとの化合物粒子を生成
し、押出し加工時の再結晶を抑制し、繊維状組織を発達
させることにより、合金の強度および切削加工性を高め
る作用を有するので添加するが、その含有量が0.03
%未満では所望の効果が得られず、一方、0.50%を
越えて含有しても更なる効果が期待できない。したがっ
て、Mn:0.03〜0.50%(一層好ましくは0.
1〜0.3%)に定めた。
【0011】希土類元素:希土類元素は、Al合金の切
削性を一段と向上させる作用があるが、その含有量が
0.001%未満では所望の効果が得られず、一方、1
%を越えて含有しても更なる効果が期待できない。した
がって、希土類元素:0.001〜1%(一層好ましく
は0.3〜0.7%)に定めた。
【0012】Zr:Zrは、Alとの化合物粒子を生成
し、押出し加工時の再結晶を抑制し、繊維状組織を発達
させることにより、合金の強度および切削性特にドリル
加工性を高める作用を有するので添加するが、その含有
量が0.03%未満では所望の効果が得られず、一方、
0.30%を越えて含有しても更なる効果が期待できな
い。したがって、Zr:0.03〜0.30%(一層好
ましくは0.05〜0.2%)に定めた。
【0013】Cr:Crは、Alとの化合物粒子を生成
し、押出し加工時の再結晶を抑制し、繊維状組織を発達
させることにより、合金の強度および切削性特にドリル
加工性を高める作用を有するので添加するが、その含有
量が0.03%未満では所望の効果が得られず、一方、
0.50%を越えて含有しても更なる効果が期待できな
い。したがって、Cr:0.03〜0.50%(一層好
ましくは0.2〜0.3%)に定めた。
【0014】Cu:Cuは、熱処理により微細な析出物
を生成、分散し、強度向上に寄与するとともに、歪硬化
能を向上させるため、切削加工における切粉分断性を改
善して特にドリル加工性を向上させる効果があるが、そ
の含有量が0.03%未満ではその効果が十分得られ
ず、一方、Cuの含有量が0.4%を越えて含有すると
耐食性、成形性を低下させるので好ましくない。したが
って、Cuの含有量を0.03〜0.4%に定めた。C
uの含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.4%であ
る。
【0015】Sr:Srは、共晶Siを微細化すること
により、合金の強度および切削性特にドリル加工性を高
める作用を有するので添加するが、その含有量が0.0
1%未満では所望の効果が得られず、一方、0.10%
を越えるとSrを含む粗大な金属間化合物を晶出し、そ
れがハードスポットとなり、切削性を低下させるので好
ましくない。したがって、Srの含有量は、0.01〜
0.1%(一層好ましくは0.04〜0.08%)に定
めた。なお、Tiは希土類元素と共存する場合、粗大な
金属間化合物を生成しやすく、成形性、切削性を阻害す
る恐れがあるので0.1%以下に抑えることが好まし
い。
【0016】内部組織 この発明の機械部品用アルミニウム合金押出し材の繊維
状組織は、通常の再結晶組織などと比べて粒界と粒界と
の間隔が狭く、したがって余剰のSiが接近して素地中
に分散しており、それによって強度、およびクリンチン
グ性が一層向上するとともに、ドリル加工時にSi粒の
所で発生した切削亀裂は伝播しやすく、したがってドリ
ル加工性が向上するものと考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】Al合金を溶解し、さらに得られ
たAl合金溶湯に希土類元素としてミッシュメタルを添
加して溶解し鋳造して表1〜2に示す成分組成を有し直
径:225mmを有するビレットを製造し、このビレッ
トを510℃、6時間保持の条件で均質化処理を行い、
この均質化処理を行ったビレットを温度:500℃で熱
間押出し加工することにより断面寸法が40mm×10
0mmの押出し棒を作製した。この熱間押出し加工は、
熱間押出し装置の金型出口に水冷チャンバーを設置した
装置を用意し、前記均質化処理を行ったビレットを熱間
押出し加工した直後に水冷する押出し同時焼入れを施す
ことにより行なわれた。このようにして得られた押出し
棒に180℃で8時間保持の人工時効処理を施して本発
明押出し材1〜26、比較押出し材1〜4および従来押
出し材を作製した。
【0018】本発明押出し材1〜26、比較押出し材1
〜4および従来押出し材について組織観察を行なってそ
の結果を表1〜2に示した後、さらに下記の条件の試験
を行い、その結果を表1〜2に示した。
【0019】引張り試験 本発明押出し材1〜26、比較押出し材1〜4および従
来押出し材からJISZ 2201で規定される引張り
試験片(4号試験片)を作製し、引張り速度:10mm
/min(歪速度:3.3×10-3-1)の条件で引張
り試験を行ない、引張り強度、耐力および伸びを求め、
その結果を表1〜2に示し、強度およびクリンチング性
の評価を行なった。伸びが大きい程かしめ加工における
亀裂の発生がなくなるところから、クリンチング性に優
れているものと評価できる。
【0020】ドリル加工試験 本発明押出し材1〜26、比較押出し材1〜4および従
来押出し材に対して、長さ方向および長さ方向に直角な
方向から直径:4mmのドリルにより、回転数:200
0rpm、送り速度:400mm/minの条件のドリ
ル加工を行ない、切粉100個の長さの平均を求め、そ
の結果を表1〜2に示し、ドリル加工性の評価を行なっ
た。切粉100個の長さの平均値が小さいほどドリル加
工性が優れることを示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表1〜2に示される結果から、本発明押出
し材1〜26は、従来押出し材に比べて引張り強度、耐
力および伸びが優れている値を示すので、強度およびク
リンチング性に優れており、さらに切粉の長さが短いの
でドリル加工性に優れており、さらに耐食性に優れてい
ることが分かる。また、この発明の条件から外れた組成
を有する比較押出し材1〜4は、強度、切削性およびク
リンチング性の内の少なくとも一つに好ましくない値が
現れることが分かる。
【0024】
【発明の効果】上述のように、この発明の押出し材は従
来押出し材よりも強度およびクリンチング性に優れ、さ
らに切削性の一種であるドリル加工性に優れているとこ
ろから、この発明の押出し材はABSハウジング、油圧
配管コネクタなどドリル加工が多用される機械部品の素
材として最適なものであり、コストを下げ、さらに軽量
化して省エネルギーに寄与するなど、産業上優れた効果
をもたらすものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で(以下、%は質量%を示す)、
    Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.4〜1.0%、
    Mn:0.03〜0.50%、希土類元素:0.001
    〜1%を含有し、残りがAlおよび不可避不純物からな
    る組成、並びに内部組織として繊維状組織を有するAl
    合金からなることを特徴とする強度、切削性およびクリ
    ンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金押出し
    材。
  2. 【請求項2】 Si:1.7超〜5.0%、Mg:0.
    4〜1.0%、Mn:0.03〜0.50%、希土類元
    素:0.001〜1%を含有し、さらにZr:0.03
    〜0.30%およびCr:0.03〜0.50%の内の
    1種または2種を含有し、残りがAlおよび不可避不純
    物からなる組成、並びに内部組織として繊維状組織を有
    するAl合金からなることを特徴とする強度、切削性お
    よびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合
    金押出し材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のAl合金に、さ
    らに、Cu:0.03〜0.4%を含有した組成を有す
    るAl合金からなることを特徴とする強度、切削性およ
    びクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウム合金
    押出し材。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載のAl合金
    に、さらに、Sr:0.01〜0.1%を含有した組成
    を有するAl合金からなることを特徴とする強度、切削
    性およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミニウ
    ム合金押出し材。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の強度、
    切削性およびクリンチング性に優れた機械部品用アルミ
    ニウム合金押出し材で作製したことを特徴とするABS
    ハウジング。
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